(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
新規顧客獲得や、リピート率向上のため、イベント(プロモーション活動)を実施する企業は多い。また、イベントを実施することにより、需要量は変化する。
【0003】
その際、イベントの内容によっては、効果が出るタイミングも違ってくる。例えば、クーポン券を発行するというイベントを実施した場合は、そのクーポン券の有効期限日によって受注件数が変化してくる。具体的には、有効期限日直前には受注件数や需要が増加し、有効期限日を過ぎた直後は減少する。
【0004】
このようにイベントとは、一時的に需要量を変化させる要因のことを指す。イベントの代表的なものとしては、販促情報(キャンペーン)があり、例えば月末セール、クリスマスセール、お歳暮セール等がある。
【0005】
また、「近くの小学校で運動会がある」などの情報も、イベント情報の1つといえる。なぜなら、運動会があれば普段よりもお弁当がたくさん売れることになるからである。
【0006】
このようなイベントによる需要の増減は一時的なものであることから、需要予測をする上では、需要実績データからイベントの影響を除去して、予測データの基礎とする必要がある。
【0007】
需要実績データからイベントの影響を除去する方法としては、イベントによる一時的な需要量の増加を異常値として扱い、需要実績データそのものを補正し、補正した需要実績データに基づき予測をする方法が行われている。
【0008】
需要実績データを補正する方法は様々であるが、もし、予測対象のアイテムの需要量が毎年同月で一定しているのであれば、イベントを実施していない年の同月の実績値平均で補正して予測する方法が考えられる。
【0009】
他方、年によって需要量が大きく異なる場合は、イベント実施開始前と開始後のデータからトレンド直線を引き、直線上の値がイベント実施期間の補正値(補正後の値)とする考え方もある。
【0010】
また、補正数量や補正率を指定して補正することも可能である。
【0011】
次に、未来にイベントがある場合について考えてみる。例えば、来月に大規模なイベントを実施することが決まっているような場合、過去の需要実績データから算出した予測結果は、当然ながら未来のイベントの影響を考慮した予測結果にはなっていない。
【0012】
予定されているイベントによる影響を予測結果に反映させるには、同じ規模のイベント時の需要量増加(減少)効果を算出し、予測結果を増加(減少)させるなどの処理が必要である。
【0013】
特許文献1には、過去の需要量の実績から需要量の増減に影響を与える要因による変化分を取り除き、取り除いた需要量(ベースデータ)をもとに予測値を求め、当該予測値に対して需要量の増減に影響を与える要因による変化分を加味して補正処理を行うことで、需要量の予測値を求める技術が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る情報処理装置の機能構成の一例を示した図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、データベース100、イベント情報設定部110、イベント効果算出実行部120、実績補正実行部130、予測実行部140、イベント効果付与実行部150、予測結果確認部160を備える。
【0030】
データベース(DB)100には、イベント情報DB101、需要実績DB102、予測モデル情報DB103、イベント効果係数DB104、予測結果DB105が備わっている。
【0031】
イベント情報DB101は、イベントコード、イベント名称、イベント分類コード、イベント分類名称、アイテムコード、イベント開始日、イベント開始影響期間、イベント影響期間、イベント終了日、イベント終了影響期間、イベント規模が登録されているデータベースである。
【0032】
図4は、イベント情報設定部110でイベント情報の設定を行った後に、イベント情報DB101に登録されている設定情報の一例を示す図である。イベント情報の設定処理の詳細については後述する。
【0033】
需要実績DB102は、過去のアイテム別、日別の需要実績値、補正後需要実績が登録されているデータベースである。
図5は、需要実績DB102に登録されている情報の一例を示す図である。
【0034】
また、
図21は、需要実績からイベント影響量の除去処理を行った後に需要実績DB102に登録されている情報の一例を示す図である。イベント影響量除去処理の詳細については、後述する。
【0035】
予測モデル情報DB103には、さまざまな予測モデル(例えば、移動平均、指数平滑、ウィンター図等がある)が登録されている。
【0036】
図22は、予測モデル情報DB103に登録されている情報の一例を示す図である。
【0037】
イベント効果係数DB104には、過去のイベント別、イベント実施期間の日別のイベント効果が設定されている。具体的には、イベント分類コード、イベント分類名、アイテムコード、開始日/終了日フラグ、効果発生タイミング、イベント効果係数が登録されているデータベースである。
【0038】
図17は、イベント効果算出処理を行った後にイベント効果係数DB104に登録されている情報の一例を示す図である。
イベント効果算出処理の詳細については、後述する。
【0039】
予測結果DB105には、アイテムコード、日付、需要予測値、イベント補正後需要予測値が登録されているデータベースである。
【0040】
図23は、予測実行後に予測結果DB105に登録されている情報の一例を示す図である。また、
図24は、需要予測にイベント効果付与処理を行った後に予測結果DB105に登録されている情報の一例を示す図である。予測実行処理、イベント効果付与処理の詳細については後述する。
【0041】
イベント情報設定部110は、過去および未来の任意のイベント情報の設定を行うための設定部である、具体的にはいつ実施する/実施したイベントか、イベントの終了日、イベント規模、イベントの影響を受けるアイテム等の設定を受け付ける。設定された情報は、イベント情報DB101に登録される。
【0042】
イベント効果算出実行部120は、イベント情報DBと需要実績DB102から、アイテム別・イベント別・イベント実施機関の日別のイベントの効果係数を算出して、イベント効果係数DB104に算出結果を登録する。
【0043】
実績補正実行部130は、イベント情報DB101と需要実績DB102ならびにイベント効果係数DB104からイベントの影響を受けた過去の需要実績からイベント効果を除去する。
【0044】
イベント効果を除去した需要実績情報は、需要実績DB102に格納する。
【0045】
予測実行部140は、需要実績DB102に格納しているイベント効果を除去した需要実績情報を取得して、数学的予測モデルを使用して需要予測値を算出する。そして、算出した需要予測結果を予測結果DB105に格納する。
【0046】
イベント効果付与実行部150は、イベント情報DB101とイベント効果係数DB104ならびに予測結果DB105から未来のイベント情報ならびに当該イベントのイベント効果係数を取得して需要予測値にイベント効果を付与する。イベント効果を付与した需要予測値は、予測結果DB105に格納する。
【0047】
予測結果確認部160は、需要実績DB102と予測結果DB105からイベント効果除去前、除去後の需要実績ならびにイベント効果付与前、付与後の需要予測値を表示部に表示して、ユーザに対して計算結果等の妥当性の確認を可能にする。
【0048】
また、イベント効果除去後の需要実績、イベント効果付与前、付与後の需要予測値は、ユーザからの修正を受け付け可能として、ユーザにより修正された値は、予測結果DB105に格納される。
【0049】
次に、
図2を用いて、
図1に示した情報処理装置のハードウエア構成の一例について説明する。
【0050】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。
【0051】
202はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM203あるいは外部メモリ211からRAM202にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0052】
また、205は入力コントローラで、入力装置209等からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置210への表示を制御する。なお、ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイに限られず、CRTディスプレイなどであっても良い。これらは必要に応じてクライアントが使用するものである。
【0053】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0054】
208は通信I/Fコントローラで、ネットワーク(例えば、
図1に示したLAN400)を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0055】
なお、CPU201は、例えばRAM202内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ装置210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ装置210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0056】
ハードウエア上で動作する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM202にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
【0057】
なお、全ての装置がこれらの構成を備えているわけではなく、必要なものを夫々備えていればよい。
【0058】
次に、
図3を用いて、本発明の実施形態において情報処理装置が行う処理について説明する。
【0059】
なお、
図3のフローチャートで示す処理については、情報処理装置のCPU201が所定の制御プログラムを読み出して実行する処理である。
【0060】
以下、本処理において、各機能部が実行する処理を明確にするために、本処理の各ステップの主体を各機能部として説明することにする。
【0061】
ステップS301では、イベント情報設定部110は、イベント効果算出を実行する際のイベント項目の設定を受け付ける。
【0062】
具体的には、イベント情報設定部110の表示部が、
図7に示すようなイベント情報設定画面を表示して、ユーザからの入力を受け付ける。
【0063】
そして、イベント情報設定部110の入力受付部は、イベント情報設定画面を介して入力された情報を受け付ける。イベント情報設定部110は、この情報に基づき、イベント効果算出を実行する際のイベント情報項目の設定を受け付ける。
【0064】
図7は、イベント情報設定画面の一例を示す図である。なお、ユーザは、イベント情報項目の設定に関して、イベント管理を行いたいイベント情報の入力を行う。イベント情報には、イベントコード、イベント名称、イベント分類コード、イベント分類名称、イベント開始日、イベント開始影響期間、イベント終了日、イベント終了影響期間、イベント規模等の設定を受け付ける。
【0065】
イベント分類とは、イベントのカテゴリを意味する。後述するイベント効果算出実行部120では、イベント分類・アイテム毎にイベント効果係数を算出する。
【0066】
図7は、商品券を2012年2月23日に50万部発送するイベントについての入力例である。
【0067】
イベント開始影響期間(FROM)、イベント開始影響期間(TO)は、イベント開始日を起点として、需要に影響が出てくる期間をイベント開始日からの相対経過日数で表している。
【0068】
さらに、イベント終了影響期間(FROM)、イベント終了影響期間(TO)は、イベント終了日を起点として、需要に影響が出てくる期間をイベント終了日からの相対経過日数で表している。
【0069】
すなわち、
図7の例では、イベント効果の発生タイミングは「商品券Aの発送日である2012年2月23日の2日後(2012年2月25日)から10日後である2012年3月4日までの期間」および「商品券Aの有効期限日である2012年3月28日の2日前(2012年3月26日)から2日後である2012年3月30日」となる。
【0070】
イベント情報設定画面を介して入力されたイベント情報は、イベント情報DB101に登録される。
【0071】
ステップS302では、イベント効果算出実行部120は、イベント情報DB101ならびに需要実績DB102から各アイテムのイベント効果を算出する。イベント効果は、イベント分類・アイテム毎に算出する。
【0072】
イベント効果を算出する場合、過去のイベントによる影響量がどの程度あったのかを推定する必要がある。そして、推定した影響量と、イベント規模との関係をモデル化して、イベント効果を算出する。
【0073】
以下、
図8および
図9を用いて、イベント効果算出処理について説明する。
【0074】
図8は、需要量の構成要素を表す図である。
図8に示すように、需要量は、ベース需要量とイベントによる影響量の合計値に曜日影響係数を加味したものと考えることができる。
【0075】
ここで、曜日影響係数とは、例えば月曜日は良く売れる、日曜日はあまり売れないと言ったような定性的な特性を、どの程度売れるのか、どの程度売れないのかといった定量的に表した指標である。
【0076】
また、アイテムにはイベントに関係なくアイテムそのものが持っている需要力がある。すなわちイベント実施に関係なく、この需要力の分はアイテムが売れるということである。この需要力がベース需要量である。
【0077】
図9は、
図3に示すフローチャートのイベント効果算出処理(ステップS302)の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0078】
ステップS901において、需要量から曜日影響を除去し、曜日影響除去後の需要量を算出する。
【0079】
ステップS902において、イベントによる影響を受けていない需要実績に基づきベース需要量を算出する。
【0080】
ステップS903において、ステップS901で算出した曜日影響除去後の需要量とベース需要量の差分をとり、イベント影響量として算出する。
【0081】
ステップS904において、ステップS903で算出したイベント影響量とイベント規模の関係をモデル化して、イベント効果を算出する。ここでモデル化する際に使用する科学的な手法としては、重回帰分析を採用する。重回帰分析の目的変数には、ステップS903で算出したイベント影響量を使用し、説明変数にはイベント規模を使用する。
【0082】
次に、ステップ901〜ステップS904の処理の詳細を、
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0083】
ステップS1001では、イベント効果算出実行部120は、需要実績DB102から各アイテムの過去の需要量を取得して、曜日による需要影響を除去した需要量を算出する。ここで、需要影響を除去した需要量を算出するにあたって、下記の式を用いる。
【0084】
曜日影響除去後の需要量=当該日の需要量/当該日の曜日影響係数
【0085】
ここで、曜日影響係数は、曜日ごとに需要への影響がどの程度あるかを表す指標である。
図6は、曜日影響係数の一例を示す図である。
図6では、月曜日の影響は1.05であり、これは、仮にある月曜日の需要量が105であった場合、曜日による影響がなかったとすれば需要量は100であることを意味する。各曜日の影響係数は、「各曜日の平均需要量/1日当たりの平均需要量」等の計算式で求めることが可能である。
【0086】
図12は、
図11の曜日影響係数を使用して、ステップS1001の処理を実行した結果の一例を示す図である。
【0087】
ステップS1002では、イベント情報DB101から該アイテムのイベント効果発生日を検索して、当該発生日を取得する。
【0088】
図13は、ステップS1002の処理を実行した結果の一例を示す図である。
図13では、N月を例にとり、イベント効果発生日が11日〜18日、23日〜27日であることを示す(○がイベント影響がない日を、×がイベント影響のある日を表している)。
【0089】
ステップS1003では、月または週ごとにステップS1001で作成した曜日影響除去後の需要量の平均値を算出して、ベース需要量を算出する。ここで、平均値を算出するさいには、ステップS1002で検索したイベント効果発生日は除外して、イベント効果の発生していない日の需要量に基づき算出する。
【0090】
図14は、ステップS1003の処理を実行した結果の一例を示す図である。
図14では、イベント効果発生日以外の日(1日〜10日、19日〜22日、28日〜30日)のデータに基づき、ベース需要量を算出した例である。
【0091】
ステップS1004では、ステップS1001で作成した曜日影響除去後の需要量と、ステップS1003で算出したベース需要量とから、下記の計算式によりイベント影響量を算出する。
イベント影響量=曜日影響除去後の需要量−ベース需要量
【0092】
図15は、ステップS1004における処理を実行した結果の一例を示す図である。
【0093】
以上説明した、ステップS1001〜S1004の処理により、過去の需要実績データからイベントによる影響量を算出することが可能となる。
【0094】
ステップS1005では、ステップS1004において算出したイベント影響量ならびにイベント情報DB101から重回帰分析を実施して、イベント効果を算出する。
【0095】
ここで、重回帰分析の目的変数には、ステップS1004において算出したイベント影響量を使用し、説明変数には、イベント規模を使用する。また、説明変数は、イベント分類・イベント効果発生タイミング毎にデータを作成する。
【0096】
図16は、あるアイテムコードに対する重回帰分析において使用する目的変数ならびに説明変数データの一例を示す図である。
図16が表す内容について、以下説明する。
【0097】
例えば、2012年2月25日をみると、2012年2月25日は、2012年2月23日に商品券Aを50万部発送したときの2日目のイベント影響を受けており、その影響量は2011個であることを意味する。
【0098】
また、2012年3月1日については、2012年2月23日における商品券Aの50万部の発送の7日目のイベント影響と、2012年2月28日におけるカタログ10万部発送の2日目のイベント影響の両方の影響を受けている。その影響量は、1460個であることを意味している。
【0099】
さらに、2012年3月26日については、2012年3月21日における商品券Aの30万部発送の5日目のイベント影響と、2012年2月23日における商品券Aの50万部発送の有効期限2日前のイベント影響の両方の影響を受けている。その影響量は1861個であることを意味している。
【0100】
図16の例では、説明変数の数は18個となる。これらの説明変数および目的変数を用いて重回帰分析を実行することにより、イベント効果係数を算出することが可能となる。
【0101】
ここで算出したイベント効果係数は、イベント効果係数DB104に登録する。
【0102】
図17は、重回帰分析により算出したイベント効果係数が登録されたイベント効果係数DB104のデータの一例を示す図である。
図17の開始日/終了日フラグは、効果発生タイミングがイベント開始日を基準しているのか、イベント終了日を基準としているのかを表している。
図17の例では、効果発生タイミングが開始日基準の場合は開始日/終了日フラグを0、終了日基準の場合は開始日/終了日フラグを1としている。
【0103】
また、イベント効果係数は、ベースの需要量から例えば商品券1万部あたり需要が何件増えるかを意味している。
【0104】
例えば、商品券を1万部発送した場合、アイテムコードXXX1で識別されるアイテムは、当該商品券発送日の2日後には、当該商品券の発送により17.34件の需要(受注)が増加することを意味している。
【0105】
また、イベント効果係数がマイナスの数値(例えば商品券の有効期限日の2日後に、アイテムコードXXX1で識別されるアイテムへのイベント効果)は、商品券1万部発送あたり0.31件の需要(受注)減少することを意味している。
図3の説明に戻る。
【0106】
ステップS303では、実績補正実行部130は、イベント効果係数DB104並びに需要実績DB102、イベント情報DB101に登録されたデータに基づき、各アイテムの需要量からイベント影響量を除去することで需要量を補正する。具体的には、下記の計算式により補正後の需要量を算出する。
N日補正後需要量=N日需要量−N日イベント影響量
【0107】
N日イベント影響量=Σ(N日イベント分類のイベント影響量)=N日イベント分類A1のイベント影響量+N日イベント分類A2のイベント影響量+・・・
【0108】
N日イベント分類A1のイベント影響量=N日のイベントα1のイベント規模×N日のイベント分類A1のイベント効果係数+N日のイベントα2のイベント規模×N日のイベント分類A1のイベント効果係数+・・・
【0109】
図16、
図17のデータを用いて2012年3月1日を例にすると、2012年3月1日は2012年2月23日に発送した商品券Aの7日目のイベント影響を受けている。そして、そのイベント効果係数は、「イベント分類が商品券で効果発生タイミングが7の係数」になる。
【0110】
すなわち、2012年3月1日のイベント分類(商品券)のイベント影響量は「50×9.98=499」となる。
【0111】
さらに、2012年3月1日は、2012年2月28日に発送したカタログの2日目のイベント影響も受けており、そのイベント効果係数は、「イベント分類がカタログで効果発生タイミングが2の係数」になる。
【0112】
すなわち、2012年3月1日のイベント分類(カタログ)のイベント影響量は「10×8.54=85」となる。
【0113】
よって、2012年3月1日のイベント影響量は、「イベント分類(商品券)のイベント影響量+イベント分類(カタログ)のイベント影響量」となり、「499+85=584」となる。
【0114】
このとき算出した補正後需要量は、需要実績DB102に登録される。補正後需要量を登録した需要実績DB102の一例を
図21に示す。
【0115】
ここで、本実施形態では、ステップS302で算出されたイベント効果係数を用いてイベント影響量を算出し、当該算出されたイベント影響量を需要量から除去することで、需要量を補正した。
【0116】
しかし、補正の方法はこれに限られず、イベント影響量を除去して需要量を補正する他の方法として、需要量(需要実績値)から曜日影響およびベース需要量を除去することで算出されたイベント影響量を用いて補正する方法であっても良い。具体的にはステップS1004において算出されたイベント影響量を需要量から除去する方法である。
【0117】
ただ、実際のイベント影響量は、複数のイベント(商品券発送とカタログ発送等)による影響が含まれている。これらの全てのイベントの影響を除去してベース需要量を算出する場合には、実際にイベント影響量(ステップS1004で算出されたイベント影響量)を用いる方法であっても良い。
【0118】
しかし、一部のイベントの影響を除去したい場合(例えば商品券発送とカタログ発送の2つのイベントの影響を受けているが、商品券発送による影響のみを除去したい場合)には、実際のイベント影響量(ステップS1004で算出されたイベント影響量)を用いる方法では適切な結果を得られない。そのため、このような場合には、算出されたイベント効果係数を用いて算出されたイベント影響量を用いる必要がある。
【0119】
一部のイベントの影響を除去したい場合の具体例としては、カタログは毎月決まった日に発送するので、カタログ発送というイベントによる影響については、ベース需要に含まれると捉え、商品券発送というイベントによる影響については、イベント影響として扱いたいという場合がある。
【0120】
このような場合には、実際のイベント影響量には、カタログ発送による影響も商品券発送による影響もいずれをも含んだ影響量となる。これに対して、イベント効果係数により算出される影響量については、イベント毎に算出されるため、商品券の発送による影響のみを除去するということが可能となる。
再度、
図3の説明に戻る。
【0121】
ステップS304では、予測実行部140は、需要実績DB102ならびに予測モデル情報DB103から日単位の予測値を算出する。
【0122】
図18は、ステップS304の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0123】
ステップS1801では、需要実績DB102からステップS303で計算した補正後需要量を月または週単位で集計する。
【0124】
ステップS1802では、ステップS1801で算出した月または週単位の補正後需要量と、予測モデル情報DB103に登録されている予測モデルを使用して、月又は週の予測値を算出する。このとき、将来の予測結果は、予測結果DB105に登録する。
【0125】
ステップS1803では、ステップS1802で算出した月または週の予測値を取得して、日に按分する。月の予測値を日に按分する方法としては、
日別予測=月の予測値×週影響係数×曜日影響係数
などの計算式で求めることが可能である。
【0126】
ここで週影響係数とは、例えば第1週目は良く売れる、第2週目はあまり売れない等の定性的な特性を、どれくらい売れるのか、どれくらい売れないのかといった定量的に表した指標である。
【0127】
週影響係数は、「各週の平均需要量/週の平均需要量」などの計算式により求めることが可能である。
また、週の予測値を日に按分する場合は、
日別予測=週の予測値×曜日影響係数
などの計算式で求めることが可能である。
【0128】
なお、上記按分方法は一例を示しているものであり、ここに示した方法以外の方法により按分しても良い。
そして、日別の予測結果を予測結果DB105に登録する。
再度、
図3の説明に戻る。
【0129】
ステップS305では、イベント効果付与実行部150は、日別の予測値に未来のイベントによる影響量を付与する。
【0130】
図19は、ステップS305の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0131】
ステップS1901では、イベント情報DB101から未来のイベントについて
図16のような説明変数データを作成する。
【0132】
ステップS1902では、ステップS1901で作成した説明変数データならびにイベント効果係数DB104からステップS303の説明で記述した方法により、当該イベントのイベント影響量を算出する。
【0133】
ステップS1903では、予測結果DB105から取得した日別の予測値に対して、ステップS1902で算出した当該日のイベント影響量を付与することで、イベント補正値(イベントによる影響を考慮した需要予測値)を算出する。例えば下記の計算式を用いることで、N日のイベント補正値を算出することが可能である。
N日イベント補正値=N日予測値+N日イベント影響量
【0134】
このとき、イベント補正値は予測結果DB105に登録する。
【0135】
また、登録した内容は、画面からも確認することが可能である。
再度
図3の説明に戻る。
【0136】
ステップS306では、需要実績値、イベントによる影響を除去した補正後需要実績値、ベース需要量から予測した予測値、イベントによる影響を加味した予測値を表示部に表示する。
【0137】
これにより、ユーザが各ステップで計算した値の妥当性を確認することが可能となる。
【0138】
図20は、ステップS306で表示する画面の一例を示す図である。画面を介して、各ステップで計算した値の修正をユーザから受け付けることも可能である。
【0139】
以上のように、本発明では、各アイテムに対して過去に実施したイベントのイベント効果を、イベント規模を考慮してイベント効果発生のタイミング毎に算出し、当該算出されたイベント効果を需要の予測値に反映する。これにより、未来に行う予定のイベントが過去のイベントと規模・効果発生タイミングが異なる場合であっても、イベントによる需要の変化を的確に反映した予測値を算出することが可能となる。
【0140】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0142】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し、実行することによっても本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0143】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0144】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク等を用いることが出来る。
【0145】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0146】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0147】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、ひとつの機器から成る装置に適用しても良い。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0148】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。