(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】研削工具の研磨リムに埋め込まれた研磨材粒子の概略断面図である。
【
図3】工作物に作用する研削工具の概略断面図である。
【
図4】2つの異なる研削工具に対する電力消費を表す図である。
【
図5】本発明の研削工具の第1の実施形態の概略断面図である。
【
図6】本発明の研削工具の第2の実施形態の概略断面図である。
【
図7】窒化ケイ素含有量との関係として研削工具の摩耗を示す図である。
【
図8】窒化ケイ素含有量との関係として研削工具のG比を示す図である。
【0033】
[発明の詳細な説明]
図1を参照して、研削工具1が示される。研削工具は特に、タングステンカーバイド等、硬質及び/又は脆性材料を機械加工することを目的とする研削ホイールであってもよい。かかる材料は、例えば、ドリル又は粉砕工具等の工具のための工作物中に存在してもよく、本発明の研削工具1は、かかる工具を形成するために使用される研削ホイールであってもよい。研削工具1は、コア2及び研磨リム4を備える。コア2は、鋼又は何らかの他の金属等のあまり高価ではない材料から作られてもよい。あるいは、コアは、例えば、ポリマー材料から作られ得る。コアはまた、2つ以上の材料を含み得る。例えば、それは、鋼又はアルミニウム等の金属によって部分的に作られ得、部分的にポリマー材料であり得る。コア2は、研削工具1が回転運動のためにスピンドル(図示せず)上に載置されてもよいように、貫通孔又は空洞3が備えられてもよい。
図2を参照すると、研磨リム4は、マトリックス6に埋め込まれた研磨材粒子5を含む。次に、マトリックス6は、焼結青銅合金である金属結合剤を含む。金属結合剤は、マトリックス6の50容量%〜100容量%を構成し、したがって、マトリックス6全体が金属結合剤で構成されている実施形態が考えられる。しかしながら、マトリックス6は通常、少なくとも何らかの他の成分を含む。例えば、それは、潤滑特性を有するグラファイト等の充填剤を含んでもよい。ほとんどの実施形態では、マトリックス6はまた、ポリイミドによって形成されてもよいポリマー結合剤も含む。
【0034】
マトリックス6が研磨材粒子5を良好に保持する場合、研磨材粒子5は、小断片を放出し、徐々にすり減る。結果として、研磨リム4の摩耗は比較的ゆっくりであり、研削工具1の直径は、より長い期間にわたって実質的に一定に保たれ得る。更に、研磨リム4の摩耗は、規則正しいペースで保たれ、動作中の電力は、あまり変化しない。
【0035】
代わりに、マトリックス6が研磨材粒子5をしっかりと保持することができない場合、研磨材粒子が断片化するかなり前にそれらが緩むということが起こり得る。結果として、それらは、それらの完全な研磨能力が使用される前に失われる。研磨工具1は、より速く摩滅し、研削工具(研削ホイール等)の直径は、より速く減少する。研削工具1のより小さい直径は、工作物の精度の低い機械加工をもたらし得る。
【0036】
図3を参照すると、研削工具1は、工作物7に作用する。工作物7は、例えば、ドリルに成形される工作物であってもよい。研削工具1は、例えば、スピンドル(図示せず)によって作用する電源を用いて回転させられる。それにより、研削工具の研磨リム4は、工作物7に作用し、工作物中に溝を彫る。
図3中、工作物は、研削工具1の作用によって決定されるコア直径CDを有する。研削工具1がその直径が減少するようにすり減った場合、コア直径CDは、摩耗が補正(例えば、工作物7に対する研削工具1の再配置)されない限り、大きくなる。したがって、摩耗が低く保持され得ること、及び生じる摩耗が急に予測不可能に増加しないことが非常に望ましい。
【0037】
研磨材粒子5が適切に1つ1つ断片化されるとき、これが、研削工具1の快削特性、すなわち、研削工具がそれ自体を研ぎ直しする能力にとって好ましいことが付け加えられ得る。研磨材粒子5が少しずつ断片化するとき、マトリックス6の摩耗は円滑に生じることができ、研磨リム4の表面は、そう容易には詰まらない。代わりに、研磨材粒子が適切に断片化する前に急に引き剥がされる場合、これは、表面の詰まりの増加を引き起こす傾向があり、研磨リム4の表面は、工作物7からの小粒子5によって大いに詰まる可能性がある。これは、研削工具1が研ぎ直しされ得るように、動作からの研削工具1の一時的な取り外しを余儀なくさせ得る。研磨材粒子5が徐々に断片化する場合、かかる詰まりのリスクはより小さい。研磨材粒子が完全に摩滅したとき、新しい研磨材粒子5がより円滑なプロセスで表面に現れ得、それ自体が、研削工具(又はむしろ研削工具1の研磨リム4)の研ぎ直しに寄与する。
【0038】
研磨材粒子が完全に断片化する前に研磨リムから引き剥がされるとき、これは、それ自体を研削工具の電力消費に示す傾向があり、電力は急に低下し、次いで、しばらくすると再び上昇し始める。研磨材粒子がなるべきように断片化することができるように、それらがマトリックスによって適切に保持される場合、これもまた、電力消費で認められ得る。そのような場合、電力は、経時的に比較的一定のままである傾向がある(しかしながら、通常、最初の工作物に必要とされる電力がより少なくなるように、第1の工作物からの電力条件の段階的な増加が常にあることに留意されたい)。
【0039】
E.D.Kizikov and P.Kebko(「Microadditions to alloys of the system Cu−Sn−Ti」,Institute of Superhard Materials,Academy of Science of the Ukrainian SSR,Kiev,in translation from Metallovedenie I Termicheskaya Obrabotka Metallov,No.1,pp 50〜53(1987年1月))による記事において、Cu/Sn/Tiの合金が、0.01%窒化ケイ素(Si
3N
4)で補強される、ダイヤモンド研磨工具のためのバインダーとして使用されることが示唆されている。その記事の著者らによると、この添加は、改善された降伏強度をもたらした。
【0040】
本発明の発明者らは、マトリックスが研磨材粒子を保持する能力を改善するために何の工程が取られ得るのかを考慮した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、金属結合剤がその中に埋め込まれた研磨材粒子を放出する1つの理由が、金属結合剤内の転位が金属結合剤を弱めることである可能性があると考える。この理論が正しいと仮定して、本発明者らは最初に、金属結合剤中の転位を阻止する粒子で、マトリックスを補強することによって、それを改善することが可能であるはずだと推測した。
【0041】
続いて、本発明者らは、金属結合剤を焼結するために使用した金属粉末への異なる添加を試した。試された1つ添加剤は、酸化アルミニウムであり、それを金属結合剤の1.0容量%に対応する程度で添加した。これは、ある特定の改善をもたらしたが、改善は本発明者らが期待するほど良好ではなかった。本発明者らはまた、0.01容量%の窒化ケイ素の添加を試した。その添加の改善は、酸化アルミニウムによって達成される改善よりも更に低かった。
【0042】
本発明者らは次いで、窒化ケイ素の量の増加が、より良好な結果をもたらすかどうかを調査した。これは、本発明者らによって実施される試験で確認された。金属結合剤の0.01容量%よりも有意に大きい量で窒化ケイ素を添加したとき、非常に実質的な改善が得られたことがわかった。
【0043】
例えば、本発明者らは、金属結合剤が1.0容量%の窒化ケイ素(Si
3N
4)を含有する組成物を試験した。次いで、この組成物を有する研削工具を、混成物マトリックスを使用した、かつ窒化ケイ素(Si
3N
4)を含有しない標準的な研削工具と比較した。研削工具は、研磨リム4がコア2の周囲のリングとして形成された、両方の研削ホイールであった。比較条件下で、標準的な工具の直径は、136μmすり減り、一方で、実験組成物を有する研削工具の直径は、58μmのみすり減った。1.0%の窒化ケイ素を有する工具のG比は、2335であった。比較すると、0.01容量%の窒化ケイ素を使用した工具は、94μmすり減り、一方で、1.0容量%の酸化アルミニウムを使用した工具は、84μmすり減った。
【0044】
窒化ケイ素が金属結合剤の5容量%を構成した組成物で、試験を行った。耐摩耗性はなおも良好であったが、1.0容量%の窒化ケイ素を有する研削工具に対してはそれほど良好ではなかった。更に、5.0%の窒化ケイ素を有する工具は、より高い電力消費を有した。G比は良好であったが、1.0容量%及び0.1容量%を有する工具に対してはそれほど良好ではなかった。
【0045】
本発明者らはまた、試験された他の工具と同様の形状及び組成物を有するが、窒化ケイ素が金属結合剤の0.1容量%を構成した研削ホイールを試験した。試験された他の工具と同様の試験条件下で、0.1容量%の窒化ケイ素を有する工具の摩耗は、62μmであり、G比は、2084であったことがわかった。これは、1容量%で得られた結果よりも劣っていたが、それでもなお、標準的な研削工具と比較して非常に実質的な改善であった。
【0046】
本発明者らはまた、金属結合剤の0.02容量%の窒化ケイ素含有量を有するが、そうでなければ試験された他の研削ホイールと同様であった、研削ホイールも試験した。同様の試験条件下で、0.02容量%の窒化ケイ素を有する研削ホイールは、58μmの摩耗(直径減少)及び2283のG比を有した。したがって、結果は、0.1容量%の比で得られた結果よりもわずかに良好であった。
【0047】
結果は、有意に良好な結果が、0.02容量%〜5.0容量%の窒化ケイ素(Si
3N
4)の範囲で得られるという結論に達する。この範囲内で、G比及び耐摩耗性の両方が、0%又は0.01%よりも有意に良好であることが分かった。
【0048】
耐摩耗性試験及びG比試験を、0容量%、0.01容量%、0.02容量%、1.0容量%、及び5.0容量%の窒化ケイ素で実施した。
【0049】
試験された工具は、実質的に
図5に示される種類の研削ホイール、すなわち、コア2を包囲する研磨リム4を有する研削工具であり、研削工具1は、動作中に軸Aの周囲を回転する。窒化ケイ素含有量との関係としての耐摩耗性が、
図7で見られる。耐摩耗性は、
図7中で直径減少として表される。
図7で見られるように、耐摩耗性は、窒化ケイ素の含有量が0.01%〜0.02%に増加したとき、有意に増加した。耐摩耗性は、最大で金属結合剤の5.0容量%の窒化ケイ素含有量まで高くなり続けた。しかしながら、5.0容量%の窒化ケイ素で、耐摩耗性は、0.02%〜1.0%の含有量で観察された耐性と比較してやや低かった。したがって、本発明者らは、最良の耐摩耗性が、0.02容量%〜5.0容量%の範囲で得られると結論付けた。
【0050】
窒化ケイ素含有量との関係としてのG比が、
図8で見られる。図で見られるように、最良の値は、0.02%〜5.0%の範囲の窒化ケイ素含有量で得られる。
図8から、G比が図の右側に向かって下降しているが、5.0容量%におけるG比がなおも良好であることが導き出され得る。
【0051】
したがって、本発明者らは、金属結合剤が、金属結合剤の0.02容量%〜5.0容量%を構成する量で、窒化ケイ素を含有し得ると結論付けた。電力消費が5.0容量%でより高いため、本発明者らは、5.0容量%を下回る値が、良好な耐摩耗性を有するが、5容量%の窒化ケイ素含有量を有する工具と比較して、より低い電力消費を有すると結論付けた。したがって、好ましい範囲は、金属結合剤の0.02容量%〜3.0容量%、0.5容量%〜3.0容量%、0.5容量%〜2.0容量%、又は1.0容量%〜2.0容量%であり得る。
【0052】
0.1容量%で、電力消費は、0.02容量%よりも概して低かった。5.0容量%の窒化ケイ素で、電力消費は、0.02容量%の含有量よりも高かったが、5.0容量%での電力消費は、更に高く、電力消費は、0.02容量%よりも予測可能であった。
【0053】
窒化ケイ素粒子は、好ましくは、最大で10μm(1250 Tylerメッシュ)の粒径を有するべきである。篩にかけられた粒子に対して、これは通常、平均粒径が10μm未満であることを意味する。次いで、窒化ケイ素粒子の平均粒径(D50)は、2μm〜3μmであってもよい(どのように平均粒径が測定されるかに応じて)。窒化ケイ素粒子の比表面積は有利に、5m
2/g〜6m
2/gの範囲であってもよい。使用される粒子が小さすぎる場合、これは、製造中の詰まり及び問題を引き起こし得る。更に、金属結合剤に最適化された強度を与えるために、最大で10μmの粒子が、好ましくは含まれるべきであると、本発明者らによって考えられている。
【0054】
通常、マトリックス6は更に、ポリマー結合剤及び金属結合剤が接続網を形成するように、金属結合剤と共に焼結されたポリマー結合剤を含むべきである(かかるポリマー結合剤は任意であるが)。ポリマー剤の使用は、マトリックスの特性を微調整し、それを異なる種類の研磨材粒子に適合させることを可能にする。ポリマー結合剤は好適には、ポリイミドであってもよく、又はポリイミドを含んでもよい。この理由は、ポリイミドが耐熱性であり、焼結中の高温に耐えることができるためである。ポリマー結合剤が使用される場合、ポリマー結合剤は、マトリックスの最大で50容量%の量で存在してもよい(すなわち、ポリマー結合剤の量が、マトリックスの0容量%〜50容量%の範囲である)。例えば、ポリマー結合剤は、マトリックスの10容量%〜40容量%又は10容量%〜30容量%であってもよい。
【0055】
場合によっては、ポリマー結合剤は、何らかの他のポリマー材料によって形成され得る。例えば、それは、同様に高温に耐えることが可能であるポリアミド−イミドによって形成され得る。しかしながら、ポリイミドは、ポリアミド−イミドよりも良好な研削特性を有するため好ましい。
【0056】
金属結合剤は好ましくは、銅、錫、及び銀を含む青銅合金である。銀は、金属結合剤の所望の特性を改善する。
【0057】
研磨材粒子5は、ダイヤモンド粒子又は立方晶窒化ホウ素粒子のいずれかであってもよい。ダイヤモンドは、より硬質であり、より良好な研磨特性を有するが、立方晶窒化ホウ素は、より耐熱性である。更に、ダイヤモンドは、ある特定の材料と化学的に反応し得る。
【0058】
研磨材粒子5は、ダイヤモンド粒子又は立方晶窒化ホウ素の粒子であってもよい。粒子は、4μm〜181μmの範囲であってもよいが、この範囲の粒子は、各特定の場合における要件に応じて考慮され得る。多くの現実的な実施形態では、研磨材粒子5は、46μm〜91μmの範囲の平均粒径を有してもよく、それは、多くの研削動作に好適である範囲である。
【0059】
研磨材粒子5は任意に、銅又はニッケルのコーティングを有してもよい。銅又はニッケルのコーティングは、研磨材粒子5とマトリックス6との間の結合を改善することができる。しかしながら、粒子5の研磨特性は、粒子がかかるコーティングを有する場合、やや減少する。
【0060】
マトリックス6中の結合剤及び充填剤に対する研磨材粒子5の相対的割合は、各場合の要件に応じて異なってもよい。多くの現実的な実施形態では、研磨材粒子の量は、研磨リムの全体積(すなわち、研磨材粒子及びマトリックスの全体積)の10%〜50%に相当してもよい。研磨材粒子の相対的割合が50%よりも高い場合、マトリックスがもはや研磨材粒子を保持できなくなるという実質的な危険がある。研磨材粒子の相対的割合が10%未満である場合、研削効果は小さくなりすぎる可能性がある。研磨材粒子の相対的割合は好ましくは、15%〜30%の範囲であり得、好適な値は25%であり得る。
【0061】
好ましくは、窒化ケイ素は、10μm以下であるが0.1μm超である平均粒径を有する粒子の形状で存在する。例えば、それらは、1μm〜10μm又は2μm〜9μmの範囲の平均粒径を有してもよい。0.1μmよりも小さい窒化ケイ素粒子は、窒化ケイ素粒子の詰まりを引き起こす可能性があり、それは、それらの補強効果を低減すると、本発明者らによって考えられている。
【0062】
窒化ケイ素粒子は、α、β、及びγ相(三方晶系相、六方晶系相、及び立方晶系相としても既知である)として指定される、3つの異なる結晶構造を有してもよい。α及びβ相が最も一般的である。γ相は高圧及び高温下でのみ合成され得る。これらの相のいずれも使用され得る。好ましくは、使用される相はα相である。添加される窒化ケイ素粒子はまた、異なる相の粒子の混合物であってもよい。
【0063】
図4を参照すると、本発明に従った研削工具が、標準的な研削工具と比較される。縦軸が電力消費を表す一方で、横軸は、個々の研削工具が作用した工作物の数を表す。
図4中、B5が本発明に従った研削工具を表す一方で、EZは、標準的な研削工具を表す。
図4で見られるように、B5として表される工具は、最初に急激に上昇し、その後に実質的に一定のままである電力消費を有する。EZによって表される従来の工具は、急激に上昇し、次いで、再び上昇する前に急に低下する電力消費を有する。これは、B5工具の研磨材粒子がゆっくりと断片化する一方で、EZが、研磨材粒子が急に引き剥がされる研削工具を表すことを示す。したがって、工具の摩耗はより速くなる。
【0064】
B5が金属結合剤及びポリマー結合剤の両方を有する工具を表すことが付け加えられ得る。金属結合剤は、銅、錫、及び銀を有する青銅である。それは、45容量%の銅、45容量%の錫、及び10容量%の銀を含有する金属粉末を使用して焼結されている。B5に従った工具において、ポリマー結合剤は、結合剤の総量の1.0容量%を構成する。
【0065】
図1の研削工具は、
図5に示される断面図を有してもよい。かかる実施形態では、研磨リム4は、リム4が完全にコア2を包囲するように、コア2の外側で半径方向に配置される。
図4、7、及び8を参照して説明される試験を、かかる研削工具に対して実施した。しかしながら、本発明は、かかる実施形態に限定されない。
図6を参照すると、コア2が研磨リム4と少なくとも同じくらい半径方向に延在し得ることが理解される。
図6中、研削工具は、半径方向にコア2を越えて延在しない研磨リム4を有する。代わりに、研磨リム4は、コア2とは異なる軸方向での伸長を有する(軸方向は、スピンドルによって駆動されるときの研削工具1の軸回転Aである。
図5及び6を参照されたい)。また、研削工具1は必ずしも回転のために設計されないことが理解されるべきである。代わりに、それは、往復運動で工作物に作用し得る。したがって、特許請求の範囲との関連で、用語「コア」は、研磨リムのための任意の種類の担持体として広く理解されるべきである。同様に、用語「リム」はまた、研磨材粒子が工作物に作用することができるように、コア2に固定される任意の種類の層として広く理解されるべきである。
【0066】
本発明は更に、本発明の研削工具を作製する方法を含む。その方法は、焼結が、研磨材粒子5が埋め込まれたマトリックスをもたらすように、研磨材粒子を、銅及び錫を含む金属粉末と共に焼結する工程を含む。マトリックスは、焼結青銅合金である金属結合剤を含む。本発明に従って、焼結前に、窒化ケイ素が金属結合剤の0.1容量%〜5.0容量%を構成する程度まで、粉末の形態の窒化ケイ素が金属粉末に添加される。
【0067】
使用される金属粉末は好ましくは、44μmよりも小さい粒子を有する金属粉末であるが、それらは好ましくは、窒化ケイ素粒子よりも大きくあるべきである。好ましくは、それらは少なくとも2倍大きくあるべきである。15μm〜44μmの範囲の平均粒径が好ましくあり得る。
【0068】
金属粉末はまた、任意に銀を含んでもよい。
【0069】
金属粉末は、予合金化粒子の形状で、又は純銅、純錫、純銀等の粒子として生じてもよい。
【0070】
マトリックス6の一部であるポリマー結合剤もまた形成されるように、焼結前に、好ましくはポリイミド粉末の形態でポリマーが金属粉末に添加されてもよい。
【0071】
焼結方法は、マトリックス6の結合剤のための粉末材料が、研磨材粒子5と混合されるように実施されてもよい。混合物は、コールドプレスで圧縮される。その後、圧縮混合物は、120〜150分間にわたって、380℃〜520℃、好ましくは400℃〜500℃、又は440℃〜460℃の範囲の温度で、キルンで硬化される。必要とされる時間はサイズによって決まる。より大きいプレス型では、より多くの時間が必要とされる。その後(好ましくは直後)、圧縮及び硬化混合物は、プレス機に配置され、1500〜2000kg/cm
2(147.1〜196.1MPa)の圧力に供される。次いで、圧力は、混合物が300℃未満の温度に達するまで維持される。
【0072】
例えば、本発明者らは、この方法に従って、キルン内の温度が450℃であるプロセスで研削工具を作製した。
【0073】
研磨リム4はまた、放電プラズマ焼結機(SPS)を用いて製造されてもよい。この技術によって、研磨リム4は、非常に高速で製造され得る。
【0074】
研磨材粒子を含有するマトリックスを有するリムは、別個に焼結され、続いて、コア2上に固定(例えば、接着)されてもよい。あるいは、研磨リム5は、それが形成される際にコアに結合するように、コア2上で直接焼結されてもよい。焼結前に、コア2は、研磨リム4と接触するコアの少なくとも一表面上で、銅で電解めっきされてもよい。次いで、研磨リム4は、シームが形成されるように銅めっき表面上に焼結され得る。
【0075】
任意に、焼結動作前に、充填剤材料が、金属粉末及び研磨材粒子5の混合物に添加されてもよい。すでに説明されたように、充填剤材料は、グラファイトを含んでもよい。他の考えられる充填剤材料としては、例えば、酸化アルミニウムの球が挙げられ得る。
【0076】
好ましくは、金属結合剤中に使用される青銅は、銅−錫(Cu/Sn)、銅−錫−コバルト(Cu/Sn/Co)、銅−錫−ニッケル(Cu/Sn/Ni)、又は銅−錫−銀(Cu/Sn/Ag)を含む群から選択される。更により好ましくは、青銅は、銅−錫−銀の青銅である。他の青銅合金も考慮され得る。
【0077】
本発明の研削工具は、硬質及び/又は脆性材料を機械加工するために使用され得る。これは、研削工具が他の材料のためにも使用され得る可能性を排除しない。
【0078】
本発明の実施形態では、マトリックス6は任意に、セラミック粒子の形状で、少なくとも1つのセラミック成分も含むことができる。セラミック成分はまた、例えば、フリットされ、SiO
2を含有してもよい。マトリックスのためのセラミック粒子は、研磨材粒子の粒径に応じて50μm〜500μmの粒径を有する球形粒子の形状でフリットされてもよい。より大きい研磨材粒子に対して、より大きいセラミック粒子が使用される。研磨材粒子は、セラミック粒子に埋め込まれ、一方で、セラミック粒子は、金属結合剤及びポリマー結合剤を有する混成物マトリックス埋め込まれる。セラミック粒子は、研磨材粒子が保持され得るよりも強力に、マトリックスによって保持され得る。したがって、研磨リムの快削特性は改善される。セラミック成分は、金属結合剤ほど良好な耐摩耗性を有さない。セラミック、金属、及びポリマー結合剤を組み合わせることによって、これらの結合剤の最良の特性を組み合わせることが可能である。