特許第5983171号(P5983171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983171
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】スイッチ故障診断装置、蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20160818BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H02J7/00 Q
   H01M10/42 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-178364(P2012-178364)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-36556(P2014-36556A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 剛之
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
(72)【発明者】
【氏名】板垣 勇志
(72)【発明者】
【氏名】井上 朋重
(72)【発明者】
【氏名】小西 大助
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−229216(JP,A)
【文献】 特開2007−285969(JP,A)
【文献】 特開2012−138831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器と蓄電素子との間の電流経路において、互いに並列接続される複数個のスイッチと、
前記複数個のスイッチの両端電圧に応じた両端検出信号を出力する両端電圧検出部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電気機器が通電状態であるか非通電状態であるかを判断する機器判断処理と、
前記機器判断処理で前記非通電状態であると判断した場合、前記複数個のスイッチの少なくともいずれか1個の故障の有無を判定する非通電時処理と、
前記機器判断処理で前記通電状態であると判断し、且つ、前記非通電時処理で前記スイッチ故障無しと判定したことを条件に、
前記複数個のスイッチを異なる時期に順次指定してオープン指令信号を与えるオープン指令処理と、
前記オープン指令信号を与えているときの前記両端検出信号に基づき、前記両端電圧が故障判定範囲内である場合にスイッチ故障有りと判定する故障判定処理と、を実行する構成を有するスイッチ故障診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ故障診断装置であって、
前記電気機器と前記スイッチとの間の機器側電圧に応じた機器側検出信号を出力する機器側電圧検出部を備え、
前記制御部は、
前記非通電時処理では、前記機器判断処理で前記非通電状態であると判断した場合、前記オープン指令処理を実行し、前記オープン指令信号を与えているときの前記機器側検出信号に基づき、前記機器側電圧が故障判定閾値未満である場合にスイッチ故障と判定する、スイッチ故障診断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ故障診断装置であって、
前記制御部は、
前記故障判定処理で、N組目の規定個のスイッチに前記オープン指令信号を出力しているときの前記両端検出信号に基づき、
前記スイッチ故障有りと判定した場合、次のN+1目の規定個のスイッチに前記オープン指令信号を与えずに前記オープン指令処理を停止し、
前記スイッチ故障無しと判定した場合、前記次のN+1目の規定個のスイッチを指定して前記オープン指令信号を出力する、スイッチ故障診断装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチ故障診断装置であって、
前記制御部は、
予め定めた継続条件を満たすかどうかを判断する条件判断処理を実行する構成を有し、
前記オープン指令処理の実行過程で、前記継続条件を満たさなくなったと判断した場合、前記オープン指令処理および前記故障判定処理を、1番目のスイッチからやり直す、スイッチ故障診断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチ故障診断装置であって、
前記複数のスイッチの一方の共通接続点と他方の接続点との間において前記各スイッチが設けられた複数の電流経路同士の抵抗値は、略同一である、スイッチ故障診断装置。
【請求項6】
蓄電素子と、
請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチ故障診断装置と、を備える蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
充電電流または放電電流を遮断するためのスイッチの故障の有無を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリと負荷との間に並列接続された複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子のいずれかの故障を検知する電源制御装置がある(特許文献1参照)。具体的には、この電源制御装置は、複数のスイッチング素子を各別にオープンにしている期間、および、同時にオープン状態(開状態)している期間それぞれにスイッチング素子の負荷側の端子の電圧値を測定し、測定によって得られた電圧値に基づいて各スイッチング素子の故障を検知する。なお、このようなスイッチ故障には、例えばスイッチング素子にオープン動作させるためのオープン指令信号を与えても当該スイッチング素子がクローズ状態(閉状態)のままになっているクローズ故障等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−229216
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、上記スイッチ故障の有無を判定するため、複数のスイッチング素子全てを同時にオープン状態にする必要があり、バッテリと負荷との間の電流経路が遮断されてしまう。
【0005】
本明細書では、負荷や充電器等の電気機器と蓄電素子との間の電流経路が遮断されることを抑制しつつ、スイッチ故障の有無を判定することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるスイッチ故障診断装置は、電気機器と蓄電素子との間の電流経路において、互いに並列接続される複数個のスイッチと、前記複数個のスイッチの両端電圧に応じた両端検出信号を出力する両端電圧検出部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数個のスイッチを異なる時期に順次指定してオープン指令信号を与えるオープン指令処理と、前記オープン指令信号を与えているときの前記両端検出信号に基づき、前記両端電圧が故障判定範囲内である場合にスイッチ故障有りと判定する故障判定処理と、を実行する構成を有する。
【0007】
上記スイッチ故障診断装置では、前記制御部は、前記電気機器が通電状態であるか非通電状態であるかを判断する機器判断処理と、前記機器判断処理で前記非通電状態であると判断した場合、前記複数のスイッチの少なくともいずれか1個の故障の有無を判定する非通電時処理と、前記機器判断処理で前記通電状態であると判断し、且つ、前記非通電時処理で前記スイッチ故障無しと判定したことを条件に、前記オープン指令処理および前記故障判定処理を実行してもよい。
【0008】
上記スイッチ故障診断装置では、前記電気機器と前記スイッチとの間の機器側電圧に応じた機器側検出信号を出力する機器側電圧検出部を備え、前記制御部は、非通電時処理では、前記機器判断処理で前記非通電状態であると判断した場合、前記オープン指令処理を実行し、前記オープン指令信号を与えているときの前記機器側検出信号に基づき、前記機器側電圧が故障判定閾値未満である場合にスイッチ故障と判定してもよい。
【0009】
上記スイッチ故障診断装置では、前記制御部は、前記故障判定処理で、N組目の規定個のスイッチに前記オープン指令信号を出力しているときの前記両端検出信号に基づき、前記スイッチ故障有りと判定した場合、次のN+1目の規定個のスイッチに前記オープン指令信号を与えずに前記オープン指令処理を停止し、前記スイッチ故障無しと判定した場合、前記次のN+1目の規定個のスイッチを指定して前記オープン指令信号を出力してもよい。
【0010】
上記スイッチ故障診断装置では、前記制御部は、予め定めた継続条件を満たすかどうかを判断する条件判断処理を実行する構成を有し、前記オープン指令処理の実行過程で、前記継続条件を満たさなくなったと判断した場合、前記オープン指令処理および前記故障判定処理を、1番目のスイッチからやり直してもよい。
【0011】
上記スイッチ故障診断装置では、前記複数のスイッチの一方の共通接続点と他方の接続点との間において前記各スイッチが設けられた複数の電流経路同士の抵抗値は、略同一でもよい。
【0012】
また、蓄電素子と、上記スイッチ故障診断装置と、を備える蓄電装置でもよい。
【0013】
なお、本明細書に開示される技術は、故障診断装置、故障診断方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書によって開示される発明によれば、負荷や充電器等の電気機器と蓄電素子との間の電流経路が遮断されることを抑制しつつ、スイッチ故障が発生しているかどうかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の電池パックの電気的構成を示すブロック図
図2】電池保護処理を示すフローチャート
図3】スイッチ故障診断処理を示すフローチャート
図4】オープン故障診断処理を示すフローチャート
図5】オープン故障時のリレーの状態変化を示す図
図6】クローズ故障診断処理を示すフローチャート
図7】クローズ故障時のリレーの状態変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態のスイッチ故障診断装置では、複数個のスイッチのうち少なくとも1個のスイッチにオープン指令信号を与えているときの複数個のスイッチの両端電圧は、スイッチ故障の有無によって異なる。そこで、このスイッチ故障診装置によれば、複数のスイッチを異なる時期に順次指定してオープン指令信号を与え、当該オープン指令信号を与えているときの上記両端電圧が故障判定範囲内である場合にスイッチ故障有りと判定される。これにより、負荷や充電器等の電気機器と蓄電素子との間の電流経路が遮断されることを抑制しつつ、スイッチ故障の有無を診断することができる。
【0017】
このスイッチ故障診断装置によれば、電気機器が通電状態であり、且つ、非通電時処理でスイッチ故障無しと判定されたことを条件に、オープン指令処理および故障判定処理が実行される。これにより、非通電時処理でスイッチ故障有りと判定されたにもかかわらず、オープン指令処理が実行され、その結果、負荷や充電器等の電気機器と蓄電素子との間の電流経路が遮断されてしまうことを抑制することができる。
【0018】
このスイッチ故障診断装置によれば、電気機器が通電状態であり、且つ、非通電時処理で機器側電圧が故障判定閾値未満であることを条件に、オープン指令処理および故障判定処理が実行される。これにより、外部機器に頼らずに、スイッチ故障診断装置自身で、電気機器の非通電状態時におけるスイッチ故障の有無を判定することができる。
【0019】
このスイッチ故障診断装置によれば、スイッチ故障有りと判定した場合、次のN+1番目の規定個のスイッチにオープン指令信号を与えずにオープン指令処理が停止される。これにより、例えば複数個のスイッチ全てにオープン指令信号を出力し終えた後にまとめて故障判定処理を実行する構成に比べて、不要なオープン指令処理の実行を抑制することができる。
【0020】
このスイッチ故障診断装置によれば、オープン指令処理の実行過程で、予め定めた継続条件を満たさなくなったと判断した場合、オープン指令処理および故障判定処理が、1番目のスイッチからやり直される。これにより、継続条件を満たさなくなってもオープン指令処理および故障判定処理がそのまま継続される構成に比べて、スイッチ故障を精度よく判定することができる。
【0021】
このスイッチ故障診断装置によれば、負荷や充電器等の電気機器と蓄電素子との間の電流経路が遮断されることを抑制しつつ、スイッチ故障の有無を判定することが可能な蓄電装置を提供することができる。
【0022】
このスイッチ故障診断装置によれば、複数のスイッチの一方の共通接続点と他方の接続点との間において各スイッチが設けられた複数の電流経路同士の抵抗値は、略同一である。そのため、スイッチに故障が無い場合は、オープン状態にするスイッチを変えた際に、回路に流れる電流が変化せず、スイッチを並列接続した一方の共通接続点と他方の接続点との間での電圧差もばらつかない。よって、スイッチ故障を誤検知する可能性が低くなる。
【0023】
一実施形態の電池パック1について図1図7を参照しつつ説明する。電池パック1は、二次電池2、および、電池保護装置3を備える。なお、電池パック1は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載され、車内の各種機器に電力を供給する。電池パック1は蓄電装置の一例であり、電池モジュールでもよい。二次電池2は蓄電素子の一例であり、キャパシタなどでもよい。また、電池保護装置3はスイッチ故障診断装置の一例である。
【0024】
(電池パックの電気的構成)
図1に示すように、二次電池2は、例えばリチウムイオン電池であり、4つの電池セル2Aが直列接続された組電池である。なお、二次電池2は、1つの電池セル2Aのみを有する構成や、2つ、3つ、或いは5つ以上の電池セル2Aが直列接続された構成でもよい。
【0025】
電池保護装置3は、接続端子T1〜T4、2個のリレー31および、電池監視ユニット33を備える。一対の接続端子T1、T2の間には二次電池2が接続され、一対の接続端子T3、T4の間には、切替スイッチ7を介して、充電器5(外部の充電装置や車両内の充電回路)や負荷6(例えばヘッドライト)などの電気機器が選択的に接続される。なお、例えばユーザにより充電器5の図示しない電源スイッチがオン操作されると、図1中のスイッチ5Aはオープン状態からクローズ状態に切り替わり、これにより、充電器5は、非通電状態から通電状態に切り替わる。例えばユーザによりイグニッションキーが操作されると、スイッチ6Aは、図示しない車両側の電子制御ユニット(以下、単にECU)によりクローズ・オープン制御され、これにより、負荷6は、非通電状態から通電状態に切り替わる。
【0026】
2個のリレー31は、接続端子T1と接続端子T3の間の電流経路において、互いに並列接続されている。各リレー31は、例えば有接点リレー(機械式スイッチ)であり、後述するオープン指令信号を受けると、電磁作用により機械的に接点をオープン(開・オフ)状態にし、後述するクローズ指令信号を受けると、電磁作用により機械的に接点をクローズ(閉・オン)状態にする。また、2個のリレー31は、いずれも、クローズ状態の時の接点抵抗が略同一である。なお、2個のリレー31は、スイッチの一例である。
【0027】
電池監視ユニット33は、制御部34、第1電圧検出回路35、第2電圧検出回路36および電流検出回路37を有する。制御部34は、中央処理装置(以下、CPU)34A及びメモリ34Bを有する。メモリ34Bには、電池監視ユニット33の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU34Aは、メモリ34Bから読み出したプログラムに従って、電池監視ユニット33の各部を制御する。メモリ34Bは、RAMやROMを有する。なお、上記各種のプログラムが記憶される記憶媒体は、RAM等以外に、CD−ROM、ハードディスク装置、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリでもよい。
【0028】
第1電圧検出回路35は、接続端子T1と接続端子T2との間の電圧に応じた検出信号を制御部34に出力する。この電圧は、二次電池2の端子電圧であり、以下、電池側電圧V1という。第2電圧検出回路36は、接続端子T3と接続端子T4との間の電圧に応じた検出信号を制御部34に出力する。この電圧は、通電状態時における充電器5の出力電圧または負荷6の電圧に比例した電圧であり、以下、機器側電圧V2という。制御部34は、電池側電圧V1と機器側電圧V2との電圧差を、2個のリレー31の両端電圧V3として検出する。なお、第1電圧検出回路35および第2電圧検出回路36は、両端電圧検出部の一例であり、第2電圧検出回路36は、機器側電圧検出部の一例である。電流検出回路37は、接続端子T1と接続端子T3の間の電流経路に流れる電流Iの電流量に応じた検出信号を制御部34に出力する。なお、各検出信号は、アナログ信号であってもデジタル信号であってもよい
【0029】
(電池監視ユニットの制御)
(1)電池保護処理
電池保護装置3の電源がオンされると、CPU34Aは、2個のリレー31全てにクローズ指令信号を与える。これにより、二次電池2が放電して負荷6に電力供給される(図1参照)。また、CPU34Aは、メモリ34Bから上記プログラムを読み出して、図2に示す電池保護処理を実行する。
【0030】
電池保護処理では、CPU34Aは、常時或いは定期的に、例えば第1電圧検出回路35からの検出信号に基づき電池側電圧V1を検出し(S1)、当該電池側電圧V1を、過充電閾値および過放電閾値と比較する。過充電閾値は、二次電池2が過充電状態になったときの電池側電圧V1の値よりやや小さい値が好ましく、過放電閾値は、二次電池2が過放電状態になったときの電池側電圧V1の値よりもやや大きい値が好ましい。なお、過充電閾値および過放電閾値は、例えば予め、二次電池2を過充電状態や過放電状態にして電池側電圧V1を検出する実験によって求めることができる。
【0031】
CPU34Aは、電池側電圧V1が過充電閾値を上回ったと判断した場合(S2:YES)、二次電池2が過充電状態になるおそれがあるとして、2個のリレー31にオープン指令信号を与える過充電抑制処理を実行する(S3)。これにより、2個のリレー31はオープン状態になり、二次電池2の充電が停止され、二次電池2が過充電状態になることを抑制することができる。CPU34Aは、過充電抑制処理の実行後、S1に戻る。
【0032】
一方、CPU34Aは、電池側電圧V1が過放電閾値を下回ったと判断した場合(S2:NO、且つ、S4:YES)、二次電池2が過放電状態になるおそれがあるとして、2個のリレー31にオフ指令信号を与える過放電抑制処理を実行する(S5)。これにより、2個のリレー31はオープン状態になり、二次電池2の放電が停止され、二次電池2が過放電状態になることを抑制することができる。CPU34Aは、過放電抑制処理の実行後、S1に戻る。
【0033】
また、CPU34Aは、電池側電圧V1が過放電閾値以上であって過充電閾値以下であると判断した場合(S2:NO、且つ、S4:NO)、2個のリレー31にクローズ指令信号を与えたままS3に戻る。
【0034】
(2)スイッチ故障診断処理
CPU34Aは、2個のリレー31が全てクローズ状態であり、且つ、所定の条件を満たした場合、CPU34Aは、図3に示すスイッチ故障診断処理を実行する。所定の条件の例は、ユーザによってイグニッションキーが操作されることにより車両の電源がオンされたことや、前回の故障診断処理の実行時から所定時間経過したこと等である。なお、スイッチ故障診断処理を実行するためのプログラムは、スイッチ故障診断プログラムの一例である。
【0035】
CPU34Aは、まず、電気機器が通電状態であるか、非通電状態であるかどうかを判断する機器判断処理を実行する(S11)。CPU34Aは、例えば、上記スイッチ5A、6Aを制御するECUや電気機器自身から当該スイッチ5A、6Aのオープン・クローズに関する情報を受けることにより、電気機器が通電状態であるか、非通電状態であるかどうかを判断する。なお、上記スイッチ5A、6Aが例えば半導体スイッチである構成では、半導体スイッチがオープン状態であっても暗電流等の微少電流が流れることがあるが、この状態も上記非通電状態に含まれる。また、電池監視ユニット33が、二次電池2から電源供給を受け、稼動状態となっている場合があるが、この場合でも、上記スイッチ5A、6Aがオープン状態であれば、上記非通電状態に含まれる。
【0036】
CPU34Aは、電気機器が非通電状態であると判断した場合(S11:YES)、図4に示すオープン故障診断処理を実行する(S12)。このオープン故障診断処理は、2個のリレー31のいずれかが、オープン故障しているかどうかを判定するための処理である。なお、オープン故障は、例えば2個のリレー31を駆動するコイルの故障等により、当該リレー31が、上記クローズ指令信号を受けても、オープン状態のままになっている故障であり、スイッチ故障の一例である。
【0037】
(2−1)オープン故障診断処理
CPU34Aは、まず、リレー番号Nを1に初期化し(S21)、N番目のリレー31だけにオープン指令信号を与える(S22)。次にCPU34Aは、機器側電圧V2を検出し(S23)、N番目のリレー31にクローズ指令信号を与える(S24)。
【0038】
ここで、上述したように、オープン故障診断処理の実行中、電子機器は非通電状態である。従って、N番目のリレー31にオープン指令信号を与えた場合、N番目以外のリレー31がオープン故障しておらず正常にクローズ状態になっていれば、機器側電圧V2は、二次電池2の端子電圧、すなわち電池側電圧V1と同等になる。一方、N番目以外のリレー31がオープン故障によりオープン状態になっていれば、機器側電圧V2は、N番目以外のリレー31が正常にクローズ状態している場合よりも小さくなる。
【0039】
そこで、CPU34Aは、機器側電圧V2が故障判定閾値TH1以上であるかどうかを判断する(S25)。なお、S25の処理は、非通電時処理の一例である。これにより、電池保護装置3は、外部機器に頼らずに、電気機器の非通電状態時における2個のリレー31の故障の有無を判定することができる。また、例えばCPU34Aは、S22において、電池側電圧V1も検出し、この電池側電圧V1よりもやや小さい値を、故障判定閾値TH1として設定することが好ましい。また、CPU34Aは、N番目のリレー31にオープン指令信号を与える前に機器側電圧V2を検出し、この機器側電圧V2よりもやや小さい値を、故障判定閾値TH1として設定してもよい。CPU34Aは、機器側電圧V2が故障判定閾値TH1以上であると判断した場合(S25:YES)、N番目以外のリレー31がオープン故障していないとして、リレー番号Nがリレー総数(=2)に達しているかどうかを判断する(S26)。
【0040】
CPU34Aは、リレー番号Nがリレー総数に達していると判断した場合(S26:YES)、全リレー31がオープン故障していないとして、オープン故障診断処理を終了し、図3のS13に進む。一方、CPU34Aは、リレー番号Nがリレー総数に達していないと判断した場合(S26:NO)、リレー番号Nに1を加算し(S27)、S22に戻る。
【0041】
S25で、CPU34Aは、機器側電圧V2が故障判定閾値TH1より小さいと判断した場合(S25:NO)、N番目以外のリレー31がオープン故障していると判定し、メモリ34Bにオープン故障のフラグを記憶させ(S28)、オープン故障診断処理を終了し、S13に進む。なお、CPU34Aは、オープン故障と判定した場合、例えば、上記ECU等の外部機器にN番目以外のリレーがオープン故障している旨の通知信号を出力するなど、エラー処理を実行するのが好ましい。また、CPU34Aは、所定回数(例えば3回)だけ、機器側電圧V2が故障判定閾値TH1より小さいと判断した場合(S25:NO)に、メモリ34Bにオープン故障のフラグを記憶させたり、上記エラー処理を実行する構成でもよい。
【0042】
図4には、2個のリレー31A、31Bを有する電池パック1で、リレー31Aがオープン故障している場合の例が示されている。なお、同図では、充電器5等が省略されている。CPU34Aは、C1から、1番目のリレー31Aにオープン指令信号を与える(S22)。しかし、1番目のリレー31Aはオープン故障しているため、オープン指令信号を与えた後のC2は、オープン指令信号を与える前のC1と同じである。
【0043】
次に、CPU34Aは、C2から、1番目のリレー31Aにクローズ指令信号を与える(S24)。しかし、1番目のリレー31Aはオープン故障しているため、クローズ指令信号を与えた後のC3も、C1と同じである。従って、CPU34Aは、機器側電圧V2が故障判定閾値TH1以上であると判断し(S25:YES)、2番目のリレー31Bがオープン故障していないと判定する。
【0044】
そして、CPU34Aは、C3から、2番目のリレー31Bにオープン指令信号を与える(S22)。このとき、2番目のリレー31Bがオープン故障していないため、2番目のリレー31Bは、クローズ状態からオープン状態へ遷移する。これにより、1番目のリレー31Aと、2番目のリレー31Bがいずれもオープン状態となるため、二次電池2と負荷6の間は断線状態となる。よって、2番目のリレー31Bにオープン指令信号を与えた後のC4では、機器側電圧V2が故障判定閾値TH1より小さくなる。従って、CPU34Aは、1番目のリレー31Aがオープン故障していると判定し、メモリ34Bにオープン故障のフラグを記憶させ(S28)、オープン故障診断処理を終了する。
【0045】
S13でCPU34Aは、電気機器が通電状態であると判断した場合(S13:YES)、オープン故障のフラグがメモリ34Bに記憶されているかどうかに基づき、オープン故障診断処理でオープン故障していると判定したかどうかを判断する(S14)。CPU34Aは、オープン故障していないと判定した場合(S14:YES)、図6に示すクローズ故障診断処理を実行する(S15)。このクローズ故障診断処理は、2個のリレー31のいずれかが、クローズ故障しているかどうかを判定するための処理である。なお、クローズ故障は、例えばリレー31の接点の溶着等により、当該リレー31が、上記オープン指令信号を受けても、クローズ状態のままになっている故障であり、スイッチ故障の一例である。
【0046】
(2−2)クローズ故障診断処理
CPU34Aは、まず、リレー番号Nを1に初期化し(S41)、電流検出回路37からの検出信号に基づき、上記電流Iの電流量IAを検出する(S42)。CPU34Aは、電流Iの電流量IAが電流判定下限値TH2(例えば50A)以上であり、電流判定上限値TH4(例えば100A)以下であるかどうかを判断する(S43)。なお、このS43の処理は、条件判断処理の一例であり、この判断条件は、継続条件の一例である。
【0047】
電流Iの電流量IAが電流判定下限値TH2より小さい場合、上記両端電圧V3は、クローズ故障の有無による変化が顕著に現れないため、後述するS48でのクローズ故障の判定を精度良く行うことができない恐れがある。また、電流Iの電流量IAが電流判定上限値TH4より大きい場合、過大な電流が流れているため、リレー31の接点が劣化する恐れがある。
【0048】
CPU34Aは、電流Iの電流量が電流判定下限値TH2以上であり、電流判定上限値TH4以下であると判断した場合(S43:YES)、クローズ故障の判定を精度良く行うことができるとして、N番目のリレーにオープン指令信号を与える前の両端電圧V3を検出する(S44)。以下、このときの両端電圧V3を、特にクローズ両端電圧V3Aという。
【0049】
次に、CPU34Aは、N番目のリレー31だけにオープン指令信号を与え(S45)、両端電圧V3を検出する(S46)。以下、このときの両端電圧V3を、特にオープン両端電圧V3Bという。次に、CPU34Aは、N番目のリレー31にクローズ指令信号を与える(S47)。なお、S45の処理は、オープン指令処理の一例である。なお、各リレー31が設けられた各電流経路同士の抵抗値は略同一である。このため、各リレー31に故障が無い場合は、各電流経路に流れる電流量は、CPU34Aが、どのリレー31にオープン指令信号を与えても略同一となり、V3Bは略同一となる。
【0050】
ここで、上述したように、クローズ故障診断処理の実行中、電子機器は通電状態である。従って、N番目のリレー31にオープン指令信号を与えた場合、N番目のリレー31がクローズ故障しておらず正常にオープン状態になっていれば、オープン両端電圧V3Bは、クローズ両端電圧V3Aより大きくなる。一方、N番目のリレー31がクローズ故障によりクローズ状態になっていれば、オープン両端電圧V3Bは、クローズ両端電圧V3Aと略同一になる。
【0051】
そこで、CPU34Aは、オープン両端電圧V3Bと、クローズ両端電圧V3Aの差の絶対値(=|V3B−V3A|)が故障判定閾値TH3以上であるかどうかを判断する(S48)。なお、S48の処理は、故障判定処理の一例である。故障判定閾値TH3は、例えば、N番目のリレー31がクローズ状態のときとオープン状態のときとにおける上記電流経路(接続端子T1と接続端子T3との間)の抵抗値の差分値に、任意の電流値を乗じた値が好ましい。なお、任意の電流値は、電流判定下限値TH2から電流判定上限値TH4までの範囲内の値が好ましい。また、クローズ両端電圧V3Aより故障判定閾値TH3だけ大きい値と、クローズ両端電圧V3Aより故障判定閾値TH3だけ小さい値との間の範囲が、故障判定範囲の一例である。
【0052】
CPU34Aは、オープン両端電圧V3Bと、クローズ両端電圧V3Aの差の絶対値(=|V3B−V3A|)が故障判定閾値TH3以上であると判断した場合(S48:YES)、N番目のリレー31がクローズ故障していないとして、S50に進む。S50では、CPU34Aは、上記電流Iの変動量が電流判定閾値TH5以下であるかどうかを判断する。具体的には、CPU34Aは、電流Iの電流量IBを検出し(S49)、S42で検出した電流Iの電流量IAと、S49で検出した電流Iの電流量IBとの差の絶対値(=|IA−IB|)が、電流判定閾値TH5(例えば10A)以下であるかどうかを判断する。
【0053】
CPU34Aは、上記絶対値が電流判定閾値TH5以下であると判断した場合(S50:YES)、上記電流Iの変動量は比較的に小さくクローズ故障の判定精度に悪影響を与えるおそれが少ないので、このまま、クローズ故障診断処理を継続する。そして、CPU34Aは、リレー番号Nがリレー総数に達しているかどうかを判断する(S51)。
【0054】
CPU34Aは、リレー番号Nがリレー総数に達していると判断した場合(S51:YES)、全リレー31がクローズ故障していないとして、クローズ故障診断処理を終了し、スイッチ故障診断処理を終了する。一方、CPU34Aは、リレー番号Nがリレー総数に達していないと判断した場合(S51:NO)、リレー番号Nに1を加算し(S52)、S42に戻る。
【0055】
S43で、CPU34Aは、電流Iの電流量IAが電流判定下限値TH2より小さい、または、電流判定上限値TH4より大きいと判断した場合(S43:NO)、クローズ故障の判定を精度良く行うことができない恐れがあるため、S41に戻り、1番目のリレー31からクローズ故障診断処理を実行し直す。
【0056】
S50で、CPU34Aは、上記絶対値(=|IA−IB|)が電流判定閾値TH5より大きいと判断した場合(S50:NO)、上記電流Iの変動量は比較的に大きく、オープン両端電圧V3Bと、クローズ両端電圧V3Aの差の絶対値(=|V3B−V3A|)が、クローズ故障ありの場合と、クローズ故障なしの場合で近い値になり、クローズ故障の判定精度に悪影響を与えるおそれがあるので、S41に戻り、1番目のリレー31からクローズ故障診断処理を実行し直す。
【0057】
S48で、CPU34Aは、オープン両端電圧V3Bと、クローズ両端電圧V3Aの差の絶対値(=|V3B−V3A|)が故障判定閾値TH3より小さいと判断した場合(S48:NO)、N番目のリレー31がクローズ故障していると判定し、メモリ34Bにクローズ故障のフラグを記憶させ(S53)、クローズ故障診断処理を終了し、スイッチ故障診断処理を終了する。なお、CPU34Aは、クローズ故障と判定した場合、例えば、上記ECU等の外部機器にN番目のリレーがクローズ故障している旨の通知信号を出力するなど、エラー処理を実行するのが好ましい。また、CPU34Aは、所定回数(例えば3回)だけ、上記絶対値が故障判定閾値TH3より小さいと判断した場合(S48:NO)に、メモリ34Bにオープン故障のフラグを記憶させたり、上記エラー処理を実行する構成でもよい。
【0058】
図7には、2個のリレー31A、31Bを有する電池パック1で、リレー31Bがクローズ故障している場合の例が示されている。なお、同図では、充電器5等が省略されている。CPU34Aは、C1から、1番目のリレー31Aにオープン指令信号を与える(S45)。しかし、1番目のリレー31Aはクローズ故障していないため、1番目のリレー31Aは、クローズ状態からオープン状態へ遷移する。これにより、1番目のリレー31Aはオープン状態で、2番目のリレー31Bはクローズ状態となるため、C1に比べて、二次電池2と負荷6の間の電圧は大きくなる。よって、1番目のリレー31Aにオープン指令信号を与えた後の状態2では、オープン両端電圧V3Bと、クローズ両端電圧V3Aの差の絶対値(=|V3B−V3A|)が故障判定閾値TH3より大きくなる。
【0059】
次に、CPU34Aは、C2から、1番目のリレー31Aにクローズ指令信号を与える(S47)。しかし、1番目のリレー31Aはクローズ故障していないため、クローズ指令信号を与えた後のC3も、C1と同じである。
【0060】
そして、CPU34Aは、C3から、2番目のリレー31Bにオープン指令信号を与える(S45)。このとき、2番目のリレー31Bはクローズ故障しているため、2番目のリレー31Bは、クローズ状態からオープン状態へ遷移しない。これにより、1番目のリレー31Aと、2番目のリレー31Bがいずれもクローズ状態となるため、2番目のリレー31Bにクローズ指令信号を与えた後のC4は、C1と同じである。よって、C4では、オープン両端電圧V3Bと、クローズ両端電圧V3Aの差の絶対値(=|V3B−V3A|)が故障判定閾値TH3より小さくなる。従って、CPU34Aは、2番目のリレー31Bがクローズ故障していると判定し、メモリ34Bにクローズ故障のフラグを記憶させ(S53)、クローズ故障診断処理を終了する。なお、図7において、電流Iの電流量が100A、リレー31A、31Bの接点抵抗が300μΩである場合、上記絶対値(=|V3B−V3A|)は、両リレー31A,31Bがクローズ状態であるとき15mVであり、リレー31A,31Bの一方のみクローズ状態であるとき30mVになる。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、少なくとも1個のリレー31にオープン指令信号を与えているときのオープン両端電圧V3Bが故障判定範囲内であるかどうかに基づき、リレー31の故障の有無が判定される。これにより、電気機器と二次電池2との間の電流経路が遮断されることを抑制しつつ、リレー31の故障の有無を判定することができる。即ち、充電器5により二次電池2を充電している場合、その充電を継続しつつ、リレー31の故障の有無を判定することができる。また、二次電池2から負荷6に電力供給している場合、その負荷6への電力供給を維持しつつ、リレー31の故障の有無を判定することができる。
【0062】
また、充電器5や負荷6が通電状態であり、且つ、非通電時処理でリレー31が故障無しであることを条件に、リレー31にオープン指令処理および故障判定処理が実行される。これにより、非通電時処理でリレー31が故障有りと判断されたにもかかわらず、リレー31にオープン指令処理が実行され、その結果、充電器5や負荷6と二次電池2との間の電流経路が遮断されてしまうことを抑制することができる。
【0063】
また、制御部34は、N番目のリレー31が故障していると判定した場合、次のN+1番目のリレー31にオープン指令信号を与えずにオープン指令処理が停止される。これにより、常に、リレー31全てにオープン指令信号を出力し終えた後にまとめて故障判定処理を実行する構成に比べて、不要なオープン指令処理の実行を抑制することができる。
【0064】
更に、制御部34は、電気機器が非通電状態であるときに、オープン故障診断処理を実行し、電気機器が通電状態であるときに、上記オープン故障診断処理でオープン故障が発生していないと判定されたことを条件に、クローズ故障診断処理を実行する。ここで、例えば図5に示すように2番目のリレー31Bがオープン故障している場合において、仮に、制御部34が、オープン故障診断処理を実行せずに、クローズ故障診断処理を実行する構成とする。この構成では、制御部34は、クローズ故障診断処理において、まず1番目のリレー31Aにオープン指令信号を与えることにより、両リレー31がオープン状態になってしまい、二次電池2と電気機器との電流経路が遮断されてしまう。しかし、本実施形態によれば、このような電流経路の遮断を抑制することができる。
【0065】
このスイッチ故障診断装置によれば、例えば電気機器が非通電状態である場合、オープン指令信号を与えているときの2個のリレー31の両端電圧は、2個のリレー31の故障の有無によってもほとんど変わらないことがある。そこで、上記実施形態によれば、電気機器が通電状態であると判断したことを条件に、クローズ故障診断処理が実行される。これにより、電気機器が非通電状態であるかどうかに関わらず、クローズ故障診断処理を開始する構成に比べて、2個のリレー31の故障の有無の判定精度の低下を抑制することができる。
【0066】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0067】
上記実施形態では、制御部34は、1つのCPUとメモリを有する構成であった。しかし、制御部は、これに限らず、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば上記電池保護処理やスイッチ故障診断処理の一部または全部を、別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。また、これらの処理の順序は、適宜変更してもよい。
【0068】
上記実施形態では、スイッチの例として、有接点のリレー31を挙げた。しかし、これに限らず、スイッチは、例えばバイポーラトランジスタや、MOSFETなどの半導体素子であってもよく、また、通常はクローズ状態であり、オープン指令信号を与えた場合に限りオープン状態になるノーマルクローズタイプでもよい。
【0069】
上記実施形態では、電池保護装置3は、2個のリレー31の両端電圧V3を直接検出する構成であった。しかし、これに限らず、電池保護装置3は、上記両端電圧V3と、それに直列接続された抵抗素子の電圧を含んだ合算電圧を検出することにより、間接的に両端電圧V3を検出する構成でもよい。要するに、電池保護装置3は、上記両端電圧V3と相関関係を有する電圧を検出することで、間接的に、両端電圧V3を検出する構成でもよい。
【0070】
上記実施形態では、故障判定処理に利用される故障判定閾値TH1や故障判定閾値TH3は、電池側電圧V1や機器側電圧V2に応じて変動する構成であった。しかし、故障判定閾値TH1や故障判定閾値TH3は、予め定められた固定値でよい。
【0071】
上記実施形態では、まずN番目のリレー31にオフ指令を与え、次にN番目のリレー31にオン指令を与えた後、N+1番目のリレー31に同じ指令を与える制御とした。しかしこれに限らず、まずN+1番目のリレー31にオフ指令を与え、オン指令を与えた後、N番目のリレー31に同じ指令を与える制御でもよい。つまり、指令を与える順序は逆でもよい。
【0072】
上記実施形態では、電池保護装置3は、2個のリレー31を備える構成であった。しかし、これに限らず、電池保護装置3は、3個以上のリレー31を備える構成でもよい。
【0073】
上記実施形態では、制御部34は、2個のリレー31から、1個ずつのリレー31を、異なる時期に順次指定してオープン指令信号を与える構成であった。しかし、制御部34は、3個以上のリレー31から、2個以上ずつのリレー31を、異なる時期に順次指定してオープン指令信号を与える構成でもよい。例えば、電池保護装置3が、4個のリレー31A〜31Dを有し、制御部34が、2つのリレー31A,31Bに同時期にオープン指令信号を与え、次に、残りの2つのリレー31C、31Dに同時期にオープン指令信号を与える構成でもよい。また、電池保護装置3が、3個のリレー31A〜31Cを有し、リレー31A,31Bに同時期にオープン指令信号を与え、次に、リレー31B、31Cに同時期にオープン指令信号を与え、更に、リレー31C,31Aに同時期にオープン指令信号を与える構成でもよい。要するに、オープン指令処理は、複数個のスイッチから、互いに異なるスイッチを少なくとも1個含む規定個(=K<M=スイッチ総数)ずつのスイッチを、異なる時期に順次指定して当該規定個のスイッチにオープン動作させるためのオープン指令信号を与える処理であることが好ましい。
【0074】
上記実施形態では、2個のリレー31の接点抵抗が略同一である構成を例に挙げた。しかしこれに限らず、2個のリレー31は接点抵抗が異なる構成でもよい。
【0075】
上記実施形態では、制御部34は、N番目のリレー31が故障していると判定した場合、次のN+1番目のリレー31にオープン指令信号を与えずにオープン指令処理が停止される構成を例に挙げた。しかしこれに限らず、制御部は、N番目のリレー31が故障していると判定した場合、次のN+1番目のリレー31にオープン指令信号を与え、全てのスイッチに対するオープン指令処理が終了した時点で、スイッチ故障と判定してもよい。
【0076】
上記実施形態では、継続条件の例として、電流判定下限値TH2、電流判定上限値TH4等を挙げた。しかしこれに限らず、継続条件は、例えば、リレー31の温度または周辺温度が熱判定閾値以下であることでもよい。制御部34は、図示しない温度検出部によりリレー31の温度を検出し、その検出温度が熱判定閾値を超えた場合、スイッチ故障診断を継続しないと判定してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1:電池パック 2:二次電池 3:電池保護装置 31:リレー 34:制御部 35:第1電圧検出回路 36:第2電圧検出回路 I:放電電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7