(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体原料を吐出する液体原料ノズルと、該液体原料ノズルから吐出した液体原料を希釈する希釈液となる飲用水または炭酸水を吐出する希釈液ノズルと、前記液体原料ノズルと前記希釈液ノズルとを覆い、前記希釈液ノズルから吐出した前記希釈液を前記液体原料ノズルに誘導する洗浄カバーと、前記液体原料ノズルの洗浄開始を命令する洗浄開始ボタンと、前記洗浄開始ボタンが操作されると前記希釈液ノズルからの前記希釈液の吐出を制御する制御手段とを備えた飲料供給装置において、
前記洗浄カバーは飲料注出位置と洗浄位置とを移動でき、その底壁部には湯排出孔が設けられるとともに、
前記希釈液ノズルから吐出する前記希釈液を加熱して湯を生成する希釈液加熱手段を設け、
前記制御手段は、前記洗浄カバーで前記液体原料ノズルと前記希釈液ノズルとが覆われ、前記洗浄開始ボタンが操作されると、前記希釈液加熱手段で前記希釈液を加熱して湯を生成し、該湯を前記希釈液ノズルから吐出させて前記液体原料ノズルを洗浄することを特徴とする飲料供給装置。
前記希釈液加熱手段で前記希釈液を加熱して生成した湯と前記液体原料とを混合させてホット飲料を調製することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲料供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような炭酸水や飲用水を用いて飲料ノズルを洗浄した場合、炭酸水や飲用水は温度が低いため、液体原料ノズルに付着している液体原料を完全に溶解させて洗い流すためにはある程度の時間(例えば、30秒)を必要としていた。また、洗浄後の飲料ノズルは水に濡れており、そのまま水が付着した状態で長時間放置された場合、液体原料ノズル内の先端吐出口付近に残る液体原料が液体原料ノズルに付着している水に流れ出して希釈され、この希釈された液体原料に新たに空中浮遊菌が付着して細菌が増殖するという不都合が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、飲料ノズル洗浄を短時間で可能にするとともに、飲料ノズル洗浄後、速やかに飲料ノズル表面を乾燥させ、飲料ノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る飲料供給装置は、液体原料を吐出する液体原料ノズルと、該液体原料ノズルから吐出した液体原料を希釈する希釈液となる飲用水または炭酸水を吐出する希釈液ノズルと、前記液体原料ノズルと前記希釈液ノズルとを覆い、前記希釈液ノズルから吐出した前記希釈液を前記液体原料ノズルに誘導する洗浄カバーと、前記液体原料ノズルの洗浄開始を命令する洗浄開始ボタンと、前記洗浄開始ボタンが操作されると前記希釈液ノズルからの前記希釈液の吐出を制御する制御手段とを備えた飲料供給装置において、
前記洗浄カバーは飲料注出位置と洗浄位置とを移動でき、その底壁部には湯排出孔(排水孔)が設けられるとともに、
前記希釈液ノズルから吐出する前記希釈液を加熱して湯を生成する希釈液加熱手段を設け、
前記制御手段は、前記洗浄カバーで前記液体原料ノズルと前記希釈液ノズルとが覆われ、前記洗浄開始ボタンが操作されると、前記希釈液加熱手段で前記希釈液を加熱して湯を生成し、該湯を前記希釈液ノズルから吐出させて前記液体原料ノズルを洗浄することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る飲料供給装置は、上述した請求項1において、前記希釈液加熱手段は、サーモブロックであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る飲料供給装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記希釈液加熱手段で前記希釈液を加熱して生成した湯と前記液体原料とを混合させてホット飲料を調製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、液体原料を吐出する液体原料ノズルと、該液体原料ノズルから吐出した液体原料を希釈する希釈液となる飲用水または炭酸水を吐出する希釈液ノズルと、前記液体原料ノズルと前記希釈液ノズルとを覆い、前記希釈液ノズルから吐出した前記希釈液を前記液体原料ノズルに誘導する洗浄カバーと、前記液体原料ノズルの洗浄開始を命令する洗浄開始ボタンと、前記洗浄開始ボタンが操作されると前記希釈液ノズルからの前記希釈液の吐出を制御する制御手段とを備えた飲料供給装置において、
前記洗浄カバーは飲料注出位置と洗浄位置とを移動でき、その底壁部には湯排出孔(排水孔)が設けられるとともに、前記希釈液ノズルから吐出する前記希釈液を加熱して湯を生成する希釈液加熱手段を設け、前記制御手段は、前記洗浄カバーで前記液体原料ノズルと前記希釈液ノズルとが覆われ、前記洗浄開始ボタンが操作されると、前記希釈液加熱手段で前記希釈液を加熱して湯を生成し、該湯を前記希釈液ノズルから吐出させて前記液体原料ノズルを洗浄することにより、液体原料ノズルに付着している液体原料は湯を用いた洗浄により短時間で湯に溶け出すため、液体原料ノズルに付着した液体原料は短時間に湯で洗い流され、液体原料ノズルの洗浄時間が短くなり、洗浄に用いる洗浄水の節約になる。また、洗浄後の液体原料ノズルは温度が高くなっているため、液体原料ノズルに付着している水分の乾燥が速められ、液体原料ノズルに空中浮遊菌が付着しにくくなり、清潔な状態に保つことができる。このように、飲料ノズルの洗浄液として湯を用いることで、飲料ノズルの洗浄、殺菌効果を高めるとともに、飲料ノズル洗浄後の乾燥を速めることで空中浮遊菌の付着を防ぎ、飲料ノズル洗浄を短時間で可能にするとともに、飲料ノズル洗浄後、速やかに飲料ノズル表面を乾燥させ、飲料ノズルを衛生的に管理することが可能な飲料供給装置を提供することが可能となる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、前記希釈液加熱手段は、サーモブロックであることにより、必要なときに瞬間的に湯を生成することができることから、エネルギーロスが少なく、また、小型であることから飲料供給装置の筐体内部への配置も比較的容易となる。
【0013】
また、請求項3の発明によれば、前記希釈液加熱手段で前記希釈液を加熱して生成した湯と前記液体原料とを混合させてホット飲料を調製することにより、アイス飲料とホット飲料を調製可能な飲料供給装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る飲料供給装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
この実施の形態の飲料ディスペンサ(飲料供給装置)は、シロップなどの液体原料と、飲用水(冷水)、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄機能を備えたものである。ここでは、飲料ディスペンサに搭載された飲料ノズルの洗浄機能を例に説明するが、飲料ディスペンサの飲料ノズルの洗浄に限られるものではなく、カップ式自動販売機の飲料ノズルの洗浄に用いることも可能である。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態である飲料ディスペンサを示す外観斜視図であり、
図2は、
図1に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【0018】
図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、ディスペンサ本体2と操作パネル3とを備えている。
図2に示すように、ディスペンサ本体2は、前面が開口した箱体であり、その底部には、高さ調整をするための調整脚21が設けてある。また、ディスペンサ本体2の内部にはバッグインボックス(液体容器)B(以下「BIB」という)を収容する収容庫22が設けてある。BIBは、濃縮飲料を封入した袋状の容器をさらに箱状の容器に収容したもので、例えば、濃縮飲料を封入したプラスチック製の袋容器をさらに段ボール製の箱容器に収容することにより構成してある。そして、BIBに封入された濃縮飲料を注出した場合に、箱容器の内部で袋容器が収縮することにより、袋容器の内部に空気が入る事態を回避し、濃縮飲料の酸化を防止している。
【0019】
ディスペンサ本体2の内部で収容庫22の下方域となる部位には、チューブポンプ4が設けてある。チューブポンプ4は、BIBに封入された濃縮飲料を汲み出すためのもので、BIBごとに設けてある。たとえば、
図2に示すように、収容庫22には、二つのBIBが収容可能であり、収容庫22の下方域となる部位には、二つのチューブポンプ4が設けてある。
【0020】
チューブポンプ4は、BIBに設けられたチューブ41の一点を押し潰したローラを移動させることにより、チューブ41の内部の濃縮飲料を押し出すもので、チューブ41の開放端41aは保持されて、濃縮飲料の吐出口を構成する。そして、ローラが移動すると、ローラによって押し潰されたチューブ41は、その復元力により元の形状に戻り、その際にチューブ41の内部が真空となり、チューブ41の内部に濃縮飲料を吸引する。
【0021】
また、チューブ41の開放端41aの左側方域には、希釈液である飲用水の吐出口42が設けてある。吐出口42は、濃縮飲料を希釈する希釈液を吐出するための吐出口であり、希釈液の吐出口42から吐出された希釈液は濃縮飲料と混合され、濃縮飲料を希釈した飲料となる。
【0022】
また、チューブポンプ4の右側方域には、飲料ノズル5が設けてある。飲料ノズル5は、後述するように、シロップなどの液体原料を吐出する液体原料ノズル51と、飲用水(冷水)、炭酸水などの希釈液を吐出する希釈液ノズル52とを別々に有しており、液体原料ノズル51から吐出した液体原料と希釈液ノズル52から吐出した希釈液とを混合することにより、液体原料を希釈して飲料を調製する。
【0023】
図1に示すように、チューブポンプ4および飲料ノズル5の下方域となるディスペンサ本体2の下端部には、ドリップトレイ23を備えている。ドリップトレイ23は、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料を受け止めるためのもので、その上には、飲料カップを置くためのカップレスト24が載置してある。カップレスト24は、鋼線などの線材を桟状に構成したもので、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料はカップレスト24を通り、ドリップトレイ23に受け止められる。
【0024】
操作パネル3は、ディスペンサ本体2の前面開口を覆うためのもので、ディスペンサ本体2の一側縁部(
図1に示す飲料ディスペンサ1は左側縁部)に開閉可能に支承されている。操作パネル3の前面には、飲料選択ボタン31を備えている。
【0025】
飲料選択ボタン31は、チューブポンプ4および飲料ノズル5に対応して配置されている。具体的には、飲料選択ボタン31の配置位置とチューブポンプ4および飲料ノズル5の配置位置とが対応するように配置され、飲料選択ボタン31で選択された飲料を当該飲料選択ボタン31の下方域に置かれた飲料カップに注出する。
【0026】
たとえば、チューブポンプ4から吐出する濃縮飲料を原料とする飲料は通常一種類に限られるので、
図1に示すように、一つのチューブポンプ4に対して一つの飲料選択ボタン31が配置されている。一方、飲料ノズル5からは通常複数種類の飲料が注出されるので、
図1に示すように、一つの飲料ノズル5に対して複数の飲料選択ボタン31が配置されている。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態である飲料ディスペンサ(飲料供給装置)の飲料ノズルを示す外観図であって、洗浄カバーが飲料注出位置に移動した状態を示す図である。
図4は、
図3に示した飲料ノズルを示す側断面図であって、洗浄カバーが飲料注出位置に移動した状態を示す図である。
【0028】
図3および
図4に示すように、飲料ノズル5は、ノズル本体50を備えている。ノズル本体50は、ディスペンサ本体2に着脱可能に取り付けられ、洗浄、交換など必要な場合に着脱される。ノズル本体50は、取付基部50aから開放端部50bに向けて斜め下方に延在しており、取付基部50a側には、飲用水、炭酸水などの希釈液を希釈液ノズル52に供給するパイプ53が着脱可能に取り付けてあり、パイプ53よりも開放端部50b側には、シロップなどの液体原料を吐出する液体原料ノズル51が一体に設けてある。
【0029】
パイプ53の基部側となる一端には、希釈液接続管54が接続してあり、希釈液ノズル52から希釈液を吐出する場合に希釈液接続管54からパイプ53に希釈液が供給される。また、パイプ53の開放端部側となる他端には、希釈液ノズル52が着脱可能に取り付けてあり、希釈液接続管54からパイプ53に供給された希釈液は、希釈液ノズル52から吐出する。そして、液体原料ノズル51から吐出した液体原料を希釈液ノズル52から吐出した希釈液が希釈することにより、液体原料と希釈液とが混合して調製された飲料が飲料カップに注出される。
【0030】
そして、
図3および
図4に示すように、液体原料ノズル51は、ノズル本体50の取付基部50aから開放端部50bに向けて二列かつ互い違いに、その傾斜が取付基部50aから開放端部50bに向けて緩くなるように配置してある。そして、すべての液体原料ノズル51から吐出した液体原料は、カップレスト24(
図1参照)に置かれた飲料カップに注がれる。
【0031】
また、液体原料ノズル51は、基部51a側が円筒形に形成してあり、液体原料ノズル51に液体原料を供給する液体原料管路(シロップ管路)55が接続してある(
図7参照)。一方、液体原料ノズル51の開放部51b側は、円筒を偏平に押しつぶした形をしており、その先端は、吐出した液体原料が螺旋を描くように形成してある。
【0032】
図4に示すように、希釈液ノズル52の先端部52aは、液体原料ノズル51に向けて傾いており、液体原料ノズル51に対向する側面に吐出口52bが開口している。これにより、液体原料ノズル51から吐出した液体原料と希釈液ノズル52から吐出した希釈液とは空中において衝突し、混合および希釈されて飲料が調製される。
【0033】
また、希釈液ノズル52の先端には、一対の側壁部52cが設けてある。側壁部52cは、液体原料ノズル51の側方域を遮蔽し、液体原料の飛散を防止する。なお、対となる側壁部52cの間は、開放しており、液体原料ノズル51から吐出した液体原料の障害となることはない。
【0034】
そして、
図3および
図4に示す飲料ノズル5は、ノズル本体50に六つの液体原料ノズル51が設けてあり、最大六種類の液体原料を原料とする飲料を提供できる。また、ノズル本体50に取り付けたパイプ53には、飲用水、炭酸水の二種類の希釈液が供給され、液体原料を飲用水で希釈した無炭酸飲料、液体原料を炭酸水で希釈した炭酸飲料、液体原料を飲用水と炭酸水とで希釈した微炭酸飲料を提供できる。
【0035】
図5は、
図3に示した飲料ノズルを示す外観図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
図6は、
図3に示した飲料ノズルを示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【0036】
図3および
図5に示すように、ノズル本体50には、洗浄カバー8が取り付けてある。
図6に示すように、洗浄カバー8は、液体原料ノズル51と希釈液ノズル52とを同時に覆い、希釈液ノズル52から吐出した希釈液を液体原料ノズル51に誘導するためのものである。
【0037】
そして、
図3および
図5に示すように、洗浄カバー8は、ノズル本体50の側面に設けた円柱状の突起50cに回動可能に支承され、液体原料ノズル51と希釈液ノズル52とが同時に露出する飲料注出位置(
図3および
図4参照)と、液体原料ノズル51と希釈液ノズル52とが同時に覆われる洗浄位置(
図5および
図6参照)との間を移動可能にする。
【0038】
また、洗浄カバー8は、左右一対を成す側壁部81と、一対の側壁部81を相互に接続する底壁部82とを有している。側壁部81は、ノズル本体50に設けた円柱状の突起50cに支承される穴81aを中心とした扇形をしており、底壁部82の内壁面は、穴81aの中心を通る軸線を中心とする円弧が集合した円弧面を構成する。これにより、洗浄カバー8を飲料注出位置と洗浄位置との間で移動させても、
図4および
図6に示すように、底壁部内壁面82aが液体原料ノズル51の先端や希釈液ノズル52の先端に当たることがない。また、
図4に示すように、洗浄カバー8の底壁部内壁面82aに摺接する突出部50b1をノズル本体50の開放端部50bに設け、洗浄カバー8が飲料注出位置と洗浄位置との間で移動できる。
【0039】
また、
図3および
図4並びに
図6に示すように、洗浄カバー8の底壁部82には、排水孔82bが設けてある。排水孔82bは、飲料ノズル5の洗浄に用いた希釈液(湯)を排出させるための孔であり、洗浄カバー8の底壁部82を貫通している。
【0040】
また、排水孔82bを設けることにより、舌片状に形成された可撓片82cの端部内壁には、突起82c1が設けてある。この突起82c1は、洗浄カバー8が飲料注出位置にあるときに、上述した突出部50b1と係合することにより、洗浄カバー8が自重や振動により洗浄位置に移動する事態を防止する。そして、洗浄カバー8が飲料注出位置から洗浄位置に移動する際には、可撓片82cが撓むことにより、突出部50b1が突起82c1を乗り越える。同様に、洗浄カバー8が洗浄位置から飲料注出位置に移動する際には、可撓片82cが撓むことにより、突出部50b1が突起82c1を乗り越える。
【0041】
また、洗浄カバー8の端部内壁には、突起82dが設けてある。この突起82dは、ノズル本体50と洗浄カバー8との間にできた空間を閉鎖し、効率的に液体原料ノズル51を洗い流すためのもので、
図6に示すように、洗浄カバー8が洗浄位置にあるときに上述した突出部50b1と係合する。そして、洗浄カバー8が洗浄位置から飲料注出位置に移動する際には、洗浄カバー8が撓むことにより、突出部50b1が突起82dを乗り越える。同様に、洗浄カバー8が飲料注出位置から洗浄位置に移動する際には、洗浄カバー8が撓むことにより、突出部50b1が突起82dを乗り越える。
【0042】
図7は、液体原料と希釈液とを飲料ノズルに供給する飲料回路を示す概念図である。
図7に示すように、上述した希釈液ノズル52にはパイプ53、希釈液接続管54を介して、飲用水(希釈液)を供給する飲用水管路56が接続してある。飲用水管路56の途中には、サーモブロック(希釈液加熱手段)60が接続してあり、サーモブロック60の下流側には、電磁開閉弁72および電磁開閉弁43が接続してある。そして、電磁開閉弁72が開放されると、水道から圧送される飲用水が希釈液接続管54に供給され、パイプ53を経由して希釈液ノズル52から吐出される。また、電磁開閉弁43が開放されると、水道から圧送される飲用水が、チューブポンプ4に設けられた吐出口42から吐出される。
【0043】
また、液体原料管路55の途中には、電磁開閉弁71が接続され、電磁開閉弁71が開放されると、液体原料タンク(図示せず)から圧送される液体原料(シロップ)が液体原料ノズル51から吐出される。
【0044】
図8は、飲料ディスペンサ1のサーモブロック(希釈液加熱手段)60を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。サーモブロック60は、アルミブロック61の中に発熱用のヒータ(例えば、シーズヒータ)62と、コイル状の希釈液管路(例えば、ステンレス管路)63とが鋳込まれたものである。そして、通電部95からヒータ62に通電されると、ヒータ62の発熱によりアルミブロック61が加熱され、この加熱されたアルミブロック61の熱を利用して希釈液管路63内を通流する希釈液を加熱して湯を生成するものである。このように構成されたサーモブロック60は、必要なときに瞬間的に湯を生成することができることから、エネルギーロスが少なく、また、小型であることから、飲料ディスペンサ1のディスペンサ本体(筐体)2内部への配置も比較的容易となる。
【0045】
図9は、飲料ディスペンサ1の制御構成を示す制御ブロック図である。
図9に示すように、上述した飲料選択ボタン31、チューブポンプ4、電磁開閉弁43、71、72、サーモブロック60(ヒータ62)は、制御部(制御手段)90に接続してあり、これらは統括的に制御される。
【0046】
そして、上述した飲料ノズル5、洗浄カバー8、電磁開閉弁71、72、サーモブロック60(ヒータ62)は、本発明の実施の形態である飲料ディスペンサ(飲料供給装置)1の飲料ノズル5を洗浄する装置を構成し、上述した制御部90は、飲料ノズル5を洗浄する制御手段を構成する。
【0047】
さらに、制御部90は、中央処理装置としてのCPU91、CPU91の制御プログラムを格納するROM(リード・オンリー・メモリ)92、CPU91の制御に必要な各種のプログラムやデータを随時記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)93、基準クロック発生部(図示せず)で発生するクロックをカウントして各種時刻(例えば、ヒータ62への通電時間や電磁開閉弁72の開放時間)を計時するタイマー94、飲料ディスペンサ1に備えられている各機器に通電する電力回路を有する通電部95、飲料ディスペンサ1の各種設定データを入力するキーボード96などから構成されている。
【0048】
また、
図2に示すように、飲料ノズル5の側方域となるディスペンサ本体2の前面には、洗浄開始ボタン26が設けてある。洗浄開始ボタン26は、洗浄開始命令を制御部90に入力するための洗浄開始命令入力手段であり、
図9に示すように、制御部90に接続してある。そして、洗浄開始ボタン26を操作すると、制御部90に洗浄開始命令が入力される。
【0049】
また、
図3および
図5に示すように、飲料ノズル5の近傍域には、センサ27が設けてある。センサ27は、洗浄位置に移動した洗浄カバー8を検出するためのもので、
図9に示すように、制御部90に接続してある。そして、洗浄カバー8が洗浄位置にある場合に検出信号を出力し、制御部90に検出信号が入力される。
【0050】
上述した飲料ディスペンサ1で飲料ノズル5を洗浄させる場合には、洗浄カバー8を飲料注出位置(
図3および
図4参照)から洗浄位置(
図5および
図6参照)に移動させ、洗浄開始ボタン26を操作する。すると、制御部90には、センサ27から検出信号が入力され、洗浄開始ボタン26から洗浄開始命令が入力される。
【0051】
検出信号と洗浄開始命令が入力されると、制御部90はノズル洗浄を開始する。具体的には、
図10の飲料ディスペンサ1の制御構成を示すタイミングチャート図に示しているように、飲用水管路56の途中に接続してあるサーモブロック60のヒータ62に通電してアルミブロック61を加熱し、電磁開閉弁72を開放する。ヒータ62の発熱により加熱されたアルミブロック61の熱で希釈液管路63内を通流する希釈液が加熱されて生成された湯は、希釈液接続管54、パイプ53を経由して希釈液ノズル52から吐出する。
【0052】
希釈液ノズル52から吐出した湯は、洗浄カバー8により、液体原料ノズル51に誘導され、その後、排水孔82bから排出される。そして、所定時間が経過すると、制御部90は、ヒータ62に対する通電を停止し、電磁開閉弁72を閉塞する。これにより、液体原料ノズル51に付着した液体原料は湯で洗い流される。尚、ヒータ62に通電するとともに電磁開閉弁72を開放し、ヒータ62に対する通電を停止するとともに電磁開閉弁72を閉塞する実施例を用いて説明しているが、このヒータ62に対する通電および通電の停止と、電磁開閉弁72の開放および閉塞のタイミングでこの発明が限定されるものではなく、適宜、最良のタイミングでヒータ62に対する通電および通電の停止と、電磁開閉弁72の開放および閉塞は実施されるものである。
【0053】
このようにして、飲料ノズル5の洗浄を短時間で可能にするとともに、飲料ノズル5の洗浄後、速やかに飲料ノズル5の表面を乾燥させ、飲料ノズル5を衛生的に管理することが可能な飲料ディスペンサ(飲料供給装置)1を提供することができる。
【0054】
また、サーモブロック60で加熱して生成した湯を希釈液ノズル52から吐出し、液体原料ノズル51から吐出した液体原料と混合させてホット飲料を調製することができる。例えば、夏季はアイス飲料を調製して販売し、冬季はサーモブロック60で飲用水を加熱することで湯を生成してホット飲料を調製して販売することができるので、アイス飲料とホット飲料を調製可能な飲料ディスペンサ(飲料供給装置)1を提供することが可能となる。
【0055】
以上説明したように本発明によれば、液体原料を吐出する液体原料ノズル51と、液体原料ノズル51から吐出した液体原料を希釈する希釈液となる飲用水または炭酸水を吐出する希釈液ノズル52と、液体原料ノズル51と希釈液ノズル52とを覆い、希釈液ノズル52から吐出した希釈液を液体原料ノズル51に誘導する洗浄カバー8と、液体原料ノズル51の洗浄開始を命令する洗浄開始ボタン26と、洗浄開始ボタン26が操作されると希釈液ノズル52からの希釈液の吐出を制御する制御部90とを備えた飲料ディスペンサ1において、希釈液ノズル52から吐出する希釈液を加熱して湯を生成するサーモブロック60を設け、制御部90は、洗浄カバー8で液体原料ノズル51と希釈液ノズル52とが覆われ、洗浄開始ボタン26が操作されると、サーモブロック60で希釈液を加熱して湯を生成し、該湯を希釈液ノズル52から吐出させて液体原料ノズル51を洗浄することにより、液体原料ノズル51に付着している液体原料は湯を用いた洗浄により短時間で湯に溶け出すため、液体原料ノズル51に付着した液体原料は短時間に湯で洗い流され、液体原料ノズル51の洗浄時間が短くなり、洗浄に用いる洗浄水の節約になる。また、洗浄後の液体原料ノズル51は温度が高くなっているため、液体原料ノズル51に付着している水分の乾燥が速められ、液体原料ノズル51に空中浮遊菌が付着しにくくなり、清潔な状態に保つことができる。このように、飲料ノズル5の洗浄液として湯を用いることで、飲料ノズル5の洗浄、殺菌効果を高めるとともに、飲料ノズル5洗浄後の乾燥を速めることで空中浮遊菌の付着を防ぎ、飲料ノズル5の洗浄を短時間で可能にするとともに、飲料ノズル5の洗浄後、速やかに飲料ノズル5の表面を乾燥させ、飲料ノズル5を衛生的に管理することが可能な飲料ディスペンサ1を提供することが可能となる。
【0056】
また、希釈液加熱手段は、サーモブロック60であることにより、必要なときに瞬間的に湯を生成することができることから、エネルギーロスが少なく、また、小型であることから飲料ディスペンサ1のディスペンサ本体(筐体)2内部への配置も比較的容易となる。
【0057】
また、サーモブロック60で希釈液を加熱して生成した湯と液体原料とを混合させてホット飲料を調製することにより、アイス飲料とホット飲料を調製可能な飲料ディスペンサ1を提供することが可能となる。