(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベーターシャフトの出入口をなすシャフト出入口に前記エレベーターシャフトの内外を連通しエアシャワーを備えたセキュリティー設備を連結して前記エレベーターシャフト内の付着物を処理するエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、
前記セキュリティー設備は、キャスターを備え、
前記エレベーターシャフト内の前記付着物を処理する際に前記シャフト出入口に連結され、
前記付着物を処理しないときに、前記シャフト出入口との連結を解除し前記キャスターを利用して移動し、
前記セキュリティー設備に設けられ、前記シャフト出入口と対向して前記エレベーターシャフト内と前記セキュリティー設備内とを連通する連通開口と、前記シャフト出入口とに、それぞれ前記連通開口及び前記シャフト出入口を開放可能に閉塞する閉塞部材を備え、
前記シャフト出入口との連結を解除する前に、前記閉塞部材を閉塞して前記シャフト出入口と前記セキュリティー設備とを各々密封状態とすることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物の処理方法。
エレベーターシャフト内の付着物を処理するときに前記エレベーターシャフトのシャフト出入口に連結されて前記エレベーターシャフトの内外を連通しエアシャワーを備えたセキュリティー設備であって、
前記付着物を処理しないときに、前記シャフト出入口との連結を解除して移動するためのキャスターを備え、
前記付着物を処理する際に開放可能であり、前記シャフト出入口との連結を解除する際に、前記シャフト出入口側を閉塞する閉塞部材を備えていることを特徴とするセキュリティー設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エレベーターシャフト内の付着物の処理は、複数の日に跨って作業が行われる場合がある。この作業期間中は、エレベーターシャフトの出入口にセキュリティー設備が設置された状態となる。たとえ、エレベーターシャフト内の付着物の処理が夜間に行われる場合であっても、昼の間中、エレベーターホールに、セキュリティー設備が設置された状態となり、エレベーターホールは狭く、使用者には不便を強いることとなるという課題がある。このため、付着物の処理を行う際にはセキュリティー設備を設置し、処理を行わないときには、エレベーターホールから撤去しておくことが望ましいが、セキュリティー設備の組み立て、解体、搬出入を繰り返すことは、多大な時間と手間とを要するという課題がある。
【0005】
本発明はかかる従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、エレベーターシャフト内の付着物の処理が行われる工期中であってもエレベーターホールを有効に使用することが可能なエレベーターシャフト内の付着物の処理方法、及び、セキュリティー設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明のエレベーターシャフト内の付着物の処理方法は、
エレベーターシャフトの出入口をなすシャフト出入口に前記エレベーターシャフトの内外を連通しエアシャワーを備えたセキュリティー設備を連結して前記エレベーターシャフト内の付着物を処理するエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、
前記セキュリティー設備は、キャスターを備え、
前記エレベーターシャフト内の前記付着物を処理する際に前記シャフト出入口に連結され、
前記付着物を処理しないときに、前記シャフト出入口との連結を解除し前記キャスターを利用して
移動し、
前記セキュリティー設備に設けられ、前記シャフト出入口と対向して前記エレベーターシャフト内と前記セキュリティー設備内とを連通する連通開口と、前記シャフト出入口とに、それぞれ前記連通開口及び前記シャフト出入口を開放可能に閉塞する閉塞部材を備え、
前記シャフト出入口との連結を解除する前に、前記閉塞部材を閉塞して前記シャフト出入口と前記セキュリティー設備とを各々密封状態とすることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物の処理方法である。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、エレベーターシャフト内の付着物を処理する際には、シャフト出入口にセキュリティー設備を連結し、付着物を処理しないときには、セキュリティー設備を移動するのでエレベーターホールを有効に使用することが可能である。また、セキュリティー設備はキャスターを備えているので移動が容易である。このため、例えば、付着物の処理が複数日に跨って行われる場合であり、夜間のみ処理を行う場合には、セキュリティー設備を夜間はシャフト出入口に連結し、昼にはエレベーターホールの外に移動することも容易である。このため、エレベーターホールの利用者が多い昼の間は、エレベーターホールをより広く確保することが可能である。
【0007】
また、シャフト出入口と前記セキュリティー設備との連結を解除する前には、連通開口とシャフト出入口とに設けられた閉塞部材を閉塞して、シャフト出入口とセキュリティー設備とを各々密封状態とするので、シャフト出入口との連結を解除しても、処理により、エレベーターシャフト内及びセキュリティー設備内に浮遊した付着物が外部に拡散しない。このため、付着物を外部に拡散させることなくセキュリティー設備をエレベーターシャフトから分離することが可能である。
【0008】
かかるエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、前記エレベーターシャフト内の前記付着物を処理する際には、前記連通開口と前記シャフト出入口の前記閉塞部材を各々開放し、前記連通開口の前記閉塞部材と前記シャフト出入口の前記閉塞部材との間を目張りすることが望ましい。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、エレベーターシャフト内の付着物を処理する際には、開放された連通開口の閉塞部材とシャフト出入口の閉塞部材との間が目張りされているので、処理により飛散する付着物が連通開口の閉塞部材とシャフト出入口の閉塞部材との間に入り込まない。このため、セキュリティー設備とシャフト出入口との連結を解除した際にも各々の閉塞部材の外側には付着物が存在しないので、外部に付着物を飛散させることなく、シャフト出入口との連結を解除したセキュリティー設備を移動させることが可能である。
【0009】
かかるエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、
前記セキュリティー設備は、前記シャフト出入口が臨むエレベーターホールから前記セキュリティー設備内への設備出入口が、前記エレベーターシャフトの内外方向に沿う
見込み壁面側と前記エレベーターシャフトの内外方向と交差する
見付け壁面側とに付け替え可能に設けられ、
前記エレベーターホールに応じて、前記見付け壁面側及び前記見込み壁面側のいずれかに設けることが望ましい。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、シャフト出入口の向き及びエレベーターホールの形状等に応じて設備出入口を設けることが可能である。また、設備出入口は、エレベーターシャフトの内外方向に沿う
見込み壁面側及びエレベーターシャフトの内外方向と交差する
見付け壁面側とのいずれにも付け替え可能なので、容易に設備出入口を所望の壁面側に設けることが可能である。
【0010】
かかるエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、前記セキュリティー設備は、前記エアシャワーを備えたエアシャワー室と、前記エアシャワー室と前記エレベーターシャフトとの間に設けられた前室と、前記設備出入口を有し前記前室との間に前記エアシャワー室を介して設けられた更衣室と、を有し、前記前室と前記エアシャワー室と前記更衣室とを、前記エレベーターシャフトの内外方向に沿う方向に並べて配置することを特徴とすることが望ましい。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、セキュリティー設備が有するエアシャワー室、前室、及び、更衣室は、シャフト出入口においてエレベーターシャフトの内外方向に沿う方向に並べて配置されているので、エレベーターホールにおいて、セキュリティー設備に対しエレベーターシャフトの内外方向と交差する方向にスペースを確保することが可能である。このため、たとえば、シャフト出入口がエレベーターホールにおいて、エレベーターシャフトの内外方向と交差する方向の端に設けられている場合には、付着物の処理が行われているときでもエレベーターホールをより広く使用することが可能である。
【0011】
かかるエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、前記セキュリティー設備は、前記エアシャワーを備えたエアシャワー室と、前記エアシャワー室と前記エレベーターシャフトとの間に設けられた前室と、前記設備出入口を有し前記前室との間に前記エアシャワー室を介して設けられた更衣室と、を有し、前記前室と前記エアシャワー室と前記更衣室とを、前記エレベーターシャフトの内外方向と交差する方向に並べて配置することが望ましい。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、セキュリティー設備が有するエアシャワー室、前室、及び、更衣室は、シャフト出入口においてエレベーターシャフトの内外方向と交差する方向に並べて配置されているので、エレベーターホールにおいて、セキュリティー設備に対しエレベーターシャフトと反対側にスペースを確保することが可能である。このため、たとえば、エレベーターシャフトの内外方向に沿う方向の幅が狭いエレベーターホールに、セキュリティー設備が設置された場合であってもエレベーターホールをより広く使用することが可能である。
【0012】
かかるエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、前記シャフト出入口に設けられた枠部材と、前記セキュリティー設備の前記シャフト出入口との連結部に設けられた設備枠部と、のいずれか一方が金属にて形成されており、前記枠部材と前記設備枠部との他方に設けられたマグネットの磁力により前記セキュリティー設備と前記シャフト出入口とを連結することが望ましい。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、シャフト出入口に設けられた枠部材と、前記セキュリティー設備に設けられた設備枠部とのいずれか一方が金属にて形成され、他方にマグネットが設けられているので、マグネットの磁力により、セキュリティー設備を、シャフト出入口に設けられた枠部材に容易に連結すること及び枠部材から容易に取り外すことが可能である。
【0013】
かかるエレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、前記セキュリティー設備は、前記エレベーターシャフト側に前記シャフト出入口の幅方向に移動可能な押圧部材を有しており、前記シャフト出入口の外側に設けられ当該シャフト出入口を形成し、互いに対向する側壁部間にて前記押圧部材を移動させて、前記セキュリティー設備を前記シャフト出入口と連結することとしても良い。
このようなエレベーターシャフト内の付着物の処理方法によれば、シャフト出入口の幅方向に移動可能な押圧部材が、シャフト出入口の外側の互いに対向する側壁部間にて移動して側壁部を押圧することによりシャフト出入口と連結されるので、サイズの異なるシャフト出入口の施工現場であっても容易にセキュリティー設備を設けることが可能である。
【0014】
また、エレベーターシャフト内の付着物を処理するときに前記エレベーターシャフトのシャフト出入口に連結されて前記エレベーターシャフトの内外を連通しエアシャワーを備えたセキュリティー設備であって、
前記付着物を処理しないときに、前記シャフト出入口との連結を解除して移動するためのキャスターを
備え、
前記付着物を処理する際に開放可能であり、前記シャフト出入口との連結を解除する際に、前記シャフト出入口側を閉塞する閉塞部材を備えていることを特徴とするセキュリティー設備である。
このようなセキュリティー設備によれば、付着物を処理する際には、シャフト出入口にセキュリティー設備を連結し、付着物を処理しないときには、連結を解除し、備えているキャスターを利用して容易に移動することが可能である。
【0015】
また、付着物の処理時にはシャフト出入口側を開放し、シャフト出入口との連結を解除する際には、前記シャフト出入口側が閉塞部材で閉塞されるので、セキュリティー設備をシャフト出入口との連結を解除して移動する際にも、セキュリティー設備からの付着物の飛散を防止することが可能である。
【0016】
かかるセキュリティー設備であって、前記シャフト出入口と係合する係合部を有することが望ましい。
このようなセキュリティー設備によれば、係合部によりシャフト出入口と容易に係合させることが可能である。
【0017】
かかるセキュリティー設備であって、前記係合部は、前記シャフト出入口を囲む部位に設けられた金属製の枠部材と磁力により連結されるマグネットを備えていることが望ましい。
このようなセキュリティー設備によれば、セキュリティー設備はマグネットの磁力によりシャフト出入口を囲む部位に設けられた金属製の枠部に取り付けられるので、より容易にセキュリティー設備をシャフト出入口に着脱することが可能である。
【0018】
かかるセキュリティー設備であって、前記係合部は、前記エレベーターシャフト側に突出して前記シャフト出入口の幅方向に移動可能な押圧部材であり、前記シャフト出入口の外側に設けられ当該シャフト出入口を形成して互いに対向する側壁部間にて前記押圧部材が移動されて前記シャフト出入口と連結することとしても良い。
このようなセキュリティー設備によれば、レベーターシャフト側に突出してシャフト出入口の幅方向に移動可能な押圧部材が、シャフト出入口の外側に設けられ当該シャフト出入口を形成して互いに対向する側壁部間にて移動されて、シャフト出入口と連結されるので、シャフト出入口を囲む部位が金属性でなくとも容易にセキュリティー設備をシャフト出入口に着脱することが可能である。
【0019】
かかるセキュリティー設備であって、
前記シャフト出入口が臨むエレベーターホールから前記セキュリティー設備内への設備出入口が、前記エレベーターシャフトの内外方向に沿う
見込み壁面側と前記エレベーターシャフトの内外方向と交差する
見付け壁面側とに付け替え可能に設けられていることが望ましい。
このようなセキュリティー設備によれば、シャフト出入口の向き及びエレベーターホールの形状等に応じて設備出入口を設けることが可能である。また、設備出入口は、エレベーターシャフトの内外方向に沿う
見込み壁面側及びエレベーターシャフトの内外方向と交差する
見付け壁面側とのいずれにも付け替え可能なので、容易に設備出入口を所望の壁面側に設ける、及び、現場に合わせて付け替えることが可能である。
【0020】
かかるセキュリティー設備であって、前記セキュリティー設備は、前記エアシャワーを備えたエアシャワー室と、前記エアシャワー室と前記エレベーターシャフトとの間に設けられた前室と、前記設備出入口を有し前記前室との間に前記エアシャワー室を介して設けられた更衣室と、を有し、前記前室と前記エアシャワー室と前記更衣室とを、前記エレベーターシャフトの内外方向に沿う方向及び前記エレベーターシャフトの内外方向と交差する方向のいずれにも並べて配置することが可能であることが望ましい。
このようなセキュリティー設備によれば、対象となるシャフト出入口の位置及びエレベーターホールの形状等に応じて配置することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エレベーターシャフト内の付着物の処理が行われる工期中であってもエレベーターホールを有効に使用することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態のエレベーターシャフト内の付着物の処理方法、及び、エレベーターシャフト内の付着物の処理に用いるセキュリティー設備の一例について図を用いて詳細に説明する。
【0024】
本実施形態のエレベーターシャフト内の付着物の処理方法として、エレベーターシャフト内の壁や梁などを被覆している付着物としてのアスベストを除去する処理を例に挙げて説明する。
【0025】
図1は、本発明にかかるエレベーターシャフト内の付着物の処理を行うときのエレベーターホールの様子を示す図である。
図2は、処理の対象となるエレベーターシャフト及びセキュリティールームを含むエレベーターホールを示す平面図である。
【0026】
本実施形態においてエレベーターシャフト1内のアスベストの処理の対象となるエレベーターEVは、
図1、
図2に示すように、所謂3連式のエレベーターEVであり、エレベーターシャフト1内には、3つの乗りかご5が左右に並列して設けられており、各乗りかご5は、それぞれに対応して上方に設置された巻き上げ機(不図示)によって、各昇降空間TRに沿って独立に昇降動作をする。アスベストを除去する処理とは、昇降空間TR内に設けられている鉄骨梁3等に耐火被覆として既に吹き付けられているアスベストに対し除去等の無害化処理を施し、さらに、新たにロックウールなどを耐火被覆として施す耐火被覆処理を施すものである。
【0027】
なお、以下の説明では、
図1に示すように、互いに直交する三方向をそれぞれ、エレベーターシャフト1内を乗りかごが昇降する方向を上下方向(鉛直方向)、乗りかご5に乗り降りするための出入口(以下、シャフト出入口という)1aが設けられた壁2に沿う方向を左右方向、及び、乗りかご5に対して奥行き方向となる方向を前後方向という。
【0028】
上述したような3連式等の多連式エレベーターEVの場合にエレベーターシャフト1全体を隔離密閉養生すると、全てのエレベーターEVが使えなくなり著しく不便となるので、少なくとも1台のエレベーターEVを稼働状態としたままで無害化処理が実施される。
【0029】
このため、例えば、エレベーターシャフト1内を水平方向の左右に分けるように仕切って、作業空間を乗りかご単位、つまり昇降空間TR単位(エレベーターEV単位)で密閉区画して順次処理が行われる。そして作業者は、処理の対象となる昇降空間TRのシャフト出入口1aから出入りする。作業後の作業者の衣服には、アスベストが付着しているので、作業後にエレベーターホール7に出る際には、付着したアスベストをエレベーターホール7に出る前に落とさなければならない。このため、作業中のエレベーターシャフト1には、処理の対象となる昇降空間TRと連通するシャフト出入口1aにエアシャワーユニット15を備えたセキュリティー設備としてのセキュリティールーム10が連結されている。すなわち、作業対象の昇降空間TR内にはセキュリティールーム10を介して出入りされる。
【0030】
図3は、セキュリティールームの平面図である。
図4は、
図3におけるA矢視図である。
図5は、
図4におけるB矢視図である。
【0031】
セキュリティールーム10は、
図3に示すように、エアシャワーユニット15を備えたエアシャワー室14と、エアシャワー室14とエレベーターシャフト1との間に設けられた前室11と、外部となるエレベーターホール7からセキュリティールーム10への出入口となる設備出入口10aを有し、前室11との間にエアシャワー室14を介して設けられた更衣室17と、が一体に形成されている。すなわち、セキュリティールーム10は、前室11、エアシャワー室14、更衣室17の順で配置されている。前室11、エアシャワー室14、更衣室17の各部屋は、平面視ほぼ正方形状をなしており、3つの部屋からなるセキュリティールーム10は、長方形状をなしている。
【0032】
本実施形態のエレベーターEVが設けられているエレベーターホール7は、
図2に示すように、2つの3連式のエレベーターEVが、互い間隔を隔てて平行に配置されており、それらの間を人が通り抜けられるように配置されている。このため、設置されたセキュリティールーム10が人の往来及び通り抜けの妨げとならないように、人が通り抜ける方向、すなわち、3連式のエレベーターEVが有する3つのエレベーターEVが並べられている方向に沿って、セキュリティールーム10の3つの部屋が並ぶように配置されて、セキュリティールーム10はエレベーターシャフト1に連結されている。
【0033】
セキュリティールーム10は、キャスター21を備えた基台部20、40と、基台部20、40上に設けられてセキュリティールーム10の壁部及び天井部を形成するルーム本体30、50とを有している。
【0034】
また、本セキュリティールーム10は、移動時の作業性を考慮して、前室11と、エアシャワー室14及び更衣室17とが、分離可能に接合されている。このため、基台部20、40とルーム本体30、50とは、ルーム本体30、50が基台部20、40上に設けられた状態で、エアシャワー室14及び更衣室17を一体とした二室ユニット13が前室11から容易に着脱できるように構成されている。
【0035】
前室11の基台部20は、例えば、4本の金属製の角パイプ22aが前室の広さをなすように矩形状に溶接された基台枠22の内側にコンポジットパネルでなる床材23が設けられており、基台枠22における四隅の下面に、
図5に示すように、キャスター21が設けられている。
【0036】
前室11のルーム本体30は、基台枠22上に重なるように配置される、例えば金属製の角パイプ31でなる下角パイプ枠33と、下角パイプ枠33と上下方向に間隔を隔てて、ほぼ平行に配置される上角パイプ枠34とが、鉛直方向に沿う金属製の角パイプ31にて四隅が溶接されて形成される前室フレーム32を有している。
【0037】
前室フレーム32は、下角パイプ枠33により形成される下開口と、上角パイプ枠34により形成される上開口と、周囲四方向に開放された4つの側開口とを有している。上開口には、前室11の天井をなす天井材35が設けられ、4つの側開口のうち2つは、
図4に示すようなシャフト出入口と対向してエレベーターシャフト1内と連通する連通開口36と、エアシャワー室14と接合される前室側接合開口37とであり、残る2つの側開口には側壁をなし両面化粧板でなる側壁材38が設けられている。
【0038】
また、連通開口36には、全面を覆い開放可能に閉塞する閉塞部材としてのカバーシート39が設けられている。カバーシート39には、ファスナー39aにてコ字状に開閉可能な開閉口39bが設けられている。カバーシート39のファスナー39aにて開閉口39bを閉塞するとセキュリティールーム10を密閉できるように構成されている。このようなカバーシート39は、エレベーターシャフト1のシャフト出入口1aにも設けられており、シャフト出入口1aにセキュリティールーム10が連結されたときに、2枚のカバーシート39の開閉口39bの位置がほぼ一致するように設けられている。
【0039】
図6(a)は、
図4におけるC―C断面を示す模式図であり、
図6(b)は、
図6(a)に示された部位をセキュリティールーム内から見た模式図である。
【0040】
シャフト出入口1aにセキュリティールーム10が連結されてアスベストの処理がなされるときには、2枚のカバーシート39の開閉口39bが開放された状態にて、
図6(a)、
図6(b)に示すように、開閉口39bの縁に沿って2枚のカバーシート39を挟むように2枚のカバーシート39間にわたるように、封止部材(ここでは粘着テープ77)にて目張りが施される。たとえば、粘着テープ77が2枚のカバーシート39を跨ぐように、シャフト出入口1a側のカバーシート39のエレベーターシャフト1に臨む面と、セキュリティールーム10側のカバーシート39のセキュリティールーム10内に臨む面とに貼り付けられている。このとき粘着テープ77は、開閉口39bのコ字状をなす部位だけでなく、開閉口39bを開放すべくめくられた開閉シート部39cが、シャフト出入口1a側またはセキュリティールーム10側にて重ねられ、重ねられた2枚の開閉シート部39cの縁にも、粘着テープ77が2枚の開閉シート部39cを跨ぐように、シャフト出入口1a側の開閉シート部39cと、セキュリティールーム10側の開閉シート部39cとに貼り付けられている。このため、シャフト出入口1a側の開閉口39bとセキュリティールーム10側の開閉口39bとがいずれも開放された状態であっても、開放された開閉口39bの周縁及び開閉シート部39cの周縁から、2枚のカバーシートの間にアスベストが拡散しない。
【0041】
また、シャフト出入口1aとセキュリティールーム10との連結を解除する際には、解除する前に、目張りを外してファスナー39aにより各々の開閉口39bを締め、閉じられたファスナー39aに沿って粘着テープにて目張りが施される。このとき、アスベストの除去処理の間は、シャフト出入口1a側のカバーシート39とセキュリティールーム10側のカバーシート39との間に目張りが施されているので、シャフト出入口1a側のカバーシート39のセキュリティールーム10側の面と、セキュリティールーム10側のカバーシート39のエレベーターシャフト1側の面とには、アスベストが付着していない。このため、シャフト出入口1aとセキュリティールーム10との連結を解除して、セキュリティールーム10をシャフト出入口1aから分離して移動させても、エレベーターホール7等にアスベストは拡散されない。
【0042】
本実施形態のセキュリティールーム10は、3連式のエレベーターEVが有する3つのエレベーターEVが並べられている方向に沿って、3つの部屋が並ぶように配置されるので、連通開口36と前室側接合開口37とが隣接し、前室11にて開放されている2つの側面が直交する方向に設けられている。また、本セキュリティールーム10は、前室フレーム32の4つの側開口に側壁材38を設ける位置を変えることにより、連通開口36と前室側接合開口37の位置を変えることが可能である。このため、前室が備える4つの側開口において対面する位置に配置すると、セキュリティールーム10を3つのエレベーターEVが並ぶ方向と交差する方向に3つの部屋が並ぶように配置を変更することが可能である。
【0043】
エアシャワー室14と更衣室17とが一体となった二室ユニット13の基台部40は、例えば、4本の金属製の角パイプ22aがエアシャワー室14と更衣室17の広さをなすような矩形状をなし、さらにエアシャワー室14と更衣室17との間に位置するように配置された1本の金属製の角パイプ22aが溶接された基台枠41の内側に2枚のコンポジットパネルでなる床材23が設けられており、基台枠41における四隅の下面に、
図5に示すように、キャスター21が設けられている。
【0044】
二室ユニット13のルーム本体50は、基台枠41上に重なるように配置される、例えば金属製の角パイプ31でなる下角パイプ枠53と、下角パイプ枠53と上下方向に間隔を隔てて、ほぼ平行に配置される上角パイプ枠54とが、鉛直方向に沿う金属製の角パイプ31にて四隅及びエアシャワー室14と更衣室17との間が溶接されて形成される二室フレーム52を有している。
【0045】
二室フレーム52は、下角パイプ枠53により形成される下開口と、上角パイプ枠54により形成される上開口と、周囲四方向に開放された6つの側開口とを有している。上開口には、エアシャワー室14及び更衣室17の天井をなす天井材35が設けられ、6つの側開口のうち1つは、前室11の前室側接合開口37と着脱可能に接合される二室ユニット側接合開口57である。残る5つの側開口のうちの1つは、エレベーターホール7からセキュリティールーム10への出入口をなす設備出入口10aと、設備出入口10aを開放可能に閉止する扉51aとを有する扉ユニット51が設けられ、他の1つの側開口には、
図4に示すように、エアシャワーユニット15が設けられ、残りの3つの側開口には側壁をなし両面化粧板でなる側壁材38が設けられている。
【0046】
本セキュリティールーム10は、脱衣室17の、エアシャワー室14側でない3つの側開口に側壁材38を設ける位置を変えることにより、扉ユニット51の位置を変えることが可能である。このため、扉ユニット51を、設備出入口10aをエレベーターシャフト1の内外方向となる奥行き方向に沿う見込み壁面側及びエレベーターシャフト1の奥行き方向と交差する見付け壁面側とのいずれにも設けることができるように構成されている。また、側壁材38と扉ユニット51とを外形寸法を同一としておくと、扉ユニット51と側壁材38とを容易に付け替えることが可能となる。
【0047】
本実施形態のセキュリティールーム10では、扉ユニット51が二室ユニット側接合開口57と対向する部位に設けられている。また、エアシャワーユニット15は、前室11と二室ユニット13とが接合されたときに、連通開口36と並んで隣接する側開口に設けられている。
【0048】
各側壁材38と各角パイプ31との間は、粘着テープなどで目張りが施されたり、各パイプ31の周面から突出されたヒレ部(不図示)などが側壁材38に挿入されたりして、各側壁材38と各角パイプ31との間が密閉されている。また、基台枠22、41と下角パイプ枠33、53との間は、隙間なく溶接されている。
【0049】
二室ユニット側接合開口57には前室11とエアシャワー室14とを、また、エアシャワー室14と更衣室17との間にはエアシャワー室14と更衣室17とを、それぞれ仕切る仕切部材60が設けられている。仕切部材60は、例えば可撓性を有する2枚の樹脂製のシート材61にて構成されている。2枚のシート材61は、縁部が、天井に位置する角パイプ31と、エアシャワーユニット15が備える側壁15aの縁及びエアシャワーユニット15と対向する側壁材38が設けられている鉛直の角パイプ31とに、隙間なく取り付けられている。2枚のシート材61は中央側にて互いに重なるように構成されており、重なり部分を開くことにより、前室11とエアシャワー室14との間、エアシャワー室14と更衣室17との間をそれぞれ往来可能であり、通り抜けた後に2枚のシート材61が重なりあって仕切られるように構成されている。
【0050】
そして、前室11と二室ユニット13とは、前室側接合開口37となす角パイプ31と、二室ユニット側接合開口57をなす角パイプ31とが、例えば両者を跨ぐプレート(不図示)がビス止めされたり、両者を挟むクランプ等にて接合されたりしたのち、接合された角パイプ31間が粘着テープ(不図示)にて目張りされてセキュリティールーム10が構成される。
【0051】
ここで、本実施形態では、前室側接合開口37と二室ユニット側接合開口57とがいずれも角パイプ31にて囲まれており、角パイプ31同士を繋ぐことにより前室11と二室ユニット13とを接合する方法を例に挙げて説明したが、これに限らず、たとえば、前室側接合開口37と二室ユニット側接合開口57のいずれか一方のみが角パイプ31にて囲まれており、この角パイプ31から、前室側接合開口37と二室ユニット側接合開口57との他方に向かって突出させたヒレ等が、他方側に設けられている側壁材38に差し込まれて接合されても構わない。
【0052】
セキュリティールーム10をエレベーターシャフト1に連結する際には、
図1、
図2に示すように、エレベーターシャフト1のシャフト出入口1aのエレベーターシャフト1より外側に、セキュリティールーム10を取り付けるための枠部材としての取付枠70を予め取り付けておく。
【0053】
図7は、エレベーターシャフト側に設けられた取付枠を示す図である。
本実施形態の例では、エレベーターシャフト1を形成する、エレベーターホール7の壁2にてシャフト出入口1aを形成する部位の周囲に、
図7に示すように、取付枠70を粘着テープ(不図示)等により固定している。
【0054】
取付枠70は、セキュリティールーム10の連通開口36の幅に合わせて、間隔を調整可能な2本の縦枠材71、72と、セキュリティールーム10の連通開口36の高さに合わせて2本の縦枠材71、72の上端部側に架け渡される上枠材73とで構成されている。以下の説明では、2本の縦枠材71、72のうち、連通開口36を形成しセキュリティールーム10の端に位置する角パイプ31と対向する縦枠材を端側縦枠材71といい、連通開口36を形成し前室11とエアシャワー室14との境界に設けられる角パイプ31と対向する縦枠材を境界側縦枠材72という。
【0055】
端側縦枠材71、境界側縦枠材72、及び、上枠材73は、
図2、
図7に示すように、いずれも中空の金属製の部材であり、端側縦枠材71の水平断面及び上枠材73の縦断面が、長方形の1つの角部が内側に向かって直角に窪ませた凹部71a、73aを有しており、凹部71a、73aは、端側縦枠材71及び上枠材73の長手方向に沿ってほぼ全長にわたって設けられている。端側縦枠材71及び上枠材73は、凹部71a、73aが設けられている部位がエレベーターホール7に臨むように取り付けられる。また、端側縦枠材71は取り付けられた状態にて、凹部71aが左右方向において右側に位置し、上枠材73は取り付けられた状態にて、凹部73aが上下方向において下側に位置している。すなわち、端側縦枠材71、及び、上枠材73は、凹部71a、73aがシャフト出入口1a側に位置するように取り付けられる。
【0056】
境界側縦枠材72は、水平断面が矩形状をなしており、取り付けられた際にエレベーターホール7に臨む面72aが、端側縦枠材71及び上枠材73の凹部71a、73aにおいてエレベーターホール7に臨む面71b、73bと同一平面をなすように形成されている。
【0057】
このため、端側縦枠材71、境界側縦枠材72、及び、上枠材73にて取付枠70を形成したときには、端側縦枠材71及び上枠材73の凹部71a、73aにてエレベーターホール7に臨む面71b、73bと、境界側縦枠材72のエレベーターホール7に臨む面72aとが面一となり、端側縦枠材71のシャフト出入口1aと反対側及び上枠材73の上側の部位が、凹部71a、73aよりエレベーターホール7側に突出している。このとき、端側縦枠材71の突出する部位と上枠材73の、エレベーターホール7側に突出する部位とは繋がるように配置され、目張りが施されている。
【0058】
そして、面一をなす端側縦枠材71及び上枠材73の凹部71a、73aにてエレベーターホール7に臨む面71b、73bと、境界側縦枠材72のエレベーターホール7に臨む面72aとには、シート状のマグネット75が設けられている。ここで、連通開口を形成している角パイプ31が設備枠部であり、マグネット75の磁力により取付枠70に引き付けられる、連通開口を形成する角パイプ31で形成された設備枠部が係合部の一例に相当する。
【0059】
セキュリティールーム10をエレベーターシャフト1に連結する際には、まず、キャスター21を利用してエレベーターホール7に前室11と二室ユニット13とを各々搬入し、前室11と二室ユニット13とを接合しセキュリティールーム10を組み立てる。次に、組み立てられたセキュリティールーム10の連通開口36を形成している金属製の角パイプ31のうち、左右に設けられている2本の角パイプ31と、左右2本の角パイプ31を上端部で繋いでいる角パイプ31を取付枠70に設けられたマグネット75に当接する。連通開口36を形成している3本の角パイプ31を取付枠70に設けられたマグネット75に当接するとマグネット75の磁力により上部と左右の三方が気密に連結される。
【0060】
次に、連通開口36を形成している下側の角パイプ31に、
図5に示すように、断面がL形をなす閉塞プレート76を固定する。
【0061】
閉塞プレート76は、下側の角パイプ31上に載置されて固定される載置板部76aと、載置板部76aのエレベーターシャフト1側の縁から垂設された垂設板部76bとを有しており、左右方向において連通開口36の全域にわたるように取り付けられる。垂設板部76bは、載置板部76aが角パイプ31に固定されたときに、下縁76cがエレベーターホール7の床面に近接するように延出されている。
【0062】
閉塞プレート76は、載置板部76aが角パイプ31に固定された後に、下縁76cとエレベーターホール7の床面との間、及び、垂設板部76bの左右の縁と端側縦枠材71及び境界側縦枠材72との間が粘着テープ77にて目張りされる。閉塞プレート76が取り付けられて目張りされると、セキュリティールーム10がエレベーターシャフト1に気密に連結される。
【0063】
セキュリティールーム10とエレベーターシャフト1とが気密に連結された状態にて、エレベーターシャフト1側とセキュリティールーム10側にそれぞれ設けられているカバーシート39の開閉口39bを開放し、開閉口39bの縁に沿って粘着テープにて目張りを施し、エレベーターシャフト1内のアスベストの除去処理が行われる。また、アスベストの処理を一時的に中断する場合には、エレベーターシャフト1側とセキュリティールーム10側に設けられているカバーシート39の開閉口39bを各々閉じ、閉じられたファスナー39aの部分を粘着テープ等にて目張りしたうえでシャフト出入口1aとセキュリティールーム10との連結を解除して、セキュリティールーム10をエレベーターホール7外にキャスター21を利用して移動する。そして再びアスベストの処理を行う場合には、セキュリティールーム10をエレベーターホール7に搬入してシャフト出入口1aに連結する。このとき、セキュリティールーム10の搬入時に、前室11と二室ユニット13とを分離する必要がある場合には、前室11と二室ユニット13との接合部にもカバーシート39を設けて前室11と二室ユニット13と分離して移動できるようにしておく。
【0064】
本実施形態のエレベーターシャフト1のアスベストの除去方法、及び、エレベーターシャフト1のアスベストの除去に用いるセキュリティールーム10によれば、エレベーターシャフト1内のアスベストを処理する際には、シャフト出入口1aにセキュリティールーム10を連結し、アスベストを処理しないときには、セキュリティールーム10とシャフト出入口1aとの連結を解除してセキュリティールーム10を移動するのでエレベーターホール7を有効に使用することが可能である。また、セキュリティールーム10はキャスター21を備えているので移動が容易である。このため、例えば、アスベストの処理が複数日に跨って行われる場合であり、夜間のみ処理を行う場合には、セキュリティールーム10を夜間はシャフト出入口1aに連結し、昼にはシャフト出入口1aとの連結を解除してエレベーターホール7外に移動することも容易である。このため、エレベーターホール7の利用者が多い昼の間は、エレベーターホール7をより広く確保することが可能である。
【0065】
また、シャフト出入口1aとセキュリティールーム10との連結を解除する前には、シャフト出入口1aとセキュリティールーム10とをカバーシート39により各々密封状態とするので、シャフト出入口1aとの連結を解除しても、アスベストの除去処理によりエレベーターシャフト1内及びセキュリティールーム10内に浮遊したアスベストが外部に拡散しない。このため、アスベストを外部に拡散させることなくセキュリティールーム10をシャフト出入口1aから分離することが可能である。
【0066】
また、エレベーターシャフト1内のアスベストを除去する際には、開放された連通開口36のカバーシート39とシャフト出入口1aのカバーシート39との間が粘着テープ等にて目張りされているので、除去処理により飛散するアスベストが連通開口36のカバーシート39とシャフト出入口1aのカバーシート39との間に入り込まない。このため、セキュリティールーム10とシャフト出入口1aとの連結を解除した際にも各々のカバーシート39の外側にはアスベストが存在しないので、外部にアスベストを飛散させることなく、シャフト出入口1aとの連結を解除したセキュリティールーム10を移動させることが可能である。
【0067】
また、シャフト出入口1aの向き及びエレベーターホール7の形状等に応じて設備出入口10a及び扉51aを設けることが可能である。
【0068】
本実施形態においては、扉51aを、セキュリティールーム10の、エレベーターシャフト1の奥行き方向に沿う側に設けた例について説明したが、扉51aを有するエレベーターシャフト1の奥行き方向と交差する方向に沿う側のいずれにも付け替え可能なので、容易に設備出入口10aを所望の側に設けることが可能である。
【0069】
また、セキュリティールーム10が有するエアシャワー室14、前室11、及び、更衣室17は、シャフト出入口1aにおいてエレベーターシャフト1の奥行き方向に沿う方向に並べて配置されているので、エレベーターホール7において、セキュリティールーム10に対しエレベーターシャフト1の奥行き方向と交差する方向にスペースを確保することが可能である。このため、たとえば、シャフト出入口1aがエレベーターホール7において、エレベーターシャフト1の奥行き方向と交差する方向の端に設けられている場合には、アスベストの処理が行われているときでもエレベーターホール7をより広く使用することが可能である。
【0070】
また、セキュリティールーム10が有する前室11、エアシャワー室14、及び、更衣室17は、シャフト出入口1aにおいてエレベーターシャフト1の奥行き方向と交差する方向に並べて配置されているので、エレベーターホール7において、セキュリティールーム10に対しエレベーターシャフト1と反対側にスペースを確保することが可能である。このため、たとえば、エレベーターシャフト1の奥行き方向に沿う方向の幅が狭いエレベーターホール7に、セキュリティールーム10が設置された場合であってもエレベーターホール7をより広く使用することが可能である。
【0071】
また、セキュリティールーム10は、キャスター21が設けられているので、容易に配置を変更することが可能である。
【0072】
また、セキュリティールーム10の前室フレーム32が金属製の角パイプ31にて形成され、シャフト出入口1aに設けられた取付枠70にマグネット75が設けられているので、マグネット75の磁力により、セキュリティールーム10を、シャフト出入口1aに設けられた取付枠70を介して容易にシャフト出入口1aに連結すること、及び、取付枠70から取り外してシャフト出入口1aとの連結を容易に解除することが可能である。本実施形態においては、取付枠70にマグネット75を設けた例について説明したが、前室フレーム側にマグネットを備え、磁力により金属製の取付枠に連結してもよい。この場合には、前室フレームを形成し連通開口をなす角パイプと角パイプに設けられたマグネットが係合部の一例に相当する。
【0073】
図8は、セキュリティールームとシャフト出入口と連結方法の変形例を示す図である。
セキュリティールーム10とシャフト出入口1aと連結方法については、マグネット75の磁力に限らず、たとえば、
図8に示すように、セキュリティールーム10のエレベーターシャフト1側にシャフト出入口1aの幅方向に移動可能な押圧部材80を備えておき、シャフト出入口1aの外側、すなわちエレベーターホール7側に設けられて当該シャフト出入口1aを形成し、互いに対向する側壁部2a間にて2つの押圧部材80を移動させて、セキュリティールーム10をシャフト出入口1aと連結してもよい。
【0074】
例えば、エレベーターEVの扉5がエレベーターホール7の壁2の左右方向に沿う壁面2bより奥まって設けられており、エレベーターホール7の壁2は、扉5と壁面2bとの間に、奥行き方向に沿い互いに対向する側壁部2aを有しているとする。
【0075】
セキュリティールーム10は、連通開口36を形成する左右の角パイプ31からエレベーターシャフト1側に向かって突出されて側壁部2aと対向する部材、例えば、パネル材36aが設けられている。パネル材36aには、パネル材36aに螺合されるボルト部80aと、ボルト部80aの先端にて側壁部2aに当接される当接部80bを有する押圧部材80が設けられている。
【0076】
押圧部材80は、パネル材36aの対向する側、すなわち、パネル材36aに対してシャフト出入口1aの内方側にボルト部80aの頭部が位置し、シャフト出入口1a外方側に当接部80bに位置するようにパネル材36aに螺合されている。このため、ボルト部80aを締め込むと当接部80bがシャフト出入口1aの中央側から外側に向かって移動するように構成されている。このため、ボルト部80aが締め込まれると、左右のパネル材36aに設けられた押圧部材80の当接部80bの間隔、すなわちシャフト出入口の幅方向の間隔が広がるように構成されている。このため、対向する側壁部2aの間にセキュリティールーム10が備えるパネル材36aを挿入し、左右のパネル材36aに設けられた押圧部材80のボルト部80aを締め込むことにより、セキュリティールーム10をシャフト出入口1aに取り付けられる。
【0077】
その後、セキュリティールーム10の連通開口36と側壁部2aとの間を粘着テープ77等にて目張りすることにより、セキュリティールーム10とシャフト出入口1aとが気密に連結される。この場合には、セキュリティールーム10のエレベーターシャフト1側となる、連通開口36を形成する角パイプ31からエレベーターシャフト1側に向かって突出するパネル材36aに設けられた押圧部材80が、シャフト出入口1aの外側にて当該シャフト出入口1aを形成して互いに対向する側壁部2a間にて幅方向に移動されることにより押圧されてシャフト出入口1aと連結されるので、サイズの異なるシャフト出入口1aの施工現場であっても容易にセキュリティールーム10を設けることが可能である。また、この場合には、押圧部材80が係合部の一例に相当する。
【0078】
上記実施形態においては、セキュリティー設備が、前室、エアシャワー室、更衣室を備えている例について説明したが、必ずしも3つの部屋が備えられていなくとも良い。例えば、エアシャワーユニットが設けられた部屋を有していれば部屋の数は3つに限らない。
【0079】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 エレベーターシャフト、1a シャフト出入口、2 壁、2a 側壁部、
2b 壁面、3 鉄骨梁、5 扉、7 エレベーターホール、
10 セキュリティールーム、10a 設備出入口、11 前室、
13 二室ユニット、14 エアシャワー室、15 エアシャワーユニット、
15a 側壁、17 更衣室、20 基台部、21 キャスター、
22 基台枠、22a 角パイプ、23 床材、30 ルーム本体、
31 角パイプ、32 前室フレーム、33 下角パイプ枠、34 上角パイプ枠、
35 天井材、36 連通開口、36a パネル材、37 前室側接合開口、
38 側壁材、39 カバーシート、39a ファスナー、39b 開閉口、
39c 開閉シート部、40 基台部、41 基台枠、50 ルーム本体、
51 扉ユニット、51a 扉、52 二室フレーム、53 下角パイプ枠、
54 上角パイプ枠、57 二室ユニット側接合開口、60 仕切部材、
61 シート材、70 取付枠、71 端側縦枠材(縦枠材)、71a 凹部、
71b エレベーターホールに臨む面、72 境界側縦枠材(縦枠材)、
72a エレベーターホールに臨む面、73 上枠材、73a 凹部、
75 マグネット、76 閉塞プレート、76a 載置板部、76b 垂設板部、
76c 下縁、77 粘着テープ、80 押圧部材、80a ボルト部、
80b 当接部、
EV エレベーター、TR 昇降空間