特許第5983213号(P5983213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983213
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】超臨界蒸気複合サイクル
(51)【国際特許分類】
   F01K 7/32 20060101AFI20160818BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F01K7/32
   F01K23/10 A
   F01K23/10 T
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-198109(P2012-198109)
(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-51944(P2014-51944A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100516
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 惠
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 修一
(72)【発明者】
【氏名】長崎 芳樹
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−092372(JP,A)
【文献】 特開2000−154704(JP,A)
【文献】 特開平05−179992(JP,A)
【文献】 特開平11−200883(JP,A)
【文献】 特開平11−093619(JP,A)
【文献】 特開2002−147205(JP,A)
【文献】 米国特許第06220013(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K1/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機からの圧縮空気と燃料とを入力し燃料を燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器の燃焼ガスで駆動されるガスタービンと、
前記ガスタービンの排ガスで超臨界流体である蒸気を発生させる超臨界排熱回収ボイラと、
前記超臨界排熱回収ボイラで発生した超臨界流体である蒸気で駆動される高圧タービンと、
前記高圧タービンで仕事を終え前記ガスタービン及び前記燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱された再熱蒸気で駆動される中圧タービンと、
前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気で駆動される低圧タービンとを備え、
前記再熱蒸気は、前記中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たす蒸気であることを特徴とする超臨界蒸気複合サイクル。
【請求項2】
前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気を、前記空気圧縮機、前記ガスタービン、前記燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱蒸気で前記低圧タービンを駆動することを特徴とする請求項1記載の超臨界蒸気複合サイクル。
【請求項3】
空気圧縮機からの圧縮空気と燃料とを入力し燃料を燃焼させる第1段燃焼器と、
前記第1段燃焼器の燃焼ガスで駆動される第1段ガスタービンと、
前記第1段ガスタービンの排ガスと燃料とを入力し燃料を燃焼させる第2段燃焼器と、
前記第2段燃焼器の燃焼ガスで駆動される第2段ガスタービンと、
前記第2段ガスタービンの排ガスで超臨界流体である蒸気を発生させる超臨界排熱回収ボイラと、
前記超臨界排熱回収ボイラで発生した超臨界流体である蒸気で駆動される高圧タービンと、
前記高圧タービンで仕事を終え、前記第1段ガスタービン、前記第2段ガスタービン、前記第1段燃焼器、前記第2段燃焼器の少なくともいずれか一つにより再熱された再熱蒸気で駆動される中圧タービンと、
前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気で駆動される低圧タービンとを備え、
前記再熱蒸気は、前記中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たす蒸気であることを特徴とする超臨界蒸気複合サイクル。
【請求項4】
前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気を、前記空気圧縮機、前記第1段ガスタービン、前記第2段ガスタービン、前記第1段燃焼器、前記第2段燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱された再熱蒸気で前記低圧タービンを駆動することを特徴とする請求項3記載の超臨界蒸気複合サイクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインドサイクル発電プラントの排熱回収ボイラとして超臨界排熱回収ボイラを用いた超臨界蒸気複合サイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンの排ガスを排熱回収ボイラに導き、排熱回収ボイラで得られた蒸気を蒸気タービンに導いて発電機を駆動し発電する発電プラントである。これにより、高効率の発電プラントを実現している。
【0003】
さらに、コンバインドサイクル発電プラントの排熱回収ボイラとして超臨界排熱回収ボイラを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。超臨界排熱回収ボイラを用いると蒸気サイクルの効率が向上し、コンバインドサイクル発電プラント全体の熱効率も向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−092372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、超臨界排熱回収ボイラを用いる場合には、ガスタービンの排ガス温度を高くする必要があり、特許文献1のものでは、高温部(過熱器、再熱器)での最適化が必ずしもなされていない。例えば、タービン入口が超臨界圧以上の場合、タービン出口でも湿らない良い蒸気条件にするには、ガスタービン排ガス温度は約700℃必要であり、蒸気を再熱しようとする場合には、ガスタービンの排ガス温度はさらに高くしなければならない。
【0006】
図22は、温度とエンタルピーとの関係図である。Tgは超臨界排熱回収ボイラに供給される排ガスの温度、Tcは臨界温度、Aは水の気相液相境界線、S1は例えば圧力が30MPaのときの過熱器の流体温度、P1はピンチポイントである。
【0007】
超臨界排熱回収ボイラに過熱器を設置する場合、ピンチポイントP1を上回る排ガス温度が必要である。また、高圧タービン入口において超臨界圧力以上かつ高圧タービン出口でも湿らない蒸気条件にするには、過熱器出口の蒸気のエンタルピーはHa以上とすることが必要である。そのためには排ガス温度Taは約700℃でなければならない(P2点)。
【0008】
一方、過熱器に加え再熱器を設置する場合について説明する。S2は再熱器の蒸気温度である。この再熱器の蒸気圧力は、タービンを通過しているため減圧されているので、例えば、7MPa程度である。すなわち、S2は圧力が7MPaのときの再熱器の蒸気温度を示している。Tzは再熱器の蒸気温度の初期値である。また、再熱器の蒸気のエンタルピの初期値Hzは、過熱器出口のエンタルピーHaよりも低い値になるが、その場合、排ガスとの熱交換線図が重なるので、それを避けるために、Hzは過熱器出口のエンタルピーHaと同じ値とした。
【0009】
再熱器を出て中圧タービンに導かれた蒸気が中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たすようにするためには、再熱器出口の蒸気のエンタルピーはHb以上とすることが必要である。そのためには排ガス温度Tbは800℃以上でなければならない(P3点)。
【0010】
このように、超臨界排熱回収ボイラにおいては、ガスタービンの排ガス温度を高くしないと再熱ができない。現状ではガスタービンの排ガス温度は700℃程度であるので、超臨界排熱回収ボイラで再熱することは難しい。一方、蒸気サイクルの効率を向上させるためには再熱をすることが望ましい。
【0011】
本発明は、超臨界排熱回収ボイラに供給されるガスタービンの排ガスの温度を上昇させることなく蒸気サイクルへの再熱を可能にした超臨界蒸気複合サイクルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明に係る超臨界蒸気複合サイクルは、空気圧縮機からの圧縮空気と燃料とを入力し燃料を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器の燃焼ガスで駆動されるガスタービンと、前記ガスタービンの排ガスで超臨界流体である蒸気を発生させる超臨界排熱回収ボイラと、前記超臨界排熱回収ボイラで発生した超臨界流体である蒸気で駆動される高圧タービンと、前記高圧タービンで仕事を終え前記ガスタービン及び前記燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱された再熱蒸気で駆動される中圧タービンと、前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気で駆動される低圧タービンとを備え、前記再熱蒸気は、前記中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たす蒸気であることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係る超臨界蒸気複合サイクルは、請求項1の発明において、前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気を、前記空気圧縮機、前記ガスタービン、前記燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱蒸気で前記低圧タービンを駆動することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明に係る超臨界蒸気複合サイクルは、空気圧縮機からの圧縮空気と燃料とを入力し燃料を燃焼させる第1段燃焼器と、前記第1段燃焼器の燃焼ガスで駆動される第1段ガスタービンと、前記第1段ガスタービンの排ガスと燃料とを入力し燃料を燃焼させる第2段燃焼器と、前記第2段燃焼器の燃焼ガスで駆動される第2段ガスタービンと、前記第2段ガスタービンの排ガスで超臨界流体である蒸気を発生させる超臨界排熱回収ボイラと、前記超臨界排熱回収ボイラで発生した超臨界流体である蒸気で駆動される高圧タービンと、前記高圧タービンで仕事を終え、前記第1段ガスタービン、前記第2段ガスタービン、前記第1段燃焼器、前記第2段燃焼器の少なくともいずれか一つにより再熱された再熱蒸気で駆動される中圧タービンと、前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気で駆動される低圧タービンとを備え、前記再熱蒸気は、前記中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たす蒸気であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明に係る超臨界蒸気複合サイクルは、請求項3の発明において、前記中圧タービンで仕事を終えた蒸気を、前記空気圧縮機、前記第1段ガスタービン、前記第2段ガスタービン、前記第1段燃焼器、前記第2段燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱された再熱蒸気で前記低圧タービンを駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、超臨界排熱回収ボイラで発生した超臨界流体である蒸気で高圧タービンを駆動し、高圧タービンで仕事を終えた蒸気をガスタービンや燃焼器で再熱して中圧タービンを駆動するので、再熱管は、高圧タービンとガスタービンや燃焼器との間、ガスタービンや燃焼器と中圧タービンとの間の短い距離でよいため、配管圧力損失の低減、配管熱損失の低減を実現できる。しかも、再熱蒸気は、中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たす蒸気とするので、超臨界排熱回収ボイラに供給される排ガスの温度を上昇させることなく蒸気タービンへの再熱を実現できる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、中圧タービンで仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機、ガスタービン、燃焼器の少なくともいずれか一つで再熱して、低圧タービンを駆動するので、効率の高いコンバインドサイクル発電プラントとすることができ、省エネルギーが可能となる。
【0018】
請求項3の発明によれば、超臨界排熱回収ボイラで発生した超臨界流体である蒸気で高圧タービンを駆動し、高圧タービンで仕事を終えた蒸気を、第1段ガスタービン、第2段ガスタービン、第1段燃焼器、第2段燃焼器の少なくともいずれか一つにより再熱して、中圧タービンを駆動するので、再熱管は、高圧タービンと、第1段ガスタービン、第2段ガスタービン、第1段燃焼器、第2段燃焼器との間、第1段ガスタービン、第2段ガスタービン、第1段燃焼器、第2段燃焼器と中圧タービンとの間の短い距離でよく、しかも、再熱蒸気は、中圧タービン出口でも湿らない蒸気条件を満たす蒸気とするので、超臨界排熱回収ボイラに供給される排ガスの温度を上昇させることなく蒸気タービンへの再熱を実現できる。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、中圧タービンで仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機、前記第1段ガスタービン、前記第2段ガスタービン、第1段燃焼器、第2段燃焼器の少なくともいずれか一つでして、低圧タービンを駆動するので、効率の高いコンバインドサイクル発電プラントとすることができ、省エネルギーが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1の実施例1aに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図2】本発明の実施形態1の実施例2aに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図3】本発明の実施形態1の実施例3aに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図4】本発明の実施形態2の実施例1bに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図5】本発明の実施形態2の実施例2bに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図6】本発明の実施形態2の実施例3bに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図7】本発明の実施形態2の実施例4bに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図8】本発明の実施形態2の実施例5bに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図9】本発明の実施形態3の実施例1cに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図10】本発明の実施形態3の実施例2cに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図11】本発明の実施形態3の実施例3cに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図12】本発明の実施形態3の実施例4cに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図13】本発明の実施形態3の実施例5cに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図14】本発明の実施形態4の実施例1dに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図15】本発明の実施形態4の実施例2dに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図16】本発明の実施形態4の実施例3dに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図17】本発明の実施形態4の実施例4dに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図18】本発明の実施形態4の実施例5dに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図19】本発明の実施形態5の実施例1eに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図20】本発明の実施形態5の実施例2eに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図21】本発明の実施形態5の実施例3eに係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図。
図22】超臨界排熱回収ボイラにおける各種温度とエンタルピーとの関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は本発明の実施形態1に係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図であり、実施例1a乃至実施例3aの超臨界蒸気複合サイクルの一例をそれぞれ示している。
【0022】
図1において、超臨界蒸気複合サイクルは、ガスタービン設備と蒸気タービン設備とを有し、ガスタービン設備のガスタービン11の排ガスを超臨界排熱回収ボイラ12に導き、超臨界排熱回収ボイラ12で得られた蒸気を蒸気タービン設備の高圧タービン13に導いて発電機14を駆動し発電する発電プラントである。
【0023】
ガスタービン設備は、ガスタービン11、燃焼器15、空気圧縮機16とからなり、燃焼器15は、空気圧縮機16からの圧縮空気と燃料とを入力し燃料を燃焼させる。燃焼器15の燃焼ガスはガスタービン11に供給されガスタービン11を駆動する。
【0024】
ガスタービン11で仕事を終えた排ガスは、超臨界排熱回収ボイラ12に供給され、ガスタービン11の排ガスで超臨界流体である蒸気を発生させる。超臨界排熱回収ボイラ12で発生した超臨界流体である蒸気は、高圧タービン13に蒸気として導かれ、高圧タービン13を駆動する。高圧タービン13で仕事を終えた蒸気はガスタービン11に導かれ、ガスタービン11で再熱される。例えば、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気はガスタービン翼の冷却用蒸気としてガスタービン11に導かれる。
【0025】
ガスタービン11で再熱された再熱蒸気は中圧タービン17に導かれ、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気は低圧タービン18に導かれて低圧タービン18を駆動する。低圧タービン18で仕事を終えた蒸気は復水器19で水に戻され、給水ポンプ20により超臨界排熱回収ボイラ12に供給される。超臨界排熱回収ボイラ12では、ガスタービン11で仕事を終えた排ガスにより水を超臨界流体である蒸気にする。
【0026】
このように、超臨界排熱回収ボイラ12で発生した超臨界流体である蒸気で高圧タービン13を駆動するので、高圧タービン13の効率が向上する。また、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気をガスタービン11で再熱して、その再熱蒸気で中圧タービン13を駆動するので、蒸気タービン全体としての効率も向上する。
【0027】
高圧タービン13で仕事を終えた蒸気は超臨界排熱回収ボイラ12ではなく、ガスタービン11で再熱するので再熱管は短くて済む。すなわち、高圧タービン13とガスタービン11との間の距離、ガスタービン11と中圧タービン17との間の距離は、高圧タービン13と超臨界排熱回収ボイラ12との間の距離、超臨界排熱回収ボイラ12と中圧タービン17との間の距離より短いので、超臨界排熱回収ボイラ12に導いて再熱するより、再熱管は短くて済む。
【0028】
しかも、超臨界排熱回収ボイラ12で再熱せずにガスタービン11で再熱するので、再熱のために、超臨界排熱回収ボイラ12に供給される排ガスの温度を上昇させる必要がなく、蒸気タービンへの再熱を実現できる。また、超臨界排熱回収ボイラ12とすることにより、超臨界排熱回収ボイラ12の高温部における排ガス温度と、高圧タービン13に供給する蒸気温度との温度差を抑えられるので効率運用が可能である。図2に示すように、図1のガスタービン11の代わりに燃焼器15によって蒸気の再熱を行っても同様の効果を奏す。
【0029】
以上の説明では、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気をガスタービン11または燃焼器15に導き、ガスタービン11または燃焼器15で再熱する場合について説明したが、図3に示すように、ガスタービン11及び燃焼器15の双方に導き再熱するようにしてもよい。高圧タービン13で仕事を終えた蒸気は、ガスタービン11及び燃焼器15に導かれ、ガスタービン11及び燃焼器15の双方で再熱される。燃焼器15でも再熱されるので、ガスタービン11の蒸気冷却による熱量が不足する場合に有効となる。
【0030】
図4乃至図8は、本発明の実施形態2に係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図であり、実施例1b乃至実施例5bの超臨界蒸気複合サイクルの一例をそれぞれ示している。
【0031】
この実施形態2は、図1乃至図3に示した実施形態1に対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機16、ガスタービン11、燃焼器15の少なくともいずれか一つに導き、空気圧縮機16、ガスタービン11、燃焼器15の少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱された再熱蒸気で低圧タービン18を駆動するようにしたものである。図1乃至図3と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0032】
図4は、図1に対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を空気圧縮機16に導き、空気圧縮機16で再熱するようにしたものである。また、図5は、図2に対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気をガスタービン11に導き、ガスタービン11で再熱するようにしたものである。また、図6は、図1に対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を燃焼器15に導き、燃焼器15で再熱するようにしたものである。
【0033】
空気圧縮機16、ガスタービン11、燃焼器15の少なくともいずれか一つで再熱された再熱蒸気は低圧タービン18に導かれ、低圧タービン18を駆動する。これにより、さらに、蒸気タービンの効率を高めることができ省エネルギーが可能となる。
【0034】
また、図7に示すように、空気圧縮機16で再熱された再熱蒸気を燃焼器15に導いてさらなる再熱を行なっても良いし、図8に示すように、空気圧縮機16で再熱された再熱蒸気をガスタービン11に導いてさらなる再熱を行なっても良い。空気圧縮機16はガスタービン11、燃焼器15に比較して温度が低いので、さらに、ガスタービン11、燃焼器15に導き高い蒸気温度とする。これにより、蒸気サイクルの効率が向上する。
【0035】
図9乃至図13は、本発明の実施形態3に係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図であり、実施例1c乃至実施例5cの超臨界蒸気複合サイクルの一例をそれぞれ示している。
【0036】
この実施形態3は、図1乃至図3に示した実施形態1に対し、多段のガスタービン及び燃焼器を有した再熱サイクルのガスタービン設備に適用したものである。図1乃至図3と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0037】
図9は、図1に対し、2段のガスタービン及び燃焼器を有した再熱サイクルのガスタービン設備に適用したものである。図9に示すように、第1段燃焼器15aは空気圧縮機16からの圧縮空気と燃料とを入力し燃料を燃焼する。そして、第1段燃焼器15aの燃焼ガスは第1段ガスタービン11aに供給され第1段ガスタービン11aを駆動する。第1段ガスタービン11aの排ガスは第2段燃焼器15bに入力され、第2段燃焼器15bには燃料も入力される。第1段ガスタービン11aの排ガスは、燃料量と比較して空気リッチ(例えば完全燃焼に必要な量の3倍程度)であるので、第2段燃焼器15bにおいて燃料を燃焼させることができる。第2段燃焼器15bの燃焼ガスは第2段ガスタービン11bに供給され第2段ガスタービン11bを駆動する。第2段ガスタービン11bで仕事を終えた排ガスは、超臨界排熱回収ボイラ12に供給され、第2段ガスタービン11bからの排ガスで超臨界流体である蒸気を発生させる。
【0038】
そして、超臨界排熱回収ボイラ12で発生した超臨界流体である蒸気は、高圧タービン13に導かれ、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気は、第1段ガスタービン11aに導かれ、第1段ガスタービン11aで再熱されて、中圧タービン17に導かれる。
【0039】
このように、2段のガスタービン11a、11b及び2段の燃焼器15a、15bを有し、2段目の第2段燃焼器15bに1段目の第1段ガスタービン11aの排ガスを供給するようにしているので、NOXの制約が緩和されるため第2段燃焼器15bの燃焼温度をより高温にできる。従って、よりガスタービンの熱落差を大きくでき発電出力を大きくできる。
【0040】
以上の説明では、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気は、第1段ガスタービン11aに導くようにしたが、第2段ガスタービン11bに導くようにしてもよい。さらに、図10に示すように、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11bの双方に導くようにしてもよい。
【0041】
また、図11に示すように、第1段ガスタービン11aの代わりに、第1段燃焼器15aによって蒸気の再熱を行ってもよいし、第2段燃焼器15bに導くようにしてもよい。さらに、図12に示すように、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bの双方に導くようにしてもよい。
【0042】
また、図13に示すように、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11b、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bに、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を導き、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11b、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bにおいて再熱するようにしてもよい。
【0043】
図13に示すように、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気は、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11b、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bにも導かれ、2段のガスタービン11a、11b、2段の燃焼器15a、15bの双方で再熱される。2段のガスタービン11a、11b及び2段の燃焼器15a、15bの双方で再熱されるので、より再熱蒸気の熱量が大きくなり、蒸気サイクルの効率が向上する。このように、多段のガスタービン及び燃焼器を有した再熱サイクルのガスタービン設備に適用することによって、再熱蒸気の加熱熱量不足を解消できる。
【0044】
図14乃至図18は本発明の実施形態4に係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図であり、実施例1d乃至実施例5dの超臨界蒸気複合サイクルの一例をそれぞれ示している。この実施形態4は、図9乃至図13に示した実施形態3に対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機16、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11b、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bの少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱された再熱蒸気で低圧タービンを駆動するようにしたものである。図9乃至図13と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0045】
図14は、図10の実施例2cに対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を空気圧縮機16に導き、空気圧縮機16で再熱された再熱蒸気で低圧タービン18を駆動するようにしたものである。
【0046】
図15は、図12の実施例4cに対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を第1段ガスタービン11aに導き、第1段ガスタービン11aで再熱された再熱蒸気で低圧タービン18を駆動するようにしたものである。
【0047】
図16は、図10の実施例2cに対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を第1段燃焼器15aに導き、第1段燃焼器15aで再熱された再熱蒸気で低圧タービン18を駆動するようにしたものである。
【0048】
図17は、図10の実施例2cに対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機16、第1段燃焼器15a、第2段燃焼器15bに導き、空気圧縮機16、第1段燃焼器15a、第2段燃焼器15bで再熱された再熱蒸気で低圧タービン18を駆動するようにしたものである。
【0049】
図18は、図12の実施例4cに対し、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機16、第1段ガスタービン11a、第2段ガスタービン11bに導き、空気圧縮機16、第1段ガスタービン11a、第2段ガスタービン11bで再熱された再熱蒸気で低圧タービン18を駆動するようにしたものである。
【0050】
このように、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を、空気圧縮機16、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11b、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bの少なくともいずれか一つで再熱し、その再熱された再熱蒸気で低圧タービンを駆動するので、蒸気サイクルの効率を高めることができ省エネルギーが可能となる。
【0051】
また図10の実施例2cに対して、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を2段のガスタービン11a、11b、2段の燃焼器15a、15bの少なくともいずれか一つに導いて再熱を行ってもよい。蒸気サイクルにおいて二段再熱を行うことによって、さらに熱効率が向上する。
【0052】
図19乃至図21は本発明の実施形態5に係る超臨界蒸気複合サイクルの構成図であり、実施例1e乃至実施例3eの超臨界蒸気複合サイクルの一例をそれぞれ示している。
【0053】
この実施形態5は、図9乃至図13に示した実施形態3や、図14乃至図18に示した実施形態4に対し、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を、2段のガスタービン11a、11bや2段の燃焼器15a、15bに供給するにあたり、直列に供給するようにしたものである。図9乃至図13図14乃至図18と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0054】
図19は、図13に示した実施形態3の実施例5cに対し、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を2段のガスタービン11a、11b及び2段の燃焼器15a、15bに供給するにあたり、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11bに対して、並列に供給されることに代えて直列に供給し、同様に、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bに対しても並列に代えて直列に供給するようにしたものである。
【0055】
図20は、図14に示した実施形態4の実施例1dに対し、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を2段のガスタービン11a、11bに供給するにあたり、第1段ガスタービン11a及び第2段ガスタービン11bに対して、並列に供給することに代えて直列に供給するようにしたものである。
【0056】
図21は、図18に示した実施形態4の実施例5dに対し、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を2段の燃焼器15a、15bに供給するにあたり、第1段燃焼器15a及び第2段燃焼器15bに対して、並列に供給されることに代えて直列に供給するようにしたものである。この実施形態5の場合も、実施形態3、4と同様な効果が得られる。
【0057】
ここで、実施形態5では、実施形態3の実施例5c、実施形態4の実施例1d、実施形態4の実施例5dに対し、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を並列に代えて直列に供給し再熱する場合について説明したが、実施形態3、4のその他の実施例に対しても、同様に、高圧タービン13で仕事を終えた蒸気を並列に代えて直列に供給し再熱するようにしてもよい。
【0058】
また、実施形態5において、中圧タービン17で仕事を終えた蒸気を直列または並列に接続されたガスタービン11、燃焼器15、空気圧縮機16によって再熱し、低圧タービン18に供給してもよい。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
11…ガスタービン、12…超臨界排熱回収ボイラ、13…高圧タービン、14…発電機、15…燃焼器、16…空気圧縮機、17…中圧タービン、18…低圧タービン、19…復水器、20…給水ポンプ
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