(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子機器が備える機能を示すデバイス情報及び前記電子機器に対するユーザの使用権限に関する権限情報のうちの少なくとも一方を受け、予め定められたマスタ言語で表現され前記電子機器のユーザインターフェースに用いられるマスタ言語文字列を、前記マスタ言語文字列を識別するための識別情報と対応付けて定義したマスタ言語データから、前記デバイス情報が示す機能及び前記ユーザの使用権限のうちの少なくとも一方に応じた公開レベルに対応するマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出するとともに、対応する識別情報を前記マスタ言語データから抽出する抽出手段と、
前記マスタ言語とは異なるローカル言語で表現され前記ユーザインターフェースに用いられるローカル言語文字列と、前記抽出されたマスタ言語文字列との対応関係を示すローカル言語データを受け、前記ローカル言語データに含まれず前記マスタ言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列を、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列として前記ローカル言語データに追加する追加処理と、前記マスタ言語データ及び前記ローカル言語データにおいて同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列が異なる場合、前記ローカル言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記マスタ言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列に修正する修正処理と、前記マスタ言語データに含まれず前記ローカル言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記ローカル言語データから削除する削除処理と、の中で少なくともいずれか1つの処理を行うことで、前記ローカル言語データが示す前記対応関係を補完し、前記ローカル言語データを前記マスタ言語データに整合させる補完手段と、
を有することを特徴とする言語データ処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、多数の言語のすべてに対応する言語データを用意することは困難であり、また、すべての言語に対応する言語データを電子機器に格納すると、電子機器に格納すべき言語データのデータ量が増大する。そのため、あるマスタ言語で表現された文字列を定義したマスタ言語データを電子機器に予め格納しておき、電子機器が使用される地域や環境等に応じて、一般ユーザや保守作業員等が、マスタ言語で表現された文字列に対応する訳語を、マスタ言語とは異なるローカル言語によって作成する場合がある。この場合、ローカル言語で表現された文字列を定義したローカル言語データが電子機器に格納される。
【0007】
一方、機能が異なる複数の電子機器で共通の言語データを使用する場合があり、言語データで定義された文字列の中には、特定の電子機器では表示されるが別の電子機器では表示されない文字列や、変更が禁止された文字列や、保守を行う者に限定して表示される文字列等が存在する場合がある。言語データの編集を制限しない場合、表示されることのない文字列に対する訳語が作成されるおそれがあり、また、変更が禁止されている文字列や保守を行う者に限定して表示される文字列等が変更されるおそれがある。
【0008】
また、電子機器に予め格納されているマスタ言語データが変更された場合、一般ユーザや保守作業員等が作成したローカル言語データとマスタ言語データとの間に不整合が生じるおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、本発明の構成を有していない場合と比べて、ローカル言語への翻訳の対象となる文字列の数を減少させることができ、マスタ言語で表現された文字列とローカル言語で表現された文字列との間の不整合を解消することが可能な言語データ処理装置、電子機器及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、電子機器が備える機能を示すデバイス情報及び前記電子機器に対するユーザの使用権限に関する権限情報のうちの少なくとも一方を受け、予め定められたマスタ言語で表現され前記電子機器のユーザインターフェースに用いられるマスタ言語文字列を
、前記マスタ言語文字列を識別するための識別情報と対応付けて定義したマスタ言語データから、前記デバイス情報が示す機能及び前記ユーザの使用権限のうちの少なくとも一方に応じた公開レベルに対応するマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出する
とともに、対応する識別情報を前記マスタ言語データから抽出する抽出手段と、前記マスタ言語とは異なるローカル言語で表現され前記ユーザインターフェースに用いられるローカル言語文字列と、前記抽出されたマスタ言語文字列との対応関係を示すローカル言語データを受け、
前記ローカル言語データに含まれず前記マスタ言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列を、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列として前記ローカル言語データに追加する追加処理と、前記マスタ言語データ及び前記ローカル言語データにおいて同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列が異なる場合、前記ローカル言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記マスタ言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列に修正する修正処理と、前記マスタ言語データに含まれず前記ローカル言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記ローカル言語データから削除する削除処理と、の中で少なくともいずれか1つの処理を行うことで、前記ローカル言語データが示す前記対応関係を補完し、前記ローカル言語データを前記マスタ言語データに整合させる補完手段と、を有することを特徴とする言語データ処理装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る言語データ処理装置であって、前記抽出手段は、前記デバイス情報及び前記権限情報に従い、前記電子機器が備える機能であって前記ユーザによる使用が許可された機能に関するマスタ言語文字列を前記翻訳対象の文字列として前記マスタ言語データから抽出する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る言語データ処理装置であって、前記抽出手段は、前記マスタ言語データに定義されているマスタ言語文字列のうち、前記マスタ言語と前記ローカル言語とで共通して使用されるべきマスタ言語文字列以外のマスタ言語文字列を前記翻訳対象の文字列として前記マスタ言語データから抽出する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る言語データ処理装置であって、前記補完手段は、前記マスタ言語データが更新された場合、前記ローカル言語データが示す前記対応関係を前記更新後のマスタ言語データに基づいて補完する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る言語データ処理装置であって、前記抽出手段は、前記マスタ言語データが更新された場合、前記公開レベルに対応するマスタ言語文字列を前記翻訳対象の文字列として前記更新されたマスタ言語データから抽出し、前記抽出されたマスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列を前記整合されたローカル言語データから抽出し、前記抽出されたマスタ言語文字列と前記抽出されたローカル言語文字列とを出力し、前記補完手段は、前記抽出されたマスタ言語文字列とローカル言語文字列との対応関係を、前記更新後のマスタ言語データに基づいて補完する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項
6に係る発明は、請求項1から請求項
5のいずれか一項に係る言語データ処理装置であって、前記電子機器は、画像読み取り、印刷及びファクシミリのうちの少なくとも1つの機能を備えた画像形成装置であり、前記抽出手段は、前記デバイス情報及び前記権限情報に従って、前記画像形成装置が備える機能であって前記ユーザによる使用が許可された機能に関するマスタ言語文字列を前記翻訳対象の文字列として前記マスタ言語データから抽出する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項
7に係る発明は、請求項1から請求項
6のいずれか一項に係る言語データ処理装置であって、前記ローカル言語データによって定義されたローカル言語文字列のうち前記マスタ言語データに基づいて補完されたローカル言語文字列を、補完されなかったローカル言語文字列と区別して前記ユーザインターフェースに表示させる手段を更に有する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項
8に係る発明は、指定された機能を実行する実行手段と、前記機能に関する文字列を表示するユーザインターフェースと、前記実行手段によって実行され得る機能を示すデバイス情報及び前記機能に対するユーザの使用権限に関する権限情報のうちの少なくとも一方を受け、予め定められたマスタ言語で表現され前記ユーザインターフェースに用いられるマスタ言語文字列を
、前記マスタ言語文字列を識別するための識別情報と対応付けて定義したマスタ言語データから、前記デバイス情報が示す機能及び前記ユーザの使用権限のうちの少なくとも一方に応じた公開レベルに対するマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出する
とともに、対応する識別情報を前記マスタ言語データから抽出する抽出手段と、前記マスタ言語とは異なるローカル言語で表現され前記ユーザインターフェースに用いられるローカル言語文字列と、前記抽出されたマスタ言語文字列との対応関係を示すローカル言語データを受け、
前記ローカル言語データに含まれず前記マスタ言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列を、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列として前記ローカル言語データに追加する追加処理と、前記マスタ言語データ及び前記ローカル言語データにおいて同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列が異なる場合、前記ローカル言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記マスタ言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列に修正する修正処理と、前記マスタ言語データに含まれず前記ローカル言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記ローカル言語データから削除する削除処理と、の中で少なくともいずれか1つの処理を行うことで、前記ローカル言語データが示す前記対応関係を補完し、前記ローカル言語データを前記マスタ言語データに整合させる補完手段と、を有することを特徴とする電子機器である。
【0021】
請求項
9に係る発明は、コンピュータに、電子機器が備える機能を示すデバイス情報及び前記電子機器に対するユーザの使用権限に関する権限情報のうちの少なくとも一方を受け、予め定められたマスタ言語で表現され前記電子機器のユーザインターフェースに用いられるマスタ言語文字列を
、前記マスタ言語文字列を識別するための識別情報と対応付けて定義したマスタ言語データから、前記デバイス情報が示す機能及び前記ユーザの使用権限のうちの少なくとも一方に応じた公開レベルに対応するマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出する
とともに、対応する識別情報を前記マスタ言語データから抽出する第1のステップと、前記マスタ言語とは異なるローカル言語で表現され前記ユーザインターフェースに用いられるローカル言語文字列と、前記抽出されたマスタ言語文字列との対応関係を示すローカル言語データを受け、
前記ローカル言語データに含まれず前記マスタ言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列を、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列として前記ローカル言語データに追加する追加処理と、前記マスタ言語データ及び前記ローカル言語データにおいて同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列が異なる場合、前記ローカル言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記マスタ言語データにおいて前記同一の識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列に修正する修正処理と、前記マスタ言語データに含まれず前記ローカル言語データに含まれる識別情報に対応付けられたマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、前記ローカル言語データから削除する削除処理と、の中で少なくともいずれか1つの処理を行うことで、前記ローカル言語データが示す前記対応関係を補完し、前記ローカル言語データを前記マスタ言語データに整合させる第2のステップと、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1,
8,
9に係る発明によると、本発明の構成を有していない場合と比べて、翻訳対象となる文字列の数を減少させることができ、マスタ言語で表現された文字列とローカル言語で表現された文字列との不整合を解消することができる。
また、マスタ言語データに含まれるがローカル言語データに含まれない文字列が存在する場合であっても、マスタ言語で表現された文字列とローカル言語で表現された文字列との不整合を解消することができる。また、マスタ言語データに含まれるマスタ言語文字列とローカル言語データに含まれるマスタ言語文字列とが一致しない場合であっても、マスタ言語で表現された文字列とローカル言語で表現された文字列との不整合を解消することができる。また、ローカル言語データに含まれるがマスタ言語データに含まれない文字列が存在する場合であっても、マスタ言語で表現された文字列とローカル言語で表現された文字列との不整合を解消することができる。
【0023】
請求項2に係る発明によると、本発明の構成を有していない場合と比べて、翻訳対象となる文字列の数を減少させることができ、また、電子機器に対するセキュリティが確保される。
【0024】
請求項3に係る発明によると、マスタ言語とローカル言語とで共通して使用されるべき文字列の抽出が禁止され、電子機器に対するセキュリティが確保される。
【0025】
請求項4に係る発明によると、マスタ言語データが更新された場合であっても、マスタ言語で表現された文字列とローカル言語で表現された文字列との不整合を解消することができる。
【0026】
請求項5に係る発明によると、本発明の構成を有していない場合と比べて、翻訳対象の文字列の数を減少させることができる。
【0030】
請求項
6に係る発明によると、画像形成装置が備えていない機能に関する文字列及びユーザによる使用が許可されない機能に関する文字列について翻訳が不要となり、また、画像形成装置に対するセキュリティが確保される。
【0031】
請求項
7に係る発明によると、補完されたローカル言語文字列が特定されるように表示される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る言語データ処理装置、電子機器及びプログラムについて説明する。本実施形態に係る言語データ処理装置は、マスタ言語で表現され電子機器のユーザインターフェースに用いられるマスタ言語文字列を定義したマスタ言語データに基づいて、マスタ言語とは異なるローカル言語で表現されユーザインターフェースに用いられるローカル言語文字列を定義したローカル言語データを補完することで、ローカル言語データをマスタ言語データに整合させる。端末装置は、言語データの編集に用いられる。
【0034】
図1に、本発明の実施形態に係る画像形成システムの一例を示す。本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置10と端末装置50とを含んで構成されている。画像形成装置10と端末装置50とは、通信経路Nを介してデータの送受信を行う。本実施形態に係る電子機器は、一例として画像形成装置10によって実現される。
図1に示す例においては、1つの端末装置50が示されているが、複数の端末装置50が通信経路Nを介して画像形成装置10に接続されていてもよい。以下の説明では、電子機器の一例としての画像形成装置10について説明する。
【0035】
(画像形成装置10)
画像形成装置10は、受信したデータを印刷するプリント機能、原稿上の画像を読み取って電子的な画像データへと変換するスキャン機能、原稿上の画像を用紙上へ複写するコピー機能及び画像をファクシミリ送信するファクシミリ機能といった画像形成機能のうちの少なくとも1つを備えている。例えば、画像形成装置10は、複写機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の機能を備えている。但し、これらに限られるものではなく、スキャン機能を備えていないプリンタや、プリント機能を備えていないスキャナ等も本実施形態に係る画像形成装置10の範疇に含まれる。
【0036】
画像形成装置10は、一例として、CPU(Central Processing Unit)12と、画像形成部14と、記憶部22と、通信部24と、UI部(ユーザインターフェース部)26とを備えている。画像形成部14は、一例として、画像読取部16と印刷部18とファクシミリ部20とを備えている。CPU12は画像形成装置10の全体を制御する。画像読取部16は、原稿上の画像を読み取って画像を表す画像データを作成し、画像データを記憶部22に記憶させる。印刷部18は用紙上へ画像を印刷する。ファクシミリ部20は画像をファクシミリ送信する。記憶部22はHDD(Hard Disk Drive)やRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等で構成され、画像形成装置10を制御するためのファームウェア、各種のプログラム、制御データ及び画像データ等を記憶する。例えばファームウェアがCPU12によって実行されることで、画像形成部14等の各部の機能が実行される。通信部24は一例としてネットワークインターフェースであり、画像形成装置10を通信経路Nに接続し、端末装置50にデータを送信したり、端末装置50からデータを受信したりする。UI部26は例えば入力装置と表示装置とを備え、ユーザによる各種の情報の入力を受け付けたり、画像形成に関する画面を表示したりする。また、画像形成装置10は原稿上の画像を画像読取部16によって読み取って、読み取られた画像を用紙上へ印刷部18によって印刷することで、原稿上の画像を用紙上へ複写するコピー機能を備えていてもよい。なお、CPU12が実行手段の一例に相当する。
【0037】
次に、
図2を参照して、マスタ言語データに基づいてローカル言語データを補完する画像形成装置10の機能の一例について説明する。
図2は、マスタ言語データに基づいてローカル言語データを補完する画像形成装置10の機能の一例を示す機能ブロック図である。画像形成装置10は、マスタ言語記憶部30と、ローカル言語記憶部32と、受付部34と、認証処理部36と、抽出部38と、補完部40と、UI提供部42と、制御部44と、表示部46とを備えている。なお、本実施形態に係る言語データ処理装置は、抽出部38と補完部40とを含んで構成され、抽出部38及び補完部40以外の構成を含んでいてもよい。
【0038】
(マスタ言語記憶部30)
マスタ言語記憶部30は、予め定められたマスタ言語で表現されUI部26に用いられるマスタ言語文字列を定義したマスタ言語データを記憶する。例えば、使用される頻度が高いと想定される言語をマスタ言語として用いる。一例として、英語、日本語、中国語等をマスタ言語として用いてよく、その他の言語をマスタ言語として用いてもよい。マスタ言語文字列はUI部26に表示される文字列であり、例えば、画像形成装置10の各機能の名称、エラーメッセージ及び画像形成装置10の操作の仕方を提示するメッセージ等が該当する。マスタ言語文字列には、マスタ言語文字列を識別するための識別情報(例えばID番号)と、マスタ言語文字列の公開を制限するための基準を示す公開レベルとが対応付けられている。公開レベルは、マスタ言語とは異なるローカル言語によってマスタ言語文字列の訳語を作成する場合に、マスタ言語文字列の公開を制限するための基準である。公開レベルは、例えば、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に対応する公開レベルと、画像形成装置10の機能に対応する公開レベルとがある。なお、以下の説明では、マスタ言語文字列を識別するための識別情報を「マスタ言語ID」と称することにする。
【0039】
図3に、マスタ言語データの一例を示す。ここでは、日本語をマスタ言語の一例として説明する。一例として、「コピー」、「スキャン」、「ファックス」、「データの暗号化」、「診断」、「A4」及び「100%」等の文字列がマスタ言語文字列に該当し、各マスタ言語文字列にはマスタ言語IDと公開レベルとが対応付けられている。例えば、マスタ言語文字列「コピー」には、マスタ言語ID1と公開レベル「0」とが対応付けられている。
【0040】
ここで、公開レベルについて説明する。例えば、公開レベルが「0」のマスタ言語文字列は、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限や画像形成装置10の機能にかかわらず、公開が許可される文字列である。一例として、「コピー」や「スキャン」等のマスタ言語文字列の公開レベルが「0」に設定されている。例えば、公開レベルが「0」に設定されているマスタ言語文字列は、複数種類の画像形成装置10が共通して備えると想定される機能を表す文字列である。
【0041】
また、公開レベルが「1」のマスタ言語文字列は、当該マスタ言語文字列によって表される機能を画像形成装置10が備えている場合に、公開が許可される文字列である。一例として、「ファックス」や「データの暗号化」等のマスタ言語文字列の公開レベルが「1」に設定されている。例えば、公開レベルが「1」に設定されているマスタ言語文字列は、複数種類の画像形成装置10が共通して備えるとは想定されず、オプションの機能として画像形成装置10が備えると想定される機能を表す文字列である。一例として、画像形成装置10がファクシミリ機能を備えていない場合、「ファックス」というマスタ言語文字列の公開は禁止される。同様に、画像形成装置10がデータの暗号化機能を備えていない場合、「データの暗号化」というマスタ言語文字列の公開は禁止される。
【0042】
また、公開レベルが「2」のマスタ言語文字列は、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に応じて公開が許可される文字列である。例えば、公開レベルが「2」のマスタ言語文字列は、画像形成装置10にログインしているユーザが管理者としての使用権限を有する場合に公開が許可される文字列である。一例として、「診断」等のマスタ言語文字列の公開レベルが「2」に設定されている。例えば、画像形成装置10の仕様設定に関するマスタ言語文字列や画像形成装置10の保守に関するマスタ文字列等の公開レベルが「2」に設定される。例えば、管理者としての使用権限を有しない一般ユーザが画像形成装置10にログインしている場合、「診断」というマスタ言語文字列の公開は禁止される。
【0043】
また、公開レベルが「3」のマスタ言語文字列は、公開が禁止される文字列である。例えば、公開レベルが「3」のマスタ言語文字列は、翻訳が不要な英語や数字、異なる言語においても共通して使用されるべき文字列、定数、画像形成装置10のシステム上変更が許可されない文字列等が該当する。一例として、「A4」や「100%」等のマスタ言語文字列の公開レベルが「3」に設定されている。「A4」や「100%」等の文字列は、異なる言語においても共通して使用されるべき文字列であり、翻訳が不要な文字列であるため、公開が禁止される。
【0044】
また、公開レベルの別の例として、
図4に示すように、複数の公開レベル(例えば公開レベルA,B)を定義してもよい。一例として、公開レベルAは、画像形成装置10の機能に対応する公開レベルであり、公開レベルBは、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に対応する公開レベルである。公開レベルA及び公開レベルBの両方にて公開が許可されたマスタ言語文字列が公開される。
【0045】
図3及び
図4に示す例では、日本語をマスタ言語の一例として説明したが、英語や中国語等の他のマスタ言語に対応するマスタ言語データも、マスタ言語記憶部30に記憶されている。
【0046】
(ローカル言語記憶部32)
ローカル言語記憶部32は、マスタ言語で表現されたマスタ言語文字列と、マスタ言語とは異なるローカル言語で表現されたローカル言語文字列との対応関係を示すローカル言語データを記憶する。ローカル言語は、例えばユーザによって選択された言語であり、ローカル言語文字列は、例えばユーザによって定義された文字列である。
図5に、ローカル言語データの一例を示す。ここでは、日本語をマスタ言語の一例として説明する。一例として、「Copy」、「Scan」、「Fax」、「データの暗号化」、「診断」、「A4」及び「100%」等の文字列が、ローカル言語文字列として各マスタ言語文字列に対応付けられている。
【0047】
(受付部34)
受付部34は、ユーザによる各種の情報の入力をUI部26から受け付けたり、通信部24によって通信経路Nを介して各種の情報の入力を受け付けたりする。例えば、受付部34は、画像形成装置10に対するユーザの認証情報を、UI部26から又は通信経路Nを介して端末装置50から受け付ける。ユーザの認証情報は、画像形成装置10にユーザがログインするための情報であり、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、画像形成装置10にログインするためのパスワードとを含む。ユーザ識別情報は、例えばユーザIDやユーザ名等が該当する。受付部34は、認証情報を認証処理部36に出力する。
【0048】
また、受付部34は、ローカル言語文字列への翻訳の元となるマスタ言語文字列が記入されたローカル言語データファイルの取得要求を受け付け、当該取得要求を抽出部38に出力する。例えば、受付部34は、通信部24によって通信経路Nを介して端末装置50からローカル言語データファイルの取得要求を受け付ける。ローカル言語データファイルの取得要求には、ローカル言語への翻訳の元となるマスタ言語を示す翻訳元情報が含まれる。ローカル言語データファイルについては後述する。
【0049】
また、受付部34は、翻訳の元となるマスタ言語文字列とマスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列とが記入されたローカル言語データファイルを受け付け、当該ローカル言語データファイルを補完部40に出力する。例えば、受付部34は、通信部24によって通信経路Nを介して端末装置50からローカル言語データファイルを受け付ける。
【0050】
(認証処理部36)
認証処理部36は認証情報を受付部34から受け、当該認証情報に基づいて画像形成装置10に対するユーザの認証処理を行う。例えば、画像形成装置10の機能の利用をユーザごとに制限するために、ユーザの認証処理を行ってもよい。一例として、画像形成装置10によって認証されているユーザを識別するためのユーザ識別情報とパスワードとを含む認証情報を、記憶部22に予め記憶させておく。認証処理部36は、記憶部22に記憶されている認証情報と、受付部34から取得した認証情報とを照合することにより認証処理を行う。画像形成装置10にログインするユーザとしては、例えば、画像形成機能の利用が許可される一般ユーザ、画像形成装置10の仕様設定や保守が許可される管理者ユーザ、すべての文字列の翻訳が許可される特殊ユーザ等がある。認証処理部36は、認証処理によって、画像形成装置10にログインするユーザを、一般ユーザ、管理者ユーザ又は特殊ユーザ等のユーザのうちのいずれかに区別する。認証処理部36は、認証結果を抽出部38に出力する。例えば、認証処理部36は、認証されて画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に関する権限情報を抽出部38に出力する。権限情報は、例えば、一般ユーザ、管理者ユーザ及び特殊ユーザ等のようにログインしているユーザの種類を示す情報である。
【0051】
(抽出部38)
抽出部38は、ローカル言語データファイルの取得要求を受付部34から受けると、マスタ言語記憶部30に記憶されたマスタ言語データからマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出するとともに、対応するマスタ言語IDを抽出する。抽出部38は、取得要求に含まれる翻訳元情報が示すマスタ言語に対応するマスタ言語データから、マスタ言語文字列とマスタ言語IDとを抽出する。例えば、抽出部38は、画像形成装置10が備えている機能を示すデバイス情報と、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に関する権限情報とを受け、画像形成装置10の機能及びユーザの使用権限のうちの少なくとも一方に応じた公開レベルに対応するマスタ言語文字列とマスタ言語IDとを、マスタ言語記憶部30に記憶されたマスタ言語データから抽出する。画像形成装置10が備えている機能としては、プリント機能、スキャン機能、コピー機能及びファクシミリ機能等の画像形成機能や、データを暗号化する暗号化機能等が該当する。例えば、画像形成装置10の機能を示すデバイス情報を記憶部22に記憶させておき、抽出部38は、記憶部22からデバイス情報を取得するようにしてもよい。そして、抽出部38は、マスタ言語文字列とマスタ言語IDとを含むローカル言語データファイルを出力する。例えば、抽出部38は、テキストエディタ等を用いることで文字列が記入されるテキストファイルとして、ローカル言語データファイルを作成する。通信部24は、抽出部38から出力されたローカル言語データファイルを通信経路Nを介して端末装置50に送信する。
【0052】
例えば、抽出部38は、管理者としての使用権限を有していない一般ユーザが画像形成装置10にログインしている場合、公開レベルが「0」のマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出し、公開レベルが「1」のマスタ言語文字列のうち画像形成装置10が備える機能を表すマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出する。また、抽出部38は、管理者ユーザが画像形成装置10にログインしている場合、公開レベルが「0」及び「2」のマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出し、公開レベルが「1」のマスタ言語文字列のうち画像形成装置10が備える機能を表すマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出する。
【0053】
図3及び
図4に示す例では、一般ユーザが画像形成装置10にログインしている場合、抽出部38は、「コピー」(ID1)及び「スキャン」(ID2)を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出する。さらに、抽出部38は、画像形成装置10がファクシミリ機能を備えている場合、「ファックス」(ID3)を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出し、画像形成装置10がデータの暗号化機能を備えている場合、「データの暗号化」(ID4)を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出する。また、管理者ユーザが画像形成装置10にログインしている場合、抽出部38は、「コピー」(ID1)、「スキャン」(ID2)及び「診断」(ID5)を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出する。さらに、抽出部38は、画像形成装置10がファクシミリ機能を備えている場合、「ファックス」(ID3)を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出し、画像形成装置10がデータの暗号化機能を備えている場合、「データの暗号化」(ID4)を翻訳対象の文字列としてマスタ言語データから抽出する。
【0054】
図6に、ローカル言語データファイルの一例を示す。ここでは、日本語をマスタ言語の一例として説明する。一例として、「コピー」(ID1)、「スキャン」(ID2)、「ファックス」(ID3)及び「シャープネス」(ID8)が抽出されている。例えば
図6に示すように、抽出部38は、マスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列の欄が空欄(ブランク)となっているローカル言語データファイルを作成し、当該ローカル言語データファイルを出力する。
【0055】
なお、抽出部38は、画像形成装置10の機能のみに応じて公開が許可されたマスタ言語文字列とマスタ言語IDとを抽出してローカル言語データファイルを作成してもよいし、ユーザの使用権限のみに応じて公開が許可されたマスタ言語文字列とマスタ言語IDとを抽出してローカル言語データファイルを作成してもよい。例えば、抽出部38は、デバイス情報のみに基づいて、画像形成装置10が備えている機能を表すマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出してもよい。同様に、抽出部38は、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限のみに基づいて、ユーザによる使用が許可された機能を表すマスタ言語文字列を翻訳対象の文字列として抽出してもよい。
【0056】
なお、すべての文字列の翻訳が許可された特殊ユーザが画像形成装置10にログインしている場合、抽出部38は、すべてのマスタ言語文字列とマスタ言語IDとをマスタ言語データから抽出してローカル言語データファイルを作成してもよい。
図3及び
図4の例で説明すると、抽出部38は、公開レベルが「0」のマスタ言語文字列、公開レベルが「1」のマスタ言語文字列、公開レベルが「2」のマスタ言語文字列、及び、公開レベルが「3」のマスタ言語文字列を抽出してローカル言語データファイルを作成してもよい。
【0057】
(補完部40)
補完部40は、マスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルを受け、当該ローカル言語データファイルと翻訳元のマスタ言語に対応するマスタ言語データとを比較し、ローカル言語データファイルが示すマスタ言語文字列とローカル言語文字列との対応関係をマスタ言語データに基づいて補完する。補完部40は、補完を行うことにより、マスタ言語データに整合するローカル言語データを作成する。例えば、補完部40は、翻訳元のマスタ言語が日本語の場合、ローカル言語データファイルが示すマスタ言語文字列とローカル言語文字列との対応関係を、日本語に対応するマスタ言語データに基づいて補完することで、日本語のマスタ言語データに整合するローカル言語データを作成する。補完部40は、作成されたローカル言語データをローカル言語記憶部32に記憶させる。
【0058】
図7に、ローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルの一例を示す。
図7に示すローカル言語データファイルは、抽出部38によって作成されたローカル言語データファイル(
図6に示すローカル言語データファイル)にローカル言語文字列が記入されたファイルである。一例として、マスタ言語文字列「コピー」に対するローカル言語文字列として「Copy」が記入され、マスタ言語文字列「スキャン」に対するローカル言語文字列として「Scan」が記入され、マスタ言語文字列「ファックス」に対するローカル言語文字列として「Fax」が記入され、マスタ言語文字列「シャープネス」に対するローカル言語文字列として「Sharpness」が記入されている。ローカル言語文字列はマスタ言語文字列に対する訳語であり、例えば端末装置50等の装置を用いてユーザによって記入された文字列である。補完部40は、例えば
図3に示すマスタ言語データと
図7に示すローカル言語データファイルとを比較し、ローカル言語データファイルが示すマスタ言語文字列とローカル言語文字列との対応関係をマスタ言語データに基づいて補完することで、
図3に示すマスタ言語データに整合するローカル言語データを作成する。
【0059】
例えば、補完部40は、ローカル言語データファイルに新たなマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を追加する追加処理、ローカル言語データファイルにおけるマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を修正する修正処理、及び、ローカル言語データファイルにおけるマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を削除する削除処理を行うことで、ローカル言語データを作成する。
【0060】
例えば、補完部40は、マスタ言語データに含まれるマスタ言語IDがローカル言語データファイルに含まれていない場合、マスタ言語データにおいて当該マスタ言語IDに対応するマスタ言語文字列を、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列としてローカル言語データファイルに追加(コピー)する。
【0061】
また、補完部40は、ローカル言語データファイルに含まれるマスタ言語IDがマスタ言語データに含まれていない場合、当該マスタ言語IDに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列をローカル言語データファイルから削除する。
【0062】
また、補完部40は、マスタ言語データとローカル言語データファイルとで同じマスタ言語IDに対応するマスタ言語文字列が一致しない場合、ローカル言語データファイルにおいて当該マスタ言語IDに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列を、マスタ言語データにおいて当該マスタ言語IDに対応するマスタ言語文字列に修正する(置き換える)。
【0063】
以上のように、補完部40は、ローカル言語データファイルとマスタ言語データとが整合しない場合、追加処理、修正処理又は削除処理を行うことで、マスタ言語データに整合するローカル言語データを作成し、当該ローカル言語データをローカル言語記憶部32に記憶させる。なお、補完部40は、ローカル言語データファイルとマスタ言語データとが整合する場合、ローカル言語データファイルをローカル言語データとしてローカル言語記憶部32に記憶させる。
【0064】
また、補完部40は、記憶部22に記憶されたファームウェアが更新されてマスタ言語データが更新された場合、ローカル言語記憶部32に記憶されているローカル言語データが示すマスタ言語文字列とローカル言語文字列との対応関係を、更新後のマスタ言語データに基づいて補完することで、ローカル言語データを更新後のマスタ言語データに整合させる。すなわち、補完部40は、更新後のマスタ言語データを用いて、上述した追加処理、修正処理又は削除処理をローカル言語データに施すことで、ローカル言語データを更新後のマスタ言語データに整合させる。補完部40は、更新後のマスタ言語データに整合された新たなローカル言語データをローカル言語記憶部32に記憶させる。以上のように、補完部40は、ローカル言語データファイル及びローカル言語データを、マスタ言語データに基づいて補完する。
【0065】
ここで、追加処理、修正処理及び削除処理の具体例について説明する。
図8に、追加処理の一例を示す。一例として、マスタ言語データに新たなマスタ言語文字列が追加された場合について説明する。
図8(a)に、追加前のマスタ言語データと、追加前のローカル言語データ又はローカル言語データファイルとを示す。また、
図8(b)に、追加後のマスタ言語データと追加後のローカル言語データ(ファイル)とを示す。
図8(b)に示すように、マスタ言語データには、マスタ言語ID4に「Browse」というマスタ言語文字列が追加されており、追加前のローカル言語データ(ファイル)と追加後のマスタ言語データとの間に不整合が発生している。この場合、補完部40は、
図8(b)に示すように、マスタ言語データに追加されたマスタ言語文字列「Browse」(ID4)を、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列としてローカル言語データ(ファイル)に追加(コピー)する。このように、マスタ言語データに追加されたマスタ言語文字列をローカル言語データ(ファイル)に追加することで、ローカル言語データ(ファイル)をマスタ言語データに整合させる。
【0066】
また、
図9に、修正処理の一例を示す。一例として、マスタ言語データにおけるマスタ言語文字列が修正された場合について説明する。
図9(a)に、修正前のマスタ言語データと、修正前のローカル言語データ又はローカル言語データファイルとを示す。また、
図9(b)に、修正後のマスタ言語データと修正後のローカル言語データ(ファイル)とを示す。
図9(a)、(b)に示すように、マスタ言語データにおいて、マスタ言語ID3のマスタ言語文字列が「Fax」から「Internet Fax」に修正されており、修正前のローカル言語データ(ファイル)と修正後のマスタ言語データとの間に不整合が発生している。この場合、補完部40は、
図9(b)に示すように、ローカル言語データ(ファイル)においてマスタ言語ID3に対応するマスタ言語文字列「Fax」及びローカル言語文字列「ファックス」を、修正後のマスタ言語文字列「Internet Fax」に修正する(置き換える)。このように、マスタ言語データにおいて修正されたマスタ言語文字列によってローカル言語データ(ファイル)を修正することで、ローカル言語データ(ファイル)をマスタ言語データに整合させる。
【0067】
また、
図10に、削除処理の一例を示す。一例として、マスタ言語データにおけるマスタ言語文字列が削除された場合について説明する。
図10(a)に、削除前のマスタ言語データと、削除前のローカル言語データ又はローカル言語データファイルとを示す。また、
図10(b)に、削除後のマスタ言語データと削除後のローカル言語データ(ファイル)とを示す。
図10(a)、(b)に示すように、マスタ言語データにおいて、マスタ言語ID2のマスタ言語文字列「Scan」が削除されており、削除前のローカル言語データ(ファイル)と削除後のマスタ言語データとの間に不整合が発生している。この場合、補完部40は、
図10(b)に示すように、マスタ言語ID2に対応するマスタ言語文字列「Scan」及びローカル言語文字列「スキャン」をローカル言語データ(ファイル)から削除する。このように、マスタ言語データから削除されたマスタ言語文字列と同じマスタ言語IDに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列をローカル言語データ(ファイル)から削除することで、ローカル言語データ(ファイル)をマスタ言語データに整合させる。
【0068】
(UI提供部42)
UI提供部42は、ローカル言語データファイルを端末装置50が取得してローカル言語を設定するためのユーザインターフェース(UI)のデータを端末装置50に提供する。以下の説明では、ローカル言語データファイルを取得してローカル言語を設定するためのユーザインターフェースを、「設定用UI」と称する。例えば、UI提供部42は、Webブラウザによって表示されるHTML形式の設定用UIのデータを端末装置50に提供する。端末装置50が通信経路Nを介して画像形成装置10にアクセスした場合、UI提供部42は、通信経路Nを介して端末装置50に設定用UIのデータを提供する。例えば、UI提供部42はWebサーバとしての機能を備えている。このWebサーバが提供するアドレスに設定用UIのデータをHTML形式で作成しておき、端末装置50が当該アドレスにアクセスすることにより、端末装置50のWebブラウザに設定用UIが表示される。なお、UI提供部42は、端末装置50のユーザが認証処理部36によって認証された場合に設定用UIのデータを端末装置50に提供してもよい。
【0069】
図11に、設定用UIの一例を示す。設定用UIには、翻訳の元となる言語を指定するためのボタンと、画像形成装置10から端末装置50へのローカル言語データファイルのダウンロードを指示するためのボタン(「ダウンロード」ボタン)と、ローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルを画像形成装置10にアップロードするためのボタン(「アップロード」ボタン)とを含む。
【0070】
(制御部44)
制御部44は画像形成装置10の各部を制御する。例えば、制御部44は、画像形成装置10のメニュー画面、画像形成機能の設定画面、言語切り替え画面及び画像形成装置10へのログイン画面等の各種の画面を表示部46に表示させる。制御部44は、各種の画面に表示される文字列を、マスタ言語又はローカル言語で表現して表示部46に表示させる。例えば、制御部44は、ユーザによって指定されたマスタ言語データに基づき、マスタ言語で表現されたマスタ言語文字列を表示部46に表示させる。または、制御部44は、ユーザによって指定されたローカル言語データに基づき、ローカル言語で表現されたローカル言語文字列を表示部46に表示させる。
【0071】
(表示部46)
表示部46はUI部26の表示装置によって構成され、制御部44の制御の下、各種の画面を表示する。
【0072】
なお、
図2に示す各機能は、主に、CPU12が、記憶部22に記憶されているプログラムを実行することにより実現されるが、一部がハードウェアによって構成されていてもよい。例えば、CPU12が、記憶部22に記憶されているプログラムを実行することにより、受付部34、認証処理部36、抽出部38、補完部40、UI提供部42及び制御部44のそれぞれの機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を介して又はネットワーク等の通信経路を介して、記憶部22に記憶される。なお、上記プログラムは、記憶部22に予め記憶されていてもよい。記憶部22に記憶されているプログラムが、メモリに読み出されてCPU12によって実行されることにより、上述した各部の機能が実現される。マスタ言語記憶部30及びローカル言語記憶部32は、記憶部22によって構成されてもよい。
【0073】
(端末装置50)
端末装置50は、パーソナルコンピュータ等の装置である。
図1に示すように、端末装置50は、一例として、CPU52と、記憶部54と、通信部56と、UI部(ユーザインターフェース部)58とを備えている。CPU52は端末装置50の全体を制御する。記憶部54はHDDやRAMやROM等で構成され、CPU52で実行されるプログラムを記憶する。例えば、記憶部54は、テキストエディタ等のアプリケーションプログラムを記憶する。通信部56は一例としてネットワークインターフェースであり、端末装置50を通信経路Nに接続し、画像形成装置10にデータを送信したり、画像形成装置10からデータを受信したりする。UI部58は例えば入力装置と表示装置とを備え、ユーザによる各種の情報の入力を受け付けたり、各種の画面を表示したりする。
【0074】
例えば、Webブラウザのプログラムを記憶部54に予め記憶させておき、CPU52はユーザの指示に従ってWebブラウザを起動させる。そして、通信部56は、通信経路Nを介して画像形成装置10にアクセスし、ユーザの認証情報を画像形成装置10に送信することで画像形成装置10にログインし、設定用UIのデータを画像形成装置10から受信する。そして、端末装置50のWebブラウザは、例えば
図11に示す設定用UIを表示する。
【0075】
例えば
図11に示す設定用UIにおいて、ユーザが、翻訳の元となる言語を指定してダウンロードを指示した場合、通信部56は、ローカル言語データファイルの取得要求を画像形成装置10に送信する。ローカル言語データファイルの取得要求には、ユーザによって指定され翻訳の元となる言語を示す翻訳元情報が含まれる。そして、通信部56は、ユーザによって指定されたマスタ言語に対応するローカル言語データファイルを画像形成装置10から受信し、CPU52は、当該ローカル言語データファイルをUI部58に表示させる。
【0076】
ユーザは、UI部58に表示されたローカル言語データファイルを参照し、テキストエディタ等を用いることで、マスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列(訳語)をローカル言語データファイルに記入する。そして、
図11に示す設定用UIにおいて、ユーザが、ローカル言語データの登録名を指定してアップロードを指示した場合、通信部56は、ローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルを画像形成装置10に送信する。ローカル言語データファイルに基づいて作成されるローカル言語データは、指定された登録名で画像形成装置10に登録される。
図11に示す例で説明すると、ユーザが「ユーザ定義言語A」を登録名として選択してアップロードを指示した場合、ローカル言語データファイルに基づいて作成されるローカル言語データが、「ユーザ定義言語A」という登録名でローカル言語記憶部32に記憶される。
【0077】
(通信経路N)
通信経路Nは公知の通信経路であり、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークで構成されている。
【0078】
次に、
図12及び
図13を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10による処理の手順の一例を説明する。
図12は、ローカル言語データファイルを作成する処理の手順を示すフローチャートである。
図13は、マスタ言語データに基づいてローカル言語データ(ファイル)を補完する処理の手順を示すフローチャートである。
【0079】
まず、端末装置50での操作の手順について説明する。ユーザが端末装置50にて認証情報を入力してログインを指示すると、端末装置50は認証情報を画像形成装置10に送信する。画像形成装置10の認証処理部36によって認証処理が行われ、ユーザは画像形成装置10にログインする。そして、端末装置50は、画像形成装置10のUI提供部42から設定用UIのデータを受信し、設定用UIをUI部58に表示させる。また、認証処理部36は、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に関する権限情報を抽出部38に出力する。例えば
図11に示す設定用UIにおいて、ユーザが、翻訳の元となるマスタ言語として「日本語」を指定してダウンロードを指示した場合、通信部56は、日本語に対応するローカル言語データファイルの取得要求を画像形成装置10に送信する。ローカル言語データファイルの取得要求には、指定された「日本語」を示す翻訳元情報が含まれる。
【0080】
次に、
図12を参照して、ローカル言語データファイルを作成する処理の手順について説明する。画像形成装置10の受付部34は、ローカル言語データファイルの取得要求を受け付け、当該取得要求を抽出部38に出力する。抽出部38は、翻訳元情報が示すマスタ言語「日本語」に対応するマスタ言語データをマスタ言語記憶部30から取得する(S01)。例えば、抽出部38は、
図3に示すマスタ言語データをマスタ言語記憶部30から取得する。
【0081】
また、抽出部38は、画像形成装置10にログインしているユーザの使用権限に関する権限情報を認証処理部36から取得し(S02)、さらに、画像形成装置10の機能を示すデバイス情報を記憶部22から取得する(S03)。
【0082】
そして、抽出部38は、マスタ言語IDn(n=1,2,3,・・・)に対応するマスタ言語文字列の公開レベルをマスタ言語データから取得する(S04)。
図3に示す例で説明すると、n=1の場合、抽出部38は、マスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列「コピー」の公開レベル「0」をマスタ言語データから取得する。
【0083】
抽出部38は、デバイス情報が示す画像形成装置10の機能とユーザの使用権限と公開レベルとに応じて、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列の公開を許可又は禁止する(S05)。抽出部38は、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列の公開を許可する場合(S05,Yes)、当該マスタ言語IDnと当該マスタ言語文字列とをマスタ言語データから抽出する(S06)。一方、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列の公開を禁止する場合(S05,No)、処理は次のステップS07に移行する。
図3に示す例で説明すると、マスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列「コピー」の公開レベルが「0」であるため、抽出部38は、マスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列「コピー」の公開を許可し、マスタ言語文字列「コピー」とマスタ言語ID1とをマスタ言語データから抽出する。なお、抽出部38は、画像形成装置10の機能のみに応じてマスタ言語文字列の公開を許可又は禁止してもよいし、ユーザの使用権限のみに応じてマスタ言語文字列の公開を許可又は禁止してもよい。
【0084】
そして、マスタ言語データに含まれるすべてのマスタ言語IDnについて公開の許可又は禁止が判断された場合(S07,Yes)、抽出部38は、抽出されたマスタ言語文字列とマスタ言語IDとを含むローカル言語データファイルを作成し、当該ローカル言語データファイルを出力する(S08)。例えば
図6に示すように、抽出部38は、マスタ言語IDとマスタ言語文字列とを含み、マスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列の欄が空欄(ブランク)になっているローカル言語データファイルを作成し、当該ローカル言語データファイルを出力する。
【0085】
一方、マスタ言語データに含まれるすべてのマスタ言語IDnについて公開の許可又は禁止が判断されていない場合(S07,No)、処理は次のマスタ言語IDに移行する(S09)。例えばn=2の場合、抽出部38は、マスタ言語ID2に対応するマスタ言語文字列の公開の許可又は禁止を判断し、公開を許可する場合、マスタ言語ID2に対応するマスタ言語文字列とマスタ言語ID2とをマスタ言語データから抽出する。そして、すべてのマスタ言語IDnについて公開の許可又は禁止が判断されるまで、ステップS04〜S07の処理が繰り返して実行される。
【0086】
以上の処理により、抽出部38は、画像形成装置10の機能とユーザの使用権限とに応じた公開レベルに対応するマスタ言語文字列とマスタ言語IDとをマスタ言語データから抽出し、マスタ言語文字列とマスタ言語IDとを含むローカル言語データファイルを作成する。例えば、画像形成装置10にログインしているユーザが一般ユーザであれば、コピーやスキャン等のように画像形成機能を表すマスタ言語文字列を含むローカル言語データファイルが作成される。また、画像形成装置10にログインしているユーザが管理者ユーザであれば、画像形成機能を表すマスタ言語文字列の他、画像形成装置10の仕様設定に関するマスタ言語文字列や画像形成装置10の保守に関するマスタ言語文字列を含むローカル言語データファイルが作成される。また、画像形成装置10にログインしているユーザが、翻訳を行う特殊ユーザであれば、マスタ言語データに含まれるすべてのマスタ言語文字列を含むローカル言語データファイルが作成される。また、画像形成装置10が備えていない機能に関するマスタ言語文字列はローカル言語データファイルに含まれず、画像形成装置10が備えている機能に関するマスタ言語文字列を含むローカル言語データファイルが作成される。
【0087】
そして、通信部24は、抽出部38から出力されたローカル言語データファイルを通信経路Nを介して端末装置50に送信する。
【0088】
端末装置50は、ローカル言語データファイルを画像形成装置10から受信し、当該ローカル言語データファイルをUI部58に表示させる。ユーザは、テキストエディタ等を用いることで、マスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列(訳語)をローカル言語データファイルに記入する。例えば
図6及び
図7を参照して説明すると、ユーザは、テキストエディタ等を用いることで、マスタ言語文字列(コピー、スキャン、ファックス、シャープネス、・・・)に対応するローカル言語文字列(Copy、Scan、Fax、Sharpness、・・・)をローカル言語データファイルに記入する。そして、例えば
図11に示す設定用UIにおいて、ユーザがローカル言語データの登録名「ユーザ定義言語A」を指定してアップロードを指示した場合、端末装置50は、ローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルを画像形成装置10に送信する。
【0089】
以上のように、画像形成装置10が備えていない機能に関するマスタ言語文字列を公開しないことで、画像形成装置10が備えていない機能に関するマスタ言語文字列をローカル言語文字列に翻訳をしなくて済む。従って、本実施形態に係る画像形成装置10によると、マスタ言語データに含まれるすべてのマスタ言語文字列を公開する場合と比べて翻訳対象のマスタ言語文字列の数が減少するため、翻訳作業の効率化が図れる。すなわち、翻訳が不要なマスタ言語文字列が公開されないため、翻訳作業の効率化が図れる。
【0090】
例えば、複数種類の画像形成装置10で共通のマスタ言語データを使用する場合であっても、画像形成装置10が備えていない機能に関するマスタ言語文字列は公開されないため、すべてのマスタ言語文字列を公開する場合と比べて翻訳対象のマスタ言語文字列の数が減少し、その結果、翻訳作業の効率化が図れる。また、翻訳作業の対象となっている画像形成装置10が備えておらず他の画像形成装置10が備えている機能に関するマスタ言語文字列は、翻訳作業の対象となっている画像形成装置10によって作成されたローカル言語データファイルには含まれない。このように、翻訳に不要な情報が公開されないため、画像形成装置10のセキュリティが確保される。例えば、個々の画像形成装置10ごとに個別に機能が設定されている場合、他の画像形成装置10のみが備えている機能に関するマスタ言語文字列は公開されないため、画像形成装置10のセキュリティが確保される。
【0091】
また、ユーザの使用権限に応じてマスタ言語文字列を抽出することで、使用が許可されていない機能や処理に関するマスタ言語文字列は公開されないため、使用が許可されていない機能や処理に関するマスタ言語文字列をローカル言語文字列に翻訳しなくて済む。従って、本実施形態に係る画像形成装置10によると、マスタ言語データに含まれるすべてのマスタ言語文字列を公開する場合と比べて翻訳対象のマスタ言語文字列の数が減少するため、翻訳作業の効率化が図れる。例えば、一般ユーザには、一般ユーザに使用が許可されている機能や処理に関するマスタ言語文字列が公開され、管理者ユーザには、管理者ユーザに使用が許可されている機能や処理に関するマスタ言語文字列が公開されるため、各ユーザは、使用が許可されている機能や処理に関するマスタ言語文字列を翻訳すれば済む。また、使用が許可されていない機能や処理に関するマスタ言語文字列が公開されないため、画像形成装置10のセキュリティが確保される。
【0092】
また、画像形成装置10の機能とユーザの使用権限とに応じてマスタ言語文字列を抽出して公開することで、画像形成装置10が備えていない機能に関するマスタ言語文字列が公開されず、また、使用が許可されていない機能や処理に関するマスタ言語文字列が公開されないため、翻訳対象のマスタ言語文字列の数が減少するとともに、画像形成装置10のセキュリティが確保される。
【0093】
次に、
図13を参照して、マスタ言語データに基づいてローカル言語データ(ファイル)を補完する処理の手順について説明する。
【0094】
画像形成装置10の受付部34は、ローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルを端末装置50から受け、当該ローカル言語データファイルを補完部40に出力する。また、補完部40は、ローカル言語データファイルの翻訳元のマスタ言語に対応するマスタ言語データをマスタ言語記憶部30から取得する(S10)。
図3及び
図7に示す例で説明すると、
図7に示すローカル言語データファイルの翻訳元のマスタ言語は日本語であるため、補完部40は、
図3に示す日本語に対応するマスタ言語データをマスタ言語記憶部30から取得する。
【0095】
補完部40は、マスタ言語データにおけるマスタ言語IDn(n=1,2,3,・・・)をローカル言語データファイル内で検索する(S11)。
図3及び
図7に示す例で説明すると、n=1の場合、補完部40は、マスタ言語ID1を
図7に示すローカル言語データファイル内で検索する。
【0096】
マスタ言語データにおけるマスタ言語IDnと一致するマスタ言語IDnがローカル言語データファイルに存在しない場合(S12,No)、補完部40は、当該マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列をマスタ言語データから取得し、当該マスタ言語文字列を、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列として新たなローカル言語データに追加(コピー)する(S13)。この処理が、上述した追加処理に相当する。
図3及び
図7に示す例で説明すると、n=4の場合、マスタ言語ID4が
図7に示すローカル言語データファイルに存在しないため、補完部40は、マスタ言語ID4に対応するマスタ言語文字列「データの暗号化」を
図3に示すマスタ言語データから取得する。そして、補完部40は、マスタ言語文字列「データの暗号化」を、マスタ言語ID4に対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列として新たなローカル言語データに追加(コピー)する。
【0097】
一方、マスタ言語データにおけるマスタ言語IDnと一致するマスタ言語IDnがローカル言語データファイルに存在する場合(S12、Yes)、補完部40は、マスタ言語データにおいてマスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列と、ローカル言語データファイルにおいてマスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列とを比較する(S14)。マスタ言語文字列が一致する場合(S14,Yes)、補完部40は、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列をローカル言語データファイルから取得し、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列として新たなローカル言語データに追加(コピー)する(S15)。
図3及び
図7に示す例で説明すると、n=1の場合、マスタ言語ID1が
図7に示すローカル言語データファイルに存在し、
図3に示すマスタ言語データにおいてマスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列「コピー」と、
図7に示すローカル言語データファイルにおいてマスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列「コピー」とが一致する。この場合、補完部40は、マスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列「コピー」及びローカル言語文字列「Copy」を、
図7に示すローカル言語データファイルから取得し、マスタ言語ID1に対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列として新たなローカル言語データに追加(コピー)する。
【0098】
一方、マスタ言語文字列が一致しない場合(S14,No)、補完部40は、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列をマスタ言語データから取得し、当該マスタ言語文字列を、マスタ言語IDnに対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列として新たなローカル言語データに追加(コピー)する(S16)。このステップS16の処理が上述した修正処理に該当する。一例として、
図9(a)に示すローカル言語データファイルと、
図9(b)に示す修正後のマスタ言語データファイルとを参照して説明する。n=3の場合、マスタ言語ID3が
図9(a)に示すローカル言語データファイルに存在し、
図9(b)に示すマスタ言語データにおいてマスタ言語ID3に対応するマスタ言語文字列「Internet Fax」と、
図9(a)に示すローカル言語データファイルにおいてマスタ言語ID3に対応するマスタ言語文字列「Fax」とが一致しない。この場合、補完部40は、マスタ言語ID3に対応するマスタ言語文字列「Internet Fax」を、
図9(b)に示すマスタ言語データから取得し、マスタ言語ID3に対応するマスタ言語文字列及びローカル言語文字列として新たなローカル言語データに追加(コピー)する。
【0099】
そして、マスタ言語データに含まれるすべてのマスタ言語IDnがローカル言語データファイル内で検索された場合(S17,Yes)、補完部40は、取得(コピー)したマスタ言語文字列とローカル言語文字列とを含む新たなローカル言語データを出力する(S18)。補完部40は、新たに作成されたローカル言語データをローカル言語記憶部32に記憶させる。例えば、登録名として「ユーザ定義言語A」がユーザによって指定されている場合、補完部40は、新たに作成されたローカル言語データを「ユーザ定義言語A」という登録名でローカル言語記憶部32に記憶させる。
【0100】
一方、検索されていないマスタ言語IDnが存在する場合(S17,No)、処理は次のマスタ言語IDに移行する(S19)。そして、すべてのマスタ言語IDnがローカル言語データファイル内で検索されるまで、ステップS11〜S17の処理が繰り返し実行される。
【0101】
そして、画像形成装置10のUI部26に表示された言語切り替え画面にてユーザが「ユーザ定義言語A」を指定すると、制御部44は、「ユーザ定義言語A」の登録名で記憶されているローカル言語データに基づいたローカル言語文字列をUI部26に表示させる。
【0102】
以上のように、マスタ言語データに基づいて追加処理、修正処理及び削除処理をローカル言語データファイルに施すことで、マスタ言語データに整合するローカル言語データが作成される。そのことにより、内容の一致しないローカル言語文字列がUI部26に表示されることが防止される。すなわち、UI部26に表示されるローカル言語文字列の意味と、そのローカル言語文字列を指定等することで実行される機能や処理の内容とが一致し、ローカル言語文字列の意味と実行される機能や処理の内容との相違が解消される。
【0103】
次に、画像形成装置10に記憶されているマスタ言語データが更新された場合について説明する。例えば、画像形成装置10のファームウェアが更新されることで、マスタ言語データが更新される。この場合、画像形成装置10の補完部40は、更新後のマスタ言語データと、当該マスタ言語データのマスタ言語に対応しローカル言語記憶部32に記憶されているローカル言語データとを対象にして、
図13に示すフローチャートに従った処理を実行することで、ローカル言語データを更新後のマスタ言語データに整合させる。そして、補完部40は、更新後のマスタ言語データに整合された新たなローカル言語データをローカル言語記憶部32に記憶させる。例えば、補完部40は、新たなローカル言語データを、整合前のローカル言語データに置き換えてローカル言語記憶部32に記憶させる。
【0104】
更新後のマスタ言語データに新たなマスタ言語文字列が追加された場合、新たなマスタ言語文字列が、マスタ言語文字列及びローカル言語文字列としてローカル言語データに追加される。また、更新後のマスタ言語データに含まれるマスタ言語文字列が修正された場合、ローカル言語データにおいて対応するマスタ言語IDのマスタ言語文字列及びローカル言語文字列が、修正されたマスタ言語文字列に修正される(置き換えられる)。
【0105】
以上にように、マスタ言語データが変更された場合であっても、ローカル言語データは更新後のマスタ言語データに整合されるため、変更されていないマスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列はそのまま使用され、変更されたマスタ言語文字列に対応するローカル言語文字列は変更後のマスタ言語文字列によって置換されて表示される。そのことにより、内容の一致しないローカル言語文字列がUI部26に表示されることが防止される。
【0106】
また、制御部44は、ローカル言語データに基づくローカル言語文字列をUI部26に表示させる場合、マスタ言語データに基づいて追加又は修正されたローカル言語文字列を、追加又は修正されていないローカル言語文字列と区別してUI部26に表示させてもよい。例えば、制御部44は、マスタ言語データに基づいて追加又は修正されたローカル言語文字列を、追加又は修正されていないローカル言語文字列とは異なる表示色でUI部26に表示させてもよい。または、制御部44は、直前の更新で追加又は修正されたローカル言語文字列を他のローカル言語文字列と区別してUI部26に表示させてもよい。例えば、補完部40は、更新処理によって追加又は修正されたローカル言語文字列のマスタ言語IDを記録しておき、制御部44は、記録されたマスタ言語IDに対応するローカル言語文字列を、他のローカル言語文字列と区別してUI部26に表示させてもよい。また、制御部44は、更新による修正箇所を確認する旨の指示をUI部26等から受けた場合、記録されたマスタ言語IDに対応するローカル言語文字列を、他のローカル言語文字列と区別してUI部26に表示させてもよい。
【0107】
また、補完部40は、ローカル言語データ(ファイル)とマスタ言語データとで整合していないマスタ言語IDの数やマスタ言語文字列の数(不整合の数)をカウントしてもよく、マスタ言語データのマスタ言語文字列を用いて追加又は修正された文字列の数(補完の数)をカウントしてもよい。例えば、画像形成装置10の通信部24は、不整合の数を示すデータや補完の数を示すデータを端末装置50に送信する。端末装置50のCPU52は、不整合の数や補完の数をUI部58に表示させてもよい。また、画像形成装置10の制御部44は、不整合の数や補間の数をUI部26に表示させてもよい。
【0108】
また、端末装置50において、画像形成装置10に記憶されているローカル言語データが指定されてローカル言語データファイルのダウンロードが指示された場合、抽出部38は、指定されたローカル言語データに含まれるローカル言語文字列が入力されたローカル言語データファイルを作成してもよい。例えば、抽出部38は、翻訳元のマスタ言語に対応するマスタ言語データから、公開レベルに対応するマスタ言語文字列とマスタ言語IDとを抽出し、抽出されたマスタ言語IDに対応するローカル言語文字列を指定されたローカル言語データから抽出する。そして、抽出部38は、抽出されたマスタ言語IDとマスタ言語文字列とローカル言語文字列とが記入されたローカル言語データファイルを作成する。これにより、指定されたローカル言語データに含まれるローカル言語文字列がローカル言語データファイルに記入され、マスタ言語データに新たに追加されたマスタ言語IDに対応する欄が、ローカル言語データファイルにおいてブランク(空欄)となる。このように、指定されたローカル言語データに含まれるローカル言語文字列がローカル言語データファイルに記入されるため、ユーザは、マスタ言語データとローカル言語データとの差分に相当する訳語をローカル言語データファイルに記入すれば済む。また、ローカル言語データファイルを端末装置50にて表示した場合、訳語を追加すべき欄が空欄となって表示されるため、訳語を追加すべき箇所がユーザによって容易に特定され得る。また、マスタ言語データに含まれるマスタ言語文字列が修正されている場合、ローカル言語データファイルに含まれるマスタ言語文字列とローカル言語文字列とを比較することで、修正すべき箇所がユーザによって容易に特定され得る。また、抽出部38は、ローカル言語文字列が入力されていないマスタ言語ID及びマスタ言語文字列のみを含むローカル言語データファイルを作成してもよい。
【0109】
なお、上述した実施形態では、通信経路Nを介してローカル言語データファイルを端末装置50に送信し、端末装置50にてローカル言語データファイルにローカル言語文字列を記入する例について説明した。別の例として、通信経路Nを介さずにローカル言語データファイルを端末装置50に入力し、端末装置50にてローカル言語データファイルにローカル言語文字列を記入してもよい。また、ローカル言語文字列が記入されたローカル言語データファイルを、通信経路Nを介さずに画像形成装置10に入力してもよい。または、別の装置や画像形成装置10によってローカル言語データファイルにローカル言語文字列を記入してもよい。また、本実施形態に係る電子機器は、画像形成装置以外の機器であってもよい。