(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転する潜像保持体の外周面に対して所要の間隔をあけた状態で配置され、前記潜像保持体と接近する部位の移動方向が当該潜像保持体とは逆方向になるよう回転するとともに現像剤を磁力により保持して搬送する円筒状の第1現像ロールと、
前記潜像保持体の回転方向の前記第1現像ロールよりも下流側になる位置において当該潜像保持体の外周面及び当該第1現像ロールに対して所要の間隔をあけた状態で配置され、前記潜像保持体と接近する部位の移動方向が当該潜像保持体とは同方向になるよう回転するとともに現像剤を磁力により保持して搬送する円筒状の第2現像ロールと、
前記第2現像ロールに所要の間隔をあけた状態で配置され、当該第2現像ロールの外周面に供給されて保持される現像剤の層の高さを規制する層規制部材と、
前記第1現像ロールの内部空間と前記第2現像ロールの内部空間のうち当該両現像ロールが互いに接近する各領域に回転せずに向き合った状態で配置され、当該第2現像ロールに前記層規制部材を通過した後に保持されている現像剤を分割して当該第1現像ロールに受け渡す極性の異なる一対の分割磁極と、
前記第1現像ロールと前記第2現像ロールが接近し合う隙間空間に配置され、前記第1現像ロールと前記第2現像ロールの間で前記一対の分割磁極により形成される現像剤の受渡し流路内に存在するとともに当該両現像ロールの軸方向に沿って延びた状態で存在して現像剤の通過量を規制する隙間が設けられた板状の受渡量規制部材と
を備えていることを特徴とする現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0024】
[実施の形態1]
図1から
図3は、実施の形態1に係る現像装置を用いた画像形成装置を示すものである。
図1はその画像形成装置の概要を示し、
図2はその現像装置の全体を示し、
図3はその現像装置の要部を示している。
【0025】
<画像形成装置の全体の構成>
この画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、筐体10の内部空間に、現像剤を構成するトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置20と、各作像装置20で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に被記録材の一例としての記録用紙9に二次転写する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写部に供給すべき所要の記録用紙9を収容して搬送する給紙装置40と、中間転写装置30でトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置45等が設置されている。筐体10は、支持部材、外装カバー等で支持構造部や外装部が形成されている。図中の一点鎖線は、筐体10内において記録用紙9が搬送される主な搬送経路を示す。
【0026】
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kで構成されている。この4つの作像装置20(Y,M,C,K)は、筐体10の内部空間において直列に並べた状態で配置されている。また、各作像装置20(Y,M,C,K)は、扱う現像剤の種類が異なる点を除けば、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
【0027】
各作像装置20(Y,M,C,K)は、
図1や
図2に示すように、回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム21の像形成が可能な外周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された外周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像装置5(Y,M,C,K)と、そのトナー像を中間転写装置30(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、一次転写後における感光ドラム21の外周面に残留して付着するトナー等の付着物を帯電させる清掃前帯電装置26と、その再帯電された付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置27、感光ドラム21の清掃後における像保持面を除電する除電器28等である。
【0028】
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、図示しない回転駆動装置から動力を受けて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。帯電装置22は、感光ドラム21に接触しない状態で配置されるコロナ放電器等の非接触型の帯電装置や、帯電電圧が供給されて感光ドラム21に接触した状態で配置される帯電ロール等を使用する接触型の帯電装置で構成される。帯電電圧としては、現像装置5が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
【0029】
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置23には、画像形成装置1に入力されるプリント対象となる画像の情報について画像処理装置で必要な画像処理が施され、その処理後に得られる各色成分の画像信号が送信される。現像装置5(Y,M,C,K)は、例えば、前記4色の非磁性トナーと磁性キャリア粒子を含む二成分現像剤8を使用するものであり、特に
図2や
図3等に示すように、2つの現像ロール51,52を採用している。この現像装置5の詳細については後述する。
【0030】
一次転写装置25は、感光ドラム21の外周面に接触して回転するとともに一次転写電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧等が供給される。一次転写装置25については、中間転写装置30を構成するものとして扱っても構わない。ドラム清掃装置27は、
図2に示すように、一部が開口する容器状の筐体27aと、一次転写後の感光ドラム21の外周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除く清掃板(クリーニングブレード)27bと、清掃板27bよりも感光ドラム21トの回転方向上流側で感光ドラム21の外周面に接触して回転するよう配置されて清掃する回転ブラシロール27cと、清掃板27bで取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう駆動するスクリューオーガー等の送出部材27d等で構成されている。清掃板27bとしては、ゴム等からなる板状部材が使用される。
【0031】
中間転写装置30は、
図1に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置30は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32fと、支持ロール32eに支持されている中間転写ベルト31の外周面(像保持面)に所定の圧力で接触して回転する二次転写装置35と、二次転写装置35を通過した後に中間転写ベルト31の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置36とで主に構成されている。
【0032】
中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤を分散させてなるベルト基材に、トナー像に対する離型性を付与する目的からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる樹脂粒子等を分散させた無端状のベルトが使用される。また、支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32b,32d,32fはベルトの走行位置などを保持する従動ロールとして、支持ロール32cは張力付与ロールとして、支持ロール32eは二次転写のバックアップロールとして構成されている。
【0033】
二次転写装置35は、バックアップロール32eに支持されている中間転写ベルト31の外周面に所要の圧力で接触するとともに二次転写電圧が供給される二次転写ロールで構成されている。二次転写電圧としては、トナーの帯電極性と同極性(又は逆極性)を示す直流の電圧等が供給される。ベルト清掃装置36は、二次転写位置35を通過した後の中間転写ベルト31の外周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除く清掃板(クリーニングブレード)と、清掃板よりもベルトの回転方向Bの上流側で中間転写ベルト31の外周面に接触して清掃する回転ブラシ等で構成されている。清掃板としては、ゴム等からなる板状部材が使用される。
【0034】
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置40は、筐体10の正面(操作者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。給紙装置40から送りされる記録用紙9は、複数の用紙搬送ロール対43a,43b,43c,・・・や搬送ガイド材で構成される搬送路を経由して中間転写装置30の二次転写位置(中間転写ベルト31と二次転写装置35との間)に搬送される。また、二次転写装置35と定着装置45の間には、二次転写後の記録用紙9を定着装置45まで搬送する図示しない搬送装置が設置されている。
【0035】
定着装置45は、筐体46の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱回転体47と、この加熱回転体47の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧用回転体48とを設置したものである。この定着装置45でトナー像の定着が終了して画像が形成された記録用紙9は、複数の搬送ロール対や搬送ガイド材で構成される排出搬送路を通して筐体10等に設置される図示しない排出部に搬送されて収容される。
【0036】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1による基本的な画像形成動作(プリント)について説明する。ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する画像形成動作のパターンを代表して説明する。
【0037】
画像形成装置1に画像形成動作(プリント)の要求の指示があると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、まず各感光ドラム21が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の像保持面を所要の極性(本実施の形態ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の表面に対し、画像処理装置から送信された各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0038】
次いで、各現像装置5(Y,M,C,K)が、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール51,52から供給して静電的に付着させる。このように現像が行われることで各感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0039】
続いて、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写装置25により、中間転写装置30の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わされるようにして一次転写される。各作像装置20における一次転写後の感光ドラム21は、その外周面に残留するトナー等の付着物が清掃前帯電装置26により再帯電された後にドラム清掃装置27によって除去されて清掃され、しかる後、その清掃後の外周面が除電器28により除電される。
【0040】
続いて、中間転写装置30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を二次転写位置まで搬送した後、その二次転写位置において中間転写ベルト31上のトナー像を給紙装置40から搬送されて送り込まれる記録用紙9に一括して二次転写させる。二次転写後の中間転写ベルト31は、その外周面に残留したトナー等の付着物がベルト清掃装置36によって取り除かれ、清掃される。
【0041】
最後に、トナー像が二次転写された記録用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に定着装置45まで搬送されて導入されて必要な定着処理(熱及び圧力)を受けることにより、未定着のトナー像が用紙9に定着される。定着が終了した後の記録用紙9は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、例えば筐体10に形成される図示しない排出収容部に排出されて収容される。
【0042】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙9が筐体10の外に出力される。
【0043】
<現像装置の構成>
次に、現像装置5について詳述する。
【0044】
現像装置5は、
図2から
図4等に示すように、前述した二成分現像剤8を収容する収容部50aと感光ドラム21と向き合う位置に形成される矩形状の開口部50bを有する筐体50を備えている。この筐体50は、感光ドラム21の軸方向の長さを超える長さからなる細長い容器状の形状をしている。また、収容部50aは、細長い容器状の形状における長手方向に沿う中央仕切り壁50cで区画されるほぼ平行した2列の搬送路(溝部)50d、50eが形成されており、その2列の搬送路50d、50eが各両端部で互いにつながって一巡する循環型の搬送路になっている。二成分現像剤Gは、この収容部50aの搬送路50d、50e内に収容されている。
図3における符号50fは、図示しない現像剤補給装置から供給される補給現像剤を受け入れる円筒状の受入れ部である。
【0045】
そして、現像装置5は、
図4等に示すように、その筐体50の内部に、二成分現像剤8を感光ドラム21と2箇所で向き合う現像域E1,E2まで磁力で保持してそれぞれ搬送する2つの現像ロール51,52(第1現像ロール51と第2現像ロール52)と、収容室50aに収容される二成分現像剤8を攪拌して搬送する攪拌搬送部材としての2つのスクリューオーガー54、55と、スクリューオーガー55から第2現像ロール52に供給される二成分現像剤8の通過を規制してその層の高さ(搬送量)を規制する層規制板56と、第2現像ロール52から搬送される現像剤8の一部を第1現像ロール51に受け渡すときの受渡量を規制する受渡規制板57と、第1現像ロール51から剥離される現像剤8を収容部50aに戻すよう案内する回収案内板58と、回収案内板58から収容部50aに移動する現像剤8の一部を一時的に蓄える貯留パドル59等が配置されている。
【0046】
第1現像ロール51及び第2現像ロール52は、筐体50の開口部50bに一部を露出した状態で所要の方向C,Dにそれぞれ回転するように設置されている。2つの現像ロール51,52は、感光ドラム21の回転方向Aにおいて所要の間隔γ(
図6)をあけた状態で配置されており、両現像ロール51,52が接近する部分に存在する隙間空間が接近部53として形成されている。
【0047】
このうち第1現像ロール51は、感光ドラム21の外周面の第1現像域E1において所要の間隔αをあけた状態で矢印Cの方向に回転駆動するように支持される円筒状のスリーブ51Aと、このスリーブ13Aの内側に固定した状態で存在するように設けられる磁石ロール51Bとで構成されている。スリーブ51Aの回転方向Cは、感光ドラム21の第1現像域E1での移動方向が、感光ドラム21の回転(移動)方向Aと反対の方向(逆方向)になるよう設定されている。
【0048】
一方、第2現像ロール52は、感光ドラム21の外周面の第1現像域E1よりも下流側の第2現像域E2において所要の間隔βをあけた状態で矢印Dの方向に回転駆動するように支持される円筒状のスリーブ52Aと、このスリーブ52Bの内側に固定した状態で存在するように設けられる磁石ロール52Bとで構成されている。スリーブ52Aの回転方向Dは、感光ドラム21の第2現像域E2での移動方向が感光ドラム21の回転方向Aと同じ方向になるよう設定されている。
【0049】
スリーブ51A,52Aはいずれも、非磁性材料(例えばステンレス、アルミニウム等)を用いて、感光ドラム21の回転軸方向における像形成有効領域とほぼ同じ幅(長さ)の円筒部を少なくとも有する形状に形成されている。また、スリーブ51A,52Aは、その両端部に軸部が形成されており、その軸部が筐体50における側面支持部50に回転自在に軸受けされている。さらに、スリーブ51A,52Aには、図示しない給電装置から感光ドラム21との間に現像電界を形成するための現像電圧が印加される。現像電圧としては、例えば交流成分を重畳した直流電圧が印加される。
【0050】
磁石ロール51B,52Bはいずれも、スリーブ51A,52Aの外周面に現像剤8の磁性キャリアが磁気ブラシを形成した状態で保持されるような磁力(磁力線)等を発生させる複数の磁極(S極、N極)を配置した構造のものである。磁石ロール51B,52Bは、例えば、その両端部が現像スリーブ51A,52Aの各軸部における内部空間を通して筐体50の側面部に固定された状態で取り付けられる。複数の磁極は、スリーブ51A,52Aの軸方向J(
図3)に沿ってそれぞれ延びるものであり、スリーブ51A,52Aの周方向(回転方向)に間隔をあけて所要の位置にそれぞれ配置されている。
【0051】
実施の形態1における第1現像ロール51の磁石ロール51Bは、S3,N4,S1,N1,S2,N2,N3という7つの磁極を配置している。このうち磁極S3は、第2現像ロール52から分割されて受け渡される現像剤8を第1現像ロール51の側に磁力で引き寄せて移行させる分割極である。磁極S1は、第1現像域E1において現像剤8を大きな磁気ブラシ(穂立ち)となる状態にして感光ドラム21の外周面に接触させて現像に供する現像極である。磁極N4と磁極N1は、現像極S1を中心にしてスリーブ51Aの回転方向Cの上流側及び下流側になる前後領域における現像剤8の搬送を補助する搬送補助極である。磁極S2は、現像域E1を通過した後の現像剤8を保持して搬送する搬送極である。磁極N2と磁極N3は、両者で反発磁界を形成して現像剤8をスリーブ51Aから剥がすピックオフ(剥離)極である。
【0052】
一方、第2現像ロール52の磁石ロール52Bは、N3,S2,N2,S1,N1,S3、N4という7つの磁極を配置している。このうち磁極N3はスクリューオーガー55から供給される現像剤8をスリーブ52Aに吸着させるピックアップ極、磁極S2は層規制板56の層規制を補助する層規制補助極である。磁極N2は、第1現像ロール51の分割極S3と協働して機能する一対の分割極であり、第2現像ロール52に層規制板56を通過した後に保持されている現像剤8の一部を分割して第1現像ロール51側に受け渡す機能を発生する。磁極N1は、第2現像域E2において現像剤8を大きな磁気ブラシとなる状態にして感光ドラム21の外周面に接触させてける現像に供する現像極である。磁極S1と磁極S3は、現像極N1を中心にしてスリーブ52Aの回転方向Dの上流側及び下流側になる前後領域における現像剤Gの搬送を補助する搬送補助極である。磁極N4と磁極N3は、両者で反発磁界を形成してスリーブ52Aから現像剤8を剥がすピックオフ極である。
【0053】
ちなみに、この現像装置5では、第1現像ロール51の分割極S3と第2現像ロール52の分割極N2を、
図4等に示すように、第1現像ロール51の回転中心に対応する磁石ロール51Bの中心位置P1と第2現像ロール52の回転中心に対応する磁石ロール52Bの中心位置P2とを結ぶ仮想直線(VL)を境にして感光ドラム21が存在する側の領域とは反対の領域に存在させた状態で配置している。より具体的には、分割極S3と分割極N2を、その各現像ロール51,52の中心位置(P1,P2)の仮想直線(VL)となす中心角度が例えば10°〜30°の範囲内の角度になるよう配置している。
【0054】
スクリューオーガー54、55はいずれも、回転軸54a,55aの周面に搬送羽根54b,55bを螺旋状に巻きつけたような形態からなるものである。このスクリューオーガー54、55は、筐体50の収容部50aにおける2列の搬送路50d、50eにそれぞれ存在して回転し得る状態で設置され、その双方の搬送路にある各現像剤8を所要の搬送方向が発揮されるべき方向に回転駆動するようになっている。また、オーガー54、55は、現像ロール51,52における各スリーブ51A,52Aを回転させる動力の一部がギヤ等の駆動伝達機構により分岐されて伝達されることで回転する。第2現像ロール52と近い位置に配置されているスクリューオーガー55は、その搬送する現像剤8の一部を第2現像ロール52に供給するようになっている。
【0055】
層規制板56は、その主要部が、第2現像ロール52のスリーブ52Aの軸方向Jにおける長さを少なくとも有する長さ(長辺)からなる長方形状の板材である。また、層規制板56は、非磁性材料(例えばステンレス)を用いて形成されている。さらに、層規制板56は、その長手方向の一端部(下方の長辺部)がスリーブ52Aの外周面と所要の間隔(層規制間隔)をあけて向き合う状態になるとともにスリーブ52Aの軸方向Jに沿って延びて向き合う状態になるよう筐体50に取り付けられている。
【0056】
受渡量規制板57については後述する。
【0057】
回収案内板58は、第1現像ロール51から剥離される現像剤を受け取った後に収容室50aに戻すように滑らせて落下させる面を有する板材である。この回収案内板58は、その上端部58aが第1現像ロール51の剥離極である磁極N2及び磁極N3の間になる位置でスリーブ52Aの外周面に所定の間隔をあけて向き合った状態になり、その下端部58bが上端部58aから次第に下方側にむけて延びて最後にスクリューオーガー55の上方の位置まで達する状態になるよう設置されている。
【0058】
貯留パドル59は、回転軸の周囲に現像剤8を一時的に捕獲する容器状の部分が形成された羽根部を有するものである。この貯留パドル59は、回収案内板58とスクリューオーガー55との間になる位置にほぼ配置されて矢印の方向に回転するようになっている。
【0059】
以下、この現像装置5の基本的な動作について説明する。
【0060】
まず、現像装置5は、画像形成装置1による画像形成の動作時になると、
図5に示されるように、2つの現像ロール51,52の各スリーブ51A,52Aとスクリューオーガー54,55と貯留パドル59がそれぞれ回転し始めるとともに、各スリーブ51A,52Aに現像電圧が供給される。
【0061】
これにより、筐体50の収容部50aに収容されている二成分現像剤8は、回転するオーガー54,55によって攪拌されながら収容部50aにおける2列の搬送路50d,50e内を各方向にそれぞれ搬送されて全体として循環されるような状態で搬送される。この際、二成分現像剤8における非磁性トナーは、磁性キャリア粒子と十分に攪拌されて摩擦帯電されるとともに、そのキャリアの表面に静電的に付着した状態となる。
【0062】
続いて、第2現像ロール52に近い側に配置されたスクリューオーガー55によって搬送される二成分現像剤8は、その一部8aが第2現像ロール52のスリーブ52Aの外周面に磁力により吸着されるようにして保持される。すなわち、その一部8aは、回転するスリーブ52Aの外周面に、磁石ロール52Bの磁極N3から発生する磁力(磁力線)が及ぶことにより、トナーが付着した磁性キャリアが鎖状に繋がった穂立ち状の磁気ブラシを形成した状態で保持されて供給される。
【0063】
次いで、第2現像ロール52に保持された二成分現像剤8aは、そのスリーブ52Aの回転に伴って搬送される途中で層規制板56により一部がせき止められるとともに一部が通過させられる。すなわち、層規制板56に達する現像剤8aは、層規制補助用の磁極S2の磁力を受けた状態で磁気ブラシを形成して立ち上がった状態になり、その一部の現像剤が層規制板56でせき止めされた状態になり、その殆どが収容部50a側に戻される。一方、残りの現像剤8bは、スリーブ52Aと層規制板56との間に形成される隙間を通過する際に、その通過を規制されてほぼ一定の高さ(搬送量)にされる。
【0064】
続いて、層規制板56を通過した後の現像剤8bは、第2現像ロール52と第1現像ロール51との間の接近部53に達する。この近接部53では、2つの現像ロール51,52(の磁石ロール51B,52B)に向き合う状態でそれぞれ配置される分割極N2,S3との間に形成される磁力により、両現像ロール51,52どうしをつなぐように現像剤8aの一部のキャリア粒子が鎖状に連なって第2現像ロール52から第1現像ロール51にむけてトナー粒子とともに移動する受渡し経路(8c)が形成されている。このため、上記現像剤8bは、この近接部53に近づいて通過する際、その一部の現像剤が第1現像ロール51から分離されて受渡し経路を伝わって第1現像ロール51に受け渡される。これにより、層規制板56を通過した後の第2現像ロール52に保持されている上記現像剤8bは、第2現像ロール52と第1現像ロール51に所要の割合で振り分けられて分離される(現像剤8c,8d)。
【0065】
このとき、第1現像ロール51に振り分けられた現像剤8dは、矢印Cの方向に回転するスリーブ51Aによって搬送されて感光ドラム21の回転方向Aの上流側に位置する第1現像域E1を通過する際に、現像磁極S1の磁力を受けるとともに現像電圧による現像電界による作用を受ける。これにより、現像剤8dの磁気ブラシにおけるトナーが感光ドラム21との間を往復移動して第1現像域E1を通過する潜像部分に付着して当該潜像部分を現像する。
【0066】
最後に、第1現像域E1を通過した後の現像剤8fは、搬送補助極N1と搬送極S2の磁力を受けて第1現像ロール51の外周面に保持された状態で搬送された後、剥離極である磁極N2と磁極N3の間で形成される反発磁力によりスリーブ51Aの外周面から剥離される。このとき剥離した現像剤8gは、回収案内板58に案内されて収容部50aに向けて落下するが、その一部がその落下の途中で貯留パドル59により一時的に捕獲されて滞留した後、最終的に現像剤8hとして貯留パドル59から落下して収容部50aに向けて戻される。
【0067】
一方、第2現像ロール52に振り分けられた現像剤8eは、矢印Dの方向に回転するスリーブ52Aによって搬送され、感光ドラム21の回転方向Aの下流側に位置する第2現像域E2を通過する際に、現像磁極N1の磁力を受けるとともに現像電圧による現像電界による作用を受ける。これにより、現像剤8eの磁気ブラシにおけるトナーが感光ドラム21との間を往復移動して第2現像域E2を通過する潜像部分に付着して当該潜像部分を現像する。
【0068】
第2現像域E2を通過した後の現像剤8jは、搬送補助極S3と搬送極N4の磁力を受けて第2現像ロール52の外周面に保持された状態で搬送された後、剥離極である磁極N4と磁極N3の間で形成される反発磁力の作用を受けてスリーブ52Aの外周面から剥離され、現像剤8kとして自然落下することで収容部50aに戻される。
【0069】
<現像装置の詳細な構成>
また、この現像装置5においては、2つの現像ロール51,52にそれぞれ分割されて保持される現像剤8の量(分割比)を簡便に設定できるようにする観点から、
図4から
図6等に示されるように、第1現像ロール51と第2現像ロール52が接近し合う接近部53の隙間空間に、その両現像ロール51,52間で前記した極性の異なる一対の分割磁極N2,S3により形成される現像剤の受渡し流路8c内に
存在するとともに両現像ロール51,52の軸方向Jに沿って延びた状態で存在して現像剤の通過量を規制する隙間572が設けられた受渡量規制板(スリット板)57を配置している。
【0070】
受渡量規制板57は、
図7等に示されるように、全体がほぼ細長い長方形状の板状基材571と、板状基材571のほぼ中央部において長手方向に沿って直線状に延びるように設けられた隙間572とで主に構成されている。
【0071】
板状基材571は、例えばステンレス(SUS304など)等の非磁性材料からなる厚さMの平板であり、その長手方向の両端部に装着端部573,574が形成されている。板状基材571の長手方向とほぼ直交する方向に沿う幅Wは、例えば、第1現像ロール51と第2現像ロール52の間に形成される前記現像剤8の受渡し流路(8c)の幅よりも広い寸法であって、現像装置の他の機能に対して障害(物)とならない程度の寸法である。また、板状基材571の厚さMは、2つの現像ロール51,52の間隔γ(例えば4mm)よりも小さい値であり、各現像ロール51,52に保持されて搬送される現像剤8b,8d,8eの障害にならない程度の寸法である。
【0072】
隙間572は、所要の幅Tで板状基材571の長手方向に沿って直線状に延びる全体形状がきわめて細い長い長方形状からなるものである。隙間572の長手方向の長さLは、2つの現像ロール51,52,の有効現領域の長さと同じかそれよりも少し長い寸法である。また、隙間572の幅Tは、現像剤の受渡し経路において現像剤の通過を規制して実際の受渡量を決定する要素となるものであり、その現像剤の通過量(受渡量)に応じて設定される。
【0073】
受渡量規制板57は、
図6等に示されるように、その板状基材571が2つの現像ロール51,52における前記各中心点G1,G2を結ぶ仮想直線VLに対してほぼ直交した姿勢となり、しかも、その隙間572が現像ロール51,52間で形成される現像剤の受渡し流路内に存在する状態になるように配置される。ちなみに、現像剤の受渡し流路は、例えば、分割磁極N2,S3の間で形成される磁気ブラシの形成が可能な磁力線が存在する範囲であるが、別の観点から言えば、2つの現像ロール51,52における前記各中心点G1,G2を結ぶ仮想直線VLを挟んで現像ロール51の回転方向Dの上流側及び下流側に及ぶ範囲や、現像ロール51,52における前記各中心点G1,G2から分割磁極N2,S3を通過する直線が接近部53内で交わる位置から現像ロール51の回転方向Dの下流側に少し至る範囲である。また、現像剤の受渡し流路は、現像ロール51,52が回転を停止している時期にも形成されて存在している。
【0074】
受渡量規制板57は、上記した状態で配置することができれば現像装置5における取付け構造については特に制約されないが、実施の形態1に係る現像装置5が、以下に説明するように2つの現像ロール51,52の支持構造としてそのロール間の相対位置が変動する可能性のある支持構造を採用している関係から、それに対応させて以下に説明する取付け構造を採用している。
【0075】
はじめに、
図8から
図12等を参照しながら、現像ロール51,52の支持構造について説明する。
【0076】
まず、現像ロール51,52は、その各スリーブ51A,52Aの両端部にある軸部51c,51d,52c,52dに、各スリーブ51A,52Aの本体部外周面よりも間隔α又はβの寸法分だけ(半径が)大きいトラッキングロール(間隔保持車輪)61A〜61Dがそれぞれ取り付けられており、そのトラッキングロール61A〜61Dを感光ドラム21の外周面の端部(フランジ部)21b、21cにそれぞれ押し付けた状態で回転させるように支持されている(
図8から
図11等参照)。これにより、現像ロール51,52(各スリーブ51A,52A)は、
図4に示されるように、感光ドラム21に対して所要の間隔α、βをあけた状態に保たれて回転するようになる。
【0077】
また、現像ロール51,52は、各トラッキングロール61A〜61Dがすべて感光ドラム21の外周面の端部21b、21cに安定して確実に接触するように以下の支持構造を採用している。
【0078】
すなわち、現像ロール51,52は、その各一方(例えば装置の奥側:In側)の端部(軸部)51c,52cが、筐体50の第1支持フレーム501に回転自在に取り付けられて支持されている(
図9、
図10等を参照)。また、第2現像ロール52は、その他方(例えば装置の正面側:Out側)の端部(軸部)52dが、筐体50の第2支持フレーム502に回転自在に取り付けられて支持されている(
図8、
図10等を参照)。さらに、第1現像ロール51は、その他方の端部(軸部)51dが、第2支持フレーム502に支持されている現像ロール52の軸部52dに装着されてその軸部52dを中心にして感光ドラム21に対して接近及び離間する方向H1,H2に揺動する揺動フレーム503に回転自在に取り付けられて支持されている(
図8、
図10〜
図12等を参照)。
図10と
図11における符号504は、第1支持フレーム501と第2支持フレーム502を連結する連結支持フレームである。
図8、
図9等における符号59aは貯留パドル59の軸部を示し、
図8における符号551はスクリューオーガー54,55の各ギヤに噛み合って接続する接続ギヤを示す。
【0079】
また、第1支持フレーム501と第2支持フレーム502は、押付け機構505,506により感光ドラム21に接近する方向H1に所要の押付け力F1でそれぞれ弾性的に押し付けられている。第1支持フレーム501と第2支持フレーム502は、感光ドラム21を支持する図示しない支持フレームに対して接近及び離間する方向に揺動自在に取り付けらており、その取付け状態において押付け機構505,506によって押し付けられている。押付け機構505,506は、例えば、加圧用のスプリングで構成されており、そのスプリングの固定端となる一端部505a,506aが作像装置20(又は画像形成装置1)の固定部分(筐体10の一部10aなど)に取り付けられ、その自由端となる他端部505b,506bが第1支持フレーム501と第2支持フレーム502の各押付け面部501a,502aに接触した状態で取り付けられている。また、揺動フレーム103は、押付け機構507により感光ドラム21に接近する方向H1に所要の押付け力F2で押し付けられている。押付け機構507は、例えば、加圧用のスプリングで構成されており、そのスプリングの固定端となる一端部507aが第2支持フレーム502の固定装着部502bに取り付けられ、その自由端となる他端部507bが揺動フレーム503の押付け部503aに接触した状態で取り付けられている。
【0080】
この支持構造により、第1現像ロール51の一方のトラッキングロール61Aと第2現像ロール52の両方のトラッキングロール61C,61Dとは、第1支持フレーム501と第2支持フレーム502が押付け機構505,506により所要の押付け力F1で感光ドラム21に接近する方向H1に押し付けられるので、感光ドラム21の外周面の端部21b、21cに対して計3つの地点(P1,P2,P3)でそれぞれ確実に接触した状態に保たれる。また、第1現像ロール51の他方のトラッキングロール61Bは、第2支持フレーム502において揺動支持フレーム503が押付け機構507により所要の押付け力F2で感光ドラム21に接近する方向H1に押し付けられるので、感光ドラム21の外周面の端部21cに対して1つの地点(P4)で確実に接触した状態に保たれる。
【0081】
この結果、4つのトラッキングロール61A〜61Dは、3つのトラッキングロール61A〜61Cが感光ドラム21に3点で接触したうえで、最後の1つのトラッキングロール61Dが感光ドラム21に1点で確実に接触した状態になり、全体として4つのトラッキングロール61A〜61Dのすべてが感光ドラム21に安定して確実に接触した状態に保たれるようになる。つまり、2つの現像ロール51,52の各両端部を一対の支持フレームに間隔γをあけて取り付け、その支持フレームを押付け機構により感光ドラムに接近する方向に押し付けた支持構造の場合には、4つのトラッキングロールのうちの1つが感光ドラムに良好に接触しない状態になってしまう不具合が発生するときがあるが、そのような不具合が発生するおそれがない。また、この支持構造は、第1現像ロール51の一端部51dが他の現像ロールの端部とは別の可動フレームに支持されているため、現像ロール51,52間の相対位置が変動する可能性を有している。
【0082】
次に、受渡量規制板57は、上記現像ロール51,52の支持構造の採用により、
図8から
図13等に示されるように、その一方の端部に形成した装着端部573が第1支持フレーム501に取り付けられ、その他方の端部に形成した装着端部574が揺動フレーム503に取り付けられている。
【0083】
詳しくは、受渡量規制板57は、
図13等に示されるように、その板状基材571の一端部571aを第1支持フレーム501に設けられる図示しない装着凹部に差し込んで支持し、その板状基材571の他端部571bを揺動フレーム503に設けられる図示しない装着凹部に差し込んで支持した状態にしている。また、受渡量規制板57は、その両端部に形成した装着端部573,574に基準面573a,574aを設け、その基準面573a,574aを、第1支持フレーム501及び揺動フレーム503にそれぞれ設けた位置決め部材575,576の各位置決め面に接触させる構造にしている。
【0084】
ここで、装着凹部は、受渡量規制板57が2つの現像ロール51,52の接近部53の隙間空間で両ロールに対してほぼ等しい間隔をあけた状態で存在することができるように形成される。また、基準面573a,574aと位置決め部材575,576で規制する位置は、受渡量規制板57の隙間572が前記した現像ロール51,52間で形成される現像剤の受渡し流路(8c)内に存在する状態になる位置であるが、実際には直線状の隙間572が第1現像ロール51の軸方向Jと平行した状態になる位置である。さらに、位置決め部材575,576は、第1支持フレーム501及び揺動フレーム503に対して位置の微調整ができる状態(例えば、前記装着凹部の装着方向に沿う方向に変位できる状態)で取り付けられている。
【0085】
そして、受渡量規制板57は、
図8、
図9、
図13等に示されるように、その両端部に形成した装着端部573,574を引っ張り用のスプリング578により所要の引っ張り力F3で引っ張り、基準面573a,574aが位置決め部材575,576の各位置決め面に接触し続ける状態にしている。スプリング578は、その固定側になる一端部578aを各フレーム502,503の取付け部502d,503dに取り付け、その自由端になる他端部578bを受渡量規制板57の装着端部573,574にそれぞれ取り付けている。
【0086】
これにより、受渡量規制板57は、隙間572が現像ロール51,52間で形成される現像剤の受渡し流路(8c)内に存在する状態で取り付けられ、実際には第1現像ロール51が揺動フレーム503の揺動により変位して第2現像ロール52との相対位置が変動することがあっても、隙間572が第1現像ロール51の軸方向Jと平行した状態で取り付けられる(
図11、
図14等参照)。また、受渡量規制板57は、位置決め部材575,576の位置を微調整することにより、受渡量規制板57の取り付け状態を微調整することができ、例えば、2つの現像ロール51,52、層規制板56、受渡量規制板57等の構成部品の寸法公差や組み立て公差があっても、所望の状態で正確に取り付けることができる。
【0087】
この現像装置5は、
図14等に示されるように、上記した受渡量規制板57を配置していることにより、第2現像ロール52により層の高さが規制された状態で搬送される現像剤8bの一部が、第1現像ロール51と第2現像ロール52が接近する接近部53に達する直前から両現像ロール51,52間で極性の異なる一対の分割磁極N2,S3により形成される現像剤の受渡し流路8cによって第1現像ロール51に受け渡されるが、その際、第1現像ロール51に実際に移行する現像剤8の量が隙間572を通過できる量(通過量)に規制される。この結果、2つの現像ロール51,52には、所要の量に分割された量の現像剤8d,8eがそれぞれ振り分けられて保持される。
図14における符号8caは、現像剤の受け渡し流路8cに存在する現像剤のうち受渡量規制板57の隙間572を実際に通過した分の現像剤を示している。
【0088】
したがって、この現像装置5では、2つの現像ロール51,52にそれぞれ分割されて保持される現像剤8の量(分割比)を簡便に設定できる。ちなみに、この受渡量規制板57による現像剤8の分割比は、その隙間572の幅T(
図7b)を変更することで調整することができる。
【0089】
また、この現像装置5では、例えば、第1現像ロール51と第2現像ロール52の相対位置が変動しても、受渡量規制板57の両端部が第1現像ロール51の両端部と同じ支持フレーム501,503に取り付けられているため、その隙間572が両現像ロール51,52間の現像剤の受渡し流路8cに所要の位置に存在するようになり、受渡量規制板57による現像剤8の分割が所望の量で安定して行われる。
【0090】
そして、この現像装置5は、2つの現像ロール51,52に保持される現像剤8の量を簡便に設定できるため、2つの現像ロール51,52による現像動作が所要の内容で安定して行われるようになり、このため、その現像装置5を備えた画像形成装置1では、安定した画質の画像を形成することができる。
【0091】
<評価試験>
以下、実施の形態1に係る現像装置5を用いて行った評価試験について説明する。
【0092】
評価試験は、現像装置5として以下の構成からなるものを用意し、受渡量規制板57で分割された後の第1現像ロール51及び第2現像ロール52にそれぞれ保持された現像剤8d,8eの保持量をそれぞれ測定した。現像剤の保持量の測定は、各現像ロール51,52の軸方向JにおけるIN側(一方の端部)、Center、Out側(他方の端部)の3箇所の部位に対して行った。
【0093】
現像装置5の主な構成は次の通りである。第1現像ロール51として、外径が25mm、肉厚が1mmの円筒状のスリーブ51Aと、磁力(磁束密度)が70mTである分割極S3を仮想直線VLとの中心角度が約10°となる位置に配置した磁石ロール51Bとで構成されるものを使用した。第2現像ロール52として、スリーブ51Aと同じ条件からなる円筒状のスリーブ51Aと、磁力(磁束密度)が70mTである分割極N2を仮想直線VLとの中心角度が約5°となる位置に配置した磁石ロール52Bとで構成されるものを使用した。また、第1現像ロール51と第2現像ロール52は、4mmの間隔γをあけた状態で配置し、また、
図4等において矢印C,Dで示す各方向に対し、その周速比が1.5:1.0という関係になる速度で回転させた。
【0094】
受渡量規制板57としては、幅Wが20mm、厚さが1.5mmの板状基材571のほぼ中央部に、その長手方向に沿って長さLが335mmの直線状の隙間572を設けたものを使用した。また、この受渡量規制板57として、隙間572の幅Tが1.0mmと1.5mmとなる2種類のものを用意した。
【0095】
現像剤8として、非磁性の樹脂からなる平均粒径が3.8μmの非磁性トナーと、磁性部材からなる平均粒径が25μmの磁性キャリア粒子を含む二成分現像剤を用いた。2つの現像ロール51,52の接近部53には、層規制板56を通過した後の第2現像ロール52に保持されている現像剤8の保持量が約600g/m
2となるように保持させて供給した。この際、現像ロール51,52の接近部53で形成された現像剤の受け渡し流路8cの幅(現像ロール52の回転方向に沿う幅寸法)は、約2mmであった。
【0096】
また比較のために、
図16に示されるように、上記現像装置5において受渡量規制板(スリット板)57を省略して設置しない点を変更した構成の現像装置500(比較例)を用意し、この現像装置500についても同様の評価試験を行った。
【0097】
このときの測定結果を
図15に示す。
図15の結果から、受渡量規制板57を採用することで2つの現像ロール51,52にそれぞれ分割されて保持される現像剤8の量(分割比)を簡便に設定できることがわかる。つまり、隙間572の幅Tが1.0mmの受渡量規制板57を使用した場合には、第1現像ロール51と第2現像ロール52に対して約2:3の割合に分割することができ、また、隙間572の幅Tが1.5mmの受渡量規制板57を使用した場合には、第1現像ロール51と第2現像ロール52に対して約1.5:3.5の割合に分割することができる。
【0098】
これに対して現像装置500のように受渡量規制板57を装備しない場合は、第1現像ロール51と第2現像ロール52に対して約2.5:2.5の割合(ほぼ均等)に分割することができるだけである。ちなみに、この現像装置500において、現像ロール51,52にそれぞれ分割されて保持される現像剤8の量(分割比)を変更して設定するためには、例えば、分割極N2,S3の磁力や配置位置を変更したり、両現像ロール51,52の間隔γを変更する等の手段が可能であるが、この場合は、その設定変更のための対応が大掛かりになり、簡便に行うことができない。
【0099】
[他の実施の形態]
実施の形態1では、現像装置5の受渡量規制板57として、平板基材571に直線状の隙間572を設けたものを例示したが、受渡量規制板57としては、現像剤受渡し経路での現像剤の分割比を調整(規制)することができるものであれば、必要な変更をした構成からなるものを適用することもできる。
【0100】
また、実施の形態1では、現像装置5として2つの現像ロール51,52を2つの支持フレーム501,502と1つの揺動支持フレーム503に分けて支持させる支持構造を採用したものを例示したが、2つの現像ロール51,52を2つの支持フレーム501,502のみで支持する構造を採用しても構わない。この場合、受渡量規制板57は、例えば、その両端部を2つの支持フレーム501,502に(位置の調整が自在な状態で)取り付けて支持する構造を適用すればよい。押付け機構505,506,578としては、他の構成からなるものを適用してもよい。
【0101】
さらに、実施の形態1では、現像装置5の2つの現像ロール51,52として、分割極N2,S3が仮想直線VLから感光ドラム21から離れる方向にずれた位置に配置する構成例を例示したが、現像ロール51,52として分割極N2,S3が仮想直線VLの上に配置されるものを適用してもよい。また、2つの現像ロール51,52の磁石ロール51B,52bの磁極の数や配置位置は、他の構成を採用することも可能である。また、現像装置としては、この他にも、例えば、貯留パドル59が配置されない形式の現像装置であったり、あるいは、現像剤として磁性を有する一成分現像剤を使用する現像装置であってもよい。
【0102】
この他、この発明の現像装置5を用いる画像形成装置1は、その現像装置5を使用することが可能なものであれば、その形式等の各構成については特に限定されるものでなく、従来公知の構成からなる画像形成装置として構成することも可能である。例えば、感光ドラム21に代えて、ベルト形態の感光ベルトを使用する画像形成装置であっても構わない。また、現像装置5を1つだけ装備する画像形成装置1であってもよい。