(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サイズ判断手段により前記画像が所定サイズより大きいと判断された場合、当該画像を所定サイズに縮小するための縮小率が所定値以上か否かを判断する縮小率判断手段と、
前記縮小率判断手段により前記縮小率が所定値以上であると判断された場合、当該画像を所定サイズに縮小する縮小手段と、
を備え、
前記分割手段は、前記縮小率判断手段により前記縮小率が所定値より小さいと判断された場合、当該画像を複数の所定サイズ以下のサイズに分割することを特徴とする請求項3記載の画像処理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように、スキャナで読み取った画像データを、上記アプリケーションで参照および編集可能な所定形式のファイルに変換する場合、当該イメージデータが誤解析される可能性がある。画像データが誤解析された場合、生成された所定形式のファイルにおいて、当該ファイルの内容、例えば、テキストやレイアウトなどが、元の画像データとは異なるものとなる。画像データの誤解析は、例えば、文字フォントの種類であったり、文字が小さかったり、文字列にデザイン効果が加えられていたり、画像とテキストとが重なっている場合などに生じ易い。
【0005】
ここで、
図6を参照して、画像データの誤解析によって、変換により生成された所定形式のファイルの内容に生じる不具合の一例を示す。
図6(a)は、変換前の画像データを示す図であり、
図6(b)は、
図6(a)の画像データが誤変換された場合における変換後の所定形式のファイルの内容の一例を示す図である。
図6(a)および(b)において、例えば、元の画像データにおける「Give and take:」と記述されたテキストA1は、変換により生成された所定形式のファイルにおいて、「aive and take:」と記述されるテキストB1に誤変換されている。また、元の画像データにおいて、デザイン効果が加えられているテキストA2は、テキストA2とは全く異なるテキストB2に変換されている。
【0006】
係る場合、ユーザは、元の画像データと、変換により生成された所定形式のファイルとを比較し、当該所定形式のファイルのうち、元の画像データと異なる部分の確認を所望することが想定される。また、例えば、ユーザが、元の画像データまたは変換後のファイルの何れを出力対象とするかの判断を行うため、両者の比較を所望することが想定される。しかしながら、特許文献1に記載される方法では、変換により生成された所定形式のファイルのみがデータベースに登録されるので、比較対象とすべき元の画像データの管理はユーザに委ねられる。よって、例えば、ユーザが、元の画像データや当該画像データの原稿などを誤って処分してしまった場合、比較対象が失われてしまうので、生成された所定形式のファイルと、元の画像データとの比較が困難となる。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、画像データを、所定のアプリケーションで表示または編集可能な形式のファイルに変換する場合における利便性が向上された画像処理システム、画像処理方法、画像処理装置、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の画像処理システムは、画像データを取得する画像取得手段と、前記取得手段により取得した画像データに基づく1の画像に従って、当該画像データに基づき生成される複数の要素が配置された、当該画像データとは異なる第1形式の第1データを、変換部に生成させる第1生成手段と、前記画像データに基づく1の画像が1の要素として配置された、当該画像データとは異なる第2形式の第2データを生成させる第2生成手段と、前記第1生成手段により生成された第1データと、前記第2生成手段により生成された第2データとを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御手段と、を備え
、前記記憶制御手段は、前記第1データと前記第2データとを含むファイルを生成することによって、前記第1データと前記第2データとを関連付けて記憶させ、前記ファイルとして、前記第1データと前記第2データとを互いに異なるページまたはシートのデータとして含むファイルを生成し、更に、前記ファイルとして、前記第2データを構成する1の要素に、当該第2データに対応する前記第1データを構成する複数の要素を、前記画像データに基づく1の画像に基づく配置で重ねたページまたはシートを含むファイルを生成し、前記1の要素と前記複数の要素との間に、透過度を調整可能な無地の有色画像を配置させたページまたはシートを含むファイルを生成する。
【0009】
なお、本発明は、画像処理装置、画像処理装置を制御する制御装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像処理システムによれば、画像取得手段により取得した画像データに基づく1の画像に従って、当該画像データに基づき生成される複数の要素が配置された、当該画像データとは異なる第1形式の第1データが生成される。その一方で、前記取得した画像データに基づく1の画像が1の要素として配置された、当該画像データとは異なる第2形式の第2データが生成される。このように生成された第1データと第2データとが関連付けられて記憶部に記憶されるので、ユーザは、第1データと第2データとの比較を容易に行うことができる。よって、画像データを、所定のアプリケーションで表示または編集可能な形式のファイルに変換する場合においても、元の画像データの内容と、変換により生成されたファイルの内容との比較が容易であり、利便性に優れる。なお、特許請求の範囲において「第1形式」および「第2形式」は、両者が同じ形式であってもよく、互いに異なる形式であってもよいことを意図する。
【0011】
本発明の画像処理システムによれば、
第1データと第2データとを含む所定形式のファイルを生成することによって、第1データと第2データとを関連付けて記憶部に記憶させるので、両データを1のファイルで管理できる。
【0012】
本発明の画像処理システムによれば、
第1データと第2データとを互いに異なるページまたはシートのデータとして含むファイルが生成されるので、各ページまたは各シートの内容を比較することにより、第1データの内容と第2データの内容との比較を行うことができる。
【0015】
本発明の画像処理システムによれば、
次の効果を奏する。第2データを構成する1の要素に、当該第2データに対応する第1データを構成する複数の要素を、画像データに基づく1の画像に基づく配置で重ねたページまたはシートを含むファイルが生成される。第1データと第2データとに相違点があれば、両データの要素間に重ならない部分が生じるので、ユーザは視覚的に相違点を把握し易い。よって、第1データの内容と第2データの内容との比較を容易に行うことができる。なお、特許請求の範囲において「第2データに対応する第1データ」とは、第2データに対応する画像データと、第1データに対応する画像データとが同じであることを意味する。
【0016】
本発明の画像処理システムによれば、
次の効果を奏する。第2データを構成する1の要素と、第1データを構成する複数の要素との間に、透過度を調整可能な無地の有色画像を配置させたページまたはシートを含むファイルが生成される。よって、有色画像の透過度を高くすれば、両データの要素の重なり状態に応じて、両データの比較を行うことができる一方で、有色画像の透過度を低くすれば、第2データを隠すことができ、第1データが表示されたページ又はシートとして取り扱うことができる。
【0018】
本発明の画像処理システムによれば、
次の効果を奏する。画像処理装置から取得した画像データに基づく画像が所定サイズより大きいと判断された場合、当該画像が所定サイズ以下に縮小される。よって、所定サイズに収まる画像の第1データおよび第2データを生成できる。
【0019】
本発明の画像処理システムによれば、
次の効果を奏する。画像処理装置から取得した画像データに基づく画像が所定サイズより大きいと判断された場合、当該画像が複数の所定サイズ以下のサイズに分割され、分割された各画像に対応する画像データ各々について、第1データおよび第2データがそれぞれ生成される。よって、所定サイズに収まる画像の第1データおよび第2データを生成できる。
【0020】
本発明の画像処理システムによれば、
次の効果を奏する。画像処理装置から取得した画像データに基づく画像が所定サイズより大きいと判断され、かつ、当該画像を所定サイズに縮小するための縮小率が所定値以上であると判断された場合、当該画像が所定サイズに縮小される。その一方、画像処理装置から取得した画像データに基づく画像が所定サイズより小さいと判断され、かつ、当該画像を所定サイズに縮小するための縮小率が所定値より大きいと判断された場合、当該画像が複数の所定サイズ以下のサイズに分割される。なお、「縮小率」とは、(所定サイズにおける縦方向のサイズ/画像処理装置から取得した画像データに基づく画像の縦方向のサイズ)と、(所定サイズにおける横方向のサイズ/画像処理装置から取得した画像データに基づく画像の縦方向のサイズ)とのうち、小さい方の値である。ただし、同値である場合には、その値である。よって、画像が分割されることをできるだけ抑制しつつ、かつ、所定サイズに収まる画像の第1データおよび第2データを生成できる。これにより、画像が分割されたことによる画像の利便性の低下を抑制できるとともに、縮小された画像が誤解析されて誤変換されることを抑制できる。
【0021】
本発明の画像処理システムによれば、
次の効果を奏する。少なくとも、第1生成手段により生成された第1データと、第2生成手段により生成された第2データまたは当該第2データを生成する元となる画像データとが、一時保存データとして、本画像処理システムの記憶部に記憶される。よって、外部装置の記憶部に、第1データと第2データとを関連付けて記憶させることを失敗したとしても、第1データと第2データとを関連付けて外部装置の記憶部に記憶させる処理を実行することができる。また、本画像処理システムの記憶部に記憶されている一時保存データは、外部装置の記憶部に、第1データと第2データとを関連付けて記憶させることが完了したことが確認されると削除されるので、画像処理システムに不要なデータの蓄積が防止される。なお、
本発明において「第2データを生成する元となる画像データ」は、画像処理装置から取得した画像データに限定されることを意図するものではなく、当該画像データに対して所定の処理が施された画像データも含まれることを意図する。
【0022】
本発明の画像処理方法によれば、
本発明の画像処理システムと同様の効果を奏する。
本発明の画像処理プログラムによれば、
本発明の画像処理システムと同様の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、多機能周辺装置(MFP)10及び画像処理システム500の構成を示すブロック図である。なお、画像処理システム500は、本発明の画像処理システムの一実施形態である。
【0025】
詳細は後述するが、画像処理システム500は、スキャナ18が読み取った原稿のスキャンデータ(画像データ)をMFP10から取得し、当該スキャンデータをWORD(登録商標)やEXCEL(登録商標)などの所定のアプリケーションで参照および編集可能な所定形式のファイルに変換し、当該変換により生成されたファイル(以下、このファイルを「変換済みファイル」と称す)を、スキャンデータの送信元のMFP10や、クラウドサービス600などの所定の保存先Xに保存するシステムとして構成される。特に、本実施形態の画像処理システム500は、変換済みファイルと、当該変換済みファイルの元となったスキャンデータとを関連付けた状態で保存先Xに記憶させるように構成されており、変換済みファイルの内容と、スキャンデータの内容(スキャンデータに基づく画像)との比較を容易に行うことができるように構成される。
【0026】
MFP10には、CPU11、フラッシュメモリ12、RAM13、LCD16、タッチパネル17、スキャナ18、プリンタ19、NCU20、モデム21、USBインターフェイス(USB_I/F)22、無線LAN送受信部23が主に設けられている。CPU11、フラッシュメモリ12、RAM13は、バスライン24を介して互いに接続されている。また、CPU11、フラッシュメモリ12、およびRAM13が接続されたバスライン24と、各部16〜23とは、入出力ポート25を介して互いに接続されている。
【0027】
CPU11は、フラッシュメモリ12に記憶される固定値やプログラム、RAM13に記憶されているデータ、或いは、NCU20を介して送受信される各種信号に従って、MFP10が有している各機能の制御や、入出力ポート25と接続された各部を制御する。フラッシュメモリ12は、不揮発性のメモリである。フラッシュメモリ12には、MFP10の動作を制御する制御プログラム12aが格納される。例えば、ユーザがスキャン実行指示を入力した場合に、スキャナ18に原稿の読み取りを実行させる処理や、当該原稿の読み取りによって得られたスキャンデータを画像処理システム500に送信する処理は、制御プログラム12aに従ってCPU11により実行される。RAM13は、CPU11が制御プログラム12aを実行するにあたり、各種のデータを一時的に記憶するためのテンポラリエリアを有する書換可能な揮発性のメモリである。
【0028】
LCD16は液晶表示装置である。LCD16の画面には、タッチパネル17がLCD16に重ねて設けられる。タッチパネル17は、例えば、指や棒などの指示物がLCD16の画面に対してタッチ又は近づいた場合に、タッチ又は近づいた位置を検知し、検知した位置をMFP10に入力する。スキャナ18は、原稿を読み取ってスキャンデータに変換する。プリンタ19は、画像データに基づく画像を記録用紙に印刷する。モデム21は、FAX送信時には送信すべき画像データを、電話回線網(図示せず)に伝送可能な信号に変調してNCU20を介して送信し、または、電話回線網からNCU20を介して入力された信号を画像データに復調する。NCU20は、図示されない電話回線網とMFP10との間を接続するものであり、モデム21からの指示に従って、回線を閉結または切断することにより、電話回線網との間の接続状態を制御する。USB_I/F22は、USBケーブルを介して、例えば、パーソナルコンピュータやハードディスクなどの他の装置や、USBメモリなどの記憶媒体を通信可能に接続するための装置であり、周知の装置で構成される。無線LAN送受信部23は、IEEE802.11b/gの規格に準拠した無線LANにより、中継装置であるアクセスポイント(AP)50を介して、MFP10と、インターネット800上の画像処理システム500とを通信可能に接続する。
【0029】
画像処理システム500は、メインサーバ100と、第1データベースサーバ(第1DBサーバ)200と、変換サーバ300と、第2データベースサーバ(第2DBサーバ)400とを含んで構成される。
【0030】
メインサーバ100は、画像処理システム500における窓口として機能するサーバである。メインサーバ100は、図示されないCPU、ROM、及びRAM等から構成される制御部101と、インターネット通信部(図示せず)とを有する。メインサーバ100は、インターネット通信部によって、インターネット800を介して、MFP10およびクラウドサービス600とそれぞれ通信可能に接続される。また、メインサーバ100は、インターネット通信部によって、第1DBサーバ200および変換サーバ300とそれぞれ通信可能に接続される。
【0031】
制御部101は、MFP10から送信されたスキャンデータに対し、後述する画像調整処理(
図4参照)を施し、得られたデータを第2DBサーバ400に送信して保存(記憶)させる。また、制御部101は、変換サーバ300が生成した変換済みファイルと、画像調整処理が施されたスキャンデータ(以下、このデータを「処理後データ」と称す)とを関連付ける処理(関連付け処理)を実行し、当該処理によって得られたファイルを所定の保存先Xに送信して保存させる。また、制御部101は、関連付け処理により得られたファイルの保存が完了したことを示す保存完了信号を保存先Xから受信した場合に、一時的に保存しているデータやファイルを削除させる削除指示を、第1DBサーバ200と第2DBサーバ400とにそれぞれ送信する。
【0032】
第1DBサーバ200は、メインサーバ100からアクセス可能なメインサーバ用のデータベースとして機能するサーバである。第1DBサーバ200は、図示されないCPU、ROM、及びRAM等から構成される制御部201と、ハードディスクドライブなどの書換可能な不揮発性のメモリから構成される記憶部202と、インターネット通信部(図示せず)とを有する。第1DBサーバ200は、インターネット通信部によって、メインサーバ100と通信可能に接続される。制御部201は、メインサーバ100を介してMFP10から受信した(取得した)スキャンデータと、メインサーバ100から受信した処理後データとを、それぞれ記憶部202に記憶させる。また、制御部201は、メインサーバ100から削除指示を受信した場合、記憶部202に記憶されている処理後データなどを削除する削除処理を実行する。
【0033】
変換サーバ300は、処理後データを、WORDやEXCEL形式などの所定形式のファイルに変換するサーバである。変換サーバ300は、図示されないCPU、ROM、及びRAM等から構成される制御部301と、インターネット通信部(図示せず)とを有する。変換サーバ300は、インターネット通信部によって、メインサーバ100および第2DBサーバ400とそれぞれ通信可能に接続される。制御部301は、処理後データを変換し、得られた変換済みファイルを、第2DBサーバ400に送信して保存させる。
【0034】
第2DBサーバ400は、変換サーバ300からアクセス可能な変換サーバ用のデータベースとして機能するサーバである。第2DBサーバ400は、図示されないCPU、ROM、及びRAM等から構成される制御部401と、ハードディスクドライブなどの書換可能な不揮発性のメモリから構成される記憶部402と、インターネット通信部(図示せず)とを有する。第2DBサーバ400は、インターネット通信部によって、変換サーバ300と通信可能に接続される。制御部401は、変換サーバ300を介してメインサーバ100から受信した処理後データと、変換サーバ300から受信した変換済みファイルとを、それぞれ記憶部402に記憶させる。また、制御部401は、メインサーバ100から削除指示を受信した場合、記憶部402に記憶されている変換済みファイルなどを削除する削除処理を実行する。
【0035】
AP50は、Wi−Fi(登録商標)端末間の通信を中継する中継装置である。また、AP50は、ブロードバンドルーター機能を有し、インターネット800に接続できる。クラウドサービス600は、サービス事業者が用意したネットワーク上のデータベースに電子ファイルを格納することができる電子ファイル格納サービスである。
【0036】
図2は、本発明の概略を模式的に説明する図である。画像処理システム500は、
図2(a)に示す画像Iに対応するスキャンデータがMFP10からアップロードされた場合、変換サーバ300が、当該スキャンデータを、所定のアプリケーションで参照および編集可能な所定形式のファイルに変換する。かかる変換の結果、例えば、
図2(b)に示すように、アップロードされたスキャンデータに基づく1の画像Iに従って、当該スキャンデータに基づき生成される各種オブジェクト(要素)J1a〜J1cが配置されたデータD1からなるファイルが、変換済みファイルとして生成される。
【0037】
その一方で、メインサーバ100が、当該スキャンデータから、変換済みファイルと同形式のデータD2を生成する。具体的に、メインサーバ100は、
図2(c)に示すように、アップロードされたスキャンデータに基づく1の画像Iが1のオブジェクト(要素)J2として配置されたデータD2を生成する。かかるデータD2の生成により、MFP10からアップロードされたスキャンデータを、変換済みファイルに統合することが可能となる。そして、メインサーバ100は、変換済みファイルに、アップロードされたスキャンデータをデータD2として統合することによって、変換済みファイルのデータ(データD1)と、アップロードされたスキャンデータ(データD2)との関連付けを行う。
【0038】
かかる関連付けの方法としては、例えば、
図2(d)に示すように、データD1が配置されたページP1の群の後ろに、データD2がそれぞれ配置されたページP2の群を統合する第1の方法を例示できる。別の例として、
図2(e)に示すように、データD1が配置されたページP1の群の前に、データD2がそれぞれ配置されたページP2の群を統合する第2の方法を例示できる。これらの方法(第1および第2の方法)により得られたファイルは、データD1が配置されたページP1の群と、データD2が配置されたページP2の群とを、それぞれ個々の塊として取り扱うことができるので、各ページ群の取り扱いが容易となる。例えば、一方のページ群を画面に表示させ、他方のページ群を印刷させる場合に、印刷対象とするページ群の印刷指定を行い易いとともに、表示対象とするページ群についても各ページの表示切替を行い易い。よって、変換済みファイルのデータD1の内容と、データD2の内容、すなわち、スキャンデータの内容との比較を容易に行うことができる。
【0039】
かかる関連付けの方法のさらなる別の例として、
図2(f)に示すように、データD1と、そのデータD1に対応するデータD2がそれぞれ配置されたページP1,P2が隣接ページとなるように、変換済みファイルに、データD2を統合する第3の方法を例示できる。なお、「データD1に対応するデータD2」は、データD1に対応する画像データと、データD2に対応する画像データとが同じであることを示す。かかる第3の方法により得られたファイルは、データD1と、そのデータD1に対応するデータD2がそれぞれ配置されたページP1,P2が隣接ページとなるので、データD1の内容とデータD2の内容との比較を行い易い。例えば、データD1が配置されたページP1と、当該データD1に対応するデータD2が配置されたページP2とを、表示レイアウトの設定に応じて、同時に画面表示させることが可能となるので、両データの内容の比較を行い易い。
【0040】
変換済みファイルに、アップロードされたスキャンデータをデータD2として統合することによって、データD1とデータD2との関連付けを行った場合、両データD1,D2の内容を比較した後、不要となった方のデータが配置されたページを削除することによって、最終的に必要とするデータを残すことができる。特に、上記第1および第2の方法により、データD1が配置されたページP1の群と、データD2が配置されたページP2の群とを、それぞれ個々の塊として取り扱うことができるので、不要なページの削除を行い易いという利点がある。
【0041】
図3は、画像処理システム500において実行される画像処理シーケンスを示すシーケンス図である。MFP10のCPU11、および、各サーバ100,200,300,400の制御部101,201,301,401が実行する各処理は、各装置に格納される制御プログラムによって実行される。なお、以下の説明では「MFP10のCPU11」のことを、単に「MFP10」と称することがある。同様に「メインサーバ100の制御部101」、「第1DBサーバ200の制御部201」、「変換サーバ300の制御部301」、および「第2DBサーバ400の制御部401」を、それぞれ、「メインサーバ100」、「第1DBサーバ200」、「変換サーバ300」、および「第2DBサーバ400」と称することがある。
【0042】
ユーザが、スキャナ18の原稿台(図示せず)またはオートドキュメントフィーダ(図示せず)に、1または複数枚の原稿をセットし、スキャンの実行を指示するスキャン実行指示をMFP10に入力した場合、MFP10は、ステップS1(以下、ステップを省略)において、セットされた原稿の読み取りをスキャナ18に実行させる。次に、MFP10は、スキャナ18による読み取りにより得られたスキャンデータ(画像データ)を、メインサーバ100を介して、第1DBサーバ200にアップロードする(S2)。MFP1がスキャンデータをS2においてアップロードしたことにより、メインサーバ100は当該スキャンデータを取得する。
【0043】
メインサーバ100は、第1DBサーバ200にアップロードされたスキャンデータをダウンロードし(S3)、ダウンロードしたスキャンデータに対し、画像調整処理を施す(S4)。画像調整処理(S4)は、スキャンデータに基づく画像を、当該画像のサイズに応じて縮小したり分割したりする処理である。画像調整処理(S4)の詳細な処理については、
図4を参照して後述するが、スキャンデータに基づく画像がA4サイズより大きく、かつ、A4サイズに縮小するための縮小率が80%より小さい場合、スキャンデータに基づく画像が、A4サイズに収まるサイズに分割され、S5以降の処理では、分割された各画像にそれぞれ対応する複数の処理後データ(画像データ)各々が処理される。なお、スキャンデータに基づく画像が分割されるか否かにかかわらず、S5以降の処理では、複数の処理後データがある場合、それら複数の処理後データ各々が処理される。
【0044】
メインサーバ100は、画像調整処理(S4)により得られた処理後データを、第1DBサーバ200にアップロードし、記憶部202に保存させる(S5)。また、メインサーバ100は、画像調整処理(S4)により得られた処理後データを、変換サーバ300を介して第2DBサーバ400にアップロードし、記憶部402に保存させる(S6)。変換サーバ300は、第2DBサーバ400にアップロードされたスキャンデータをダウンロードし(S7)、ダウンロードした処理後データを、所定のアプリケーションで参照および編集可能な所定形式のファイルに変換する変換処理を実行する(S8)。本実施形態では、変換サーバ300により変換により生成されるファイルの形式は、変換サーバ300に対して予め規定されている形式であっても、ユーザが、スキャンデータをアップロードする際に指定した形式であってもよい。なお、以下の説明では、便宜上、変換サーバ30により生成されるファイルの形式は、WORD形式に規定されているものとする。
【0045】
S8の変換処理により、MFP10からアップロードされたスキャンデータに基づく1の画像に従って、当該スキャンデータに基づき生成される、画像オブジェクトや図形オブジェクトやテキストオブジェクトなどの各種オブジェクト(要素)が配置されたデータを含むファイルが生成される。例えば、
図2(b)に示すデータD1を含むWORD形式のファイルが生成される。なお、画像調整処理(S4)において、スキャンデータに基づく画像が分割されていなければ、1ページ分のスキャンデータに基づき生成される各種オブジェクトが1ページに配置される。一方、画像調整処理(S4)において、スキャンデータに基づく画像が分割された場合には、1ページ分のスキャンデータに基づき生成される各種オブジェクトが複数ページに分割して配置される。
【0046】
変換サーバ300は、変換処理により得られたファイル(変換済みファイル)を、第2DBサーバ400にアップロードし、記憶部402に保存させる(S9)。メインサーバ100は、第2DBサーバ400にアップロードされた変換済みファイルを、ダウンロードする(S10)。また、メインサーバ100は、S5の処理によって記憶部201に記憶された処理済みスキャンデータをダウンロードする(S11)。メインサーバ100は、第2DBサーバ400からダウンロードした変換済みファイルと、第1DBサーバ200からダウンロードした処理後データとを関連付ける処理(関連付け処理)を実行する(S12)。本実施形態のメインサーバ100は、関連付け処理として、変換済みファイルに、処理後データを統合する処理を実行する。メインサーバ100は、変換済みファイルに、処理後データを統合するに際し、処理後データから、変換済みファイルと同形式のデータを生成する。つまり、MFP10からアップロードされたスキャンデータに基づく1の画像が1のオブジェクト(要素)として配置されたWORD形式のデータが生成される。例えば、
図2(c)に示すデータD2を含むWORD形式のデータが生成される。
【0047】
なお、画像調整処理(S4)において、スキャンデータに基づく画像が分割されていなければ、1ページ分のスキャンデータに基づく1の画像が1のオブジェクトとして1ページに配置される。一方、画像調整処理(S4)において、スキャンデータに基づく画像が分割された場合には、1ページ分のスキャンデータに基づく1の画像が1のオブジェクトとして複数ページに分割して配置される。上述した通り、関連付け処理(S12)において、変換済みファイルに処理後データを統合する方法としては、例えば、
図2(d)に示す第1の方法、
図2(e)に示す第2の方法、
図2(f)に示す第3の方法などが例示されるが、関連付け処理(S12)で用いる方法としては、メインサーバ100において予め規定されている方法であってもよいし、ユーザが、スキャンデータをアップロードする際に指定した方法であってもよい。
【0048】
次に、メインサーバ100は、関連付け処理(S12)において生成されたファイルを所定の保存先Xにアップロードし、保存(記憶)させる(S13)。保存先Xとしては、例えば、スキャンデータの送信元のMFP10や、クラウドサービス600などを例示できる。保存先Xは、予め規定されている保存先であってもよいし、ユーザが、スキャンデータをアップロードする際に指定した保存先であってもよい。保存先Xが、アップロードされたファイルの保存が完了したことに伴い所定の信号(保存完了信号)を送出する場合、メインサーバ100は、その保存完了信号の受信によって、ファイルの保存が完了したことを確認できる(S14)。メインサーバ100は、保存完了信号を受信した場合に、削除指示を、第1DBサーバ200に送信する(S15)。また、メインサーバ100は、保存完了信号を受信した場合に、削除指示を、変換サーバ300を介して、第2DBサーバ400に送信する(S16)。
【0049】
第1DBサーバ100は、メインサーバ100から削除指示を受信すると、処理後データなどの一時的に保存されていたデータを削除する削除処理を実行する(S17)。一方、第2DBサーバ200は、メインサーバ100から削除指示を受信すると、変換済みファイルなどの一時的に保存されていたデータを削除する削除処理を実行する(S18)。変換済みファイルが保存先Xに保存されたことを、メインサーバ100が確認した場合には、第1DBサーバ200および第2DBサーバ400に一時的に保存されていたデータが削除されるので、画像処理システム500に不要なデータが蓄積されることを防止できる。また、変換済みファイルが保存先Xに保存されたことを、メインサーバ100が確認するまでは、第1DBサーバ200には、処理後データなどが一時的に保存され、第2DBサーバ400には変換済みファイルなどが一時的に保存されたままとされるので、変換済みファイルの保存先Xへの保存が失敗したとしても、MFP10から再度スキャンデータをアップロードさせることなく、S10〜S13の処理を再度実行し、変換済みファイルの保存先Xへの保存を再度実行できる。
【0050】
図4は、上述した画像調整処理(S4)を示すフローチャートである。上述した通り、本処理は、メインサーバ100の制御部101が制御プログラム(図示せず)に従って実行する処理である。まず、制御部101は、変数iを1に初期化する(S401)。次に、制御部101は、iページ目のスキャンデータを処理対象とし(S402)、処理対象のスキャンデータに基づく画像(スキャン画像)のサイズがA4サイズ以下であるかを判断する(S403)。このとき、処理対象のスキャン画像のサイズがA4サイズ以下であると制御部101が判断した場合(S403:Yes)、制御部101は、処理をS403に移行する。
【0051】
一方、S403において、処理対象のスキャン画像のサイズがA4サイズより大きいと制御部101が判断した場合(S403:No)、制御部101は、当該スキャン画像をA4サイズに収まるサイズに縮小するための縮小率を算出する(S405)。具体的に、S405では、(A4における縦方向のサイズ/スキャン画像の縦方向のサイズ)×100と、(A4における横方向のサイズ/スキャン画像の横方向のサイズ)×100とのうち、小さい方の値を採用する。ただし、同値である場合には、その値を採用する。
【0052】
算出された縮小率が80%以上である場合(S406:Yes)、制御部101は、処理対象のスキャン画像を算出された縮小率で縮小し(S407)、処理をS404に移行する。一方、算出された縮小率が80%より小さい場合(S406:No)、制御部101は、処理対象のスキャン画像を、A4に収まるサイズに分割し(S408)、処理をS404に移行する。S408において行うスキャン画像の分割は、例えば、処理対象のスキャン画像の横方向の一端から他端側へ、A4サイズの横方向のサイズの間隔で配置した、当該スキャン画像の縦方向に平行な分割位置で、当該スキャン画像の横方向を分割するとともに、当該スキャン画像の縦方向の一端から他端側へ、A4サイズの縦方向のサイズの間隔で配置した、当該スキャン画像の横方向に平行な分割位置で、当該スキャン画像の縦方向を分割することによって行う。なお、スキャン画像の画像認識を行い、その結果に基づいて、画像やテキストなどが分断されないよう、縦又は横の分割位置を適宜設定する構成としてもよい。
【0053】
S408において、全てのスキャン画像が処理されたと制御部101が判断した場合(S404:Yes)、制御部101は、本処理を終了する。一方、全てのスキャン画像が処理されたていない制御部101が判断した場合(S404:No)、制御部101は、変数iに1を加算し(S409)、処理をS402に移行して、次のページのスキャンデータについてS403,S405〜S408の処理を実行する。
【0054】
よって、画像調整処理(S4)によれば、スキャン画像(スキャンデータに基づく画像)のサイズが、A4などの予め規定されたサイズより大きい場合であっても、スキャン画像を、一部も欠けることなく、当該サイズのページに収めることができる。また、縮小率が80%以上である場合には、スキャン画像の縮小が行われ、縮小率が80%より小さい場合には、スキャン画像が分割されるので、スキャン画像が分割されることをできるだけ抑制しつつ、かつ、スキャン画像が過度に縮小され過ぎることも抑制できる。これにより、スキャン画像が分割されたことによる利便性の低下を抑制できるとともに、縮小されたスキャン画像が誤解析されて誤変換されることを抑制できる。
【0055】
以上説明した通り、本実施形態の画像処理システム500によれば、スキャンデータから生成された変換済みファイルに、スキャンデータを統合したファイルが、保存先Xに保存されるので、1のファイルで、変換済みファイルの内容とスキャンデータの内容との両方を入手し、互いに比較することができる。よって、スキャンデータを特別に管理するなど、ユーザの手間を取らせることなく、変換済みファイルの内容と、スキャンデータの内容との比較を容易に行うことができ、利便性に優れる。
【0056】
上記実施形態において、画像処理システム500が、画像処理システムの一例である。MFP10が、画像処理装置の一例である。変換サーバ300が、変換部の一例である。
保存先Xが、記憶部、外部装置の記憶部の一例である。第1DBサーバ200,第2DBサーバ400が、画像処理システムの記憶部の一例である。データD1が、第1データの一例である。データD2が、第2データの一例である。S2の処理が、画像取得手段、画像取得ステップの一例である。S8の処理が、第1生成手段、第1生成ステップの一例である。S12の処理が、第2生成手段、第2生成ステップの一例である。S12,S13の処理が、記憶制御手段、記憶制御ステップの一例である。S403の処理が、サイズ判断手段の一例である。S407の処理が、縮小手段の一例である。S408の処理が、分割手段の一例である。S406の処理が、縮小率判断手段の一例である。S5,S9の処理が、第2記憶制御手段の一例である。S17,S18の処理が、削除手段の一例である。
【0057】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0058】
例えば、上記実施形態では、画像処理システム500を、メインサーバ100と、第1DBサーバ200と、変換サーバ300と、第2DBサーバ400とから構成されるシステムとして構成したが、各サーバ100〜400の機能を1つのサーバが備えたシステムとして構成してもよい。
【0059】
また、画像処理システム500が、メインサーバ100と、第1DBサーバ200と、変換サーバ300と、第2DBサーバ400との4つのサーバを必ずしも備えている必要はなく、例えば、変換サーバ300を含まず、メインサーバ100と、第1DBサーバ200と、第2DBサーバ400とから構成されるシステムであってもよい。あるいは、画像処理システム500が、変換サーバ300と第2DBサーバ400とを含まないシステム、すなわち、メインサーバ100と、第1DBサーバ200とから構成されるシステムであってもよい。画像処理システム500が、変換サーバ300を含まないシステムである場合、上記実施形態において変換サーバ300が実行した各処理をメインサーバ100に実行させるように構成すればよい。あるいは、画像処理システム500と通信可能に接続された変換サーバ300と同様の機能を有するサーバに、上記実施形態において変換サーバ300が実行した各処理を実行させてもよい。
【0060】
上記実施形態では、メインサーバ100用のデータベースとして、第1DBサーバ200を設け、変換サーバ300用のデータベースサーバとして、第2DBサーバ400を設ける構成としたが、第1DBサーバ200と第2DBサーバ400とを1つのデータベース用サーバとして、当該1のデータベース用サーバを、メインサーバ100および変換サーバ300が共用する構成としてもよい。かかる場合、第1DBサーバ200および第2DBサーバ400にそれぞれアップロードされていたデータまたはファイルは、共用される1のデータベース用サーバにアップロードされ、メインサーバ100および変換サーバ300は、それぞれ、第1DBサーバ200および第2DBサーバ400からダウンロードしていたデータまたはファイルを、共用される1のデータベース用サーバからダウンロードすればよい。
【0061】
上記実施形態では、MFP10のスキャナ18が生成したスキャンデータから、変換済みファイルを生成する構成としたが、変換済みファイルの元となる画像データは、スキャンデータに限らず、フラッシュメモリ12や、USB_I/F22に接続されるUSBメモリなどの記憶媒体などに記憶されている画像データであってもよいし、デジタルカメラなどで撮影された画像データであってもよい。また、上記実施形態では、画像処理システム500は、MFP10からスキャンデータを取得する構成としたが、スキャンデータ(画像データ)の取得元は、パーソナルコンピュータや、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末や、デジタルカメラなどであってもよい。また、変換済みファイルの元となる画像データは、第1DBサーバ200または第2DBサーバ400にあらかじめ記憶されている画像データであってもよい。
【0062】
上記実施形態では、画像処理システム500を構成する各サーバ100〜400がS4〜S18の処理を実行し、MFP10から取得したスキャンデータから、変換済みファイルの生成を生成し、当該変換済みファイルに、変換元のスキャンデータを関連付けて保存先Xに保存させる構成としたが、S4〜S18に相当する処理を、MFP10が実行する構成としてもよい。つまり、MFP10が、スキャナ18から取得したスキャンデータから、変換済みファイルの生成を生成し、当該変換済みファイルに、変換元のスキャンデータを関連付けて保存先Xに保存させる構成としてもよい。かかる場合、制御プログラム12aの構成を、CPU11がS4〜S18に相当する処理を実行可能な内容にすればよい。同様に、パーソナルコンピュータや携帯端末などの装置が、スキャンデータなどの画像データを取得し、当該画像データから変換済みファイルの生成を生成し、当該変換済みファイルに、変換元の画像データを関連付けて保存先Xに保存させる構成としてもよい。これらの変形例を採用する場合、MFP10、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末などの装置が、画像処理システムの一例となる。また、これらの画像処理システムとなり得る装置において、S4〜S18に相当する処理を実行可能に構成された制御プログラム12aなどの制御プログラムが、画像処理プログラムの一例となり、CPU11が、コンピュータの一例となる。
【0063】
上記実施形態では、変換サーバ300により生成されるファイルの形式として、WORD形式を例示したが、所定のアプリケーションで参照および編集可能な他の形式、例えば、HTML形式や、PDF形式や、パワーポイント(登録商標)形式や、EXCEL(登録商標)形式などであってもよい。EXCEL形式のファイルは、1ファイルが1又は複数のシートデータから構成されるが、スキャンデータなどの画像データを統合する場合には、当該画像データをシートデータとして統合すればよい。
【0064】
上記実施形態では、関連付け処理(S12)において用いる、変換済みファイルとスキャンデータとを関連付ける方法として、変換済みファイルに、アップロードされたスキャンデータをデータD2として統合する方法を例示した(
図2(d)〜(f)参照)。変換済みファイルとスキャンデータとを関連付ける方法は、上記例示された方法に限らない。
【0065】
図5は、変換済みファイルとスキャンデータとを関連付ける方法の変形例を示す模式図である。本変形例では、
図5に示すように、変換済みファイルのデータD1を構成する、スキャンデータに基づく1の画像に従って配置されたオブジェクトJ1a〜J1cと、スキャンデータに対応するデータD2を構成するオブジェクトJ2との間に、透過度を調整可能な無地の白色画像Wを配置したファイルを生成することによって、変換済みファイルとスキャンデータとの関連付けを行う。
【0066】
本変形例により生成されるファイルは、白色画像Wの透過度を高くした場合に、オブジェクトJ1a〜J1cと、オブジェクトJ2とを重ねた状態を、ユーザに視認させることができる。スキャンデータの変換に不具合があり、変換済みファイルの内容と変換元のスキャンデータの内容との間に相違点がある場合には、その相違点を、オブジェクトJ1a〜J1cと、オブジェクトJ2との間に重ならない部分が生じるので、上記相違点の存在を発見し易い。よって、1のファイルで、変換済みファイルの内容と変換元のスキャンデータの内容との比較を容易に行うことができる。その一方で、白色画像Wの透過度を低くすれば、データD2を構成するオブジェクトJ2、すなわち、スキャンデータの内容を隠すことができ、変換済みファイルのデータD1を構成するオブジェクトJ1a〜J1c、すなわち、変換済みファイルの内容のみを表示させることができる。よって、本変形例により生成されるファイルは、変換済みファイルの内容と変換元のスキャンデータの内容との比較だけでなく、変換済みファイルの内容を表示できるファイルとして利用できる。なお、上記変形例では、オブジェクトJ1a〜J1cと、オブジェクトJ2との間に配置させる画像を無地の白色画像Wとしたが、無地の有色画像であれば、画像の色は白色に限らず、例えば、黄色画像であってもよい。また、上記変形例では、オブジェクトJ1a〜J1cと、オブジェクトJ2との間に、白色画像Wを配置したファイルを生成したが、白色画像Wを使用せず、オブジェクトJ1a〜J1cと、オブジェクトJ2との重ねたファイルを生成する構成としてもよい。
【0067】
また、変換済みファイルとスキャンデータとを関連付ける方法のさらなる別の変形例としては、変換済みファイルにデータD2として統合することなく、データD2を含むファイル(以下、「第2ファイル」と称す)を、変換済みファイルとは別途生成し、変換済みファイルを構成するデータD1に、第2ファイルにアクセス可能なリンク情報を付加する構成としてもよい。第2ファイルの形式としては、変換済みファイルの形式と同じ形式であっても、異なる形式であってもよく、例えば、PDF形式や、WORD形式や、EXCEL形式などの種々の形式を採用できる。
【0068】
かかる変形例では、例えば、保存先Xがクラウドサービス600のように、アップロードしたファイルの格納先が未定である場合、メインサーバ100は、変換済みファイルを保存先Xに保存させるに先立って、データD2から生成した第2ファイルを保存先Xに保存させ、第2ファイルにアクセス可能なリンク情報を保存先Xから取得する。そして、メインサーバ100は、取得したリンク情報を変換済みファイルに付加し、リンク情報を付加した変換済みファイルを保存先Xに保存させればよい。一方、保存先Xが、スキャンデータの送信元であるMFP10である場合、スキャンデータを画像処理システム500にアップロードする際に、第2ファイルの格納先を示す情報を合わせて送信することにより、メインサーバ100が、受信した情報に基づくリンク情報を変換済みファイルに付加してもよい。リンク情報の付加は、例えば、ハイパーリンクの貼り付けによって行う。ファイルの形式がEXCEL形式である場合には、マクロを使用してリンク情報を付加してもよい。なお、変換済みファイルへのリンク情報の付加は、データD1が配置されたページの少なくとも1つに付加してもよいし、先頭などにリンク情報を含む専用のページを追加することによって付加してもよい。また、上記とは逆に、変換済みファイルにアクセス可能なリンク情報を第2ファイルに付加する構成であってもよい。また、変換済みファイルおよび第2ファイルの両方に、それぞれ他方のファイルにアクセス可能なリンク情報を付加する構成としてもよい。
【0069】
上記実施形態では、データD2の生成を、関連付け処理(S12)の中で行う構成としたが、データD2の生成は、画像調整処理(S4)の実行後から、関連付け処理(S12)において変換済みファイルを生成する前であれば、どの時期に生成してもよい。
【0070】
上記実施形態では、画像調整処理(S4;
図4参照)において、スキャン画像をA4サイズに縮小する場合の縮小率が80%以上であれば、スキャン画像の縮小を行い、当該縮小率が80%より小さければ、スキャン画像を分割する構成としたが、縮小率による切り分けを行わず、スキャン画像がA4サイズより大きければ、縮小または分割のいずれかを実行する構成としてもよい。また、上記実施形態では、S407において、スキャン画像を、S405において算出された縮小率、すなわち、当該スキャン画像がA4サイズに収まるサイズに縮小するための縮小率で縮小する構成としたが、算出された縮小率より小さい縮小率で縮小させてもよい。例えば、余白ができるように、算出された縮小率より若干小さい縮小率でスキャン画像を縮小させてもよい。
【0071】
上記実施形態に記載した数値は一例であり、適宜の値を採用できる。例えば、画像調整処理(S4;
図4参照)のS403において、スキャン画像の縮小または分割を行うか否かの閾値として、A4サイズを例示したが、LetterサイズやB4サイズなど、適宜のサイズを採用できる。また、S406において、スキャン画像を縮小するか分割するかを決定するための閾値とする縮小率の値として80%を例示したが、当該閾値は80%に限らず、適宜の値を採用できる。
【0072】
上記実施形態では、画像処理システム500は、変換済みファイルにスキャンデータを関連付けたファイルを保存先Xに保存させる構成としたが、画像処理システム500内に設けたデータベースサーバに、IDを付すなど、ユーザが指定可能に保存させる構成としてもよい。