【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例で作製された各サンプルの評価方法を以下に示す。
(1)樹脂層(B)、金属層(C)の厚み測定
ミクロトームにて、作製したサンプルの断面を切り出し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡((株)日本電子製JSM−6700F、加速電圧10kV、観察倍率20,000倍)にて観察し、樹脂層、金属層のそれぞれの厚みを測定した。測定は、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から任意の5箇所について測定し、平均する。
(2)90度剥離強度F
1の測定
試料は、本発明の積層フィルムを幅50mm、長さ100mmに切り出し、その金属層表面にニチバン製クリアラインテープNo.557(テープ幅2mm)を幅方向間隔2mmで積層フィルムの長さ方向全長に5本貼って、引っ張り用のパターンマスクを作った。さらに、パターンマスクを施した積層フィルムを、液温30℃の塩化第1鉄30質量%水溶液に5分浸漬して、エッチングを行った後、水洗し、乾燥後パターンマスクを剥がして試料とした。
【0034】
JIS B 7721(2009)に準拠する引張試験機(剥離試験機)に、試料を水平に把持して、かつ、試料の引き上げ方向を垂直方向とするための把持具を装着し、剥離角度が90度になるように、把持具にニットー製両面テープ#500で試料を固定し、金属層のみをピンセットで一部剥がしてきっかけとし、ロードセルの引き上げワイヤーにクリップで固定して引き揚げて測定した。具体的には、オリエンテック(株)製テンシロンを用い、剥離速度は30mm/分、測定長50mmで測定した。測定値には平均強度を用い、5回測定した値の平均値をF
1とした。
(3)水中での90度剥離強度F
2の測定
試料の作成、測定装置は前述(2)の90度剥離強度F
1の測定と同じ方法を用いた。
【0035】
試料を水平に把持してかつ試料の引き上げ方向を垂直方向に引き上げるための把持具に、試料をニットー(株)製両面テープ#500で試料を固定した後に、ポリエチレンフォーム板を用いて試料全体を囲む様に高さ2mmの堤を作り水で満たした。この状態で金属層が剥離する界面は水中になる。この状態で2分放置し測定を開始した。前述(1)同様に測定値には平均強度を用い、5回測定の平均値をF
2とした。
(4)パターンの線脱落、線欠け
金属層(C)の表面にレジスト層を塗工形成し、線幅5μm、ピッチ30μmのラインパターンのマスクを介してレジスト層を露光、現像し、次いでエッチング処理を施し、最後にレジストを剥離除去して、金属層(C)がパターン形状である積層フィルムを作製した。金属層(C)がパターン形状である積層フィルムを、幅50mm、長さ50mmに切り出し、光学顕微鏡にて500倍でパターンの線を観察し、線脱落や線欠けがないものを○判定、線脱落や線欠けが1箇所でもある場合は×判定とした。
(5)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は、高分子の一般的な定義でのガラス転移温度(Tg)を称している。アクリル系樹脂塗料をガラスシャーレに15g計量し、120℃のオーブンで乾燥して不揮発分を取り出し、1gを計量してアルミ製パンに入れ、パーキンエルマー(株)製熱示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分で測定して求めた。
(実施例1)
樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0036】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH404、ガラス転移点[以下Tgと称す]40℃)3.5gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHX)0.6gを加え、MEK2.95gとMIBK2.95gで希釈した、固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)を形成した。
【0037】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0038】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.6N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.5N/cm、F
2/F
1は0.9であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(実施例2)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0039】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH404、Tg=40℃)3.6gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)1.1gを加、MEK2.65gとMIBK2.65gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し樹脂層(B)とした。
【0040】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0041】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.5N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.5N/cm、F
2/F
1は1.0であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(実施例3)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0042】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH613、Tg=75℃)3.9gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHX)0.5gを加え、MEK2.8gとMIBK2.8gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し樹脂層(B)とした。
【0043】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後にバッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0044】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.5N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.4N/cm、F
2/F
1は0.9であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(実施例4)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0045】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH644、Tg=48℃)3.5gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)0.3gを加え、MEK3.1gとMIBK3.1gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)とした。
【0046】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後にバッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0047】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.5N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.5N/cm、F
2/F
1は1.0であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(実施例5)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0048】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH644、Tg=48℃)3.5gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)0.3gを加え、MEK3.1gとMIBK3.1gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)とした。
【0049】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて30秒間蒸着した。
【0050】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は0.5μmであった。90度剥離強度F
1は1.5N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.5N/cm、F
2/F
1は1.0であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(実施例6)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0051】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH644、Tg=48℃)3.5gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)0.3gを加え、MEK3.1gとMIBK3.1gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手2番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)とした。
【0052】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0053】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は0.5μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.6N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.3N/cm、F
2/F
1は0.8であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(実施例7)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0054】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、水酸基を有するアクリル系樹脂(b)として東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH644、Tg=48℃)3.5gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)0.3gを加え、MEK3.1gとMIBK3.1gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手2番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)とした。
【0055】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を10gのせ、電流200Aにて8分間蒸着した。
【0056】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は0.5μm、金属層(C)の膜厚は5μmであった。90度剥離強度F1は2.0N/cm、水中での90度剥離強度F2は2.0N/cm、F2/F1は1.0であった。線脱落や線欠けは無く、判定は○であった。
(
参考例8)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0057】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH635、Tg=85℃)3.0gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)2.0gを加え、MEK2.5gとMIBK2.5gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)とした。
【0058】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0059】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.5N/cm、水中での90度剥離強度F
2は1.5N/cm、F
2/F
1は1.0であった。線脱落や線欠けは無く判定は○だったが、塗布外観にスジが見られた。
(比較例1)
樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)T60、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0060】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、バッチスパッタ装置でニッケルを10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0061】
各層の膜厚を測定したところ、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は0.3N/cm、水中での90度剥離強度F
2は0.1N/cm、F
2/F
1は0.3であった。線脱落や線欠けは多発し、判定は×であった。
(比較例2)
実施例1と同様に、樹脂フイルム(A)として東レ(株)製PETフィルム(商品名:ルミラー(登録商標)U48、厚み:100μm)を用いた。これを100mm×100mm角に切り出して使用した。
【0062】
樹脂フイルム(A)の一方の面側に、東レファインケミカル(株)製アクリル樹脂(商品名:コータックス(登録商標)LH615、Tg=14℃)3.0gに、日本ポリウレタン(株)製イソシアネート(タイプHL)2.0gを加え、MEK2.5gとMIBK2.5gで希釈した固形分10質量%の塗料を、メタリングバー番手10番で塗布し、熱風オーブンを用いて120℃で1分間乾燥し、樹脂層(B)とした。
【0063】
次に、バッチスパッタ装置でニッケル(下地層)を10nm付けた後に、バッチ式蒸着装置で銅を蒸着した。その際の条件は、到達真空度を0.02Paとして、厚み0.3mmのタングステンボートに銅を5gのせ、電流200Aにて3分間蒸着した。
【0064】
各層の膜厚を測定したところ、樹脂層(B)の膜厚は2μm、金属層(C)の膜厚は2μmであった。90度剥離強度F
1は1.5N/cm、水中での90度剥離強度F
2は0.5N/cm、F
2/F
1は0.3であった。線脱落や線欠けが多く判定は×だった。
【0065】
【表1】
【0066】
なお表において、塗布外観に問題がない場合を「○」と表記した。