特許第5983201号(P5983201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983201
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20160818BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H01L23/12 501B
   H01L23/34 A
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-193337(P2012-193337)
(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-49689(P2014-49689A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】井原 匠
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦和
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−009476(JP,A)
【文献】 特開昭59−040552(JP,A)
【文献】 特開2005−353956(JP,A)
【文献】 特開平07−202064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
23/00 −23/04
23/06 −23/26
23/29
23/34 −23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に半導体素子が搭載された基板と、
前記基板の前記表面における前記半導体素子が搭載される領域の周囲に配置され、前記半導体素子の辺に沿って延在する延在部を有する接着剤と、
前記半導体素子を覆って配置され、前記接着剤に接する第1の面と、前記第1の面における前記延在部の先端部分に対応する位置に設けられた突起とを含むカバー部材と
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記接着剤の前記延在部は、前記半導体素子の角部の各々に対応する位置から、隣接する他の角部に向けてそれぞれ延在し、
前記突起は、前記各延在部の先端部分に接触すること
を特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記各延在部の延在方向に並ぶ複数の前記突起を備え、
前記突起の少なくとも1つが前記先端部分に刺されていること
を特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の突起のうち、前記延在部の前記先端部分に対応して設けられる突起は、前記延在部の延在方向の直角方向に沿う面を有していること
を特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
基板の表面に半導体素子を搭載する工程と、
前記基板の前記表面における前記半導体素子が搭載される領域の周囲に、前記半導体素子の辺に沿って延在する延在部を有する接着剤を付ける工程と、
前記接着剤に接する第1の面と、前記第1の面における前記延在部の先端部分に対応する位置に設けられた突起とを含むカバー部材を、前記半導体素子を覆って前記基板上に配置する工程と、
前記カバー部材を前記基板側に押圧することにより、前記突起を前記接着剤の前記先端部分における硬化した膜に刺し、前記膜の内部にある硬化していない前記接着剤を前記先端部分から前記延在部の延在方向に流れ出させる工程と
を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板の前記表面に前記接着剤を付ける工程において、前記接着剤の前記延在部を、矩形状の前記半導体素子の角部の各々に対応する位置から、隣接する他の角部に向けてそれぞれ延在させること
を特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、サーバやスーパーコンピュータ等に搭載される半導体装置は、民生用の半導体装置等に比べて発熱量が大きく、端子数も多い。このため、この種の半導体素子では、放熱性能に優れ、多端子に対応するFCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)等のパッケージが使用される場合がある(例えば、特許文献1参照。)。FCBGAパッケージは、半導体チップがフリップチップ接続された基板と、半導体チップを覆い、接着剤を介して基板に接着されたカバー部材とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−260138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の半導体装置の製造工程では、カバー部材が基板に接着される際に、接着剤が基板上に付けられる。基板上に付けられた接着剤は、カバー部材の基板への押圧により変形する。例えば、変形した接着剤が、半導体素子とカバー部材との界面に流れ込むと、半導体素子から発生する熱を、カバー部材を介して外部に逃がす放熱性能が低下するおそれがある。あるいは、カバー部材が半導体素子と接着される場合、カバー部材と半導体素子との接合強度が低下するおそれがある。
【0005】
1つの側面では、本発明の目的は、半導体素子とカバー部材との界面に接着剤が流れ込むことを防護し、半導体装置の信頼性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態では、半導体装置は、表面に半導体素子が搭載された基板と、基板の表面における半導体素子が搭載される領域の周囲に配置され、半導体素子の辺に沿って延在する延在部を有する接着剤と、半導体素子を覆って配置され、接着剤に接する第1の面と、第1の面における延在部の先端部分に対応する位置に設けられ、接着剤に刺された尖った先端を有する突起とを含むカバー部材とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
カバー部材を基板に接着する際に、半導体素子とカバー部材との界面に接着剤が流れ込むことを防護でき、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における半導体装置の例を示している。
図2図1に示した半導体装置の製造方法の例を示している。
図3】別の実施形態における半導体装置の例を示している。
図4図3に示した半導体装置をカバー部材側から見た例を示している。
図5図3に示した半導体装置の製造に使用する基板の例を示している。
図6図5に示した基板に半導体素子を取り付ける例を示している。
図7図6に示した基板と半導体素子との間に、樹脂を充填する例を示している。
図8図7に示した基板上に接着剤を塗布する例を示している。
図9図8に示した基板上にカバー部材を配置する例を示している。
図10図9において、カバー部材の基板側への押圧に伴い変形する接着剤の例を示している。
図11図10に示した状態から、カバー部材が基板側にさらに押圧されるときの接着剤の変形の例を示している。
図12図11に示した状態でカバー部材の基板側への押圧状態が維持されるときの接着剤の変形の例を示している。
図13】突起の形状の例を示している。
図14】カバー部材に形成される突起の別の例を示している。
図15】カバー部材に形成される突起の別の例を示している。
図16】突起のないカバー部材を基板に取り付ける場合に想定される不具合の例を示している。
図17】突起のないカバー部材を基板に取り付ける場合に想定される不具合の別の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
【0010】
図1は、一実施形態における半導体装置100Aの例を示している。図1の下側は、半導体装置100Aの平面を示し、図1の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面を示している。
【0011】
例えば、半導体装置100Aは、基板10Aと、半導体素子20Aと、カバー部材30Aと、接着剤50とを有している。半導体素子20Aは、基板10Aの表面12に搭載されている。カバー部材30Aは、半導体素子20Aを覆って基板10A上に配置されている。接着剤50は、基板10Aの表面12における半導体素子20Aが搭載される領域の周囲に配置されている。
【0012】
例えば、基板10Aは、プリント基板であり、半導体素子20Aの端子は、はんだ60等により、基板10Aの表面12に設けられた端子に接続されている。なお、図1の平面図では、半導体装置100Aの構造を分かりやすくするために、カバー部材30Aの外形を破線で示している。
【0013】
カバー部材30Aは、半導体素子20Aにおける基板10Aと反対側の面22に接する面32と、接着剤50に接する面34と、面34に設けられ、接着剤50の内部に刺された尖った先端を有する突起40とを有している。例えば、カバー部材30Aは、銅やアルミニウム等の金属であり、互いに接触する面22、32を介して半導体素子20Aから伝達される熱を、半導体装置100Aの外部に放出する。カバー部材30Aは、金属をプレス加工等で成形あるいは折曲することにより形成され、あるいは金属を切削加工することにより形成される。突起40は、カバー部材30Aの形成時に一緒に形成されてもよく、面34を掘り起こして目立てることで形成されてもよい。
【0014】
なお、半導体素子20Aの面22と、カバー部材30Aの面32とは、熱伝導性を有する部材を介して接触あるいは接着されてもよい。例えば、熱伝導性を有する部材は、はんだである。
【0015】
接着剤50は、矩形状の半導体素子20Aの4つの辺に沿って延在する延在部52を有している。例えば、接着剤50は、シリコーン樹脂系またはエポキシ樹脂系の接着剤である。突起40は、延在部52の延在方向の先端部分に対応する位置にそれぞれ設けられており、例えば、錐体形状やくさび形状を有している。破線で囲った網掛けの接着剤50は、硬化した延在部52の先端部分が突起40により破られることにより流れ出たものを示している。
【0016】
図2は、図1に示した半導体装置100Aの製造方法の例を示している。まず、ステップS10において、端子にはんだ60が付けられた半導体素子20Aは、基板10Aの表面12に載置され、基板10Aとはんだ付けされる。すなわち、半導体素子20Aが基板10Aに搭載される。
【0017】
次に、ステップS20において、基板10Aの表面12における半導体素子20Aが搭載される領域の周囲に、半導体素子20Aの辺に沿って接着剤50が付けられる。例えば、接着剤50は、ディスペンス装置を用いて基板10Aに塗布される。すなわち、半導体素子20Aの辺に沿って延在する延在部52を有する接着剤50が、半導体素子20Aの周囲の4箇所に配置される。例えば、接着剤50の表面は、徐々に硬化していく。接着剤50が熱により硬化するタイプの場合、基板10Aに塗布された接着剤50は、熱処理により表面から硬化していく。
【0018】
次に、ステップS30において、カバー部材30Aの面34を接着剤50に対向させて、カバー部材30Aが、半導体素子20Aを覆って基板10A上に配置される。この状態で、突起40の先端は、接着剤50の表面に接触し、カバー部材30Aの面32は、半導体素子20Aの面22に対向する。
【0019】
次に、ステップS40において、カバー部材30Aが基板10A側に押圧され、突起40は、接着剤50の内部に侵入していく。接着剤50の表面は、硬化して膜が形成されている。接着剤50が熱により硬化するタイプの場合、ステップS40は、例えば、高温の炉の中で実施される。カバー部材30Aが基板10A側にさらに押圧されると、接着剤50は、カバー部材30Aの面34および突起40に押圧され、接着剤50の内部の圧力は高まる。このとき、接着剤50の内部は、硬化しておらず、流動性を有している。
【0020】
そして、突起40は、接着剤50の延在部52の先端部分における硬化した膜に刺さり、膜は破れる。硬化した膜の内部にある硬化していない接着剤50は、図1に破線で囲った網掛けに示したように、延在部52の先端部分の破れた膜から延在部52の延在方向に流れ出る。硬化していない接着剤50は、延在部52の延在方向(すなわち、半導体素子20Aの辺方向)に沿って流れ出るため、流れ出た接着剤50は、半導体素子20Aに到達することはない。すなわち、接着剤50の延在部52の先端部分に対応する位置に設けられる突起40は、流れ出た接着剤50を、半導体素子20Aに向かう方向と異なる方向に誘導する。
【0021】
したがって、半導体素子20Aの面22とカバー部材30Aの面32との界面に接着剤50が流れ込むことを防護できる。面22、32は、直接接触し、あるいは熱伝導性を有する部材を介して接触または接着される。これにより、カバー部材30Aによる半導体装置100Aの放熱性能を、界面に接着剤50が流れ込んだ場合に比べて向上できる。
【0022】
この後、接着剤50が硬化することでカバー部材30が基板10Aに接着される。この際、突起40により、カバー部材30Aと接着剤50との接触面積が増えるため、カバー部材30Aと基板10Aとの接合強度を、突起40がカバー部材30Aに形成されない場合に比べて向上できる。
【0023】
これに対して、面22、32の間に、例えば樹脂系の接着剤50が流れ込む場合、半導体装置100Aからカバー部材30への熱の伝達が阻害され、半導体装置100Aの放熱性能は低下する。
【0024】
例えば、面22、32がはんだにより接着される場合、ステップS40は、高温の炉の中で実施され、はんだが溶融することで、カバー部材30Aが半導体素子20Aに接着される。この場合にも、図1に示した構造では、半導体素子20Aとカバー部材30Aとの界面に、溶融したはんだを押しのけて接着剤50が流れ込むことはなく、カバー部材30Aと半導体素子20Aとの接合強度を向上できる。これに対して、面22、32の間に、例えば樹脂系の接着剤50が流れ込む場合、面22、32のはんだ付けが阻害され、カバー部材30Aと半導体素子20Aとの接合強度は低下し、半導体素子20Aの放熱性能も低下する。
【0025】
以上、この実施形態では、カバー部材30Aを基板10Aに接着する際に、硬化していない接着剤50は、先端部分から延在部52の延在方向に流れ出るため、流れ出た接着剤50は半導体素子20Aに到達することはない。このため、カバー部材30Aの放熱性能を向上でき、カバー部材30Aと半導体素子20Aとの接合強度を向上できる。さらに、突起40により、カバー部材30Aと接着剤50との接触面積が増えるため、カバー部材30Aと基板10Aとの接合強度を向上できる。この結果、半導体装置100Aの信頼性を向上できる。
【0026】
図3は、別の実施形態における半導体装置100Bの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同様または同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。図3は、半導体装置100Bの断面を示している。
【0027】
半導体装置100Bは、基板10Bと、基板10Bの表面12に搭載された半導体素子20Bと、半導体素子20Bを覆って基板10B上に配置されたカバー部材30Bと、接着剤50とを有している。接着剤50は、基板10Bの表面12における半導体素子20Bが搭載される領域の周囲に配置されている。例えば、基板10Bは、プリント基板である。
【0028】
基板10Bは、表面12に設けられ、半導体素子20Bに接続される複数の端子14と、裏面に設けられた複数の端子16と、基板10Bの内部に設けられた複数の配線18とを有している。所定の配線18は、端子14、16の少なくともいずれかに接続されている。端子14は、はんだ60等を介して半導体素子20Bの端子24に接続されている。端子16は、半導体装置100Bをシステム基板等に接続するためのはんだボール等のはんだ62が付けられている。
【0029】
半導体素子20Bと基板10Bとの間には、端子14、16およびはんだ60を覆って、樹脂(アンダーフィル)70が充填されている。例えば、半導体素子20Bは、基板10Bにフリップチップ接続されており、半導体装置100Bは、FCBGAパッケージの形態を有している。なお、半導体装置100Bは、基板10Bにはんだ62を付けないLGA(Land Grid Array)パッケージの形態でもよい。
【0030】
カバー部材30Bは、図1に示したカバー部材30Aと同様に、半導体素子20Bの面22に対向する面32と、接着剤50に接する面34と、面34に設けられ、接着剤50の内部に刺された尖った先端を有する突起40とを有している。例えば、カバー部材30Bは、銅やアルミニウム等の金属であり、半導体素子20Bを保護する保護部材および半導体素子20Bが発生する熱を半導体装置100Bの外部に放出する放熱部材として機能する。カバー部材30Bは、図1に示したカバー部材30Aと同様に、金属をプレス加工等で成形あるいは折曲することにより形成され、あるいは金属を切削加工することにより形成される。
【0031】
半導体素子20Bの面22は、金属膜80A、熱伝導性を有する部材80Bおよび金属膜80Cを介して、カバー部材30Bの面32に接続されている。例えば、熱伝導性を有する部材80Bは、はんだである。以降の説明では、部材80Bは、はんだ80Bとも称する。
【0032】
例えば、金属膜80Aは、チタン(Ti)/金(Au)の2層膜、チタン(Ti)/ニッケル(Ni)の2層膜、あるいはチタン(Ti)/ニッケル(Ni)/金(Au)の3層膜であり、チタンが半導体素子20Bの面22に接している。例えば、金属膜80Aは、半導体素子20Bの製造工程におけるスパッタリング処理により、半導体素子20Bの面22上に積層される。なお、金属膜80Aがニッケルの層を含む場合、バナジウム(V)を添加したニッケルが、スパッタリングターゲットに用いられてもよい。
【0033】
例えば、金属膜80Cは、ニッケル(Ni)/金(Au)の2層膜、すず(Sn)の膜、銀(Ag)の膜、あるいはニッケル(Ni)の膜である。金属膜80Cがニッケル/金の2層の場合、ニッケルが部材80Bに接し、金がカバー部材30Bの面32に接する。例えば、金属膜80Cは、メッキ処理によりカバー部材30Bの面32に形成される。
【0034】
図4は、図3に示した半導体装置100Bをカバー部材30B側から見た例を示している。図1と同様に、図4の平面図では、半導体装置100Bの構造を分かりやすくするために、カバー部材30Bの外形を破線で示している。なお、図3は、図4のA−A’線に沿う断面を示している。
【0035】
この実施形態では、接着剤50は、矩形状の半導体素子20Bの4つの角部26に対応する位置に配置されており、L字形状を有している。換言すれば、L字形状の各接着剤50は、半導体素子20Bの角部26の各々に対応する位置から、隣接する他の角部26に向けてそれぞれ延在する延在部52を有している。半導体素子20Bの角部26は、半導体装置100Bの熱サイクルに伴い基板10Bに発生する応力の負荷が大きい。このため、接着剤50を半導体素子20Bの4つの角部26に対応する位置に配置することで、熱サイクルに対するカバー部材30Bと基板10Bとの接合強度を高くでき、半導体装置100Bの信頼性を向上できる。
【0036】
カバー部材30Bは、各延在部52に対応する位置に、延在部52の延在方向に並ぶ3つの突起40を有している。そして、延在部52毎に、少なくとも1つの突起40が接着剤50に刺さっている。図4に示した例では、延在部52毎に、3つの突起40が接着剤50に刺さっている。
【0037】
互いに隣接する2つの延在部52の先端部分の間隙53は、半導体装置100Bの製造工程において、樹脂70等から発生する揮発性のガスを、カバー部材30Bの外部に逃がすための孔である。なお、延在部52毎に設けられる突起40の数は、2個でもよく、4個以上でもよい。図3および図4に示した半導体装置100Bの製造方法は、図2と同様である。
【0038】
図5は、図3に示した半導体装置100Bの製造に使用する基板10Bの例を示している。図5の下側は、基板10Bの平面図を示し、図5の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。基板10Bは、図3に示したように、半導体素子20Bに接続される複数の端子14と、システム基板等に接続される複数の端子16と、基板10Bの内部に設けられた複数の配線18とを有している。なお、基板の構造を分かりやすくするために、断面図の端子14の数は、平面図の端子14の数に比べて少なく記載し、大きさも大きく記載している。
【0039】
図6は、図5に示した基板10Bに半導体素子20Bを取り付ける例を示している。図6の下側は、基板10Bの平面図を示し、図6の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。なお、金属膜80Aは、半導体素子20Bの製造工程において、予め半導体素子20Bの面22に付けられている。
【0040】
半導体素子20Bが基板10Bに取り付けられる前、基板10Bの端子14上に、例えば、クリーム状のはんだ60が印刷される。また、半導体素子20Bの端子24にはんだボール等が付けられる。次に、端子14上に半導体素子20Bの端子24を合わせて、半導体素子20Bが基板10B上に配置される。そして、半導体素子20Bが配置された基板10Bは、炉に入れられ、半導体素子20Bは基板10Bにはんだ付けされる。
【0041】
図7は、図6に示した基板10Bと半導体素子20Bとの間に、樹脂70を充填する例を示している。図7の下側は、基板10Bの平面図を示し、図7の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。樹脂70は、毛細管現象を利用して、基板10Bと半導体素子20Bとの間に充填された後、熱処理により硬化される。
【0042】
図8は、図7に示した基板10B上に接着剤50を塗布する例を示している。図8の下側は、基板10Bの平面図を示し、図8の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。
【0043】
例えば、接着剤50は、ディスペンス装置を用いて、基板10Aの面12における半導体素子20Bの4つの角部26に対応する位置に、半導体素子20Bの辺に沿って延在する延在部52を有するL字形状に塗布される。この際、接着剤50は、基板10Bに接する面積が小さくなるように、山なり形状に塗布されることが好ましい。接着剤50を山なり形状にすることで、接着剤50と基板10Bとの接触面積を小さくでき、カバー部材30Bの基板10Bへの押圧時における接着剤50の広がり量を小さくできる。この結果、基板10Bのサイズを小さくすることが可能になる。
【0044】
例えば、基板10Bに塗布された接着剤50は、熱により硬化するタイプであり、熱処理によって、表面から硬化していく。なお、接着剤50は、L字形状にくり抜かれたマスクを用いて、印刷により塗布されてもよい。
【0045】
図9は、図8に示した基板10B上にカバー部材30Bを配置する例を示している。図9の下側は、カバー部材30Bが基板10B上に配置された状態の基板10Bの平面図を示し、図9の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。なお、断面図に示した白抜きの矢印は、はんだ80Bおよびカバー部材30Bが、基板10B上に順に載置されることを示している。
【0046】
まず、カバー部材30Bを基板10B上に配置する前に、例えば、板状のはんだ80Bが金属膜80A上に載置される。次に、突起40を接着剤50に合わせて、カバー部材30Bが基板10B上に載置される。図9の平面図は、カバー部材30Bが基板10B上に載置され、カバー部材30Bが基板10B側に押圧される前の状態を示している。このため、接着剤50は、基板10B上に広がっておらず、接着剤50の各延在部52の幅および長さは、図4に示した各延在部52の幅および長さに比べてそれぞれ小さい。
【0047】
図9に示した例では、カバー部材30Bが基板10B上に載置された状態で、各延在部52に対応して位置する3つの突起40のうち、半導体素子20Bの対応する角部26に最も近い突起40が、接着剤50の各延在部52の先端部分に接触する。他の2つの突起40は、接着剤50に接触していない。この状態で、カバー部材30Bの面34は、接着剤50に接触しており、カバー部材30Bの面32は、金属膜80C、はんだ80Bおよび金属膜80Aを介して、半導体素子20Bの表面22に接触している。
【0048】
この後、カバー部材30Bが基板10B側に押圧され、接着剤50は押圧により変形していく。接着剤50が押し広げられることで、接着剤50に接触する突起40の数は増え、突起40は、接着剤50の内部に侵入していく。接着剤50が変形する様子は、図10から図13に示す。
【0049】
なお、カバー部材30Bの基板10B側への押圧は、高温の炉の中で実施される。押圧により金属膜80A、80Cの間に挟持されたはんだ80Bは、熱により溶融し、温度が下げられたときに金属膜80A、80Cに接着される。これにより、カバー部材30Bは、半導体素子20Bにはんだ付けされる。このため、図3に示した半導体装置100Bの動作中に、半導体素子20Bから発生する熱は、はんだ80Bを介してカバー部材30Bから半導体装置100Bの外部に放出される。
【0050】
図10は、図9において、カバー部材30Bの基板10B側への押圧に伴い変形する接着剤50の例を示している。図10は、連続する3つの突起40に沿う縦断面と横断面とを示している。
【0051】
図10の左側は、図9と同様に、カバー部材30Bが基板10B上に載置された状態を示しており、3つの突起40のうち、接着剤50に最も近い突起40が接着剤50に接触している。例えば、カバー部材30Bの基板10Bへの載置は、室温で行われる。接着剤50は、室温状態では硬化しにくい。接着剤50が柔らかい場合、接着剤50は、表面張力により、中央部が盛り上がった形状を有している。このため、カバー部材30Bは、接着剤50の盛り上がった中央部から接触していく。なお、カバー部材30Bが基板10B上に載置された状態で、全ての突起40が接着剤50と非接触でもよく、2つの突起40が接着剤50と接触していてもよい。接着剤50と接触していない突起40は、接着剤50の延在部52の延在方向の先端部分に配置される。
【0052】
図10の右側は、カバー部材30Bの基板10B側への押圧が開始された状態を示している。押圧より、接着剤50は幅方向および長さ方向に広がる。例えば、押圧は、高温の炉の中で実施されるが、接着剤50の硬化は、押圧が開始された直後には始まっていないため、接着剤50に最も近い突起40は、接着剤50の内部に埋め込まれていく。
【0053】
図11は、図10に示した状態から、カバー部材30Bが基板10B側にさらに押圧されるときの接着剤の変形の例を示している。図11は、連続する3つの突起40に沿う縦断面と横断面とを示している。
【0054】
図11に示したカバー部材30Bの基板側10Bへの押圧は、高温状態で実施されるため、接着剤50は、高温下で硬化し、図11の左側に示すように、硬化による膜54が接着剤50の表面に徐々に形成される。膜54が形成された接着剤50は、カバー部材30Bの基板10B側への押圧に伴い、さらに幅方向および長さ方向に広がる。しかしながら、硬化により形成された膜54により、接着剤50の弾性力は小さくなる。このため、接着剤50は広がりにくくなり、押圧とともに接着剤50の内部の圧力は高くなる。そして、長さ方向に広がる接着剤50の先端部分は、2つ目の突起40に接触する。
【0055】
次に、図11の右側に示すように、接着剤50がさらに広がると、膜54は突起40により破られ、硬化していない流動性を有する接着剤56が、延在部52の延在方向に流れ出す。この際、接着剤50の延在部52の延在方向の先端部分の膜54が破られるため、接着剤56を半導体素子20Bの辺に沿って流れ出すように誘導できる。膜54が破れるとき、接着剤50の内部の圧力は、弾性力の小さい膜54によりさらに高くなっている。このため、硬化していない接着剤56は、膜54の裂け目から勢いよく飛び出す場合がある。しかしながら、接着剤56は、延在部52の延在方向の先端部分の裂け目から流れ出すため、接着剤56は、勢いよく飛び出す場合にも、半導体素子20Bに向かうことはなく、半導体素子20Bに接触することはない。
【0056】
なお、硬化していない接着剤56は、表面張力により突起40から離れにくい。このため、接着剤56が、裂け目から勢いよく飛び出し、接着剤50から最も離れた突起40に触れる場合にも、表面張力により延在方向の先端側に流れ出る接着剤56の勢いは抑制される。
【0057】
例えば、突起40は錐形状を有しており、先端が尖っているため、膜54を破きやすくできる。膜54が破れることにより、接着剤50の内部の圧力は下がるため、カバー部材30Bの基板10B側への押圧が継続される場合にも、接着剤50の先端部分以外の膜54が破れることはない。
【0058】
なお、カバー部材30Bの基板10Bへの接着とともに、図9で説明したように、カバー部材30Bが半導体素子20Bにはんだ付けされる。すなわち、カバー部材30Bの基板側10Bへの押圧は、図9に示したはんだ80Bを溶融し、カバー部材30Bを半導体素子20Bに接着する目的を兼ねている。換言すれば、1回の熱処理により、カバー部材30Bと基板10Bとを接着でき、カバー部材30Bと半導体素子20Bとを接着できる。これにより、熱処理の時間を短くでき、例えば、はんだ80Bの酸化を抑制できる。
【0059】
図12は、図11に示した状態でカバー部材30Bの基板10B側への押圧状態が維持されるときの接着剤50の様子を示している。図12は、連続する3つの突起40に沿う縦断面と横断面とを示している。
【0060】
カバー部材30Bの基板10Bへの押圧状態は、高温状態で維持されているため、先端部分から流れ出た接着剤56の表面は硬化し、膜55が形成される。また、押圧状態が維持されているため、接着剤50の流動性を有する部分は、先端部分から流れ続ける。例えば、硬化した膜55は、新たに触れた突起40(図12の最も右側)により破られ、流動性を有する接着剤57が、先端部分から延在部52の延在方向にさらに流れ出す。この場合にも、接着剤57は、半導体素子20Bの辺に沿って流れ出すように誘導される。また、接着剤57の表面張力により、延在方向の先端側に流れ出る接着剤57の勢いは抑制される。
【0061】
接着剤50の内部の硬化していない部分の先端部分からの流れ出しは、接着剤50の硬化により膜54が厚くなり、膜54の変形量が少なくなることで止まる。この後、高温状態が維持されることで、接着剤50は完全に硬化し、カバー部材30Bは基板10Bに接着される。この際、接着剤50の内部に突起40が食い込んでいるため、カバー部材30Bと基板10Bとの接着強度を高くできる。
【0062】
図12に示したように、カバー部材30Bに突起40を設けることにより、接着剤50の膜54は、延在方向52の先端部分で破れ、他の部分では破れない。例えば、カバー部材30Bから接着剤50に掛かる押圧力が高い場合にも、接着剤50の膜54は、延在方向52の先端部分で破れる。換言すれば、基板10Bに塗布する接着剤50の盛り上がり量(高さ)を大きくし、カバー部材30Bから接着剤50に掛かる押圧力が高くしても、接着剤50の膜54は、延在方向52の先端部分で破れる。
【0063】
したがって、カバー部材30Bに突起40を設けることで、カバー部材30Bの押圧時に、接着剤50が基板10B上で広がる面積を小さくできる。この結果、カバー部材30Bの面34の面積を小さくすることが可能になり、基板10Bの面積を小さくすることが可能になる。換言すれば、カバー部材30Bの内側から半導体素子20Bの周囲までの距離を短くできる。これにより、半導体装置100Bの動作時において、熱による基板10Bの収縮、膨張による基板10Bの反りやうねりを小さくできる。この結果、半導体装置100Bの熱サイクルに対する信頼性を向上できる。
【0064】
また、接着剤50の膜54、55は、突起40により強制的に破かれ、硬化していない接着剤56、57は延在部52の先端部分から外側に流れ出す。この流れ出しにより、接着剤50が硬化する時間を、カバー部材30Bに突起40を設けないときに比べて短くできる。
【0065】
例えば、基板10Bに塗布する接着剤50の盛り上がり量を大きくすることで、カバー部材30Bの押圧時に接着剤50に掛かる押圧力を大きくでき、接着剤50の内部の圧力を高くできる。したがって、膜54を破れやすくでき、膜54の外側に流れ出す接着剤50の量を多くでき、接着剤50が硬化する時間を、さらに短くできる。この結果、半導体装置100Bの製造コストを削減できる。
【0066】
さらに、基板10Bに塗布する接着剤50の盛り上がり量を大きくすることで、接着剤50の表面の曲率を大きくできる。これにより、カバー部材30Bの基板10Bへの押圧の開始時に、カバー部材30Bが接着剤50に触れる面積を小さくでき、カバー部材30Bと接着剤50との間に空気が入ることを抑制できる。したがって、カバー部材30Bと接着剤50との接着強度が低下することはない。
【0067】
図13は、突起40の形状の例を示している。図13では、突起の先端を上側に向けて示している。図3に示した突起40の形状は、例えば、(a)円錐形状、(b)角錐形状、(c)三角柱形状のいずれかである。突起40が三角柱形状の場合、先端のラインが図4に示した接着剤50の延在部52の延在方向に沿うように、カバー部材30Bに突起40が形成される。なお、突起40は、図13(d)に示すように、複数の錐体を組み合わせて、カバー部材30Bに形成されてもよい。さらに、図13に示した突起40の形状は、図1に示した突起40の形状に使用されてもよい。
【0068】
図14は、カバー部材30Bに形成される突起40の別の例を示している。図14は、連続する3つの突起40に沿う縦断面を示している。例えば、図14(a)に示すように、3つの突起40は、接着剤50が完全に硬化した状態で、先端が基板10B上に接触するように、カバー部材30Bに形成されてもよい。
【0069】
この場合、カバー部材30Bを基板10Bに対して所定の高さに位置決めできる。このため、例えば、カバー部材30Bを基板10Bに押圧する工程において、カバー部材30Bの基板10Bに対する位置を圧力により制御することなく、カバー部材30Bを基板10B上の所定の高さに接着できる。また、硬化した膜54の弾性力のばらつきにより、カバー部材30Bの接着剤50への押圧力が、位置により異なる場合にも、カバー部材30Bを、基板10B上で傾くことなく配置できる。
【0070】
また、図14(b)に示すように、3つの突起40は、接着剤50が完全に硬化した状態で、先端が基板10Bに刺さるように、カバー部材30Bに形成されてもよい。これにより、カバー部材30Bと基板10Bとの接合強度をさらに向上できる。
【0071】
さらに、図14(c)に示すように、3つの突起40の少なくとも1つを、他の突起40より長くし、接着剤50が完全に硬化した状態で、長い突起40の先端が基板10B内の配線18に接触するように、カバー部材30Bに形成されてもよい。突起40の他の1つは、基板10B上に接触してもよい。突起40を介してカバー部材30Bを基板10Bの内部の配線18に接続することで、例えば、カバー部材30Bをアースすることができ、半導体素子20Bが動作するときに発生する電磁波や半導体素子20Bの外部からの電磁波を、カバー部材30Bにより遮蔽できる。
【0072】
なお、図14に示した突起40の数は、2個でもよく、4個以上でもよい。図14(b)において、突起40の少なくとも1つの先端が基板10Bに刺さるように、カバー部材30Bが形成されてもよい。図14(c)において、配線18に接触する突起40の数は、2個以上でもよい。配線18に接触しない突起40の先端は、基板10B上に接触してもよく、基板10Bに刺さってもよい。さらに、図14に示した突起40の形状は、図1に示した突起40の形状に使用されてもよい。
【0073】
図15は、カバー部材30Bに形成される突起40の別の例を示している。図15は、図4と同様に、半導体装置100Bをカバー部材30B側から見た例を示している。
【0074】
例えば、図15(a)に示すように、3つの突起40のうち、接着剤50の延在部52の延在方向の先端部分の突起40は、横断面形状が幅広にされ、横断面の幅方向が延在部52の延在方向の直角方向に沿うように、カバー部材30Bに形成されてもよい。
【0075】
また、図15(b)に示すように、カバー部材30Bは、接着剤50の延在部52の延在方向の先端部分に、延在部52の延在方向の直角方向に沿って設けられる複数の突起40を有していてもよい。
【0076】
図11で説明したように、接着剤50がカバー部材30Bにより押圧されたときに、接着剤50の内部の圧力は高くなる。接着剤50が基板10B上に盛り上がって塗布される場合、接着剤50の内部の圧力は、さらに高くなる。接着剤50の表面の硬化された膜54(図11)の質によっては、突起40が接着剤50の延在部52の先端部分に刺さる際に、硬化していない流動性を持つ接着剤50が先端部分から勢いよく流れ出す場合がある。この場合にも、図15に示した突起40により、流れ出した接着剤50は、突起40に遮られることにより、あるいは表面張力の作用により、飛び散ることはなく、接着剤50が意図しない領域に飛び出すことを防止できる。
【0077】
図16は、突起40のないカバー部材30Cを基板10Bに取り付ける場合に想定される不具合の例を示している。図16の下側は、基板10Bの平面図を示し、図16の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。図16は、図11の右側に示した状態に対応しており、高温状態下で、カバー部材30Cが基板側10Bに押圧されている状態を示している。図3および図4と同一または同様の要素には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0078】
図11で説明したように、接着剤50は、高温状態で硬化し、表面に膜が形成される。カバー部材30Cが図11に示した突起40を有していない場合、接着剤50の膜が破ける位置が定まらず、膜は、膜厚が薄い箇所、あるいは硬化が進み弾力性を失った箇所から破ける。例えば、半導体素子20Bの角部に対応する箇所から膜が破れる場合、硬化していない接着剤56は、半導体素子20Bに向けて流れ出る可能性が高い。
【0079】
流れ出た接着剤56は、半導体素子20Bのフリップチップ接続部を保護している樹脂70にぶつかり、カバー部材30Cの内側に広がる。このため、例えば、接着剤56は、溶融する前のはんだ80Bと金属膜80Aとの界面に侵入するおそれがあり、あるいは、溶融する前のはんだ80Bと金属膜80Cとの界面に侵入するおそれがある。
【0080】
接着剤56が侵入した箇所は、カバー部材30Cと半導体素子20Bとの接着強度が弱くなる。また、接着剤56は樹脂であるため、接着剤56が侵入した箇所は、熱伝導性(すなわち、熱抵抗)が低下し、カバー部材30Cによる半導体素子20Bの放熱効率は低下する。
【0081】
接着剤56が、はんだ80Bと金属膜80Aまたは80Cとの界面に侵入し、カバー部材30Bが基板10Bに対して傾いた状態で、基板10Bに接着される場合、半導体装置100Bは、外観不良品として扱われる。これにより、半導体装置100Bの歩留は低下し、半導体装置100Bの製造コストは上昇する。なお、接着剤50が、カバー部材30Bの外側に流れ出た場合も、半導体装置100Bは、外観不良品として扱われる。
【0082】
図17は、突起40のないカバー部材30Cを基板10Bに取り付ける場合に想定される不具合の別の例を示している。図17の下側は、基板10Bの平面図を示し、図17の上側は、平面図のA−A’線に沿う断面図を示している。図17は、図11の右側に示した状態に対応しており、高温状態下で、カバー部材30Cが基板側10Bに押圧されている状態を示している。図3および図4と同一または同様の要素には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図16と同様に、カバー部材30Cが図11に示した突起40を有していない場合、接着剤50の膜が破ける位置が定まらない。例えば、膜が、L字形状の接着剤50の2つの延在部52の延在方向の先端部分において、半導体素子20Bの角部26に対向する箇所から破れる場合、硬化していない流動性を有する接着剤56は、2箇所から半導体素子20Bに向けて流れ出る。
【0084】
これにより、接着剤50、56、カバー部材30C、半導体素子20Bおよび樹脂70により囲まれた空間90が発生する。例えば、空間90が外部から閉ざされ、密閉されている場合、樹脂70や接着剤50等から空間90に発生した揮発性のガスは、空間90に溜まり、空間90の圧力は高くなる。これにより、空間90内の揮発性のガスが、溶融したはんだ80Bの内部に入り込むと、カバー部材30Cと半導体素子20Bとの間に、いわゆるボイド92が発生するおそれがある。
【0085】
図16と同様に、ボイド92が発生した箇所は、カバー部材30Cと半導体素子20Bとの接着強度が弱くなる。また、ボイド92の内部は気体が充填されているため、ボイド92が発生した箇所は、熱伝導性(すなわち、熱抵抗)が低下し、カバー部材30Cによる半導体素子20Bの放熱効率は低下する。さらに、ボイド92により、カバー部材30Bが基板10Bに対して傾いた状態で、基板10Bに接着される場合、半導体装置100Bは、外観不良品として扱われる。
【0086】
以上、この実施形態においても、図1および図2に示した実施形態と同様に、カバー部材30Bの放熱性能および接合強度を向上でき、半導体装置100Bの信頼性を向上できる。例えば、半導体素子100Bの角部26に対応する位置に接着剤50を付けることで、熱サイクルにより基板10Bに発生する応力に対するカバー部材30Bと基板10Bとの接合強度を向上できる。
【0087】
硬化した接着剤50のL字形状の先端部分が互いに接触しないように、接着剤50をL字形状に塗布することで、半導体装置100Bの製造工程において、樹脂70や接着剤50等から発生する揮発性のガスを、カバー部材30Bの外部に逃がすことができる。この結果、カバー部材30Bの内側に溜まった揮発性のガスが膨張した場合にも、膨張による接着剤50の剥離やカバー部材30Bの脱落を抑制できる。
【0088】
複数の突起40を接着剤50の延在部52の延在方向に沿って配置することで、突起40の少なくともいずれかにより、延在部52の先端部分に形成された膜54を破くことができる。これにより、例えば、接着剤50の延在部52の長さがばらつく場合にも、硬化していない流動性を有する接着剤56を、延在部52の先端部分から延在部52の延在方向に向けて流れ出させることができる。すなわち、突起40により、流動性を有する接着剤56を、半導体素子20Bの辺に沿って流れ出すように誘導できる。
【0089】
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
表面に半導体素子が搭載された基板と、
前記基板の前記表面における前記半導体素子が搭載される領域の周囲に配置され、前記半導体素子の辺に沿って延在する延在部を有する接着剤と、
前記半導体素子を覆って配置され、前記接着剤に接する第1の面と、前記第1の面における前記延在部の先端部分に対応する位置に設けられた突起とを含むカバー部材と
を備えていることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記接着剤の前記延在部は、前記半導体素子の角部の各々に対応する位置から、隣接する他の角部に向けてそれぞれ延在し、
前記突起は、前記各延在部の先端部分に接触すること
を特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記カバー部材は、前記各延在部の延在方向に並ぶ複数の前記突起を備え、
前記突起の少なくとも1つが前記先端部分に刺されていること
を特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記複数の前記突起のうち、前記延在部の前記先端部分に対応して設けられる突起は、前記延在部の延在方向の直角方向に沿う面を有していること
を特徴とする付記3に記載の半導体装置。
(付記5)
前記カバー部材は、前記複数の前記突起のうち、前記延在部の前記先端部分に対応して設けられる突起に隣接し、前記延在部の延在方向の直角方向に並ぶ複数の突起を備えていること
を特徴とする付記3に記載の半導体装置。
(付記6)
前記突起の前記先端は、前記基板の前記表面に接触していること
を特徴とする付記1ないし付記5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
前記突起の前記先端は、前記基板の前記表面に刺されていること
を特徴とする付記1ないし付記5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記8)
前記カバー部材および前記突起は、導電性を有し、
前記基板の前記表面に刺されている前記突起の前記先端は、前記基板の内部に設けられた配線に接触され、前記配線を介してアースされていること
を特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記9)
前記突起は、錐体形状を有すること
を特徴とする付記1ないし付記8のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記10)
前記突起は、くさび形状を有すること
を特徴とする付記1ないし付記8のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記11)
前記接着剤は、硬化前に流動性を有する樹脂であること
を特徴とする付記1ないし付記10のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記12)
基板の表面に半導体素子を搭載する工程と、
前記基板の前記表面における前記半導体素子が搭載される領域の周囲に、前記半導体素子の辺に沿って延在する延在部を有する接着剤を付ける工程と、
前記接着剤に接する第1の面と、前記第1の面における前記延在部の先端部分に対応する位置に設けられた突起とを含むカバー部材を、前記半導体素子を覆って前記基板上に配置する工程と、
前記カバー部材を前記基板側に押圧することにより、前記突起を前記接着剤の前記先端部分における硬化した膜に刺し、前記膜の内部にある硬化していない前記接着剤を前記先端部分から前記延在部の延在方向に流れ出させる工程と
を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記基板の前記表面に前記接着剤を付ける工程において、前記接着剤の前記延在部を、矩形状の前記半導体素子の角部の各々に対応する位置から、隣接する他の角部に向けてそれぞれ延在させること
を特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記各延在部の延在方向に並ぶ複数の前記突起を備え、
前記カバー部材を前記基板側に押圧する工程において、前記突起の少なくとも1つを前記各先端部分に刺すこと
を特徴とする付記13に記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
10A、10B‥基板;12‥表面;14、16‥端子;18‥配線;20A、20B‥半導体素子;22‥面;24‥端子;30A、30B、30C‥カバー部材;32、34‥面;40‥突起;50‥接着剤;52‥延在部;53‥間隙;54、55‥膜;56、57‥接着剤;60、62‥はんだ;70‥樹脂;100A、100B‥半導体装置;80A、80C‥金属膜;80B‥はんだ;90‥空間;92‥ボイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17