(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、カウルトップガーニッシュには、空調のための空気を取入れる開口部が形成されている。空気取入用の開口部から取入れられた空気は、カウルボックスを介して、例えばダッシュパネルに形成された孔部を経て車室内に至る。なお、カウルボックスとは、上記のカウルトップガーニッシュに加え、例えば車体カウルパネル、ウインドシールドパネル、ダッシュパネルなどの部材で囲まれた車幅方向に亘る空間部である。
【0006】
車室内に十分な量の空気を取入れるためには、例えば、カウルトップガーニッシュの開口部の面積を大きくし、あるいは多数の開口部を設けることが考えられる。一例として、特許文献1では、カウルトップカバーだけでなく、フェンダーカバー部材にも開口部を設けることが考えられる。
【0007】
しかし、車両では、例えばワイパーを駆動させるモータなどの、カウルボックス内に配置される各種部品の取付け位置を考慮したり、また、雨水や洗車時での水が開口部からカウルボックス内に浸入し難いように対策を施したりする必要がある。なお、開口部からの水の浸入を防止する対策としては、別部品のカバー部材などを開口部の車両後方に配置することなどが考えられる。
【0008】
このような状況から、空気を取入れるために設ける開口部には、その大きさ、位置および数について制約がある。さらに、フェンダーカバー部材に開口部を設けてしまうと、外観が損なわれるという問題もある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、水の浸入を防止しつつ、外観を損なうことなく空気の取入れが可能な車両用カウルトップガーニッシュを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用カウルトップガーニッシュの代表的な構成は、車両のフロントフードとウインドシールドガラスとの間に配置され、車幅方向に延びる車両用カウルトップガーニッシュにおいて、実質的に車幅全体にわたっていて少なくとも一方の端部に空気取入れ用の開口部を有する第1ガーニッシュと、第1ガーニッシュの開口部を上方から覆い車両側面まで達する第2ガーニッシュとを備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、第1ガーニッシュの少なくとも一方の端部に設けられた開口部は第2ガーニッシュで覆われているため、開口部から雨水や洗車時での水がカウルボックス内に浸入することを防止できる。言い換えると、第1ガーニッシュは、第2ガーニッシュで覆うことが可能な位置に開口部を設けているために、開口部から水が浸入し難い。また、開口部は、第2ガーニッシュで覆われて外側から視認されない位置にあるので、外観が損なわれることもない。さらに、第1ガーニッシュには、例えば既存の開口部に加えて本発明による開口部を設けるので、十分な量の空気の取入れが可能となる。
【0012】
上記の第1ガーニッシュの少なくとも一方の端部には窪みが形成されていて、窪みは、車内側の側面である第1縦壁部と、車外側の側面である第2縦壁部と、第1縦壁部および第2縦壁部の下端同士をつなぐ底面部と、第1縦壁部および第2縦壁部の後端同士をつなぐ第3縦壁部とを含み、開口部は、底面部、第2縦壁部および第3縦壁部に跨って形成されているとよい。これにより、開口部では、第2縦壁部、底面部および第3縦壁部に向かう方向に流れる空気をカウルボックス内に容易に取入れることができる。
【0013】
上記の第2ガーニッシュは、ウインドシールドガラスの下辺および側辺の一部に沿って延びていて、第1ガーニッシュの開口部は、ウインドシールドガラスの下辺と側辺とが交差する角部付近に位置しているとよい。これにより、開口部は、ウインドシールドガラスの側辺に沿う部分ではなく、第1ガーニッシュの中央部からほぼ車幅方向に沿った部分、すなわちウインドシールドガラスの下辺に沿った部分に位置している。このため、開口部は、第1ガーニッシュの中央部から車幅方向に流れてくる空気を取り入れることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水の浸入を防止しつつ、外観を損なうことなく空気の取入れが可能な車両用カウルトップガーニッシュを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態における車両用カウルトップガーニッシュが適用される車両を示す図である。
図2は、
図1の車両用カウルトップガーニッシュの分解斜視図である。なお各図に示す矢印X、Yは、それぞれ車両前側、車両左側を示している。
【0018】
車両100は、例えば、フロントフード102の後端とウインドシールドガラス104の前端との間に配置されていて、車幅方向に延びるカウルトップガーニッシュ106を備える。カウルトップガーニッシュ106は、例えば樹脂製であり車幅方向に延びていて複雑な形状を有していることから、成形が困難な場合がある。
【0019】
そのため、カウルトップガーニッシュ106は、
図2に示すように、カウルトップセンターガーニッシュ(以下、第1ガーニッシュ108)と、2つのカウルトップサイドガーニッシュ(以下、第2ガーニッシュ110、112)とを含み、これらを組み合わせることで形成される。第1ガーニッシュ108の前端部には、フロントフード102に接するゴム製のシール部材114が取付けられる。
【0020】
また、カウルトップガーニッシュ106は、エンジンルームと車室内とを区画する不図示のダッシュパネルなどの部材とともに、後述する内部空間(カウルボックス)を形成する。本来、カウルトップガーニッシュ106は、エンジンルームの熱気が車室内に流れ込まないように、各種ボディパネルとの隙間を極力小さくする形状となっている。しかし、カウルボックスは、例えばワイパーを駆動するモータなどの各種部品を収容するだけでなく、空調のための外気(空気)を取入れるためにも利用される。
【0021】
このため、カウルトップガーニッシュ106には、空気取入用の第1開口部116および第2開口部118が形成されている。これらの第1開口部116および第2開口部118は、
図2に示すように、いずれも第1ガーニッシュ108に形成されていて、第2ガーニッシュ110、112には形成されていない。
【0022】
第1ガーニッシュ108は、
図1に示すように、車幅方向の中央から両端まで実質的に車幅全体にわたる部材であり、少なくとも一方の端部に第1開口部116が形成されている。
図1および
図2では、第1ガーニッシュ108の左側端部(端部120)に形成された第1開口部116のみを示している。
【0023】
図3は、
図1の車両100の一部を拡大して示す図である。ここでは、図中点線で示す第1開口部116と、実線で示す第2開口部118とを含む車両左側を拡大して示している。第2開口部118は、第1開口部116よりも車内側であって第1ガーニッシュ108の意匠面に形成されている。第2開口部118は、車両前後方向が長手方向となる細長い孔118aを含み、これらの孔118aが車幅方向に複数並んで形成されている。
【0024】
第2ガーニッシュ110は、ウインドシールドガラス104の前端(下辺104a)と側辺104bとが交差する角部104c付近に配置されている。つまり、第2ガーニッシュ110は、ウインドシールドガラス104の下辺104aから側辺104bの一部まで沿って延びていて、車両側面まで達する部材であり、図示のように、第1ガーニッシュ108に形成された第1開口部116を上方から覆っている。
【0025】
第2ガーニッシュ110で覆われる第1開口部116は、図示のように、ウインドシールドガラス104の角部104c付近、すなわちウインドシールドガラス104の側辺104bではなく、第1ガーニッシュ108の車幅方向の下辺104aに沿った部分に位置している。
【0026】
第2ガーニッシュ110の車外側では、前方にフロントフード102が配置され、後方にフロントフェンダーパネル122が配置されている。なお、
図1に示す上記第2ガーニッシュ112についても、第2ガーニッシュ110と同様の構成を有している。
【0027】
図4は、
図3の車両100の一部を透視して示す図である。
図4(a)は、車両100の上記第2ガーニッシュ110を透視した状態を示す図である。
図4(b)は、
図4(a)のC−C断面を概略的に示す図である。
【0028】
第1ガーニッシュ108の端部120には、図示のように、窪み120aが形成されている。窪み120aは、
図4(a)に示すように、車内側の側面となり車両前後方向に延びている第1壁部124を有する。第1壁部124は、
図4(b)に示すように、車外側ほど下方に向かうように傾斜している。
【0029】
また、窪み120aは、第1縦壁部124に加えて、底面部126、第2縦壁部128、第3縦壁部132を有する。底面部126は、
図4(a)に示すように、第1縦壁部124および第2縦壁部128の下端同士をつないでいる。また、底面部126は、
図4(b)に示すように、第1縦壁部124の下端から連続してほぼ水平の傾きを有している。
【0030】
第2縦壁部128は、
図4(a)に示すように、窪み120aの車外側の側面となり、車両前後方向に延びている。また、第2縦壁部128は、
図4(b)に示すように、底面部126から立ち上がるように立設されている。第3縦壁部132は、
図4(a)に示すように、第1縦壁部124および第2縦壁部128の後端同士をつないでいて、例えば車両後側に傾斜する傾斜面を有している。
【0031】
さらに窪み120aの車外側には、
図4(a)に示す壁部130が形成されている。壁部130は、
図4(b)に示すように、第2縦壁部128の上端から車外側に張り出して、第1ガーニッシュ108の外側端部を形成する。なお、壁部130は、
図4(a)に示すように、第3縦壁部132とも連続している。
【0032】
そして、第1開口部116は、
図4(a)および
図4(b)に示すように、底面部126、第2縦壁部128および第3縦壁部132に跨って形成されている。このため、第1開口部116では、底面部126、第2縦壁部128、および第3縦壁部132に向かう方向に流れる空気を容易に取入れることができる。なお、上記の第1開口部116が形成された窪み120aは、図中に代表的に示す第1ガーニッシュ108の端部120だけでなく、右側端部にも形成される場合がある。
【0033】
図5は、
図3の車両用カウルトップガーニッシュ106を含む車両100の断面を示す図である。
図5(a)および
図5(b)は、それぞれA−A断面、B−B断面を示している。第1ガーニッシュ108は、
図5(a)に示すように、上方から第2ガーニッシュ110で覆われた第1開口部116を有している。
【0034】
第1開口部116は、
図5(a)に示されるA−A断面において、
図4(a)に示した第2縦壁部128と底面部126とを跨ぐように形成されている。図中には第2縦壁部128の上端と連続する上記壁部130も示されている。
【0035】
底面部126は、
図5(a)のA−A断面において第1開口部116の車両前側に位置している。そして、底面部126は、先端に上記シール部材114が挟み込まれ固定された前端部134に連続している。シール部材114は、車幅方向に延びていてフロントフード102の内側パネル102aに接することでシール性を確保している。また、第2開口部118では、
図5(b)に示すように、上記した孔118aが車幅方向に並んで配置されている。
【0036】
また、第1ガーニッシュ108の前端部134よりも後方には、第1開口部116と連通するカウルボックス136が形成されている。このため、第1開口部116から取入れられた空気は、カウルボックス136を介して車室内に取入れられる。
【0037】
図6は、比較例の車両用カウルトップガーニッシュ106Aを含む車両100Aを示す図である。
図7は、
図6の車両用カウルトップガーニッシュ106Aを含む車両100Aの断面を示す図である。なお、
図7は、
図6のD−D断面図であり、
図5(a)に示すA−A断面図と同一部材には同一符号を付し、説明を適宜省略する。
【0038】
比較例のカウルトップガーニッシュ106Aは、上記の第1開口部116に代えて、ガーニッシュ108Aに図中実線で示す他の開口部116Aを設けた点で、上記のカウルトップガーニッシュ106とは異なる。
【0039】
開口部116Aは、
図6に示すように、第1ガーニッシュ108Aのうち、第2ガーニッシュ110で覆われていない位置に形成されている。このため、開口部116Aは、第2開口部118と同様にガーニッシュ108Aの意匠面に設けられ外側から視認される。
【0040】
また、ガーニッシュ108Aは、
図7に示すように、ガーニッシュ108Aの下端にて接する車体カウルパネル138と、車体カウルパネル138と下端にて接する上記ダッシュパネル140と、ダッシュパネル140の上端にて接しウインドシールドガラス104の下方に位置するウインドシールドパネル142とともに、上記カウルボックス136を形成している。
【0041】
また、ダッシュパネル140には、車室内に空気を取り込むための孔部140aが形成されている。
【0042】
このように、カウルボックス136では、ダッシュパネル140に孔部140aが設けられていることから、空気以外すなわち雨水や洗車時での水が孔部140aを介して車室内に浸入することを防止する必要がある。
【0043】
比較例のカウルトップガーニッシュ106Aでは、第2ガーニッシュ110に覆われていない位置に開口部116Aが形成されていることから、
図7に一点鎖線で示す矢印Eのように水がカウルボックス136および孔部140aを介して、車室内に直接浸入する可能性がある。ダッシュパネル140には、例えば空気の流れを規制する板金製部材144が固定されていて、孔部140aの例えば下側を覆っているが、上側は開放されたままであり、水の浸入を防止することは困難となる。
【0044】
そこで、比較例のカウルトップガーニッシュ106Aでは、
図7に示すように、開口部116Aの裏側すなわちカウルボックス136内にカバー部材146などを追加し、水の流れを規制しなければならない。また、カウルトップガーニッシュ106Aでは、
図6に示すように、開口部116Aが視認されることから、外観も損なわれてしまう。
【0045】
これに対して、本実施形態におけるカウルトップガーニッシュ106では、第1ガーニッシュ108のうち、第2ガーニッシュ110で覆うことが可能な位置に第1開口部116を設けている。このため、別部品であるカバー部材146などを設けることなく、第1開口部116から雨水や洗車時での水がカウルボックス136内に浸入することを防止できる。
【0046】
また、第1ガーニッシュ108には、第2開口部118に加えて、第1開口部116を設けているので、第1開口部116を設けた分、十分な量の空気の取入れが可能となる。さらに、第1開口部116は、第2ガーニッシュ110で覆われて外側から視認されない位置にあるので、外観が損なわれることもない。
【0047】
ところで、第2開口部118は、フロントフード102の後端の車両後側に配置され
図6にて点線で示す板金製部材144に対して、車両幅方向で重ならないように配置されている。一方、
図7に示すように、上記孔部140aと板金製部材144とは車両前後方向で重なっている。つまり、第2開口部118は、車両前後方向で孔部140aと重なっていない。よって、第2開口部118から浸入した水は、車室内に浸入し難い。
【0048】
また、第1開口部116は、上記したように、ウインドシールドガラス104の側辺104bではなく下辺104aに沿った角部104c付近に位置している。このため、第1開口部116は、第1ガーニッシュ108の車両中央側から車幅方向に向けて流れてくる空気を取り入れることが可能となる。なお、ウインドシールドガラス104の側辺104bに第1開口部116を設けた場合には、車幅方向に向かう空気を取入れることは困難となる。
【0049】
このように、カウルトップガーニッシュ106では、第2開口部118に加えて、第2ガーニッシュ110で覆われた位置に第1開口部116を設けたので、車室内に空気を取入れるための開口面積を確保しつつ、車室内への水の浸入を防止できる。
【0050】
なお車両100では、上記の第1開口部116および第2開口部118に限られず、フロントフェンダーパネル122とフロントフード102との間の隙間、第2ガーニッシュ110とフロントフード102との間の隙間、さらに、フロントフード102と第1ガーニッシュ108との隙間など、各部材間の隙間からも空気がカウルボックス136内を介して車室内に取入れられる。
【0051】
また上記実施形態では、カウルトップガーニッシュ106を1つの第1ガーニッシュ108と2つの第2ガーニッシュ110、112とに分割したが、第2ガーニッシュ110、112で覆うことが可能な位置に第1開口部116を設定できるのであれば、分割の位置や数はこれに限定されない。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。