(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記把持部材と背凭れとの間に上下に連通する空洞が形成されており、把持部材よりも下方における背凭れの背面が、アウターシェルにより覆われている請求項1、2、3または4記載の椅子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明をシンクロチルト式の事務用回転椅子1に適用した場合の一実施形態につき、
図1〜
図17を参照して説明する。
【0017】
この椅子1は、床面に対して移動可能なものであり、
図1〜
図17に示すように、椅子本体2と、この椅子本体2に支持された背凭れ3及び座4と、前記背凭れ3に支持された持ち手5とを具備してなる。
【0018】
<椅子本体>
椅子本体2は、
図1、
図2、
図4、
図5、
図7及び
図10〜
図17に示すように、脚体21に支持された支持基部22と、この支持基部22に支持されて後傾動作可能な背支持用構造体23と、前記支持基部22の上方に配された座支持用構造体24と、前記支持基部22、前記背支持用構造体23及び前記座支持用構造体24をリンク要素254として備えたシンクロロッキング機構25とを具備してなる。この椅子本体2は、前記背支持用構造体23に支持された背凭れ3が後傾動作した場合に、前記座支持用構造体24に支持された座4が同期して傾動するように構成されたものである。すなわち、座4が背凭れ3の後傾動作に対して一定の角度比率をもって沈み込む動作、換言すれば、シンクロチルト動作が実現されるようになっている。そして、前記シンクロロッキング機構25に関連させて、背凭れ3を初期位置に自己復帰させるための反力機構26と、背凭れ3を所定の傾動位置に係止するための係止機構27を設けている。
【0019】
<脚体>
脚体21は、
図1及び
図10に示すように、キャスタ211を有した脚羽根タイプの脚ベース212と、この脚ベース212の中心部に立設した脚支柱213とを具備してなる。前記脚支柱213は、ガススプリングを主体に構成された通常のもので、この脚支柱213の上端部に前記支持基部22が取り付けられている。
【0020】
<支持基部>
支持基部22は、
図2、
図4、
図5、
図7及び
図11〜
図17に示すように、前記脚体21によって水平旋回可能に支持されたもので、前記脚支柱213に装着された主ハウジング221と、この主ハウジング221に剛結された副ハウジング222とを備えてなる。主ハウジング221は、金属製のもので、前記脚支柱213の上端が嵌合するボス部228を有した底壁223と、この底壁223の左右両側縁から起立させた左右の側壁224とを備えたもので、前後及び上方に開放されている。副ハウジング222は、金属製のもので、基端部が前記主ハウジング221内に配され先端側を前方に延出させた底壁225と、この底壁225の左右両側縁から起立させた左右の側壁226と、これら両側壁226の上縁から外側方に延出させた鍔227とを備えたものである。この副ハウジング222は、前記両鍔227の下面を前記主ハウジング221の左右の側壁224の上縁に当接させるとともに、前記左右の側壁226を前記主ハウジング221の左右の側壁224内面に密着させた状態で、溶接等により前記主ハウジング221と一体化されている。
【0021】
このようにしてなる支持基部22に、主軸28を介して背支持用構造体23を後傾動作可能に支持させるとともに、前連結軸29を介して座支持用構造体24の前側を回動可能かつ前後スライド可能に支持させている。具体的には、前記主ハウジング221の側壁224間に回転可能に貫通させた主軸28の両端部に、前記背支持用構造体23を接続している。また、前記副ハウジング222の側壁226に前後方向に伸びる長孔220をそれぞれ設けておき、それら長孔220に挿通させた前連結軸29の両端部に前記座支持用構造体24の前側を接続している。前記反力機構26及び係止機構27は、支持基部22の外部に設けられているため、支持基部22にそれらの機構を設けるためのスペースは設けられていない。すなわち、本実施形態の支持基部22は、後述する第2実施形態のような反力機構等を内部に設けた支持基部よりもはるかに小型化されたものである。
【0022】
<背支持用構造体>
背支持用構造体23は、
図5〜
図7及び
図10〜
図17に示すように、いわゆる背支桿としての機能を有するもので、例えば、支持基部22の両側に配される対をなす背フレーム231と、これら左右の背フレーム231を接続する複数の横架材234、235、236とを具備してなる。背フレーム231は、基端部237を前記主軸28に支持させて後方に延出する下部フレーム要素232と、この下部フレーム要素232の後端部から上方に屈曲して延びる上部フレーム要素233とを備えたもので、側面視L字状をなしている。これら下部フレーム要素232及び上部フレーム要素233は、パイプ素材を屈曲させることにより一体に形成されている。下部フレーム要素232は下横架材234により、上部フレーム要素233は中間横架材235及び上横架材236により、それぞれ連結されている。下横架材234は、下方に開口されたチャンネル状をなすもので、両側部を下部フレーム要素234の内側にそれぞれ溶接継ぎ手を介して結合されたものである。中間横架材235及び上横架材236は、前方に開口されたチャンネル状をなすもので、前記上部フレーム要素233の背面側にそれぞれ溶接継ぎ手を介して結合されたものである。中間横架材235及び上横架材236の両結合部の外側には、ボルト孔238a、230aを有した板状の取付ブラケット238、230を備えている。
【0023】
<座支持用構造体>
座支持用構造体24は、
図5、
図7及び
図11〜
図16に示すように、いわゆる座受けとしての機能を有するもので、盤状をなしている。この座支持用構造体24の前端部には、下方に垂下する左右対をなす前ブラケット241が設けられており、これら両前ブラケット241を前記前連結軸29の両端部に取り付けることにより、この座支持用構造体24を支持基部22に回転かつスライド移動可能に支持させている。座支持用構造体24の後端部には、下方に垂下する左右対をなす後ブラケット242が設けられており、これら両後ブラケット242を後連結軸20を介して背支持用構造体23の左右の背フレーム231に回転可能に支持させている。この座支持用構造体24の下面には、肘掛け取付用の構造体243が取り付けられている。肘掛け取付用の構造体243の両端部は、座支持用構造体24の左右両端部よりも外方に延出させてあり、その両端部に図示しない肘掛けを着脱可能に取り付けることができるようにしてある。
【0024】
<シンクロロッキング機構>
シンクロロッキング機構25は、
図5、
図7及び
図11〜
図16に示すように、前記支持基部22と、この支持基部22に第1の軸着部251を介して支持された前記背支持用構造体23と、前側を前記支持基部22に第2の軸着部252を介して支持させるとともに、後側を前記背支持用構造体23に第3の軸着部253を介して支持させた前記座支持用構造体24とを備えたものである。第1の軸着部251は、前記主軸28を主体に構成されたもので、前記背支持用構造体23を前記支持基部22に対して回転可能に軸着している部分である。第2の軸着部252は、前記前連結軸29を主体に構成されたもので、前記座支持用構造体24を前記支持基部22に対して回転かつ前後スライド動作可能に軸着している部分である。第3の軸着部253は、前記後連結軸20を主体に構成されたもので、前記座支持用構造体24を前記背支持用構造体23に対して回転可能に軸着している部分である。換言すれば、前記シンクロロッキング機構25は、前記支持基部22と、前記座支持用構造体24と、前記背支持用構造体23という3つのリンク要素254を第1、第2、第3の軸着部251、252、253を介して軸着することにより構成されたものである。
【0025】
<反力機構>
反力機構26は、
図1、
図2、
図4、
図5、
図7及び
図10〜
図16に示すように、背支持用構造体23を後傾動作前の初期位置に自己復帰させるためのもので、前記支持基部22の外部に設けられている。詳述すれば、この反力機構26は、前記座支持用構造体24と、前記シンクロロッキング機構25を構成する当該座支持用構造体24以外のリンク要素254との間に設けられたものである。この実施形態においては、反力機構26は、前記座支持用構造体24と背支持用構造体23との間に設けられたもので、一端264を座支持用構造体24に支持させるとともに、前記座支持用構造体24以外のリンク要素254、すなわち背支持用構造体23を貫通させて他端265側を外部に延出させたロッド261と、このロッド261の他端265に設けた受け部材262と、この受け部材262と前記座支持用構造体24以外のリンク要素254、すなわち背支持用構造体23との間に設けられた弾性体263とを備えたものである。
【0026】
ロッド261は、
図5、
図7及び
図11〜
図16に示すように、一端264側である上端部を座支持用構造体24の後端部に支持させたもので、他端265側である下端部に雄ねじ部266を有している。このロッド261は、前記背支持用構造体23の下横架材234に設けられた貫通孔239に挿通させてあり、下端側は下横架材234の下方に突出している。
【0027】
受け部材262は、
図1、
図2、
図4、
図5、
図7及び
図10〜
図16に示すように、前記ロッド261の他端265に設けられた雄ねじ部266に螺合進退可能に螺着されたものであり、この受け部材262に前記弾性体263を包囲するグリップを兼ねたカバー267を備えたものである。詳述すれば、受け部材262は、弾性体263の下端部を受ける受け皿268と、この受け皿268を下側から支えるようにして前記ロッド261の雄ねじ部266に螺着されたナット269と、このナット269が雄ねじ部266から外れるのを防止すべく前記ロッド261の下端に設けられたストッパ260と、前記ナット269に固着され前記受け皿268及び弾性体263の外周囲を覆うカバー267とを具備してなる。前記受け皿268は、板金素材によって形成されるものであり、前記カバー267は、合成樹脂製のものである。
【0028】
弾性体263は、
図5、
図7及び
図11〜
図16に示すように、軸心をロッド261の軸心に一致させて配された径の異なる複数の圧縮コイルスプリング263a、263bである。具体的には、この弾性体263は、前記ロッド261に巻装した状態で前記受け部材262の受け皿268と背支持用構造体23の下横架材234との間に介在させた第1の圧縮コイルスプリング263aと、この第1の圧縮コイルスプリング263aと前記ロッド261との間に形成された環状空間に位置させて前記受け部材262の受け皿268と背支持用構造体23の下横架材234との間に介在させた第2の圧縮コイルスプリング263bとを備えたものである。第1の圧縮コイルスプリング263aと第2の圧縮コイルスプリング263bとは、相互に異なる方向に巻かれた形態をなしている。
【0029】
<係止機構>
係止機構27は、
図5、
図7及び
図11〜
図17に示すように、前記背支持用構造体23を所定の傾動位置に係止するためのもので、前記支持基部22の外側近傍において前記両背フレーム231同士を剛結する連結部材271と、前記支持基部22に操作軸272を介して前後方向に回動可能に支持されこの連結部材271の所定箇所に係合可能な係合部材273と、この係合部材273を前記連結部材271に係合する係合位置(B)と前記連結部材271に係合し得ない退避位置(A)との間で作動させる操作手段274と、前記係合部材273を前記係合位置(B)と退避位置(A)とのいずれかに選択的に保持するための節度機構275とを備えたものである。
【0030】
連結部材271は、
図7及び
図11〜
図16に示すように、金属製の板状をなすものであり、本実施形態においては、ほぼ水平な上縁61及び下縁62を有した長方形状のものである。この連結部材271は、左右両端部が溶接継ぎ手を介して前記背フレーム231の内側にそれぞれ剛結されている。連結部材271の上縁61と下縁62との間に位置する中間部63には、係合孔64が形成されている。
【0031】
係合部材273は、
図7及び
図11〜
図17に示すように、基端部237を前記操作軸272に固着して前記支持基部22の主ハウジング221の後方開口端部に配された回動板65と、この回動板65の回動端から後方に突設された爪66とを具備してなる。この係合部材273は、金属製のものであり、前記回動板65と爪66とが一体に形成されている。
【0032】
操作手段274は、
図1、
図2、
図4、
図11及び
図17に示すように、前記操作軸272に回転方向の操作力を付与するためのもので、操作軸272の一端を屈曲させた屈曲部67と、この屈曲部67に手を掛けるための図示しない把持部とを備えている。
【0033】
節度機構275は、
図7、
図11〜
図17に示すように、支持基部22の内側面に設けられ前記回動板65の外側縁に係わり合う節度子68と、この節度子68を弾性支持する弾性支持要素69とを備えたものである。具体的には、弾性支持要素69は、支持基部22の主ハウジング221の側壁224内面に取り付けられる取付ベース691と、この取付ベース691に支持されて厚み方向に弾性変形する弾性壁692とを備えたもので、この弾性壁692の反取付ベース691側に半球状をなす前記節度子68が設けられている。前記取付ベース691と弾性壁692と節度子68とは、合成樹脂により一体に成形されている。係合部材273が退避位置(A)にある場合には、前記節度子68が回動板65の背面651側に係合している。この状態から係合部材273を係合位置(B)に移動させるべく回動板65を後方に回動させると、この回動板65に付勢されて前記弾性壁692に弾性支持されている節度子68が一時的に側方に退避し、係合部材273が係合位置(B)に到達した段階で前記節度子68が弾性復帰して、回動板65の前面652側に係合するようになっている。
【0034】
<背凭れ>
背凭れ3は、
図1〜
図10に示すように、前記椅子本体2の背支持用構造体23に支持されたもので、外装材32と、この外装材32を保持する背保形用構造体31とを具備してなる。
【0035】
背保形用構造体31は、
図5〜
図10に示すように、いわゆるインナーシェルと称される形態のもので、ナイロン等の合成樹脂により一体に成形されている。この背保形用構造体31は、背凭れ3の全体形状を規定するシェル本体33と、このシェル本体33の背面を補強するリブ34と、前記背支持用構造体23を取り付けるための背フレーム取付部35と、前記持ち手5を取り付けるための持ち手取付部36とを備えている。背フレーム取付部35は、中間横架材235及び上横架材236の各取付ブラケット238、230に設けたボルト孔238a、230aに対応する部位に図示しない雌ねじ孔を有したボス部をそれぞれ形成したものである。持ち手取付部36は、後述する持ち手5を取り付けるための部位に雌ねじ孔362を有した複数のボス部361を形成したものである。
【0036】
外装材32は、
図1〜
図10に示すように、前記背保形用構造体31の前面に添接されるクッション37と、このクッション37及び前記背保形用構造体31の周縁を覆う張地38と、この張地38の縁部381を隠すようにして前記背保形用構造体31の背面に設けられるアウターシェル39とを備えている。前記張地38の縁部381は、前記背保形用構造体31の背面側に回し込んだ上で、図示しないタッカ等を用いてこの背保形用構造体31に固定されている。アウターシェル39は、合成樹脂製のもので、前面部における周縁部近傍に係合爪391を備えたものである。それら係合爪391を前記背保形用構造体31の周縁部381近傍に設けられたアウターシェル取付部30に弾性係合させることにより、このアウターシェル39が背保形用構造体31に取り付けられている。アウターシェル39の上縁部には、持ち手5との干渉を避けるための切り欠き部392が設けられている。
【0037】
<座>
座4は、
図1〜
図5、
図7及び
図10に示すように、前記椅子本体2の座支持用構造体24に支持されたもので、外装材42と、この外装材42を保持する座保形用構造体41とを具備してなる。座保形用構造体41は、いわゆるインナーシェルと称される形態のもので、ナイロン等の合成樹脂により一体に成形されている。外装材42は、前記座保形用構造体41の上面に添接されるクッション43と、このクッション43及び前記座保形用構造体41の周縁を覆う張地44とを備えている。
【0038】
<持ち手>
持ち手5は、
図1〜
図6及び
図8〜
図10に示すように、前記背保形用構造体31に設けられたもので、左右の取付部51と、これら両取付部51から後方に延出させたアーム部52と、これらアーム部52の先端間に架設された把持部材53と、前記アーム部52の基端間に架設された目隠し部材54とを備えたものであり、合成樹脂により一体に成形されている。
【0039】
各取付部51は、
図9及び
図10に示すように、それぞれ上下に対をなすボルト孔511を有した盤状のものである。そして、これら取付部51のボルト孔511に挿通させた止着具たるボルト512を前記背保形用構造体31の持ち手取付部36を構成するボス部361の雌ねじ孔362にそれぞれ螺着することにより、持ち手5をインナーシェルである背保形用構造体31に取り付けている。以上の構造を言い換えれば、この椅子1は、前記持ち手5の取付部51以外の部位を露出させた状態で前記インナーシェルの背面に装着されたアウターシェル39を備えてなる。
【0040】
各アーム部52は、
図1〜
図3、
図8及び
図10に示すように、外側面に位置決め突起521を有した板状のもので、前記位置決め突起521を前記アウターシェル39の切り欠き部392に設けられた位置決め凹部393に係わり合わせることにより、持ち手5とアウターシェル39との位置決めを行うことができるようにしてある。
【0041】
把持部材53は、
図1〜
図6及び
図8〜
図10に示すように、中央部が後方に突出する方向に湾曲する帯板状のもので、平面視における曲率を平面視における背凭れ3上縁の曲率よりも大きくしてあるとともに、背面視において上下方向寸法を中央から外側方に向かって漸次大きくした形状をなしている。
【0042】
目隠し部材54は、
図1、
図3、
図5、
図6、
図8及び
図9に示すように、前記アウターシェル39の切り欠き部392の開口形状に対応した形状をなすもので、アーム部52とアウターシェル39とを位置決めした状態において、この目隠し部材54の背面541とアウターシェル39の背面394とが面一になるように設定されている。
【0043】
また、この位置決め状態においては、アーム部52の上面522とアウターシェル39の上向き面395とが面一になるとともに、把持部材53の背面531とアウターシェル39の背面394とが面一になるように設定されている。すなわち、前記アーム部52と、前記把持部材53と、前記目隠し部材54が、それぞれアウターシェル39の外面と連続する外面を備えている。
【0044】
なお、この持ち手5は、椅子本体2の背凭れ3上縁より上方に突出していないものである。換言すれば、持ち手5の上縁が、背凭れ3の上縁よりも下方に設定されている。
【0045】
この椅子1は持ち手5に関して、次のように表現することもできる。すなわち、この椅子1は、背面に外装材32を設けた背凭れ3に持ち手5を設けたものであって、持ち手5が、水平面に沿って後方に延出させた上面を有し前記背凭れ3の背面に突設された左右対をなす突部55と、これら突部55間に架設されその上面を前記両突部55の上面に連続させた把持部材53とを備えたものである。突部55は、前記アーム部52と、このアーム部52に連続させて前記アウターシェル39に一体に形成した膨出部396とによって形成されたもので、後方への突出寸法を外側方に向かって漸次小さくした形状をなすものである。また、前記把持部材53と背凭れ3との間に上下に連通する空洞7が形成されており、把持部材53よりも下方における背凭れ3の背面が、アウターシェル39により覆われている。
【0046】
<作動説明>
次いで、この椅子1の作動を
図12〜
図17を用いて説明する。
【0047】
図12、
図14及び
図17に示す初期状態から背凭れ3に後方への荷重を作用させると、背支持用構造体23を支持基部22の主軸28により構成される第1の軸着部251を中心にして後傾する。背支持用構造体23が後傾すると、この背支持用構造体23の下部フレーム要素232に第3の軸着部253を介して枢着されている座支持用構造体24の後端側が、後方に移動しつつ下方に移動する。その際、支持基部22に第2の軸着部252を介して支持されている座支持用構造体24の前端側が、後方に移動しつつ微少に回動する。その結果、
図13及び
図16に示すように、背凭れ3が後傾するのにシンクロして座4が後方に沈み込むように回動する。その際、座支持用構造体24の後端部と背支持用構造体23の下部フレーム要素232との距離が大きくなり、反力機構26の弾性体263が圧縮されて反発力が蓄積されることになる。すなわち、座支持用構造体24の後端部と背支持用構造体23の下部フレーム要素232との距離が大きくなると、座支持用構造体24の後端部にロッド261を介して支持された受け部材262と前記背支持用構造体23の下部フレーム要素232に設けられた下横架材234との距離が小さくなり、前記弾性体263が圧縮されることになる。
【0048】
背凭れ3に作用していた後方への荷重が解除または軽減されると、前記弾性体263の反発力により前述した作動と逆の作動が営まれ、前記背凭れ3が前方に回動復帰するとともに、座4が初期位置に復帰する。なお、グリップを兼ねるカバー267を操作して、受け部材262の位置を調整することにより前記弾性体263の予圧を変更して反発力を調整することができる。
【0049】
係止機構27の係合部材273を節度機構275により退避位置(A)に保持させておけば、以上のシンクロ動作を自由に行うことができる。
【0050】
シンクロ動作を途中で止めたい場合には、所望の傾動位置において操作手段274を操作して前記係合部材273を係合位置(B)に回動させればよい。すなわち、
図17に示すように、初期位置で操作手段274を操作して係合部材273を退避位置(A)から係合位置(B)に作動させると、その係合部材273が背支持用構造体23の基端に設けた連結部材271の下縁62に係わり合うことになり、
図12及び
図14に示すように、前記背凭れ3は初期位置で係止される。これにより、着座者は執務姿勢をとることができる。また、初期位置と後述する最後傾位置との中間の傾動位置で操作手段274を操作して係合部材273を退避位置(A)から係合位置(B)に作動させると、その係合部材273が背支持用構造体23の基端に設けた連結部材271の係合孔64に係わり合うことになり、
図15に示すように、前記背凭れ3は中間後傾位置でロックされる。これにより、着座者は中間姿勢をとることができる。さらに、最後傾位置で操作手段274を操作して係合部材273を退避位置(A)から係合位置(B)に作動させると、その係合部材273が背支持用構造体23の基端に設けた連結部材271の上縁61に係わり合うことになり、
図13及び
図16に示すように、前記背凭れ3は最後傾位置で係止される。これにより、着座者は安楽姿勢をとることができる。
【0051】
<本実施形態の効果>
この椅子1は、背凭れ3の背面に持ち手5を備えているため、その持ち手5に手を掛けて自由に移動させることが可能である。そのため、背凭れ3の上縁に手を掛けて椅子1を移動させる場合に比べて、背凭れ3が汚れたり傷んだりすることを抑制することができる。すなわち、本実施形態に示したような背支持用構造体23がクッション37やアウターシェル39等の外装材32によって内部に隠れている椅子1では、外側から背支持用構造体23をつかんで椅子1を移動させることができないため、従来これらの外装材32に接触せざるを得なかったという不具合を好適に解消できる。
【0052】
そして、持ち手5の把持部材53と背凭れ3の背面との間に空洞7が設けられているので、上からでも下からでも手を掛けることができ、使い勝手が良いだけでなく、その把持部材53にストール等の所持品を掛けておくことも可能である。
【0053】
また、持ち手5の上縁が、背凭れ3の上縁よりも下方に設定されているので、持ち手5の持ちやすさと強度とを兼ね備えることができる。例えば、この持ち手5を背凭れに取り付けられるハンガーと比較すると、ハンガーは、例えばハーフコート等の比較的丈の長い衣類を掛けて後傾動作を行った場合でも、衣類の裾が床面に付かないように、比較的高い位置に設置しなければならない。そのため、従来のハンガーは、比較的長いアームの基端部を背凭れに取り付けて、背凭れの後上方の離れた位置で前記アームの先端部にハンガー本体を位置させるようにしている。したがって、衣類を保持できる最低限の強度しか備えないのが通常である。一方、持ち手5は、持ちやすい位置への配置と、この持ち手5を掴んで椅子1自体を移動させることが可能な強度とを両立させる必要がある。すなわち、本実施形態の持ち手5は、持ちやすさの確保のために、背凭れ3背面の上方に設定し、強度確保のために、アーム部52をハンガーのアームに比べて短く設定している。なお、持ち手5のアーム部52が比較的短いと背凭れ3に近い場所に位置するため、持ち手5の上縁が背凭れ3の上縁よりも上方に設定されていると、背凭れ3の後傾時に持ち手5が着座者の肩や頭部に当たる可能性がある。そのため、本実施形態の持ち手5は、背凭れ3の高さを上限としてそれよりも低い場所に位置させている。換言すれば、持ち手5の上縁は、背凭れ3の上縁よりも下方に設定されている。
【0054】
以上に述べたように、本実施形態に係る椅子1は、背面に外装材32を設けた背凭れ3に持ち手5を設けたものであって、持ち手5が、水平面に沿って後方に延出させた上面を有し前記背凭れ3の背面に突設された左右対をなす突部55と、これら突部55間に架設されその上面を前記両突部55の上面に連続させた把持部材53とを備えたものであるので、背凭れ3の上部が汚れたり損傷することを抑制することができる。すなわち、このような背凭れ3の背面側をアウターシェル39により覆った形式の椅子1では、従来持ち手が設けられておらず、キャスタ211を利用して椅子1を移動させようとする場合、背凭れの上縁部付近を把持していたため、この部分が汚れやすかったり傷みやすかったりしていたという問題を好適に解消することができる。
【0055】
特に、本実施形態の椅子1は、突部55の上面と把持部材53の上面とが同じ水平面内に位置しているので、突部55の上面と背凭れ3の背面との間に衣類や手等が挟まるようなくさび空間が形成されない。そのため、把持部材53に掛けた手やストールが椅子1の水平旋回等により突部55側へ移動した場合であっても、突部55の上面と背凭れ3の背面との間に手やストールが挟まってしまうという不具合は生じない。
【0056】
前記突部55は、後方への突出寸法を外側方に向かって漸次小さくした形状をなすものであるので、持ち手5を背凭れ3に対して滑らかに連続させることができる。そのため、椅子1を移動させた際に、持ち手5が椅子1の周辺部の家具等に引っ掛かることを好適に抑制できる。
【0057】
前記把持部材53は、上下方向寸法を中央から外側方に向かって漸次大きくした形状をなすものであるので、使用者が持ち手5をつかみやすい。また、この把持部材53にハンガー等のオプション部材を取り付ける際には、このオプション部材の左右方向の位置決めを行うことができる。
【0058】
前記把持部材53が、平面視における曲率を平面視における背凭れ3上縁の曲率よりも大きくしたものであるので、使用者が持ち手5をつかみやすい。詳述すれば、椅子1の左右方向中央部分において前後方向に最も大きな空洞7が形成されるため、持ち手5の上下どちらの側からも使用者が容易に手をかけることができる。
【0059】
前記把持部材53と背凭れ3との間に上下に連通する空洞7が形成されており、把持部材53よりも下方における背凭れ3の背面が、アウターシェル39により覆われているので、使用者が椅子1の側面側または背面側から持ち手5にアクセスした際に、持ち手5以外の背凭れ3を汚してしまったり傷めてしまったりすることを抑制できる。また、把持部材53にストール等を掛けた際には、そのストールの下端部側をアウターシェル39の背面394によって好適に下方に案内させることができる。
【0060】
また、持ち手5の取付部51が把持部材53と異なる高さ位置に設けられているので、背保形用構造体31の持ち手取付部36に取り付けられている背保形用構造体31をくるむ張地38と持ち手5の取付部51とが干渉する不具合を抑制できる。換言すれば、持ち手5は、外観とは異なる偏心した位置においてボルト512により固定されているため、持ち手5が背凭れ3の上端部に設けられているにもかかわらず、背凭れ3の上端部に張地38を適切に配することができる。なお、この持ち手5は、特に上下方向から大きな外力が作用する構造をなしており、持ち手5を背保形用構造体31に確実に固定するために、左右の持ち手取付部36においてそれぞれ上下2本ずつのボルト512で止着するようにしている。
【0061】
本実施形態の椅子1は、支持基部22の外部に係止機構27を設けているので、支持基部22を従来よりもコンパクトにすることができる。そのため、支持基部22全体の上下寸法を小さくして座面の最も低くなる位置を従来よりも低くでき、比較的小柄な体形の着座者にも座りやすいものとなっている。また、この係止機構27は、従来のものに比べてシンプルな構造であるため、組み立て作業が容易なだけでなく、故障の発生も抑えることができる。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明をシンクロチルト式の事務用回転椅子1に適用した場合の他の実施形態につき、
図18〜
図24を参照して説明する。
【0063】
この椅子1は、床面に対して移動可能なものであり、
図18〜
図24に示すように、椅子本体2と、この椅子本体2に支持された背凭れ3及び座4と、前記背凭れ3に支持された持ち手5とを具備してなる。
【0064】
<椅子本体>
椅子本体2は、
図18〜
図22に示すように、脚体21に支持された支持基部22と、この支持基部22に支持されて後傾動作可能な背支持用構造体23と、前記支持基部22の上方に配された座支持用構造体24と、前記支持基部22、前記座支持用構造体24、前リンクメンバ294及び後リンクメンバ295をリンク要素254として備えたロッキング機構9とを具備してなる。この椅子本体2は、前記背支持用構造体23に支持された背凭れ3が後傾動作した場合に、前記座支持用構造体24に支持された座4が同期して傾動するように構成されたものである。以下、第1実施形態の椅子1と同一またはこれに準ずる部分には、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0065】
<支持基部>
支持基部22は、
図18、
図19、
図21及び
図22に示すように、脚体21によって水平旋回可能に支持されたもので、脚支柱213に取付けられる金属製のハウジング291と、このハウジング291に取付けられた前リンク軸292及び支軸293を具備してなるものである。前リンク軸292は、前リンクメンバ294を介して座支持用構造体24の前端部を支持するためのものである。支軸293は、前記背支持用構造体23を支持するとともに後リンクメンバ295を介して座支持用構造体24の略中間部を支持するためのものである。ハウジング291には、背凭れ3を前方に付勢する傾動反力発生機構296が組み込まれている。傾動反力発生機構296は、コイルスプリングやガススプリング等を用いて前記支軸293に力を付与して前記背凭れ3の傾動動作に対して弾性反発力を付与し得るように構成されたものであるが、通常のものであるため説明を省略する。このようにしてなる支持基部22に、前リンクメンバ294及び後リンクメンバ295を介して座支持用構造体24を支持させている。なお、
図22は、支持基部22を覆うカバーのみを切断して示し、支持基部22は切断していない状態で示している。
【0066】
<座支持用構造体>
座支持用構造体24は、
図22に示すように、いわゆる座受けとしての機能を有するもので、この実施形態においては板金素材により一体に成形されている。座支持用構造体24の下面には、前連結軸244を介して前リンクメンバ294の回動端を取付けるための前リンク取付部245と、後連結軸246を介して後リンクメンバ295の回動端を取付けるための後リンク取付部247が設けられている。前記前リンク取付部245及び後リンク取付部247は、座支持用構造体24に一体に設けられている。この座支持用構造体24の下面には、肘掛け8の基端部237を取り付けるための肘掛け取付部248が設けられている。
【0067】
<背支持用構造体>
背支持用構造体23は、
図19、
図21及び
図22に示すように、前記支持基部22から後上方に延出させた合成樹脂製の左右の背フレーム255と、これら左右の背フレーム255の上端部同士を連結する図示しない上横架材と、トルク伝達用のブラケット297の基端から一体に後上方に向けて延設され前記背フレーム255の基端部内側面に添接する左右の背支持ブラケット256と、これら左右の背支持ブラケット256の後端を連結する図示しない下横架材とを具備してなる。背支持ブラケット256と下横架材は、それぞれ板状をなす金属製のものであり、下横架材の左右両端部において左右の背支持ブラケット256の内側面側に剛結されている。なお、
図22は、支持基部22を覆うカバーのみを切断して示し、背支持ブラケット256及びトルク伝達用のブラケット297を切断していない状態で示している。
【0068】
<ロッキング機構>
ロッキング機構9は、
図19、
図21及び
図22に示すように、背凭れ3の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。詳述すれば、このロッキング機構9は、前側に前リンク軸292を保持するとともに後側に支軸293を保持する支持基部22と、下端部を前記前リンク軸292を介して前記支持基部22に回動可能に支持させた前リンクメンバ294と、下端部を前記支軸293に支持された背フレーム255の軸装部に一体化させてなる後リンクメンバ295と、前リンク取付部245を前連結軸244を介して前記前リンクメンバ294の回動端に連結するとともに後リンク取付部247を後連結軸246を介して後リンクメンバ295の回動端に連結してなる座支持用構造体24とを主体に構成されたものである。すなわち、このロッキング機構9は、座4を支持する座支持用構造体24を同一方向に傾斜する前リンクメンバ294と後リンクメンバ295とによって支持基部22に支持させ、その支持基部22に支持された背フレーム255の後傾動作に伴わせて、前記前リンクメンバ294及び後リンクメンバ295を起立方向に回動させて前記座支持用構造体24を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れ3の後傾時に、前記座4の前部を座4の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、第1実施形態に示すような背凭れ3及び座4のシンクロロッキング機構25では、背凭れ3の後傾動作に伴わせて座4を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構9は、通常のロッキング機構とは異なり、背凭れ3の後傾動作に伴わせて座4を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座4を持ち上げるように構成している。
【0069】
<背凭れ>
背凭れ3は、
図18〜
図24に示すように、前記椅子本体2の背支持用構造体23に支持されたもので、外装材32と、この外装材32を保持する背保形用構造体31とを具備してなる。背保形用構造体31は、いわゆるインナーシェルと称される形態のもので、ナイロン等の合成樹脂により一体に成形されており、第1実施形態の背凭れ3に準じた構造をなしている。アウターシェル39は、合成樹脂製のもので、本実施形態においては、前記持ち手5と一体に成形されている。このアウターシェル39は、前記インナーシェルの背面に装着されたものであり、前記背保形用構造体31の背面側に設けられた図示しないアウターシェル取付部に取り付けられている。
【0070】
<座>
座4は、
図18〜
図22に示すように、前記椅子本体2の座支持用構造体24に支持されたもので、外装材42と、この外装材42を保持する座保形用構造体41とを具備してなる。座保形用構造体41は、いわゆるインナーシェルと称される形態のもので、ナイロン等の合成樹脂により一体に成形されており、第1実施形態の座4に準じた構造をなしている。
【0071】
<持ち手>
持ち手5は、
図18〜
図24に示すように、前記背保形用構造体31に設けられたもので、アウターシェル39と一体化された左右の取付部51と、これら取付部51の後端間に架設された把持部材53と、前記左右の取付部51を前記インナーシェルに止着するための止着具を隠すためのカバー部56とを備えたものである。換言すれば、持ち手5は、左右の取付部51と把持部材53とが合成樹脂によりアウターシェル39と一体に形成されているとともに、前記取付部51の外面側に合成樹脂製のカバー部56が取り付けられている。
【0072】
各取付部51は、
図18〜
図24に示すように、それぞれボルト孔511を有した盤状のものである。そして、これら取付部51のボルト孔511に挿通させた止着具たるボルト512を前記背保形用構造体31の持ち手取付部36を構成するボス部361の雌ねじ孔362にそれぞれ螺着することにより、持ち手5をインナーシェルである背保形用構造体31に取り付けている。各取付部51の背面側には切り欠き部513を設けている。
【0073】
把持部材53は、
図18〜
図24に示すように、中央部が後方に突出する方向に湾曲する帯板状のもので、平面視における曲率を平面視における背凭れ3上縁の曲率よりも大きくしてあるとともに、背面視において上下方向寸法を中央から外側方に向かって漸次大きくした形状をなしている。把持部材53の背面531側には切り欠き部532を設けている。
【0074】
カバー部56は、
図18〜
図24に示すように、前記取付部51及び把持部材53の切り欠き部513、532の開口形状に対応した形状をなすもので、カバー部56を取付部51及び把持部材53に取り付けた状態において、このカバー部56の背面561とアウターシェル39の背面394とが面一になるように設定されている。また、この位置決め状態においては、カバー部56の上面562とアウターシェル39の上向き面395とが面一になるように設定されている。すなわち、前記カバー部56が、アウターシェル39の外面と連続する外面を備えている。
【0075】
この椅子1は持ち手5に関して次のように表現することもできる。すなわち、この椅子1は、背面に外装材32を設けた背凭れ3に持ち手5を設けたものであって、持ち手5が、水平面に沿って後方に延出させた上面を有し前記背凭れ3の背面に突設された左右対をなす突部55と、これら突部55間に架設されその上面を前記両突部55の上面に連続させた把持部材53とを備えたものである。突部55は、前記取付部51と、この取付部51に連続させて前記アウターシェル39に一体に形成した膨出部396とによって形成されたもので、後方への突出寸法を外側方に向かって漸次小さくした形状をなすものである。また、前記把持部材53と背凭れ3との間に上下に連通する空洞7が形成されており、把持部材53よりも下方における背凭れ3の背面が、アウターシェル39により覆われている。
【0076】
<本実施形態の効果>
以上に述べたように、本実施形態に係る椅子1は、上述した構成をなしているので、第1実施形態で述べたのと同様またはこれに準じた効果を得ることができる。
【0077】
また、本実施形態の椅子1においては、持ち手5が、左右の取付部51を止着具を介して背保形用構造体31であるインナーシェルに取り付けられたものであり、前記背凭れ3が、クッション37と、このクッション37を背面側から保持するインナーシェルと、前記持ち手5と一体に成形され前記インナーシェルの背面に装着されたアウターシェル39とを備えたものであるので、アウターシェル39のインナーシェルへの取付作業と持ち手5のインナーシェルへの取付作業を一度に行うことができる。
【0078】
持ち手5が、アウターシェル39と一体化された左右の取付部51と、これら取付部51の後端間に架設された把持部材53と、前記左右の取付部51を前記インナーシェルに止着するための止着具を隠すためのカバー部56とを備えたものであるので、持ち手5を椅子本体2に対して滑らかに連続させることができる。そのため、椅子1を移動させた際に、持ち手5が椅子1の周辺部の家具等に引っ掛かることを好適に抑制できる。
【0079】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0080】
本発明は、上述したロッキング機構を有しない椅子にも適用できる。
【0081】
また、突部は、背支持用構造体、背保形用構造体(インナーシェル)及びアウターシェルの少なくとも一つに一体または別体で設けられるものを含んでいる。
【0082】
持ち手の形状及び大きさは、上述したものに限られず、種々変更可能である。例えば、取付部は、左右の2箇所に限られず、1箇所または3箇所以上であってもよく、その取付方法も上述したものに限られない。
【0083】
背保形用構造体に設けられた持ち手取付部は、持ち手以外の部品を取り付けるために用いてもよい。例えば、このボス部の雌ねじ孔を用いて、ヘッドレストの基端部や、ハンガーの基端部や、ハイバック仕様のための芯材、換言すれば背凭れの上下方向を延出させるための芯材等のオプション部材を取り付けることが考えられる。
【0084】
また、持ち手に他の部品を取り付けるようにしてもよい。すなわち、持ち手と背凭れの間には空洞が形成されているため、例えば、この持ち手の把持部材にハンガーの基端部等のオプション部材を取り付けることが考えられる。
【0085】
係止機構は、少なくとも支持基部の後方に開放されているものであればよく、連結部材や係合部材の形態についても上述したものに限られない。また、上述した実施形態では、連結部材の中間部の所定高さ位置に係合孔を設けるようにしていたが、係合孔を設けないものや、上下方向に間隔をあけて複数対の係合孔を設けたものであってもよい。すなわち、背凭れを2つの後傾位置で固定し得るものや、4つ以上の後傾位置で固定し得るものであってもよい。さらに、このような係合孔は、左右方向に分割されたものには限られない。また、連結部材と係合部材とが係止する箇所において、該連結部材と係合部材の少なくとも一方に、係脱を円滑に案内するための案内面を設けるようにすれば、係脱時のがたつきを抑えることができ、着座者が操作部材をスムーズに操作することが可能になる。
【0086】
背支持用構造体は、上述した背フレーム等に限られず、背凭れをロッキング動作可能に支持するものであればどのようなものであってもよく、例えば、背支桿、背支桿に代替される剛性を有したアウターシェル等であってもよい。また、背凭れの態様も種々変更可能である。例えば、背保形用構造体は、背インナーシェルの他、背枠や、保形用の背フレーム等であってもよく、外装材も、クッションや張地等、背保形用構造体に取り付けられるものの他、適度な剛性及び弾力性を有したシェル状のいわゆる樹脂メッシュ等、外装材と背保形用構造体とが一体に形成されているものであってもよい。
【0087】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。