(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本実施の形態を説明する前に、
図12から
図15までを用いて、その前提又は本実施の形態を利用する画像処理装置について説明する。なお、この説明は、本実施の形態の理解を容易にすることを目的とするものである。
【0013】
吐出するドロップ量を数段階切り替えることのできるマルチドロップ制御のインクジェットを対象とする。なお、ドロップ量の切り替えの段階として、複数段階あればよく、例えば、大滴、小滴の2段階、大滴、中滴、小滴の3段階、そして4段階以上であってもよい。以下、3段階の例を示す。この滴の使い分けは、濃度の表現に用いられる。例えば、濃度が低い部分(薄い部分)を表現する場合は小滴のみを用い、濃度が高い部分(濃い部分)を表現する場合は大滴を用いるようにしている。
ドロップ量の切り替え部分(例えば、小滴から中滴に、中滴から大滴に切り替わる部分)で、濃度が低下する現象が発生する場合がある。大滴・中滴・小滴で滴速差による着弾ズレが発生し、画像に粗密が生じるためである。
図15は、着弾ズレの例を示す説明図である。
図15(a)は、4行5列で中滴を着弾した様子(印刷した微小な部分)の例を示している。この段階から濃度を上げる(濃くする)と、中滴と大滴を混合することになる。例えば、2b、4cの位置に大滴を着弾させるとすると、理想的には、
図15(b)のように、
図15(a)における2b、4cの位置に着弾している中滴の中心と、大滴の中心が一致する。このようになれば、ドロップ量の切り替え部分(中滴と大滴を混合し始める段階)で、濃度が低下する現象は発生しない。しかし、実際には、大滴と中滴で滴速差による着弾ズレが発生する場合がある。
図15(c)は、この着弾ズレが発生した様子を示したものである。つまり、
図15(b)と比べると空白がより多く生じていることになり、本来表現したい濃度よりも低くなり、
図15(a)の状態よりも濃度が低下する。
【0014】
一方、画像を印刷する場合、一般的に出力装置の階調特性を補正する処理が行われており、階調(階調カーブ)を補正するためのデータが必要となる。これは、後述するような階調補正テーブル800のようなものである。
図12に示すグラフは、入力データに対する大滴、中滴、小滴への分配の1例を示したものである。横軸は入力データ(濃度)であり、縦軸はその濃度を表現するための滴の量を示している。小滴1210、中滴1220のグラフは、0%から33%までは小滴のみで表現し、33%から66%までは小滴と中滴を混合させて表現することを示している。そして、33%までは小滴の量を上昇させ、33%から66%までは小滴の量を下降させて中滴の量を上昇させている。また、中滴1220、大滴1230のグラフは、66%から100%までは中滴と大滴を混合させて表現することを示している。そして、66%から100%までは中滴の量を下降させて大滴の量を上昇させている。
また、グラフ内の四角の点(均等に10%刻みでプロットされている点)は、階調カーブを作成する際に出力する色見本(階調パッチ)の位置を示している。つまり、
図14の例に示すように、色見本として、C、M、Y、Kの4色について、10%刻みで色見本を印刷する。
【0015】
図13は、
図12の例に示す大滴、中滴、小滴の分配での実際の階調特性と、
図12の例に示す色見本位置で取得したデータで予測した階調特性とを示したものである。つまり、
図14の例に示した色見本を測定してプロットしたものが、
図13(a)の例のグラフ内の四角の点である。そして、そのプロット間を直線で結んでいるグラフがプロット間の予測した階調特性となる。
実際の階調特性をみてみると、小滴のみから小滴と中滴の混合への切り替え部分、小滴と中滴の混合から中滴と大滴の混合への切り替え付近で特性がS字となっている。しかし、均等配置の色見本の測定データから算出したものでは、その影響が無視されたものとなっている。
図13の例のグラフ内の対象領域1310を拡大して表示したものが
図13(b)の例である。点線の算出カーブ1340と実線である実際の階調特性カーブ1330とを比較すると、一致しておらず、特にプロット1324からプロット1326までは、実際の階調特性カーブ1330が算出カーブ1340よりも低下する減少が発生する。
したがって、
図14に示すような色見本の位置で階調カーブを作成した場合、出力画像に階調段差が発生してしまう。つまり、ドロップ量の切り替え部分で階調がS字になってしまい、階調段差が発生する。
【0016】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態(色見本印刷を行う画像処理装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0017】
本実施の形態である画像処理装置は、色見本を印刷するものであって、
図1の例に示すように、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、階調補正印刷データ生成モジュール120、スクリーン処理モジュール130、印刷モジュール140を有している。
【0018】
分配閾値パラメータ記憶モジュール110は、階調補正印刷データ生成モジュール120、スクリーン処理モジュール130と接続されている。分配閾値パラメータ記憶モジュール110は、滴の大きさによって分類された第1の滴と第2の滴を混合し始める段階における階調の閾値を記憶している。「滴の大きさによって分類された第1の滴と第2の滴」とは、例えば、前述のように小滴、中滴、大滴の3種類の滴の大きさがある場合に、「小滴と中滴」、「中滴と大滴」の組み合わせがある。なお、4種類以上の滴の大きさであってもよいが、滴の種類の組み合わせは、その2種の滴を混合して印刷する場合の組み合わせであって、具体的には、滴の大きさが隣り合う種類の組み合わせである。
そして、「混合し始める段階における階調の閾値(以下、分配閾値パラメータともいう)」として、例えば、小滴のみで表現している段階から小滴と中滴の混合で表現する段階への境界(小滴と中滴の混合で表現する最初の段階、小滴100%の段階といってもよい)、小滴と中滴で表現している段階から中滴と大滴の混合で表現する段階への境界(中滴と大滴の混合で表現する最初の段階、中滴100%の段階といってもよい)である。具体的には、前述の例では、33%、66%が該当する。これらの閾値は、予め定められた値である。
【0019】
階調補正印刷データ生成モジュール120は、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、スクリーン処理モジュール130と接続されている。階調補正印刷データ生成モジュール120は、分配閾値パラメータ記憶モジュール110から階調の閾値を受け取り、その閾値より大又は以上であって、予め定められた間隔で色見本データを生成する。例えば、色毎(C、M、Y、K等)に濃度が0%から10%刻みに100%までの色見本データを生成する。そして、この他に、第1の滴と第2の滴を混合し始める段階における階調の閾値及び閾値より大又は以上であって、予め定められた間隔で色見本データを生成する。つまり、閾値における色見本データを少なくとも含み、その閾値より大又は以上の階調の色見本データを含める。そして、閾値より大又は以上の階調は、予め定められた間隔で選択されたものである。例えば、階調の閾値が33%である場合は、33%、34%、36%、38%、40%、42%としてもよい。また、階調の閾値が66%である場合は、66%、68%、70%、72%としてもよい。なお、「予め定められた間隔」とは、一定の間隔であってもよいし、その間隔は一定ではなく、例えば、詳細に測定すべき値の近辺である場合は短い間隔にし、予測した値に近いことが予めわかっている領域では長い間隔にしてもよい。
図3は、本実施の形態による色見本を出力する位置の例を示すグラフである。前述の
図12の説明と同等のものであるが、
図12の例に示すグラフと比較して、色見本を出力する位置が、階調の閾値が33%より大又は以上の予め定められた領域(
図3の例では、33%から42%)内で予め定められた濃度(
図3の例では、34%、36%、38%、40%、42%)の色見本を出力する位置(四角の点のプロット位置)があり、階調の閾値が66%より大又は以上の予め定められた領域(
図3の例では、66%から72%)内で予め定められた濃度(
図3の例では、68%、70%、72%)の色見本を出力する位置(四角の点のプロット位置)がある。つまり、各ドロップ量の100%の色見本を含み、小滴100%又は中滴100%から右側へ下がる方向に間隔を狭くして配置されている。
【0020】
スクリーン処理モジュール130は、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、階調補正印刷データ生成モジュール120、印刷モジュール140と接続されている。スクリーン処理モジュール130は、階調補正印刷データ生成モジュール120によって生成された色見本データに基づいて、色見本を印刷するために、スクリーン処理を施す。
印刷モジュール140は、スクリーン処理モジュール130と接続されている。印刷モジュール140は、スクリーン処理モジュール130によってスクリーン処理が施された色見本データに基づいて、色見本を印刷する。
図4は、本実施の形態による色見本の出力例を示す説明図である。
図4の例では、C、M、Y、Kの色毎に、濃度10%刻みの色見本の他に濃度33%、34%、36%、38%、42%、66%、68%、72%における色見本が印刷されている。
【0021】
図2は、本実施の形態の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS202では、階調補正印刷データ生成モジュール120が、分配閾値パラメータ記憶モジュール110から分配閾値パラメータを取得する。
ステップS204では、階調補正印刷データ生成モジュール120が、階調変化用の色見本データを生成する。
ステップS206では、スクリーン処理モジュール130が、色見本データに対してスクリーン処理を施す。
ステップS208では、印刷モジュール140が、色見本を印刷する。
【0022】
図5は、本実施の形態(階調補正データ生成を行う画像処理装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。本実施の形態は、
図5の例に示すように、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、測色モジュール510、階調補正パラメータ生成モジュール520、階調補正パラメータ記憶モジュール530を有している。なお、前述した実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0023】
測色モジュール510は、階調補正パラメータ生成モジュール520と接続されている。測色モジュール510は、
図1の例に示す印刷モジュール140によって印刷された色見本の濃度を測定する。例えば、スキャナであり、
図4の例のような色見本の用紙における各色見本部分の濃度を測定する。測定結果としては、色毎の濃度に対応した測定濃度データ(例えば、Cの80%の濃度データ)である。
分配閾値パラメータ記憶モジュール110は、階調補正パラメータ生成モジュール520と接続されている。
【0024】
階調補正パラメータ生成モジュール520は、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、測色モジュール510、階調補正パラメータ記憶モジュール530と接続されている。階調補正パラメータ生成モジュール520は、分配閾値パラメータ記憶モジュール110から滴の大きさによって分類された第1の滴と第2の滴を混合し始める段階における階調の閾値を受け付け、測色モジュール510によって測定された濃度に基づいて、階調を補正するためのデータ(以下、階調補正パラメータともいう)を生成する。そして、階調補正パラメータ生成モジュール520は、階調の閾値における測色モジュール510によって測定された第1の階調と、その閾値より大又は以上における測色モジュール510によって測定された第2の階調とを比較して、第2の階調が第1の階調よりも小又は以下である場合は、第2の階調を用いずに、階調を補正するためのデータを生成する。そして、生成した階調を補正するためのデータを階調補正パラメータ記憶モジュール530に記憶させる。階調を補正するためのデータを生成方法としては、従来から知られている方法を用いて、測定濃度データ間を補間(例えば、印刷装置の階調特性に合わせて、線形補間、予め定められた計算式におる補間等)すればよい。ただし、一様増加になっていない部分については、その測定濃度データは用いない。この処理の詳細については、
図7に例示したフローチャートを用いて後述する。
【0025】
階調補正パラメータ記憶モジュール530は、階調補正パラメータ生成モジュール520と接続されている。階調補正パラメータ記憶モジュール530は、階調補正パラメータ生成モジュール520によって生成された階調を補正するためのデータを記憶する。そのデータ構造は、例えば、階調補正テーブル800のようにする。
図8は、本実施の形態の形態によって生成される階調補正テーブル800のデータ構造例を示す説明図である。階調補正テーブル800は、入力階調欄810、出力階調欄820を有している。入力階調欄810は、入力階調を記憶している。出力階調欄820は、出力階調を記憶している。つまり、印刷データの階調を入力とし、それに対応する出力階調で印刷装置により印刷を行うために用いるものである。
【0026】
図6は、本実施の形態の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、測色モジュール510が、色見本の各色を測定する。
ステップS604では、階調補正パラメータ生成モジュール520が、階調補正パラメータを生成する。詳細については、
図7に例示したフローチャートを用いて後述する。
ステップS606では、階調補正パラメータ生成モジュール520が、階調補正パラメータ記憶モジュール530に、生成した階調補正パラメータを記憶させる。
【0027】
図7は、本実施の形態の形態による処理例(
図6の例に示すフローチャート内のステップS604)を示すフローチャートである。
ステップS702では、分配閾値パラメータ記憶モジュール110から分配閾値パラメータを取得する。例えば、小滴と中滴を混合し始める段階の閾値をth1、中滴と大滴を混合し始める段階の閾値をth2とする。
ステップS704では、X>th1であるか否かを判断し、X>th1である場合はステップS706へ進み、それ以外の場合はステップS712へ進む。X>th1である場合とは、小滴100%を越えた状態である。
図3の例では、33%を越えた状態である。33%を越えていなければ、小滴だけで表現されている状況であるので、そのままステップS712の処理を行う。
ステップS706では、X>th2であるか否かを判断し、X>th2である場合はステップS708へ進み、それ以外の場合はステップS710へ進む。X>th2である場合とは、中滴100%を越えた状態である。
図3の例では、66%を越えた状態である。
【0028】
ステップS708では、OD
X>OD
th2であるか否かを判断し、OD
X>OD
th2である場合はステップS712へ進み、それ以外の場合はステップS714へ進む。ここで、ODとは、測定濃度データである。これは一様増加になっているか否かを判断しており、その判断に、直前のOD(OD
Xより
図3に例示のグラフ上では直近の左側にあるOD
X−1)との比較ではなく、OD
th2の値を用いている。OD
X>OD
th2である場合は一様増加になっていると判断してステップS712へ進み、それ以外の場合はステップS714へ進む。ステップS712を経ずにステップS714へ進むことは、そのOD
Xの値は、「階調を補正するためのデータ」の生成には用いないことを意味する。
【0029】
ステップS710では、OD
X>OD
th1であるか否かを判断し、OD
X>OD
th1である場合はステップS712へ進み、それ以外の場合はステップS714へ進む。ステップS708と同様に、一様増加になっているか否かを判断しており、その判断に、直前のOD(OD
Xより
図3に例示のグラフ上では直近の左側にあるOD
X−1)との比較ではなく、OD
th1の値を用いている。OD
X>OD
th1である場合は一様増加になっていると判断してステップS712へ進み、それ以外の場合はステップS714へ進む。ステップS712を経ずにステップS714へ進むことは、そのOD
Xの値は、「階調を補正するためのデータ」の生成には用いないことを意味する。
【0030】
ステップS712では、データ(OD
X)を格納する。
ステップS714では、対象とするデータは無いか否かを判断し、対象とするデータが無い場合はステップS716へ進み、それ以外の場合(対象とするデータがまだある場合)はステップS704へ戻る。
ステップS716では、格納されたデータを用いて、階調補正パラメータを生成する。
【0031】
図9は、本実施の形態(画像印刷を行う画像処理装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。本実施の形態は、
図9の例に示すように、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、階調補正印刷データ生成モジュール120、スクリーン処理モジュール130、印刷モジュール140、測色モジュール510、階調補正パラメータ生成モジュール520、階調補正パラメータ記憶モジュール530、色変換モジュール910、色変換パラメータ記憶モジュール920、階調補正処理モジュール930を有している。なお、前述した実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
この例は、
図1と
図5に例示したモジュール構成を組み合わせ、さらに生成した階調補正パラメータを用いて印刷データ905を印刷するものである。
【0032】
色変換モジュール910は、色変換パラメータ記憶モジュール920、階調補正処理モジュール930と接続されている。色変換モジュール910は、印刷データ905を受け付けて印刷モジュール140が印刷可能な色空間に変換する。例えば、色変換モジュール910がRGB色空間で表現されている場合は、CMYK色空間に変換する。印刷データ905を受け付けるとは、例えば、他の情報処理装置によって作成されたPDF(Portable Document Format)(登録商標)データを受け取ること、スキャナ、カメラ等で読み込んだ画像を受け取ること、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている文書を読み出すこと等が含まれる。
色変換パラメータ記憶モジュール920は、色変換モジュール910と接続されている。色変換パラメータ記憶モジュール920は、色変換用のデータを記憶している。色変換モジュール910は、このデータを用いて色変換を行う。
【0033】
階調補正処理モジュール930は、スクリーン処理モジュール130、階調補正パラメータ記憶モジュール530、色変換モジュール910と接続されている。階調補正処理モジュール930は、階調補正パラメータ記憶モジュール530に記憶されている階調を補正するためのデータに基づいて、色変換モジュール910によって受け付けられ、色変換された印刷データ905の階調を補正する。つまり、印刷モジュール140の階調再現特性に合わせた補正を行う。
階調補正パラメータ記憶モジュール530は、階調補正パラメータ生成モジュール520、階調補正処理モジュール930と接続されている。
スクリーン処理モジュール130は、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、階調補正印刷データ生成モジュール120、印刷モジュール140、階調補正処理モジュール930と接続されている。スクリーン処理モジュール130は、階調補正処理モジュール930によって階調が補正された印刷データ905に対してスクリーン処理を施す。
【0034】
図10は、本実施の形態の形態による処理例を示すフローチャートである。ステップS1002からステップS1008までは
図2に例示したフローチャートに該当し、ステップS1010からステップS1014までは
図6に例示したフローチャートに該当する。
ステップS1002では、階調補正印刷データ生成モジュール120が、分配閾値パラメータ記憶モジュール110から分配閾値パラメータを取得する。
ステップS1004では、階調補正印刷データ生成モジュール120が、階調変化用の色見本データを生成する。
ステップS1006では、スクリーン処理モジュール130が、色見本データに対してスクリーン処理を施す。
ステップS1008では、印刷モジュール140が、色見本を印刷する。
ステップS1010では、測色モジュール510が、色見本の各色を測定する。
ステップS1012では、階調補正パラメータ生成モジュール520が、階調補正パラメータを生成する。
ステップS1014では、階調補正パラメータ生成モジュール520が、階調補正パラメータ記憶モジュール530に、生成した階調補正パラメータを記憶させる。
【0035】
ステップS1016では、色変換モジュール910が、印刷データ905を受け付ける。
ステップS1018では、色変換モジュール910が、印刷データ905に対して、色変換パラメータ記憶モジュール920内の色変換パラメータを用いて色変換処理を行う。
ステップS1020では、階調補正処理モジュール930が、色変換処理された印刷データ905に対して、階調補正パラメータ記憶モジュール530内の階調補正パラメータを用いて階調補正処理を行う。
ステップS1022では、スクリーン処理モジュール130が、階調補正後の印刷データ905に対して、スクリーン処理を施す。
ステップS1024では、印刷モジュール140が、スクリーン処理された印刷データ905を印刷する。
【0036】
図11を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。
図11に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1117と、プリンタなどのデータ出力部1118を備えたハードウェア構成例を示している。
【0037】
CPU(Central Processing Unit)1101は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、階調補正印刷データ生成モジュール120、スクリーン処理モジュール130、印刷モジュール140、測色モジュール510、階調補正パラメータ生成モジュール520、色変換モジュール910、階調補正処理モジュール930等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0038】
ROM(Read Only Memory)1102は、CPU1101が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1103は、CPU1101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1104により相互に接続されている。
【0039】
ホストバス1104は、ブリッジ1105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1106に接続されている。
【0040】
キーボード1108、マウス等のポインティングデバイス1109は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1110は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0041】
HDD(Hard Disk Drive)1111は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1101によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクは、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、階調補正パラメータ記憶モジュール530、色変換パラメータ記憶モジュール920として機能し、分配閾値パラメータ、階調補正テーブル800などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0042】
ドライブ1112は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1113に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1107、外部バス1106、ブリッジ1105、及びホストバス1104を介して接続されているRAM1103に供給する。リムーバブル記録媒体1113も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0043】
接続ポート1114は、外部接続機器1115を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1114は、インタフェース1107、及び外部バス1106、ブリッジ1105、ホストバス1104等を介してCPU1101等に接続されている。通信部1116は、通信回線に接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1117は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1118は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0044】
なお、
図11に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、
図11に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに
図11に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0045】
図9に例示のモジュール構成においては、
図1と
図5に例示したモジュール構成を組み合わせ、さらに生成した階調補正パラメータを用いて印刷データ905を印刷するものを示したが、
図1と
図5に例示したモジュール構成を組み合わせるだけでもよい。つまり、測色モジュール510、階調補正パラメータ生成モジュール520、階調補正パラメータ記憶モジュール530、分配閾値パラメータ記憶モジュール110、階調補正印刷データ生成モジュール120、スクリーン処理モジュール130、印刷モジュール140の組み合わせによる構成であってもよい。この構成による処理は、
図10に例示したフローチャート内のステップS1002からステップS1014までの処理である。
そして、色変換モジュール910、色変換パラメータ記憶モジュール920、階調補正処理モジュール930、階調補正パラメータ記憶モジュール530、スクリーン処理モジュール130、印刷モジュール140の組み合わせによる構成であってもよい。この構成による処理は、
図10に例示したフローチャート内のステップS1016からステップS1024までの処理である。
【0046】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。