(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る共振型電力変換装置の構成概略図である。この
図1に示すように、第1実施形態に係る共振型電力変換装置は、直流電源E(例えばバッテリ)の出力電圧を所望の電圧値に変換して負荷L(例えば直流モータ)に供給する双方向昇圧式のDC/DCコンバータであり、双方向昇圧回路1、第1電圧センサ2、第2電圧センサ3、第1微分アンプ4、第2微分アンプ5、基準電圧源6、第1比較回路7、第2比較回路8、電流センサ9、入力電圧センサ10、出力電圧センサ11及びスイッチ制御部12から構成されている。
【0015】
双方向昇圧回路1は、第1入力端子21、第2入力端子22、第1出力端子23、第2出力端子24、第1平滑コンデンサ25、第2平滑コンデンサ26、補助リアクトル27、主リアクトル28、第1主スイッチ29、第2主スイッチ30、第1主スナバダイオード31、第2主スナバダイオード32、第1補助スイッチ34、第2補助スイッチ35、第1補助スナバダイオード36、第2補助スナバダイオード37、第1補助ダイオード38、第2補助ダイオード39、第3補助ダイオード40、第4補助ダイオード41、第1補助コンデンサ42及び第2補助コンデンサ43から構成されている。
【0016】
第1入力端子21は、直流電源Eの正極端子に接続され、第2入力端子22は、直流電源Eの負極端子に接続されている。第1出力端子23は、負荷Lの一端に接続され、第2出力端子24は、負荷Lの他端に接続されている。第1平滑コンデンサ25は、一端が第1入力端子21に接続され、他端が第2入力端子22に接続されている。第2平滑コンデンサ26は、一端が第1出力端子23に接続され、他端が第2出力端子24に接続されている。
【0017】
補助リアクトル27は、一端が第1入力端子21に接続され、他端が主リアクトル28の一端に接続されている。主リアクトル28は、一端が補助リアクトル27の他端に接続され、他端が第1主スイッチ29のエミッタ端子及び第2主スイッチ30のコレクタ端子に接続されている。
【0018】
第1主スイッチ29は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、コレクタ端子が第1出力端子23に接続され、エミッタ端子が主リアクトル28の他端及び第2主スイッチ30のコレクタ端子に接続され、ゲート端子がスイッチ制御部12に接続されている(配線については図示省略)。
第2主スイッチ30は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、コレクタ端子が主リアクトル28の他端及び第1主スイッチ29のエミッタ端子に接続され、エミッタ端子が第2出力端子24に接続され、ゲート端子がスイッチ制御部12に接続されている(配線については図示省略)。
【0019】
第1主スナバダイオード31は、アノード端子が第1主スイッチ29のエミッタ端子に接続され、カソード端子が第1主スイッチ29のコレクタ端子に接続されている。第2主スナバダイオード32は、アノード端子が第2主スイッチ30のエミッタ端子に接続され、カソード端子が第2主スイッチ30のコレクタ端子に接続されている。
【0020】
第1補助スイッチ34は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、コレクタ端子が補助リアクトル27の他端及び主リアクトル28の一端に接続され、エミッタ端子が第1補助ダイオード38のアノード端子に接続され、ゲート端子がスイッチ制御部12に接続されている(配線については図示省略)。
第2補助スイッチ35は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、コレクタ端子が第4補助ダイオード41のカソード端子に接続され、エミッタ端子が補助リアクトル27の他端及び主リアクトル28の一端に接続され、ゲート端子がスイッチ制御部12に接続されている(配線については図示省略)。
【0021】
第1補助スナバダイオード36は、アノード端子が第1補助スイッチ34のエミッタ端子に接続され、カソード端子が第1補助スイッチ34のコレクタ端子に接続されている。第2補助スナバダイオード37は、アノード端子が第2補助スイッチ35のエミッタ端子に接続され、カソード端子が第2補助スイッチ35のコレクタ端子に接続されている。
【0022】
第1補助ダイオード38は、アノード端子が第1補助スイッチ34のエミッタ端子に接続され、カソード端子が第2補助ダイオード39のアノード端子及び第1補助コンデンサ42の一端に接続されている。第2補助ダイオード39は、アノード端子が第1補助ダイオード38のカソード端子及び第1補助コンデンサ42の一端に接続され、カソード端子が主リアクトル28の他端に接続されている。
【0023】
第3補助ダイオード40は、アノード端子が主リアクトル28の他端に接続され、カソード端子が第4補助ダイオード41のアノード端子及び第2補助コンデンサ43の一端に接続されている。第4補助ダイオード41は、アノード端子が第3補助ダイオード40のカソード端子及び第2補助コンデンサ43の一端に接続され、カソード端子が第2補助スイッチ35のコレクタ端子に接続されている。
【0024】
第1補助コンデンサ42は、一端が第1補助ダイオード38のカソード端子及び第2補助ダイオード39のアノード端子に接続され、他端が第1出力端子23に接続されている。第2補助コンデンサ43は、一端が第3補助ダイオード40のカソード端子及び第4補助ダイオード41のアノード端子に接続され、他端が第2入力端子22及び第2出力端子24に接続されている。以上が双方向昇圧回路1の回路構成である。
【0025】
第1電圧センサ2は、第1補助コンデンサ42の電圧VC1を検出し、その検出結果に応じた信号を第1微分アンプ4及びスイッチ制御部12へ出力する。第2電圧センサ3は、第2補助コンデンサ43の電圧VC2を検出し、その検出結果に応じた信号を第2微分アンプ5及びスイッチ制御部12へ出力する。
【0026】
第1微分アンプ4は、第1電圧センサ2の出力信号の微分値、つまり第1補助コンデンサ42の電圧VC1の微分値ΔVC1を第1比較回路7の一方の入力端子へ出力する。第2微分アンプ5は、第2電圧センサ3の出力信号の微分値、つまり第2補助コンデンサ43の電圧VC2の微分値ΔVC2を第2比較回路8の一方の入力端子へ出力する。
【0027】
基準電圧源6は、直流電源Eの出力電圧VE(双方向昇圧回路1の入力電圧)を利用して基準電圧Vrefを生成する。第1比較回路7は、一方の入力端子に入力される第1補助コンデンサ42の電圧VC1の微分値ΔVC1と、他方の入力端子に入力される基準電圧Vrefとの大小関係が反転する時(微分値ΔVC1がVref未満からVref以上に切り替わる時)にレベルが反転する信号をスイッチ制御部12へ出力するコンパレータである。第2比較回路8は、一方の入力端子に入力される第2補助コンデンサ43の電圧VC2の微分値ΔVC2と、他方の入力端子に入力される基準電圧Vrefとの大小関係が反転する時(微分値ΔVC2がVref未満からVref以上に切り替わる時)にレベルが反転する信号をスイッチ制御部12へ出力するコンパレータである。
【0028】
電流センサ9は、直流電源Eの出力電流IE(双方向昇圧回路1の第1入力端子21に流れる電流)を検出し、その検出結果に応じた信号をスイッチ制御部12へ出力する。入力電圧センサ10は、直流電源Eの出力電圧VE(双方向昇圧回路1の入力電圧)を検出し、その検出結果に応じた信号をスイッチ制御部12へ出力する。出力電圧センサ11は、負荷Lの端子間電圧VL(双方向昇圧回路1の出力電圧)を検出し、その検出結果に応じた信号をスイッチ制御部12へ出力する。
【0029】
スイッチ制御部12は、例えばメモリやCPU(Central Processing Unit)コア、入出力インターフェース等が一体的に組み込まれたマイコンチップであり、第1電圧センサ2、第2電圧センサ3、第1比較回路7、第2比較回路8、電流センサ9、入力電圧センサ10及び出力電圧センサ11の出力信号に基づいて、第1主スイッチ29、第2主スイッチ30、第1補助スイッチ34及び第2補助スイッチ35のオン/オフ制御を行う(各スイッチのゲート端子にゲート信号を出力する)。
【0030】
続いて、上記のように構成された本共振型電力変換装置の動作について説明する。
本共振型電力変換装置の動作原理については、特許第4397938号公報に記載されているように既に公知であるので詳細な説明については省略するが、第1補助スイッチ34(或いは第2補助スイッチ35)をオンにしてから第1補助コンデンサ42(或いは第2補助コンデンサ43)の電圧VC1(或いはVC2)が最小となる時点で第1主スイッチ29(或いは第2主スイッチ30)をオンにすることで、第1主スイッチ29(或いは第2主スイッチ30)のソフトスイッチングを実現できる。
【0031】
既に述べたように、特許第4397938号公報に記載された従来の共振型電力変換装置では、入出力電圧及び電流の計測値と、補助リアクトルや補助コンデンサ等の回路定数とに基づいて、補助スイッチと主スイッチとのオンタイミング差(遅延時間Td)を算出していたため、回路素子の温度特性等、ハードウェア特性のバラツキが原因で上記遅延時間Tdを最適に制御することができず、スイッチング損失が増大するという問題があった。
【0032】
本共振型電力変換装置は、第1補助スイッチ34(或いは第2補助スイッチ35)をオンにしてから第1補助コンデンサ42(或いは第2補助コンデンサ43)の電圧VC1(或いはVC2)が最小となる時点で第1主スイッチ29(或いは第2主スイッチ30)をオンにするという点で従来と同様であるが、補助スイッチと主スイッチとのオンタイミング差の制御手法が全く異なるものである。
【0033】
以下、
図2のタイミングチャートを参照しながら本実施形態における補助スイッチと主スイッチとのオンタイミング差の制御手法について説明する。
図2に示すように、双方向昇圧回路1について、「出力電圧VL/入力電圧VE≦2」という条件が成立する場合、補助スイッチ(IE≧0なら第2補助スイッチ35、IE<0なら第1補助スイッチ34)をオンした後、主スイッチ(IE≧0なら第2主スイッチ30、IE<0なら第1主スイッチ29)をオフ状態で維持していると、補助コンデンサ(IE≧0なら第2補助コンデンサ43、IE<0なら第1補助コンデンサ42)の電圧がゼロ点へ向かって降下し、このゼロ点(最適点)を過ぎると再び上昇するという特徴を有している。
【0034】
従って、補助スイッチをオンにしてから補助コンデンサの電圧の微分値を監視し、この微分値の符号がマイナスからプラスへ反転した時に主スイッチをオンにすれば、補助コンデンサの電圧が最小となった時点で主スイッチをオンにすることとなり、従来のような遅延時間Tdを算出することなく、補助スイッチと主スイッチとのオンタイミング差を制御することができる。つまり、回路素子のハードウェア特性のバラツキに影響されずに、最適なソフトスイッチング制御を実現することができる。
【0035】
第1実施形態におけるスイッチ制御部12は、ソフトウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値の微分値を演算し、当該微分値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第1制御モードと、ハードウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値の微分値を演算し、当該微分値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第2制御モードとを、昇圧比に応じて切り替える機能を有している。
【0036】
具体的には、第1実施形態におけるスイッチ制御部12は、
図3に示すフローチャートに従って補助スイッチ及び主スイッチのスイッチング制御を行う。
図3に示すように、スイッチ制御部12は、まず、入力電圧センサ10及び出力電圧センサ11の出力信号に基づいて、双方向昇圧回路1について、「出力電圧VL/入力電圧VE≧2」という条件、つまり「昇圧比≧2」という条件が成立するか否かを判定する(ステップS1)。
【0037】
このステップS1にて「No」の場合(VL/VE<2の場合)、スイッチ制御部12は、電流センサ9の出力信号に基づいて、直流電源Eの出力電流IEがゼロ以上か否か(直流電源Eから負荷Lへの放電モードか、負荷Lから直流電源Eへの充電モードか)を判定する(ステップS2)。
【0038】
このステップS2にて「Yes」の場合(IE≧0の場合)、スイッチ制御部12は、第2補助スイッチ35をオンにし(ステップS3)、第2電圧センサ3の出力信号を基に第2補助コンデンサ43の電圧VC2を計測する(ステップS4)。そして、スイッチ制御部12は、下記(1)式に基づいて電圧VC2の微分値ΔVC2を算出する(ステップS5)。なお、下記(1)式において、Vは電圧VC2の今回計測値であり、Vpは電圧VC2の前回計測値であり、ΔTは今回と前回との計測時間差である。
ΔVC2=(V−Vp)/ΔT ・・・(1)
【0039】
そして、スイッチ制御部12は、上記のように算出した電圧VC2の微分値ΔVC2がゼロ以上か否かを判定し(ステップS6)、「No」の場合(ΔVC2<0の場合)にはステップS4に戻る一方、「Yes」の場合(ΔVC2≧0の場合)には前回算出した微分値ΔVC2がゼロより小さいか否かを判定する(ステップS7)。
【0040】
スイッチ制御部12は、上記ステップS7にて「No」の場合(ΔVC2の前回値≧0の場合)にはステップS4に戻る一方、上記ステップS7にて「Yes」の場合(ΔVC2の前回値<0の場合)、つまり第2補助スイッチ35をオンにしてから第2補助コンデンサ43の電圧VC2が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第2主スイッチ30)をオンにする(ステップS8)。
【0041】
一方、上記ステップS2にて「No」の場合(IE<0の場合)、スイッチ制御部12は、第1補助スイッチ34をオンにし(ステップS9)、第1電圧センサ2の出力信号を基に第1補助コンデンサ42の電圧VC1を計測する(ステップS10)。そして、スイッチ制御部12は、下記(2)式に基づいて電圧VC1の微分値ΔVC1を算出する(ステップS11)。なお、下記(2)式において、V’は電圧VC1の今回計測値であり、Vp’は電圧VC1の前回計測値であり、ΔTは今回と前回との計測時間差である。
ΔVC1=(V’−Vp’)/ΔT ・・・(2)
【0042】
そして、スイッチ制御部12は、上記のように算出した電圧VC1の微分値ΔVC1がゼロ以上か否かを判定し(ステップS12)、「No」の場合(ΔVC1<0の場合)にはステップS10に戻る一方、「Yes」の場合(ΔVC1≧0の場合)には前回算出した微分値ΔVC1がゼロより小さいか否かを判定する(ステップS13)。
【0043】
スイッチ制御部12は、上記ステップS13にて「No」の場合(ΔVC1の前回値≧0の場合)にはステップS10に戻る一方、ステップS13にて「Yes」の場合(ΔVC1の前回値<0の場合)、つまり第1補助スイッチ34をオンにしてから第1補助コンデンサ42の電圧VC1が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第1主スイッチ29)をオンにする(ステップS8)。
【0044】
また、上記ステップS1にて「Yes」の場合(VL/VE≧2の場合)、スイッチ制御部12は、電流センサ9の出力信号に基づいて、直流電源Eの出力電流IEがゼロ以上か否か(直流電源Eから負荷Lへの放電モードか、負荷Lから直流電源Eへの充電モードか)を判定する(ステップS14)。
【0045】
このステップS14にて「Yes」の場合(IE≧0の場合)、スイッチ制御部12は、第2補助スイッチ35をオンにし(ステップS15)、第2比較回路8の出力信号レベルを監視し(ステップS16)、第2比較回路8の出力信号レベルが反転したか否か(第2補助コンデンサ43の電圧VC2の微分値ΔVC2がVref未満からVref以上へ切り替ったか否か)を判定する(ステップS17)。
【0046】
スイッチ制御部12は、上記ステップS17にて「No」の場合にはステップS16に戻る一方、「Yes」の場合、つまり第2補助スイッチ35をオンにしてから第2補助コンデンサ43の電圧VC2が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第2主スイッチ30)をオンにする(ステップS8)。
【0047】
一方、上記ステップS14にて「No」の場合(IE<0の場合)、スイッチ制御部12は、第1補助スイッチ34をオンにし(ステップS18)、第1比較回路7の出力信号レベルを監視し(ステップS19)、第1比較回路7の出力信号レベルが反転したか否か(第1補助コンデンサ42の電圧VC1の微分値ΔVC1がVref未満からVref以上へ切り替ったか否か)を判定する(ステップS20)。
【0048】
スイッチ制御部12は、上記ステップS20にて「No」の場合にはステップS19に戻る一方、「Yes」の場合、つまり第1補助スイッチ34をオンにしてから第1補助コンデンサ42の電圧VC1が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第1主スイッチ29)をオンにする(ステップS8)。
【0049】
このように、第1実施形態におけるスイッチ制御部12は、出力電圧VLと入力電圧VEとの比率(つまり昇圧比)に応じて、ソフトウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値の微分値を演算し、当該微分値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第1制御モードと、ハードウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値の微分値を演算し、当該微分値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第2制御モードとを使い分けながら、補助スイッチ及び主スイッチのスイッチング制御を行う。
【0050】
以上のような第1実施形態に係る共振型電力変換装置によれば、双方向昇圧回路1を構成する各回路素子のハードウェア特性のバラツキに影響されずに、最適なソフトスイッチング制御を実現することができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態は、補助コンデンサの電圧計測値の微分値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求めるものであったが、以下で述べる第2実施形態は、補助コンデンサの電圧計測値そのものから補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求めるものである。
【0052】
図4は、第2実施形態に係る共振型電力変換装置の構成概略図である。この
図4に示すように、第2実施形態に係る共振型電力変換装置は、第1微分アンプ4及び第2微分アンプ5が削除された点と、第1比較回路7の一方の入力端子に第1補助コンデンサ42の電圧VC1が直接印加される点と、第2比較回路8の一方の入力端子に第2補助コンデンサ43の電圧VC2が直接印加される点で第1実施形態と異なる。
【0053】
つまり、第2実施形態における第1比較回路7は、一方の入力端子に入力される第1補助コンデンサ42の電圧VC1と、他方の入力端子に入力される基準電圧Vrefとの大小関係が反転する時(電圧VC1がVref以下に切り替わる時)にレベルが反転する信号をスイッチ制御部12へ出力する。
また、第2実施形態における第2比較回路8は、一方の入力端子に入力される第2補助コンデンサ43の電圧VC2と、他方の入力端子に入力される基準電圧Vrefとの大小関係が反転する時(電圧VC2がVref以下に切り替わる時)にレベルが反転する信号をスイッチ制御部12へ出力する。
【0054】
第2実施形態におけるスイッチ制御部12は、ソフトウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第1制御モードと、ハードウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第2制御モードとを昇圧比に応じて切り替える機能を有している。
【0055】
具体的には、第2実施形態におけるスイッチ制御部12は、
図5に示すフローチャートに従って補助スイッチ及び主スイッチのスイッチング制御を行う。
図5に示すように、スイッチ制御部12は、まず、入力電圧センサ10及び出力電圧センサ11の出力信号に基づいて、双方向昇圧回路1について、「出力電圧VL/入力電圧VE≧2」という条件、つまり「昇圧比≧2」という条件が成立するか否かを判定する(ステップS31)。
【0056】
このステップS31にて「No」の場合(VL/VE<2の場合)、スイッチ制御部12は、電流センサ9の出力信号に基づいて、直流電源Eの出力電流IEがゼロ以上か否か(直流電源Eから負荷Lへの放電モードか、負荷Lから直流電源Eへの充電モードか)を判定する(ステップS32)。
このステップS32にて「Yes」の場合(IE≧0の場合)、スイッチ制御部12は、第2補助スイッチ35をオンにし(ステップS33)、第2電圧センサ3の出力信号を基に第2補助コンデンサ43の電圧VC2を計測する(ステップS34)。
【0057】
そして、スイッチ制御部12は、第2補助コンデンサ43の電圧VC2がゼロ以下か否かを判定し(ステップS35)、「No」の場合(VC2>0の場合)にはステップS34に戻る一方、「Yes」の場合(VC2≦0の場合)、つまり第2補助スイッチ35をオンにしてから第2補助コンデンサ43の電圧VC2が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第2主スイッチ30)をオンにする(ステップS36)。
【0058】
一方、上記ステップS32にて「No」の場合(IE<0の場合)、スイッチ制御部12は、第1補助スイッチ34をオンにし(ステップS37)、第1電圧センサ2の出力信号を基に第1補助コンデンサ42の電圧VC1を計測する(ステップS38)。
【0059】
そして、スイッチ制御部12は、第1補助コンデンサ42の電圧VC1がゼロ以下か否かを判定し(ステップS39)、「No」の場合(VC1>0の場合)にはステップS38に戻る一方、「Yes」の場合(VC1≦0の場合)、つまり第1補助スイッチ34をオンにしてから第1補助コンデンサ42の電圧VC1が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第1主スイッチ29)をオンにする(ステップS36)。
【0060】
また、上記ステップS31にて「Yes」の場合(VL/VE≧2の場合)、スイッチ制御部12は、電流センサ9の出力信号に基づいて、直流電源Eの出力電流IEがゼロ以上か否か(直流電源Eから負荷Lへの放電モードか、負荷Lから直流電源Eへの充電モードか)を判定する(ステップS40)。
【0061】
このステップS40にて「Yes」の場合(IE≧0の場合)、スイッチ制御部12は、第2補助スイッチ35をオンにし(ステップS41)、第2比較回路8の出力信号レベルを監視し(ステップS42)、第2比較回路8の出力信号レベルが反転したか否か(第2補助コンデンサ43の電圧VC2がVref以下へ切り替ったか否か)を判定する(ステップS43)。
【0062】
スイッチ制御部12は、上記ステップS43にて「No」の場合にはステップS42に戻る一方、「Yes」の場合、つまり第2補助スイッチ35をオンにしてから第2補助コンデンサ43の電圧VC2が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第2主スイッチ30)をオンにする(ステップS36)。
【0063】
一方、上記ステップS40にて「No」の場合(IE<0の場合)、スイッチ制御部12は、第1補助スイッチ34をオンにし(ステップS44)、第1比較回路7の出力信号レベルを監視し(ステップS45)、第1比較回路7の出力信号レベルが反転したか否か(第1補助コンデンサ42の電圧VC1がVref以下へ切り替ったか否か)を判定する(ステップS46)。
【0064】
スイッチ制御部12は、上記ステップS46にて「No」の場合にはステップS45に戻る一方、「Yes」の場合、つまり第1補助スイッチ34をオンにしてから第1補助コンデンサ42の電圧VC1が最小(ゼロ)になった場合には主スイッチ(この場合、第1主スイッチ29)をオンにする(ステップS36)。
【0065】
このように、第2実施形態におけるスイッチ制御部12は、出力電圧VLと入力電圧VEとの比率(つまり昇圧比)に応じて、ソフトウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第1制御モードと、ハードウェア処理によって補助コンデンサの電圧計測値から補助コンデンサの電圧が最小となる時点を求める第2制御モードとを使い分けながら、補助スイッチ及び主スイッチのスイッチング制御を行う。
【0066】
以上のような第2実施形態に係る共振型電力変換装置によれば、第1実施形態と同様に、双方向昇圧回路1を構成する各回路素子のハードウェア特性のバラツキに影響されずに、最適なソフトスイッチング制御を実現することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
すなわち、例えば上記実施形態において、基準電圧Vrefをゼロボルトとしても良い。また、上記実施形態では、本共振型電力変換装置として双方向昇圧式のDC/DCコンバータを例示したが、特許第4397938号公報の
図1に記載されているような、単方向昇圧式のDC/DCコンバータであっても、本発明を適用することができる。