(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両用シートに着座した乗員の側方近傍の収納部に収納したエアバッグを、前記車両用シートの側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、前記乗員の側方において前方へ向けて展開膨張させるサイドエアバッグ装置であって、前記エアバッグは、区画部材により、内部に前記膨張用ガスが供給されて後方側で展開膨張する後方側膨張部と同後方側膨張部からの前記膨張用ガスの流入によって前記後方側膨張部より前方側で展開膨張する前方側膨張部とに仕切られてなるとともに、前記後方側膨張部から前記前方側膨張部への前記膨張用ガスの流入をその流入量を制限しつつ許容する連通部を前記区画部材に有してなるサイドエアバッグ装置において、
前記後方側膨張部は、前記乗員の背中における肩甲骨及び脇腹を含む部分を同乗員の斜め後方から押圧する態様で展開膨張し、
前記区画部材は、上下方向に並べられた2つの部材の端部同士が重ね合わされており、前記2つの部材が重ね合された重ね合わせ部において、前記2つの部材が重ね合されていない非重ね合わせ部との境界部分で、一部が内結合部によって結合されており、
前記連通部は、前記重ね合わせ部の車幅方向の中央部分であって前記内結合部によって結合されていない部分で構成されるとともに、前記後方側膨張部による乗員拘束前には前記後方側膨張部から前方側膨張部への前記膨張用ガスの流入を規制し、前記後方側膨張部による乗員拘束時には前記規制を解除するものである
ことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を車両に適用されるサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態について、
図1〜
図12を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近付く側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。
【0021】
また、本実施形態は、標準的な体格を有する乗員(大人)が、標準的な姿勢で車両用シートに着座していることを前提としている。
図1及び
図2に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側(
図2の上側)の近傍には、車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
【0022】
車両用シート12は、シートクッション(座部)13と、そのシートクッション13の後側から起立し、かつ傾き調整機構(図示略)により傾斜角度を調整されるシートバック(背もたれ)14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で車両10に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
【0023】
シートバック14は、シートバック本体22と、そのシートバック本体22の幅方向についての両側部に設けられた一対のサイドサポート部23とを備えている。シートバック本体22は後側へ傾斜しており、乗員Pの上半身を後側から支える。両サイドサポート部23は、シートバック本体22から前方へ突出しており、シートクッション13に腰掛けてシートバック本体22に凭れた乗員Pの上半身の車幅方向の動きを規制する。
【0024】
次に、シートバック14において、車外側のサイドサポート部23を含む車外側の側部の内部構造について説明する。
シートバック14内には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、
図3に示すように、シートバック14内の車外側(
図3では下側)部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、
図3ではその表皮の図示が省略されている。
【0025】
シートパッド16内において、サイドフレーム部15の車外側近傍には収納部18が設けられている。収納部18の位置は、車両用シート12に着座した乗員Pの斜め後方近傍となる(
図2参照)。この収納部18には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールAMが組み込まれている。
【0026】
上記シートバック14に組み込まれるエアバッグモジュールAMは、インフレータアセンブリ30及びエアバッグ40を主要な構成部材として備えている。
次に、これらの構成部材の各々について説明する。ここで、本実施形態では、エアバッグモジュールAM及びその構成部材について「上下方向」、「前後方向」というときは、
図1に示すように、車両用シート12のシートバック14を基準としている。シートバック14の起立する方向をエアバッグモジュールAM等の「上下方向」とし、シートバック14の厚み方向をエアバッグモジュールAM等の「前後方向」としている。上述したように、通常、シートバック14は後方へ多少傾斜した状態で使用されることから、エアバッグモジュールAM等の「上下方向」は、厳密には車両10の上下方向(鉛直方向)と合致しておらず、多少傾斜している。同様に、エアバッグモジュールAM等の「前後方向」は、車両10の前後方向(水平方向)と合致しておらず、多少傾斜している。
【0027】
<インフレータアセンブリ30>
図3及び
図4に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生源としてのインフレータ31と、同インフレータ31の外側に装着されたリテーナ32とを備えている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスGを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31の長さ方向についての一方の端部(本実施形態では下端部)には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
【0028】
なお、インフレータ31としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
【0029】
一方、リテーナ32は、ディフューザとして機能するとともに、上記インフレータ31をエアバッグ40と一緒にサイドフレーム部15に締結する機能を有する部材である。リテーナ32の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。リテーナ32には窓部33が設けられており、インフレータ31から噴出された膨張用ガスGの多くが、この窓部33を通じてリテーナ32の外部へ噴き出される。
【0030】
リテーナ32には、これを上記サイドフレーム部15に取付けるための複数本のボルト34が固定されている。表現を変えると、複数本のボルト34が、リテーナ32を介してインフレータ31に間接的に固定されている。なお、インフレータアセンブリ30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
【0031】
<エアバッグ40>
図9及び
図10に示すように、エアバッグ40は、車両10の走行中等に側突等により衝撃が車両用シート12の側方から同車両10(ボディサイド部11)に加わったときに、インフレータ31から膨張用ガスGの供給を受ける。このエアバッグ40は、自身の一部を収納部18内に残した状態でシートバック14から略前方へ向けて展開膨張する。エアバッグ40は、車両用シート12に着座した乗員Pに接近した箇所、ここでは、同乗員Pの上半身とボディサイド部11との間で展開膨張することにより上記側突の衝撃から乗員Pの上半身の多くの部分を保護する。
【0032】
図4は、エアバッグ40が膨張用ガスGを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを示している。また、
図7は、エアバッグモジュールAMの内部構造を示すべく、
図4の非膨張展開状態のエアバッグ40が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールAMを、乗員Pとともに示している。
【0033】
図4及び
図7に示すように、エアバッグ40は、1枚の布片41(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その中央部分に設定した折り線42に沿って二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ40の上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを布部43(
図7参照)といい、車外側に位置するものを布部44(
図4参照)というものとする。
【0034】
なお、本実施形態では、折り線42がエアバッグ40の後端部に位置するように布片41が二つ折りされているが、折り線42が他の端部、例えば前端部、上端部、下端部等に位置するように布片41が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ40は折り線42に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。この場合には、エアバッグ40は、2枚の布片を車幅方向に重ね合わせ、両布片を、袋状となるように結合させることにより形成される。さらに、エアバッグ40は3枚以上の布片からなるものであってもよい。
【0035】
エアバッグ40においては、両布部43,44の外形形状が、折り線42を対称軸として互いに線対称の関係にある。各布部43,44の形状・大きさは、エアバッグ40が車両用シート12及びボディサイド部11間で展開膨張したときに、その車両用シート12に着座している乗員Pの上半身の多くの部分(腰部PPから胸部PT及び肩部PSにかけての部位)に対応する領域を占有し得るように設定されている。
【0036】
上記布部43,44としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
【0037】
両布部43,44の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部45においてなされている。本実施形態では、周縁結合部45は、両布部43,44の周縁部のうち、後端部(折り線42の近傍部分)を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。この点は、後述する外結合部54,55及び内結合部63についても同様である。
【0038】
上記縫製に関し、
図4、
図6〜
図8では、2つの線種によって縫製部分が表現されている。一方の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合の対象となる布部43,44の外側(布部43,44間ではない)における縫糸の状態を示している(
図4等参照)。他方の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合の対象となる布部43,44間における縫糸の状態を示している(
図7における周縁結合部45参照)。すなわち、縫製が後者の態様で表現されている図は、縫製部分を通る断面に沿った断面構造を示している。
【0039】
図4及び
図7に示すように、両布部43,44間であって、周縁結合部45によって囲まれた空間は、膨張用ガスGによって乗員Pの上半身の側方で展開膨張することにより、同上半身の多くの部分を拘束して衝撃から保護するための膨張部となっている。
【0040】
なお、周縁結合部45は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する外結合部54,55及び内結合部63についても同様である。
【0041】
上記インフレータアセンブリ30は、前側ほど低くなるように傾斜させられた姿勢で、エアバッグ40内の後端部に配設されている。そして、リテーナ32のボルト34が、車内側の布部43に挿通されている(
図3参照)。こうした挿通により、インフレータアセンブリ30がエアバッグ40に対し位置決めされた状態で係止されている。
【0042】
エアバッグ40の膨張部は、面状の区画部材50により複数の部位に区画されている。区画部材50は、一般的にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。
図5は、
図4のA−A線に沿った断面構造を示している。この
図5では、各部材が厚みを省略して描かれるとともに、各内結合部63がジグザグ状に描かれている。
図5及び
図7に示すように、エアバッグ40が非膨張展開状態となっているときには、区画部材50は、上下方向に延びる折り線51に沿って折り返されることにより、相対向する対向端部52,53を接近させてなる二つ折り状態にされている。この二つ折り状態の区画部材50は、折り線51を両対向端部52,53よりも上流側(インフレータ31に近い側)に位置させた状態で膨張部内に配設されている。
【0043】
図6及び
図8に示すように、上記区画部材50は、膨張部の展開膨張に伴い面状に緊張させられたとき、折り線51に沿う方向(以下「縦方向」という)の長さL1が、折り線51に直交する方向(以下「横方向」という)の長さL2よりも長い形状を有している。区画部材50は、対向端部52,53において、上下方向へ延びる外結合部54,55によって、エアバッグ40の布部43,44に結合されている。
【0044】
区画部材50は、上記の結合により、車内側の布部43と車外側の布部44との間に架け渡されている。区画部材50は、エアバッグ40が非膨張展開状態となったときには、二つ折りされた状態となる(
図5、
図7参照)。また、区画部材50は、膨張部が展開膨張したとき、車両用シート12の幅方向(車幅方向)に緊張させられた状態となり(
図6、
図8参照)、膨張部の同方向の厚みを規制する。さらに、
図9及び
図10に示すように、上保護膨張部46の内部に区画部材50が配置される部分が、膨張部の展開膨張の完了時において、乗員Pの側部における前後方向の略中央において接する位置に形成されている。
【0045】
また、二つ折り状態の区画部材50は、折り線51に沿う方向の両端部において、エアバッグ40に結合されている。すなわち、区画部材50の上端部及び下端部は、上述した周縁結合部45(
図7参照)によってエアバッグ40の両布部43,44の上端部及び下端部に結合(共縫い)されている。
【0046】
図4及び
図7に示すように、膨張部は大きくは、上保護膨張部46と下保護膨張部49とからなる。上保護膨張部46は、シートバック14を破断して前方へ飛び出し、乗員Pの上半身の上部側方で展開膨張する。
【0047】
上保護膨張部46は、上記区画部材50により後方側膨張部47及び前方側膨張部48に区画されている。後方側膨張部47は、乗員Pの上半身の上部のうち、その側部における後方側の部分で展開膨張する。本実施形態では、後方側膨張部47が、乗員Pの背中部PBにおける肩甲骨PSB及び脇腹部PRを含む部分(詳しくは、背中部PBの斜め後方側の部分における肩甲骨PSBから脇腹部PRまでの部分)を同乗員Pの斜め後方から押圧する態様で展開膨張する形状に形成されている。これに対して、前方側膨張部48は、乗員Pの上半身の上部のうち、側部における前方側の部分(胸部PTを含む部分)で展開膨張する。
【0048】
下保護膨張部49は、上保護膨張部46(主として、後方側膨張部47)の下側に連通した状態で設けられて、乗員Pの上半身の下部の後部側方で展開膨張する。上記上半身の下部には、腰部PPが含まれている。
【0049】
なお、本実施形態では、区画部材50が上保護膨張部46にとどまらず下保護膨張部49にも設けられている。しかし、下保護膨張部49では、区画部材50は同下保護膨張部49の前端部寄りの箇所に設けられている。そのため、下保護膨張部49は、実質的には区画されていないのと同様の状態となっている。別の表現をすると、区画部材50は、
図8において二点鎖線で示すように、上保護膨張部46のみに設けられているのと同様の状態となっている。この場合、同
図8に示すように、上保護膨張部46での区画部材50の縦方向の長さをL1′とすると、この長さL1′は前述した長さL1よりも短い。しかし、上保護膨張部46が縦長に膨張するため、長さL1′はやはり横方向の長さL2よりも長い。
【0050】
図4及び
図7に示すように、上記インフレータアセンブリ30は、後方側膨張部47及び下保護膨張部49の内部のいずれかの箇所に配置されている。こうした構成により、上保護膨張部46では、インフレータ31からの膨張用ガスGは、後方側膨張部47に最初に供給される。後方側膨張部47を経由した膨張用ガスGは、次に、後方側膨張部47の前側に隣接する前方側膨張部48に供給される。
【0051】
区画部材50は、
図6及び
図8に示すように、折り線51に沿う方向である縦方向(上下方向)に並べられた2つの部材56,57からなる。各部材56,57は、エアバッグ40の布部43,44と同様の素材を用いてシート状に形成されている。
【0052】
上下両部材56,57では、それらの端部58,59の端縁58E,59E同士が合致させられた状態で、端部58,59同士が帯状に重ね合わされている。上下両部材56,57は、それぞれ帯状をなす一対の重ね合わせ部61と、それ以外の箇所(以下「非重ね合わせ部62」という)との境界部分において、折り線51に直交する方向(横方向)へ延びる内結合部63によって結合されている。この境界部分は、上記端縁58E,59Eから下方向へ一定距離離れている。
【0053】
上記区画部材50において、縦方向についての中間部分であり、かつ横方向についての略中央部分には、後方側膨張部47による乗員Pの拘束状況に応じ、同後方側膨張部47から前方側膨張部48への膨張用ガスGの流通を規制及び規制解除する弁として、調圧弁70が設けられている。本実施形態では、この調圧弁70が連通部として機能する。
【0054】
次に、この調圧弁70の構成について説明すると、内結合部63は、その一部(本実施形態では折り線51を跨ぐ部分)において結合を解除されている。表現を変えると、両重ね合わせ部61と非重ね合わせ部62との境界部分において、折り線51を跨ぐ部分では、上下両部材56,57を結合させる内結合部63が設けられていない。このように内結合部63が設けられていない部分である、結合を解除された箇所は、横方向(車幅方向)に延びて、後方側膨張部47と前方側膨張部48とを連通させるスリットからなる内開口部71を構成している。ここでの横方向(車幅方向)は、車両10に対し衝撃の加わる方向と同じである。
【0055】
重ね合わせ部61であって、内開口部71に対応する部分(近傍部分)は、一対の弁体部73,74を構成している。より正確には、内開口部71と端縁58Eとの間の部分によって弁体部73が構成され、同内開口部71と端縁59Eとの間の部分によって弁体部74が構成されている。両弁体部73,74が、それらの少なくとも一部、例えば先端部73T,74Tにおいて互いに接触することで、調圧弁70が閉弁し、内開口部71や、両弁体部73,74間での膨張用ガスGの流通が規制される(
図11(A),(B)参照)。また、内開口部71が開かれ、かつ弁体部73の全体が弁体部74の全体から離間することで、調圧弁70が開弁し、内開口部71や両弁体部73,74間での膨張用ガスGの上記流通規制が解除(流通が許容)される(
図11(C)参照)。
【0056】
さらに、上記のように、両弁体部73,74を有する両重ね合わせ部61は、膨張部の展開膨張前には後方側膨張部47に配置されている。
そして、両重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62との境界部分において、上方又は下方(本実施形態では上方)へ折り曲げられて、同非重ね合わせ部62に重ねられている。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部61は、内結合部63に沿う方向(横方向:車幅方向)の両端部において、前述した外結合部54,55により、エアバッグ40の対応する布部43,44及び区画部材50の非重ね合わせ部62に結合(共縫い)されている(
図5、
図7(A),(B)参照)。
【0057】
図3に示すように、上記エアバッグモジュールAMは、非膨張展開状態のエアバッグ40(
図4、
図7参照)が折り畳まれることにより、コンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールAMを、シートバック14における限られた大きさの収納部18に対し、収納に適したものとするためである。
【0058】
収納用形態にされたエアバッグモジュールAMは、インフレータアセンブリ30を後側に位置させ、かつエアバッグ40の多くを前側に位置させた状態で、収納部18に配設されている。そして、上述したように、リテーナ32から延びてエアバッグ40(車内側の布部43)に挿通されたボルト34がサイドフレーム部15に挿通され、ナット36によって締付けられている。この締付けにより、インフレータアセンブリ30がエアバッグ40と一緒にサイドフレーム部15に固定されている。
【0059】
なお、インフレータアセンブリ30は、上述したボルト34及びナット36とは異なる部材によって車両10(サイドフレーム部15)に固定されてもよい。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ75及び制御装置76を備えている。衝撃センサ75は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11(
図2参照)等に取付けられており、同ボディサイド部11に側方から加わる衝撃を検出する。制御装置76は、衝撃センサ75からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
【0060】
さらに、車両10には、車両用シート12に着座した乗員Pを拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、
図1等ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
【0061】
上記のようにして、本実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、このサイドエアバッグ装置の作用として、代表的な動作の態様(モード)について説明する。
図11(A)〜(C)は、調圧弁70等の形態が膨張用ガスGの供給開始後において時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略・簡略化されている。
【0062】
このサイドエアバッグ装置では、
図1及び
図2に示すように、側突等により車両10(ボディサイド部11)に対し側方から衝撃が加わらないときには、制御装置76からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、インフレータ31から膨張用ガスGが膨張部に供給されない。エアバッグ40は、収納用形態でインフレータアセンブリ30とともに収納部18に収納され続ける(
図3参照)。
【0063】
これに対し、車両10の走行中に、側突等によりボディサイド部11に所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ75によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置76からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ31では、ガス発生剤が高温高圧の膨張用ガスGを発生する。この膨張用ガスGは、膨張部のうち、まず上保護膨張部46の後方側膨張部47と下保護膨張部49とに供給される。これにより、後方側膨張部47及び下保護膨張部49の各部に膨張用ガスの圧力が加わり、後方側膨張部47及び下保護膨張部49の各部が膨張を開始する。
【0064】
下保護膨張部49は、展開膨張すると、乗員Pの腰部PPを斜め後方側から車内側に向けて押圧する。
また上保護膨張部46内では、二つ折り状態の区画部材50が、折り線51を対向端部52,53よりも上流側に位置させた状態で配設されている。しかも、その区画部材50は、両対向端部52,53の各々において、外結合部54,55によってエアバッグ40の対応する布部43,44に結合されている(
図5参照)。また、区画部材50は、折り線51に沿う方向の両端部(上端部及び下端部)の各々において、周縁結合部45によって両布部43,44に結合されている(
図7参照)。そのため、後方側膨張部47は、後方から前方へ向けて展開する。このとき二つ折り状態の区画部材50は引っ張られて、湾曲面状となる。そして区画部材50に対し、湾曲面上において縦方向(上下方向)や横方向(車幅方向)にテンション(張力)が掛かって、区画部材50が緊張状態になろうとする(
図6、
図8参照)。
【0065】
後方側膨張部47に位置する両弁体部73,74に対しては、その重なり方向(厚み方向)から内部圧力PIが加わる(
図11(A)参照)。この内部圧力PIは、後方側膨張部47による乗員Pの拘束時ほど高くない。両弁体部73,74は、この内部圧力PIにより面全体で互いに密着し、両弁体部73,74間での膨張用ガスGの流通を規制する自己シール状態となる。さらに、折り曲げられて区画部材50の非重ね合わせ部62に重ねられた重ね合わせ部61が、内部圧力PIによりその非重ね合わせ部62に押付けられる(
図6参照)。これらのことからも、両弁体部73,74が一層閉じられやすくなる。
【0066】
ここで、
図8に示すように、区画部材50は、縦方向(上下方向)に横方向(車幅方向)よりも長く形成されている(L1>L1′>L2)。すなわち、区画部材50は、膨張部に配設されている部分(区画部材50全体)についてはもちろんのこと、上保護膨張部46のみに配設されている部分においても、縦方向(上下方向)に横方向(車幅方向)よりも長く形成されている。このことから、区画部材50では、横方向(車幅方向)に対し、縦方向(上下方向)に対するよりも強いテンションが掛かりやすい。本実施形態では、内開口部71が、この強いテンションの掛かりやすい横方向(車幅方向)に延びているため、内開口部71が閉じられやすい。
【0067】
ただし、上記のようなテンション(張力)の強弱関係があるとはいえ、内開口部71を開かせようとする、縦方向(上下方向)にもテンション(張力)が掛かるため、内開口部71が確実に閉じるとは限らず、内開口部71が開くおそれもある。しかし、この場合であっても、両弁体部73,74が少なくとも自身の先端部73T,74Tにおいて閉じられる。これは、区画部材50が緊張することで内開口部71が縦方向(上下方向)に引っ張られて、これを開かせようとする力が作用したとしても、その力は、内開口部71において最も大きく、内開口部71から遠ざかるに従い小さくなり、両弁体部73,74の先端部73T,74Tにおいて最小となるからである。
【0068】
さらに、本実施形態では、非重ね合わせ部62側へ折り曲げられた重ね合わせ部61が、スリット(内結合部63)の延びる方向の両端部において外結合部54,55により、対向端部52,53とともに布部43,44に結合されている(
図6参照)。このため、後方側膨張部47が展開膨張したときには、区画部材50に対し、横方向(車幅方向)に強いテンション(張力)が掛かるだけでなく、重ね合わせ部61に対しても同方向に強いテンション(張力)が掛かる。
【0069】
両弁体部73,74が、それらの少なくとも一部において互いに接触すると、調圧弁70が閉弁した状態となる。後方側膨張部47内の膨張用ガスGは、両弁体部73,74間及び内開口部71を通って前方側膨張部48へ流通(流出)することを規制される。上記の規制により、膨張用ガスGが内開口部71を流れにくくなる。後方側膨張部47内の膨張用ガスGは、内開口部71を通じ前方側膨張部48へ流れないか、流れたとしても僅かである。その結果、後方側膨張部47に膨張用ガスGが溜まり、専ら後方側膨張部47の内部圧力が上昇し始める。
【0070】
本実施形態では、上保護膨張部46が区画部材50によって後方側膨張部47及び前方側膨張部48に区画されていることから、後方側膨張部47の容積は、上保護膨張部46が区画されていない場合の容積よりも小さい。そのため、後方側膨張部47の内部圧力は、上保護膨張部46が区画されていない場合よりも早く上昇を開始し、しかも高くなる。特に、後方側膨張部47内の膨張用ガスGは、両弁体部73,74間においてのみ流通を許容され、両弁体部73,74間を経由せずに前方側膨張部48へ流出することはない。したがって、膨張用ガスGの上記流出が原因で後方側膨張部47の内部圧力の上昇速度が低下することが起こりにくい。
【0071】
後方側膨張部47は展開膨張していくと、一部を収納部18に残した状態でシートバック14から前方へ飛び出す。その後、上保護膨張部46の後方側膨張部47には膨張用ガスGが供給され続けるため、
図12に示すように、この後方側膨張部47は乗員Pの背中部PBに沿う態様で変形しつつ、同乗員Pの背中部PBの斜め後方側の位置で展開膨張する。このとき後方側膨張部47は、乗員Pの側部における後方側の部分において、乗員Pの背中部PBにおける肩甲骨PSB及び脇腹部PRを含む部分(詳しくは、背中部PBの斜め後方側の部分における肩甲骨PSBから脇腹部PRまでの部分)を同乗員Pの斜め後方から押圧する態様で展開膨張する。詳しくは、車内側へ進入するボディサイド部11により、後方側膨張部47を介して、
図12中に黒塗りの矢印で示すように、乗員Pの背中部PBにおける肩甲骨PSB及び脇腹部PRを含む部分が押圧され始める。これにより、乗員Pの上半身が車内側(ボディサイド部11から遠ざかる側)へ押圧されて、同車内側に移動する。このとき乗員Pの上半身の上部は、主として後方側膨張部47によって拘束される。
【0072】
ここで発明者等による分析の結果、乗員Pの脇腹部PRに荷重がかかる場合であっても、乗員Pの側方から荷重がかかる場合と比較して、乗員Pの斜め後方から荷重がかかった場合に同荷重に対する耐性が格段に高くなることが分かった。その理由としては次のようなことが考えられる。脇腹部PRを支える肋骨は乗員Pの脊椎に支持されており、乗員Pの側部よりも背中部PBのほうがそうした肋骨の支持部分(詳しくは脊椎)に近いため、荷重に対する耐性が高い。また、乗員Pの側方から荷重がかかる場合よりも斜め後方から荷重がかかる場合のほうが上記支持部分を支点に肋骨が回動し易いため、肋骨を介して支持部分に作用する力や肋骨そのものを湾曲させるように作用する力が小さく抑えられるようになる。
【0073】
本実施形態では、エアバッグ40が乗員Pの側方において前方へ向けて展開膨張する際に、内部圧力が前方側膨張部48よりも高い後方側膨張部47により、乗員Pの背中部PBにおける肩甲骨PSB及び脇腹部PRを含む部分が同乗員Pの斜め後方から押圧される。このとき乗員Pの脇腹部PRにも後方側膨張部47による荷重がかかるとはいえ、側方から脇腹部PRに荷重がかかる場合と比較して、乗員Pに対する耐性が高い態様で同荷重を作用させることができる。このように本実施形態によれば、後方側膨張部47の展開膨張に際して、乗員Pの側部の中でも荷重に対する耐性が高い後方側の部分を同耐性が高くなる態様で押圧することができる。そのため、後方側膨張部47の内部圧力を高い圧力に設定することが可能になり、同後方側膨張部47によって乗員Pをその保護が確実になる方向、具体的には車内側に移動させる方向に好適に移動させることができる。
【0074】
本実施形態では、こうした後方側膨張部47による押圧によって、乗員Pの上半身が車内側へ移動させられる。この移動により、乗員Pの上半身とボディサイド部11との間隔が拡げられ、前方側膨張部48の展開膨張のための空間が確保される。なお上記押圧に際し、上保護膨張部46では専ら後方側膨張部47が展開膨張していることから、乗員Pが上保護膨張部46の圧力を受ける箇所は専ら後方側膨張部47である。
【0075】
両弁体部73,74がそれらの面全体で密着した(閉じられた)状態で、後方側膨張部47内に膨張用ガスGが供給され続ける一方、ボディサイド部11から加わる外力により、調圧弁70が開弁し始める。すなわち、上保護膨張部46への膨張用ガスGの供給期間の途中からは、乗員Pの拘束に伴う外力が加わって上保護膨張部46が押圧されて変形する。これに伴い、区画部材50に対し横方向(車幅方向)に強く掛かっていたテンション(張力)が減少し、縦方向(上下方向)に掛かるテンション(張力)が増加する。
【0076】
また、上保護膨張部46の上記変形に伴い後方側膨張部47の内部圧力がさらに上昇して、区画部材50が前方側膨張部48側へ押圧されて(
図11(B)参照)、同区画部材50に掛かるテンションが変化する。そして、上記テンション(張力)の変化により、縦及び横の両方向のテンション(張力)の差が小さくなる。区画部材50に位置する内開口部71の変形が許容され、同区画部材50に位置する弁体部73,74の作動が許容されるようになる。
【0077】
一方、重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62に重ねられ、横方向(車幅方向)についての両端部において、外結合部54,55によってエアバッグ40の布部43,44に結合されている。そのため、重ね合わせ部61において外結合部54,55に近い部分では、重ね合わされた状態を維持しようとする力が強い。しかし、この力は、外結合部54,55から遠ざかるに従い小さくなり、横方向(車幅方向)についての中央部分、すなわち両弁体部73,74において最小となる。このため、縦方向(上下方向)へ引っ張られた重ね合わせ部61は、弁体部73,74及びその近傍部分においてのみ同方向へ変形する。
【0078】
内開口部71がある程度開くと、重ね合わせ部61では、後方側膨張部47の高い内部圧力PIを受けた両弁体部73,74においてのみ、内開口部71を通って前方側膨張部48へ押し出される(反転される)。この内開口部71の上下方向の幅W1が狭いときには、先端部73T,74T同士が接触し合い、両弁体部73,74が先端部73T,74Tにおいて閉じる(
図11(B)参照)。この状態は、内開口部71の上記幅W1が、各弁体部73,74の幅W2(
図11(C)参照)の合計値(=2・W2)よりも狭い期間続く。
【0079】
そして、内開口部71の幅W1がこの合計値(=2・W2)よりも大きくなると、先端部73T,74Tが離れ(
図11(C)参照)、調圧弁70が開弁した状態となる。上記流通規制が解除され、後方側膨張部47内の膨張用ガスGは、内開口部71や、両弁体部73,74間を順に通って前方側膨張部48へ流出することを許容される。
【0080】
上記膨張用ガスGの流出により、後方側膨張部47の内部圧力が上昇から低下に転ずる。ただし、ボディサイド部11は車内側へ依然として進入し続けていて、上保護膨張部46が後方側膨張部47において乗員Pに押圧される。
【0081】
また、膨張用ガスGの流入により前方側膨張部48の内部圧力が上昇を開始する。これにより、
図10に示すように、前方側膨張部48は乗員Pとボディサイド部11との狭い隙間に入り込むように展開膨張する。これにより上保護膨張部46が、後方側膨張部47に加えて前方側膨張部48においても乗員Pに押圧されるようになり、乗員Pが後方側膨張部47及び前方側膨張部48によって拘束される。
【0082】
前方側膨張部48は、乗員Pの側部における前方側の部分において、上記後方側膨張部47よりも低い内部圧力でもって、展開膨張しようとする。その際に、ボディサイド部11と乗員Pとの間隔が後方側膨張部47によって拡げられているため、前方側膨張部48の展開膨張のための空間が確保されている。したがって前方側膨張部48は、そうした間隔の拡大が行なわれない場合よりも前方へ向けて展開膨張しやすい。
【0083】
本実施形態では、後方側膨張部47から前方側膨張部48への膨張用ガスGの流入が、後方側膨張部47による乗員Pの拘束前には規制され、後方側膨張部47による乗員Pの拘束時には許容される。そのため、エアバッグ40の展開膨張に際して先ず、後方側膨張部47を展開膨張させることができ、同後方側膨張部47による押圧によって乗員Pをエアバッグ40の展開位置から離間させる方向に移動させることができる。そして、その後において前方側膨張部48を展開膨張させることができる。したがって、エアバッグ40を展開膨張させるスペースの確保を図りつつ同エアバッグ40を展開膨張させることができる。
【0084】
また本実施形態では、後方側膨張部47より前方側において前方側膨張部48が展開膨張するため、同前方側膨張部48、すなわち内部圧力の低い部分によって乗員Pの側部における前方側の部分を拘束することができ、乗員Pを好適に保護することができる。
【0085】
さらに本実施形態では、区画部材50における後方側膨張部47と前方側膨張部48との境界になる部分が、エアバッグ40の展開膨張の完了時において乗員Pの側部における前後方向の略中央になる位置に形成されている。これにより、後方側膨張部47を乗員Pの側部における後方側において展開膨張させることができるため、同後方側膨張部47によって乗員Pの背中を斜め後方側から押圧するといった構成を容易に実現することができる。しかも、前方側膨張部48を乗員Pの側部における前方側において展開膨張させることができるため、同前方側膨張部48による乗員Pの側部における前方側の部分を好適に保護することができる。
【0086】
本実施形態では、このようにしてエアバッグ40が乗員Pの上半身と車内側へ進入してくるボディサイド部11との間に介在するようになる。そして、このエアバッグ40によって乗員Pの上半身が車内側へ押圧されて拘束されるようになる。したがって、ボディサイド部11を通じて上半身に伝わる側方からの衝撃がエアバッグ40によって緩和されて、同上半身が保護される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)後方側膨張部47を、乗員Pの背中部PBにおける肩甲骨PSB及び脇腹部PRを含む部分を同乗員Pの斜め後方から押圧する態様で展開膨張する形状に形成した。そのため、後方側膨張部47の展開膨張に際して、乗員Pの側部の中でも荷重に対する耐性が高い後方側の部分を同耐性が高くなる態様で押圧することができる。したがって、後方側膨張部47の内部圧力を高い圧力に設定することが可能になり、同後方側膨張部47によって乗員Pをその保護が確実になる方向に好適に移動させることができる。しかも、後方側膨張部47より前方側において前方側膨張部48が展開膨張するため、同前方側膨張部48、すなわち内部圧力の低い部分によって乗員Pの側部における上記耐性の低い前方側の部分を拘束することができ、乗員Pを好適に保護することができる。したがって、身体の中でも荷重に対する耐性の高い部分を好適に利用して乗員Pの保護を図ることができる。
【0088】
(2)後方側膨張部47から前方側膨張部48への膨張用ガスGの流入を、後方側膨張部47による乗員Pの拘束前には規制し、後方側膨張部47による乗員Pの拘束時には許容するようにした。そのため、エアバッグ40を展開膨張させるスペースの確保を図りつつ同エアバッグ40を展開膨張させることができる。
【0089】
(3)区画部材50の上保護膨張部46内に配置される部分を、エアバッグ40の展開膨張の完了時において、乗員Pの側部における前後方向の略中央になる位置に形成した。そのため、後方側膨張部47を乗員Pの側部における後方側において展開膨張させることができ、同後方側膨張部47によって乗員Pの背中を斜め後方側から押圧するといった構成を容易に実現することができる。しかも、前方側膨張部48を乗員Pの側部における前方側において展開膨張させることができるため、同前方側膨張部48による乗員Pの側部における前方側の部分を好適に保護することができる。
【0090】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・調圧弁70の構造は任意に変更可能である。要は、後方側膨張部47による乗員Pの拘束前に同後方側膨張部47から前方側膨張部48への膨張用ガスGの流入を規制することができ、且つ後方側膨張部47による乗員Pの拘束時にその規制を解除することができる構造のものであれば、調圧弁70に代えて採用することができる。
【0091】
・調圧弁70に代えて、後方側膨張部47の内部圧力に応じて同後方側膨張部47から前方側膨張部48への膨張用ガスの流通を規制及び規制解除するものを設けてもよい。例えば調圧弁70に代えて、スリットやベントホール等を形成することができる。この場合、後方側膨張部47の内部圧力が低いときには膨張用ガスの流通を規制する一方で、内部圧力がある値を上回ったらその規制を解除する、すなわち膨張用ガスの流通を許容するものであってもよい。
【0092】
・区画部材50の前記上保護膨張部46内に配置される部分の形成位置は、乗員Pの側部における前後方向の中央に限らず、任意に変更することができる。なお、後方側膨張部47によって乗員Pを斜め後方から押圧するといった構成の実現のためには、上記形成位置を乗員Pの側部における前後方向の中央より後方側にすることが望ましい。
【0093】
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
【0094】
・エアバッグ40の下保護膨張部49を省略してもよい。
・インフレータアセンブリ30はエアバッグ40の外部に設けられてもよい。この場合には、インフレータ31と後方側膨張部47とが管によって繋がれ、この管を介してインフレータ31からの膨張用ガスが後方側膨張部47に供給されてもよい。
【0095】
・本発明は、上述した肩部PSから胸部PT及び腰部PPにかけての部位を保護するサイドエアバッグ装置に限らず、肩部PSから胸部PTにかけての部位や、頭部から胸部PTにかけての部位、或いは腰部PPよりも上側の部位(腰部PPを除く)を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用することができる。
【0096】
・本発明は、シートバック14が車両10の前方とは異なる方向、例えば側方(車幅方向)を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両10において、その車両用シート12に対し側方(車両10の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
【0097】
・本発明のサイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。