特許第5983054号(P5983054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5983054ハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983054
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20060101AFI20160818BHJP
   B60K 6/28 20071001ALI20160818BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20160818BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B60K1/04 Z
   B60K6/28
   B60K11/06
   B62D25/20 HZHV
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-127245(P2012-127245)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-249039(P2013-249039A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁田脇 邦浩
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 弘二
(72)【発明者】
【氏名】堀内 敦司
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−138753(JP,A)
【文献】 特開平05−201356(JP,A)
【文献】 特開2007−022350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00 − 6/12
B60K 7/00 − 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部のフロアパネルの下方に配置され車両前後方向に長手な左右一対のリヤサイドメンバと、
前記リヤサイドメンバの一方に沿って車両前後方向に長手に配置され車両後方端部が開口する排気管と、
前記排気管と車両幅方向に並ぶように配置され電池類を収納するバッテリパックと、
前記バッテリパック内に外気を導入して内部に収容された前記電池類を冷却する冷却ファンとを備えたハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造において、
前記排気管と車両上下方向に重ならない位置で前記フロアパネルに開口され内部に前記バッテリパックの上部が挿入される開口部と、
前記バッテリパックの上部を覆うように前記フロアパネルに取付けられるカバーパネルと、
前記バッテリパックの上面に配置され前記バッテリパック内へ冷却用の外気を取り入れる為の吸気装置と、
前記吸気装置に形成される冷却用の外気を吸入する吸気口と、
前記バッテリパックに形成され前記バッテリパック内の空気を排気する排気口とを備えたことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造。
【請求項2】
前記バッテリパックが搭載され且つ車両幅方向両側部が夫々前記リヤサイドメンバに連結される枠状のサブフレームを備え、
前記サブフレームは、
前記排気管よりも車両上方側で且つ前記開口部の側縁部と前記排気管との間に配置される車両前後方向に長手な連結フレーム部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造。
【請求項3】
記吸気口を前記バッテリパックの頂面の前縁部と隣接する位置で車両前方に向けて開口することを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造。
【請求項4】
前記吸気装置は、上下方向に分割可能な本体部とカバー部とで構成され、
空気中に含まれる異物を除去するフィルタエレメントを前記本体部とカバー部との間に配置したことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造。
【請求項5】
前記フィルタエレメントのメンテナンス作業を行うためのサービスリッドを前記カバーパネルの天井面に形成したことを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造。
【請求項6】
前記排気口は、前記バッテリパックの車両後方側の壁面よりも車両後方で車両後方向きに開口し、
前記バッテリパック内の空気を排出する空気排出口と前記排気口との間を連絡する排気ダクトを前記バッテリパックの車両後方側の壁面に配置したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に搭載されるバッテリパックの冷却構造に関するものであり、特に外気を導入してバッテリパック内部の電池類を冷却する空冷式のバッテリパック冷却構造に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車では、駆動源であるモータを効率よく駆動させるために電圧を高く設定し、且つモータの駆動時には大きな電流が流れる。そのため、電池類(バッテリモジュールともいう)を収納したバッテリパックの内部温度が上昇する。このようなハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造としては、例えば下記特許文献1に記載されるものがある。このハイブリッド自動車では、乗員が着座するシート下のフロアパネルを立ち上げて段部を設け、このフロアパネルの段部下方にバッテリパックと燃料タンクとを車両幅方向に並べて配置している。また、冷却ファンによりバッテリパック内部を外気で強制冷却するため、吸気口をバッテリパックの車両後方頂面に、排気口をバッテリパックの車両前方頂面に夫々開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−138753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されるバッテリパック冷却構造では、バッテリパックの頂面に外気導入用の吸気口や内部冷却済の排気用の排気口を設けているが、バッテリパック頂面の高さそのものが低く、跳ね上げられた雨水や異物がバッテリパック内に侵入しやすい。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、車室外に配置されるバッテリパックを外気によって冷却する際に、バッテリパック内への雨水や排気ガス等の異物の侵入を防止することが可能なハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、発明の一態様は、車両後部のフロアパネルの下方に配置され車両前後方向に長手な左右一対のリヤサイドメンバと、前記リヤサイドメンバの一方に沿って車両前後方向に長手に配置され車両後方端部が開口する排気管と、前記排気管と車両幅方向に並ぶように配置され電池類を収納するバッテリパックと、前記バッテリパック内に外気を導入して内部に収容された前記電池類を冷却する冷却ファンとを備えたハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造において、前記排気管と車両上下方向に重ならない位置で前記フロアパネルに開口され内側に前記バッテリパックの上部が挿入される開口部と、前記バッテリパックの上部を覆うように前記フロアパネルに取付けられるカバーパネルと、前記バッテリパックの上面に配置され前記バッテリパック内へ冷却用の外気を取り入れる為の吸気装置と、前記吸気装置に形成される冷却用の外気を吸入する吸気口と、前記バッテリパックに形成され前記バッテリパック内の空気を排気する排気口とを備えたことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造である。
【0007】
また、前記バッテリパックが搭載され且つ車両幅方向両側部が夫々前記リヤサイドメンバに連結される枠状のサブフレームを備え、前記サブフレームは、前記排気管よりも車両上方側で且つ前記開口部の側縁部と前記排気管との間に配置される車両前後方向に長手な連結フレーム部を備えたことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造である。
【0008】
また、記吸気口を前記バッテリパックの頂面の前縁部と隣接する位置で車両前方に向けて開口することを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造である。
【0009】
また、前記吸気装置は、上下方向に分割可能な本体部とカバー部とで構成され、空気中に含まれる異物を除去するフィルタエレメントを前記本体部とカバー部との間に配置したことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造である。
【0010】
また、前記フィルタエレメントのメンテナンス作業を行うためのサービスリッドを前記カバーパネルの天井面に形成したことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造である。
【0011】
また、前記排気口は、前記バッテリパックの車両後方側の壁面よりも車両後方で車両後方向きに開口し、前記バッテリパック内の空気を排出する空気排出口と前記排気口との間を連絡する排気ダクトを前記バッテリパックの車両後方側の壁面に配置したことを特徴とするハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造である。
【発明の効果】
【0012】
而して、発明の一態様によれば、車両前後方向に長手な左右一対のリヤサイドメンバが車両後部のフロアパネルの下方に配置され、車両後方端部が開口する排気管がリヤサイドメンバの一方に沿って車両前後方向に長手に配置される。また、電池類を収納するバッテリパックが排気管と車両幅方向に並ぶように配置され、冷却ファンでバッテリパック内に外気を導入して内部に収容された電池類を冷却する。その場合、車両後部のフロアパネルにバッテリパックの上部が挿入される開口部を形成し、バッテリパックの上部を覆うようにカバーパネルをフロアパネルに取付ける。そして、バッテリパック内に冷却用の外気を吸入する吸気口をカバーパネルの天井面とバッテリパックの頂面との間の空間に開口すると共に、バッテリパック内の空気を排気する排気口を設けた。そのため、外気吸入用の吸気口の高さを高くすることができると共に、下方から跳ね上げられる雨水をバッテリパック自体、フロアパネル、カバーパネルで遮断して吸気口からのバッテリパック内への雨水や異物の侵入を防止することができる。また、バッテリパックの上部が挿入される開口部は排気管の上方から車両幅方向にオフセットした(ずれた)位置となる。そのため、カバーパネルの天井面とバッテリパックの頂面との間の空間には排気管からの排気ガスや排気管で加熱された空気が入りにくい。その結果、吸気口から導入される外気は暖められにくく、バッテリパックの冷却性を向上することができる。また、排気管からの排気ガス成分による腐食などを防止して耐久性を向上することができる。
【0013】
また、車両幅方向両側部が夫々リヤサイドメンバに連結される枠状のサブフレームにバッテリパックを搭載し、サブフレームの車両前後方向に長手な連結フレーム部を、排気管よりも車両上方側で且つ開口部の側縁部と排気管との間に配置した。そのため、カバーパネルの天井面とバッテリパックの頂面との間の空間には排気管からの排気ガスや排気管で加熱された空気がより一層入りにくい。その結果、吸気口から導入される外気は暖められにくく、バッテリパックの冷却性をより一層向上することができる。また、排気管からの排気ガス成分による腐食などを防止して耐久性をより一層向上することができる。
【0014】
また、バッテリパック内に外気を取り入れる空気取り入れ口と吸気口との間を連絡する吸気装置をバッテリパックの頂面に配置し、バッテリパックの頂面の前縁部と隣接する位置で車両前方に向けて吸気口を開口する。そのため、吸気口の車両前方でバッテリパックの上方まで跳ね上げられた雨水はバッテリパックの車両前方を落下し、雨水が吸気口内に侵入することを防止することができる。また、吸気口は排気管の車両後端部開口方向と反対方向に開口しており、排気管からの排気ガスが吸気口から導入されるのをより一層防止することができる。
【0015】
また、上下方向に分割可能な本体部とカバー部とで吸気装置を構成し、空気中に含まれる異物を除去するフィルタエレメントを本体部とカバー部との間に配置する。そのため、異物がバッテリパック内に侵入するのを防止することができる。
【0016】
また、フィルタエレメントのメンテナンス作業を行うためのサービスリッドをカバーパネルの天井面に形成する。そのため、フィルタエレメントのメンテナンス作業性が向上する。
【0017】
また、バッテリパックの車両後方側の壁面よりも車両後方で車両後方向きに排気口を開口し、バッテリパック内の空気を排出する空気排出口と排気口とを連絡する排気ダクトをバッテリパックの車両後方側の壁面に配置した。そのため、排気口からの暖かい空気がカバーパネルの天井面とバッテリパックの頂面との間の空間に入りにくい。その結果、吸気口から導入される外気は暖められにくく、バッテリパックの冷却性をより一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造の一実施形態を示すハイブリッド自動車の概略構造の左側縦断面図である。
図2図1のバッテリパック搭載部の詳細図である。
図3】バッテリパックを搭載するサブフレームの斜視図である。
図4】サブフレームをリヤサイドメンバに取付けた状態の右側面図である。
図5】サブフレームをリヤサイドメンバに取付けた状態の底面図である。
図6】サブフレームをリヤサイドメンバに取付けた状態の正面図である。
図7図1の吸気装置及びカバーパネルの斜視図である。
図8図1のバッテリパック冷却構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のバッテリパック冷却構造が適用されたハイブリッド自動車の左側縦断面図であり、図2は、図1のバッテリパック搭載部の詳細図である。本実施形態のハイブリッド自動車はフロントシート1、リヤシート2の2列座席の小型車両である。リヤシート2の後方には、一般にラゲッジルームと呼ばれる荷室3が車室4に連続して設けられている。本実施形態では、この荷室3の下方の車室外にバッテリパック5を搭載する。図2に示すように、バッテリパック5の筐体はアッパケース5aとロアケース5bの組合せでなる。バッテリパック5の内部には電池類(電池と電池以外の電気部品、バッテリモジュール)6が収納されており、それら電池類6の電力で図示しないモータを駆動し、車両の駆動力とする。なお、バッテリパック5内には、外気を導入して電池類6を冷却するための冷却ファン8が設けられている。また、車両には図示しないエンジンも搭載されている。
【0020】
車室4及び荷室3の下方にはフロアパネル7が設けられている。フロアパネル7は、文字通り、車室4及び荷室3の床面を構成するものであり、車室4の前面の所謂ダッシュパネルから荷室3の後端まで一連に設けられている。本実施形態では、リヤシート2の後方、荷室3のフロアパネル7に開口部9を形成し、その開口部9内にバッテリパック5の上部を挿入する。バッテリパック5は、図3に示すサブフレーム21に搭載した状態で車体に取付けられ、結果的にフロアパネル7の開口部9を上下方向に貫通した状態となる。また、フロアパネル7の開口部9より上方へ突出するバッテリパック5の上部はカバーパネル12で覆われ、カバーパネル12の下部はフロアパネル7に取付けられる。
【0021】
バッテリパック5は、図3に示すように、枠状のサブフレーム21に搭載される。このサブフレーム21は、車両の前後方向に並べた車両幅方向に長手な2本のクロスフレーム部24と、車両の幅方向に並べた車両前後方向に長手な2本のサイドフレーム部22を備えて構成される。そして、左右のサイドフレーム部22を後述する左右のリヤサイドメンバに取付けることにより、バッテリパック5が荷室3の下方の車室外に搭載される。なお、車両右方側のサイドフレーム部22の内側には、当該サイドフレーム部22の一部を構成する車両前後方向に長手な連結フレーム部23が設けられている。
【0022】
図4は、サブフレーム21をリヤサイドメンバ25に取付けた状態の右側面図、図5は、サブフレーム21をリヤサイドメンバ25に取付けた状態の底面図、図6は、サブフレーム21をリヤサイドメンバ25に取付けた状態の正面図である。リヤサイドメンバ25は、車両後部のフロアパネル7の下方に左右一対に設けられている。本実施形態では、サブフレーム21の左右のサイドフレーム部22が夫々2箇所ずつ、連結部材26によって左右のリヤサイドメンバ25に連結されている。また、サブフレーム21の車両前方のクロスフレーム部24はフロアパネル7のメンバに連結部材27で連結されている。
【0023】
例えば図6から明らかなように、フロアパネル7に形成された開口部9は排気管28の上方から車両幅方向にずれている(オフセットしている)。排気管28は車両後方端部が開口しており、その開口部から排気する。また、排気管28は車両右方側のリヤサイドメンバ25に沿って配管されている。その結果、バッテリパック5は排気管28と車両幅方向に並ぶように配置される。後述するように、本実施形態のバッテリパック冷却構造では、カバーパネル12の天井面とバッテリパック5の頂面との間の空間からバッテリパック5の内部冷却のための外気を導入する。フロアパネル7の開口部9が排気管28の上方からずれていると、排気管28からの排気や排気管28で加熱された空気がカバーパネル12の天井面とバッテリパック5の頂面との間の空間に入りにくい。そのため、バッテリパック5内に導入される外気が暖まりにくく、バッテリパック5内の冷却性が向上する。また、排気管28からの排気ガス成分による腐食などを防止して耐久性を向上することができる。
【0024】
また、本実施形態では、図6に示すように、サブフレーム21の連結フレーム部23が、排気管28よりも車両上方側で且つ車両幅方向で排気管28側に位置する開口部9の側縁部9aと排気管28との間に配置されている。この連結フレーム部23により、排気管からの排気や排気管で加熱された空気の上昇が阻害され、それらがカバーパネルの天井面とバッテリパックの頂面との間の空間に入りにくくなっている。これによっても、バッテリパック5内に導入される外気は暖められにくく、バッテリパック5内の冷却性をより一層向上することができる。また、排気管28からの排気成分による腐食などを防止して耐久性をより一層向上することができる。
【0025】
また、本実施形態では、図7図8に示すように、バッテリパック5内に外気を導入するための吸気装置10がバッテリパック5の頂面に設けられている。また、バッテリパック5内部の空気を排気するための排気ダクト11はバッテリパック5の車両後方側の壁面に設けられている。図8に示すように、吸気装置10は、バッテリパック5内に外気を取り入れる空気取り入れ口13と吸気装置10の吸気口14との間を連絡するものである。また、排気ダクト11は、バッテリパック5内の空気を排出する空気排出口15と排気ダクト11の排気口16との間を連絡するものである。なお、前述した冷却ファン8は空気排出口15の近くのバッテリパック5内部側に取付けられている。また、バッテリパック5の空気取り入れ口13と電池類6は内部ダクト29によって連結されている。
【0026】
本実施形態では、吸気装置10の吸気口14はバッテリパック5の頂面の前縁部と隣接する位置で車両前方に向けて開口している。また、排気ダクト11の排気口16はバッテリパック5の車両後方側の壁面よりも車両後方で車両後方向きに開口している。つまり、排気口16は吸気口14の開口方向と反対方向に開口しているため、排気口16から排気された暖かい空気が吸気口14から導入されるのを防止することができる。
【0027】
吸気装置10は、上下方向に分割可能なバッテリパック5の頂面側の本体部17とこの上に被せるカバー部18とで構成される。また、本体部17とカバー部18との間には、空気中に含まれる異物を除去するフィルタエレメント19が配置されている。図8に矢印で示すように、吸気口14から吸い込まれた外気は吸気装置10内のフィルタエレメント19を通過して空気取り入れ口13からバッテリパック5の内部に取り入れられる。その際、外気(空気)中に含まれる異物がフィルタエレメント19に捕集される。バッテリパック5の内部に取り入れられた外気は内部ダクト29を通って電池類6に供給され、電池類6を冷却する。電池類6を冷却した空気は、冷却ファン8を経て空気排出口15から排気ダクト11を通り、排気口16に排気される。
【0028】
また、本実施形態では、カバーパネル12の天井板(天井面)は脱着可能となっており、その天井板がサービスリッド20となっている。前述のフィルタエレメント19をメンテナンスする場合には、カバーパネル12のサービスリッド20を開き、吸気装置10のカバー部18を開いて行う。フィルタエレメント19のメンテナンス後は吸気装置10のカバー部18を閉じ、次いでカバーパネル12のサービスリッド20を閉じる。このサービスリッド20によりフィルタエレメント19のメンテナンスが容易になる。
【0029】
このように前記実施形態のハイブリッド自動車のバッテリパック冷却構造では、車両前後方向に長手な左右一対のリヤサイドメンバ25が車両後部のフロアパネル7の下方に配置され、車両後方端部が開口する排気管28がリヤサイドメンバ25の一方に沿って車両前後方向に長手に配置される。また、電池類6を収納するバッテリパック5が排気管28と車両幅方向に並ぶように配置され、冷却ファン8でバッテリパック5内に外気を導入して内部に収容された電池類6を冷却する。その場合、車両後部のフロアパネル7にバッテリパック5の上部が挿入される開口部9を形成し、開口部9より上方に突出するバッテリパック5の上部を覆うようにカバーパネル12をフロアパネル7に取付ける。そして、バッテリパック5内に冷却用の外気を吸入する吸気口14をカバーパネル12の天井面とバッテリパック5の頂面との間の空間に開口すると共に、バッテリパック5内の空気を排気する排気口16を設ける。そのため、外気吸入用の吸気口14の高さを高くすることができると共に、下方から跳ね上げられる雨水をバッテリパック5自体、フロアパネル7、カバーパネル12で遮断して吸気口14からバッテリパック5内への雨水や異物の侵入を防止することができる。
【0030】
また、バッテリパック5の上部が挿入される開口部9は排気管28の上方から車両幅方向にオフセットした(ずれた)位置となる。そのため、カバーパネル12の天井面とバッテリパック5の頂面との間の空間には排気管28からの排気ガスや排気管28で加熱された空気が入りにくい。その結果、吸気口14から導入される外気は暖められにくく、バッテリパック5の冷却性を向上することができる。また、排気管28からの排気ガス成分による腐食などを防止して耐久性を向上することができる。
【0031】
また、車両幅方向両側部のサイドフレーム部22が夫々リヤサイドメンバ25に連結される枠状のサブフレーム21にバッテリパック5を搭載し、サブフレーム21の車両前後方向に長手な連結フレーム部23を、排気管28よりも車両上方側で且つ排気管28側に位置する開口部9の側縁部と排気管28との間に配置した。そのため、カバーパネル12の天井面とバッテリパック5の頂面との間の空間には排気管28からの排気ガスや排気管28で加熱された空気がより一層入りにくい。その結果、吸気口14から導入される外気は暖められにくく、バッテリパック5の冷却性をより一層向上することができる。また、排気管28からの排気ガス成分による腐食などを防止して耐久性をより一層向上することができる。
【0032】
また、バッテリパック5内に外気を取り入れる空気取り入れ口13と吸気口14とを連絡する吸気装置10をバッテリパック5の頂面に配置し、バッテリパック5の頂面の前縁部と隣接する位置で車両前方に向けて吸気口14を開口する。そのため、吸気口14の車両前方でバッテリパック5の上方まで跳ね上げられた雨水はバッテリパック5の車両前方で落下し、雨水が吸気口14内に侵入することを防止することができる。また、吸気口14は排気管28の車両後端部開口方向と反対方向に開口しており、排気管28からの排気ガスが吸気口14から導入されるのをより一層防止することができる。
【0033】
また、上下方向に分割可能な本体部17とカバー部18とで吸気装置10を構成し、空気中に含まれる異物を除去するフィルタエレメント19を本体部17とカバー部18との間に配置する。そのため、異物がバッテリパック5内に侵入するのを防止することができる。
【0034】
また、フィルタエレメント19のメンテナンス作業を行うためのサービスリッド20をカバーパネル12の天井面に形成する。そのため、フィルタエレメント19のメンテナンス作業性が向上する。
【0035】
また、バッテリパック5の車両後方側の壁面よりも車両後方で車両後方向きに排気口16を開口し、バッテリパック5内の空気を排出する空気排出口15と排気口16とを連絡する排気ダクト11をバッテリパック5の車両後方側の壁面に配置した。そのため、排気口16からの暖かい空気がカバーパネル12の天井面とバッテリパック5の頂面との間の空間に入りにくい。その結果、吸気口14から導入される外気は暖められにくく、バッテリパック5の冷却性をより一層向上することができる。
【符号の説明】
【0036】
1はフロントシート
2はリヤシート
3は荷室
4は車室
5はバッテリパック
6は電池類
7はフロアパネル
8は冷却ファン
9は開口部
10は吸気装置
11は排気ダクト
12はカバーパネル
13は空気取り入れ口
14は吸気口
15は空気排出口
16は排気口
17は本体部
18はカバー部
19はフィルタエレメント
20はサービスリッド
21はサブフレーム
22はサイドフレーム部
23は連結フレーム部
24はクロスフレーム部
25はリヤサイドメンバ
26は連結部材
27は連結部材
28は排気管
29は内部ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8