(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態による半導体装置及びその製造方法について
図1乃至
図36を用いて説明する。
【0010】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態による半導体装置の構造を示す平面図である。
図2は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
図2(a)は
図1のA−A′線断面図であり、
図2(b)は
図1のB−B′線断面図である。
【0012】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について図
1及び
図2を用いて説明する。
【0013】
図1は本実施形態による半導体装置の構造を示す平面図であり、
図2(a)は
図1のA−A′線断面図であり、
図2(b)は
図1のB−B′線断面図である。
【0014】
シリコン基板10の表面から所定の深さの領域には、n型ドリフト領域18が形成されている。n型ドリフト領域18内の、シリコン基板10の表面からn型ドリフト領域18の底面よりも浅い領域には、p型ボディ領域26が形成されている。p型ボディ領域26の底面及び側面は、n型ドリフト領域18により囲まれている。n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26の側面との間には、pn接合部102が形成されている。また、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26の底面の間には、pn接合部104が形成されている。n型ドリフト領域18よりも外側の領域には、n型ドリフト領域18を囲うように配置された環状のpウェル28が、n型ドリフト領域18から離間して形成されている。
【0015】
シリコン基板10の表面部には、活性領域20a,20b,20c,20dを画定する素子分離絶縁膜20が形成されている。活性領域20aは、n型ドリフト領域18が形成された領域のシリコン基板10の一部を露出するように形成されている。活性領域20bは、pn接合部102上方の一部の領域を露出するように形成されている。活性領域20cは、p型ボディ領域26が形成された領域のシリコン基板10の一部を露出するように形成されている。活性領域20dは、pウェル28が形成された領域のシリコン基板10を環状に露出するように形成されている。活性領域20bは、活性領域20aと活性領域20cとの間に位置している。
【0016】
活性領域20b上には、ゲート絶縁膜32を介してゲート電極36が形成されている。ゲート電極36は、活性領域20b内に位置するpn接合部102上方を覆うように形成されている。活性領域20b内のp型ボディ領域26の一部はゲート電極36により覆われておらず、この領域の活性領域20bの表面部には、n型ソース領域60が形成されている。活性領域20aの表面部には、n型ドレイン領域58が形成されている。活性領域20cの表面部には、p型タップ領域62が形成されている。活性領域20dの表面部には、p型コンタクト領域64が形成されている。
【0017】
pn接合部102の上方であって、ゲート電極36により覆われていない領域上には、素子分離絶縁膜20を介して導電体パターン38が形成されている。すなわち、平面的にみて環状をなすpn接合部
102の上方には、ゲート電極36と導電体パターン38とがこれらによって環状をなすように配置されている。ゲート電極36と導電体パターン38とは、電気的に分離されている。
【0018】
このように、本実施形態による半導体装置は、n型ドリフト領域18、p型ボディ領域26、n型ドレイン領域58、n型ソース領域60、p型タップ領域62、ゲート電極36、導電体パターン38等を含むnチャネル型LDMOSトランジスタである。
【0019】
nチャネル型LDMOSトランジスタが形成されたシリコン基板10上には、層間絶縁膜74が形成されている。層間絶縁膜74上には、層間絶縁膜74に埋め込まれたコンタクトプラグ76を介してnチャネル型LDMOSトランジスタの各端子に接続された配線層78が形成されている。
【0020】
導電体パターン38は、
図1に示すように、配線78、p型コンタクト領域64等を介して、pウェル28に電気的に接続されている。また、n型ソース領域60とp型タップ領域62とは、
図2に示すように、配線層78によって互いに接続されている。
【0021】
本実施形態による半導体装置では、例えば、p型タップ領域62及びn型ソース領域60が負側の電源電圧Vssに接続される。そして、ゲート電極36とn型ソース領域60の間に、例えば比較的低い正の電圧Vgsが印加され、n型ドレイン領域58に比較的高い電圧Vdsが印加される。ゲート電極36に閾値電圧Vth以上の電圧Vgsを印加することで、n型ソース領域60からn型ドレイン領域58に電子が流れるようになる。電子の伝播経路となるn型ドリフト領域58を比較的低い不純物濃度としておくことで、n型ドリフト領域18内に空乏層が広がり、n型ドレイン領域58に高電圧が印加できるようになる。
【0022】
n型ドレイン領域58に印加できる電圧の上限(ドレイン耐圧)には、例えば、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26との間の接合耐圧が影響する。この接合耐圧の値には、空乏層の幅が影響し、空乏層の幅には、n型ドリフト領域
18の不純物濃度及びp型ボディ領域26(pn接合部102)からn型ドレイン領域58までの距離(ドリフト長)Dが影響する。すなわち、n型ドリフト領域18を低濃度化し、ドリフト長Dを長くするほど、n型ドレイン領域58に高電圧を印加できるようになる。ただし、このようにn型ドリフト領域18を低濃度化し、ドリフト長Dを長くした場合には、トランジスタのオン抵抗Ronが増加するため、例えば、そのような点を考慮してドリフト長D、n型ドリフト領域18の濃度が設定される。
【0023】
また、本実施形態による半導体装置では、ゲート電極36、p型タップ領域62、n型ソース領域60及びn型ドレイン領域58のいずれにも高電圧が印加される場合がある。その場合、p型ボディ領域26とシリコン基板10との間のパンチスルーをn型ドリフト領域18が抑制する。ただし、n型ドリフト領域18が低濃度化するほどパンチスルーは生じ易くなる(パンチスルー耐圧が低下する)ため、例えば、ドレイン耐圧、オン抵抗Ronのほか、そのような点も考慮してn型ドリフト領域18の濃度が設定される。
【0024】
なお、ここでは、n型ドレイン領域58及びn型ソース領域60を、それぞれ別個の活性領域20a,20b内に設け、n型ドレイン領域58とn型ソース領域60との間に素子分離絶縁膜20を設ける場合を例示している。これにより、ゲート電極36の端でのゲート絶縁膜32の破壊が抑制される等の効果が得られる。半導体装置の動作条件、ドリフト長D、n型ドリフト領域18の濃度等によっては、必ずしも、このようにn型ドレイン領域58とn型ソース領域60との間に素子分離絶縁膜20を設けることを要しない。その場合、n型ドレイン領域58、n型ソース領域60、並びに、n型ドレイン領域58とn型ソース領域60との間のn型ドリフト領域18及びp型ボディ領域26を露出する活性領域が設けられる。その活性領域では、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26とのpn接合部102に沿ってゲート電極36が設けられ、n型ドリフト領域18内にゲート電極36から離間してn型ドレイン領域58が設けられ、p型ボディ領域26内にn型ソース領域60が設けられる。
【0025】
また、ここでは、n型ソース領域60及びp型タップ領域62を、それぞれ別個の活性領域20b,20c内に設ける場合を例示しているが、必ずしも、n型ソース領域60及びp型タップ領域62の間に素子分離絶縁膜20を設けることは要しない。n型ソース領域60及びp型タップ領域62は、同じ活性領域に形成してもよい。
【0026】
上述のように、本実施形態による半導体装置では、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26との間のpn接合部102の上方を覆うようにゲート電極36及び導電体パターン38を環状に配置している。本実施形態による半導体装置では、そのような位置にゲート電極36及び導電体パターン38を設けることによって、高耐圧化が図られている。以下、この点について、より詳細に説明する。
【0027】
そこで、まず比較のため、上記のような導電体パターン38を有しない半導体装置として、第1参考例による半導体装置について、
図3乃至
図7を用いて説明する。
【0028】
図3は、第1参考例による半導体装置の構造を示す平面図及び断面図である。
図4は、ドリフト長、ドレイン耐圧及びRon・Aの関係を示すグラフである。
図5は、ドレイン耐圧のドリフト長依存性をシミュレーションした結果と実測した結果を示すグラフである。
図6は、シミュレーションに用いた二次元断面構造を示す図である。
図7は、第1参考例による半導体装置におけるブレークダウン時の空乏層の広がりを説明する図である。
【0029】
図3は、第1参考例による半導体装置の構造を示す図である。
図3(a)は平面図であり、
図3(b)は
図3(a)のA−A′線断面図である。
【0030】
第1参考例による半導体装置は、
図3に示すように、導電体パターン38を有していない点で、
図1及び
図2に示した本実施形態による半導体装置10と相違している。
【0031】
高耐圧トランジスタの特性を決める要素には、前述のようなドレイン耐圧のほか、トランジスタのオン抵抗Ronと占有面積Aとの積で表される値(Ron・A)がある。オン抵抗Ronとは、ドレインに0.1V程度の小さな電圧を与え、このドレイン電圧を、ゲートをオンしたときにドレインに流れる電流で割った値である。Ron・Aが小さいほど、トランジスタの特性は良い。このRon・Aは、例えば、ドリフト長Dに応じて変化し、ドリフト長Dが長いほど、オン抵抗Ronは大きくなり、占有面積Aも大きくなる。即ち、ドリフト長D、ドレイン耐圧、Ron・Aの間には、
図4に示すような関係が成立し得る。
図4に示した関係の場合、ドリフト長Dを長くしてドレイン耐圧を高くするとRon・Aが大きくなり、ドリフト長Dを短くしてRon・Aを小さくするとドレイン耐圧が低くなる。高耐圧トランジスタの回路設計時には、例えば、このような関係を考慮して、所望の特性が決められる。
【0032】
図4の関係によれば、
図3に示した半導体装置の場合にも、ドリフト長Dを長くするに従い、ドレイン耐圧が高くなることが予想される。しかし、実際の
図3に示したような半導体装置の構造では、ドリフト長Dが所定長さ以上になると、ドレイン耐圧がドリフト長Dに応じて高くならない場合がある。
【0033】
図5に、ドレイン耐圧のドリフト長依存性をシミュレーションした結果と実測した結果を示す。シミュレーションは、いわゆるTCAD(Technology Computer Aided Design)を用い、
図6に示す二次元断面構造について行った。実測は、
図3に示したような半導体装置を実際に作製して行った。
【0034】
図5に示すように、
図6の二次元断面構造を用いたシミュレーションは、ドリフト長Dを長くするに従い、ドレイン耐圧が高くなることを示している。一方、実際に作製した半導体装置を用いた実測では、ドリフト長Dが1.5μm程度までは、その長さに応じてドレイン耐圧が上昇するが、それより長い場合には、ドレイン耐圧が40V程度でほぼ一定の値となっている。このように、実際に作製した半導体装置では、ドリフト長Dを所定値以上に長くしても、40V程度よりも高いドレイン耐圧を得ることができない。これには以下のような理由が考えられる。
【0035】
図7は第1参考例による半導体装置におけるブレークダウン時の空乏層の広がりを説明する図である。
図7(a)は平面図であり、
図7(b)は
図7(a)のA−A′線断面図であり、
図7(c)は
図7(a)のB−B′線断面図である。また、
図7では、空乏層端Eを点線で模式的に図示している。
【0036】
ここでは、ドリフト長Dが3.0μmであり、ゲート電極36、n型ソース領域60、p型タップ領域62及びシリコン基板10への印加電圧が0Vであり、n型ドレイン領域58への印加電圧がドレイン耐圧の値である場合を想定している。ドリフト長Dの3μmは、
図5に示したように、シミュレーションでは耐圧が55V以上あるが、実測では40V程度しか得られていない長さに相当する。
【0037】
ゲート電極36が配置されている部分には、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、ゲート電極36に沿って幅(空乏層幅)Waの空乏層が広がる。これは、ゲート電極36に0Vが印加されているためである。一方、ゲート電極36が配置されていない部分には、
図7(c)に示すように、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26の濃度で決まってくる幅(空乏層幅)Wbの空乏層が広がる。この
図7に示す例では、空乏層幅Waが空乏層幅Wbよりも広くなっている。
【0038】
ブレークダウンは、空乏層が狭い部分で発生し易い。空乏層が狭い部分の方が、電界が高くなるためである。したがって、第1参考例による半導体装置では、より狭い空乏層幅Wbの部分でブレークダウンが発生し易い。空乏層幅Wbの部分は、空乏層幅Waの部分とは異なり、耐圧がドリフト長Dに依存せず、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26の濃度で決まってくる部分である。この空乏層幅Wbの部分の耐圧が40V程度であったために、実測の条件では、
図5に示したように、ドリフト長Dを所定値以上に長くしても、トランジスタとしての耐圧が40V程度で一定となり、それ以上は上昇しなくなると考えられる。
【0039】
空乏層幅Waの部分の、n型ドリフト領域18側の空乏層端Eは、n型ドレイン領域58によって広がりが抑えられるため、ドリフト長Dが短く、空乏層幅Waが空乏層幅Wbよりも狭くなる場合がある。この場合、ドレイン耐圧は、ドリフト長Dに依存する。
図5に示した実測データのうち、ドリフト長Dが1.5μm未満のときに見られる傾向がこれに該当し、ドレイン耐圧がドリフト長Dの増加に伴って上昇している。
【0040】
図5に示したシミュレーションでドレイン耐圧がドリフト長Dに依存したのは、このシミュレーションが
図6に示したような二次元断面構造についてのものであるためである。すなわち、
図7に示したようなトランジスタ部以外の空乏層幅Wbの部分、つまり、ゲート電極36が配置されていない領域の、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26との間のpn接合部102が、シミュレーションする構造内に含まれていなかったためである。
【0041】
次に、更に比較のため、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26との間のpn接合部102に沿って、環状のゲート電極36を設けた半導体装置として、第2参考例による半導体装置について、
図8乃至
図12を用いて説明する。
【0042】
図8は、第2参考例による半導体装置の構造を示す平面図及び断面図である。
図9及び
図10は、第2参考例による半導体装置におけるブレークダウン時の空乏層の広がりを説明する図である。
図11は、負耐圧nチャネル型LDMOSトランジスタを用いた回路の例を示す図である。
図12は、第2参考例による半導体装置における課題を説明する図である。
【0043】
図8は、第2参考例による半導体装置の構造を示す図である。
図8(a)は平面図であり、
図8(b)は
図8(a)のA−A′線断面図である。
【0044】
第2参考例による半導体装置は、
図8に示すように、ゲート電極36がpn接合部102に沿って環状に配置されている点で、
図1及び
図2に示した本実施形態による半導体装置10と相違している。
【0045】
図9は、第2参考例による半導体装置におけるブレークダウン時の空乏層の広がりを説明する図である。
図9(a)は平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のA−A′線断面図であり、
図9(c)は
図9(a)のB−B′線断面図である。また、
図9では、空乏層端Eを点線で模式的に図示している。
【0046】
ここでは、ゲート電極36、n型ソース領域60、p型タップ領域62及びシリコン基板10への印加電圧が0Vであり、n型ドレイン領域58への印加電圧がドレイン耐圧の値である場合を想定している。
【0047】
pn接合部102に沿って環状のゲート電極36を設けることにより、n型ドレイン領域58とn型ソース領域60とが対向していない部分に生じる空乏層幅Wbが、第1参考例による半導体装置のように島状のゲート電極36を設けていた場合に比べて広くなる。すなわち、第2参考例による半導体装置では、トランジスタ部以外の部分にも、トランジスタ部に生じる空乏層の幅Waと同等の幅Wbの空乏層が広がるようになる。これは、そのようなトランジスタ部以外の部分にも、0Vに印加された環状のゲート電極36が配置され、その電界により、n型ドリフト領域18とp型ボディ領域26との濃度で決まる空乏層幅以上に空乏層が広がるためである。
【0048】
このように第2参考例による半導体装置では、環状のゲート電極36を設けることにより、pn接合部102の周囲の空乏層を広げ、空乏層幅が部分的に狭くなるのを抑え、pn接合部102の周囲でブレークダウンが発生するのを抑えることが可能になる。そのため、上記の第1参考例による半導体装置のような構造に比べて、ドレイン耐圧を向上させることが可能になる。
【0049】
ここで、第2参考例による半導体装置のゲート電極36の幅について、更に述べる。
【0050】
図9に示すように、n型ドレイン領域58とn型ソース領域60とに挟まれた部分のゲート電極36の、p型ボディ領域26からゲート電極36の外周部までの幅をLaとする。また、それ以外の部分のゲート電極36の、p型ボディ領域26からゲート電極36の外周部までの幅をLbとする。
【0051】
図9には、La=Lbとなるようにゲート電極36を設けた場合を例示している。La=Lbとなるようにゲート電極36を設けた場合には、n型ドレイン領域58とn型ソース領域60とが対向しているトランジスタ部の空乏層幅Waと、トランジスタ
部以外の部分の空乏層幅Wbとを、同等にすることが可能になる。そのため、pn接合部102の周囲で空乏層幅が部分的に狭くなるのを抑えることができ、ブレークダウンの発生を抑えることができる。
【0052】
また、ゲート電極36は、次の
図10に示すように、La<Lbとなるように設けることもできる。
【0053】
図10は、第2参考例による半導体装置の別例を示す図であって、
図10(a)は平面図であり、
図10(b)は
図10(a)のA−A′線断面図であり、
図10(c)は
図10(a)のB−B′線断面図である。
【0054】
図10には、ブレークダウン時の空乏層の広がりを併せて図示している。ここでは、ゲート電極36、n型ソース領域60、p型タップ領域62及びシリコン基板10への印加電圧が0Vであり、n型ドレイン領域58への印加電圧がドレイン耐圧の値である場合を想定している。
図10では、空乏層端Eを点線で模式的に図示している。また、
図10(a)では、便宜上、素子分離領域20の図示を省略し、また、ゲート電極36及びゲート絶縁膜32の下のpn接合部102を実線で図示している。
【0055】
図10に示す半導体装置のように、環状のゲート電極36は、La<Lbとなるように設計してもよい。この場合、n型ドレイン領域58とn型ソース領域60との間の部分、すなわちトランジスタ部の空乏層幅Waは、それ以外の部分の空乏層幅Wbよりも狭くなる。そのため、pn接合部102の周囲においては、トランジスタ部が、それ以外の部分に比べて、より低い電圧でブレークダウンし易くなる。つまり、ゲート電極36を、La<Lbとなるように設計すれば、トランジスタのドレイン耐圧が、そのドリフト長Dによって変化するようになり、回路設計時には、ドレイン耐圧を、ドリフト長Dを用いて見積もることが可能になる。
【0056】
なお、ここではゲート電極36をLa=Lbとする場合、及びLa<Lbとする場合について述べたが、La>Lbとなるようにゲート電極36を設けることも可能である。ゲート電極36をLa>Lbとする場合であっても、ゲート電極36を環状としない場合に比べれば、トランジスタ部以外の部分の空乏層幅Wbを広げることができるため、ブレークダウンの発生を抑えることが可能になる。
【0057】
ところで、一般的なnチャネル型LDMOSトランジスタの使用態様ではp型ボディ領域26にシリコン基板10よりも負の電圧が印加されることはないが、このような電圧関係となる回路構成でnチャネル型LDMOSトランジスタが用いられることもある。例えば
図11に示す回路では、nチャネル型LDMOSトランジスタのドレインDに0Vの電圧が印加されるのに対して、nチャネル型LDMOSトランジスタのソースS及びバックゲートBには−16V〜+18Vの電圧が印加される。このような回路に用いられるnチャネル型LDMOSトランジスタは、負耐圧nチャネル型LDMOSトランジスタと呼ばれることがある。
【0058】
第2参考例による半導体装置において負耐圧nチャネル型LDMOSトランジスタとしての動作を想定すると、トランジスタの各端子には例えば
図12に示すような電圧が印加される。すなわち、ゲート電極36、n型ソース領域60及びp型タップ領域62には、例えば−16Vが印加され、n型ドレイン領域58及びシリコン基板10(p型コンタクト領域64)には例えば0Vが印加される。
【0059】
このとき、
図12において点線で囲った部分には、シリコン基板10をソース領域、p型ボディ領域26をドレイン領域、n型ドリフト領域18をバックゲート、ゲート電極36をゲート電極とするp型寄生トランジスタ110が形成されている。上述のような駆動電圧を印加した場合、このp型寄生トランジスタ110のゲート電極及びドレイン領域には−16Vが印加され、ソース領域及びバックゲートには0Vが印加されることになる。p型寄生トランジスタ110のフィールド閾値電圧は−7V程度であることから、上記駆動電圧の印加によってp型寄生トランジスタ110がオン状態となり、シリコン基板10とp型ボディ領域26との間には電流が流れる。この結果、シリコン基板10とp型ボディ領域26との間の耐圧が低下し、ひいてはドリフト長Dを用いて見積もられるドレイン耐圧よりも低い印加電圧でブレークダウンが生じることになる。
【0060】
このような観点から、本実施形態による半導体装置では、第2参考例による半導体装置における環状のゲート電極を、ゲート電極として本質的に作用する活性領域20b上に延在する部分と、素子分離絶縁膜20上に延在する部分とに分割している。すなわち、環状のゲート電極を、活性領域20b上に延在する部分に形成されたゲート電極36と、素子分離絶縁膜20上に延在する部分に形成された導電体パターン38とに分割している。そして、素子分離絶縁膜20上に延在する導電体パターン38をシリコン基板10に電気的に接続することで、負耐圧nチャネル型LDMOSトランジスタとして駆動する際にp型寄生トランジスタ110がオンしないようにしている。
【0061】
本実施形態による半導体装置において負耐圧nチャネル型LDMOSトランジスタとしての動作を想定すると、トランジスタの各端子には例えば
図13に示すような電圧が印加される。すなわち、ゲート電極36、n型ソース領域60及びp型タップ領域62には、例えば−16Vが印加され、導電体パターン38、n型ドレイン領域58及びシリコン基板10(p型コンタクト領域64)には例えば0Vが印加される。
【0062】
このとき、
図13において点線で囲った部分のp型寄生トランジスタ110は、ゲート電極に相当する導電体パターン38への印加電圧が0Vのためオン状態にはならず、シリコン基板10とp型ボディ領域26との間に電流は流れない。この結果、シリコン基板10とp型ボディ領域26との間の耐圧が低下することはなく、ドリフト長Dを用いて見積もられるドレイン耐圧よりも低い印加電圧でブレークダウンが生じるのを防止することができる。
【0063】
本実施形態による半導体装置を負耐圧nチャネル型LDMOSトランジスタではない通常のnチャネル型LDMOSトランジスタとして動作する場合は、前述の第2参考例による半導体装置の場合と同様である。すなわち、
図9及び
図10を用いて説明した第2参考例による半導体装置の効果は、本実施形態による半導体装置においても達成される。すなわち、本実施形態による半導体装置の導電体パターン38が、第2参考例による半導体装置のゲート電極36のうち、素子分離絶縁膜20上に延在する部分と同様に作用する。導電体パターン38によってトランジスタ部以外の部分の空乏層幅Wbを広げることができるため、ドリフト長Dを用いて見積もられるドレイン耐圧よりも低い印加電圧でブレークダウンが生じるのを防止することができる。La<Lbの関係とすることは、例えば、導電体パターン38の幅をゲート電極36の幅よりも広くすることにより実現できる。
【0064】
図14及び
図15は、本実施形態による半導体装置におけるより具体的なレイアウト例を示す平面図である。
図15は、
図14の点線で囲った部分の拡大図である。図中、■はコンタクト領域である。
【0065】
図14に示すように、n型ドレイン領域58は、第1層目の配線層78aを介して引き出され、第2層目の配線層80aに接続されている。n型ソース領域60とp型タップ領域62とは、第1層目の配線層78bによって引き出され且つ互いに接続され、第2層目の配線層80bに接続されている。p型コンタクト領域64は、第1層目の配線層78cに接続されている。配線層78cは、p型コンタクト領域64に沿って環状に設けられている。ゲート電極36は、第1層目の配線層78dを介して引き出され、第2層目の配線層80dに接続されている。導電体パターン38は、配線層78cに接続されている。
【0066】
ゲート電極36と導電体パターン38との間隙部分は、例えば
図15に示すようにレイアウトすることができる。図中、Aは、ゲート電極36の素子分離絶縁膜20上へのオーバーラップ長であり、設計基準から規定され、例えば1.6μm程度である。図中、Cは、ゲート電極36と導電体パターン38との間隔であり、設計基準から規定され、例えば0.26μm程度である。図中、Bは、ドレイン耐圧の観点から規定され、ドレイン耐圧を向上するためにはより長くすることが望ましい。Cの設計基準を満たしたうえでBの長さを長くしてドレイン耐圧を向上するためには、
図15に示すように、ゲート電極36に対向する導電体パターン38の辺に段差を設け、ゲート電極36から離間した部分の導電体パターン38の幅を広げることが望ましい。ゲート電極36から離間した部分の導電体パターン38の幅Bは、例えば6.2μm程度である。
【0067】
n型ドレイン領域58とpn接合部102との間の距離は、n型ソース領域60とpn接合部102との間の距離よりも長くなっている。
【0068】
なお、導電体パターン38のゲート電極36に近接する部分には、必ずしも
図15に示すような切り欠き部分を設ける必要はなく、例えば
図33に示すように、ゲート電極36との間隙部分から真っ直ぐ伸ばすようにしてもよい。
【0069】
ただし、導電体パターン38のゲート電極36に近接する部分に切り欠き部分を設けることには、以下のような効果がある。
【0070】
図33に示すレイアウトにおいて、ゲート電極36の幅をW1、導電体パターン38の幅をAとする(
図34参照)。ここで、LDMOSが配置される領域の面積(ゲート電極36及び導電体パターン38の外周部で規定される面積)を維持したまま、ドレイン耐圧向上のために幅Aを所望の幅Bまで広げることを考慮する。この場合、
図33に示すレイアウトを維持したままであると、幅Aを幅Bまで広げるに伴い、ゲート電極36の幅W1は幅W2まで狭くしなければならない(
図35参照)。
【0071】
この点、
図15に示すレイアウトによれば、ゲート電極36の幅W1を維持したままで導電体パターン38の幅を幅Bまで広げることができ、所望のドレイン耐圧が得られるという効果を奏することができる。また、別の観点からみれば、導電体パターン38の幅を太くしてもLDMOSの専有面積の増加を抑制できるという効果もある。
【0072】
図16は、上述の各構造についてドレイン耐圧及び負耐圧の測定を行った結果をまとめたグラフである。図中、◆印のプロットがドレイン耐圧BVdsを表し、■印のプロットが負耐圧を表す。
【0073】
なお、ドレイン耐圧BVdsは、Vg=Vs=Vb=Vpsub=0VとしてVdを0Vから100Vまで掃引したときに、Idが100nAになるときのVdとして定義した。また、負耐圧は、Vd=Vpsub=0VとしてVg,Vs,Vbを0Vから−100Vまで掃引したときに、Ib+Is+Igが100nAとなるときのVbとして定義した。ここで、Vgは、ゲート電極36に印加するゲート電圧である。Vsは、n型ソース領域60に印加するソース電圧である。Vdは、n型ドレイン領域58を介してn型ドリフト領域18に印加するドレイン電圧である。Vbは、p型タップ領域62を介してp型ボディ領域26に印加するバックゲート電圧である。Vpsubは、p型コンタクト領域64を介してシリコン基板10に印加する基板電圧である。Id,Ib,Is,Igは、それぞれ、ドレイン電流、基板電流、ソース電流、ゲート電流である。
【0074】
図16に示すように、第1参考例による半導体装置では、ドレイン耐圧が40V程度であり、負耐圧が−38V程度であった。また、第2参考例による半導体装置では、ドレイン耐圧を52V程度まで向上できる一方、負耐圧が−7V程度まで低下した。
【0075】
これに対し、本実施形態による半導体装置では、ドレイン耐圧を第2参考例による半導体装置と同等の52V程度まで向上できることに加え、負耐圧も第1参考例による半導体装置と同等の−37V程度に維持することができた。
【0076】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について
図17乃至
図32を用いて説明する。
【0077】
図17乃至
図32は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
図17乃至
図22は、
図1のA−A′線断面に沿った工程断面図である。
図23乃至
図28は、
図1のB−B′線断面に沿った工程断面図である。
図29乃至
図32は、周辺トランジスタの製造方法を示す工程断面図である。
【0078】
まず、p型の半導体基板、例えばp型のシリコン基板10上に、例えば熱酸化法により、犠牲酸化膜としてのシリコン酸化膜12を形成する。
【0079】
次いで、フォトリソグラフィにより、n型ドリフト領域18の形成予定領域を露出するフォトレジスト膜14を形成する。
【0080】
次いで、フォトレジスト膜14をマスクとして、n型ドリフト領域18の形成予定領域に燐(P)や砒素(As)等のn型不純物をイオン注入し、n型不純物領域16を形成する(
図17(a)、
図23(a))。例えば、燐イオンを、加速エネルギーが例えば2MeV、注入量が例えば5×10
12cm
−2の条件でイオン注入し、n型不純物領域16を形成する。
【0081】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜14を除去する。
【0082】
次いで、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気中で、例えば1150℃、6時間の熱処理を行いn型不純物領域16の不純物を拡散及び活性化し、n型ドリフト領域18を形成する(
図17(b)、
図23(b))。
【0083】
次いで、n型ドリフト領域18を形成したシリコン基板10に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子分離絶縁膜20を形成する。素子分離絶縁膜20の深さは、特に限定されるものではないが、200nm〜400nm程度、例えば300nmとする。
【0084】
これにより、シリコン基板10の表面に、素子分離絶縁膜20により、活性領域20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g,20h等を画定する(
図18(a)、
図24(a)、
図29(a))。なお、素子分離絶縁膜20の形成方法は特に限定されるものではなく、STI法のほか、例えばLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法を用いて形成してもよい。
【0085】
活性領域20a,20b,20cは、それぞれ、nチャネル型LDMOSトランジスタのn型ドレイン領域、n型ソース領域及びチャネル領域、p型タップ領域に相当し、n型ドリフト領域18内に形成される。活性領域20dは、nチャネル型LDMOSトランジスタの形成領域を囲うように配置された基板タップ領域に相当する。活性領域20eは、n型低電圧トランジスタの形成領域に相当する。活性領域20fは、n型低電圧トランジスタが形成されるpウェルのp型コンタクト領域に相当する。活性領域20gは、p型低電圧トランジスタの形成領域に相当する。活性領域20hは、p型低電圧トランジスタが形成されるnウェルのn型コンタクト領域に相当する。
【0086】
なお、素子分離絶縁膜20の形成後に活性領域20a〜20h上を覆っている膜は、厳密にはシリコン酸化膜12と同一ではなく、素子分離絶縁膜20の形成の際に形成する別のシリコン酸化膜であるが、ここでは簡略化のためにシリコン酸化膜12として説明する。
【0087】
次いで、フォトリソグラフィにより、p型ボディ領域26の形成予定領域を露出するフォトレジスト膜22を形成する。フォトレジスト膜22の開口部は、
図18(b)及び
図24(b)に示すように、活性領域20cと活性領域20bの一部とを含む。
【0088】
次いで、フォトレジスト膜22をマスクとして、p型ボディ領域の形成予定領域に硼素(B)等のp型不純物をイオン注入し、p型不純物領域24を形成する(
図18(b)、
図24(b))。例えば、硼素イオンを、加速エネルギーが例えば150keV〜500keV、注入量が例えば1×10
12cm
−2〜3×10
13cm
−2の条件でイオン注入する。このイオン注入は、異なる加速エネルギーで複数回に分けて行ってもよい。また、トランジスタの閾値電圧制御用に、加速エネルギーが例えば5keV〜30keV、注入量が例えば1×10
13cm
−2の条件でイオン注入する。
【0089】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜22を除去する。
【0090】
次いで、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気中で、例えば1050℃、30分間の熱処理を行いp型不純物領域24不純物を拡散及び活性化し、p型ボディ領域26を形成する(
図19(a)、
図25(a))。
【0091】
次いで、同様の手法により、n型低電圧トランジスタの形成領域にpウェル28を、p型低電圧トランジスタの形成領域にnウェル30を、それぞれ形成する。pウェル28は、nチャネル型LDMOSトランジスタの形成領域を囲う基板タップ領域(活性領域20d)にも、n型ドリフト領域18から離間して形成する(
図19(b)、
図25(b)、
図29(b))。
【0092】
なお、pウェル28及びnウェル30を形成する際の熱処理は、p型ボディ領域26を形成する際の熱処理と兼用してもよい。また、n型ドリフト領域18は、p型ボディ領域26と同様、素子分離絶縁膜20の形成後に形成するようにしてもよい。
【0093】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、活性領域20a〜20hの表面に形成されているシリコン酸化膜12を除去する。
【0094】
次いで、例えば熱酸化法により、nチャネル型LDMOSトランジスタの形成領域に、例えば膜厚16nmのシリコン酸化膜を成長し、ゲート絶縁膜32を形成する(
図20(a)、
図26(a))。また、低電圧トランジスタ形成領域にシリコン酸化膜を成長し、ゲート絶縁膜34を形成する(
図30(a))。なお、ゲート絶縁膜32,34の膜厚は、各トランジスタの動作電圧に基づいて決定される。
【0095】
なお、ゲート絶縁膜32,34の形成方法は、熱酸化法に限定されるものではなく、例えばCVD法等により堆積するようにしてもよい。
【0096】
次いで、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、例えば膜厚180nmのポリシリコン膜を堆積する。
【0097】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、堆積したポリシリコン膜をパターニングし、nチャネル型LDMOSトランジスタのゲート電極36、導電体パターン38及び低電圧トランジスタのゲート電極40を形成する(
図20(b)、
図26(b)、
図30(b))。
【0098】
次いで、フォトリソグラフィにより、活性領域20a,20b,20e,20hを露出するフォトレジスト膜42を形成する。
【0099】
次いで、フォトレジスト膜42及びフォトレジスト膜42から露出するゲート電極36及び素子分離絶縁膜20をマスクとしてn型不純物をイオン注入する。これにより、n型トランジスタのLDD領域となるn型不純物領域44を形成する(
図21(a)、
図27(a)、
図31(a))。例えば、燐イオンを、加速エネルギーが10keV〜50keV、注入量が1×10
13cm
−2〜1×10
14cm
−2の条件でイオン注入し、n型不純物領域44を形成する。
【0100】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜42を除去する。
【0101】
同様にして、活性領域20c,20d,20f,20gを露出するフォトレジスト膜(図示せず)及びこのフォトレジスト膜から露出するゲート電極36及び素子分離絶縁膜20をマスクとしてp型不純物をイオン注入する。これにより、p型低電圧トランジスタのLDD領域となるp型不純物領域46を形成する。例えば、硼素イオンを、加速エネルギーが5keV〜20keV、注入量が1×10
13cm
−2〜1×10
14cm
−2の条件でイオン注入し、p型不純物領域46を形成する。
【0102】
次いで、p型不純物領域46の形成に用いたフォトレジスト膜(図示せず)を、例えばアッシングにより除去する。
【0103】
なお、上述の例では、トランジスタのソース/ドレイン領域のみならず、コンタクト領域である活性領域20a,20c,20d,20f,20hにもLDD領域用の不純物拡散領域を形成しているが、必ずしも形成する必要はない。
【0104】
次いで、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積後、このシリコン酸化膜をエッチバックし、ゲート電極36,40及び導電体パターン38の側壁部分に、サイドウォール絶縁膜48を形成する。
【0105】
次いで、フォトリソグラフィにより、活性領域20a,20b,20e,20hを露出するフォトレジスト膜50を形成する。
【0106】
次いで、フォトレジスト膜50及びフォトレジスト膜50から露出するゲート電極36,40、サイドウォール絶縁膜46及び素子分離絶縁膜20をマスクとしてn型不純物をイオン注入する。これにより、活性領域20a,20b,20e,20hに、n型不純物領域52を形成する(
図21(b)、
図27(b)、
図31(b))。
【0107】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜50を除去する。
【0108】
次いで、フォトリソグラフィにより、活性領域20c,20d,20f,20gを露出するフォトレジスト膜54を形成する。
【0109】
次いで、フォトレジスト膜54及びフォトレジスト膜54から露出する素子分離絶縁膜20をマスクとしてp型不純物をイオン注入する。これにより、活性領域20c,20d,20f,20gに、p型不純物領域56を形成する(
図22(a)、
図28(a)、
図32(a))。
【0110】
次いで、例えばアッシングによりフォトレジスト膜54を除去する。
【0111】
次いで、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気中で熱処理を行い、イオン注入した不純物を活性化する。これにより、活性領域20aの表面部に、n型不純物領域52よりなるn型ドレイン領域58を形成する。また、活性領域20bの表面部に、n型不純物領域52よりなるn型ソース領域60を形成する。また、活性領域20cの表面部に、p型不純物領域56よりなるp型タップ領域62を形成する。また、活性領域20dの表面部に、p型不純物領域56よりなるp型コンタクト領域64を形成する。また、活性領域20eに、n型不純物領域52よりなるn型ソース/ドレイン領域66を形成する。また、活性領域20fの表面部に、p型不純物領域56よりなるp型コンタクト領域68を形成する。また、活性領域20gに、p型不純物領域56よりなるp型ソース/ドレイン領域70を形成する。また、活性領域20hの表面部に、n型不純物領域52よりなるn型コンタクト領域72を形成する。
【0112】
このようにして、シリコン基板10上の所定領域に所望のトランジスタを形成する。
【0113】
次いで、トランジスタが形成されたシリコン基板10上に、例えばCVD法により絶縁膜を堆積し、層間絶縁膜74を形成する。
【0114】
次いで、周知の配線形成プロセスにより、層間絶縁膜74に埋め込まれたコンタクトプラグ76、コンタクトプラグ76を介してトランジスタの各端子に接続された第1層目の配線層78を形成する。コンタクトプラグ76には、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を用いることができる。また、そのようなメタルの拡散を抑えるバリアメタルとして、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等を用いることができる。また、配線層
78には、タングステン、アルミニウム、銅等、更に、それらのバリアメタルとしてチタン、タンタル等を用いることができる。
【0115】
この後、必要に応じて、第2層目以降の配線層の形成等、所望のバックエンドプロセスを行い、半導体装置を完成する。
【0116】
このように、本実施形態によれば、ドレイン耐圧を向上するとともに、負耐圧の低下をも抑制することができる。これにより、一般的なLDMOSトランジスタとしての使用のほか、負耐圧LDMOSトランジスタとしての使用など、幅広い使用目的において所望の耐圧を実現することができ、半導体装置の性能の向上を図ることができる。
【0117】
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0118】
例えば、上記実施形態では、nチャネル型LDMOSトランジスタの例を示したが、n,pの導電型を反転し、pチャネル型LDMOSトランジスタを形成してもよい。この場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0119】
また、上記実施形態に記載した半導体装置の各構成部分の平面及び断面形状、構成材料、製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。