(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料は、(Ca
XM
1−X)Al
12O
19(Mは金属元素、0.5≦X<1)で表わされる化合物(以下、「金属ドープカルシウムアルミネート」と記す)を含有するものである。金属ドープカルシウムアルミネートは、蛍光体材料等として公知の化合物である。しかしながら、本発明の化合物を化粧品用素材として使用することに関しては検討されておらず、化粧品素材としては新規の素材である。
【0015】
上記金属ドープカルシウムアルミネートの組成においては、0.5≦X<1の範囲である。より好ましくは、0.7≦X<1であり、最も好ましくは0.8≦X≦0.95である。0.5≦Xとすることで、母体粒子の物理的な性状を損なうことなく金属Mが固溶することができ、X<1とすることで、紫外線吸収性能や屈折率、着色性を発現することができる。
【0016】
上記金属ドープカルシウムアルミネートの組成におけるMは、金属元素をあらわすものである。このような金属元素は分子構造中に固溶したものである。このため、Mを有さないカルシウムアルミネートに比べて、紫外線〜可視光領域における吸収能が変化し、特に紫外線領域において高い吸収能を有する粒子となる。また、これら元素をドープすることにより、粒子本来の屈折率が変化し、ソフトフォーカス性を調整することができるようになる。
【0017】
Mとしては、具体的には例えば、La、Ce、Pr、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、FeおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。なかでも、高い紫外線吸収能を付与するためには、Ce、Eu、YbおよびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが特に好ましく、屈折率を変化させ、ソフトフォーカス性を調整する機能を付与するためには、Znを使用することが特に好ましい。
【0018】
本発明において使用する金属ドープカルシウムアルミネートは、板状の形状とすることが特に好ましい。板状形状である本発明の化合物は、滑り性、付着性、ソフトフォーカス性等において優れた性能を有するものであるから、化粧品用原料として特に好適に使用することができる。
【0019】
本発明において使用する金属ドープカルシウムアルミネートは、長径Lが6μm〜30μmの範囲であり、尚且つ、短径Sが0.1μm〜5μmの範囲の板状粒子が90%以上含まれることが好ましい。
長径Lを6μm以上にすることで、滑りの良い粒子とすることができ、30μm以下とすることで、加工時も十分な機械強度を持つことができる。
また、短径Sを0.1μm以上とすることで、加工時も十分な機械強度を持つことができ、5μm以下とすることで滑りの良い粒子とすることができる。
なお、本発明においては、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍に拡大した写真中に含まれる粒子を任意に100個選んで、それらの長径及び短径を測定し、粒子径が上述した範囲内の板状粒子が90%以上であることが好ましい。上記範囲内の板状粒子は、95%以上であることがより好ましい。
また、上述した方法によって測定されたL,Sの平均値がそれぞれ、上述した数値範囲内に含まれるものであることが好ましい。
【0020】
このような粒子サイズの板状粒子の、長径Lと短径Sとの比のL/Sは、1.2≦L/S≦300の範囲であることが好ましい。
L/Sを1.2以上とすることで、滑りの良い板状粒子が得られ、L/Sを300以下とすることで、加工時も十分な機械強度を持つことができる。
なお、本明細書においては、上述した方法で測定した長径及び短径を測定した場合のL/Sが上記範囲内に含まれる粒子が90%以上であることが好ましい。
また、上述した方法によって測定されたL,Sの平均値から測定されたL/Sも上述した数値範囲内のものであることが好ましい。
【0021】
本発明に使用する金属ドープカルシウムアルミネートを得る方法は、特に限定されるものではないが、例えば、カルシウムの前駆体化合物、マグネシウムの前駆体化合物,アルミニウムの前駆体化合物及び金属Mの前駆体化合物を混合し、800℃〜2000℃で焼成する方法が挙げられる。
カルシウムの前駆体としては、炭酸カルシウムや水酸化カルシウムが例示できる。
アルミニウムの前駆体化合物としては、酸化アルミニウムや水酸化アルミニウムが例示できる。
金属Mが含まれる前駆体化合物としては、それぞれの元素の炭酸塩、水酸化物、酸化物、酢酸塩を挙げることができる。
上述したこれらの前駆体化合物を、精密天秤を用いて目的の組成比になるように測り採り、良く混合した後に焼成する。
【0022】
焼成に際しては、フッ化カルシウムやフッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の1又は2以上の化合物をフラックスとして使用してもよい。このような化合物を使用することで、結晶性の良い粒子が合成できるという点で好ましい。
このようなフラックスを使用する場合は、得られるカルシウムアルミネートの重量に対して0.01〜10重量%の割合で使用することが好ましい。
フラックス量を0.01重量%以上とすることで、結晶性の高い粒子が得られる点で好ましく、10重量%以下とすることで、異常に結着することなく、独立性の高い粒子が得られる点で好ましい。
【0023】
これらの前駆体化合物の混合方法は、従来から知られる、いかなる方法でも良い。例えば、前駆体化合物を水性ディスパージョンとし、攪拌もしくは湿式メディアミルを用いて粉砕しながら混合した後に全量を蒸発乾燥する方法や、ハンマーミルや高圧エアージェットミルを用いて乾式で混合する方法が挙げられる。
焼成する方法は、従来から知られる、いかなる方法でも良い。例えばセラミックス製ルツボを用いて焼成する方法でもよく、ロータリーキルンを用いて回転させながら焼成する方法でも良い。
焼成温度の範囲は、800℃〜2000℃が好ましい。より好ましくは1000℃〜1600℃である。
焼成温度を800℃以上とすることで、前駆体同士の反応が進み、単一の結晶を得ることができ、2000℃以下とすることで、異常な粒子成長をすることなく、また経済的にも有利である。
【0024】
本発明の金属ドープカルシウムアルミネートは、そのまま化粧料へ配合することもできるが、必要に応じて、従来知られている様々な表面処理を施して配合しても良い。
【0025】
表面処理の種類については、化粧料に使用できる物質であれば、いかなる物質で処理しても良く、特に制限されないが、例えば、ケイ素、亜鉛、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の酸化物あるいは水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等の無機化合物の被覆層を設けることもできる。また、撥水性を付与する目的で、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン等又はそれらの共重合体、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸およびそれらの金属塩(アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、クロロアルキルシラン、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらの有機化合物は1種を用いても、2種以上を積層又は混合して用いても良い。
【0026】
また、これらの表面処理は、1種でもよく、数種類を組み合わせて処理しても良い。更に、無機化合物で処理した後に有機化合物の被覆層を設けても良いが、本来もつ滑沢性を損なわないことが重要である。
【0027】
無機化合物、有機化合物の被覆量は、金属ドープカルシウムアルミネートに対し、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、0.1〜20重量%の範囲が更に好ましい。0.1重量%以上とすることで、表面処理による機能性向上効果を発現することができ、30重量%以下とすることで、本来の滑沢性を損なわず処理することができ、また経済的な観点で有利である。
【0028】
表面処理方法は、特に限定されないが、金属ドープカルシウムアルミネートの水性ディスパージョン中で、無機化合物あるいは有機化合物を添加し、pHを最適化することで被覆することができる。また、水溶性ではない有機化合物を被覆するには、有機化合物を乾式にて添加し、粉砕や混合を行い、必要に応じて加熱することで、表面処理することができる。
【0029】
本発明の化粧料は、上述したような金属ドープカルシウムアルミネートを1〜90重量%の割合で含有することが好ましい。含有量が1重量%未満であると、上述したような効果を充分に得られない点で好ましくない。含有量が90重量%を超えると、本発明による粉体が過剰となり、化粧料として配合の自由度が小さくなり、扱いづらくなるという点で好ましくない。
【0030】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤等を挙げることができる。本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。なかでも、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料やサンスクリーン剤において特に好適に使用することができる。
【0031】
本発明の化粧料は、上記混合物を構成する成分以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0032】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0033】
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α´−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0034】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0035】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0036】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサイヨバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0037】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0038】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0039】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0040】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0041】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0042】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0043】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0044】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0045】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる。
【0046】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用してもよい。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0048】
実施例1(セリウムドープカルシウムアルミネートの製造方法)
炭酸カルシウム(堺化学工業製CWS−20 4.20g)、酸化セリウム(信越化学製 1.35g)、酸化アルミニウム(住友化学製AKP−50 31.92g)及びフラックス成分としてフッ化カルシウム(和光一級試薬0.20g)とフッ化マグネシウム(和光特級試薬 0.16g)を秤量し、水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に20g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1600℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、遊星ボールミルを用いて水中で粉砕して整粒し、濾過・乾燥して化合物A−1を得た。
更に上記合成方法のうち、炭酸カルシウムを4.82g、酸化セリウムを0.27gと変更して得られた化合物をA−2とした。また、炭酸カルシウムを4.97g、酸化セリウムを0.03gとして得られた化合物をA−3とした。
【0049】
実施例2(ユーロピウムドープカルシウムアルミネートの製造方法)
炭酸カルシウム(堺化学工業製CWS−20 4.20g)、酸化ユーロピウム(信越化学製 1.38g)、酸化アルミニウム(住友化学製AKP−50 31.92g)及びフラックス成分としてフッ化カルシウム(和光一級試薬0.20g)とフッ化マグネシウム(和光特級試薬 0.16g)を秤量し、水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に20g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1600℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、遊星ボールミルを用いて水中で粉砕して整粒し、濾過・乾燥して化合物B−1を得た。
更に上記合成方法において、炭酸カルシウムを4.82g、酸化ユーロピウムを0.28gとして得られる化合物をB−2とした。また、炭酸カルシウムを4.97g、酸化ユーロピウムを0.03gとして得られた化合物をB−3とした。
【0050】
実施例3(イッテルビウムドープカルシウムアルミネートの製造方法)
炭酸カルシウム(堺化学工業製CWS−20 4.19g)、酸化イッテルビウム(日本イットリウム製 1.55g)、酸化アルミニウム(住友化学製
AKP−50 31.91g)及びフラックス成分としてフッ化カルシウム(和光一級試薬0.20g)とフッ化マグネシウム(和光特級試薬 0.16g)を秤量し、水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に20g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1600℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、遊星ボールミルを用いて水中で粉砕して整粒し、濾過・乾燥して化合物C−1を得た。
更に上記合成方法において、炭酸カルシウムを4.82g、酸化イッテルビウムを0.28gとして得られた化合物をC−2とした。また、炭酸カルシウムを4.97g、酸化イッテルビウムを0.03gとして得られた化合物をC−3とした。
【0051】
実施例4(鉄ドープカルシウムアルミネートの製造方法)
炭酸カルシウム(堺化学工業製CWS−20 4.20g)、酢酸鉄(アルドリッチ製 1.37g)、酸化アルミニウム(住友化学製AKP−50 31.93g)及びフラックス成分としてフッ化カルシウム(和光一級試薬0.20g)とフッ化マグネシウム(和光特級試薬 0.16g)を秤量し、水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に20g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1600℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、遊星ボールミルを用いて水中で粉砕して整粒し、濾過・乾燥して化合物D−1を得た。
更に上記合成方法において、炭酸カルシウムを4.83g、酢酸鉄を0.27gとして得られた化合物をD−2とした。また、炭酸カルシウムを4.97g、酢酸鉄を0.03gとして得られた化合物をD−3とした。
【0052】
実施例5(亜鉛ドープカルシウムアルミネートの製造方法)
炭酸カルシウム(堺化学工業製CWS−20 4.20g)、酸化亜鉛(堺化学製微細酸化亜鉛 0.64g)、酸化アルミニウム(住友化学製AKP−50 31.93g)及びフラックス成分としてフッ化カルシウム(和光一級試薬0.20g)とフッ化マグネシウム(和光特級試薬 0.16g)を秤量し、水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に20g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1600℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、遊星ボールミルを用いて水中で粉砕して整粒し、濾過・乾燥して化合物E−1を得た。
更に上記合成方法において、炭酸カルシウムを4.83g、酸化亜鉛を0.13gとして得られた化合物をE−2とした。また、炭酸カルシウムを4.97g、酸化亜鉛を0.01gとして得られた化合物をE−3とした。
【0053】
比較例1(ドープなしカルシウムアルミネートの製造方法)
炭酸カルシウム(堺化学工業製CWS−20 4.98g)、酸化アルミニウム(住友化学製 AKP−50 31.93g)及びフラックス成分としてフッ化カルシウム(和光一級試薬0.20g)とフッ化マグネシウム(和光特級試薬 0.16g)を秤量し、水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体をアルミナ製坩堝に20g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1600℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。
こうして得られた焼成物を、遊星ボールミルを用いて水中で粉砕して整粒し、濾過・乾燥して化合物F−1を得た。
【0054】
上記実施例1〜5及び比較例1で得られた化合物に関して、ドープする元素Mとカルシウム元素の組成比を整理したものを表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
評価例1(形状評価)
上記実施例1〜5及び比較例1で得られた化合物を、日本電子製JSM-840F型走査型電子顕微鏡を用いて、1000倍に拡大した写真を10枚撮影し、その視野に含まれる粒子を任意に100個選んで、長径と短径を測定した。
測定に際しては、すべてのサンプルにおいて、100個の粒子のうち、長径Lが6μm〜30μmの範囲であり、尚且つ、短径Sが0.1μm〜5μmの範囲を満たす板状粒子が90個以上であることを確認した。
すべてのサンプルの長径L、短径Sの測定値の平均値、及びL/Sの比の計算値を表2に示す。なお、表2の数値は、小数点以下2桁目を四捨五入した値である。
【0057】
【表2】
【0058】
評価例2(紫外線吸収スペクトル評価)
実施例1〜4で得られたサンプルA−1〜D−3、および比較例1で得られたF−1の各サンプルについて、紫外線吸収性を以下の様にして測定した。
サンプル粉末を、分光光度計(日本分光社製、V−570型分光光度計及びILN−472型積分球)測定用セルに充填し、分光光度計を用いて200nm〜800nmの波長領域で反射率を測定した。
UV−A領域とUV−B領域の境界波長である320nm、そして、可視光領域の最も視感度の高い550nm、更に可視光領域の最も端である800nmでの測定数値を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
以上の結果より、金属Mをドープしていない比較例1のサンプルF−1に比べて、実施例で得られたサンプルA−1〜D−3は、いずれも320nmでの反射率が小さく、紫外線を吸収する能力を有することが示された。
とりわけ、D−1で得られたサンプルは、紫外線吸収率が大きく、ファンデーション用基材としてのみならず、紫外線吸収剤としても有用な性能を有するものである。
【0061】
評価例3(滑り性評価)
各実施例で得られたB−1、D−1、E−2及び比較例1で得られたF−1の各サンプルの滑り性評価は次のような方法で行った。
スライドガラスに両面テープを貼り付け、粘着面に薬さじ半分程度の粉末を載せ、化粧用スポンジで粉末を展ばし、その上に摩擦子をセットした。スライドガラスを移動させて摩擦子にかかる負荷から平均摩擦係数と平均摩擦係数の変動を測定した。測定は摩擦感テスター(カトーテック製KES-SE)により行った。
測定結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
平均摩擦係数MIUは、数値が小さいほど粉体が滑ることを示し、摩擦係数の変動値MMDは数値が小さいほど滑らかでざらつきが無いことを示す指標である。
表2から、各実施例で得られたB−1、D−1、E−2は、金属Mをドープしているにもかかわらず、比較例1のドープしていないサンプルF−1と何ら変わらない滑り性を示した。これは、本来の板状粒子の、特に表面性状に影響せずに、金属が結晶内部にドープされたことを示す。
このことは、板状粒子本来が有する滑り性を損なうことなく、紫外線吸収性能などのその他の機能を付加することができることを示しているものである。
【0064】
評価例4(ソフトフォーカス性評価)
実施例で得られたE−1、E−2、E−3及び比較例1で得られたF−1の各サンプルのソフトフォーカス性評価は、次のような方法にて行った。
粉末とジメチルポリシロキサン(1000cps)を、1:9の重量比になるように測り採り、よく混合した後、フーバー式マラーを用いて、1rpmの回転速度で50回転させ、ぺーストを調製した。
そのようにして調製したペーストを、1MILのアプリケーターを用いてガラス板上に均一に成膜した。
このようにして得られた塗膜を、ヘイズメーター(日本電色工業製NDH2000型)でヘイズと全光透過率を測定し、ソフトフォーカス性を評価した。
表5にその結果を示す。なお、評価に際しては、超微粒子酸化チタン及び顔料用の酸化チタンを比較とした。
【0065】
【表5】
【0066】
この結果、まず超微粒子酸化チタンは全光透過率が大きく、ヘイズが小さいことから、非常に透明な塗膜であることが示され、その逆に、顔料用酸化チタンは、全光透過率が小さく、ヘイズが大きいことから、隠蔽性の高い塗膜ということが示された。
実施例で得られたE−1、E−2、E−3及び比較例1で得られたF−1の各サンプルについては、全光透過率が比較的大きく、またヘイズもある程度大きな数値であることより、顔料用酸化チタンのように素地を隠蔽することが少ない上に、超微粒子酸化チタンのように透明でないことが示される。
【0067】
とりわけ、E−1、E−2及びE−3のサンプルについては、金属MがZnの場合に、そのドープ量が増えるに連れて、ヘイズも大きくなっていることから、板状粒子のソフトフォーカス性の微調整が可能であることを示している。
すなわち、板状粒子本来が有する滑り性を損なう恐れのある表面処理などの手法を用いなくても、屈折率などの物性を調整することが可能となったことを示している。
【0068】
評価例5(化粧料としての評価)
実施例で得られたB−1、D−1、E−1及び比較例1で得られたF−1の各サンプルを用いて、以下の表6にあるような配合で、パウダーファンデーションを調製した。なお、下記ファンデーションに用いた材料は、実施例以外はすべて化粧品グレードのものである。
【0069】
【表6】
【0070】
このような配合で各素材を測り採り、コーヒーミルを用いて30秒間攪拌混合した。この混合操作を3回繰り返して得た粉体状の混合物を、直径3cmの金属のフタに10g測り採り、プレス機を用いて、100kgf/cm
2の圧力にて1分間保持して、パウダーファンデーションを得た。
【0071】
上記のようにして得たファンデーションF1〜F4を、10人のパネラーに対して官能試験を行った。番号を分からないようにして使用感の良いもの1つを選ぶという評価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0072】
【表7】
【0073】
これらの結果は、本発明の粉末が、板状粒子由来の使用感に関しては何ら損なわれること無く化粧料に配合できることを示し、その上で、光学的な機能を高めることができるものである。