(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可変部の内部空間には、該可変部に対し、前記荷重付加機構による荷重の方向またはそれに反する方向に弾性力を作用させる弾性体が配されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
本実施形態の搬送装置は、薄板状のワークを搬送するものであり、ここでは、板厚1mm以下程度のガラス板をワークとして搬送する搬送装置について説明する。
【0017】
(第1の実施形態:搬送装置100)
図1は、第1の実施形態における搬送装置100の構造を説明するための説明図である。
図1(a)は、搬送装置100の上面図を示し、
図1(b)は、搬送装置100の正面図を示し、
図1(c)は、搬送装置100の側面図を示す。ただし、
図1においては、説明の便宜上、搬送装置100の搬送方向の長さを短く示している。
【0018】
搬送装置100は、回転体110と、搬送部112と、浮上部114と、可変部116と、荷重付加機構118とを含んで構成される。
【0019】
回転体110は、中央に貫通孔を有する環状部材であって、搬送方向に複数(本実施形態では2つ)配置される。また、回転体110は、水平かつ搬送方向に垂直な方向に対向して複数(本実施形態では2つ)配置され、それぞれシャフト110aの一端と固定されシャフト110aと一体となって回転する。したがって、回転体110の回転軸は、水平かつ搬送方向に垂直となる。
【0020】
ベース102は、搬送装置100の土台である。支持脚104は、このベース102に直立して固定されている。そして、支持脚104の上部には貫通孔104aが設けられている。シャフト110aは、この貫通孔104aの内周面に設けられたベアリングを介して回転自在に軸支される。
【0021】
搬送方向の上流側に配された2本のシャフト110aの他端には、プーリ110bが取り付けられている。プーリ110bは、シャフト110aと一体となって回転する。支持脚104の下部にも貫通孔104bが設けられており、シャフト110cは、対向する貫通孔104bの両方に挿通され、貫通孔104bの内周面に設けられたベアリングを介して回転自在に軸支される。
【0022】
また、シャフト110cにも、プーリ110dが取り付けられており、プーリ110dは、シャフト110cと一体となって回転する。ベルト110eは、鉛直上方に位置するプーリ110bと鉛直下方に位置するプーリ110dによって無端状に張架され、プーリ110dの回転力をプーリ110bに伝達する。
【0023】
シャフト110cの一端には、軸継手110fが設けられる。軸継手110fのうち、シャフト110cの逆側には、モータ等の駆動装置110gのシャフトの一端が嵌入される。シャフト110cには、軸継手110fによって駆動装置110gの回転力が伝達される。
【0024】
回転体110は、このような機構によって駆動装置110gの回転力が伝達されて回転する。ここでは、1つの駆動装置110gが回転体110を回転させる構成を例に挙げたが、例えば、複数の駆動装置110gが同期して回転体110を回転させるとしてもよい。また、ここでは、プーリ110b、110dが、回転体110の対向方向の内側に配される構成を例に挙げたが、回転体110の対向方向の外側に配されてもよい。
【0025】
搬送部112は、例えばベルトで構成され、複数の回転体110によって無端状に張架されて、回転体110の回転に伴い、
図1(c)に示す白抜き矢印Yの方向に回転する。
図1(a)に示すように、搬送部112は、搬送方向に平行に、複数(本実施形態では2つ)対向配置される。また、搬送部112は、複数の突起部112aを有する。
【0026】
突起部112aは、例えば樹脂等で構成され、搬送部112の表面に搬送方向に沿って複数配されてワークを接触支持する。搬送部112は、
図1(c)に示す白抜き矢印Yの方向へ回転することで、突起部112aに接触支持されたワークを
図1(a)に示す白抜き矢印Xの方向に搬送する。
【0027】
また、突起部112aには、それぞれ、搬送部112の内周側から突起部112aの先端(搬送部112の外周側)に貫通する貫通孔112bが設けられている。
【0028】
浮上部114は、例えば、圧縮空気を噴出する噴出装置等で構成され、搬送方向に平行に配置された複数の搬送部112間のベース102上に載置されている。浮上部114は、鉛直上方への気体の流れを生じさせ、ワークの一部を浮上させる。
【0029】
具体的には、ワークを突起部112aで接触支持した状態で、浮上部114が気体(圧縮空気)を噴出して鉛直上方への気体の流れを生じさせると、浮上部114とワークの間の空気の圧力が高まる。ワークは、搬送中、この空気の圧力による鉛直上方への力と、ワークの自重に対する突起部112aからの反力で支持されることとなる。
【0030】
このとき、浮上部114は、ワークを支持する空気の圧力として、圧縮空気の噴出方向の動圧ではなく、ワークの下方の空間が狭く四方に分散しようとする空気の動きが抑制された結果生じる静圧を利用するため、少ない動力でワークを支持可能となる。
【0031】
図2は、第1の実施形態における搬送部112近傍の斜視図である。
図2では、一方の搬送部112の上流側の端部近傍を抽出して示す。
【0032】
可変部116は、中空部材であって、
図2に示すように、搬送部112の内周側に複数配される。また、可変部116は、内部空間が貫通孔112bと連通し、弾性変形によって内部空間の容積が可変となっている。本実施形態においては、可変部116は、ベローズ構造である。可変部116をベローズ構造とすることで、伸縮による内部空間の容積の変化を大きくできる。
【0033】
荷重付加機構118は、可変部116の搬送方向への移動に伴い、可変部116に作用する荷重を増減させて、可変部116の内部空間の容積を変化させる。具体的に、荷重付加機構118は、複数の磁性部118aと、磁力部118bと、を含んで構成される。磁性部118aは、例えば、金属などの磁性を有する部材で構成される。そして、磁性部118aは、可変部116のうち、搬送部112の内周側の先端に固定される。
【0034】
磁力部118bは、例えば、永久磁石や電磁石などの磁石で構成され、
図1に示す支持棒118cに固定支持され、搬送部112の内周側において、搬送部112から離隔して搬送方向に延在する。そして、磁力部118bは、磁性部118aに対し、磁力によって引力を生じさせる。
【0035】
荷重付加機構118は、可変部116の搬送方向への移動に伴い、吸引領域A(
図1(c)参照)において可変部116に引張荷重を付加(増加)し、内部空間の容積を変化(膨張)させる。ここで、吸引領域Aは、後述する可変部116の内部空間の容積が膨張して、ワークWが貫通孔112bに吸着した状態で搬送される領域である。
【0036】
図3は、第1の実施形態おける可変部116の変化を説明するための説明図である。ここでは、理解を容易とするため、ワークWが突起部112aの2つの間隔程度の長さであって、磁力部118bの搬送方向の長さも同程度とするが、ワークWや磁力部118bの搬送方向の長さはより長くてもよい。
【0037】
また、ここでは、搬送部112のうち、搬送方向に移動する鉛直上側の部分を抽出して示し、特に、ワークWの鉛直下方に位置する突起部112aおよび可変部116については断面を示す。また、かかるワークWの鉛直下方に位置する可変部116を、図中、左側から順に可変部116a、116bとする。
【0038】
始めに、ワークWが搬送部112に乗り継ぎ、搬送部112に設けられた複数の貫通孔112bのうちの2つが、ワークWが載置されることによって閉塞されたとする。
【0039】
図3(a)に示すように、可変部116a、116bが磁力部118bよりも搬送方向の上流側に位置するときは、荷重付加機構118は可変部116a、116bに荷重を作用させない。この状態では、可変部116a、116bの自重と、可変部116の伸縮方向の弾性力とが釣り合っている。このときの可変部116a、116bの内部空間の容積を容積V
0とする。
【0040】
そして、搬送部112の回転に伴って、
図3(b)に示すように、可変部116bが搬送方向に移動して、磁力部118bの鉛直上方に位置する。すなわち、可変部116bの搬送方向の位置が、磁力部118bと同じ位置となる。
【0041】
すると、磁力部118bは、可変部116bに固定された磁性部118aに対し、磁力による引力を作用させる。そして、磁性部118aを介し、可変部116bも磁力部118bに向かって引っ張られる。
【0042】
そして、可変部116bは鉛直方向に伸張する。ここで、可変部116bの弾性変形は上限を設けており、可変部116bが伸張しても、磁性部118aが磁力部118bと当接しない程度、双方は離隔している。
【0043】
こうして、可変部116bの内部空間の容積が膨張して容積V
0よりも大きい容積V
1となる。このとき、貫通孔112bはワークWによって閉塞されているため、空気の吸引がわずかながらある場合もあるが、基本的に内部空間の圧力は減圧される。
【0044】
上記のように、荷重付加機構118は、ワークWが貫通孔112bを閉塞しているとき、可変部116の内部空間の容積を膨張させることで、内部空間を減圧してワークWを貫通孔112bに吸着させる。
【0045】
さらに、搬送部112の回転に伴って、
図3(c)に示すように、可変部116aが搬送方向に移動して、磁力部118bの鉛直上方に位置し、可変部116aの搬送方向の位置が、磁力部118bと同じ位置となる。こうして、可変部116bと同様、可変部116aの内部空間も圧力が減圧される。
【0046】
そして、
図3(d)に示すように、ワークWが磁力部118bの鉛直上方を通過するまで搬送されると、磁性部118aは、磁力部118bから離隔し、磁力による引力が作用しなくなる。すると、可変部116が弾性力によって収縮し、内部空間の容積が容積V
0に戻る。
【0047】
そのため、内部空間の圧力は大気圧まで戻り、ワークWに作用していた貫通孔112bへの吸着力はなくなる。その後、ワークWは、例えば、隣に配された他の搬送装置や加工装置などに乗せ替えられる。
【0048】
上述したように、本実施形態の搬送装置100は、ワークWの搬送に伴い、磁性部118aが移動し、荷重付加機構118が、可変部116の内部空間の容積を膨張させることによって、ワークWを貫通孔112bに吸着させる。そのため、搬送装置100は、ワークWを搬送部112に吸着させるために、搬送部112を駆動させる以外の動力を要さず、ワークWを吸着して搬送でき、消費電力の増加を抑えることが可能となる。特に、搬送装置100に設けられた荷重付加機構118は、可変部116に対して、離隔した状態で荷重を付加するため、摩擦による磨耗などが少なく、部品交換などのメンテナンスの頻度を抑制できる。
【0049】
また、ワークWに対する吸着力を作用させるタイミングは、磁力部118bを配する位置によって自動的に決定される。そのため、搬送装置100は、吸着力のON、OFFについて特別な制御装置を要さず、製造コストを削減できる。
【0050】
また、上述した実施形態では、磁性部118aが金属部材であって、磁力部118bが磁石であって、磁力部118bの磁力によって磁性部118aが引っ張られる場合について説明した。しかし、磁性部118aが磁石で構成され、磁力部118bが金属などの磁性を有する部材で構成されてもよい。
【0051】
また、磁性部118aおよび磁力部118bの両方が磁石で構成されてもよい。この場合、磁性部118aおよび磁力部118bの対向面のうち、いずれか一方がN極、他方がS極となるように配置される。ここでも、上述した実施形態と同様、可変部116の弾性変形は上限を設けており、可変部116が伸張しても、磁性部118aが磁力部118bと当接しない程度、双方は離隔している。
【0052】
かかる構成により、磁性部118aおよび磁力部118bの双方が、互いに引力を作用させ合うため引力が大きくなる。そのため、搬送装置100は、可変部116の変形による減圧効果を大きくし、ワークWを搬送部112の貫通孔112bに確実に吸着することが可能となる。
【0053】
(第1変形例)
図4は、第1変形例における荷重付加機構218を説明するための説明図である。荷重付加機構218は、磁性部218aおよび磁力部218bの対向面の両方がN極となるように配置する。そして、磁力部218bは、磁性部218aに対し、磁力によって斥力を生じさせる。
【0054】
図4(a)に示すように、始めに、搬送部112にワークWが乗り継ぎ、搬送部112に設けられた複数の貫通孔112bのうちの2つが、ワークWによって閉塞されたとする。
【0055】
このとき、ワークWの鉛直下方に位置する可変部116は、予め、磁性部218aと磁力部218bの間に生じる斥力によって、鉛直方向に圧縮荷重が作用している。このときの可変部116の内部空間の容積を容積V
2とする。
【0056】
そして、搬送部112の回転に伴い、可変部116が搬送方向に移動して、
図4(b)に示すように、可変部116bの搬送方向の位置が、磁力部218bが配された位置と重なる領域から外れ、吸引領域Aに入ると、荷重付加機構218が可変部116に作用させる圧縮荷重がなくなる(減少する)。可変部116bは可変部116bの自重や磁性部218aの自重によって鉛直方向に伸張される。ここで、可変部116bは、可変部116bの自重や磁性部218aの自重によって十分な変形が生じる程度に、弾性係数が低く設計されている。
【0057】
可変部116bの伸張に伴い、内部空間の容積が膨張して、容積V
2より大きい容積V
0となる。このとき、貫通孔112bはワークWによって閉塞されているため、わずかな空気の吸引があるものの、内部空間の圧力は減圧される。
【0058】
こうして、荷重付加機構218は、ワークWが貫通孔112bを閉塞しているとき、内部空間の容積を膨張させることで、内部空間を減圧してワークWを貫通孔112bに吸着させる。
【0059】
さらに、搬送部112の回転に伴って、
図4(c)に示すように、可変部116aが搬送方向に移動して、可変部116aの搬送方向の位置が、磁力部218bが配された位置と重なる領域から外れ、吸引領域Aに入る。こうして、可変部116bと同様、可変部116aの内部空間も圧力が減圧される。
【0060】
そして、可変部116が搬送方向に移動して、
図4(d)に示すように、可変部116が、磁力部218bが配された位置と重なる領域に到達すると、ワークWの鉛直下方に位置する可変部116は、磁性部218aと磁力部218bの間に生じる斥力によって圧縮され、可変部116の内部空間の容積が容積V
2となる。そのため、内部空間の圧力は大気圧まで戻り、ワークWに作用していた貫通孔112bへの吸着力はなくなる。
【0061】
かかる構成によっても、搬送装置100は、ワークWを搬送部112に吸着させるために、搬送部112を駆動させる以外の動力を要さず、ワークWを吸着して搬送でき、消費電力の増加を抑えることが可能となる。また、可変部116に荷重を作用させる領域は、搬送方向の上流と下流の一部でよいため、搬送部112の搬送方向の長さが長くなっても、磁力部218bの点数の増加を抑制することが可能となる。
【0062】
第1変形例では、磁性部218aおよび磁力部218bの対向面の両方がN極となるように配置する場合について説明したが、磁性部218aおよび磁力部218bの対向面の両方をS極となるように配置してもよい。
【0063】
(第2変形例)
図5は、第2変形例を説明するための説明図であり、
図3に対応する位置を示す。例えば、
図5(a)に示すように、可変部116の内部空間に弾性体116cが配される。弾性体116cは、例えば、圧縮バネで構成される。そして、弾性体116cは、一端が磁性部118aに、他端が可変部116の内側に固定され、荷重付加機構118による荷重が作用していない状態では、圧縮状態となっている。
【0064】
図5(a)では、弾性体116cが伸張しようとする弾性力と、可変部116が収縮しようとする(初期長さを維持しようとする)弾性力とがつりあっている。
【0065】
そして、弾性体116cは、荷重付加機構118による荷重が付加され、可変部116が伸張し始めると、可変部116に対して、荷重付加機構118による引張荷重の方向(
図5(a)中、白抜き矢印で示す)に弾性力を作用させる。このときの弾性体116cの弾性力は、可変部116が収縮しようとする弾性力よりも大きくなる。
【0066】
かかる構成により、荷重付加機構118は、可変部116をより大きく膨張させることができ、搬送装置100は、ワークWへの吸着力を高めて安定した搬送を実現することが可能となる。
【0067】
また、
図5(b)に示すように、弾性体116cは、荷重付加機構118による荷重が作用していない状態で、引張状態としてもよい。
図5(b)では、弾性体116cが収縮しようとする(初期長さを維持しようとする)弾性力と、可変部116が伸張しようとする弾性力とがつりあっている。この場合、弾性体116cは、可変部116に対して、荷重付加機構118による引張荷重の方向に反する方向、すなわち、圧縮方向に弾性力を作用させる。このときの弾性体116cの弾性力は、可変部116が伸長しようとする弾性力よりも大きくなる。
【0068】
かかる構成により、荷重付加機構118による引張荷重がなくなったとき、可変部116をより迅速に圧縮させることができ、搬送装置100は、ワークWへの吸着力をすみやかに解除して、例えば、他の搬送装置への乗せ替えを安定化することが可能となる。
【0069】
(搬送方法)
図6は、第1の実施形態おける搬送方法を説明するためのフローチャートである。
図6に示すように、まず、搬送部112に、ワークWが載置され、貫通孔112bを閉塞する(S300)。そして、搬送部112が回転する(S302)。
【0070】
搬送部112の回転に伴いワークWと、ワークWの鉛直下方の可変部116が搬送方向に移動して、磁力部118bの鉛直上方に位置する(S304)。そして、磁力部118bは、可変部116に固定された磁性部118aに対し、磁力による引力を作用させる(S306)。荷重付加機構118は、可変部116を鉛直方向に伸張させ、内部空間の容積を膨張させて内部空間を減圧し、ワークWを貫通孔112bに吸着させる(S308)。
【0071】
ワークWが磁力部118bの鉛直上方を通過するまで搬送されると、磁性部118aは、磁力部118bから離隔し(S310)、可変部116が弾性力によって収縮することで、荷重付加機構118は、ワークWに作用させていた貫通孔112bへの吸着力を解除する(S312)。
【0072】
かかる搬送方法によれば、ワークWを搬送部112に吸着させるために、搬送部112を駆動させる以外の動力を要さず、ワークWを吸着して搬送でき、消費電力の増加を抑えることが可能となる。
【0073】
(第2の実施形態:搬送装置400)
次に、第2の実施形態の搬送装置400における荷重付加機構418について説明する。第2の実施形態では、上記第1の実施形態と、荷重付加機構418のみが異なる。したがって、ここでは上記第1の実施形態と同じ構成については説明を省略し、構成が異なる荷重付加機構418についてのみ説明する。
【0074】
図7は、第2の実施形態における可変部116の変化を説明するための説明図である。
図7に示すように、荷重付加機構418は、当接部420と、ケーシング422と、を含んで構成される。
【0075】
当接部420は、搬送方向の摩擦力が小さい部材、本実施形態においては複数のローラで構成され、搬送部112の内周側に、搬送部112から離隔して配され、搬送方向に延在し可変部116に当接する。当接部420は、各ローラの軸方向が水平かつ搬送方向に垂直に、搬送方向に複数配される。
【0076】
また、当接部420は、搬送方向の位置によって、その接触部分の鉛直方向の高さが低い低位部420aと、鉛直方向の高さが高い高位部420bとを有す。ここでは、当接部420は、ケーシング422によって、鉛直方向の高さが調整され回転方向以外の動きが規制されつつ、回転自在に保持されている。
【0077】
図7に示すように、始めに、搬送部112にワークWが乗り継ぎ、搬送部112に設けられた複数の貫通孔112bのうちの幾つかが、ワークWによって閉塞されて、ワークWの搬送が開始されたとする。
【0078】
搬送の開始時には、可変部116が高位部420bに当接しており、高位部420bは、可変部116に、鉛直下方から鉛直上向きに荷重を付加し、可変部116を圧縮している。
【0079】
そして、搬送部112が回転し、それに伴い可変部116が搬送方向に移動して、当接部420のうち、可変部116に当接する部位が、高位部420bから低位部420aへと移動する。
【0080】
すると、可変部116と当接する当接部420の鉛直方向の高さが低くなり、可変部116に作用する圧縮力が低下し、可変部116が鉛直方向に伸張して、内部空間の容積が膨張する。
【0081】
このとき、貫通孔112bはワークWによって閉塞されているため、わずかな空気の吸引があるものの、内部空間の圧力は減圧される。こうして、荷重付加機構418は、ワークWが貫通孔112bを閉塞しているとき、内部空間の容積を膨張させることで、内部空間を減圧してワークWを貫通孔112bに吸着させる。
【0082】
そして、ワークWが搬送方向の下流側に搬送されると、ワークWの鉛直下方に位置する可変部116が、搬送方向の下流側に配された高位部420bに当接する。
【0083】
すると、可変部116が当接部420によって圧縮されるため、内部空間の圧力は大気圧まで戻り、ワークWに作用していた貫通孔112bへの吸着力はなくなる。その後、ワークWは、例えば、隣に配された他の搬送装置や加工装置などに乗せ替えられる。
【0084】
このように、可変部116は、当接部420と当接することで、搬送方向の位置によって、鉛直方向の高さが変化する。
【0085】
上述したように、本実施形態の搬送装置400は、ワークWの搬送に伴い、荷重付加機構418が、可変部116の内部空間の容積を膨張させることによって、ワークWを貫通孔112bに吸着させる。そのため、搬送装置400は、ワークWを搬送部112に吸着させるために、搬送部112を駆動させる以外の動力を要さず、ワークWを吸着して搬送でき、消費電力の増加を抑えることが可能となる。特に、搬送装置400に設けられた荷重付加機構418は、可変部116に直接当接して、可変部116に荷重を付加するため、構造が単純で可変部116の内部空間の容積変化量の調整が容易である。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
例えば、上述した実施形態および変形例では、ワークWが他の搬送装置から搬送装置100、400に乗り継ぐ場合について説明したが、ワークWを搬送装置100、400に載置してから、搬送部112を回転させて搬送を開始してもよい。
【0088】
この場合、例えば、搬送装置100に、磁力部118bの鉛直方向の位置を移動する機構を設け、ワークWが載置されると、その鉛直下方に位置する磁力部118bの鉛直方向の位置を移動させることで、磁性部118a、218aとの間に磁力を作用させ、可変部116に荷重を作用させるとよい。
【0089】
また、搬送装置100は、磁力部118bの鉛直方向の位置を移動する機構の代わりに、磁力部118bを電磁石として、その磁力(電磁石に流す電流)のON、OFFを切り替える機構を備えてもよい。
【0090】
また、上述した第2の実施形態では、当接部420は、可変部116の鉛直下方に当接する場合について説明したが、当接部は、鉛直下方に限らず、可変部116に、例えば、水平方向に突出する突出部を設け、この突出部を鉛直方向の上下から挟持するレールを、搬送方向に延在させる構成であってもよい。この場合、当接部は、レールの鉛直方向の高さを調整することで、突出部を介して可変部116に荷重を付加する。可変部116は、レールの鉛直方向の高さによっては、自重による変形よりも大きく変形させられるため、ワークWへの吸着力を高めて安定した搬送を実現することが可能となる。
【0091】
また、上述した第2の実施形態では、当接部420は、高位部420b、および、低位部420aを有する場合について説明したが、低位部420aを有さず、高位部420bのみを有する構成であってもよい。
【0092】
また、第2変形例で示した弾性体116cを、第2の実施形態の搬送装置400の可変部116の内部に設けてもよい。
【0093】
なお、本明細書の搬送方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。