(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤ幅方向における両側のビード部のそれぞれに配置されたビードコアと、一方の前記ビード部から他方の前記ビード部にかけて配設されるとともに前記ビードコア周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、ラジアル方向に沿って延在するカーカスコードがタイヤ周方向に複数並べて配置されたカーカス層と、前記カーカス層の外側であって前記ビードコア周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、前記カーカスコードに対して交差する複数のスチールコードを有するスチール補強層と、を備える重荷重用空気入りタイヤにおいて、
前記カーカス層と前記スチール補強層との間で、前記ビードコア周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、タイヤ幅方向内側の端部が前記スチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置するとともに、タイヤ幅方向外側の端部が前記カーカス層および前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置し、かつ前記カーカス層および前記スチール補強層のコードを被覆する各被覆材よりも加硫後の硬度が5以上高い緩衝層を備えることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
前記緩衝層は、加硫後の硬度が75以上90以下で、100[%]伸張時におけるモジュラスが10[MPa]以上13[MPa]以下であり、厚さが1[mm]以上2[mm]以下のゴム材からなることを特徴とする請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記緩衝層は、有機繊維コードがゴム材で被覆されており、前記有機繊維コードの前記カーカスコードとのエンド数の差が−1[本/50mm]以上+1[本/50mm]以下で、前記有機繊維コードの前記カーカスコードに対する角度の差が−3[°]以上+3[°]以下であり、前記有機繊維コードおよび前記ゴム材を含む厚さが1[mm]以上2[mm]以下であることを特徴とする請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Aと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記カーカス層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Bと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cとの関係が、5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記スチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Dと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記緩衝層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Eとの関係が、5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]を満たすことを特徴とする請求項4に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スチール補強層を有する重荷重用空気入りタイヤでは、ビード部の剛性を効果的に高めることができる。その反面、ラジアル方向に沿うカーカスコードに対してスチールコードが角度を有するため、製造不良を生じるおそれがある。具体的には、タイヤの成型・加硫時に、ビード部間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコードがラジアル方向に引かれたりし、これに伴ってスチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密になるように引き込まれる現象がある。このスチールコードの過密は、タイヤ周方向で不均一であることから、ユニフォミティ不良や、耐久性低下によるリムずれを生じる要因となるおそれがある。
【0005】
特許文献1に記載の重荷重用空気入りタイヤは、カーカス層とスチール補強層との間に有機繊維補強層を備えている。しかし、特許文献1の有機繊維補強層は、その両端部がカーカス層とスチール補強層との間に配設されているため、スチールコードの端部がカーカスコードに近接して重なるように配置されることから、カーカスコードがラジアル方向に引かれた場合に、スチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密になるように引き込まれる現象を抑制する効果は期待できない。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スチール補強層におけるスチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制することのできる重荷重用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の発明の重荷重用空気入りタイヤは、タイヤ幅方向における両側のビード部のそれぞれに配置されたビードコアと、一方の前記ビード部から他方の前記ビード部にかけて配設されるとともに前記ビードコア周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、ラジアル方向に沿って延在するカーカスコードがタイヤ周方向に複数並べて配置されたカーカス層と、前記カーカス層の外側であって前記ビードコア周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、前記カーカスコードに対して交差する複数のスチールコードを有するスチール補強層と、を備える重荷重用空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層と前記スチール補強層との間で、前記ビードコア周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、タイヤ幅方向内側の端部が前記スチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置するとともに、タイヤ幅方向外側の端部が前記カーカス層および前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置し、かつ前記カーカス層および前記スチール補強層のコードを被覆する各被覆材よりも加硫後の硬度が5以上高い緩衝層を備えることを特徴とする。
【0008】
この重荷重用空気入りタイヤによれば、ビードコア周りに、カーカスコードに対して交差する複数のスチールコードを有するスチール補強層を備えたことにより、ビード部の剛性を高めることができる。しかも、ビードコア周りに、タイヤ幅方向内側でスチール補強層よりもタイヤ径方向外側に長く、かつタイヤ幅方向外側でカーカス層およびスチール補強層よりもタイヤ径方向外側に長く形成されて、カーカス層およびスチール補強層のコードを被覆する各被覆材よりも加硫後の硬度が5以上高い緩衝層を備えている。このため、タイヤの成型・加硫時に、ビード部間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコードがラジアル方向に引かれたりした場合であっても、緩衝層によりカーカス層とスチール補強層との接触を防ぎ、かつ緩衝層の上記硬度によりスチールコードのずれを抑制する。この結果、スチール補強層におけるスチールコードが引き込まれることを抑制するため、スチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制することができる。これにより、ユニフォミティを向上し、ビード部の耐久性を維持または向上することができる。
【0009】
また、第2の発明の重荷重用空気入りタイヤは、第1の発明において、前記緩衝層は、加硫後の硬度が75以上90以下で、100[%]伸張時におけるモジュラスが10[MPa]以上13[MPa]以下であり、厚さが1[mm]以上2[mm]以下のゴム材からなることを特徴とする。
【0010】
加硫後の硬度を75以上90以下とし、100[%]伸張時におけるモジュラスを10[MPa]以上13[MPa]以下とし、厚さを1[mm]以上2[mm]以下としたゴム材からなる緩衝層は、スチール補強層におけるスチールコードが引き込まれることを抑制するための十分な剛性を有する。このため、この重荷重用空気入りタイヤによれば、スチールコードのずれを抑制し、スチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることができる。
【0011】
また、第3の発明の重荷重用空気入りタイヤは、第1の発明において、前記緩衝層は、有機繊維コードがゴム材で被覆されており、前記有機繊維コードの前記カーカスコードとのエンド数の差が−1[本/50mm]以上+1[本/50mm]以下で、前記有機繊維コードの前記カーカスコードに対する角度の差が−3[°]以上+3[°]以下であり、前記有機繊維コードおよび前記ゴム材を含む厚さが1[mm]以上2[mm]以下であることを特徴とする。
【0012】
有機繊維コードがゴム材で被覆され、有機繊維コードのカーカスコードとのエンド数の差を−1[本/50mm]以上+1[本/50mm]以下とし、有機繊維コードのカーカスコードに対する角度の差を−3[°]以上+3[°]以下として有機繊維コードをカーカスコードと同等の配置とし、有機繊維コードおよびゴム材を含む厚さを1[mm]以上2[mm]以下とした緩衝層は、スチール補強層におけるスチールコードが引き込まれることを抑制するための十分な剛性を有し、かつ有機繊維コードをカーカスコードと同等の配置とすることでカーカスコードの引きを阻害し難く(滑り易く)してスチールコードへの影響を抑制する緩衝性を有する。このため、この重荷重用空気入りタイヤによれば、スチールコードのずれを抑制し、スチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることができる。
【0013】
また、第4の発明の重荷重用空気入りタイヤは、第1〜第3のいずれか一つの発明において、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Aと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記カーカス層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Bと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cとの関係が、5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]を満たすことを特徴とする。
【0014】
この重荷重用空気入りタイヤによれば、ビード部のタイヤ幅方向外側において、緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部が最もタイヤ径方向外側に位置し、その次にカーカス層のタイヤ幅方向外側の端部が位置し、スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部の位置が最もタイヤ径方向内側に位置することになり、かつ5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]の関係にある。このような構成により、タイヤの成型・加硫時に、ビード部間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコードがラジアル方向に引かれたりした場合であっても、カーカス層とスチール補強層との接触を防ぎ、かつスチールコードのずれを効果的に抑制する。この結果、スチール補強層におけるスチールコードが引き込まれることを効果的に抑制し、スチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることができる。これにより、ユニフォミティを向上し、ビード部の耐久性を向上することができる。
【0015】
また、第5の発明の重荷重用空気入りタイヤは、第4の発明において、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記スチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Dと、前記ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から前記緩衝層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Eとの関係が、5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]を満たすことを特徴とする。
【0016】
この重荷重用空気入りタイヤによれば、ビード部のタイヤ幅方向外側において、緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部が最もタイヤ径方向外側に位置し、その次にカーカス層のタイヤ幅方向外側の端部が位置し、スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部の位置が最もタイヤ径方向内側に位置することになり、かつ5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]の関係にある。さらに、ビード部のタイヤ幅方向内側において、緩衝層のタイヤ幅方向内側の端部、およびスチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部が、緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置し、緩衝層のタイヤ幅方向内側の端部が、スチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部よりもタイヤ径方向外側に位置することになり、かつ5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]の関係にある。このような構成により、タイヤの成型・加硫時に、ビード部間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコードがラジアル方向に引かれたりした場合であっても、カーカス層とスチール補強層との接触を防ぎ、かつスチールコードのずれを効果的に抑制する。この結果、スチール補強層におけるスチールコードが引き込まれることを効果的に抑制し、スチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることができる。これにより、ユニフォミティを向上し、ビード部の耐久性をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る空気入りタイヤは、スチール補強層におけるスチールコードがビードコアのタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
図1は、本実施形態に係る重荷重用空気入りタイヤのビード部を示す子午断面図であり、
図2は、本実施形態に係る重荷重用空気入りタイヤのビード部の展開図である。
【0021】
以下の説明において、タイヤ径方向とは、重荷重用空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(図示せず)に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側をいう。また、ラジアル方向とは、タイヤ赤道面に直交する子午線方向に沿いタイヤ径方向およびタイヤ幅方向を含む方向である。タイヤ赤道面とは、重荷重用空気入りタイヤ1の前記回転軸に直交するとともに、重荷重用空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から最も離れている部分間の距離である。
【0022】
図1に示すように、重荷重用空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側となる部分に形成されるトレッド部(図示省略)のタイヤ幅方向の端部から、タイヤ径方向内側の所定の位置までに、サイドウォール部5が設けられている。つまり、サイドウォール部5は、重荷重用空気入りタイヤ1の2ヶ所に設けられており、タイヤ幅方向両外側でタイヤ赤道面を基準とした対称位置に設けられている。さらに、重荷重用空気入りタイヤ1は、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内側にビード部10が設けられている。ビード部10は、サイドウォール部5と同様に重荷重用空気入りタイヤ1の2ヶ所に設けられており、タイヤ幅方向両外側でタイヤ赤道面を基準とした対称位置に設けられている。
【0023】
ビード部10は、ビードコア11を有している。ビードコア11は、スチールワイヤであるビードワイヤをタイヤ周方向に沿ってリング状に巻くことにより形成されている。また、ビード部10は、そのタイヤ径方向内側がビードベース12として形成されている。ビードベース12は、ビードコア11のタイヤ径方向内方側に位置し、リム(図示せず)に接触する部分である。また、ビード部10は、ビードコア11のタイヤ径方向外側にビードフィラー13が配設されている。ビードフィラー13は、ビードコア11寄りのロアービードフィラー13aと、そのタイヤ径方向外側のアッパービードフィラー13bとで構成される。
【0024】
また、重荷重用空気入りタイヤ1は、トレッド部、サイドウォール部5およびビード部10に、カーカス層20が設けられている。カーカス層20は、タイヤ周方向に連続的に配設されており、
図2に示すように、ラジアル方向に沿って延在しタイヤ周方向に複数並べられるカーカスコード23が、ゴム材からなる被覆材24で被覆されている。カーカス層20は、タイヤ幅方向における両側に設けられるビード部10のうち、一方のビード部10から他方のビード部10にかけて配設されている。また、カーカス層20は、ビード部10でビードコア11周りに、ビードコア11のタイヤ幅方向おける内側から外側に折り返された、ターンナップ構造になっている。
【0025】
つまり、カーカス層20は、
図1に示すように、サイドウォール部5からビード部10に向かい、ビードコア11のタイヤ幅方向内側からビードコア11のタイヤ径方向内側を通り、さらにビードコア11のタイヤ幅方向外側を通っている。そして、カーカス層20は、ビードコア11のタイヤ幅方向外側に位置する部分が、ターンナップ部21となっており、ターンナップ部21におけるタイヤ径方向外側の端部が、カーカス層20の端部であるカーカス層端部22となっている。このカーカス層端部22は、ビードコア11よりもタイヤ径方向外側に位置し、本実施形態ではアッパービードフィラー13bのタイヤ幅方向外側に位置している。
【0026】
また、重荷重用空気入りタイヤ1は、ビード部10に、スチール補強層30が設けられている。スチール補強層30は、カーカス層20の外側でカーカス層20に重ねられて配設され、ビードコア11周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されている。スチール補強層30は、
図2に示すように、カーカスコード23に対して交差する複数のスチールコード33が、ゴム材からなる被覆材34で被覆されている。例えば、スチールコード33は、ビードコア11のタイヤ径方向内側にて、カーカスコード23が沿って延在するラジアル方向に対し−70[°]または+70[°]の角度を有して配置される。
【0027】
このスチール補強層30は、
図1に示すように、ビード部10において、カーカス層20がビードコア11よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分では、カーカス層20のタイヤ幅方向内側に位置している。また、スチール補強層30は、カーカス層20がビードコア11よりもタイヤ径方向内側に位置している部分では、カーカス層20のタイヤ径方向内側に位置している。さらに、スチール補強層30は、カーカス層20がビードコア11よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分では、カーカス層20のタイヤ幅方向外側に位置している。
【0028】
また、スチール補強層30は、ビードコア11よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分のタイヤ径方向外側の端部がスチール補強層内側端部31となっており、ビードコア11よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分のタイヤ径方向外側の端部がスチール補強層外側端部32となっている。換言すると、スチール補強層内側端部31は、スチール補強層30におけるタイヤ幅方向内側の端部であり、スチール補強層外側端部32は、スチール補強層30におけるタイヤ幅方向外側の端部である。また、スチール補強層内側端部31およびスチール補強層外側端部32は、ともにビードコア11よりもタイヤ径方向外側に位置している。さらに、スチール補強層内側端部31は、カーカス層端部22の位置よりもタイヤ径方向外側に位置し、スチール補強層外側端部32は、カーカス層端部22の位置よりもタイヤ径方向内側に位置している。
【0029】
また、重荷重用空気入りタイヤ1は、ビード部10に、緩衝層40が設けられている。緩衝層40は、カーカス層20とスチール補強層30との間で、ビードコア11周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されている。
【0030】
この緩衝層40は、ビード部10において、カーカス層20がビードコア11よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分では、カーカス層20のタイヤ幅方向内側に位置しており、スチール補強層30のタイヤ幅方向外側に位置している。また、緩衝層40は、カーカス層20がビードコア11よりもタイヤ径方向内側に位置している部分では、カーカス層20のタイヤ径方向内側に位置しており、スチール補強層30のタイヤ径方向外側に位置している。さらに、緩衝層40は、カーカス層20がビードコア11よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分では、カーカス層20のタイヤ幅方向外側に位置しており、スチール補強層30のタイヤ幅方向内側に位置している。
【0031】
また、緩衝層40は、ビードコア11よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分のタイヤ径方向外側の端部が緩衝層内側端部41となっており、ビードコア11よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分のタイヤ径方向外側の端部が緩衝層外側端部42となっている。換言すると、緩衝層内側端部41は、緩衝層40におけるタイヤ幅方向内側の端部となっており、緩衝層外側端部42は、緩衝層40におけるタイヤ幅方向外側の端部となっている。また、緩衝層内側端部41および緩衝層外側端部42は、ともにビードコア11よりもタイヤ径方向外側に位置している。さらに、緩衝層内側端部41は、カーカス層端部22の位置よりもタイヤ径方向外側に位置しており、かつスチール補強層内側端部31よりもタイヤ径方向外側に位置している。また、緩衝層外側端部42は、カーカス層端部22の位置よりもタイヤ径方向外側に位置しており、かつスチール補強層外側端部32よりもタイヤ径方向外側に位置している。
【0032】
また、緩衝層40は、カーカス層20の被覆材24およびスチール補強層30の被覆材34よりも、加硫後の硬度が5以上高くなるように形成されている。
【0033】
このように、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向における両側のビード部10のそれぞれに配置されたビードコア11と、一方のビード部10から他方のビード部10にかけて配設されるとともにビードコア11周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、ラジアル方向に沿って延在するカーカスコード23がタイヤ周方向に複数並べて配置されたカーカス層20と、カーカス層20の外側であってビードコア11周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、カーカスコード23に対して交差する複数のスチールコード33を有するスチール補強層30と、を備えている。そして、カーカス層20とスチール補強層30との間で、ビードコア11周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されタイヤ周方向に連続的に配設されており、タイヤ幅方向内側の端部(緩衝層内側端部41)がスチール補強層30のタイヤ幅方向内側の端部(スチール補強層内側端部31)よりもタイヤ径方向外側に位置するとともに、タイヤ幅方向外側の端部(緩衝層外側端部42)がカーカス層20のタイヤ幅方向外側の端部(カーカス層端部22)およびスチール補強層30のタイヤ幅方向外側の端部(スチール補強層外側端部32)よりもタイヤ径方向外側に位置し、かつカーカス層20およびスチール補強層30のコード23,33を被覆する各被覆材24,34よりも加硫後の硬度が5以上高い緩衝層40を備える。
【0034】
この重荷重用空気入りタイヤ1によれば、ビードコア11周りに、カーカスコード23に対して交差する複数のスチールコード33を有するスチール補強層30を備えたことにより、ビード部10の剛性を高めることが可能になる。しかも、ビードコア11周りに、タイヤ幅方向外側でスチール補強層30よりもタイヤ径方向外側に長く、かつタイヤ幅方向外側でカーカス層20およびスチール補強層30よりもタイヤ径方向外側に長く形成されて、カーカス層20およびスチール補強層30のコード23,33を被覆する各被覆材24,34よりも加硫後の硬度が5以上高い緩衝層40を備えている。このため、タイヤの成型・加硫時に、ビード部10間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコード23がラジアル方向に引かれたりした場合であっても、緩衝層40によりカーカス層20とスチール補強層30との接触を防ぎ、かつ緩衝層40の上記硬度によりスチールコード33のずれを抑制する。この結果、スチール補強層30におけるスチールコード33が引き込まれることを抑制するため、スチールコード33がビードコア11のタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制することが可能になる。これにより、ユニフォミティを向上し、ビード部10の耐久性を維持または向上することが可能になる。
【0035】
また、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1では、緩衝層40は、加硫後の硬度が75以上90以下で、100[%]伸張時におけるモジュラスが10[MPa]以上13[MPa]以下であり、厚さが1[mm]以上2[mm]以下のゴム材44からなることが好ましい。
【0036】
加硫後の硬度を75以上90以下とし、100[%]伸張時におけるモジュラスを10[MPa]以上13[MPa]以下とし、厚さを1[mm]以上2[mm]以下としたゴム材44からなる緩衝層40は、スチール補強層30におけるスチールコード33が引き込まれることを抑制するための十分な剛性を有する。このため、この重荷重用空気入りタイヤ1によれば、スチールコード33のずれを抑制し、スチールコード33がビードコア11のタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、カーカス層20の被覆材24およびスチール補強層30の被覆材34の加硫後の硬度は、例えば、60〜65程度までであり、緩衝層40の加硫後の硬度は、これよりも十分に硬い。
【0037】
また、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1では、
図3に示すように、緩衝層40は、有機繊維コード43がゴム材44で被覆されており、有機繊維コード43のカーカスコード23とのエンド数の差が−1[本/50mm]以上+1[本/50mm]以下で、有機繊維コード43のカーカスコード23に対する角度の差が−3[°]以上+3[°]以下であり、有機繊維コード43およびゴム材44を含む厚さが1[mm]以上2[mm]以下であることが好ましい。
【0038】
有機繊維コード43がゴム材44で被覆され、有機繊維コード43のカーカスコード23とのエンド数の差を−1[本/50mm]以上+1[本/50mm]以下とし、有機繊維コード43のカーカスコード23に対する角度の差を−3[°]以上+3[°]以下として有機繊維コード43をカーカスコード23と同等の配置とし、有機繊維コード43およびゴム材44を含む厚さを1[mm]以上2[mm]以下とした緩衝層40は、スチール補強層30におけるスチールコード33が引き込まれることを抑制するための十分な剛性を有し、かつ有機繊維コード43をカーカスコード23と同等の配置とすることでカーカスコード23の引きを阻害し難く(滑り易く)してスチールコード33への影響を抑制する緩衝性を有する。このため、この重荷重用空気入りタイヤ1によれば、スチールコード33のずれを抑制し、スチールコード33がビードコア11のタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、有機繊維コード43は、ナイロンからなることが好ましいが、有機繊維であればナイロン以外でもよく、その場合、例えば、アラミド、ポリエステル、芳香族ポリアミド、高張力ビニロンなどが好ましい。
【0039】
また、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1は、
図1に示すように、ビードコア11のタイヤ径方向最内側位置からスチール補強層30のタイヤ幅方向外側の端部(スチール補強層外側端部32)までのタイヤ径方向寸法Aと、ビードコア11のタイヤ径方向最内側位置からカーカス層20のタイヤ幅方向外側の端部(カーカス層端部22)までのタイヤ径方向寸法Bと、ビードコア11のタイヤ径方向最内側位置から緩衝層40のタイヤ幅方向外側の端部(緩衝層外側端部42)までのタイヤ径方向寸法Cとの関係が、5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]を満たすことが好ましい。
【0040】
この重荷重用空気入りタイヤ1によれば、ビード部10のタイヤ幅方向外側において、緩衝層40のタイヤ幅方向外側の端部(緩衝層外側端部42)が最もタイヤ径方向外側に位置し、その次にカーカス層20のタイヤ幅方向外側の端部(カーカス層端部22)が位置し、スチール補強層30のタイヤ幅方向外側の端部(スチール補強層外側端部32)の位置が最もタイヤ径方向内側に位置することになり、かつ5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]であり、10[mm]≦C−A≦30[mm]の関係にある。このような構成により、タイヤの成型・加硫時に、ビード部10間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコード23がラジアル方向に引かれたりした場合であっても、カーカス層20とスチール補強層30との接触を防ぎ、かつスチールコード33のずれを効果的に抑制する。この結果、スチール補強層30におけるスチールコード33が引き込まれることを効果的に抑制し、スチールコード33がビードコア11のタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。これにより、ユニフォミティを向上し、ビード部10の耐久性を向上することが可能になる。
【0041】
また、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1は、上記タイヤ径方向寸法A,B,Cの関係に加え、
図1に示すように、ビードコア11のタイヤ径方向最内側位置から緩衝層40のタイヤ幅方向外側の端部(緩衝層外側端部42)までのタイヤ径方向寸法Cと、ビードコア11のタイヤ径方向最内側位置からスチール補強層30のタイヤ幅方向内側の端部(スチール補強層内側端部31)までのタイヤ径方向寸法Dと、ビードコア11のタイヤ径方向最内側位置から緩衝層40のタイヤ幅方向内側の端部(緩衝層内側端部41)までのタイヤ径方向寸法Eとの関係が、5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]を満たすことが好ましい。
【0042】
この重荷重用空気入りタイヤ1によれば、ビード部10のタイヤ幅方向外側において、緩衝層40のタイヤ幅方向外側の端部(緩衝層外側端部42)が最もタイヤ径方向外側に位置し、その次にカーカス層20のタイヤ幅方向外側の端部(カーカス層端部22)が位置し、スチール補強層30のタイヤ幅方向外側の端部(スチール補強層外側端部32)の位置が最もタイヤ径方向内側に位置することになり、かつ5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]であり、10[mm]≦C−A≦30[mm]の関係にある。さらに、ビード部10のタイヤ幅方向内側において、緩衝層40のタイヤ幅方向内側の端部(緩衝層内側端部41)、およびスチール補強層30のタイヤ幅方向内側の端部(スチール補強層内側端部31)が、緩衝層40のタイヤ幅方向外側の端部(緩衝層外側端部42)よりもタイヤ径方向外側に位置し、緩衝層40のタイヤ幅方向内側の端部(緩衝層内側端部41)が、スチール補強層30のタイヤ幅方向内側の端部(スチール補強層内側端部31)よりもタイヤ径方向外側に位置することになり、かつ5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]であり、10[mm]≦E−C≦30[mm]の関係にある。このような構成により、タイヤの成型・加硫時に、ビード部10間がタイヤ幅方向内側に狭まったり、タイヤの拡径によりカーカスコード23がラジアル方向に引かれたりした場合であっても、カーカス層20とスチール補強層30との接触を防ぎ、かつスチールコード33のずれを効果的に抑制する。この結果、スチール補強層30におけるスチールコード33が引き込まれることを効果的に抑制し、スチールコード33がビードコア11のタイヤ径方向内側で過密となる事態を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。これにより、ユニフォミティを向上し、ビード部10の耐久性をさらに向上することが可能になる。
【実施例】
【0043】
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、ユニフォミティ(RFV:Radial Force Variation)やビード部の耐久性に関する性能試験が行われた(
図4および
図5参照)。
【0044】
ユニフォミティ(RFV)の性能試験は、タイヤサイズ295/75R22.5の重荷重用空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填し、正規荷重を加えて、フォースバリエーション試験機により、JASO C607「自動車用タイヤのユニフォミティ試験方法」の規格に基づくラジアルフォースバリエーション(RFV)が測定される。そして、測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が小さいほど、特に、95以下となるほど好ましい。
【0045】
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0046】
ビード部の耐久性の性能試験は、タイヤサイズ295/75R22.5の重荷重用空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填し、正規荷重の200[%]を加えて、室内ドラム試験機を用いた低圧耐久試験により行われる。そして、50[km/h]の走行速度で、タイヤ(ビード部)が故障するまでの走行時間が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
【0047】
図4および
図5において、従来例の重荷重用空気入りタイヤは、スチール補強層を有しているが緩衝層を有していない。また、比較例の重荷重用空気入りタイヤは、スチール補強層および緩衝層(ゴム材)を有しているが、緩衝層の配置が規定の範囲外である。
【0048】
一方、
図4において、実施例1〜実施例14の重荷重用空気入りタイヤは、スチール補強層および緩衝層(ゴム材からなるもの)を有し、緩衝層の配置が規定の範囲であり、かつ緩衝層の硬度がスチール補強層のコードを被覆する被覆材(60とする)よりも5以上高い。そして、実施例5〜実施例14の重荷重用空気入りタイヤは、緩衝層の硬度が75以上90以下であり、緩衝層の100[%]伸張時モジュラスが10[MPa]以上13[MPa]以下であり、緩衝層の厚さが1[mm]以上2[mm]以下である。実施例9〜実施例14の重荷重用空気入りタイヤは、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置からスチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Aと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置からカーカス層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Bと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cとの関係が、5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]を満たしている。実施例12〜実施例14の重荷重用空気入りタイヤは、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置からスチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Dと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から緩衝層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Eとの関係が、5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]を満たしている。
【0049】
また、
図5において、実施例15〜実施例29の重荷重用空気入りタイヤは、スチール補強層および緩衝層(有機繊維コードがゴム材で被覆されたもの)を有し、緩衝層の配置が規定の範囲であり、かつ緩衝層の硬度がスチール補強層のコードを被覆する被覆材(60とする)よりも5以上高い。実施例18〜実施例29の重荷重用空気入りタイヤは、有機繊維コードのカーカスコードとのエンド数の差が−1[本/50mm]以上+1[本/50mm]以下で、有機繊維コードのカーカスコードに対する角度の差が−3[°]以上+3[°]以下であり、有機繊維コードおよびゴム材を含む厚さが1[mm]以上2[mm]以下である。実施例24〜実施例29の重荷重用空気入りタイヤは、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置からスチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Aと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置からカーカス層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Bと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cとの関係が、5[mm]≦B−A≦15[mm]、5[mm]≦C−B≦15[mm]を満たしている。さらに、実施例27〜実施例29の重荷重用空気入りタイヤは、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から緩衝層のタイヤ幅方向外側の端部までのタイヤ径方向寸法Cと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置からスチール補強層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Dと、ビードコアのタイヤ径方向最内側位置から緩衝層のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ径方向寸法Eとの関係が、5[mm]≦D−C≦15[mm]、5[mm]≦E−D≦15[mm]を満たしている。
【0050】
そして、
図4および
図5の試験結果に示すように、実施例1〜実施例29の重荷重用空気入りタイヤは、ユニフォミティ(RFV)が向上し、ビード部の耐久性が維持または向上されていることが分かる。