(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂層と同じ厚さ又は前記樹脂層より薄い厚さのダミー粘着層を前記樹脂層と前記外周シールとの間に形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
前記基板貼り合せユニットを大気中で加熱して前記樹脂層を軟化させマザー基板に密着させることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
前記封止基板となる側のマザー基板の表面にフィルム状またはシート状に形成された樹脂組成物を貼り付けて前記樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
前記封止基板となる側のマザー基板上に熱硬化型のシール剤を塗布して前記外周シールを形成すること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
前記基板貼り合せユニットをスクライブラインに沿って切断した後、前記ダミー粘着層を除去することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
前記第二電極の上に組成の異なる複数の膜を積層して前記パッシベーション層を形成すること特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、広視野角、応答速度が速い、低消費電力などの利点から、ブラウン管や液晶ディスプレイに替わるフラットパネルディスプレイとして期待されている。
有機EL素子は、少なくともどちらか一方が透光性を有する二つの電極層(陽極層と陰極層)の間に有機発光媒体層を有する構造であり、両電極間に電圧を印可し電流を流すことにより有機発光媒体層で発光が生じる自発光型の表示素子である。
【0003】
このような有機EL素子は、大気中の水分や酸素の影響により劣化しやすいという問題がある。このため、乾燥剤を内包した金属缶やガラスキャップで有機EL素子を覆うことで大気から遮断する方法が一般的に用いられているが、このような方法では、機械的強度が弱い、大型化が困難、加工コストが高くなるなどのデメリットがある。そこで、有機EL素子が形成された素子基板と封止基板との間に樹脂層を形成し、この樹脂層により有機EL素子を固体封止する方法が提案されている。
このような固体封止においては、封止性能を維持するために樹脂層を数ミクロンの厚みギャップにて均一維持する必要があり、また気泡の混入は発光の妨げとなるだけでなく、有機EL素子の劣化要因となるため、気泡レスでの貼り合せが必要である。
【0004】
封止基板と素子基板とを均一なギャップで貼り合せる手法の一例として、フィルム状の接着シートを樹脂層として用い、この接着シートにより封止基板と素子基板とをラミネートする方法が近年試みられている。この方法に用いられる接着シートは両面にセパレータ基材が貼付されており、片面のセパレータ基材を剥がして封止基板上に貼り付けた後、もう一方のセパレータ基材を剥がして、有機EL素子が形成された素子基材に貼り付けることで有機EL素子を樹脂層によって封止することができる。
【0005】
素子基板と封止基板との間に有機EL素子を樹脂封止する際には、樹脂中に気泡が混入しないようにする必要がある。そこで、特許文献1や特許文献2には、素子基板と封止基板を真空中で貼り合せて気泡の混入を防止する技術が記載されている。
しかしながら、
図5に示すように、真空中で貼り合わされた素子基板14と封止基板15を基板貼り合せユニット10として大気中に取り出し、取り出されたユニット10の樹脂層12を硬化させる際に、樹脂層12が硬化するまでの間に枠状シール13に破け(以降、シールパスと呼ぶ)が発生すると、樹脂層12の内部や基板との界面に大気が流入するため、特許文献1に記載された技術では、気泡の混入を防止できないケースが生じる場合がある。
【0006】
一方、特許文献2に記載された技術では、枠状シール13の外側に設けた外周シール11によって枠状シール13の内側に大気が流入することを防止することが可能であるが、樹脂層12として熱圧着して貼り付けるタイプの接着シートを用いると、常温では接着シートが基板と完全になじまないので、基板を加熱して接着シートを軟化させて基板となじませる必要がある。この場合、基板貼り合せユニット10を加熱して樹脂層12を硬化させると、基板貼り合せユニット10の外周シール11と枠状シール13との間は負圧であるため、樹脂からなる外周シール11の粘度が加熱に伴い下がることによって、外周シール11が基板貼り合せユニット10の内部に引き込まれる力(大気圧)を受け、シールパスが発生する。そのため、基板貼り合せユニット10を加熱する前に枠状シール13を硬化させておく必要がある。
【0007】
枠状シール13や外周シール11にUV硬化型の接着剤を用いれば、基板貼り合せユニット10を加熱することなくシール硬化が可能である。しかし、樹脂層12としてUV硬化型の接着シートを使用する場合、樹脂層12も一緒にUV硬化すると、樹脂層12を貼り合せた側の基板になじまなくなるため、気泡が発生する。そのため、樹脂層部分を遮光する必要があるが、封止基板等から導波した微弱なUV光によりUV硬化型の接着シートが反応して硬化が進んでしまう場合がある。
【0008】
この場合、外周シール11に熱硬化型のシール材を用いればよいが、熱硬化時にシール材の粘度が下がり、シールパスが発生する。シールパスを防止するために、貼り合せユニット内部と外部の差圧を小さくすれば良いが、貼り合せ時の真空度を下げると、貼り合せた側の素子基板14と樹脂層12との界面に気泡が残ってしまうという問題が発生する。
また、外周シール11がシールパスすると、基板貼り合せユニット10が大気圧により加圧されなくなるため、樹脂層12へも加圧されなくなり、素子基板14と封止基板15とを気泡レスで貼り合せることができなくなるという問題も発生する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明するが、これに限定するものではない。また、有機ELパネルとしてトップエミッション構造を例として挙げるが、ボトムエミッション構造や両面発光構造でも適用できる。
図1は有機ELパネルの一例を示す断面図であり、
図1に示される有機ELパネル20は、素子基板21と、この素子基板21の上に形成された複数の有機EL素子22と、これら有機EL素子22の上に形成された樹脂層28と、この樹脂層28を介して有機EL素子22を素子基板21との間に封止する封止基板29とを備えている。
【0018】
素子基板21は例えばガラスやプラスチックなどの絶縁性を有する材料からなり、有機ELパネル20が素子基板側から発光を取り出すボトムエミッション型の場合には、透光性のある材料が基板材料として用いられる。透光性のある基板材料としては、ガラスや石英の他に、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート等のプラスチックなどが挙げられる。
有機ELパネル20がアクティブマトリックス方式の有機ELパネルである場合は、基板表面に薄膜トランジスタ(TFT)が形成されたものが素子基板21として用いられ、薄膜トランジスタとしては公知の薄膜トランジスタを用いることができる。
【0019】
具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層、ゲート絶縁膜及びゲート電極から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。薄膜トランジスタの構造としては、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、ボトムゲート型、トップゲート型、コプレーナ型等が挙げられる。
薄膜トランジスタの半導体層の材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン、銅フタロシアニンやペリレン誘導体等の材料を用いてもよく、また、アモルファスシリコンやポリシリコン、金属酸化物を用いてもよい。さらに、基板のどちらかの面にカラーフィルタ層や光散乱層、光偏光層等を設けてもよい。
【0020】
素子基板21の上に有機EL素子22を形成する場合は、基板内部あるいは基板表面の水分を極力低減するために、素子基板21に加熱処理を施してから有機EL素子22を形成することが望ましい。さらに、有機EL素子22との密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を素子基板21に施してから有機EL素子22を形成することが好ましい。
有機EL素子22は第一電極23を有し、この第一電極23は素子基板21の表面上に形成されている。有機EL素子22の第一電極材料としては、仕事関数の高い材料を選択することが好ましく、例えばITO(インジウムスズ複合酸化物)、インジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物や金、白金などの金属材料、あるいは上記の金属複合酸化物や金属材料からなる微粒子がエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の樹脂中に分散したものなどを第一電極材料として使用することができる。
【0021】
有機ELパネル20がトップエミッション型の場合、第一電極23として正孔注入性と反射性を備えるにはAgやAlのような金属材料の上にITO膜を積層すればよい。第一電極23の膜厚は、有機ELパネルの素子構成により最適値が異なるが、単層、積層にかかわらず、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上300nm以下であることがより好ましい。
【0022】
素子基板21としてTFTが形成された基板を使用する場合、TFTを有機ELパネルのスイッチング素子として機能させるため、第一電極23はTFTのドレイン電極と電気的に接続される。TFTのドレイン電極と第一電極23との接続は、平坦化膜を貫通するコンタクトホール内に形成された接続配線を介して行われる。
第一電極23の形成方法としては、使用材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いることができる。
【0023】
有機EL素子22は、また、第一電極23を区画する隔壁24を有し、この隔壁24は有機ELパネルの各画素に対応した発光領域を区画するように素子基板21の表面上に形成されている。
隔壁24の形成方法としては、感光性樹脂組成物を素子基板21の表面に塗布する工程と、パターン露光、現像、焼成して隔壁パターンを形成する工程とを少なくとも有するフォトリソグラフィ法を用いることができる。
【0024】
一般的にアクティブマトリクス駆動型の表示装置は各画素に対して第一電極23が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、第一電極23の端部を覆うように形成される隔壁24の最も好ましい形状は格子状を基本とする。また、隔壁24を多段状にすることもでき、その場合には素子基板21の表面全体に形成されたSiO
2やSiNからなる絶縁性の無機膜をフォトリソグラフィ工程により画素を区切る格子状に形成して1段目の隔壁とし、該1段目の隔壁上に感光性樹脂からなる2段目の隔壁をフォトリソグラフィにより形成する。
【0025】
隔壁24をフォトリソグラフィ法により形成する場合、感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のものでも構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁24が十分な絶縁性を有さない場合には、隔壁24を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。また、TFTの誤作動により適正な表示ができないことがある。
【0026】
隔壁24を形成するときに用いられる感光性材料としては、具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、有機ELディスプレイの表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。さらに、必要に応じて撥水剤を添加したり、プラズマやUVを照射して形成後にインクに対する撥液性を付与したりすることもできる。
【0027】
素子基板21の表面に感光性樹脂を塗布して隔壁24を形成する場合、感光性樹脂の塗布方法としてはスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いることができる。次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像方法により隔壁部のパターンを形成できる。また焼成に関してはオーブン、ホットプレート等での従来公知の方法により焼成を行うことができる。
【0028】
隔壁24の厚みは、0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。これは、異なる発光色を有する有機発光材料を溶媒に溶解または分散させた有機発光インキを用いて画素ごとに塗り分けをおこなう場合、隣接する画素との混色を防止することができる。隔壁24の高さが低すぎると隣接画素間でのリーク電流の発生やショートの防止、有機発光インキの混色防止の効果が得られないことがあり、注意が必要である。
【0029】
有機EL素子22は有機発光媒体層25、第二電極26およびパッシベーション層27をさらに有し、有機発光媒体層25は隔壁24により区画された第一電極23の上に形成されている。
有機発光媒体層25は電圧の印加によって発光する有機発光層を含み、この有機発光層から成る単独の層によって有機発光媒体層25が形成されていても良いが、発光層に加えて、発光効率を向上させる発光補助層を積層した積層構造から有機発光媒体層25が形成されたものであっても良い。発光補助層としては、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
【0030】
正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、Cu
2O,Cr
2O
3,Mn
2O
3,FeOx(x〜0.1),NiO,CoO,Pr
2O
3,Ag
2O,MoO
2,Bi
2O
3,ZnO,TiO
2,SnO
2,ThO
2,V
2O
5,Nb
2O
5,Ta
2O
5,MoO
3,WO
3,MnO
2などの無機材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
【0031】
有機ELパネル20が高分子ELディスプレイの場合には、正孔輸送材料に、インターレイヤ層を形成することが好ましい。インターレイヤ層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。これらの材料は溶媒に溶解または分散させ、スピンコート法等を用いた各種塗布方法や凸版印刷方法を用いて形成することができる。
【0032】
発光材料としては、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロなどの高分子材料や、これら高分子材料に前記低分子材料の分散または共重合した材料や、その他既存の蛍光発光材料や燐光発光材料を用いることができる。
【0033】
電子輸送材料の例としては、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。また、これらの電子輸送材料に、ナトリウムやバリウム、リチウムといった仕事関数が低いアルカリ金属、アルカリ土類金属を少量ドープすることにより、電子注入層としてもよい。
【0034】
有機発光媒体層25の膜厚は、単層または積層により形成する場合においても、1000nm以下であり、好ましくは50〜200nm程度である。
有機発光媒体層25の形成方法としては、材料に応じて、真空蒸着法や、スリットコート、スピンコート、スプレーコート、ノズルコート、フレキソ印刷、グラビア印刷、凹版オフセット印刷、凸版オフセット印刷などのコーティング法や印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
【0035】
有機EL素子22の第二電極26は、第一電極23と対向するように有機発光媒体層25の上に形成されている。この第二電極26の電極材料としては、有機発光媒体層25への電子注入効率が高い、仕事関数の低い物質を用いることができ、具体的にはMg,Al,Yb等の金属単体や、発光媒体と接する界面にBa、Ca、Liやその酸化物,フッ化物等の化合物を1nm程度挟んで安定性・導電性の高いAlやCuを積層したものを用いることができる。
【0036】
また、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi,Mg,Ca,Sr,La,Ce,Er,Eu,Sc,Y,Yb等の金属1種以上と、安定なAg,Al,Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的には、MgAg,AlLi,CuLi等の合金が第二電極26の電極材料として使用できる。
有機ELパネル20が第二電極側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造の場合には、第二電極26の電極材料として透光性を有する材料を用いることが好ましい。この場合、仕事関数が低いLi膜やCa膜を有機発光媒体層25の上に薄く形成した後に、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物を積層してもよく、有機発光媒体層25に、仕事関数が低いLi,Caなどの金属を少量ドーピングして、ITOなどの金属酸化物を積層してもよい。
【0037】
第二電極26の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などを材料に応じて選択することができる。第二電極26の厚さに関しては特に制限はないが、10nm〜1000nm程度が望ましい。また、第二電極26を透光性電極層として利用する場合やCa、Liなどの金属材料を用いる場合には、第二電極26の厚さを0.1〜10nm程度とすることが望ましい。
【0038】
パッシベーション層27は有機EL素子22の第二電極26を大気中の水分から保護するものであって、第二電極26の上に形成されている。このパッシベーション層27の形成材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化炭素などの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、炭化ケイ素などの金属炭化物のいずれか又はこれらの積層体を用いることができ、さらに必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜との積層膜として用いても良い。特に、バリア性と被覆性と成膜速度の面から、酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素膜または窒化ケイ素膜をCVD法により成膜してパッシベーション層27とすることが好ましい。
【0039】
パッシベーション層27は、第二電極26が封止基板29とパッシベーション層27で覆われるように形成することが望ましい。パッシベーション層27の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法を用いることができるが、特に、バリア性や段差被覆性の面、さらには成膜条件により膜密度や膜組成を容易に可変できることから、CVD法を用いることが好ましい。
【0040】
CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法、VUV−CVD法などを用いることができる。また、CVD法における反応ガスとしては、モノシランや、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)やテトラエトキシシランなどの有機シリコン化合物に、N
2、O
2、NH
3、H
2、N
2Oなどのガスを必要に応じて添加してもよく、必要に応じて、シランなどのガス流量や、プラズマ電力を変えることにより膜密度を変化させてもよく、使用する反応性ガスにより膜中に水素や炭素を含有させることもできる。
【0041】
パッシベーション層27の膜厚としては、有機EL素子22の電極段差や基板の隔壁高さ、要求されるバリア特性などにより異なるが、10nm以上10000nm以下程度が一般的に用いられている。
樹脂層28は素子基板21の上に形成された有機EL素子22を封止するためのものであって、有機EL素子22のパッシベーション層27を覆うように有機EL素子22と封止基板29との間に形成されている。
【0042】
樹脂層28としては、光硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができるが、熱硬化型の樹脂を用いた場合には樹脂を熱硬化させるときに有機EL素子22の特性が劣化するおそれがあるため、光硬化型の樹脂を用いることが好ましい。具体的には、UV硬化型の樹脂が塗布された接着シートを用いることができ、このような接着シートとしては、例えば、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレート、ウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系接着シートや、エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系接着シート、チオール・エン付加型樹脂系接着シート等を挙げることができる。これらの中でも酸素による阻害がなく、光照射後も重合反応が進行するカチオン系接着シートが好ましい。
【0043】
カチオン硬化型タイプとしては、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着シートが好ましい。特に好ましいものは、100mW/cm
2以上の紫外線を照射した際に、10秒〜90秒以内に硬化する紫外線硬化型接着シートである。この時間範囲内で硬化させることにより、紫外線照射による他の構成要素への悪影響をもたらすことなく、紫外線硬化型接着シートが充分に硬化して適切な接着強さを備えることができる。また、生産工程の効率の観点からも、前記の時間範囲内であることが好ましい。また、樹脂層28の種類に関わらず、低透湿性で高接着性のものが望ましい。
【0044】
樹脂層28としては流動性の無い固体状のものを用いることが望ましいが、樹脂層28の形成後の流動によっても後述の厚み未満にならない程度の流動性を持つものを用いても良い。
樹脂層28を封止基板29の上に形成する方法の一例として、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などの転写・貼り合せ方法や、スクリーン印刷、スプレー法、ディスペンスなどの塗布方法を挙げることができるが、これに限るものではない。
樹脂層28の厚みとしては特に制限はないが、なるべく薄層であることが好ましく、1μm〜100μm程度、好ましくは5μm〜50μmである。
【0045】
封止基板29の材料としては、有機ELパネルが透明性の必要なトップエミッション型の場合にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチックフィルムやガラスを用いることができ、特に透明性が必要ないボトムエミッション型の場合には上記の材料に加えてステンレスやアルミなどの金属材料や不透明なガラス、プラスチック材料を用いることができる。
【0046】
図2は有機ELパネルを本発明により製造する場合に用いられるマザー基板を示す図、
図3は
図2に示す封止側マザー基板の平面図、
図4は二枚のマザー基板を真空中で貼り合せた状態を示す図であり、以下、
図2〜
図4を参照して本発明に係る有機ELパネルの製造方法について説明する。
図1に示すような有機ELパネル20を製造する場合は、まず、素子基板21および封止基板29として、複数の有機ELパネルを切り出すことが可能な大きさのマザー基板31,32(
図2参照)を用意する。そして、マザー基板31,32のうちマザー基板31の表面上に複数の有機EL素子群33を上述した方法で形成すると共に、マザー基板32の表面上に複数の樹脂層28を上述した方法で形成する。
【0047】
マザー基板32の表面上に樹脂層28を形成したならば、
図3に示すように、樹脂層28と後述する外周シール35との間にダミー粘着層34を形成する。なお、ダミー粘着層34の形成は樹脂層28の形成と同時に行ってもよい。
樹脂層28と外周シール35との間にダミー粘着層34を形成する場合は、樹脂層28や外周シール35と接触しないようにダミー粘着層34を形成することが好ましい。この場合、ダミー粘着層34の厚みが樹脂層28より厚いとマザー基板31,32を貼り合せる時に樹脂層28がマザー基板31の表面に接触しなかったり、ダミー粘着層34がスクライブライン36からはみ出したりするおそれがあるため、ダミー粘着層34の厚みを樹脂層28と同等もしくは樹脂層28より薄い厚みとすることが望ましい。
【0048】
ダミー粘着層34の形成方法としては、樹脂層28の形成方法と同様の方法を用いることができる。具体的には、アクリル系、オレフィン系、天然ゴム系等の粘着シートをマザー基板32の表面に貼り付けることで、ダミー粘着層34を形成することができる。
マザー基板32の表面に粘着シートを貼り付けてダミー粘着層34を形成する場合、表示パネルとして残らない部分に粘着シートを貼り付けることが好ましい。特に、切断ガイド線となるスクライブライン36上に粘着シートがあると、マザー基板32の不要部分を削除したり、パネル同士を分離したりすることができなくなる可能性があるため好ましくない。
【0049】
マザー基板32の表面上にダミー粘着層34を形成したならば、マザー基板32の表面にシール剤を塗布し、樹脂層28の周囲をシールする閉ループ状の外周シール35をマザー基板32の表面上に形成する。
外周シール35を形成するシール剤としては、熱硬化型の接着剤を用いることができ、熱硬化型の接着剤としては、一液性のエポキシ系接着剤が好ましい。外周シール35の形成方法としては、ディスペンスやスクリーン印刷などが挙げられる。
【0050】
マザー基板32の表面上に外周シール35を形成したならば、
図4に示すように、有機EL素子群33が形成されたマザー基板31と樹脂層28、ダミー粘着層34および外周シール35が形成されたマザー基板32とを例えば数Pa〜100Pa程度の真空中で貼り合せ、基板貼り合せユニット37を形成する。その後、基板貼り合せユニット37を大気中に取り出し、加熱によるレベリングを行う。
【0051】
基板貼り合せユニット37を大気中に取り出した時点では、樹脂層28は有機EL素子22のパッシベーション層27やマザー基板31の表面に完全に接着していないが、基板貼り合せユニット37を加熱することにより、樹脂層28が軟化して濡れ広がり、マザー基板31の表面凹凸形状になじみ、気泡を消して完全に接着させることができる。
基板貼り合せユニット37の加熱はクリーンオーブンやホットプレートを用いて行ない、加熱温度は60℃〜80℃が好ましく、加熱時間は5〜10分程度でよい。樹脂層28がマザー基板31に馴染んだ後、UV硬化型の樹脂層28にUV照射を行ない、樹脂層28を硬化させる。
【0052】
樹脂層28が硬化したならば、真空貼り合せユニット37のマザー基板31,32をスクライブライン36に沿ってスクライブ(切断)し、ブレークして有機ELパネルを切り出す。その後、切り出された有機ELパネルからダミー粘着層34を剥すことで、1つの真空貼り合せユニット37から複数個の有機ELパネル20が得られる。
このように、二枚のマザー基板31,32のうち封止基板29となる側のマザー基板32上に樹脂層28、ダミー粘着層34および外周シール35を形成した後、二枚のマザー基板31,32を真空中で貼り合せて基板貼り合せユニット37を形成すると、基板貼り合せユニット37の樹脂層28と外周シール35との間に比較的面積の大きい真空領域が生じることをダミー粘着層34によって抑制することができる。これにより、基板貼り合せユニット37を大気中に取り出したときに外周シール35に作用する大気圧を小さくすることができ、外周シール35にシールパスが発生することを防止することが可能となるので、素子基板21と封止基板29とを真空中で貼り合せて有機ELパネル20を製造する際に有機EL素子22を樹脂封止する樹脂層28に気泡が混入することを防止することができる。
【0053】
なお、上述した本実施形態では、封止基板29上に樹脂層28を形成した場合について説明したが、素子基板21上に樹脂層28を形成しても良い。この場合、樹脂層28は有機EL素子22を覆うように素子基板21上に形成される。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに説明するが、本発明は下記実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0054】
素子基板21として、既に第一電極23、取り出し電極、TFT回路を保護するためのSiNx層からなる無機絶縁層および無機絶縁層上のポリイミドからなる樹脂絶縁層を備え、絶縁層は画素を仕切る隔壁24として形成されているマザー基板31を用いた。
次に、第一電極23上にポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物からなる正孔輸送層をスピンコート法により20nm厚で形成した。
次に、正孔輸送層上に有機発光材料であるポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)―1,4−フェニレンビュレン]をトルエンに溶解させ、スピンコート法により有機発光層を形成し、前記正孔輸送層と合わせて有機発光媒体層25を80nm厚で形成した。
【0055】
次に、Ba、Alからなる第二電極26を抵抗加熱蒸着法によりそれぞれ5nm厚、100nm厚で形成した。パッシベーション層27としてプラズマCVD法によりSiNx膜を5μm積層した。
次に、封止基板となるマザー基板32上に、20μm厚の紫外線硬化型の接着シートからなる樹脂層28をシート貼り付け機を用いて貼りつけ、さらにダミー粘着層34を形成する粘着シートを空白部分に同様に貼りつけた後、ディスペンサによりマザー基板32の外周に外周シール35として熱硬化型接着剤を塗布した。
【0056】
真空貼り合せ機を用い、マザー基板31とマザー基板32をチャンバ圧力30Paにて貼り合せを行なった。大気中に基板貼り合せユニット37を取り出し、80℃のクリーンオーブンに入れて60分硬化を行なった。その後、UV照射装置にて、5000mJ/cm
2照射して貼り合せを完了した。
硬化が完了した基板貼り合せユニット37にスクライブ、ブレークを行ない、有機ELパネルを切り出した。端子部分はダミー粘着層34の粘着シートが貼り付いていたので、手で不要な部分を取り除いた。
このようにして得られた有機ELパネル(画素数が960×540)は、樹脂層28に気泡の混入が見られなかった。また、60℃90RH%下に1000Hr保存しても、気泡や画素欠陥の発生は見られなかった。
【0057】
[比較例1]
ダミー粘着層34を形成せずにマザー基板31,2の真空貼り合せを行った以外は、実施例1と同様の方法で有機ELパネルを作製したところ、外周シール35にシールパスが発生し、樹脂層28に気泡が多数見られた。さらに60℃90%RH下で400Hr放置したところ、気泡部分にてダークスポットの発生が見られ、1000Hr経過後は隣接画素までダークスポットが拡大した。
【0058】
[比較例2]
外周シール35としてUV硬化型のシール剤を用いて真空貼り合せを行ない、大気中に基板貼り合せユニット37を取り出し、外周シール35部以外は遮光した状態でUV硬化をしたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機ELパネルを作製したところ、外周シール35にシールパスは見られなかったが、樹脂層28の外周部が素子基板となる基板31側にはりついていなかった。さらに60℃90%RH下で300Hr放置したところ、外部からの水の進入と見られる欠陥(ダークエリア)が発光表示エリア角部から発生し、1000Hr経過後はさらにダークエリアが拡大した。