(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メッシュ状無端ベルト上に透気性キャリアシートを配置し、該透気性キャリアシート上に、エアレイド方式のウェブ形成装置にて、第二の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第二のウェブを形成し、続いて、第一の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第一のウェブを形成することによりエアレイドウェブを得る工程と、
得られたエアレイドウェブを加熱することにより、該エアレイドウェブに含まれる繊維を結合する工程と、を有し、
前記第一の原料繊維中の、下記繊維(x1)及び下記繊維(x2)から選ばれる少なくとも1種の熱融着性繊維(X)の含有量が10質量%以上50質量%以下、ポリビニルアルコール樹脂繊維の含有量が前記熱融着性繊維(X)の含有量に対して50質量%以上、セルロース繊維の含有量が0質量%以上5質量%未満であり、
前記第二の原料繊維中の、セルロース繊維の含有量が5質量%以上98質量%以下であることを特徴とする吸収シートの製造方法。
繊維(x1):ポリブチレンサクシネート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)及びポリエチレンサクシネートから選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)からなる熱融着性繊維。
繊維(x2):ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、前記樹脂(A)とからなる熱融着性繊維。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について、添付の図面を参照し、実施形態例を示して説明する。
【0014】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態の吸収シート10の構成を説明する概略縦断面図である。
吸収シート10は、第一領域1と第二領域2とからなる吸収層3を備えるものである。吸収層3は、第一のウェブと第二のウェブとが積層したエアレイドウェブを熱処理した不織布からなるもので、第一領域1、第二領域2はそれぞれ、該エアレイドウェブの第一のウェブ、第二のウェブに由来する。
なお、エアレイドウェブは、後述するように、第一のウェブを構成する第一の原料繊維、第二のウェブを構成する第二の原料繊維を、この順で、または逆の順で順次堆積させて形成されるものであり、これを熱処理して得られる不織布において、第一領域1と第二領域2との間に明確な界面は存在しない。
吸収シート10は、吸収層3の第一領域1側の表面にまず吸収対象物が接触するように用いられる。
【0015】
不織布の製造方法としては、原料繊維からシート状のウェブを形成するウェブ形成工程と、得られたウェブ中の原料繊維を結合させる繊維結合工程とを経る方法が一般的である。
「エアレイドウェブを熱処理した不織布」とは、ウェブ形成工程でエアレイド法によりウェブ(エアレイドウェブ)を形成し、繊維結合工程でサーマルボンド法により原料繊維を結合したものである。エアレイド法とは、空気流を利用して原料繊維を3次元的にランダムに積層させてウェブを形成する方法である。サーマルボンド法は、ウェブに対して熱処理を行ってウェブ中の熱融着性成分(本実施形態においては樹脂(A))を溶融させて原料繊維間に結合を形成させる方法である。エアレイド法とサーマルボンド法を組み合わせることによって、他の方法と比べて、吸収性能に優れた不織布が得られる。
例えば、ウェブの形成方法として、ローラーカード機(カーディングマシン)を用い、繊維塊を機械的に梳り、繊維長の長い原料繊維によりシート状のウェブを形成するカーディング法がある。カーディング法はエアレイド法と同じ乾式法であるが、得られる不織布は、同じ密度、厚みであっても、エアレイドウェブから形成された不織布の方が、吸収性能に優れ、高粘度の吸収対象物であっても、迅速に吸収し且つ保持し得る。
これは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、エアレイド法とは、空気流を利用して繊維長の短い原料繊維を積層させるウェブの形成方法であるため、得られたエアレイドウェブ中では、原料繊維が3次元的にランダムに配向する。このようなウェブに対し、サーマルボンド法を適用することで、得られるエアレイドウェブ中に、高粘度の吸収対象物の吸収、保持に適した空隙が多く形成されるものと考えられる。一方、例えばウェブをカーディング法で形成した場合、得られたカードウェブ中では、繊維がほぼ2次元に配向するため、空隙が少なくなると考えられる。
【0016】
さらに、本実施形態においては、エアレイドウェブを、第一の原料繊維で構成された第一のウェブと、第二の原料繊維で構成された第二のウェブとが積層したものとすることで、1つの不織布(吸収層3)のなかに、機能性の異なる2つの領域1、2を設けている。
吸収層3においては、第一領域1側の表面にまず吸収対象物が接触する。
第一のウェブに対応する第一領域1は、原料繊維間の空隙が大きく、高粘度の吸収対象物であっても迅速に透過し、表面下に吸収し得る優れた透過性を有しており、透過層として機能する。また、第一領域1は、保形性に優れ、例えば吸収対象物の自重による厚みの減少といった型崩れが生じにくい。そのため厚みの減少等による吸収対象物の透過・吸収能力の低下が生じにくい。
第二のウェブに対応する第二領域2は、優れた吸液性と保液性を有し、第一領域1を透過した吸収対象物に含まれる液体(水分等)を吸収、保持する吸収層として機能する。吸収対象物が固形分を含む場合、固形分が第二領域2における原料繊維間の空隙を透過し得る微細なものであれば該固形分も保持し得る。また、第二領域2は保形性に優れる。そのため、第二領域2での液体吸収量が飽和状態になった場合でも液体自重による厚み減少は小さく、かつ第二領域2に外部から力が加わったときに、保持し得る液体量の減少につながる厚みの減少が生じにくい。
さらに、第一領域1、第二領域2はいずれも水解性を有している。また、第一領域1、第二領域2を構成する第一の原料繊維、第二の原料繊維は、それぞれ、生分解性を有する材料(樹脂(A)、樹脂(B)、ポリビニルアルコール、セルロース等)で構成されている繊維を一定量以上含んでいる。そのため、第一領域1と第二領域2はいずれも生分解性に優れる。そのため、吸収層3からなる吸収シート10は、使用後、そのまま水洗トイレットに流したり土に埋めたりする等の簡単な方法で廃棄できる。また、土に埋めて廃棄しても短い期間で分解する。
【0017】
{第一領域1}
第一領域1は、第一の原料繊維で構成される第一のウェブに由来する。
第一の原料繊維は、当該第一の原料繊維中の、下記繊維(x1)及び下記繊維(x2)から選ばれる少なくとも1種の熱融着性繊維(X)の含有量が2質量%以上50質量%以下、セルロース繊維の含有量が0質量%以上5質量%未満である。なお、各含有量は、第一の原料繊維の総量(100質量%)に対する割合である。
繊維(x1):ポリブチレンサクシネート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)及びポリエチレンサクシネートから選ばれる少なくとも1種の樹脂(A)からなる熱融着性繊維。
繊維(x2):ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、前記樹脂(A)とからなる熱融着性繊維。
【0018】
樹脂(A)は、比較的融点が低い樹脂であり、サーマルボンド法による繊維結合工程にて熱融着性成分として機能する。そのため、樹脂(A)を含有する熱融着性繊維(X)は、第一領域1の保形性の向上に寄与する。
第一のウェブは、上述のとおりエアレイド法により形成されるため嵩高い。第一の原料繊維中に熱融着性繊維(X)を2質量%以上含有させると、形成される第一領域1内における原料繊維間の結着点が充分に存在し、保形性が向上する。また、セルロース繊維を含まないか、含んでもその含有量が5質量%未満であることで、第一領域1における含水率(保水率)が低くなる。そのため形成される第一領域1は、嵩高く、低密度で、且つ型崩れしにくいものとなり、高粘度の吸収対象物に対しても優れた透過性を発揮する。
【0019】
ただし第一の原料繊維として熱融着性繊維(X)のみを用いた場合、透過性には優れるが、水解性が得られない。第一の原料繊維中の熱融着繊維(X)の含有量が50質量%以下であれば、水解性が得られる。
水解性の観点から、第一の原料繊維は、熱融着性繊維(X)に加えて、さらに、前記樹脂(B)からなる高融点繊維(Y)を含有することが好ましい。これにより、相対的に熱融着性繊維(X)の比率が低くなり、第一領域1内における原料繊維同士の結着点が少なくなるため、第一領域1の水解性が向上する。
水解性の観点から、第一の原料繊維は、熱融着性繊維(X)に加えて、または熱融着性繊維(X)および高融点繊維(Y)に加えて、さらに、ポリビニルアルコール樹脂繊維(以下、PVA繊維という。)を含有することが好ましい。水溶性の繊維であるPVA繊維を組み合わせることで、多量の水と接したときに、PVA繊維が溶解することで第一領域1内における原料繊維間の結着点が減少し、第一領域1が分解(水解)する。また、土に埋める等の処理を行ったときにも分解しやすくなるなど生分解性が向上する。
【0020】
[熱融着性繊維(X)]
熱融着性繊維(X)としての繊維(x1)、繊維(x2)はそれぞれ、市販のものを使用できる。また、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
ここで「熱融着性繊維」とは、繊維群をなす原料繊維の少なくとも一部が、熱融着性成分であるため、熱処理による熱融着が可能とされた原料繊維のことをいう。
繊維(x1)、繊維(x2)はいずれも樹脂(A)を熱融着性成分とするものである。
繊維(x1)は、樹脂(A)からなり、熱処理によりその一部または全部が溶融し、溶融した部分が原料繊維の表面同士を融着するバインダーとして作用する。
繊維(x2)は、樹脂(A)と樹脂(B)とからなるもので、熱処理により、樹脂(A)で構成される部分(例えば芯鞘構造の鞘の部分)の一部または全部が溶融し、溶融した部分がバインダーとして作用する。
【0021】
樹脂(A)は、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)及びポリエチレンサクシネートから選ばれる少なくとも1種である。樹脂(A)は、生分解性に優れるとともに、サーマルボンド法による繊維結合工程で融着するのに適した60〜165℃の融点を有する。樹脂(A)の融点は、100〜165℃であることが好ましい。
樹脂(B)は、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種である。樹脂(B)は、生分解性に優れるとともに、サーマルボンド法による繊維結合工程で溶融せず繊維形態を維持するのに適した170℃以上の融点を有する。樹脂(B)の融点は、170〜250℃であることが好ましい。
なお、本明細書において、樹脂の融点は、微量融点測定法 DSC(走査熱量計)などにより測定される値である。
【0022】
繊維(x1)としては、樹脂(A)からなるものであれば特に限定されず、市販のものを使用できる。また、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
繊維(x1)を構成する樹脂(A)は1種でも2種以上でもよい。
繊維(x1)を構成する樹脂(A)が2種以上である場合、繊維(x1)は、2種以上の樹脂(A)の混合物からなるものであってもよく、2種以上の樹脂(A)を複合化した複合合成繊維であってもよい。複合合成繊維としては、例えば、異なる2種の樹脂(A)を複合化させて得られるサイドバイサイド型構造の合成繊維、芯鞘型構造の合成繊維などが挙げられる。芯鞘型構造は、同芯芯鞘型構造でもよく、偏芯芯鞘型構造でもよい。
【0023】
繊維(x2)としては、樹脂(A)と樹脂(B)からなり、繊維表面の少なくとも一部が樹脂(A)で構成されるものであれば特に限定されず、市販のものを使用できる。また、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
繊維(x2)を構成する樹脂(A)、樹脂(B)はそれぞれ1種でも2種以上でもよい。
繊維(x2)としては、例えば、樹脂(A)と樹脂(B)を複合化させて得られるサイドバイサイド型構造の合成繊維、芯鞘型構造の合成繊維などが挙げられる。芯鞘型構造の場合、樹脂(A)が鞘部分を構成し、樹脂(B)が芯部分を構成する。芯鞘型構造は、同芯芯鞘型構造でもよく、偏芯芯鞘型構造でもよい。
繊維(x2)における樹脂(A)と樹脂(B)との質量比(例えば芯鞘型構造における芯鞘複合比)は、樹脂(A)/樹脂(B)=2/8〜8/2が好ましく、4/6〜6/4がより好ましい。
【0024】
繊維(x2)は、潜在捲縮合成繊維であってもよい。
潜在捲縮合成繊維は、熱により捲縮(クリンプ、カール、スパイラル)が顕在化する合成繊維である。エアレイドウェブに対して熱処理した際に捲縮が顕在化することで、より嵩高くなる。
繊維(x2)として用いられる潜在捲縮合成繊維としては、例えば、樹脂(A)と樹脂(B)を複合化させて得られるサイドバイサイド型構造の合成繊維、偏芯芯鞘型構造の合成繊維などが挙げられる。
潜在捲縮合成繊維は、あらかじめ緩やかな捲縮を有しているものでもよいし、有していないものでもよい。
【0025】
第一の原料繊維において、熱融着性繊維(X)(繊維(x1)、繊維(x2))の繊維長は、2〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましく、2〜6mmがさらに好ましい。このような繊維長であると、エアレイドウェブを形成する際に、これらの繊維が3次元的にランダムに積層し、その結果、第一領域1が、嵩高く、高粘度の吸収対象物に対しても優れた透過性を発現するものとなりやすい。また、型崩れもしにくくなる。一方、繊維長がこの範囲の下限値未満では、第一領域1において繊維が密になり、透過性が低下するおそれがある。また、第一領域1に肌に触れる場合に、肌触りが硬くなる、ゴワゴワ感が生じるなどの懸念がある。
【0026】
熱融着性繊維(X)の繊維径は、0.5〜74dtexが好ましく、0.8〜35dtexがより好ましく、1.0〜20dtexがさらに好ましい。このような繊維径であると、第一領域1が、嵩高く、高粘度の吸収対象物に対しても優れた透過性を発現するものとなりやすい。また、肌触りにも優れる。一方、繊維径がこの範囲の下限値未満では、肌触りは良好になるが、空隙のサイズが小さくなり、高粘度の吸収対象物を吸収する際の抵抗が大きくなるなどして、透過性に劣る傾向がある。繊維径がこの範囲の上限値を超えると、繊維自体が剛直になるためにチクチク感が増し、肌触りが悪くなる傾向にある。
【0027】
なお、本明細書において、原料繊維の繊維長は、任意に選択した50本以上の繊維をサンプルとし、これらについて電子顕微鏡観察により測定した長さの平均値である。
原料繊維の繊維径は、単位「dtex(デシテックス)」で表す。1dtexとは、長さ10000mで1gの重さの糸の太さである。
【0028】
熱融着性繊維(X)としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。例えば繊維(x1)と繊維(x2)とを併用してもよく、繊維(x1)として2種以上を併用してもよく、繊維(x2)として2種以上を併用してもよい。
【0029】
熱融着性繊維(X)は、上記の中でも、繊維(x2)を含有することが好ましい。樹脂(B)は、樹脂(A)よりも融点が高い樹脂であり、サーマルボンド法における通常の熱処理温度では溶融しない。樹脂(B)を含む繊維(x2)の熱融着性繊維(X)における比率が高いほど、得られる第一領域1の嵩が高くなりやすく、高粘度の吸収対象物の透過性に優れる傾向にある。
繊維(x2)として潜在捲縮合成繊維を用いると、さらに嵩が高く、高粘度の吸収対象物の吸収性に優れる傾向にあり好ましい。
【0030】
第一の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の割合は、2質量%以上50質量%以下である。熱融着性繊維(X)の割合が2質量%以上であることにより、保形性が充分に向上し、優れた透過性が発揮される。50質量%以下であることにより水解性、生分解性が良好となる。
第一の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の含有量は、保形性、透過性の観点では、5質量%以上が好ましく、水解性、生分解性の観点では、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
ただし、第一の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の含有量を10質量%以上とする場合は、充分な水解性を得るためには、さらに、第一の原料繊維にPVA繊維を含有させることが好ましい。
これらを考慮すると、第一の原料繊維がPVA繊維を含まない場合は、第一の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の含有量は、2質量%以上10質量%以下がより好ましく、5質量%以上8質量%以下が特に好ましい。
第一の原料繊維がPVA繊維を含む場合は、第一の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の含有量は、2質量%以上50質量%以下の範囲内であれば特に限定されないが、10質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
第一の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の含有量が10質量%以上50質量%以下である場合、第一の原料繊維中のPVA繊維の含有量は、熱融着性繊維(X)の含有量に対して50質量%以上であることが好ましく、100〜200質量%であることがより好ましい。
【0031】
[高融点繊維(Y)]
高融点繊維(Y)は、前記樹脂(B)からなる繊維である。
高融点繊維(Y)としては、樹脂(B)からなるものであれば特に限定されず、市販のものを使用できる。また、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
高融点繊維(Y)を構成する樹脂(B)は1種でも2種以上でもよい。
高融点繊維(Y)を構成する樹脂(B)が2種以上である場合、高融点繊維(Y)は、2種以上の樹脂(B)の混合物からなるものであってもよく、2種以上の樹脂(B)を複合化した複合合成繊維であってもよい。複合合成繊維としては、例えば、異なる2種の樹脂(B)を複合化させて得られるサイドバイサイド型構造の合成繊維、芯鞘型構造の合成繊維などが挙げられる。芯鞘型構造は、同芯芯鞘型構造でもよく、偏芯芯鞘型構造でもよい。
高融点繊維(Y)の繊維長は、熱融着性繊維(X)と同様、2〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましく、2〜6mmがさらに好ましい。
高融点繊維(Y)の繊維径は、熱融着性繊維(X)と同様、0.5〜74dtexが好ましく、0.8〜35dtexがより好ましく、1.0〜20dtexがさらに好ましい。
高融点繊維(Y)としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
第一の原料繊維中の高融点繊維(Y)の割合は、0〜93質量%が好ましく、0〜90質量%がより好ましく、40〜88質量%がさらに好ましい。
【0032】
[PVA繊維]
PVA繊維は、多量の水と接したときに溶解するものであれば特に限定されず、市販のものを使用できる。また、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
PVA繊維を構成するポリビニルアルコール樹脂としては、生分解プラスチックのJIS規格K6950(ISO14851)を満たすものが望ましい。
PVA繊維の繊維長は、熱融着性繊維(X)と同様、2〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましく、2〜6mmがさらに好ましい。
PVA繊維の繊維径は、熱融着性繊維(X)と同様、0.5〜74dtexが好ましく、0.8〜35dtexがより好ましく、1.0〜20dtexがさらに好ましい。
【0033】
第一の原料繊維中のPVA繊維の含有量は、2質量%以上95質量%以下であることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%がさらに好ましい。PVA繊維の割合が2質量%以上であることにより、水解性、生分解性が良好となる。95質量%以下であることにより透過性が良好となる。
【0034】
第一の原料繊維中の前記熱融着性繊維(X)の含有量が10質量%以上50質量%以下である場合は、第一の原料繊維中のPVA繊維の含有量は、上述のように、熱融着性繊維(X)の含有量に対して50質量%以上であることが好ましく、100〜200質量%であることがより好ましい。
【0035】
[任意の原料繊維]
第一の原料繊維は、前記熱融着性繊維(X)、前記高融点繊維(Y)及びPVA樹脂繊維以外の他の繊維を含有してもよい。
該他の繊維として、第一領域1の生分解性を損なわないものであればよく、例えば、セルロース系繊維(パルプ、レーヨン、キュプラ、コットンなど)、天然繊維等が挙げられる。
セルロース繊維としては、後述する第二領域2の説明で挙げるものと同様のものを使用できる。
ただしセルロース繊維は、含有量が多すぎると、第一領域1の透過性を損なうおそれがある。そのため、第一の原料繊維中のセルロース繊維の割合は、5質量%未満であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0036】
第一の原料繊維としては、熱融着性繊維(X)を5質量%以上50質量%以下含有するものであればよいが、さらに、高融点繊維(Y)およびPVA繊維のいずれか一方または両方を含有するものが好ましい。
なかでも、水解性に優れた吸収シートが得られる点で、下記の原料繊維(I−1)または(I−2)であることが好ましい。
原料繊維(I−1):高融点繊維(Y)とPVA繊維との合計量が80質量%以上(好ましくは90質量%以上)であり、熱融着性繊維(X)の含有量が2質量%以上20質量%以下(さらに好ましくは2質量%以上10質量%以下)である原料繊維。
原料繊維(I−2):熱融着性繊維(X)の含有量が10質量%以上50質量%以下であり、PVA繊維の含有量が、熱融着性繊維(X)の含有量に対して50質量%以上(好ましくは100質量%以上)である原料繊維。
原料繊維(I−1)、(I−2)はそれぞれ、高融点繊維(Y)と、PVA繊維と、熱融着性繊維(X)との合計量が100質量%であることが特に好ましい。
【0037】
第一領域1は、上記第一の原料繊維のみから構成されるものであってもよく、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、第一の原料繊維以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、吸収シートにおける添加剤として公知の添加剤を特に制限することなく用いることができ、例えば機能性粉体、機能性繊維、機能性液体等が挙げられる。
機能性粉体、機能性繊維としては、消臭機能、抗菌機能、抗ウイルス機能、抗アレルゲン機能、防カビ機能、芳香機能、機能性液体 等のいずれか1種以上の機能を有するものが好ましく、例えばゼオライト、活性炭、キチン、キトサン、ホタテ貝殻、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、植物抽出物、キノコ抽出物、カテキン、フラボノール、シクロデキストリン、コラーゲン繊維、酸化鉄、クエン酸、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、ユーカリエキス等が挙げられる。
【0038】
第一領域1は、坪量が30〜300g/m
2であることが好ましく、40〜200g/m
2であることがより好ましく、50〜150g/m
2であることがさらに好ましい。第一領域1の坪量が上記範囲の下限値以上であると、吸収対象物を保持する能力に優れる。第一領域1の坪量が上記範囲の上限値以下であると、吸収シート10の着用感や取扱性、吸収層3の生産性が良好である。
【0039】
第一領域1は、密度が0.01〜0.1g/cm
3であることが好ましく、0.01〜0.06g/cm
3であることがより好ましく、0.02〜0.04g/cm
3であることがさらに好ましい。密度が上記範囲の上限値を超えると、空隙が少なく、あるいは空隙のサイズが小さすぎて、吸収対象物の透過性が不充分となるおそれがある。また、使用感も悪くなる。密度が上記範囲の下限値未満であると、第一領域1中の空隙が多くなりすぎたり、空隙のサイズが大きくなりすぎたりして、吸収対象物が高粘度の液体、もしくは半固体であった場合、その自重で第一領域1が潰れて吸収性を著しく低下させることがあり、吸収対象物を仮に一旦吸収したとしても保持しにくく、逆戻りが生じるおそれがある。
【0040】
{第二領域2}
第二領域2は、第二の原料繊維で構成される第二のウェブに由来する。
第二の原料繊維は、当該第二の原料繊維中の、セルロース繊維の含有量が5質量%以上98質量%以下である。なお、該含有量は、第二の原料繊維の総量(100質量%)に対する割合である。
【0041】
第二のウェブは、上述のとおりエアレイド法により形成されるため嵩高い。また、セルロース繊維を含むことで、第二領域2の原料繊維間の空隙が小さくなり、吸液性が向上する。セルロース繊維は親水性繊維であることから、特に吸水性が高くなる。
また、セルロース繊維を含むことで、第二領域2内における原料繊維間の結着点が過剰にならず、多量の水と接したときに第二領域2が分解(水解)する。また、土に埋める等の処理を行ったときにも分解しやすくなるなど生分解性が向上する。
【0042】
第二の原料繊維は、さらに、熱融着性繊維(X)を含有することが好ましい。
この場合、第二の原料繊維中の、セルロース繊維の含有量が5質量%以上95質量%以下であり、熱融着性繊維(X)の含有量が5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、セルロース繊維の含有量が50質量%以上95質量%以下であり、熱融着性繊維(X)の含有量が5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
上述のとおり、熱融着性繊維(X)における樹脂(A)は、比較的融点が低い樹脂であり、サーマルボンド法による繊維結合工程にて熱融着性成分として機能する。そのため、第二の原料繊維中に熱融着性繊維(X)を5質量%以上含有させると、形成される第二領域2内における原料繊維間の結着点が充分に存在し、保形性が向上する。保形性が向上することで、第二領域2での液体吸収量が飽和状態になった場合でも液体自重による厚み減少は小さく、かつ第二領域2に外部から力が加わったときに厚みが減少しにくい。そのため厚みの減少によって、吸液可能な液体量が低下することを抑制できる。これらが相乗的に作用することで保液性が向上すると考えられる。
熱融着性繊維(X)を含有させても、その含有量が15質量%以下であれば、優れた生分解性を維持できる。
【0043】
[セルロース繊維]
セルロース繊維としては、従来、吸収体に用いられている各種セルロース繊維が使用できる。セルロース繊維の材質としては、例えばパルプ、レーヨン、コットン、キュプラ等が挙げられる。
セルロース繊維としては繊維長、異物、生産性、原料価格などの点で、パルプ繊維が好ましい。
パルプ繊維としては、木材パルプ(針葉樹、広葉樹)、ラグパルプ、リンターパルプ、リネンパルプ、楮・三椏・雁皮パルプなどの非木材パルプ、古紙パルプなどの原料パルプから得られたものが例示できる。また、原料パルプとしては、機械パルプ(GP、RGP、TMPなど。)、化学パルプ(亜硫酸パルプ、クラフトパルプなど。)のいずれも使用できる。これらのなかでは、供給量、品質の安定性、コストなどの点から、クラフトパルプが好ましい。
パルプ繊維の繊維長は、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。
パルプ繊維としては、通常の木材パルプ等が使用できるが、低密度の不織布とするため、及び熱可塑性合成樹脂繊維との混綿のし易さのため等から、長さ平均加重で求められるコースネスが0.1mg/mから0.3mg/m、好ましくは0.12mg/m〜0.25mg/mのものが好適に使用される。
【0044】
セルロース繊維としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
第二の原料繊維中のセルロース繊維の割合は、5質量%以上98質量%以下であり、50質量%以上95質量%以下が好ましい。セルロース繊維の割合が5質量%以上であることにより、生分解性、水解性が充分に向上する。98質量%以下であることにより保液性が向上する。
【0045】
[熱融着性繊維(X)]
熱融着性繊維(X)における繊維(x1)、繊維(x2)としてはそれぞれ前記と同様のものが挙げられる。
第二の原料繊維に含まれる熱融着性繊維(X)と第一の原料繊維に含まれる熱融着性繊維(X)は同じでも異なってもよい。
第二の原料繊維において、熱融着性繊維(X)(繊維(x1)、繊維(x2))の繊維長は2〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましく、2〜6mmがさらに好ましい。このような繊維長であると、エアレイドウェブを形成する際に、これらの繊維が3次元的にランダムに積層し、その結果、第二領域2が、嵩高く、優れた保液性を発現するものとなりやすい。また、型崩れもしにくくなる。一方、繊維長がこの範囲の下限値未満では、第二領域2において繊維が密になり、吸収性が低下するおそれがある。
熱融着性繊維(X)の繊維径は、0.5〜74dtexが好ましく、0.8〜35dtexがより好ましく、1.0〜20dtexがさらに好ましい。このような繊維径であると、第二領域2が、嵩高く、優れた保液性を発現するものとなりやすい。また、型崩れもしにくくなる。一方、繊維径がこの範囲の下限値未満では、液体を吸収する際の抵抗が大きくなるなどして吸収性に劣る傾向がある。繊維径がこの範囲の上限値を超えると、繊維自体が剛直になるためにチクチク感が増し、肌触りが悪くなる傾向にある。
【0046】
熱融着性繊維(X)としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
第二の原料繊維中の熱融着性繊維(X)の割合は、5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
第二の原料繊維中の熱融着性繊維(X)とセルロース繊維の合計の割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。該合計の割合が50質量%以上であることにより、保液性、水解性、生分解性が良好となる。該割合の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。任意に配合される他の繊維を考慮して適宜設定できる。
【0047】
[任意の原料繊維]
第二の原料繊維は、前記熱融着性繊維(X)及びセルロース繊維以外の他の繊維を含有してもよい。
該他の繊維として、第二領域2の生分解性を損なわないものであればよく、例えば、前記高融点繊維(Y)、PVA繊維等が挙げられる。高融点繊維(Y)、PVA繊維はそれぞれ前記と同じものが挙げられる。
高融点繊維(Y)を含有する場合、第二の原料繊維中の高融点繊維(Y)の含有量は、3質量%以上48質量%以下が好ましい。
【0048】
第二の原料繊維としては、セルロース繊維を5質量%以上98質量%以下含有するものであればよいが、さらに、熱融着性繊維(X)を含有するものが好ましい。
なかでも、吸水後のシートの保形性と保水性に優れる点で、セルロース繊維5質量%以上95質量%以下と、熱融着性繊維(X)5質量%以上15質量%以下とを含有するものが好ましく、セルロース繊維5質量%以上95質量%以下と、熱融着性繊維(X)5質量%以上15質量%以下と、高融点繊維(Y)0質量%以上48質量%以下とからなるものがより好ましい。
【0049】
第二領域2は、上記第一の原料繊維のみから構成されるものであってもよく、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、第二の原料繊維以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、吸収シートにおける添加剤として公知の添加剤を特に制限することなく用いることができ、例えば機能性粉体、機能性繊維、機能性液体等が挙げられる。
機能性粉体としては、消臭機能、抗菌機能、抗ウイルス機能、抗アレルゲン機能、防カビ機能、芳香機能、機能性液体 等のいずれか1種以上の機能を有するものが好ましく、例えばゼオライト、活性炭、キチン、キトサン、ホタテ貝殻、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、植物抽出物、キノコ抽出物、カテキン、フラボノール、シクロデキストリン、コラーゲン繊維、酸化鉄、クエン酸、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、ユーカリエキス等が挙げられる。
【0050】
第二領域2は、坪量が30〜1000g/m
2であることが好ましく、40〜700g/m
2であることがより好ましく、50〜500g/m
2であることがさらに好ましい。第二領域2の坪量が上記範囲の下限値以上であると、液体を保持する能力に優れる。第二領域2の坪量が上記範囲の上限値以下であると、吸収シート10の着用感や取扱性、吸収層3の生産性が良好である。
【0051】
第二領域2は、密度が0.01〜0.1g/cm
3であることが好ましく、0.01〜0.08g/cm
3であることがより好ましく、0.02〜0.06g/cm
3であることがさらに好ましい。密度が上記範囲の上限値を超えると、空隙が少なく、あるいは空隙のサイズが小さすぎて、吸収速度が遅くなるおそれがある。密度が上記範囲の下限値未満であると、第二領域2中の空隙が多くなりすぎたり、空隙のサイズが大きくなりすぎたりして、第二領域2での液体吸収量が飽和状態になった場合、液体自重による厚み減少が大きくなり、かつ第二領域2に外部から力が加わったときに厚みが減少しやすいため、吸液可能な液体量が低下するおそれがある。液体を仮に一旦吸収したとしても保持しにくく、逆戻りが生じるおそれがある。
【0052】
吸収層3は、上記第一領域1および第二領域2から構成される。
吸収層3を構成する原料繊維(第一の原料繊維および第二の原料繊維の合計)は、少なくとも、熱融着性繊維(X)、セルロース繊維を含み、好ましくはさらに高融点繊維(Y)およびPVA繊維のいずれか一方または両方を含む。
吸収層3を構成する原料繊維においては、生分解性の観点から、熱融着性繊維(X)、セルロース繊維、高融点繊維(Y)及びPVA繊維の合計が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0053】
吸収層3の坪量は、60〜1300g/m
2であることが好ましく、80〜900g/m
2であることがより好ましく、100〜650g/m
2であることがさらに好ましい。
吸収層3の厚みは、4〜30mmであることが好ましく、6〜25mmであることがより好ましく、8〜20mmであることがさらに好ましい。
【0054】
なお、本明細書において、不織布の厚みおよび密度は、定圧厚さ測定器(PG−16、TECLOCK社製)を用い、5cm
2の測定子を使用し、8.5gf/cm
2荷重条件(該測定器の荷重7.0gf/cm
2に対して、さらに荷重をかけて8.5gf/cm
2に調整して測定。)により測定される値である。
【0055】
{吸収シート10の製造方法}
吸収シート10は、例えば、
メッシュ状無端ベルト上に透気性キャリアシートを配置し、該透気性キャリアシート上に、エアレイド方式のウェブ形成装置にて、第二の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第二のウェブを形成し、続いて、第一の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第一のウェブを形成することによりエアレイドウェブを得る工程(ウェブ形成工程)と、
得られたエアレイドウェブを加熱することにより、該エアレイドウェブに含まれる繊維を結合する工程(繊維結合工程)と、を有する製造方法により製造できる。
【0056】
エアレイド方式のウェブ形成装置は、一般的に、原料繊維を空気中で均一に混合するための吸気流を吐出するノズルと、メッシュ状無端ベルトの下側に配置されたサクションボックスを備えており、吸気流が、メッシュ状無端ベルトを通過してサクションボックスに吸引されるようになっている。このウェブ形成装置に原料繊維を供給すると、吸気流により原料繊維が混合されつつメッシュ状無端ベルト上に落下し、メッシュ状無端ベルト上に繰り出された透気性キャリアシート上に堆積し、エアレイドウェブが形成される。
透気性キャリアシートとしては、吸気流が通過可能で、かつエアレイドウェブを保持できるものであれば特に限定されない。
【0057】
第一の原料繊維、第二の原料繊維としてはそれぞれ、前記で挙げたものを用いる。
各原料繊維を構成する繊維の種類と配合量、第一の原料繊維と第二の原料繊維との比率等を調整することで、形成される第一領域1や第二領域2、吸収層3の性能を調整できる。
例えば、第一領域1を形成する第一の原材料繊維として、潜在捲縮合成繊維や高融点繊維(Y)を高配合する、あるいは熱融着性繊維(X)の繊維径を太くすることで、形成される第一領域1内における原料繊維間の結着点は減少し、空隙が大きくなるため、風合い、肌触りに優れた吸収シートが得られる。また、熱融着性繊維(x2)における樹脂(A)と樹脂(B)との質量比(例えば芯鞘型構造における芯鞘複合比)を下げることでも同様の効果が得られる。
逆に、吸収対象物が高粘度の液体、もしくは半固体であった場合、熱融着性繊維(X)を高配合する、あるいは繊維径を細くすることで、第一領域1の保型性が向上し、吸収対象物の通過性に優れる吸収シートを得ることができる。
【0058】
形成されたエアレイドウェブの熱処理は、一般的なサーマルボンド法により実施でき、例えば、エアレイドウェブを加熱炉に導入する方法、エアレイドウェブを熱風処理する方法等が挙げられる。
熱風処理としては、ウェブが、周面に通気性を有する回転ドラムを備えたスルーエアードライヤを通過することにより熱処理される方法(熱風循環ロータリードラム方式)や、ウェブが、熱風をウェブに貫通させることのできるボックスタイプドライヤを通過することにより熱処理される方法(熱風循環コンベアオーブン方式)などが挙げられる。
なお、熱風処理によるサーマルボンド法は、エアスルー法あるいはスルーエア法などと呼称されることがある。
熱処理温度は、エアレイドウェブに含まれる樹脂(A)(熱融着性繊維(X)に含まれる樹脂(A))の融点以上であればよい。樹脂(A)の融点以上の温度に加熱すると、樹脂(A)が溶融し、溶融した樹脂(A)を介して繊維同士が結合する。ただし原料繊維として繊維(x2)や高融点繊維(Y)を含む場合は、それらの繊維に含まれる樹脂(B)の融点未満の温度とする。
エアレイドウェブが潜在捲縮合成繊維を含む場合、繊維結合工程での熱処理は、該潜在捲縮合成繊維の捲縮を顕在化させるための熱処理を兼ねてもよい。
また、繊維結合工程の前後に、潜在捲縮合成繊維の捲縮を顕在化させるための熱処理を行う工程を別途設けてもよい。
【0059】
繊維結合工程の後、形成された不織布の密度を微調整する目的などで、熱プレス処理を行ってもよい。その場合のプレス圧は、例えば5kg/cm
2以下、好ましくは1kg/cm
2以下の低圧とされ、繊維同士を結合させる繊維結合工程として一般に行われる熱プレス処理よりも小さい圧力で行われる。
【0060】
上記のようにして得られた不織布から透気性キャリアシートを剥離することで、吸収層3からなる吸収シート10が得られる。
なお、透気性キャリアシートは、剥離せずそのまま残してもよい。剥離せずにそのまま残す場合は、透気性キャリアシートとして、生分解性を有するものを用いることが好ましい。このようなシートとしては、例えばティッシュペーパーが挙げられる。
【0061】
なお、ここでは原料繊維として、まず第二の原料繊維を供給し、続いて第一の原料繊維を供給する例を示したが、逆に、まず第一の原料繊維を供給し、続いて第二の原料繊維を供給してもよい。
つまり、メッシュ状無端ベルト上に透気性キャリアシートを配置し、該透気性キャリアシート上に、エアレイド方式のウェブ形成装置にて、第一の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第一のウェブを形成し、続いて、第二の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第二のウェブを形成することによりエアレイドウェブを得る工程と、
得られたエアレイドウェブを加熱することにより、該エアレイドウェブに含まれる繊維を結合する工程と、を有する製造方法により吸収層3を得てもよい。
ただし、第二の原料繊維を先に供給する方が好ましい。通常、吸収対象物の保液性を持たせる第二の原料繊維の方が、坪量が高く、吸収対象物を透過させる第一の原料の方が密度が低い傾向にある。そのため、第二の原料繊維を先に供給する方が、第一の原料繊維と第二の原料繊維とが混ざりにくく、第一領域1、第二領域2それぞれの機能が充分に発揮されやすい。
【0062】
<第二の実施形態>
図2は、本発明の第二の実施形態の吸収シート20の構成を説明する概略縦断面図である。なお、以下に記載する実施形態において、上述した第一の実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
吸収シート20は、吸収層3の第一領域1側の表面に、透液性の表面層4が積層している以外は、吸収シート10と同様の構成である。
吸収シート20は、吸収層3の第一領域1側の表面にまず吸収対象物が接触するように用いられる。
本実施形態においては、表面層4の選択によって、風合い、肌触り、生分解性、水解性等を向上させることが可能である。また、吸収対象物の表面残渣も低減可能である。例えば第一領域1を構成する原料繊維よりも繊維長の長い原料繊維から形成された不織布を表面層4として設けると、短い原料繊維に起因するチクチク感を抑制でき、肌触りが向上する。
【0063】
表面層4としては、透液性を有するものであれば特に限定されないが、不織布が好ましい。
表面層4を構成する不織布(以下、不織布(D))を構成する原料繊維は、吸収シート10の生分解性を損なわないものが好ましく、例えば前記熱融着性繊維(X)、高融点繊維(Y)、PVA繊維、セルロース繊維等が挙げられる。
【0064】
不織布(D)は、どのようなウェブ形成工程と繊維結合工程とを経て製造されたものでも使用できるが、肌触りの点から、エアレイド法以外のウェブ形成工程を経たものが好ましく、ウェブ形成工程として、肌触りのよいウェブが得られるカーディング法などを採用してウェブを形成し、ついで、このウェブに対し、繊維結合工程として、レジンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、サーマルボンド法のいずれかを採用した不織布が好ましい。なかでも、繊維結合工程にレジンボンド法を採用したレジンボンド不織布又はニードルパンチ法を採用したニードルパンチ不織布が好ましく、レジンボンド不織布が特に好ましい。
【0065】
レジンボンド不織布としては、水解性、生分解性に優れることから、熱融着性繊維(X)および高融点繊維(Y)から選ばれる少なくとも1種を、液状のPVAを練り込ませて結合させたものが好ましい。
ニードルパンチ不織布としては、水解性、生分解性に優れることから、PVA繊維を含む原料繊維を機械的に絡めたものが好ましい。このニードルパンチ不織布を構成する原料繊維はPVA繊維のみであってもよく、他の繊維を含有してもよい。該他の繊維としては、上記で例示した各種繊維が使用できる。
【0066】
不織布(D)は、開口率が30〜80%であることが好ましい。このような開口率の不織布であれば、吸収層3の吸収性を妨げることなく風合い、肌触り等を向上させることができる。不織布(D)の開口数は6000〜100000(個/m
2)が好ましく、開口面積は3〜50(mm
2/個)が好ましく、5〜50(mm
2/個)がより好ましい。
ここで、開口率(%)は、不織布に形成されている開口部の数(開口数(個/m
2))と開口面積(mm
2/個)とから、一定面積中に占める全開口部の合計面積の割合を百分率で求めたものである。開口数(個/m
2)とは、例えばキーエンス社製デジタルマイクロスコープにて、不織布の表面を観察し、所定領域内に形成されている開口部の数を目視で数え、不織布1m
2あたりの数に換算したものである。また、開口面積(mm
2/個)とは、例えばキーエンス社製デジタルマイクロスコープにて、不織布の表面を観察し、所定領域内に形成されている各開口部の面積を計測し、計測された面積の平均値である。
開口率は、例えば繊維結合工程で、ネット(金網など)上に配されたウェブに対してノズルから高圧水流を噴射して繊維同士を絡めるスパンレース法を採用する場合、水流の圧力、ネットのメッシュサイズなどを変更することにより調整できる。ニードルパンチ法(刺のあるニードルをウェブに突き刺して機械的に繊維を絡める繊維結合工程。)やサーマルボンド法を採用した場合には、パンチングにより開口部を形成するなどの後処理により、得られる不織布の開口率を調整できる。
【0067】
不織布(D)の密度としては、0.020〜0.50g/cm
3が好ましい。また、厚さは0.1〜2.0mm、坪量(米坪)は20〜100g/m
2であることが好ましい。このような範囲であれば、不織布(A)からなる吸収層の吸収性を妨げることなく、肌触りを向上させることができる。
【0068】
不織布(D)には、穴開け加工が施されていてもよい。
穴開け加工により物理的空隙が形成され、この空隙により、固形分を含む吸収対象物の透過性が向上する。
【0069】
{吸収シート20の製造方法}
吸収シート20は、例えば、
メッシュ状無端ベルト上に透気性キャリアシートを配置し、該透気性キャリアシート上に、エアレイド方式のウェブ形成装置にて、第二の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第二のウェブを形成し、続いて、第一の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第一のウェブを形成することによりエアレイドウェブを得る工程(ウェブ形成工程)と、
得られたエアレイドウェブ(吸収層3)の第一のウェブ側(第一領域1側)の表面に表面層4を積層する工程(積層工程)と、
前記エアレイドウェブを加熱することにより、該エアレイドウェブに含まれる繊維を結合する工程(繊維結合工程)
を有する製造方法により製造できる。
【0070】
ウェブ形成工程及び繊維結合工程は、それぞれ、前記吸収シート10の製造方法で説明したウェブ形成工程及び繊維結合工程と同様に実施できる。
表面層4を積層する方法としては、熱融着することにより接着作用を発揮する接着物質(例えば樹脂(A)の粉体など)を用い、これにより吸収層3と表面層4とを接着する方法(接着剤の使用量は、例えば3〜15g/m
2。)がある。この際、吸収層3と表面層4との周縁部だけを接着してもよい。あるいは接着物質を使用せず、吸収層3に含まれる熱融着性繊維(X)の熱融着性を利用して、これらの全面または周縁部のみを熱融着により接合してもよい。さらには、表面層4(例えば前記不織布(D))を袋状に形成し、その中に吸収層3を挿入する方法、吸収層3と表面層4の周縁部を折り返す方法などで、これらを接着せずに一体化してもよい。
【0071】
また、吸収シート20の製造方法として、上述のように、接着物質を使用したり、熱融着性を利用したり、あるいは、接着せずに一体化する方法を採用したりして吸収層3に表面層4を積層する方法のほか、例えば、吸収層3を製造しつつ、その少なくとも一方の面に表面層4を設ける方法も挙げられる。
具体的には、
メッシュ状無端ベルト上に表面層4を配置し、該表面層4上に、エアレイド方式のウェブ形成装置にて、第一の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第一のウェブを形成し、続いて、第二の原料繊維を空気中で混合しつつ堆積させて第二のウェブを形成することによりエアレイドウェブを得る工程(ウェブ形成工程)と、
得られたエアレイドウェブを、該エアレイドウェブに含まれる前記樹脂(A)の融点以上の温度に加熱する工程(繊維結合工程)と、
を有する製造方法により吸収シート20を製造することができる。
この方法は、透気性キャリアシートとして表面層4を用い、ウェブ形成工程にて、原料繊維として、まず第一の原料繊維を供給し、続いて第二の原料繊維を供給する以外は、前記吸収シート10の製造方法で説明したのと同様にして実施できる。
【0072】
以上、第一の実施形態〜第二の実施形態を説明したが本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
第一領域1、第二領域2それぞれ1つ存在する例を示したが、第一領域1を構成する第一のウェブが、繊維の種類や組成、繊維長、繊維径のいずれかが異なる複数種の第一の原料繊維を順次堆積させたものであってもよい。同様に、第二領域2を構成する第二のウェブが、繊維の種類や組成、繊維長、繊維径のいずれかが異なる複数種の第二の原料繊維を順次堆積させたものであってもよい。
たとえば、原料繊維中の熱融着性繊維(X)の比率を低くすると、保形性、透過性は低下するが、風合い、肌触りが良くなる傾向がある。そのため、第一領域1の外側(吸収層3の表面となる側)を構成する原料繊維中の熱融着性繊維(X)の比率を低め(例えば5〜10質量%)にし、第一領域1の内側(第二領域2側)を構成する原料繊維中の熱融着性繊維(X)の比率を高め(例えば20〜50質量%)にすると、外側表面の風合いや肌触りが良く、かつ保形性、透過性の良好な第一領域1が得られる。
吸収シートは、吸収層3および表面層4以外の他の層を有していてもよい。
【0073】
本発明の吸収シートは、高粘度の吸収対象物であっても、迅速に透過し、表面下に吸収し得る透過性と、吸収した吸収対象物に含まれる液体を充分に保持し得る保液性とを兼ね備えている。
また、本発明の吸収シートは、吸収層が水解性を有しており、廃棄しやすい利点もある。例えば使用後、水洗トイレット等にそのまま廃棄できる。また、生分解性を有するため、土に埋めて廃棄できる。
したがって、本発明の吸収シートは、水や有機溶剤、インク、油、それらに他の成分が溶解した溶液やゲル、それらと固形分とが混在するものなど、多様な吸収対象物に適用でき、既存の種々の吸収性物品として、又は吸収性物品のトップシート(吸収対象物が接する面を構成するシート)として有用である。
本発明の吸収シートは、吸収層の第一の原料繊維で構成される側(第一領域1側)の表面が、第二の原料繊維で構成される側(第二領域2側)の表面よりも先に吸収対象物と接触するように用いられる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の各例で使用した原料繊維は以下のとおりである。
[熱融着性繊維]
PBS/PLA3.3dt:ポリブチレンサクシネート(PBS)を鞘、ポリ乳酸(PLA)を芯とする同芯芯鞘型構造の合成繊維(繊維径3.3dtex、繊維長5mm、芯鞘複合比=5/5)。ダイワボウポリテック製NBF(KK)−PL 3.3dt。
PBS/PLA17dt:PBSを鞘、PLAを芯とする同芯芯鞘型構造の合成繊維(繊維径17dtex、繊維長5mm、芯鞘複合比=5/5)。ダイワボウポリテック製NBF(KK)−PL 17dt。
PBS/PLA3.3dt:ポリブチレンサクシネート(PBS)を鞘、ポリ乳酸(PLA)を芯とする偏芯芯鞘型構造の合成繊維(繊維径3.3dtex、繊維長5mm、芯鞘複合比=6/4)。ダイワボウポリテック製NBF(KK)PLV(6/4) 3.3dt。
PBS/PLA17dt:PBSを鞘、PLAを芯とする偏芯芯鞘型構造の合成繊維(繊維径17dtex、繊維長5mm、芯鞘複合比=6/4)。ダイワボウポリテック製NBF(KK)PLV(6/4) 17dt。
PBS/PLA11dt:PBSを鞘、PLAを芯とする同芯芯鞘型構造の合成繊維(繊維径11dtex、繊維長5mm、芯鞘複合比=5/5)。日本エステル(株)製S−118。
【0075】
[高融点繊維]
PLA11dt:PLA繊維(繊維径11dtex、繊維長5mm)。日本エステル(株)製PL01。
[PVA繊維]
PVA2.2dt:PVA繊維(繊維径2.2dtex、繊維長5mm)。(株)クラレ製WN2×6。
[セルロース繊維]
パルプ:針葉樹クラフト漂白パルプ。
【0076】
<試験例1>
図1に示す吸収シート10と同様の構成の吸収シート(No.1−1〜1−8、2−1〜2−14、3−1〜3−4)を以下の手順で製造した。
コンベアに装着されて走行するメッシュ状無端ベルト上にティッシュペーパーを繰り出しつつ、エアレイド法のウェブフォーミング機に、パルプおよび熱融着性繊維PBS/PLA3.3dtを、表1〜4の第二領域欄に示す質量比で、第二領域の坪量が表1〜4に示す値となるように供給し、空気中で均一に混合しつつメッシュ状無端ベルト上に吸気流とともに下降させて落下堆積させることにより、ティッシュペーパー上に第二のウェブを形成した。引き続き、熱融着性繊維PBS/PLA17dt、PLA11dtおよびPVA繊維を、第一領域の坪量が表1〜4に示す値となるように供給し、空気中で均一に混合しつつメッシュ状無端ベルト上に吸気流とともに下降させて落下堆積させることにより、第二のウェブ上に第一のウェブを形成してエアレイドウェブを得た。
次いで、このエアレイドウェブを、熱風をウェブに貫通させることのできるボックスタイプドライヤ(熱風循環コンベアオーブン)を通過させて熱風処理して不織布(吸収層)とした。熱風処理温度(熱風循環コンベアオーブン温度)は、145℃とした。その後、吸収層からティッシュペーパーを剥がし取り、吸収層からなる吸収シートを得た。
【0077】
得られた吸収シートのトータルの坪量(g/m
2)を表1〜4に示す。
また、吸収シートのトータルの厚さ(mm)、第一領域、第二領域それぞれの厚さ(mm)を以下の手順で測定した。第一領域、第二領域それぞれの厚さと坪量から、各領域の密度(g/cm
3)を算出した。結果を表1〜4に示す。
また、各例の吸収シートについて、吸収性を評価するため、以下の手順で水平吸水量(g/m
2)を測定した。また、下記手順によって各吸収シートの水解性を評価した。結果を表1〜4に示す。
【0078】
<吸収シート、第一領域および第二領域の厚さの測定>
吸収シートの断面を観察し、スケールを当てて第一領域、第二領域および吸収シート全体の厚さを測定した。断面各層の厚さの合計は吸収シートの全体の厚さに等しい。
【0079】
<水平吸水量の測定>
10×10cmのサンプルを0.9%生理食塩水に10分間浸漬し、1分間網上げ後に吸水量を測定した。
[水平吸水量(g/m
2)]=(吸水、網上げ後サンプル質量(g)−吸水前サンプル質量(g))×100
【0080】
<水解性の評価>
3×3cmのサンプル、および水300mlを入れた300mlビーカーをマグネティックスターラーに載せ、直径35mm、厚さ12mmの円盤状回転子を用いて、回転数800rpmで3分攪拌し、攪拌前後のサンプルの崩壊状態を確認した(JIS P 4501 トイレットペーパー ほぐれやすさ試験方法参考)。
サンプルが崩壊してほぼ水解しているものを◎、ほとんど崩壊して原型を留めていないものを○、崩壊しているが、わずかに形状が残存しているものを△、一部崩壊しているものの、原型が残存しているものを×として評価した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
上記結果に示すとおり、試料No.2−1〜2−14、3−1〜3−4の吸収シートは、優れた吸収性能を有し、かつ水解性を有していた。第一領域が、PVA繊維を熱融着性繊維(X)の含有量に対して50質量%以上含有する試料No.2−8、2−9、2−13、2−14、3−1〜3−4の吸収シートの水解性が特に優れていた。
一方、試料No.1−1〜1−8の吸収シートはいずれも水解性が悪く、特に1−7、1−8は吸収性能も低かった。