特許第5982997号(P5982997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982997
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   G03G21/00 388
   G03G21/00 510
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-102105(P2012-102105)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-228648(P2013-228648A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 翔平
(72)【発明者】
【氏名】坂 尚道
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−273989(JP,A)
【文献】 特開2008−243018(JP,A)
【文献】 特開2002−304278(JP,A)
【文献】 特開2004−347935(JP,A)
【文献】 特開平11−334151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を収容するカートリッジが装着され,当該カートリッジについて複数種類対応する画像形成装置において,
装着されているカートリッジである現カートリッジの使用情報を取得する取得部と,
前記取得部が取得した前記使用情報に基づいて,カートリッジの種類を決定する決定部と,
前記決定部にて決定されたカートリッジの種類を,次回に使用する推奨カートリッジとしてユーザに通知する通知部と,
を備え,
前記決定部は,カートリッジの種類として,小容量のカートリッジか大容量のカートリッジかを決定し,
前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量と,前記現カートリッジの現像ローラの耐久回転数から当該現像ローラの回転数を引いた残回転数とを取得し,
前記決定部は,前記現カートリッジ内の着色剤の初期量に対する前記残量の比率である残量比率から,前記耐久回転数に対する前記残回転数の比率である残回転比率を減じた値が,閾値率以上であれば,小容量のカートリッジに決定する,
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項に記載する画像形成装置において,
前記決定部は,前記残回転比率から前記残量比率を減じた値が,第2閾値率以上であれば,大容量のカートリッジに決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量を取得し,
前記決定部は,前記残量が着色剤不足を判断する閾値である閾値残量よりも少ない場合には,大容量のカートリッジに決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量および前記現カートリッジの消費期限を取得し,
前記決定部は,前記残量が着色剤不足を判断する閾値である閾値残量よりも少なく,かつ,前記消費期限までの残り期間が閾値期間以上の場合に,大容量のカートリッジに決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
着色剤を収容するカートリッジが装着され,当該カートリッジについて複数種類対応する画像形成装置において,
装着されているカートリッジである現カートリッジの使用情報を取得する取得部と,
前記取得部が取得した前記使用情報に基づいて,カートリッジの種類を決定する決定部と,
前記決定部にて決定されたカートリッジの種類を,次回に使用する推奨カートリッジとしてユーザに通知する通知部と,
を備え,
前記決定部は,カートリッジの種類として,小粒径のトナーを収容するカートリッジか大粒径のトナーを収容するカートリッジかを決定する,
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項に記載する画像形成装置において,
前記決定部は,小粒径のトナーを収容するカートリッジとしては,重合トナーを収容するカートリッジに決定し,大粒径のトナーを収容するカートリッジとしては,粉砕トナーを収容するカートリッジに決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項または請求項に記載する画像形成装置において,
前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジに対応する現像ローラの回転数を取得し,
前記決定部は,前記現像ローラの回転数が許容回数よりも多い場合には,大粒径のトナーを収容するカートリッジに決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項から請求項のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量と,前記現カートリッジの現像ローラの耐久回転数から当該現像ローラの回転数を引いた残回転数とを取得し,
前記決定部は,前記現カートリッジ内の着色剤の初期量に対する前記残量の比率である残量比率から,前記耐久回転数に対する前記残回転数の比率である残回転比率を減じた値が,閾値率以上であれば,大粒径のカートリッジに決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
着色剤を収容するカートリッジが装着され,当該カートリッジについて複数種類対応する画像形成装置において,
装着されているカートリッジである現カートリッジの使用情報を取得する取得部と,
前記取得部が取得した前記使用情報に基づいて,カートリッジの種類を決定する決定部と,
前記決定部にて決定されたカートリッジの種類を,次回に使用する推奨カートリッジとしてユーザに通知する通知部と,
を備え,
前記通知部は,前記現カートリッジの種類と,前記決定部にて決定されたカートリッジの種類とが異なる場合に,前記決定部にて決定されたカートリッジの種類を通知し,同じ場合には通知しない,
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記現カートリッジ内の着色剤の残量と前記現カートリッジの消費期限との少なくとも一方に基づいて,前記現カートリッジの交換が必要か否かを判定する判定部を備え,
前記通知部は,前記判定部が前記現カートリッジの交換が必要と判定したことを条件として,カートリッジの種類をユーザに通知することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,着色剤を収容するカートリッジが装着され,当該カートリッジについて複数種類対応する画像形成装置に関する。さらに詳細には,好適なカートリッジを通知する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,着色剤を収容するカートリッジについて,複数種類のカートリッジに対応する画像形成装置が知られている。カートリッジの種類としては,例えば,カートリッジの容量の大小によって区別される大容量カートリッジ,小容量カートリッジや,着色剤の種類によって区別される粉砕トナーカートリッジ,重合トナーカートリッジがある。
【0003】
前述のように特性が異なる様々な種類のカートリッジが存在することから,例えば特許文献1には,重合トナーを収容したカートリッジと,粉砕トナーを収容したカートリッジとの両方が装着される画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−172132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,複数種類のカートリッジを装着できる画像形成装置であっても,ユーザの使用状況によってはカートリッジの特性を活かしきれていないこともある。ユーザにとっては使用状況に適したカートリッジを装着したか否かの判断は難しく,カートリッジを交換する際も同じ種類のカートリッジが交換される可能性が高いことから,改善の余地が有る。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ユーザの使用状況に適したカートリッジが装着され,カートリッジの有効活用が期待できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,着色剤を収容するカートリッジが装着され,当該カートリッジについて複数種類対応する画像形成装置であって,装着されているカートリッジである現カートリッジの使用情報を取得する取得部と,前記取得部が取得した前記使用情報に基づいて,カートリッジの種類を決定する決定部と,前記決定部にて決定されたカートリッジの種類を,次回に使用する推奨カートリッジとしてユーザに通知する通知部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本明細書で開示される画像形成装置は,複数種類のカートリッジに対応するものである。カートリッジの種類としては,例えば,着色剤の収容量に応じて区別される,大容量と小容量とがある。また,着色剤がトナーの場合,収容されているトナーの種類に応じて区別される,大粒径と小粒径とがある。画像形成装置は,現カートリッジの使用情報を取得し,その使用情報に基づいて,カートリッジの種類を決定する。カートリッジの使用情報には,着色剤の残量,現像ローラの回転数,着色剤の消費期限が該当する。そして,画像形成装置は,決定したカートリッジの種類を,次回に使用する推奨カートリッジとしてユーザに通知する。
【0009】
すなわち,本明細書で開示される画像形成装置では,現カートリッジの使用情報を取得し,その使用情報に基づいて,好適なカートリッジの種類が決定される。そして,その決定されたカートリッジの種類がユーザに通知される。これにより,好適なカートリッジへの交換が期待できる。
【0010】
また,前記決定部は,カートリッジの種類として,小容量のカートリッジか大容量のカートリッジかを決定するとよい。すなわち,ユーザの使用状況によって1回の印刷における着色剤の使用量が異なる。そのため,着色剤の使用量が多いユーザには大容量のカートリッジの推奨が好ましく,着色剤の使用量が少ないユーザには小容量のカートリッジの推奨が好ましい。
【0011】
また,前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量を取得し,前記決定部は,前記残量が着色剤不足を判断する閾値である閾値残量よりも少ない場合には,大容量のカートリッジに決定するとよい。着色剤の残量が少ない場合(例えばトナーエンプティの場合),着色剤の使用量が多く,消費期限内に着色剤を使い切る可能性が高い。また,トナーエンプティに近い状態で印刷を行うとかすれ等の不具合が生じやすい。そこで,このような状況を回避するため,大容量の着色剤を推奨する方が好ましい。
【0012】
また,前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量および前記現カートリッジの消費期限を取得し,前記決定部は,前記残量が着色剤不足を判断する閾値である閾値残量よりも少なく,かつ,前記消費期限までの残り期間が閾値期間以上の場合に,大容量のカートリッジに決定するとよい。換言すれば,残量が少なくても残り時間が短いならば着色剤の容量と着色剤の使用量とのバランスが取れていると判断できる。また,残り時間が長くても残量が多い場合にもバランスが取れている。そのため,大容量に決定しない方が好ましい。
【0013】
また,前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量と,前記現カートリッジの現像ローラの耐久回転数から当該現像ローラの回転数を引いた残回転数とを取得し,前記決定部は,前記現カートリッジ内の着色剤の初期量に対する前記残量の比率である残量比率から,前記耐久回転数に対する前記残回転数の比率である残回転比率を減じた値が,閾値率以上であれば,小容量のカートリッジに決定するとよい。残量比率から求められる寿命と,残回転比率から求められる寿命との関係で,残量比率の方が極端に多い場合には,現像ローラの回転数が耐久回転数となった段階で大量の未使用着色剤が生じる可能性が高い。そのため,小容量のカートリッジを推奨する方が好ましい。
【0014】
また,前記決定部は,前記残回転比率から前記残量比率を減じた値が,第2閾値率以上であれば,大容量のカートリッジに決定するとよい。残量比率から求められる寿命と,残回転比率から求められる寿命との関係で,残回転比率の方が極端に多い場合には,現像ローラの回転数が耐久回転数になるかなり前に着色剤を使い切る可能性が高い。そのため,大容量のカートリッジを推奨する方が好ましい。
【0015】
また,前記決定部は,カートリッジの種類として,小粒径のトナーを収容するカートリッジか大粒径のトナーを収容するカートリッジかを決定するとよい。すなわち,小粒径のトナーは,大粒径のトナーと比較して流動性に優れ,現像ローラの劣化が進行するに連れて,現像ローラから漏出するトナー量が多くなる。そのため,このような状況を回避するには,大粒径のトナーを収容するカートリッジの推奨が好ましい。なお,小粒径のトナーを収容するカートリッジとしては,例えば重合トナーを収容するカートリッジがあり,大粒径のトナーを収容するカートリッジとしては,例えば粉砕トナーを収容するカートリッジがある。
【0016】
また,前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジに対応する現像ローラの回転数を取得し,前記決定部は,前記現像ローラの回転数が許容回数よりも多い場合には,大粒径のトナーを収容するカートリッジに決定するとよい。現像ローラの回転数が許容回数よりも多い場合には,トナー漏れが発生する可能性が高くなる。そのため,大粒径のトナーを推奨する方が好ましい。
【0017】
また,前記取得部は,前記使用情報として,前記通知部の通知タイミングを満たした際の,前記現カートリッジ内の着色剤の残量と,前記現カートリッジの現像ローラの耐久回転数から当該現像ローラの回転数を引いた残回転数とを取得し,前記決定部は,前記現カートリッジ内の着色剤の初期量に対する前記残量の比率である残量比率から,前記耐久回転数に対する前記残回転数の比率である残回転比率を減じた値が,閾値率以上であれば,大粒径のカートリッジに決定するとよい。残量比率から求められる寿命と,残回転比率から求められる寿命との関係で,残量比率の方が極端に多い場合には,現像ローラが劣化した段階で多くの着色剤が残る状態となる可能性が高く,トナーが漏出する可能性も高くなる。そのため,大粒径のカートリッジを推奨する方が好ましい。
【0018】
また,本明細書で開示される画像形成装置は,前記現カートリッジ内の着色剤の残量と前記現カートリッジの消費期限との少なくとも一方に基づいて,前記現カートリッジの交換が必要か否かを判定する判定部を備え,前記通知部は,前記判定部が前記現カートリッジの交換が必要と判定したことを条件として,カートリッジの種類をユーザに通知するとよい。カートリッジの交換タイミングでカートリッジの種類を通知する方がユーザにとってより有益である。
【0019】
また,前記通知部は,前記現カートリッジの種類と,前記決定部にて決定されたカートリッジの種類とが異なる場合に,前記決定部にて決定されたカートリッジの種類を通知し,同じ場合には通知しないとよい。現カートリッジの種類と決定部が決定したカートリッジの種類が異なる場合に,カートリッジの改善が期待できる。一方,同じ場合には同じ種類のカートリッジの装着が期待できるため,非通知としてユーザの確認の手間を省く方が好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,ユーザの使用状況に適したカートリッジが装着され,カートリッジの有効活用が期待できる画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態にかかるプリンタの概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示したプリンタの内部構成を示す概念図である。
図3】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態にかかる推奨通知処理の手順を示すフローチャートである。
図5】第1の形態にかかる決定処理の手順を示すフローチャートである。
図6】残量比率と残回転比率との関係を示す図である。
図7】第2の形態にかかる決定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】推奨メッセージの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,カラー印刷が可能な電子写真方式のプリンタに本発明を適用したものである。
【0023】
[プリンタの構成]
実施の形態のプリンタ100(画像形成装置の一例)は,図1に示すように,シートに画像を形成する画像形成部10と,画像形成部10を覆うカバー15と,画像形成部10の上面に位置し,液晶ディスプレイからなる表示部41と,スタートキー,ストップキー,テンキー等から構成されるボタン群42とを備えた操作パネル40が設けられ,この操作パネル40により動作状況の表示やユーザによる入力操作が可能になっている。
【0024】
また,プリンタ100は,底部に位置し,装置本体に対して着脱可能であり,印刷前のシートを収容する給紙トレイ91と,上面に位置し,印刷後のシートを載置する排紙トレイ92とを有している。
【0025】
また,カバー15の一部は,開閉自在に設けられており,開状態にすることで装置内部の消耗品(例えば,トナーを収容するカートリッジや搬送ベルト)の交換が可能になる。一方,閉状態にすることで印刷や読み取りが可能になる。
【0026】
[画像形成部の構成]
図2は,画像形成部10の構成を示している。画像形成部10は,電子写真方式によってトナー像を形成し,そのトナー像を用紙に転写するプロセス部50と,プロセス部50に光を照射する露光装置53と,用紙上の未定着のトナーを定着させる定着装置8と,画像転写前の用紙を載置する給紙トレイ91と,画像転写後の用紙を載置する排紙トレイ92と,プロセス部50の転写位置に用紙を搬送する搬送ベルト7とを備えている。
【0027】
また,プリンタ100内には,底部に位置する給紙トレイ91に収容された用紙が,給紙ローラ71,レジストローラ72,プロセス部50,定着装置8を通り,排紙ローラ76を介して上部の排紙トレイ92への導かれるように,略S字形状の搬送路11(図2中の一点鎖線)が設けられている。
【0028】
プロセス部50は,カラー画像の形成が可能であり,シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の各色に対応するプロセス部を並列に配置している。具体的には,C色の画像を形成するプロセス部50Cと,M色の画像を形成するプロセス部50Mと,Y色の画像を形成するプロセス部50Yと,K色の画像を形成するプロセス部50Kとを備えている。そして,用紙の搬送方向において,下流側からプロセス部50C,50M,50Y,50Kの順に等間隔に配置されている。なお,プロセス部の順番はこれに限定するものではない。
【0029】
プロセス部50Kは,ドラム状の感光体1と,感光体1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,感光体1上の静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体1上のトナー像を用紙に転写させる転写装置5とを有している。また,現像装置4は,トナーを収容するトナータンク412と,トナータンク412内のトナーを感光体1に供給する現像ローラ411とを有している。感光体1および転写装置5は,搬送ベルト7に対して接触配置されている。そして,感光体1は,転写装置5に対して搬送ベルト7を挟んで対向している。他のプロセス部50C,50M,50Yについても,プロセス部50Kと同様の構成である。
【0030】
また,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kのうち,現像装置4は,プリンタ100本体に対して着脱可能なカートリッジになっている。そのため,トナータンク412内にトナーが無くなった場合は,カバー15の一部を開放し,現像装置4が個別に交換される。なお,本形態では,現像装置4がカートリッジであるものとして説明するが,例えば,現像装置4を構成するトナータンク412のみが着脱可能なカートリッジであっても,現像装置4と他の構成要素(例えば感光体1)とが一組で着脱可能なカートリッジであってもよい。
【0031】
各プロセス部50C,50M,50Y,50Kでは,感光体1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置53からの光により露光され,用紙に形成すべき画像の静電潜像が感光体1上に形成される。次いで,現像装置4の現像ローラ411を介して,トナータンク412内のトナーが感光体1に供給される。これにより,感光体1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0032】
画像形成部10は,給紙トレイ91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙を搬送ベルト7上に搬送する。そして,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。このとき,カラー印刷では,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kにてトナー像が形成され,用紙上で各トナー像が重ね合わせられる。一方,モノクロ印刷では,プロセス部50Kのみでトナー像が形成され,用紙に転写される。その後は,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を排紙トレイ92に排出する。
【0033】
[プリンタの電気的構成]
続いて,プリンタ100の電気的構成について説明する。プリンタ100は,図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を有している。制御部30は,画像形成部10と,操作パネル40と,カバーセンサ16と,ネットワークインターフェース36と,FAXインターフェース37とに電気的に接続している。
【0034】
ROM32は,プリンタ100を制御するための各種制御プログラムや画像処理プログラム,各種設定,初期値等を記憶している。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは各種のインターフェースを介して送られてくる画像データを一時的に記憶する記憶領域として,利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定や画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0035】
CPU31は,プリンタ100における画像形成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0036】
ネットワークインターフェース36は,ネットワークに接続され,このネットワークインターフェース36を介してPC200やサーバ400等の他の情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。FAXインターフェース37は,電話回線に接続され,このFAXインターフェース37を介して他の情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。
【0037】
カバーセンサ16は,カートリッジ等の消耗品の交換や装置内のメンテナンスにあたって開放されるカバー15が開状態であるか否かを検知するセンサである。プリンタ100は,カバー15の状態が閉状態から開状態に変化することでカバー15の開放を検知し,カバー15の状態が開状態から閉状態に変化することでカバー15の閉塞を検知する。
【0038】
また,プリンタ100は,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kに装着される各カートリッジについて,複数種類に対応する。そして,プリンタ100は,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kの所定の装着箇所に装着されているカートリッジの種類を取得し,取得した種類をNVRAM34に記憶する。カートリッジの取得は,例えば,電源オン時や,カバー15の開閉時に行う。カートリッジの種類は,例えば,カートリッジに付設されているICチップから種類に関する情報を読み出すことで取得できる。また,例えば,カートリッジの種類ごとにメカ構造に違いがある場合には,その違いを検知することで判断できる。また,例えば,カートリッジの種類あるいは型番をユーザに入力してもらってもよい。本形態のカートリッジは,カートリッジの種類を判別するための情報,トナーの消費期限,トナー量の初期量,およびカートリッジの使用寿命を規定する現像ローラ411の耐久回転数を,ICチップに記憶しているものとする。
【0039】
カートリッジの種類の分類としては,トナーの色の他,例えば,トナータンク412の容量によって,大容量と小容量との分類がある。大容量のカートリッジ(以下,「大容量カートリッジ」とする)および小容量のカートリッジ(以下,「小容量カートリッジ」とする)は,次のような特徴を有する。
大容量カートリッジ:小容量カートリッジと比べて,カートリッジの使用寿命に到達(例えば,現像ローラ411の耐久回転数に到達)するまでに使用できるトナーが多い。一方で,小容量カートリッジと比べて,トナーの消費期限がトナーを使い切るよりも先に到達し,不使用トナーが多く残る可能性がある。
小容量カートリッジ:大容量カートリッジと比べて,カートリッジの使用寿命が到達する前にトナーを使い切る可能性が高い。また,トナーの消費期限が先に到達した場合であっても,大容量カートリッジと比べて,不使用トナーの残量が少ない。
【0040】
なお,大容量か小容量かの閾値容量は,トナーの材料や,求められる画質や寿命によって定義すればよい。プリンタ100は,大容量か小容量かの判別が可能な情報を取得すればよく,大容量か小容量かの判別を行う必要はない。勿論,カートリッジからトナータンク412の容量に関する情報を取得し,プリンタ100自身が閾値容量に基づいて大容量か小容量かの判別を行ってもよい。この場合,例えば,容量に関する情報としてISO標準パターンの印刷可能枚数を取得し,その枚数が700枚以下であれば小容量とする。
【0041】
この他,例えば,トナーの平均粒径や製造方法による分類もある。トナーの製造方法による分類では,次のような種類および特徴がある。
重合トナー:樹脂粒子と着色剤粒子とを化学反応で結合させたトナー。粉砕トナーと比較して粒子の大きさが比較的均一で,平均粒径が小さい。現像ローラ411の劣化の進行に伴って,トナーの漏出を防止するシール部材(不図示)と現像ローラ411との隙間からトナーが漏れ易くなることから,粉砕トナーと比較して,カートリッジの寿命が短い傾向にある。
粉砕トナー:原料であるプラスチックを熱で溶かし,冷却した後に粉砕して得られるトナー。重合トナーと比較して,平均粒径が大きい。
【0042】
なお,本形態では,重合トナーに代表される小粒径のトナーを収容するカートリッジを「小粒径カートリッジ」とし,粉砕トナーに代表される大粒径のトナーを収容するカートリッジを「大粒径カートリッジ」とする。
【0043】
[プリンタの制御]
続いて,プリンタ100の制御について説明する。本形態のプリンタ100は,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kの現カートリッジの使用情報を取得し,その使用情報に基づいて適切なカートリッジの種類を決定する。
【0044】
[推奨通知処理]
以下,上述の制御を実現するためにプリンタ100が実行する推奨通知処理(取得部,決定部,通知部,判定部の一例)について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。この推奨通知処理は,電源が投入されたことを契機に,CPU31によって実行される。
【0045】
推奨通知処理では,先ず,カートリッジの種類を通知するタイミングか否かを判断する(S101,判定部の一例)。通知条件としては,例えば,前回の決定処理(後述)からの経過時間が所定時間を経過していることが該当する。この他,例えば,トナーエンプティの検知,現像ローラ411の回転数が耐久回転数に到達,トナー消費期限の経過等の,カートリッジの寿命を検知したことであってもよい。
【0046】
通知タイミングであった場合には(S101:YES),通知するカートリッジの種類を決定する決定処理を実行する(S102)。以下,S102の決定処理について,2つの形態を説明する。第1の形態では,カートリッジの種類として,大容量か小容量かを決定する。第2の形態では,カートリッジの種類として,大粒径か否かを決定する。S102では,第1の形態の決定処理を実行してもよいし,第2の形態の決定処理を実行してもよい。また,両方とも実行してもよい。また,通知タイミングを満たした条件によって,第1の形態を実行するか,第2の形態を実行するかを振り分けてもよい。
【0047】
[決定処理の第1の形態]
図5は,第1の形態の決定処理の手順を示している。第1の形態の決定処理では,先ず,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kの現カートリッジの使用情報を取得する(S121,取得部の一例)。
【0048】
S121にて取得する使用情報には,トナーの残量,トナーの消費期限までの残り時間である残時間,現像ローラ411の回転数,トナーの消費期限,トナー量の初期量,現像ローラ411の耐久回転数が含まれる。トナーの残量は,プリンタ100が有する光学センサによってトナータンク412内のトナー量が所定量以下になったか否かの情報であってもよいし,印字ドットカウントや印刷回数等の印刷履歴から計算される推定残量であってもよい。本形態では,トナー残量として,推定残量を取得する。残時間は,トナーの消費期限および現カートリッジが装着されてからの経過時間である使用累積時間を取得し,トナーの消費期限から使用累積時間を引くことによって算出される。トナーの消費期限は,カートリッジのICチップから読み出してもよいし,ユーザが設定した値をNVRAM34に記憶し,それを読み出してもよい。これらの取得内容は,決定項目によって異なる。
【0049】
S121の後,使用累積時間がトナーの消費期限を超えているか否か,すなわちトナーの消費期限切れか否かを判断する(S122)。トナーの消費期限切れではない場合には(S122:NO),トナーの残量が第1閾値残量よりも少ないか否かを判断する(S123)。さらには,トナーの残量が第1閾値残量よりも少ない場合には(S123:YES),残時間が閾値時間以上であるか否かを判断する(S124)。
【0050】
残時間が閾値時間以上である場合には(S124:YES),「大容量」と決定する(S125,決定部の一例)。すなわち,トナーの消費期限切れに達していない段階で,トナーの残量が少なくなっていた場合には,トナーの使用量が多い使用状況であり,トナーの消費期限に到達する前にトナーを使い切る可能性が高く,トナーエンプティに近い状態で印刷を行う回数が増えることが予想される。トナーエンプティに近い状態での印刷は,かすれ等の不具合が生じ易い。そのため,そのような使用状況においては,大容量カートリッジが適切である。ただし,消費期限切れとなるまでの残時間が短いならば,トナーの使用量とトナータンク412の容量とのバランスが取れている。そのため,この場合には,大容量に決定しない。なお,S124の判断は,無くてもよい。S125の後は,決定処理を終了する。
【0051】
一方,トナーの消費期限切れの場合には(S122:YES),トナーの残量が第2閾値残量以上か否かを判断する(S131)。本形態の第2閾値残量は,S123の第1閾値残量よりも大きい値である。トナーの残量が第2閾値残量以上であれば(S131:YES),「小容量」と決定する(S132,決定部の一例)。すなわち,トナーの消費期限切れに達している段階で,トナーが大量に残っている場合には,トナーの使用量が少ない使用状況であり,未使用で廃棄されるトナーが多くなる。そこで,そのような使用状況においては,小容量カートリッジが適切である。S132の後は,決定処理を終了する。
【0052】
また,トナーの消費期限切れではない場合であって(S122:NO),トナーの残量が第1閾値残量以上の場合(S123:NO),あるいはトナーの残時間が閾値時間よりも短い場合(S124:NO),さらには,トナーの消費期限切れの場合であって(S122:YES),トナーの残量が第2閾値残量よりも少ない場合(S131:NO),大容量か小容量かが決定されない。そこで,次の判断として,現像ローラ411の回転数が閾値回数よりも多いか否かを判断する(S141)。現像ローラ411の回転数が閾値回数以下の場合には(S141:NO),使用状況の判断精度が低いことから,未決定のまま決定処理を終了する。
【0053】
現像ローラ411の回転数が閾値回数よりも多い場合には(S141:YES),次の式(1)に従ってトナーの残量比率Aを算出する(S142)。
A=トナー残量/トナー量の初期量 (1)
トナー量の初期量は,新品状態のカートリッジのトナー量であり,カートリッジの装着時に,当該カートリッジのICチップから読み出され,NVRAM34に記憶される。
【0054】
また,次の式(2)に従って現像ローラ411の残回転比率Bを算出する(S143)。S142とS143は,逆順であっても,同時であってもよい。
B=(耐久回転数−現像ローラの回転数)/耐久回転数 (2)
耐久回転数も,トナー量の初期量と同様に,カートリッジの装着時に,例えば,当該カートリッジのICチップから読み出され,NVRAM34に記憶される。なお,耐久回転数から現像ローラの回転数を引いた値を「残回転数」とする。
【0055】
なお,プリンタ100が,型番と,新品状態のトナー量および耐久回転数とが対応付けられたデータベースを有している場合には,カートリッジのICチップからの読み出しによってあるいはユーザ入力によって型番を取得することで,新品状態のトナー量および耐久回転数を取得できる。
【0056】
次に,残量比率Aが残回転比率B以上であるか否かを判断する(S144)。図6に示すように,残量比率Aは,トナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合であって,トナー残量が少なくなるほど小さくなる。一方,残回転比率Bは,現像ローラ411の残回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合であって,残回転数が少なくなるほど小さくなる。カートリッジとしては,トナーの残量が0になった場合(トナーエンプティの場合)も,残回転数が0になった場合(現像ローラの回転数が耐久回転数に達した場合)も,寿命であり,いずれか先に到達した段階には寿命と判断される。
【0057】
そのため,残量比率Aが残回転比率B以上である場合には(S144:YES),現像ローラ411の残回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合が進んでおり,現像ローラ411の1回転あたりのトナーの消費量が少ない使用状況であることを意味する。そこで,残量比率Aから残回転比率Bを引いた差分が第1閾値率以上か否かを判断する(S145)。A−Bが第1閾値率以上の場合(S145:YES),すなわち現像ローラ411の残回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合が,トナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合と比較して極端に進んでいる場合には,現像ローラ411の回転数が耐久回転数となった段階で,大量の未使用トナーが生じる可能性が高い。よって,トナーと現像ローラ411とをバランスよく消耗させ,どちらかの無駄を回避するために,「小容量」と決定する(S146,決定部の一例)。S146の後は,決定処理を終了する。
【0058】
一方,残量比率Aが残回転比率Bよりも小さい場合には(S144:NO),トナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合が進んでおり,印刷1回あたりのトナーの使用量が多い使用状況であることを意味する。そこで,残回転比率Bから残量比率Aを引いた差分が第2閾値率以上か否かを判断する(S161)。B−Aが第2閾値率以上の場合(S161:YES),すなわちトナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合が,現像ローラ411の残回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合と比較して極端に進んでいる場合には,現像ローラ411の回転数が耐久回転数になるかなり前にトナーを使い切る可能性が高い。そのため,「大容量」と決定する(S162,決定部の一例)。S162の後は,決定処理を終了する。
【0059】
また,A−Bが第1閾値率よりも小さい場合(S145:NO),あるいはB−Aが第2閾値率よりも小さい場合(S161:NO),現像ローラ411の回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合と,トナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合とに差がなく,両者のバランスが取れている。そのため,大容量か小容量かの決定は行わず,決定処理を終了する。
【0060】
なお,第1の形態の決定処理では,S123〜S125による大容量決定と,S131〜S132による小容量決定と,S145〜S146による小容量決定と,S161〜S162による大容量決定とを行っているが,少なくとも1つの決定判断を行えばよく,必ずしも全てを行う必要はない。
【0061】
[決定処理の第2の形態]
図7は,第2の形態の決定処理の手順を示している。第2の形態の決定処理では,先ず,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kの現カートリッジの使用情報を取得する(S221,取得部の一例)。
【0062】
S221にて取得する使用情報には,トナーの残量,現像ローラ411,トナー量の初期量,現像ローラ411の耐久回転数の回転数が含まれる。これらの取得内容は,決定項目によって異なる。
【0063】
S221の後,現像ローラ411の回転数が閾値回数よりも多いか否かを判断する(S141)。現像ローラ411の回転数が閾値回数以下の場合には(S141:NO),未決定のまま決定処理を終了する。
【0064】
現像ローラ411の回転数が閾値回数よりも多い場合には(S141:YES),トナーの残量比率Aを算出し(S142),さらに現像ローラ411の残回転比率Bを算出する(S143)。
【0065】
次に,残量比率Aから残回転比率Bを引いた差分が閾値率以上か否かを判断する(S245)。A−Bが閾値率以上の場合(S245:YES),すなわち現像ローラ411の回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合が,トナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合と比較して極端に進んでいる場合には,「大粒径」と決定する(S246,決定部の一例)。大粒径カートリッジを使用することで,小粒径カートリッジと比較してトナー漏れが発生し難く,現像ローラ411の劣化によるカートリッジの寿命短縮を回避できる。S246の後は,決定処理を終了する。
【0066】
また,A−Bが閾値率よりも小さい場合(S145:NO),現像ローラ411の回転数を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合と,トナー残量を基準とするカートリッジの寿命までの進行度合とに差がなく,両者のバランスが取れている。そのため,大粒径か小粒径かの決定は行わず,決定処理を終了する。
【0067】
なお,第2の形態の決定処理では,現像ローラ411の回転数が閾値回数よりも多い場合に(S141:YES),S142〜S245を実行せずに,「大粒径」と決定してもよい。また,第2の形態の決定処理では,小粒径の決定を行っていないが,必要に応じて小粒径に決定してもよい。
【0068】
また,第1および第2の形態の決定処理では,カートリッジの決定要素としてトナー残量と現像ローラ411の回転数とを適用しているが,これに限るものではない。例えば,今までの印刷履歴に基づいて間接的にカートリッジの使用状況を推測してもよい。
【0069】
例えば,印字比率C(=印字ドットカウント/現像ローラの回転数)を算出し,印字比率Cが閾値比率よりも小さい場合には,小容量ないし大粒径に決定してもよい。印字比率Cが小さい印刷(例えば,トナーセーブモード,低濃度,白紙データ)が多い使用状況においては,大容量カートリッジではトナーの無駄が多く,小粒径のトナーは漏れが発生し易い。そのため,小容量あるいは大粒径あるいはその両方が好適である。
【0070】
また,この他,使用情報として,FAXジョブの受信回数を取得し,その受信回数が閾値回数よりも多い場合には,大粒径に決定してもよい。FAXジョブは,PCからの印刷ジョブと比較して受信タイミングにばらつきがあり,ウォーミングアップ等,現像ローラ411を空回しをする機会が多い。そのため,現像ローラ411の劣化が進行し易い。また,現像ローラ411の空回しが多いと,現像ローラ411の残回転数比率とトナー残量比率との差が大きくなることから,カートリッジが消費期限に達した時に未使用のまま残るトナーが多くなる。従って,大容量カートリッジではトナーの無駄が多く,小粒径のトナーは漏れが発生し易い。そのため,小容量あるいは大粒径あるいはその両方が好適である。
【0071】
また,この他,使用情報として,用紙サイズが所定サイズよりも小さいサイズで印刷を行った回数を取得し,その回数が閾値回数よりも多い場合には,大粒径に決定してもよい。小サイズ紙の印刷は,定着装置8の定着ローラに温度ムラが発生し易い。そのため,小サイズ紙の用紙搬送制御では,この温度ムラを緩和するために,紙間を広くする。その結果として現像ローラ411の空回しの期間も長くなる。そのため,カートリッジの消費期限到達時の未使用のトナーの量が多くなり易く,トナーの消費量に比べて現像ローラ411の劣化が進行し易い。従って,大容量カートリッジではトナーの無駄が多く,小粒径のトナーは漏れが発生し易い。そのため,小容量あるいは大粒径あるいはその両方が好適である。
【0072】
また,この他,使用情報として,所定期間内の用紙ジャムの回数を取得し,その回数が閾値回数よりも多い場合には,大粒径に決定してもよい。用紙ジャムが発生すると,カバー15を開閉して補修作業を行うことになり,そのカバー開閉に連動して現像ローラ411の回転を伴うウォーミングアップが行われる。その結果として現像ローラ411の空回しの期間も長くなる。そのため,カートリッジの消費期限到達時の未使用のトナーの量が多くなり易く,トナーの消費量に比べて現像ローラ411の劣化が進行し易い。従って,大容量カートリッジではトナーの無駄が多く,小粒径のトナーは漏れが発生し易い。そのため,小容量あるいは大粒径あるいはその両方が好適である。
【0073】
図4の推奨通知処理の説明に戻り,S102の決定処理の後は,S102で決定されたカートリッジの種類が,現カートリッジの種類を同じか否かを判断する(S103)。現カートリッジと同じ場合,わざわざ推奨カートリッジを通知しなくても,同じカートリッジに交換される可能性が高い。寧ろ,ユーザにとっては通知の確認作業が発生する分,手間になることも考えられる。また,現カートリッジと同じであるため,推奨されたカートリッジに交換したとしても改善が期待できない。そのため,ユーザが困惑する可能性もある。そこで,決定されたカートリッジの種類が,現カートリッジの種類と同じであれば(S103:YES),S104以降の通知を回避し,S107に移行する。
【0074】
一方,決定されたカートリッジの種類が,現カートリッジの種類と同じでなければ(S103:NO),S104以降の通知に移行する。先ず,S102の決定結果が小容量カートリッジであったか否かを判断する(S104)。小容量カートリッジの決定であった場合には(S104:YES),次回のカートリッジを小容量カートリッジにする旨をユーザに通知する(S111,通知部の一例)。
【0075】
通知方法としては,例えば,図8に示すように表示部41へのメッセージ表示が該当する。また,プリンタ100に通知先を登録し,その通知先にメール送信するように構成してもよい。また,音声ガイダンスであってもよい。通知内容としては,小容量カートリッジに該当する具体的な型番等を通知してもよい。S111の後は,S107に移行する。
【0076】
小容量カートリッジの決定でなければ(S104:NO),S102の決定結果が大容量カートリッジであったか否かを判断する(S105)。大容量カートリッジの決定であった場合には(S105:YES),次回のカートリッジを大容量カートリッジにする旨をユーザに通知する(S112,通知部の一例)。S112の後は,S107に移行する。
【0077】
大容量カートリッジの決定でなければ(S105:NO),S102の決定結果が大粒径カートリッジであったか否かを判断する(S106)。大粒径カートリッジの決定であった場合には(S106:YES),次回のカートリッジを大粒径カートリッジにする旨をユーザに通知する(S113,通知部の一例)。S113の後は,S107に移行する。
【0078】
大粒径カートリッジの決定でなければ(S106:NO),S102の決定処理で適切なカートリッジが見つからなかったと判断できるため,何も通知することなく,S107に移行する。
【0079】
その後,S107では,プリンタ100の電源オフの指示があったか否かを判断する(S107)。電源オフの指示がない場合には(S107:NO),S101に移行して,決定処理の実行タイミングになるまで待機する。電源オフの指示があった場合には(S107:YES),推奨通知処理を終了する。
【0080】
以上詳細に説明したように本形態のプリンタ100では,現在装着されている現カートリッジの使用情報に基づいて,適切なカートリッジの種類が決定される。そして,そのカートリッジの種類がユーザに通知される。これにより,適切なカートリッジへの交換が期待できる。
【0081】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタに限らず,複合機,FAX装置等,印刷機能を備えるものであれば適用可能である。また,プロセス部50の画像形成方式は,電子写真方式に限らず,インクジェット方式であってもよい。
【0082】
また,実施の形態では,重合トナーか粉砕トナーかによっての小粒径か大粒径かを判別しているが,トナーの平均粒径を基に小粒径か大粒径かを判別してもよい。小粒径と大粒径との閾値径は,トナーの材料や,求められる画質や寿命によって定義すればよい。例えば,重量平均粒径が,8μm以下であれば小粒径とする。
【0083】
また,実施の形態では,カートリッジから種類の情報を取得しているが,これに限るものではない。例えば,プリンタ100は,カートリッジの型番に応じてどの種類に該当するかの情報を記憶するデータベースを備え,カートリッジのICチップ等から型番を取得し,その型番とデータベースの情報とを照合することでカートリッジの種類を判別してもよい。
【0084】
また,カートリッジのICチップに記憶されている情報については,必要に応じてICチップにアクセスして読み出してもよいし,カートリッジの装着時に読み出してNVRAM34に記憶し,必要に応じてNVRAM34から読み出してもよい。
【0085】
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0086】
4 現像装置
411 現像ローラ
412 トナータンク
30 制御部
41 表示部
50 プロセス部
100 プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8