(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、画像Gを保持して循環移動する像保持体1と、この像保持体1上の画像Gを記録材6に転写する転写手段2と、この転写手段2による転写後の記録材6を予め決められた部位へ向けて案内する転写後案内手段3と、前記記録材6の位置を検出する位置検出器4と、を備え、前記転写後案内手段3は、前記転写手段2による転写後の記録材6が突入する部位に配置され、前記記録材6の突入姿勢と交差する予め設定された方向に延びて突入した記録材6を案内する案内部材10と、前記案内部材10の
姿勢を変化させる可変機構11と、前記位置検出器4による記録材6の検出情報に基づいて前記記録材6の移動位置を認識し、前記転写後の記録材6が前記案内部材10に突入して接触する
前には、前記可変機構11により前記案内部材10の
姿勢を本来の状態とは異なる状態に変化させることで前記案内部材10に対する記録材6の面方向に作用する反力を低減すると共に、前記記録材6が前記案内部材10に突入して接触した後には、前記可変機構11により前記案内部材10の
姿勢を本来の状態に戻す制御装置12と、を有するものである。
尚、
図1において、転写後案内手段3にて案内される予め決められた部位としては例えば定着手段5による定着部位が挙げられる。
【0010】
このような技術的手段において、像保持体1としては、画像Gを保持して循環移動するものであれば広く含み、感光体や誘電体など画像Gを形成して保持する像形成保持体に限られるものではなく、この像形成保持体上の画像Gを記録材6に転写する前に中間的に保持する中間転写体をも含むものである。
また、転写手段2としては、像保持体1上の画像Gを記録材6に転写されるものであれば、代表的には静電転写方式が多く採用されるが、加熱加圧転写方式など各種の転写方式を採用して差し支えない。また、例えば静電転写方式であっても、転写部材としては、転写ロールや張架ロールに掛け渡される転写ベルト、あるいは、放電ワイヤを用いた放電方式のものなど適宜選定して差し支えない。
更に、転写後案内手段としては、少なくとも転写後の記録材6が突入する部位に記録材6の案内経路を規制するための案内部材10を有していればよく、ここでいう案内部材10としては板状部材で構成してもよいし、搬送ベルトのように搬送機能を付加するものであってもよい。
更にまた、可変機構11としては、案内部材10の
姿勢を変化させるものであれば
よい。
また、制御装置12としては、位置検出器4からの情報に基づいて記録材6の移動位置を割出し、記録材6が案内部材10に突入して接触する
前には、可変機構11により案内部材10の
姿勢を本来の状態とは異なる状態に変化させることで案内部材10への突入時に記録材6の面方向に作用する反力を低減すると共に、案内部材10へ突入して接触した後には、可変機構11により案内部材10の
姿勢を本来の状態に戻すようにすればよい。
【0011】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の構成要素の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、転写後案内手段3の代表的態様としては、前記案内部材10が複数の張架部材10bに掛け渡された搬送ベルト10aで構成される態様が挙げられる。本態様では、可変機構11による可変パラメータとして姿勢、速度のいずれをも選定することが可能である。
また、可変機構11の
態様としては、
図1(a)(b)に示すように、前記案内部材10の一部を揺動支点とし、前記案内部材10を初期位置A0と当該初期位置A0よりも前記記録材6の突入姿勢に接近
して前記案内部材10に対する記録材6の突入角度が浅くなる変化位置Acとの間で揺動させるものであり、本例では、前記制御装置12は、前記案内部材10に前記記録材6が突入して接触する
前には、可変機構11により案内部材10の姿勢を変化位置Acに設定し、案内部材10に記録材6が突入して接触した後に案内部材10の姿勢を初期位置A0に戻すようにすればよい。
本態様は、可変機構11の可変パラメータとして案内部材10の姿勢を変化させるものであり、案内部材10の一部を揺動支点とし、揺動させるようにすればよい。ここで、揺動支点としては案内部材10の任意の位置で差し支えないが、制御のし易さからすれば、案内部材10のうち記録材6の搬送方向の上流側端又は下流側端が好ましい。
更に、可変機構11の別の
参考態様としては、
図1(a)(c)に示すように、前記案内部材10の速度を可変設定するものであり、本例では、前記制御装置12は、前記案内部材10に前記記録材6が突入して接触するときには、可変機構11により案内部材10の速度vを初期速度v0よりも増加する増加速度vcとして設定し、案内部材10に突入して接触した後には、案内部材10の速度vを初期速度v0に戻すようにすればよい。
本態様は、可変機構11の可変パラメータとして案内部材10の速度を変化させるものであり、案内部材10の速度を増加設定すると、そうでない場合に比べて、案内部材10に突入する記録材6に作用する衝撃力を低減させることが可能である。
また、本態様において、案内部材10の速度vを増速設定する時点としては、少なくとも案内部材10に記録材6が突入して接触するときに増加速度vcに設定されていれば適宜選定して差し支えなく、例えば案内部材10の速度vを最初から増加速度vcとして設定しておいてもよいし、あるいは、案内部材10に記録材6が突入して接触する前の予め決められた時点に、予め設定されていた速度(初期速度v0と異なる態様も含む)よりも増加する増加速度vcに設定するようにしてもよい。
【0012】
また、転写手段2の好ましい態様としては、複数の張架部材2bに掛け渡されて回転する転写ベルト2aを有し、前記像保持体1に対向する転写ベルト2aの裏面側に前記像保持体1との間に転写に要する転写電界が形成可能な転写部材2cを配設すると共に、当該転写部材2cと前記転写ベルト2aの回転方向における下流側に隣り合って配置される下流側張架部材2bとの間には、前記転写部位への記録材6の突入姿勢に沿う延長面に対して像保持体1とは異なる側に配置され且つ転写後の記録材6が搬送される転写後搬送部2dを有するものが挙げられる。
本例は、転写ベルト2aを用いた態様で、転写部材2cを有すると共に、転写ベルト2aの一部を転写後搬送部2dとして構成したものである。ここで、転写部材2cとしては、
図1(a)に示すように、転写ベルト2aの張架部材2bを兼用してもよいし、張架部材2bとは別個に設置してもよい。また、転写後搬送部2dは転写後の記録材6の搬送姿勢を規制するもので、転写後案内手段3へ突入する記録材6の突入姿勢を安定させる上で有効である。更に、転写ベルト2aの一部を転写前搬送部(図示せず)として構成すれば、転写手段2の転写部位への記録材6の進入姿勢を安定させる上で好ましい。
【0013】
また、制御装置12としては、記録材6の判別部13を付加してもよい。
この場合、制御装置12の代表的態様としては、前記記録材6の坪量又は厚さを判別する判別部13を有し、この判別部13にて判別された記録材6の情報に基づいて、前記可変機構11による
案内部材10の姿勢を変化させるものが挙げられる。
本例では、判別部13は記録材6の坪量又は厚さを判別する機能部であればよく、ユーザが選定した記録材6の情報に基づいて判別するものであってもよいし、あるいは、記録材6の坪量又は厚さを検出する記録材種検出器からの情報に基づいて判別するものでもよい。
そして、判別部13に基づいて判別された記録材6の情報に基づいて、可変機構11による
案内部材10の姿勢を変化させるとは、記録材6の種類によって
案内部材10の姿勢を変化させる対象を選択したり、あるいは、記録材6の種類に応じて
案内部材10の姿勢の変化状態を選択することを意味する。
このような制御装置12の代表的態様としては、前記記録材6の坪量又は厚さが予め決められた規定値以上のときに前記案内部材10の
姿勢を変化させ、前記規定値未満のときには前記案内部材10の
姿勢を変化させずに本来の状態のままに保つ態様が挙げられる。
本態様では、記録材6の坪量又は厚さが予め決められた規定値以上であると、規定値未満である条件に比べて、転写後案内手段3に突入する際に記録材6に作用する衝撃力が大きい。このため、規定値として、記録材6への転写不良に影響する境界値を選定しておけば、記録材6への転写不良に影響する記録材6に対してのみ可変機構11による案内部材10の
姿勢を変化させるようにすることが可能である。
また、このような制御装置
12の別の代表的態様としては、前記判別部13にて判別された記録材6の情報に基づいて、前記可変機構11による
案内部材10の姿勢を2段階以上変化させる態様が挙げられる。
本態様では、記録材6の坪量又は厚さが異なると、転写後案内手段3に突入する際の記録材6に作用する衝撃力が相違する。このため、記録材6に作用する衝撃力に応じて可変機構11による案内部材10の
姿勢の変化度合を可変設定することが可能である。
【0014】
次に、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
<画像形成装置の全体構成>
図2は、実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、例えば電子写真方式にて各色成分(本例ではシアン、マゼンタ、イエロ、ブラック)トナーによる画像が形成される複数の画像形成部20(具体的には20a〜20d)と、各画像形成部20にて形成された各色成分画像を順次転写(一次転写)保持させるベルト状の中間転写体30と、この中間転写体30上に転写された重ね画像を記録材40に一括転写(二次転写)させる一括転写装置50と、この一括転写装置50にて一括転写された画像を記録材40上に定着させる定着装置70と、を備えたものである。
【0015】
−画像形成部−
本実施の形態において、各色成分の画像形成部20は、例えばドラム状の感光体21を有し、この感光体21の周囲には、感光体21が帯電される帯電装置22、帯電された感光体21に静電潜像が書き込まれるレーザ露光装置などの潜像書込装置23、各色成分トナーが収容された各感光体21上の静電潜像が可視像化される現像装置24、及び、感光体21上の残留トナー等が除去される清掃装置25を順次配設したものである。
−中間転写体−
また、中間転写体30は、例えばポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂等の樹脂又は各種ゴムにカーボンブラック等を適量含有させることで体積抵抗率が10
6〜10
13Ω・cm程度に調整されるベルト材からなり、複数(本例では5)の張架ロール31〜35に循環移動可能に掛け渡されている。
ここで、張架ロール31は中間転写体30の駆動ロール、張架ロール32〜35はいずれも従動ロールであり、このうち張架ロール33が中間転写体30に張力を付与する張力付与ロールとして機能し、張架ロール34が後述する一括転写装置50の対向ロールとして機能するようになっている。
そして、各感光体21に対向する中間転写体30の裏面には感光体21上の画像が中間転写体30に対して一次転写される一次転写装置(本例では一次転写ロール)37が夫々配設されており、また、張架ロール31に対向する中間転写体30の表面には一括転写後に中間転写体30上の残留トナー等が除去される中間転写体清掃装置38が配設されている。
−定着装置−
更に、定着装置70は、
図2に示すように、ヒータが内蔵された加熱定着ロール71と、この加熱定着ロール71に圧接配置されて所定の定着域を形成する加圧定着ロール72と、を有し、記録材40上の非定着画像を加熱加圧定着するものである。
【0016】
−一括転写装置−
また、一括転写装置50は、例えば
図2及び
図3に示すように、複数(本例では5つ)の張架ロール52(52a〜52e)に掛け渡されて循環移動する転写ベルト51を有し、本例では、中間転写体30の張架ロール34に対向する部位に位置する転写ベルト51の張架ロール52(本例では52a)を転写ロール53として兼用し、例えば中間転写体30の張架ロール34に給電ロール54を介して転写電源55からの転写電圧を印加すると共に転写ロール53を接地し、中間転写体30と転写ロール53との間の転写部位TPには中間転写体30上の各色成分画像が転写部位TPを通過する記録材40側に吸引される転写電界を形成するようにしたものである。
特に、本実施の形態では、転写ベルト51は、複数の張架ロール52(52a〜52e)のうち、転写部位TPに位置する転写ロール53を兼用する張架ロール52aと転写ベルト51の回転方向における下流側に隣り合って配置される下流側張架ロール52bとの間のベルト部分で構成され、転写部位TPへの記録材40の進入姿勢に沿う延長面に対して中間転写体30とは異なる側に配置され且つ転写後の記録材40が搬送される転写後搬送部51Aと、前記転写ロール53を兼用する張架ロール52aと転写ベルト51の回転方向における上流側に隣り合って配置される上流側張架ロール52eとの間のベルト部分で構成され、転写後搬送部51Aに沿うベルト面の延長面に対して中間転写体30とは異なる側に山型状に屈曲して配置されると共に転写部位TPへ進入する記録材40の先端部が転写部位TPに至る手前でベルト面に接触し且つ当該ベルト面に接触した記録材40がベルト面に沿って転写部位TPに搬送される転写前搬送部51Bと、を有している。
【0017】
本例では、転写ベルト51は
クロロプレン等の材料を用いた体積抵抗率が10
6〜10
12Ω・cmの半導電性ベルトであり、また、転写ロール53は中間転写体30の張架ロール34に比べて低硬度の弾性ロールとして構成され、転写ベルト51を介して中間転写体30に所定の転写域をもって圧接配置されている。そして、本例では、転写ロール53は、例えば金属製シャフトの周囲に発泡ウレタンゴムやEPDMにカーボンブラック等の配合した弾性層を被覆した構成になっている。
また、転写後搬送部51Aは所定の転写域を持つ転写部位TPの入口と出口とを結ぶ基準線Lに対し角度αをもって斜め下方に傾斜配置されており、中間転写体30のうち転写部位TPよりも移動方向下流側に位置する部分は基準線Lに対して角度βをもって斜め上方に傾斜配置されている。
ここで、角度αは適宜選定して差し支えないが、例えば25°以下が選定される。このとき、角度αとしては、小さくし過ぎると、転写後の記録材40が中間転写体30に近くなるため、中間転写体30に巻き付く虞れがあるが、後述する角度βが大きければ角度αをゼロとしても差し支えない。一方、角度αを大きくし過ぎると転写後の記録材40をベルト表面に沿わせることが困難になる虞がある。
一方、角度βは適宜選定して差し支えないが、例えば10〜30°程度が選定される。角度βとしては、小さくし過ぎると、転写後の記録材40が中間転写体30へ貼り付き易くなり、一方、大きくし過ぎると、転写部位TPの出口近傍での放電状態が不安定になる虞れがある。
【0018】
更に、転写前搬送部51Bは前述した基準線Lに対して角度γをもって斜め下方に傾斜配置されており、中間転写体30のうち転写部位TPよりも移動方向上流側に位置する部分は基準線Lに対して所定の角度δで斜め上方に傾斜配置されている。
ここで、角度γは適宜選定して差し支えないが、例えば10〜20°が選定される。このとき、角度γとしては、小さくし過ぎると、記録材40が転写前搬送部51Bに沿わなくなり、転写部位TPへの進入姿勢が不安定になる虞があり、一方、大きくし過ぎると転写前搬送部51Bに沿って搬送される記録材40が転写部位TPに突入する際に角度を急激に変更する必要があり、記録材40の転写が不安定になる虞れがある。
一方、角度δは適宜選定して差し支えないが、搬送される記録材40が転写部位TPに進入する前に中間転写体30に接触しないように、転写前搬送部51Bと中間転写体30との間に図示外の案内部材が配置され、記録材40が案内部材に接触して転写ベルト51の転写前搬送部51Bに向かって案内されるようになっていることが好ましい。
更に、転写ベルト51のうち張架ロール52c、52dの間に位置するベルト部分の表面には、転写ベルト51上の汚れを清掃する清掃装置56が配設されている。この清掃装置56としては、清掃部材として例えば回転ブラシ、回転ロール、掻取りブレード等適宜選定して差し支えないが、転写ベルト51への負荷を軽減するという観点からは回転ブラシが好適である。また、清掃部材の数量や設置箇所についても適宜選定して差し支えないが、転写ベルト51上の汚れ(残留トナーや紙粉など)を静電的に除去する場合、例えば複数の回転ブラシを用い、互いに極性の異なる電界を作用させることで極性の異なる残留トナーを清掃することが好ましい。
尚、符号57は転写ベルト51に付着する汚れの除去性をより向上させるという観点で金属製の板状掻取り部材(図示せず)を付加する場合に、転写ベルト51の移動軌跡を規制する規制ロールである。
【0019】
<記録材搬送系>
本実施の形態において、記録材搬送系80は、記録材40を供給する記録材供給装置81と、この記録材供給装置81から供給された記録材40を一括転写装置50の転写部位TPに向けて案内する転写前案内装置82と、一括転写装置50の転写部位TPを経て転写後搬送部51Aにて搬送された記録材40を定着装置70に向けて案内する転写後案内装置90と、を備えている。
本例では、転写前案内装置82は、記録材40の搬送経路に沿って対構成の複数の搬送ロール83〜85からなり、各搬送ロール83〜85にて記録材40を挟持して搬送するようになっている。
また、転写後案内装置90は、複数(本例では2つ)の搬送ベルト91,92を有しており、これらの第1、第2の搬送ベルト91,92は例えばゴム系材料からなる無端状のベルト材に多数の通気孔を形成したものであり、夫々二本の張架ロール93,94又は95,96にて循環移動可能に張架すると共に、この搬送ベルト91,92内には図示外の吸引タンクを配設し、搬送ベルト91,92上に記録材40を吸着して搬送するようになっている。
更に、本実施の形態では、
図3に示すように、記録材40の搬送経路の適宜箇所に記録材40の搬送位置を検出するための位置センサSが設けられている。
本例では、転写後案内装置90に対する記録材40の搬送位置を把握するために、記録材40の搬送経路のうち一括転写装置50の転写部位TPに進入する前に第1の位置センサS1が配置され、また、第1の搬送ベルト91のうち転写後の記録材40が突入する部位よりも記録材40の搬送方向の下流側に位置する部位に第2の位置センサS2が配置されている。
更に、本実施の形態では、一括転写装置50の転写部位TPの出口から第1の搬送ベルト91のうち転写後の記録材40が突入する部位までの距離mは適宜選定して差し支えないが、装置構成の小型化という観点から、記録材40の搬送方向の長さよりも短く設定されている。
【0020】
−転写後案内装置の駆動系−
本実施の形態において、第1及び第2の搬送ベルト91,92は例えば記録材40の搬送方向の上流側に位置する一方の張架ロール93,95を夫々駆動ロールとし、例えば共通の駆動モータ97からの駆動力を図示外の駆動伝達機構(例えば駆動伝達ギア列)を介して駆動ロールとしての張架ロール93,95に伝達するようになっている。
特に、本実施の形態では、第1の搬送ベルト91は、
図3及び
図4に示すように、記録材40の搬送方向の上流側に位置する一方の張架ロール93を揺動支点Psとし、昇降機構100によって記録材40の搬送方向の下流側に位置する他方の張架ロール94を昇降させることにより、例えば水平姿勢に近い初期位置A0と当該初期位置A0よりも記録材40の突入姿勢(本例では転写ベルト51の転写後搬送部51Aの傾斜姿勢に相当)に接近する変化位置Acとの間で揺動するものである。
本例において、昇降機構100は、
図4(a)(b)に示すように、例えば回転中心位置が円板の中心位置から変位して配置される偏芯カム101を有し、この偏芯カム101の周面に第1の搬送ベルト91の張架ロール94の支軸94aを支持すると共に、偏芯カム101を昇降モータ102にて例えば180°毎に間欠回転させ、
図4(a)に示すように、偏芯カム101の中心位置と張架ロール94の支持位置との間の径寸法が最大となる位置に偏芯カム101を移動させ、張架ロール94を持ち上げることで第1の搬送ベルト91を初期位置A0に設定し、一方、
図4(b)に示すように、偏芯カム101の中心位置と張架ロール94の支持位置との間の径寸法が最小となる位置に偏芯カム101を移動させ、張架ロール94を降下させることで第1の搬送ベルト91を変化位置Acに設定するものである。
ここで、初期位置A0では、第1の搬送ベルト91のベルト表面との転写後の記録材40の突入姿勢との間の角度をθ0とすると、変化位置Acでは、第1の搬送ベルト91のベルト表面と転写後の記録材40の突入姿勢との間の角度θcは初期位置A0における角度θ0よりも小さくなるように設定される。
【0021】
−転写後案内装置の制御系―
本実施の形態では、
図3に示すように、画像形成部20、中間転写体30、一括転写装置50、定着装置70及び記録材搬送系80を制御するための制御装置110が設けられている。
本例では、制御装置110は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースなどからなるマイクロコンピュータシステムが採用されており、画像形成部20、中間転写体30、一括転写装置50、定着装置70及び記録材搬送系80に対して一連の作像処理を実現する制御信号を送出するようになっている。
ここでは、記録材搬送系80のうち特に転写後案内装置90に対する制御処理を中心に説明すると、以下の通りである。
制御装置110は、例えば第1、第2の位置センサS1,S2からの位置信号に基づいて記録材40の搬送位置を認識し、
図5に示す記録材案内制御処理を実行するようになっている。
【0022】
<画像形成装置の作動>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
今、図示外のスタートスイッチを操作すると、
図2に示すように、各画像形成部20による作像処理が開始し、各画像形成部20上で形成された各色成分画像が中間転写体30に一次転写され、一括転写装置50の転写部位TPへと移動していく。
一方、記録材搬送系80では、記録材供給装置81から供給された記録材40が転写前案内装置82を経て一括転写装置50の転写部位TPへと案内されていく。
そして、一括転写装置50の転写部位TPにて中間転写体30上の各色成分画像が記録材40に一括転写(二次転写)され、転写後の記録材40は転写後案内装置90を経て定着装置70に案内され、定着装置70にて未定着画像が定着された後に、図示外の排出受けに排出される。
【0023】
−転写後案内装置の作動−
このような一連の作像処理において、転写後案内装置90の作動に着目すると、以下のようである。
今、
図3に示すように、記録材40の先端が第1の位置センサS1を通過すると、制御装置110は、
図5に示すように、転写後案内装置90の第1の搬送ベルト91の姿勢を変化位置Ac(
図4(b)参照)に設定する。
この状態において、記録材40は、
図6(a)(b)に示すように、一括転写装置50の転写部位TPを通過した後、転写ベルト51の転写後搬送部51Aに沿って第1の搬送ベルト91に向かっていくが、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入する前に第1の搬送ベルト91は変化位置Acに設定されるため、記録材40は変化位置Acに位置する第1の搬送ベルト91に突入する。尚、第1,第2の搬送ベルト91,92は記録材搬送系80による記録材40の搬送動作が実施されている間は所定の速度v0で駆動回転するようになっている。
このため、
図4(b)に示すように、転写後の記録材40は、第1の搬送ベルト91が初期位置A0に位置する場合に比べて、第1の搬送ベルト91に対して浅い突入角度θcで突入することになり、第1の搬送ベルト91に突入したときに記録材40の面方向に作用する衝撃力が低減する。それゆえ、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入するときに、記録材40が一括転写装置50の転写部位TPを通過中であるとしても、記録材40の面方向に作用する衝撃力が少ないことから、記録材40が転写部位TPにおいて位置ずれすることはほとんどなく、記録材40に転写される画像が乱れる懸念は抑制される。
そして、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入した後に当該第1の搬送ベルト91に沿って搬送され、
図3に示すように、記録材40の先端が第2の位置センサS2に到達すると、制御装置110は、
図5に示すように、第1の搬送ベルト91の姿勢を初期位置A0(
図4(a)参照)に戻す。
この状態において、記録材40は、
図6(c)に示すように、初期位置A0に戻った第1の搬送ベルト91から第2の搬送ベルト92へとスムーズに案内され、定着装置70へと案内される。
【0024】
◎実施の形態2
図7は実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる転写後案内装置90を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、転写後案内装置90は、実施の形態1と同様に、第1、第2の搬送ベルト91,92を備えているが、実施の形態1と異なり、第1の搬送ベルト91は例えば記録材40の搬送方向の下流側に位置する一方の張架ロール94を、第2の搬送ベルト92は記録材40の搬送方向の上流側に位置する張架ロール95を夫々駆動ロールとし、例えば共通の駆動モータ97からの駆動力を図示外の駆動伝達機構(例えば駆動伝達ギア列)を介して駆動ロールとしての張架ロール94,95に伝達するようになっている。
そして、本実施の形態では、第1の搬送ベルト91は、
図7に示すように、記録材40の搬送方向の下流側に位置する一方の張架ロール94を揺動支点Psとし、昇降機構100によって記録材40の搬送方向の上流側に位置する他方の張架ロール93を昇降させることにより、例えば水平姿勢に近い初期位置A0と当該初期位置A0よりも記録材40の突入姿勢(本例では転写ベルト51の転写後搬送部51Aの傾斜姿勢に相当)に接近する変化位置Acとの間で揺動するものである。
本例において、昇降機構100は、実施の形態1と略同様の構成を有しているが、実施の形態1と異なり、偏芯カム101の中心位置と張架ロール93の支持位置との間の径寸法が最小となる位置に偏芯カム101を移動させることで第1の搬送ベルト91を初期位置A0に設定し、一方、偏芯カム101の中心位置と張架ロール93の支持位置との間の径寸法が最大となる位置に偏芯カム101を移動させ、張架ロール93を持ち上げることで第1の搬送ベルト91を変化位置Acに設定するものである。
【0025】
従って、本実施の形態によれば、今、
図7に示すように、記録材40の先端が第1の位置センサS1を通過すると、制御装置110は、転写後案内装置90の第1の搬送ベルト91の姿勢を変化位置Acに設定する。
この状態において、記録材40は、
図8(a)(b)に示すように、一括転写装置50の転写部位TPを通過した後、転写ベルト51の転写後搬送部51Aに沿って第1の搬送ベルト91に向かっていくが、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入する前に第1の搬送ベルト91は変化位置Acに設定されるため、記録材40は変化位置Acに位置する第1の搬送ベルト91に突入し、実施の形態1と略同様な作用を奏する。
そして、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入した後に当該第1の搬送ベルト91に沿って搬送され、
図7に示すように、記録材40の先端が第2の位置センサS2に到達すると、制御装置110は、第1の搬送ベルト91の姿勢を初期位置A0に戻す。
この状態において、記録材40は、
図8(c)に示すように、初期位置A0に戻った第1の搬送ベルト91から第2の搬送ベルト92へとスムーズに案内され、定着装置70へと案内される。
【0026】
◎実施の形態3
図9は実施の形態3に係る画像形成装置の要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる転写後案内装置90を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、転写後案内装置90は、実施の形態1と異なり、記録材40の搬送経路の上流側に案内板121を有し、この案内板121の下流側に搬送ベルト122を有している。
本例において、搬送ベルト122は、実施の形態1の第2の搬送ベルト92と略同様に記録材40を吸着搬送する構成からなり、二本の張架ロール123,124に掛け渡されて循環移動可能に構成されている。
そして、この搬送ベルト122は、記録材40の搬送方向の上流側に位置する張架ロール123を駆動ロールとし、駆動モータ97からの駆動力を図示外の駆動伝達機構(例えば駆動伝達ギア列)を介して駆動ロールとしての張架ロール123に伝達するようになっている。
また、本実施の形態では、案内板121は、
図9に示すように、記録材40の搬送方向の上流側端を揺動支点Psとし、昇降機構100によって記録材40の搬送方向の下流側端を昇降させることにより、例えば水平姿勢に近い初期位置A0と当該初期位置A0よりも記録材40の突入姿勢(本例では転写ベルト51の転写後搬送部51Aの傾斜姿勢に相当)に接近する変化位置Acとの間で揺動するものである。
【0027】
今、
図9に示すように、記録材40の先端が第1の位置センサS1を通過すると、制御装置110は、転写後案内装置90の案内板121の姿勢を変化位置Acに設定する。
この状態において、記録材40は、一括転写装置50の転写部位TPを通過した後、転写ベルト51の転写後搬送部51Aに沿って第1の搬送ベルト91に向かっていくが、記録材40が案内板121に突入する前に案内板121は変化位置Acに設定されるため、記録材40は変化位置Acに位置する案内板121に突入する。
このため、転写後の記録材40は、案内板121が初期位置A0に位置する場合に比べて、案内板121に対して浅い突入角度で突入することになり、案内板121に突入したときに記録材40の面方向に作用する衝撃力が低減する。それゆえ、実施の形態1と略同様な作用を奏する。
そして、記録材40が案内板121に突入した後に当該案内板121に沿って案内され、記録材40の先端が第2の位置センサS2に到達すると、制御装置110は、案内板121の姿勢を初期位置A0に戻す。
この状態において、記録材40は、初期位置A0に戻った案内板121から搬送ベルト122へとスムーズに案内され、定着装置70へと案内される。
尚、本例では、案内板121は記録材40に対して搬送力を付与しないが、一括転写装置50の転写後搬送部51Aによって記録材40に対して搬送力が付与されるため、記録材40は案内板121に沿って移動していく。
【0028】
◎実施の形態4
図10は
参考の形態としての実施の形態4に係る画像形成装置の要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる転写後案内装置90を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、転写後案内装置90は、実施の形態1と同様に、第1、第2の搬送ベルト91,92を備えており、例えば第1及び第2の搬送ベルト91,92の搬送方向の上流側に位置する一方の張架ロール93,95を夫々駆動ロールとし、例えば共通の駆動モータ97からの駆動力を図示外の駆動伝達機構(例えば駆動伝達ギア列)を介して駆動ロールとしての張架ロール93,95に伝達するようになっている。
特に、本実施の形態では、転写後案内装置90は、実施の形態1,2と異なり、第1の搬送ベルト91の姿勢が変化させられる昇降機構100を備えておらず、これに代わって、駆動モータ97として速度が可変設定可能なものが採用されている。
そして、本実施の形態では、制御装置110は、転写後案内装置90に対して
図11に示す記録材案内制御処理を実施するようになっている。
【0029】
次に本実施の形態に係る転写後案内装置90の作動について説明する。
今、
図10に示すように、記録材40の先端が第1の位置センサS1を通過すると、制御装置110は、
図11に示すように、転写後案内装置90の第1の搬送ベルト91の速度を増速モードに設定する。
この状態において、記録材40は、
図12(a)(b)に示すように、一括転写装置50の転写部位TPを通過した後、転写ベルト51の転写後搬送部51Aに沿って第1の搬送ベルト91に向かっていくが、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入する前に第1の搬送ベルト91は増速モードに設定されるため、記録材40は増速(本例ではvc>v0)された第1の搬送ベルト91に突入する。尚、第1,第2の搬送ベルト91,92は記録材搬送系80による記録材40の搬送動作が実施された段階では初期速度v0で駆動回転するようになっている。
このとき、転写後の記録材40は、初期速度v0で駆動されている第1の搬送ベルト91に突入する場合に比べて、増速された第1の搬送ベルト91に突入することによって、第1の搬送ベルト91の移動方向により強く引っ張られることになり、その分、第1の搬送ベルト91に突入したときに記録材40の面方向に作用する衝撃力が低減する。それゆえ、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入するときに、記録材40が一括転写装置50の転写部位TPを通過中であるとしても、記録材40の面方向に作用する衝撃力が少ないことから、記録材40が転写部位TPにおいて位置ずれすることはほとんどなく、記録材40に転写される画像が乱れる懸念は抑制される。
そして、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入した後に当該第1の搬送ベルト91に沿って搬送され、
図10に示すように、記録材40の先端が第2の位置センサS2に到達すると、制御装置110は、
図11に示すように、第1の搬送ベルト91の速度を初期モードに戻す。
この状態において、記録材40は、
図12(c)に示すように、初期モードに伴って初期速度v0に戻った第1の搬送ベルト91から第2の搬送ベルト92へとスムーズに案内され、定着装置70へと案内される。
尚、本例では、第2の搬送ベルト92の速度も第1の搬送ベルト91の速度に連動して変化するようになっているが、これに限られるものではなく、第2の搬送ベルト92については初期速度v0のまま変化させないようにしてもよいことは勿論である。また、本実施の形態では、駆動モータ97の速度を可変設定するように構成されているが、これに限られるものではなく、図示外の駆動伝達機構としての駆動伝達ギア列のギア比を変えることで第1の搬送ベルト91の速度を可変設定してもよいことは勿論である。
【0030】
◎実施の形態5
図13は実施の形態5に係る画像形成装置の要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、坪量又は厚さの異なる記録材40の種類が選択可能な記録材選択スイッチ(図中では記録材選択SWと表記)130を有し、この記録材選択スイッチ130の選択信号を制御装置110に取り込み、転写後案内装置90に対して
図14に示すような記録材案内制御処理を実施するようにしたものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0031】
次に、本実施の形態に係る転写後案内装置90の作動について説明する。
今、
図13に示すように、記録材40の先端が第1の位置センサS1を通過すると、制御装置110は、
図14に示すように、記録材選択スイッチ130からの選択信号に基づいて記録材40の種類を判別し、記録材40の坪量又は厚さが予め決められた規定値k0以上か否かをチェックする。
このとき、記録材40の坪量又は厚さが規定値k0未満である場合には、記録材40が十分に薄いということで、転写後の記録材40が第1の搬送ベルト91に突入したとしても、記録材40に作用する衝撃力が小さいため、制御装置110は、
図15(a)に示すように、第1の搬送ベルト91の姿勢を元の初期位置A0のままに維持する。
これに対し、記録材40の坪量又は厚さが規定値k0以上であるとき、制御装置110は、転写後案内装置90の第1の搬送ベルト91の姿勢を変化位置Acに設定する。
この状態において、坪量又は厚さの大きい記録材40は、
図15(b)に示すように、一括転写装置50の転写部位TPを通過した後、転写ベルト51の転写後搬送部51Aに沿って第1の搬送ベルト91に向かっていくが、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入する前に第1の搬送ベルト91は変化位置Acに設定されるため、坪量又は厚さの大きい記録材40は変化位置Acに位置する第1の搬送ベルト91に突入し、実施の形態1と略同様な作用を奏する。
そして、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入した後に当該第1の搬送ベルト91に沿って搬送され、
図13に示すように、記録材40の先端が第2の位置センサS2に到達すると、制御装置110は、
図14に示すように、第1の搬送ベルト91の姿勢を初期位置A0に戻す。
この状態において、記録材40は、
図15(b)に示すように、初期位置A0に戻った第1の搬送ベルト91から第2の搬送ベルト92へとスムーズに案内され、定着装置70へと案内される。
【0032】
また、本実施の形態では、記録材40の坪量又は厚さが規定値k0以上であるときに、第1の搬送ベルト91の姿勢を予め決められた変化位置Acに一義的に決めているが、これに限られるものではなく、例えば以下のように、記録材40の坪量又は厚さに応じて、第1の搬送ベルト91の姿勢を複数段階の変化位置Ac(Ac1,Ac2,Ac3など)に設定するようにしてもよい。
記録材の坪量又は厚さ情報 第1の搬送ベルトの姿勢
規定値k0未満 A0
≦k1 Ac1
≦k2 Ac2
k2< Ac3
ここで、記録材40の坪量又は厚さ情報が大きい程、第1の搬送ベルト91の姿勢はより記録材40の突入姿勢に接近するように配置される。
尚、本実施の形態では、記録材選択スイッチ130により記録材40の坪量又は厚さを判別するようにしているが、これに限られるものではなく、記録材40の坪量又は厚さを検出する記録材種センサ131からの検出信号に基づいて記録材40の種類を判別するようにしても差し支えない。
【0033】
◎実施の形態6
図16は
参考の形態としての実施の形態6に係る画像形成装置の要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態4と略同様であるが、実施の形態4と異なり、坪量又は厚さの異なる記録材40の種類が選択可能な記録材選択スイッチ(図中では記録材選択SWと表記)130を有し、この記録材選択スイッチ130の選択信号を制御装置110に取り込み、転写後案内装置90に対して
図17に示すような記録材案内制御処理を実施するようにしたものである。尚、実施の形態4と同様な構成要素については実施の形態4と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0034】
次に、本実施の形態に係る転写後案内装置90の作動について説明する。
今、
図16に示すように、記録材40の先端が第1の位置センサS1を通過すると、制御装置110は、
図17に示すように、記録材選択スイッチ130からの選択信号に基づいて記録材40の種類を判別し、記録材40の坪量又は厚さが予め決められた規定値k0以上か否かをチェックする。
このとき、記録材40の坪量又は厚さが規定値k0未満である場合には、記録材40が十分に薄いということで、転写後の記録材40が第1の搬送ベルト91に突入したとしても、記録材40に作用する衝撃力が小さいため、制御装置110は、
図18(a)に示すように、第1の搬送ベルト91の速度を元の初期速度v0のままに維持する。
これに対し、記録材40の坪量又は厚さが規定値k0以上であるとき、制御装置110は、転写後案内装置90の第1の搬送ベルト91の速度を増速モードに設定する。
この状態において、坪量又は厚さの大きい記録材40は、
図18(b)に示すように、一括転写装置50の転写部位TPを通過した後、転写ベルト51の転写後搬送部51Aに沿って第1の搬送ベルト91に向かっていくが、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入する前に第1の搬送ベルト91は増速モードに設定されるため、坪量又は厚さの大きい記録材40は増速(本例ではvc>v0)された第1の搬送ベルト91に突入し、実施の形態4と同様な作用を奏する。
そして、記録材40が第1の搬送ベルト91に突入した後に当該第1の搬送ベルト91に沿って搬送され、
図16に示すように、記録材40の先端が第2の位置センサS2に到達すると、制御装置110は、
図17に示すように、第1の搬送ベルト91の速度を初期モードに戻す。
この状態において、記録材40は、
図18(b)に示すように、初期モードに伴って初期速度v0に戻った第1の搬送ベルト91から第2の搬送ベルト92へとスムーズに案内され、定着装置70へと案内される。
【0035】
また、本実施の形態では、記録材40の坪量又は厚さが規定値k0以上であるときに、第1の搬送ベルト91の速度を予め決められた増速モードに一義的に決めているが、これに限られるものではなく、例えば以下のように、記録材40の坪量又は厚さに応じて、第1の搬送ベルト91の速度を複数段階の増速vc(vc1,vc2,vc3など)に設定するようにしてもよい。
記録材の坪量又は厚さ情報 第1の搬送ベルトの速度
規定値k0未満 v0
≦k1 vc1
≦k2 vc2
k2< vc3
ここで、記録材40の坪量又は厚さ情報が大きい程、第1の搬送ベルト91はより増速される。
尚、本実施の形態では、記録材選択スイッチ130により記録材40の坪量又は厚さを判別するようにしているが、これに限られるものではなく、記録材40の坪量又は厚さを検出する記録材種センサ131からの検出信号に基づいて記録材40の種類を判別するようにしても差し支えない。