(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クロック信号を出力する第1回路部と、前記第1回路部から出力された前記クロック信号を入力する第2回路部とを含み、前記第1回路部が、第1電源端子、第1グランド端子、及び前記クロック信号の出力端子を有し、前記第2回路部が、第2電源端子、第2グランド端子、及び前記クロック信号の入力端子を有し、前記出力端子から前記入力端子への前記クロック信号の伝送が、試験時のみ前記出力端子と前記入力端子の間を繋ぐように接続される導線を介してのみ、行われる半導体素子の試験方法であって、
前記第1電源端子及び前記第2電源端子に電源電位の第1プローブを接続し、
前記第1グランド端子及び前記第2グランド端子にグランド電位の第2プローブを接続し、
前記出力端子と前記入力端子を前記導線で接続し、
前記半導体素子の出力信号を測定する
ことを特徴とする試験方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、集積回路装置の一例について説明する。
チップを含む集積回路装置の内部に搭載される様々なIP(Intellectual Property)や機能モジュール、マクロのうち、外部とのインタフェースを司る回路は、そこから送出されるクロック信号やデータ信号の波形測定を行うことで、波形品質が確認できる。測定される信号波形には、クロック信号やデータ信号自体が変化することで発生する自己ノイズ、チップ内部のコア電源及びGNDの変動に伴うコアノイズ等が含まれ得る。このようなノイズが、集積回路装置やそこに含まれるチップの外部出力信号のスキュー、ジッタとして現れてくる。
【0011】
例えば、LP−DDR(Double Data Rate)2−SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)(LP−DDR2メモリ)を搭載した集積回路装置のメモリインタフェース回路について述べる。このようなメモリインタフェース回路では、近年、800Mbps、1Gbpsと高速化が進み、クロック信号とデータ信号の間、或いはデータストローブ信号とデータ信号の間の低スキュー設計が要求されている。2つの信号間のスキューには、例えば、物理層(PHY)の回路によるもの、IOセルの立ち上がり/立ち下がりの遅延差によるものがある。このほか、メモリインタフェース回路を備えるチップが実装される基板(パッケージ基板等)、或いは基板にチップが実装されたデバイスが更に実装される基板(プリント基板等)における配線長の差によるもの、クロストークによるもの等が挙げられる。
【0012】
これらの中で、原因の特定が困難なものに、チップ内部のコア電源及びGNDの変動に伴うコアノイズによるものがある。コアノイズは、チップ内部のコア電源線及びGND線に接続されている回路部(回路モジュール)の規模と動作率、コア電源線とGND線の配置、チップ内部のデカップリングコンデンサの搭載量と位置等によって、空間的、時間的に様々に変化している。
【0013】
例えば、LP−DDR2メモリを搭載した集積回路装置の場合、SoC(System on Chip)(チップ)を含むパッケージの上に、LP−DDR2メモリ(チップ)を含むパッケージを搭載したPoP(Package on Package)構造が採用され得る。LP−DDR2メモリには、二百数十ピンといった多数の端子がそのチップ外周部に集中的に配置される。そのため、集積回路装置には、例えば、SoCのチップ外周部からクロック信号やデータ信号が送出され、LP−DDR2メモリのチップ外周部の端子に入力されるような信号伝送路が設けられる。
【0014】
このとき、SoCには、例えば、そのチップ外周部にクロック信号やデータ信号を送出するために、メモリインタフェース回路の物理層がチップ外周部に離散的に配置される。このようにチップ外周部に離散的に配置された物理層には、SoCのチップ内部の様々な回路モジュールの傍を通りながら空間的に広がって配置されたクロック信号線(クロックツリー)によってクロック信号が供給され、それに同期して各物理層が動作する。
【0015】
図1は物理層及びクロック信号供給経路の一例を示す図である。
図1には一例として、上記のようなLP−DDR2メモリ及び、LP−DDR2メモリを駆動するSoCが搭載される集積回路装置における、そのSoCのメモリインタフェース回路の物理層と、物理層へのクロック信号の供給経路を模式的に示している。
【0016】
チップ100の内部には、PLL(Phase Locked Loop)110、クロックユニット120、及び複数の物理層(PHY)130が設けられている。クロックユニット120はチップ100の中央部に配置され、PLL110及び物理層130はチップ100の四辺近傍に配置されている。ここでは物理層130として、DQDQS−PHY131a、CACK−PHY132a、DQDQS−PHY131b、CACK−PHY132bを例示している。
【0017】
チップ100では、まずPLL110からのクロック信号がクロックユニット120に供給される。そして、クロックユニット120からDQDQS−PHY131a及びCACK−PHY132aにクロック信号PHY_CLK1及びクロック信号PHY_CLK2が供給される(A−ch)。また、クロックユニット120からDQDQS−PHY131b及びCACK−PHY132bにクロック信号PHY_CLK3及びクロック信号PHY_CLK4が供給される(B−ch)。
【0018】
尚、DQDQS−PHY131aは、クロックユニット120からのクロック信号PHY_CLK1を基に、LP−DDR2メモリとの間でデータストローブ信号(DQS信号)及びデータ信号(DQ信号)をやり取りする。CACK−PHY132aは、クロックユニット120からのクロック信号PHY_CLK2を基に、LP−DDR2メモリとの間でコントロールアドレス信号(CA信号)及びクロック信号(CK信号)をやり取りする。DQDQS−PHY131bは、クロックユニット120からのクロック信号PHY_CLK3を基に、LP−DDR2メモリとの間でDQS信号及びDQ信号をやり取りする。CACK−PHY132bは、クロックユニット120からのクロック信号PHY_CLK4を基に、LP−DDR2メモリとの間でCA信号及びCK信号をやり取りする。
【0019】
PLL110からクロックユニット120まで、クロックユニット120から各物理層130までのクロック信号伝送は、クロックバッファ140と呼ばれるユニットセルを用いて行われる。
【0020】
図2はクロックバッファの一例を示す図である。
図2に示すクロックバッファ140は、pチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(pMOS)とnチャネル型MOSトランジスタ(nMOS)を直列に接続した一対のインバータ(NOTゲート)141及びインバータ142を有している。インバータ141及びインバータ142は、チップ100内部に設けられるコア電源線(網)201とGND線(網)202に接続されている。一方のインバータ141の共通ゲート端子(IN)への入力に応じたその出力端子からの出力が、もう一方のインバータ142の共通ゲート端子に入力され、その入力に応じた出力がインバータ142の出力端子(OUT)から出力される。
【0021】
上記
図1のPLL110からクロックユニット120までの配線(クロック信号線)、及びクロックユニット120から各物理層130までの配線(クロック信号線)には、この
図2のようなクロックバッファ140が複数、数珠つなぎになったものが用いられる。
【0022】
図3〜
図5はクロックバッファ配置の説明図である。
チップ100内部の配線は、微細化と共に、配線の厚み、幅が共に縮小される傾向にある。単位長さ当たりの配線の抵抗をR0、単位長さ当たりの配線の容量をC0とすれば、配線遅延(RC遅延)は、配線長Lenに対して、(R0×Len)×(C0×Len)=R0×C0×Len
2に比例した増加を示す(
図3(A))。
【0023】
チップ100内部のクロックツリーの設計において、クロック信号線にクロックバッファ140を挿入する場合には、まず、配線長Lenに対して配線遅延が直線的に増加するような比較的長距離の配線部分を分割する。例えば、
図3(B)に示すような配線遅延τ
RC0の配線部分を2つに分割する。そして、分割した2つの配線間にクロックバッファ140を挿入する。このとき、分割された2つの配線の遅延τ
RC1,τ
RC2と、それらの配線間に挿入するクロックバッファ140のセル遅延τ
BUFの総和が、分割前の配線遅延τ
RC0よりも小さくなるかを判定する。即ち、τ
RC0>τ
RC1+τ
BUF+τ
RC2の関係が満たされるようであれば、分割した方が高速にクロック信号を伝送することができるということになる。
【0024】
チップ100では、
図4に示すような長距離配線Wに対してのクロックバッファ140の挿入(レピータバッファ分割)や、Hツリー等の配線分岐点Dにおけるインピーダンス整合のためのクロックバッファ140の挿入が行われる。チップ100内部に配置されるクロックバッファ140の段数は多くなる傾向にある。
【0025】
図5にクロックツリーの遅延とそのクロック信号線末端における遅延の広がりの関係を模式的に示す。一般的にクロックツリーは、長距離配線を分割し、クロック信号の波形なまりを救う方向でスルーレート(Slew Rate)を立たせれば、信号線末端のクロック信号到達遅延差(スキュー)は縮小されるという論理に基づいて設計される。そのため、クロックツリーの遅延はある程度犠牲にしても、チップ100に過剰にクロックバッファ140が挿入される傾向にある。
【0026】
図6は動作モードごとの電源網解析結果の一例を示す図である。
図6には、チップ100の動作モード(ケース1〜4)ごとの、コア電源網の電圧分布の解析結果を模式的に図示している。チップ100では、ケース1〜4の動作モードによって、コア電源網の電圧分布が異なる。上記のようなクロックツリーでは、スキュー縮小化のために複数のクロックバッファ140が配置され、PLL110からクロックユニット120を通ってメモリインタフェース回路の各物理層130にクロック信号が分配供給される。チップ100の動作モードによってコア電源網の電圧分布が異なると、クロックツリーの各クロック信号線が受けるIRD(電源電圧降下)の影響も異なってくる。このような電圧分布の違いがスキュー、ジッタの違いとして現れてくる。
【0027】
図7は動作モードの組み合わせの違いによる影響の一例を示す図である。
図7には、チップ100について、ケース1〜4の動作モードの割合を特定期間内で変化させた場合のIRDの影響を例示している。
図7(A)には、ケース1〜4の割合をいずれも0.25と均等した場合のIRDの影響を示し、
図7(B)にはケース1の割合を0.75、ケース2及びケース3の割合を0.05、ケース4の割合を0.15とした場合のIRDの影響を示している。
図7のように、ケース1〜4の割合が変化すると、チップ100の各クロック信号線が受けるIRDの影響も変化することがわかる。
【0028】
このようにチップ100内部のIRDは、空間的、時間的に様々に変化し得る。そのため、ケース1〜4ごとにIRDを考慮してクロックバッファ140をスキューが縮小されるように配置したとしても、ケース1〜4の組み合わせによって各クロックバッファ140が受けるIRDの影響は異なってくる。その結果、各クロックバッファ140のセル遅延は、個々のクロックバッファ140のコア電源端子とGND端子の電圧差に応じた遅延値を持ち、各クロック信号線のスキューにばらつきが生じ得る。更に、
図8のような静的なIRD(Static-IRD)のほか、動的なIRD(Dynamic-IRD)の影響を考慮すると、設計上、チップ100内部のクロックツリーを、各クロック信号線にクロックバッファ140を挿入することで最適化することは、技術的に困難を伴う。
【0029】
また、
図9は物理層へのクロック信号伝送の一例を示す図、
図10はチップ内部のクロック信号波形の例を示す図である。
チップ100の各物理層130に通じるクロック信号線(クロックツリー)は、そのチップ100内部の様々な回路モジュールの傍を通って配置され得る。クロック信号線は、チップ100内部のコア電源及びGNDに接続された複数のクロックバッファ140をつないだ構成であり、いわば複数のクロックバッファ140がRC伝送路143でつながった構成である。尚、
図9のR
VDD,R
VSSは、それぞれコア電源線201、GND線202の抵抗を示している。
【0030】
一例として、周波数400MHzのクロック信号CLKをDQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aの各物理層130に分配して伝送するクロック信号線について述べる。このようなクロック信号線の傍に、異なる周波数で動作する3つの回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330が配置されているものとする。例えば、回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330の動作周波数はそれぞれ、266MHz、1066MHz、533MHzとする。尚、
図9の各回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330から延びる実線及び点線の矢印は、それらが接続されるコア電源線VDD及びGND線VSSの、クロック信号線への電気的な影響を表している。
【0031】
クロック信号CLKの入力(分岐点)付近の回路モジュール320だけが動作する場合は、
図10(A)のように、DQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aに到達するクロック信号波形の各ジッタ量は同程度になる。ジッタをゼロにすることはできなくとも、同一チャンネルのDQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aの各ジッタ量が同程度であれば、メモリインタフェース回路の設計を行うことはできる。
【0032】
しかしながら、クロック信号線付近に配置された、動作周波数の異なる他の回路モジュール310及び回路モジュール320が動作すると、クロック信号波形は変わってくる。ここでは、回路モジュール310だけ動作した場合の信号波形を
図10(B)に、回路モジュール330だけ動作した場合の信号波形を
図10(C)に、全ての回路モジュール310,320,330が動作した場合の信号波形を
図10(D)に、それぞれ示している。
図10(B)〜(D)に示したように、クロック信号線付近の回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330の動作状況によって、ジッタにばらつきが生じることがわかる。
【0033】
尚、
図10(A)〜(D)には、CACK−PHY132aに入るクロック信号をトリガーとしてDQDQS−PHY131aに入るクロック信号を重ね書きしている。
図11はクロック信号並びにコア電源及びGNDの変動の一例を示す図である。
【0034】
図11には、上記
図9のクロック信号線において、回路モジュール310が10ns付近から動作を開始した場合の、DQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aに入るクロック信号S(細い実線及び点線)、コア電源及びGND(太線)のシミュレーション結果を示している。
図11より、回路モジュール310が動作を開始すると、コア電源電圧が低下し、GND電圧が持ち上がり、それらに引きずられるようにクロック信号Sの波形も変化していっていることがわかる。
【0035】
この
図11には、回路モジュール310が動作した場合を例示したが、チップ100内部では、他の回路モジュール320及び回路モジュール330も含めた動作状況によって、クロック信号、コア電源及びGNDが様々に変化し得る。
【0036】
クロック設計では、複数のクロックバッファ140とそれらのクロックバッファ140をつなぐ伝送路を配置配線して位置を確定するが、その際、回路モジュールの動作の組み合わせをどのようなケースに設定して設計するのかを決定することは難しい。例えば、特定の回路モジュールが1つずつ動作した場合の重ね合わせで設計を行うのか、全ての回路モジュールが動作するとして設計を行うのかによって、得られるクロック信号線の構成(回路トポロジー)は変化し得る。
【0037】
以上述べたように、クロックバッファ140を挿入したクロック信号線がチップ100内部の回路モジュール付近、電力消費する回路モジュール付近を通ることが、クロック信号波形の品質劣化、スキュー、ジッタの増加につながる。チップ100内部でスキューを小さくするために、数多くのクロックバッファ140を挿入したとしても、近傍の回路モジュールが動作した場合のコア電源及びGNDの変動の影響は避けることができない。クロック信号線をコア電源線、GND線でシールドしたとしても、消費電力に応じてIRD(Static及びDynamic)が発生し、IRDに呼応するようにクロック信号波形が歪む(コア電源線、GND線とクロック信号線間の相互インダクタンスと相互容量の結びつき)。
【0038】
そこで、以上のような点に鑑み、次の
図12に示すような構造を採用する。
図12は集積回路装置の構成例を示す図である。
図12(A)には、集積回路装置内部の要素の平面的な配置関係を模式的に図示している。
図12(B)には、集積回路装置の要部断面を模式的に図示している。
【0039】
図12に示す集積回路装置400Aは、チップ100Aと、そのチップ100Aが実装される回路基板(パッケージ基板)410Aとを有している。チップ100A内部には、上記
図1のチップ100と同様に、PLL110、クロックユニット120、及び複数の物理層130(DQDQS−PHY131a、CACK−PHY132a、DQDQS−PHY131b、CACK−PHY132b)が配置されている。そして、このチップ100Aにおいても、PLL110からクロックユニット120へ、更にクロックユニット120から各物理層130へと、クロック信号が伝送される。
【0040】
集積回路装置400Aでは、PLL110とクロックユニット120の間、クロックユニット120と各物理層130の間でクロック信号を伝送するクロック信号線420が、いずれもパッケージ基板410Aに設けられている(
図12(B))。チップ100Aには、パッケージ基板410Aに設けたクロック信号線420にクロック信号を送信するクロックドライバ150、及びクロック信号線420を伝送されてくるクロック信号を受信するクロックレシーバ160が設けられている。
【0041】
パッケージ基板410Aには、クロック信号線420のほか、電源線430及びGND線440が設けられている(
図12(B))。チップ100Aのクロックドライバ150及びクロックレシーバ160はいずれも、このパッケージ基板410Aの電源線430及びGND線440に電気的に接続される。クロックドライバ150及びクロックレシーバ160は、パッケージ基板410Aの電源線430及びGND線440によって直接的に給電されるようになっている。クロックドライバ150及びクロックレシーバ160は、例えば、チップ100Aに設けられて物理層130や回路モジュールに給電するコア電源線及びGND線を介さずに、パッケージ基板410Aの電源線430及びGND線440によって直接的に給電される。また、クロックドライバ150の各端子153,154,155及びクロックレシーバ160の各端子163,164,165と、電源線430及びGND線440並びにクロック信号線420との接続は、例えば、バンプを用いて行うことができる。
【0042】
上記のように、集積回路装置400Aでは、クロック信号線420を、チップ100Aではなく、パッケージ基板410Aに設ける。パッケージ基板410Aにクロック信号線420を設ける場合、クロック信号線420は、チップ100A内部に形成するクロック信号線に比べ、より太幅で、より厚く、形成することができ、低抵抗な伝送路として形成することができる。例えば、パッケージ基板410Aには、銅(Cu)等の配線材料を用い、ミリメートルオーダのクロック信号線420を形成することができる。そのため、クロック信号線420には、上記のチップ100内部に設けたクロック信号線のように、多数のクロックバッファ140を挿入することを要しない。集積回路装置400Aでは、クロック信号の伝送路を、上記のチップ100内部に設けたクロック信号線の場合のようなRC伝送路から、いわばLC伝送路に切り替えた構造になっている。
【0043】
更に、クロック信号線420をパッケージ基板410Aに設けるため、クロック信号線420を伝送されるクロック信号が、チップ100Aの動作、その内部の回路モジュールの動作によるコア電源及びGNDの変動に影響されるのを回避することができる。
【0044】
更にまた、チップ100Aのクロックドライバ150及びクロックレシーバ160への給電は、パッケージ基板410Aの電源線430及びGND線440によって直接的に行われる。そのため、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160、送信及び受信されるクロック信号が、チップ100A内部のコア電源及びGNDの変動に影響されるのを回避することができる。
【0045】
集積回路装置400Aによれば、チップ100A内部のコア電源及びGNDの変動の影響を抑えたクロック信号の伝送が可能になる。それにより、チップ100Aのメモリインタフェース回路(物理層130)へ伝送するクロック信号のスキュー、ジッタを抑えた集積回路装置400Aを実現することが可能になる。
【0046】
以下、集積回路装置の実施例について説明する。
まず、第1実施例について説明する。
図13は第1実施例に係る集積回路装置の説明図である。
図13には、上記
図12に示した集積回路装置400Aのクロック信号伝送路の一例を図示している。
【0047】
図13には、クロックドライバ150から出力されるクロック信号を、2つのクロックレシーバ160に分配して伝送する、パッケージ基板410Aのクロック信号線420、及びその付近の構成例を模式的に図示している。
図13に示すクロック信号伝送路は、例えば、上記
図12(A)のクロックユニット120からDQDQS−PHY131a及びCACK−PHY132aにクロック信号を分配して伝送する部分に適用される。また、上記
図12(A)のクロックユニット120からDQDQS−PHY131b及びCACK−PHY132bにクロック信号を分配して伝送する部分に適用される。
【0048】
図13には、チップ100A内部に設けられるクロックドライバ150及びクロックレシーバ160を、コモンモードノイズに強い差動タイプとした場合の例を示している。この場合、クロック信号線420には、互いに位相が反転したポジティブクロック信号(ポジ信号)とネガティブクロック信号(ネガ信号)をそれぞれ伝送するポジティブクロック信号線(ポジ信号線)421とネガティブクロック信号線(ネガ信号線)422が含まれる。チップ100A内部のクロックドライバ150及びクロックレシーバ160と、パッケージ基板410Aとは、バンプ及びビア等の導電部450を介して電気的に接続される。
【0049】
ポジ信号線421とネガ信号線422を含むクロック信号線420を、
図13のように分岐点を設けて配置する場合には、パッケージ基板410Aの2層を使ってクロック信号線420を設ける。例えば、クロック信号線420の、クロックドライバ150側の端部から分岐点までの信号線部分と、分岐点から一対のクロックレシーバ160側の端部までの信号線部分とを、別々の層に設ける。クロック信号線420のこれら両信号線部分の分岐点での電気的な接続は、ビア等の導電部460によって行う。クロック信号線420の、分岐点から一対のクロックレシーバ160側の端部までの信号線部分と、各クロックレシーバ160との電気的な接続も同様に、ビア等の導電部460によって行う。
【0050】
パッケージ基板410Aには、このようなクロック信号線420と共に、電源線VBUF(電源線430)及びGND線VSS(GND線440)が設けられる。ここでは、プレーン状のGND線VSSをクロック信号線420の下側に配置し、クロック信号線420の左右(パッケージ基板410Aの平面方向の左右)に電源線VBUFを配置した場合を例示している。電源線VBUF及びGND線VSSは、パッケージ基板410A内に設けられる電源線及びGND線と電気的に接続され、それらと同電位とされる。クロック信号線420の周辺に配置する電源線VBUF及びGND線VSSは、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160に直接的に給電する給電線としての役割のほか、クロック信号線420を電磁的にシールドする役割を果たす。
【0051】
尚、分岐点の無いクロック信号線の場合、例えば、上記
図12(A)のPLL110からクロックユニット120にクロック信号を伝送する部分のクロック信号線420のような場合には、パッケージ基板410Aの1層にポジ信号線及びネガ信号線を設ければよい。この場合、電源線VBUF及びGND線VSSは、例えば、そのような分岐点の無いクロック信号線を左右(パッケージ基板410Aの平面方向の左右)から或いは上下(パッケージ基板410Aの厚さ方向の上下)から挟むようにして設けることができる。
【0052】
次に、第2実施例について説明する。
図14は第2実施例に係る集積回路装置の説明図である。
図14(A)は第2実施例に係る集積回路装置の構成例を示す図、
図14(B)は第2実施例に係る集積回路装置における処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
【0053】
図14(A)には、多電源設計技術を用いて得られる集積回路装置400Bを例示している。集積回路装置400Bは、パワードメインPD1、クロックドライバ150、パワードメインPD2、クロックレシーバ160、及びパッケージ基板410Bを有している。パワードメインPD1、クロックドライバ150、パワードメインPD2及びクロックレシーバ160は、パッケージ基板410Bに実装されるチップ100Bの内部に設けられる。
【0054】
パッケージ基板410Bは、ポジ信号線421とネガ信号線422を含むクロック信号線420、電源線430及びGND線440を含む。クロック信号線420は、電源線430の一部(電源線VBUF)とGND線440(GND線VSS)の間に配置される。
【0055】
パワードメインPD1は、複数のクロックバッファ171を含むクロック信号線を含み、それらのクロックバッファ171には、パッケージ基板410Bの電源線430及びGND線440によって給電が行われる。電源線430とクロックバッファ171とをつなぐ電源供給線180には、パワースイッチPSW1が設けられており、パワースイッチPSW1のオンオフによってクロックバッファ171(パワードメインPD1)に対する電源の供給と遮断が切り換えられる。パワースイッチPSW1のオンオフは、パワーオン信号PON1によって制御される。パワードメインPD1の最終段のクロックバッファ171から出力されるクロック信号が、クロックドライバ150に入力される。
【0056】
クロックドライバ150には、パッケージ基板410Bの電源線VBUF(電源線430)及びGND線VSS(GND線440)によって給電が行われる。クロックドライバ150から出力されるクロック信号(ポジ信号CLKP及びネガ信号CLKN)は、パッケージ基板410Bのクロック信号線420(ポジ信号線421及びネガ信号線422)を伝送され、クロックレシーバ160に入力される。
【0057】
クロックレシーバ160には、パッケージ基板410Bの電源線VBUF(電源線430)及びGND線VSS(GND線440)によって給電が行われる。クロックレシーバ160から出力されるクロック信号は、パワードメインPD2に入力される。
【0058】
パワードメインPD2は、複数のクロックバッファ172を含むクロック信号線を含み、それらのクロックバッファ172には、パッケージ基板410Bの電源線430及びGND線440によって給電が行われる。電源線430とクロックバッファ172とをつなぐ電源供給線190には、パワースイッチPSW2が設けられており、パワースイッチPSW2のオンオフによってクロックバッファ172(パワードメインPD2)に対する電源の供給と遮断が切り換えられる。パワースイッチPSW2のオンオフは、パワーオン信号PON2によって制御される。パワードメインPD2の初段のクロックバッファ172に、クロックレシーバ160から出力されるクロック信号が入力される。
【0059】
集積回路装置400Bでは、システム側からの要求に基づき、パワードメインPD1の電源の供給と遮断がパワースイッチPSW1で切り換えられ、パワードメインPD2の電源の供給と遮断がパワースイッチPSW2で切り換えられる。パワースイッチPSW1及びパワースイッチPSW2のオンオフを適切に制御することで、電力消費の削減を図ることが可能になる。
【0060】
更に、この集積回路装置400Bは、次のような利点を有している。
例えば、
図14(B)のように、パワードメインPD2側のパワースイッチPSW2がオフ、即ちパワーオン信号PON2がLowになり、続いてパワードメインPD1側のパワースイッチPSW1がオフ、即ちパワーオン信号PON1がLowになる場合を想定する。そして、その後、パワードメインPD2側のパワースイッチPSW2がオン、即ちパワーオン信号PON2がHighになり、続いてパワードメインPD1側のパワースイッチPSW1がオン、即ちパワーオン信号PON1がHighになる場合を想定する。
【0061】
パワースイッチPSW2がオフになり、パワースイッチPSW1がオフになると、パワースイッチPSW1からパワードメインPD1の最終段のクロックバッファ171までの電源供給線180(二次側電源供給線182)は0Vになる。そのため、差動のクロックドライバ150の入力は、Lowの固定信号となる。クロックドライバ150には、パワースイッチPSW1がオフになった後も電源線VBUFから電源が供給され続けるため、クロックドライバ150の出力は、ポジ信号CLKPとネガ信号CLKNの状態が固定される。よって、
図14(B)のように、パワードメインPD2がパワードメインPD1よりも先に立ち上がった際に、パワースイッチPSW1がオフになった時のポジ信号CLKPとネガ信号CLKNの状態を保持することが可能になる。
【0062】
このように、第2実施例に係る集積回路装置400Bでは、クロック信号線420を、チップ100B内部ではなく、パッケージ基板410Bに設ける。更に、チップ100B内部に設けるクロックドライバ150及びクロックレシーバ160には、パッケージ基板410Bの電源線VBUF(電源線430)及びGND線VSS(GND線440)によって直接的に給電を行う。これにより、チップ100B内部のコア電源及びGNDの変動の影響を抑えたクロック信号の伝送が可能になる。
【0063】
また、この第2実施例に係る集積回路装置400Bでは、パワードメインPD1の電源遮断後もクロックドライバ150に給電が行われるようにすることで、電源遮断時のクロック信号の状態が保持される。これにより、パワードメインPD2の電源がパワードメインPD1よりも先に復帰した時には、パワードメインPD1の電源遮断時の状態でクロック信号がパワードメインPD2に入力され、パワードメインPD2側の論理的な誤動作を抑えることが可能になる。
【0064】
尚、集積回路装置400Bでは、パッケージ基板410Bの電源線430を、電源供給線180及び電源供給線190と接続される配線部431と、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160に接続される配線部432(電源線VBUF)とに分けている。そして、これらの配線部431と配線部432の間を、それらよりも細い配線部433によって接続している。
【0065】
電源線430をこのような構造とすることで、電気的には配線部431と配線部432を同電位とし、高周波的には配線部431と配線部432の間のインピーダンス(jωL(j:虚数単位、ω:角周波数、L:インダクタンス))を高める。これにより、パワードメインPD1及びパワードメインPD2を含むチップ100B内部のコア電源及びGNDの変動が、電源供給線180及び電源供給線190を経由して電源線VBUF(配線部432)に伝わるのを抑えることが可能になる。その結果、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160を、チップ100B内部のコア電源及びGNDの変動の影響を抑えて動作させることが可能になる。
【0066】
次に、上記第2実施例のような構成を有する集積回路装置400Bを製造する際に適用可能な試験方法を、第3実施例として説明する。
図15は第3実施例に係る試験方法の説明図である。
【0067】
上記の集積回路装置400Bでは、パワードメインPD1、クロックドライバ150、パワードメインPD2及びクロックレシーバ160をチップ100Bに設け、クロック信号線420、電源線430及びGND線440をパッケージ基板410Bに設ける。このような集積回路装置400Bでは、パッケージ基板410Bでクロック信号の伝送、給電を行う。そのため、チップ100Bとパッケージ基板410Bを電気的に接続する前の段階では、チップ100B単体の試験(PT(Primary Test)試験)を行うために、例えば、
図15に示すような試験装置600を用いた試験方法を用いる。
【0068】
即ち、チップ100B側のクロックドライバ150の端子151及び端子152と、クロックレシーバ160の端子161及び端子162の間を、プローブ611及び2芯同軸ケーブル610で接続する。このプローブ611及び2芯同軸ケーブル610によってクロック信号のポジ信号CLKP及びネガ信号CLKNを伝送させる。更に、クロックドライバ150の電源側の端子153、及びパワードメインPD1の電源側の端子101には、VDD電位のプローブ620を接続する。クロックドライバ150のGND側とパワードメインPD1のGND側の共通の端子154には、VSS電位のプローブ630を接続する。同様に、クロックレシーバ160の電源側の端子163、及びパワードメインPD2の電源側の端子102には、VDD電位のプローブ640を接続する。クロックレシーバ160のGND側とパワードメインPD2のGND側の共通の端子164には、VSS電位のプローブ650を接続する。
【0069】
このような試験装置600を用い、チップ100Bの出力信号を測定することで、上記
図14に示したようなパッケージ基板410Bと電気的に接続する前のチップ100B単体の試験を行うことが可能になる。
【0070】
次に、シングルエンドによるクロック信号伝送を行う集積回路装置を、第4実施例として説明する。
図16は第4実施例に係る集積回路装置の説明図である。
【0071】
図16には、シングルエンドによるクロック信号伝送を行う集積回路装置400Cの一例を図示している。集積回路装置400Cのチップ100C側には、シングルエンドのクロック信号を出力するクロックドライバ150、及びシングルエンドのクロック信号を入力するクロックレシーバ160が設けられる。パッケージ基板410Cには、クロックドライバ150から出力され、クロックレシーバ160に入力されるシングルエンドのクロック信号を伝送するクロック信号線420が設けられる。クロック信号線420は、パッケージ基板410Cに設けられる電源線430の一部(電源線VBUF)とGND線440(GND線VSS)の間に配置配線される。第4実施例に係る集積回路装置400Cは、このような点で、上記第2実施例に係る集積回路装置400Bと相違する。
【0072】
続いて、第4実施例に係る集積回路装置のシミュレーションについて述べる。
図17は第4実施例に係るシミュレーションに用いた回路の模式図である。
シミュレーションに用いる伝送路は、周波数400MHzのクロック信号CLKを分岐点DからDQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aの各物理層130に分配する伝送路である。分岐点DからDQDQS−PHY131aの間、分岐点DからCACK−PHY132aの間の伝送路にそれぞれ、クロック信号線420で接続されたクロックドライバ150及びクロックレシーバ160を設ける。
【0073】
クロックドライバ150及びクロックレシーバ160には、パッケージ基板410C側の電源線VDD(電源線430)及びGND線VSS(GND線440)によって直接的に給電を行う。尚、
図17のL
VDD#PKG及びL
VSS#PKGは、パッケージ基板410Cの電源線VDD及びGND線VSSのインダクタンスを示している。電源線VDD(VBUF)及びGND線VSSは、クロック信号線420の傍に、それを挟むようにして配置される。
【0074】
パッケージ基板410Cの電源線VDD及びGND線VSSは、チップ100C側に設ける電源網M(コア電源線201及びGND線202)に対しても給電を行う。尚、
図17のR
VDD,R
VSSは、それぞれコア電源線201、GND線202の抵抗を示している。チップ100C内部には、その電源網Mに接続された、異なる周波数で動作する3つの回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330を設ける。回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330の動作周波数はそれぞれ、266MHz、1066MHz、533MHzとする。尚、
図17の各回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330から延びる実線及び点線の矢印は、それらの、コア電源線201及びGND線202への電気的な影響を表している。
【0075】
図18は第4実施例に係るシミュレーション結果の一例である。
図18には、上記
図17の回路で、回路モジュール310が10ns付近から動作を開始した場合の、DQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aに入るクロック信号A(実線)、コア電源及びGNDのシミュレーション結果の一例を示している。
【0076】
また、
図18には、上記
図17の回路におけるクロック信号線420をチップ100C側に設け、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160にチップ100Cの電源網Mで給電する回路(比較回路)でシミュレーションを行った結果も併せて示している。
図18には、このような比較回路で、回路モジュール310が10ns付近から動作を開始した場合の、DQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aに入るクロック信号B(点線)、コア電源及びGNDのシミュレーション結果の一例を示している。
【0077】
図18のように、チップ100C内部のコア電源及びGNDは、回路モジュール310の動作に伴ってIRD(静的及び動的なIRD)が発生する。即ち、コア電源は低下していき、GNDは持ち上がっていく。このとき、比較回路のクロック信号Bは、チップ100C内部のコア電源及びGNDの変動の影響を受けて、その信号波形が変化してしまう。一方、クロック信号Aは、チップ100C内部のコア電源及びGNDの変動の影響を回避して、ほぼ0V〜0.1Vのフルスイング動作をしている。クロック信号線420をパッケージ基板410C側に設け、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160にパッケージ基板410C経由で直接的に給電を行うことで、チップ100C内部のコア電源及びGNDの変動の影響を抑えることができるようになる。
【0078】
続いて、DQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号の比較について述べる。
図19は集積回路装置の説明図であって、(A)は第1比較例に係る集積回路装置の模式図、(B)は第2比較例に係る集積回路装置の模式図、(C)は第4実施例に係る集積回路装置の模式図である。
【0079】
図19(A)の集積回路装置400Dでは、チップ100D内部にコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHに接続されたクロックドライバ(TX)150及びクロックレシーバ(RX)160が設けられている。クロック信号線420は、パッケージ基板410Dに設けられている。コア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHは、パッケージ基板410Dの電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSにそれぞれ接続され、電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSによって給電が行われる。コア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHには、回路モジュール340及びデカップリングコンデンサ350が接続されている。回路モジュール340は、ここではコア電源のノイズ源となるものとする。
【0080】
図19(B)の集積回路装置400Eでは、クロックドライバ150とクロックレシーバ160の間のクロック信号線420が、チップ100E内部に設けられている。集積回路装置400Eのクロック信号線420は、複数のクロックバッファ423をつないだ構成を有しており、複数のクロックバッファ423は、コア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHに接続されている。パッケージ基板410Eにクロック信号線は設けられない。その他の構成は、上記
図19(A)の集積回路装置400Dと同様である。
【0081】
図19(C)の集積回路装置400Fでは、チップ100F内部のクロックドライバ150及びクロックレシーバ160に、パッケージ基板410Fの電源線PKG_VDD(VBUF)及びGND線PKG_VSSによって直接的に給電が行われる。その他の構成は、上記
図19(A)の集積回路装置400Dと同様である。
【0082】
このような集積回路装置400D、集積回路装置400E及び集積回路装置400Fを、上記
図17と同様にクロック信号を分岐点からDQDQS−PHYとCACK−PHYに分配する伝送路に適用した場合の、DQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号を比較する。クロック信号の比較は、シミュレーションにより行う。
【0083】
図20はDQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号を比較した図であって、(A)は第1比較例に係る集積回路装置のクロック信号を比較した図、(B)は第2比較例に係る集積回路装置のクロック信号を比較した、(C)は第4実施例に係る集積回路装置のクロック信号を比較した図である。
【0084】
集積回路装置400Dを用いた場合には、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160に、チップ100D内部のコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHによって給電が行われる。そのため、回路モジュール340によって電源変動(ノイズ)が生じると、その電源変動の影響がコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHを通じてクロックドライバ150及びクロックレシーバ160にも伝わる。その結果、
図20(A)に示すように、DQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号には、電源変動に伴うジッタが発生する。
図20(A)には、106psのジッタJ1が発生している信号波形の例を示している。
【0085】
集積回路装置400Eを用いた場合には、クロック信号線420が、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160と共に、チップ100E内部に設けられる。そして、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160、並びにクロック信号線420の複数のクロックバッファ423に、チップ100E内部のコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHによって給電が行われる。そのため、回路モジュール340によって電源変動(ノイズ)が生じると、その電源変動の影響がコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHを通じてクロックドライバ150及びクロックレシーバ160、クロック信号線420にも伝わる。その結果、
図20(B)に示すように、DQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号には、電源変動に伴う、
図20(A)の場合よりも大きなジッタが発生する。
図20(B)には、225psのジッタJ2が発生している信号波形の例を示している。
【0086】
これに対し、集積回路装置400Fを用いた場合には、クロック信号線420がパッケージ基板410F側に設けられる。そして、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160には、パッケージ基板410Fの電源線PKG_VDD(VBUF)及びGND線PKG_VSSによって直接的に給電が行われる。そのため、回路モジュール340によって電源変動(ノイズ)が生じても、その電源変動の影響がクロックドライバ150及びクロックレシーバ160に伝わるのが抑えられる。その結果、
図20(C)に示すように、DQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号に発生するジッタを、
図20(A),(B)の場合に比べて、小さく抑えることができる。
図20(C)には、ジッタJ3が37psに抑えられている信号波形の例を示している。
【0087】
集積回路装置400Eを用いた
図20(B)の例では、クロック信号が比較的大きなばらつきを示す。これは前述のように、集積回路装置400Eでは、複数のクロックバッファ423がチップ100E内部に配置されている。そのため、各クロックバッファ423の、コア電源を揺らしている回路モジュール340からの位置によって、受けるノイズ量が異なってくる。更に、各クロックバッファ423の、チップ100Eのコア電源端子及びGND端子(パッケージ基板410Eとの接続点)の位置からの距離によって静的なIRDが異なってくる。このようなことから、各クロックバッファ423のノイズ量、IRD量の累積が、ジッタ量の違いとして見えているものである。
【0088】
集積回路装置400Dや集積回路装置400Fのように、パッケージ基板410Dやパッケージ基板410Fにクロック信号線420を設けると、クロックバッファを減らせ、原理的にコア電源のノイズや静的なIRDの累積効果を少なくできる。集積回路装置400Dよりも集積回路装置400Fを用いた場合の方がジッタを小さくできるのは、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160に、パッケージ基板410Fの電源線PKG_VDD(VBUF)及びGND線PKG_VSSによって直接的に給電を行うためである。
【0089】
次に、差動クロック信号伝送を行う集積回路装置を、第5実施例として説明する。
図21は第5実施例に係る集積回路装置の説明図である。
図21には、第5実施例に係る集積回路装置の回路図の一例を示している。
【0090】
集積回路装置400Gは、
図21に示すように、クロックドライバ(TX)150とクロックレシーバ(RX)160に、パッケージ基板410Gの電源線PKG_VDD(VBUF)及びGND線PKG_VSSによって直接的に給電が行われる。クロックドライバ150から出力され、クロックレシーバ160に入力されるクロック信号(ポジ信号CLKP及びネガ信号CLKN)を伝送するクロック信号線420(差動ペア配線)は、パッケージ基板410Gに設けられる。クロック信号線420は、パッケージ基板410Gにおいて、電源線VBUFとGND線PKG_VSSに挟まれて設けられる。
【0091】
パッケージ基板410Gの電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSは、チップ100G内部のIOセルVDD_IO及びIOセルVSS_IOを介して、コア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHに接続されている。そして、コア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHに接続されたクロックバッファ173から出力されるクロック信号が、クロックドライバ150に入力される(IN)。クロックドライバ150から出力されるクロック信号(OUTP,OUTN)は、パッケージ基板410Gのクロック信号線420を伝送され、クロックレシーバ160に入力される(INP,INN)。クロックレシーバ160から出力されるクロック信号は、DQDQS−PHYやCACK−PHY等に入力される(OUT)。
【0092】
図22は第5実施例に係る集積回路装置の構成例を示す図である。
図22には、第5実施例に係る集積回路装置の要部断面の一例を模式的に示しており、
図21のような回路を適用した集積回路装置の構成例をより具体的に示している。
【0093】
集積回路装置400Gは、チップ100Gと、チップ100Gが実装されたパッケージ基板410Gを有する。チップ100Gは、エリアバンプ等のバンプ470を用いてパッケージ基板410Gに電気的に接続される。パッケージ基板410Gには、クロック信号線420(CLKP/CLKN)のほか、電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSが設けられ、それらから引き出した端子に、集積回路装置400Gの外部接続に用いるバンプ480が接続される。
【0094】
チップ100G内部には、パッケージ基板410Gの電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSによって直接的に給電される、クロックドライバ150(TX1,TX2)及びクロックレシーバ160(RX1,RX2)が設けられる。クロック信号CLKは、入力後、TX1側とTX2側のクロックドライバ150に分岐され、それぞれクロック信号線420を経由してRX1側とRX2側のクロックレシーバ160に伝送される。例えば、RX1側のクロックレシーバ160から出力されるクロック信号は、DQDQS−PHY131aに入力され、RX2側のクロックレシーバ160から出力されるクロック信号は、CACK−PHY132aに入力される。
【0095】
また、チップ100G内部には、それぞれ所定の周波数で動作する、例えば3つの回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330が設けられる。これらの回路モジュール310、回路モジュール320、回路モジュール330、及び上記のDQDQS−PHY131a及びCACK−PHY132aは、チップ100G内部のコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHによって給電される。コア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHには、デカップリングコンデンサ350が接続される。尚、
図22において断続的に図示したコア電源網VDD_MESHは、電気的につながった構成を有しており、断続的に図示したGND網VSS_MESHは、電気的につながった構成を有している。
【0096】
集積回路装置400Gでは、チップ100G内部のコア電源網VDD_MESH及びGND網VSS_MESHの変動は、デカップリングコンデンサ350によって高周波ノイズがカットされる。そのため、パッケージ基板410Gの電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSが、チップ100G内部のコア電源及びGNDの変動の影響を受け難くなる。その結果、クロックドライバ150(TX1,TX2)及びクロックレシーバ160(RX1,RX2)を、チップ100G内部のコア電源及びGNDの変動の影響を回避して安定的に動作させることができる。
【0097】
図23は第5実施例に係るシミュレーション結果の一例であって、(A)は差動クロック信号とコア電源及びGNDの関係を示す図、(B)はDQDQS−PHYとCACK−PHYに入力されるクロック信号を比較した図である。
【0098】
図23(A)には、クロックドライバ150から出力されるクロック信号C(ポジ信号及びネガ信号)、クロックレシーバ160から出力されるクロック信号D、チップ100G内部のコア電源及びGNDのシミュレーション結果の一例を示している。
図23(A)のように、チップ100G内部のコア電源及びGNDは、例えば回路モジュール310の動作により、10ns付近から変動し始める。このように、チップ100G内部のコア電源の低下、GNDの上昇が発生した場合でも、クロックドライバ150から出力されるクロック信号C、クロックレシーバ160から出力されるクロック信号Dの変動は抑えられる。
【0099】
図23(B)には、DQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aに入力されるクロック信号E(クロックレシーバ160の出力)のシミュレーション結果の一例を示している。
図23(B)より、DQDQS−PHY131aとCACK−PHY132aに入力されるクロック信号に発生するジッタは、小さく抑えられている。
図23(B)の例では、ジッタの変動が、上記第4実施例の
図20(C)で述べた例のジッタの変動に比べ、わずかに大きくなっている。一方、この第5実施例に係る集積回路装置400Gは、差動クロック信号伝送であり、コモンモードノイズに比較的強く、小信号振幅であるため反射の影響を受け難いことが、
図23(B)の信号波形から読み取れる。
【0100】
この第5実施例のような差動のクロック信号伝送を用いるか、上記第4実施例のようなシングルエンドのクロック信号伝送を用いるかは、例えば、データレートの観点から決めることができる。つまり、第4実施例のようなシングルエンドのクロック信号伝送の場合、フルスイング動作の信号波形において、反射の影響によるオーバーシュート、アンダーシュートが発生する。このようなオーバーシュート、アンダーシュートが、サイクルタイムに対して変動が無視できないほど高周波(1.3Gbps以上)になった場合に、差動のクロック信号伝送を採用するとよい。1.3Gbpsより低いデータレートにおいては、シングルエンドのクロック信号伝送を採用することで十分である。
【0101】
次に、第6実施例について説明する。
図24は第6実施例に係る集積回路装置の説明図である。
図24に示す集積回路装置400Hは、上記第1〜第5実施例と同様に、チップ100H内部に設けられたクロックドライバ150、クロックレシーバ160を有している。このほか、チップ100Hは、パワードメインPD1及びパワードメインPD2、これらの電源側にパワースイッチPSW1及びパワースイッチPSW2を介して接続されたIOセルVDD_IO並びに、GND側に接続されたIOセルVSS_IOを含む。チップ100Hには、再配線技術を利用して、クロック信号線420並びに、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160に直接的に給電を行う電源線VBUF及びGND線VSSを設けた層(インタポーザ)490が形成されている。
【0102】
このようなインタポーザ490が形成されたチップ100Hが、その内部のコア電源網及びGND網に給電を行う電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSを設けたパッケージ基板410Hに、ワイヤ500で電気的に接続され、実装されている。ワイヤ500を接続するためのチップ100Hのパッドは、インタポーザ490に、クロック信号線420、電源線VBUF及びGND線VSSと共に形成することができる。インタポーザ490の電源線VBUF及びGND線VSSは、パッケージ基板410Hの電源線PKG_VDD及びGND線PKG_VSSに、ワイヤ510で電気的に接続されている。
【0103】
インタポーザ490のクロック信号線420、電源線VBUF及びGND線VSSは、チップ100H上に比較的厚いCu等の配線材料を形成し、それをパターニングすることで形成することができる。
図24には、シングルエンドのクロック信号伝送を行うクロック信号線420を例示している。電源線VBUF及びGND線VSSは、クロック信号線420を挟むパターン部521a及びパターン部522aと、これらに接続されてパッケージ基板とワイヤ510で接続されるパターン部521b及びパターン部522bを有する形状とされている。チップ100H上のクロック信号線420、電源線VBUF及びGND線VSSは、クロックドライバ150及びクロックレシーバ160の各端子に接続されるように形成される。
【0104】
この集積回路装置400Hのように、クロック信号線、電源線VBUF及びGND線VSSは、パッケージ基板のほか、チップ上に再配線技術を利用して形成するインタポーザ内に設けることもできる。これにより、ワイヤボンディング方式でパッケージ基板に実装するチップに対しても、その内部のコア電源及びGNDの変動の影響を抑えたクロック信号伝送が実現可能になる。
【0105】
以上説明したように、集積回路装置において、パッケージ基板に実装されるチップの内部にクロックドライバ及びクロックレシーバを設け、それらの間でクロック信号を伝送するクロック信号線を、チップを実装するパッケージ基板やチップ上に形成するインタポーザに設ける。そして、チップ内部のクロックドライバ及びクロックレシーバには、パッケージ基板の電源線及びGND線によって直接的に給電を行う。このような構成を有する集積回路装置によれば、チップ内部のコア電源及びGNDの変動の影響を回避して、インタフェース回路へ伝送するクロック信号のスキュー、ジッタを抑えることが可能になる。
【0106】
例えば、LP−DDR2メモリのデータレートは、近年、800Mbps、1066MBpsと高まる傾向にある。スマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)に代表される端末は、メモリの転送レートが高速であること、低電力であることが要望されている。PoPタイプで実装されるメモリデバイスの場合、そのボールアサインの仕様から、SoCのようなチップの外周部にメモリインタフェース回路が配置される。これまでは、このようなインタフェース回路の配置のために、クロックツリーをチップ内部の高速な回路モジュールやCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)の傍を引き回して配置するという設計手法が採用されてきた。その結果、チップ外周部のインタフェース回路へ伝送するクロック信号のスキュー、ジッタを抑えることが難しかった。
【0107】
図25はLP−DDR2メモリのデータレートと要求されるジッタの関係の一例を示す図である。また、
図26はジッタの広がりについての説明図である。
図25に示すように、LP−DDR2メモリとデータをやり取りするためのメモリインタフェース回路を有するチップの、そのメモリインタフェース回路に伝送されるクロック信号のジッタの要求値は、データレートの増加に伴って小さくなる傾向がある。特に、データレートが800Mbpsを超える辺りからは、非常に厳しいジッタが要求されている。
【0108】
これに対し、上記の例のように、チップ内部にクロックバッファ及びクロックレシーバを設け、そのチップが実装されるパッケージ基板にクロック信号線を設け、更に、クロックドライバ及びクロックレシーバへの給電をパッケージ基板から直接的に行う。このような回路(Y)を採用することにより、チップ内部でクロック信号線を引き回す回路(X)に比べて、チップ内部のコア電源及びGNDの変動の影響を回避し、ジッタを抑えたクロック信号伝送を安定的に実現することが可能になる。例えば、
図26に示すように、チップ内部でクロック信号線を引き回す回路Xの場合に120ps程度のジッタの広がりが認められるところ、上記回路Yを採用することにより、ジッタの広がりを20ps程度に抑えることが可能になる。上記構成によれば、チップ内部のコア電源及びGNDの変動に強い集積回路装置の設計が可能になる。
【0109】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 半導体素子と、
前記半導体素子に電気的に接続された回路基板と
を含み、
前記半導体素子は、
第1クロック信号を出力する第1回路部と、
前記第1回路部から出力された前記第1クロック信号を入力する第2回路部と
を有し、
前記回路基板は、
前記第1回路部から出力された前記第1クロック信号を前記第2回路部に伝送するクロック信号線と、
前記第1回路部及び前記第2回路部に給電する第1電源線及び第1グランド線と
を有し、
前記第1回路部及び前記第2回路部が、前記第1電源線及び前記第1グランド線によって直接的に給電される
ことを特徴とする集積回路装置。
【0110】
(付記2) 前記第1回路部は、第1電源端子、第1グランド端子、及び前記第1クロック信号の出力端子を有し、
前記第2回路部は、第2電源端子、第2グランド端子、及び前記第1クロック信号の入力端子を有し、
前記第1電源端子及び前記第2電源端子に前記第1電源線が直接的に接続され、
前記第1グランド端子及び前記第2グランド端子に前記第1グランド線が直接的に接続され、
前記出力端子及び前記入力端子に前記クロック信号線が直接的に接続される
ことを特徴とする付記1に記載の集積回路装置。
【0111】
(付記3) 前記半導体素子は、第2電源線及び第2グランド線を有し、
前記第1回路部及び前記第2回路部が、前記第2電源線及び前記第2グランド線を介さずに、前記第1電源線及び前記第1グランド線によって給電される
ことを特徴とする付記1又は2に記載の集積回路装置。
【0112】
(付記4) 前記第1電源線と前記第2電源線とは、電気的に接続され、同電位とされることを特徴とする付記3に記載の集積回路装置。
(付記5) 前記第1電源線は、
第1配線部と、
前記第1配線部に並設される第2配線部と、
前記第1配線部及び前記第2配線部に接続され、前記第1配線部及び前記第2配線部よりも細い第3配線部と
を含むことを特徴とする付記4に記載の集積回路装置。
【0113】
(付記6) 前記半導体素子は、前記第2電源線及び前記第2グランド線によって給電される第3回路部を有し、
前記第3回路部は、前記第2回路部から出力される第2クロック信号を入力することを特徴とする付記3乃至5のいずれかに記載の集積回路装置。
【0114】
(付記7) 前記半導体素子は、前記第2電源線及び前記第2グランド線によって給電される第3回路部を有し、
前記第3回路部は、前記第2回路部から出力される第2クロック信号とは異なる第3クロック信号を入力することを特徴とする付記3乃至5のいずれかに記載の集積回路装置。
【0115】
(付記8) 前記半導体素子は、前記第2電源線と前記第2グランド線に接続された容量素子を有することを特徴とする付記3乃至7のいずれかに記載の集積回路装置。
(付記9) 前記クロック信号線は、前記第1電源線と前記第1グランド線の間に挟まれて配置されることを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の集積回路装置。
【0116】
(付記10) 前記第1クロック信号は、互いに位相が反転したポジティブクロック信号とネガティブクロック信号とを含み、
前記クロック信号線は、前記ポジティブクロック信号を伝送するポジティブクロック信号線と、前記ネガティブクロック信号を伝送するネガティブクロック信号線とを含む
ことを特徴とする付記9に記載の集積回路装置。
【0117】
(付記11) 前記第1電源線及び前記第1グランド線にそれぞれ電気的に接続された第3電源線及び第3グランド線を有する基板を含むことを特徴とする付記1に記載の集積回路装置。
【0118】
(付記12) 前記第1電源線と前記第3電源線、及び前記第1グランド線と前記第3グランド線は、それぞれワイヤボンディングによって電気的に接続されていることを特徴とする付記11に記載の集積回路装置。
【0119】
(付記13) クロック信号を出力する第1回路部と、前記第1回路部から出力された前記クロック信号を入力する第2回路部とを含み、前記第1回路部が、第1電源端子、第1グランド端子、及び前記クロック信号の出力端子を有し、前記第2回路部が、第2電源端子、第2グランド端子、及び前記クロック信号の入力端子を有する半導体素子の試験方法であって、
前記第1電源端子及び前記第2電源端子に電源電位の第1プローブを接続し、
前記第1グランド端子及び前記第2グランド端子にグランド電位の第2プローブを接続し、
前記出力端子と前記入力端子を導線で接続し、
前記半導体素子の出力信号を測定する
ことを特徴とする試験方法。
【0120】
(付記14) 前記導線に同軸ケーブルを用いることを特徴とする付記13に記載の試験方法。