(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タービンインペラを回転可能に支持する軸受ハウジングと、前記タービンインペラの周囲に固定して設けられた複数のノズルベーンと、前記複数のノズルベーンを介して前記タービンインペラに排気ガスを供給するスクロール流路が形成されたタービンハウジングと、を有する過給機であって、
前記タービンハウジングは、前記スクロール流路に流入する排気ガスと、前記スクロール流路を旋回した排気ガスとの間を仕切る舌部を有しており、
前記複数のノズルベーンのうち、前記舌部の延長上に位置するノズルベーンを含む一部のノズルベーンを、他のノズルベーンと独立して交換可能に取り付けるノズルベーン取付部を有し、
前記他のノズルベーンは、前記軸受ハウジング側に取り付けられており、
前記一部のノズルベーンは、前記ノズルベーン取付部によって、前記タービンハウジング側に取り付けられている、ことを特徴とする過給機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タービンハウジングの舌部の延長上に位置するノズルベーンの内面は、舌部により誘導されてくる燃焼残渣物やタービンインペラ側から跳ね返ってくる燃焼残渣物によって侵食(エロージョン)される。この対策として、従来技術では当該ノズルベーンに硬質膜コーティングを施しているが、この対策によっても舌部の延長上のノズルベーンは、他のノズルベーンと比べてエロージョンの進行が速い。
【0006】
このため、舌部の延長上のノズルベーンについては定期的なメンテナンスを行う必要があるが、舌部の延長上のノズルベーンは、リング部材に一体的に取り付けられ、他のノズルベーンと同一部品(ノズルリング部品)となっているため、舌部の延長上のノズルベーンだけでなく侵食されていない他のノズルベーンについても同時に交換する必要があり、ノズルリング部品全体としての寿命が短くなってしまっていた。したがって、侵食されたノズルベーンを適切にメンテナンスできる過給機が求められている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、侵食されたノズルベーンを適切にメンテナンスできる過給機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、タービンインペラを回転可能に支持する軸受ハウジングと、前記タービンインペラの周囲に固定して設けられた複数のノズルベーンと、前記複数のノズルベーンを介して前記タービンインペラに排気ガスを供給するスクロール流路が形成されたタービンハウジングと、を有する過給機であって、前記タービンハウジングは、前記スクロール流路に流入する排気ガスと、前記スクロール流路を旋回した排気ガスとの間を仕切る舌部を有しており、前記複数のノズルベーンのうち、前記舌部の延長上に位置するノズルベーンを含む一部のノズルベーンを、他のノズルベーンと独立して交換可能に取り付けるノズルベーン取付部を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、タービンハウジングの舌部の延長上に位置しエロージョンの進行が速いノズルベーンを含む一部のノズルベーンを独立して交換できるため、他のノズルベーンを含んだ部品全体を交換することなく、必要部分の部分的な交換が可能となる。このため、ノズルリング部品全体では寿命を延ばすことができ、また、必要部分の交換で足りるため、メンテナンス作業が容易になり、交換コストを低く抑えることができる。
【0009】
また、本発明においては、前記他のノズルベーンは、前記軸受ハウジング側に取り付けられており、前記一部のノズルベーンは、前記ノズルベーン取付部によって、前記タービンハウジング側に取り付けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、交換対象となる一部のノズルベーンがタービンハウジング側に取り付けられているため、タービンハウジングを取り外すだけで一部のノズルベーンを他のノズルベーンとは独立して取り外すことができるため、交換のための分解の工数が少なくなりメンテナンス作業が容易になる。
【0010】
また、本発明においては、前記一部のノズルベーンは、前記軸受ハウジング側に突出する位置決めピンを有し、前記軸受ハウジング側は、前記位置決めピンが挿入される位置決め穴を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、交換対象となる一部のノズルベーンをタービンハウジング側に取り付けた場合であっても、位置決めピン及び位置決め穴によって、軸受ハウジング側に取り付けられた他のノズルベーンとの位置関係を維持できるため、ノズル間流路を一定にして過給機の性能を保つことができる。また、当該一部のノズルベーンがタービンハウジング側だけでなく軸受ハウジング側においても保持されるため、当該一部のノズルベーンのタービンインペラ側への脱落を確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記他のノズルベーンは、前記軸受ハウジング側に取り付けられたリング部材に一体となって取り付けられており、前記位置決め穴は、前記リング部材に形成されている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、位置決め穴が他のノズルベーンが一体となって取り付けられているリング部材に形成されているため、当該位置決め穴に位置決めピンを挿入することで、一部のノズルベーンと他のノズルベーンとの位置関係を容易に維持できる。
【0012】
また、本発明においては、前記他のノズルベーンは、前記軸受ハウジング側に取り付けられたリング部材に一体となって取り付けられており、前記一部のノズルベーンは、前記ノズルベーン取付部によって、前記リング部材に対して別体で取り付けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、交換対象となる一部のノズルベーンがリング部材に対して別体で取り付けられているため、当該別体となった一部のノズルベーンを他のノズルベーンと独立して取り外すことができる。
【0013】
また、本発明においては、前記ノズルベーン取付部は、前記リング部材に設けられ、前記排気ガスが流通する前記リング部材の表面側に前記一部のノズルベーンを露出させる取付穴と、前記一部のノズルベーンに設けられ、前記リング部材の表面側とは逆の裏面側に係止する係止部と、を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、リング部材に設けられた取付穴から排気ガスが流通する表面側に露出する一部のノズルベーンがリング部材の裏面側に係止して取り付けられるため、当該一部のノズルベーンのタービンインペラ側への脱落を確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明においては、前記一部のノズルベーンは、前記他のノズルベーンよりも硬い材料で形成されている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、タービンハウジングの舌部の延長上に位置しエロージョンの進行が速い一部のノズルベーンを硬質材料で形成するため、耐久性を向上させて交換頻度を少なくでき、また、硬質材料で形成するノズルベーンは一部であるため、ノズルリング部品全体でのコストを低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、侵食されたノズルベーンを適切にメンテナンスできる過給機が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における過給機1の全体構成図である。
過給機1は、内燃機関等から排気される排気ガスを受けて回転動力を得るタービン2と、タービン2によって得られた回転動力を伝達する軸部3と、軸部3から伝達される回転動力によって空気を圧縮するコンプレッサ4とを備えている。
【0019】
タービン2は、タービンハウジング2aと、タービンインペラ2bとを備えている。タービンハウジング2aは、タービンインペラ2bを収容すると共に、タービンインペラ2bの収容空間に接続される排気ガス流路(スクロール流路2c及び排気流路2d)を備える容器である。タービンインペラ2bは、スクロール流路2cから排気流路2dに流れる排気ガスを受けて回転駆動されるラジアルインペラである。
【0020】
タービンインペラ2bとスクロール流路2cとの間の流路には、ノズルベーン10が設けられている。ノズルベーン10は、タービンインペラ2bの周囲に複数固定されている。ノズルベーン10は、固定ノズル翼であり、隣り合って設けられたノズルベーン10との間に形成されるノズル間流路を一定に維持している。このノズルベーン10は、タービンインペラ2bとスクロール流路2cとの間において流路面積を所定量絞ることで、過給機1の性能を調整するようになっている。
【0021】
軸部3は、ベアリングハウジング(軸受ハウジング)3aと、ベアリング3bと、シャフト3cとを備えている。ベアリングハウジング3aは、ベアリング3b及びシャフト3cを収容する容器であり、タービンハウジング2aに固定されている。ベアリング3bは、ベアリングハウジング3aの内部に収容されており、シャフト3cを回転可能に支持する。シャフト3cは、一端部がタービンインペラ2bと接続され、他端部がコンプレッサ4の後述のコンプレッサインペラ4bと接続されている。
【0022】
コンプレッサ4は、コンプレッサハウジング4aと、コンプレッサインペラ4bとを備えている。コンプレッサハウジング4aは、コンプレッサインペラ4bを収容すると共に、コンプレッサインペラ4bの収容空間に接続される空気流路(吸気流路4cとスクロール流路4d)を備える容器である。コンプレッサインペラ4bは、シャフト3cを介して伝達される回転動力によって回転駆動され、吸気流路4cから供給される空気を圧縮してスクロール流路4dに吐出するラジアルインペラである。
【0023】
上述のように構成された過給機1では、内燃機関からスクロール流路2cに排気ガスが導入されると、複数のノズルベーン10により形成されるノズル間流路を通ってタービンインペラ2bに排気ガスが供給される。この排気ガスの供給によって、タービンインペラ2b、シャフト3c及びコンプレッサインペラ4bが、一体となって回転する。これにより、タービン2において回転動力が得られ、この回転動力が軸部3を介してコンプレッサ4に伝達され、コンプレッサ4において圧縮空気が生成される。
【0024】
図2は、
図1における矢視A−A図である。
図2に示すように、タービンハウジング2aのスクロール流路2cには、排気ガス流入口11から接線方向に排気ガスが流入してくるようになっている。スクロール流路2cの内周部は、タービンインペラ2bが収納されている空間と連通し、タービンインペラ2bの周囲には同一円周上に所定角度間隔でノズルベーン10が固定して設けられ、ノズルベーン10はリング状に配列されている。ノズルベーン10は、断面が翼形状となっており、排気ガスの旋回流に対して所定角度傾斜し、流動する排気ガスを中心方向に向わせるようになっている。
【0025】
タービンハウジング2aの内部には、排気ガス流入口11の一部を形成する舌部12が形成され、舌部12は、排気ガス流入口11から流入する排気ガスと、流入後、スクロール流路2cを旋回した排気ガスとの間を仕切り、スクロール流路2cを旋回した排気ガスが再び、排気ガス流入口11から流入してくる排気ガスと合流することを阻止するものである。舌部12は延長されており、この舌部12の先端部は中心側に向って湾曲されている。
【0026】
複数のノズルベーン10のうちの1つ(符号10Aを付す)は、舌部12の延長上に位置するように配置され、ノズルベーン10Aの外端(外周側の端)と舌部12の先端とは所定の間隙13が形成されている。
舌部12の内周面は、スクロール流路2cの内壁面の延長であり、スクロール流路2cの内壁面と連続した曲面となっている。また、舌部12の内周面は、先端に向かうに従って漸次曲率が大きくなり、その延長がノズルベーン10Aの内面に滑らかに連続するようになっている。
【0027】
ここで、滑らかに連続する状態としては、舌部12内周面先端の接線がノズルベーン10Aの内面に接する状態、あるいは、舌部12の内周面の曲面の延長がノズルベーン10の内面に接する状態等がある。また、舌部12の内周面は、スクロール流路2cの内壁に沿って流動した排気ガスが舌部12の内周面で剥離しない曲面、あるいは、このような曲面に近似した曲面であることが好ましい。
【0028】
また、舌部12の外周面についても、ノズルベーン10Aの外面に滑らかに連続するようになっており、例えば舌部12の外周面先端の接線がノズルベーン10Aの外面に接し、あるいは、舌部12の外周面の曲面の延長がノズルベーン10Aの外面に接している。
【0029】
このように、舌部12を延長して、ノズルベーン10Aを舌部12の延長上に配置することで、舌部12の内周面に沿って流れた排気ガスは、ノズルベーン10Aと隣接する一方のノズルベーン10間のノズル間流路14aに導かれ、一方、舌部12の外周面に沿った排気ガスの流れは、ノズルベーン10Aと隣接する他方のノズルベーン10間のノズル間流路14bに導かれる。
【0030】
したがって、排気ガスの中に燃焼残渣物(
図2において符号Xを付す)が含まれている場合であっても、スクロール流路2cの内周面に沿って流通する燃焼残渣物が、舌部12の内周面から、舌部12の延長上に位置するノズルベーン10Aの内面に滑らかに導かれ、ノズル間流路14aを通ってタービンインペラ2b側に押し込まれるようになる。このため、スクロール流路2c内を旋回する燃焼残渣物の流量が大幅に低減し、この燃焼残渣物によるタービンハウジング2aの浸食が抑制されることとなる。
【0031】
しかしながら、ノズルベーン10Aの内面には、舌部12によって導かれた燃焼残渣物が衝突することとなり、また、タービンインペラ2bによって弾き返された一部の燃焼残渣物が衝突することとなって、他のノズルベーン10と比べてエロージョンの進行が速くなる。このため、本実施形態の過給機1は、複数のノズルベーン10のうち、舌部12の延長上に位置するノズルベーン10A(一部のノズルベーン)を、他のノズルベーン10と独立して交換可能に取り付けるノズルベーン取付部20を有している。
【0032】
図3は、本発明の第1実施形態におけるノズルベーン取付部20の構成図である。
図4は、本発明の第1実施形態におけるノズルリング21の構成図である。なお、
図4は、
図3における矢印Bから視たノズルリング21を示している。
図3に示すように、ノズルベーン10Aは、ノズルベーン取付部20によって、タービンハウジング2a側に取り付けられている。
【0033】
一方、他のノズルベーン10は、ベアリングハウジング3a側に取り付けられている(
図1参照)。他のノズルベーン10は、ベアリングハウジング3a側に取り付けられたリング部材22に一体となって取り付けられている。リング部材22は、
図4に示すように、環状となっており、ボルト5(
図3参照)の締め付けにより、その外周部がハウジング間に挟まれることでベアリングハウジング3a側に取り付けられている。他のノズルベーン10とリング部材22とは、例えば鋳造によって一体成型され、ノズルリング21を構成している。
【0034】
ノズルベーン10Aは、
図3に示すように、他のノズルベーン10と独立して一片のピース状に形成されている。ピース状とされたノズルベーン10Aは、その翼部の根元部分に矩形板状の基端部23を有する。ノズルベーン取付部20は、ピース状となったノズルベーン10Aをタービンハウジング2aに取り付けるための溝24を有する。溝24は、ノズルベーン10Aの基端部23の形状に応じて形成され、また、基端部23の厚みと同じ深さを有する。
【0035】
溝24の底部には、ネジ溝24aが形成されており、ネジ部材25によるノズルベーン10Aの取り付けが可能となっている。ネジ部材25は、ノズルベーン10Aの基端部23を厚み方向で挿通し、ネジ溝24aに螺合するようになっている。このネジ部材25による固定位置は、ノズルベーン10Aの安定固定のため、ノズルベーン10A(翼部)を挟んだ2箇所を少なくとも含むように設定することが好ましい。
【0036】
ノズルベーン10Aは、ベアリングハウジング3a側に突出する位置決めピン26を有している。位置決めピン26は、ノズルベーン10Aの基端部23の反対側(先端側)に設けられている。一方、ベアリングハウジング3a側には、位置決めピン26が挿入される位置決め穴27が設けられている。この位置決め穴27は、リング部材22に形成されている。
図4に示すように、位置決め穴27は、ノズルベーン10Aが配置されるべき位置に形成されている。
【0037】
続いて、上記構成による作用効果について説明する。
【0038】
本実施形態の過給機1は、複数のノズルベーン10のうち、舌部12の延長上に位置するノズルベーン10Aを、他のノズルベーン10と独立して交換可能に取り付ける
図3に示すノズルベーン取付部20を有する。この構成によれば、タービンハウジング2aの舌部12の延長上に位置し、エロージョンの進行が速いノズルベーン10Aを独立して交換できるため、他のノズルベーン10を含んだノズルリング21の部品全体を交換することなく、必要部分の部分的な交換が可能となる。
【0039】
具体的に、他のノズルベーン10は、ベアリングハウジング3a側に取り付けられており、ノズルベーン10Aは、ノズルベーン取付部20によって、タービンハウジング2a側に取り付けられている。このように、交換対象となるノズルベーン10Aがタービンハウジング2a側に取り付けられているため、
図1に示すボルト5を外し、タービンハウジング2aを取り外すだけでベアリングハウジング3a側を分解することなく、ノズルベーン10Aを他のノズルベーン10とは独立して取り外すことができる。したがって、ノズルベーン10Aの交換のための分解の工数が少なくなり、定期的なメンテナンス作業が容易になる。
【0040】
ノズルベーン10Aを新しいものと交換したら、タービンハウジング2aを組み付ける。ここで、ノズルベーン10Aは、
図3に示すように、ベアリングハウジング3a側に突出する位置決めピン26を有し、ベアリングハウジング3a側は、位置決めピン26が挿入される位置決め穴27を有する。このため、本実施形態のように交換対象となるノズルベーン10Aをタービンハウジング2a側に取り付けた場合であっても、位置決めピン26及び位置決め穴27によって、ベアリングハウジング3a側に取り付けられた他のノズルベーン10との所定の位置関係(
図2参照)を容易に維持できる。
【0041】
さらに、本実施形態では、
図4に示すように、位置決め穴27が、他のノズルベーン10が一体となって取り付けられているリング部材22に形成されているため、この位置決め穴27に位置決めピン26を挿入することで、ノズルベーン10Aと他のノズルベーン10との位置関係を精度よく容易に維持できる。このため、
図2に示すノズル間流路14aやノズル間流路14bを一定にして過給機1の性能を一定に保つことができる。
【0042】
また、位置決め穴27に位置決めピン26を挿入することで、
図3に示すように、ノズルベーン10Aがタービンハウジング2a側だけでなくベアリングハウジング3a側においても保持される。このため、エロージョンしたノズルベーン10Aのタービンインペラ2b側への脱落を確実に防止することができ、タービンインペラ2bの破損を防止することができる。
さらに、位置決め穴27に位置決めピン26が適切に挿入されないと、ボルト締めの際にタービンハウジング2aとベアリングハウジング3aとの間に隙間が生じることとなるため、当該隙間から作業者はタービンハウジング2a(ノズルベーン10A)が適切な位置に組み付けられたか否かを容易に確認することができることとなる。
【0043】
このように、本実施形態では、タービンハウジング2aの舌部12の延長上に位置しエロージョンの進行が速いノズルベーン10Aを独立して交換できるため、他のノズルベーン10を含んだ部品全体を交換することなく、必要部分の部分的な交換が可能となる。このため、ノズルリング21部品全体では寿命を延ばすことができ、また、ピース単位での交換で足りるため、メンテナンス作業が容易になり、また、交換コストを低く抑えることができる。
【0044】
したがって、上述の本実施形態によれば、タービンインペラ2bを回転可能に支持するベアリングハウジング3aと、タービンインペラ2bの周囲に固定して設けられた複数のノズルベーン10と、複数のノズルベーン10を介してタービンインペラ2bに排気ガスを供給するスクロール流路2cが形成されたタービンハウジング2aと、を有する過給機1であって、タービンハウジング2aは、スクロール流路2cに流入する排気ガスと、スクロール流路2cを旋回した排気ガスとの間を仕切る舌部12を有しており、複数のノズルベーン10のうち、舌部12の延長上に位置するノズルベーンを含むそのノズルベーン10Aを、他のノズルベーン10と独立して交換可能に取り付けるノズルベーン取付部20を有する、という構成を採用することによって、侵食されたノズルベーン10Aを適切にメンテナンスできる過給機1が得られる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0046】
図5は、本発明の第2実施形態におけるノズルベーン取付部20の構成図である。
図6は、本発明の第2実施形態におけるノズルリング21の構成図である。
第2実施形態では、
図5及び
図6に示すように、ノズルベーン10Aが、ノズルベーン取付部20によって、他のノズルベーン10が一体となって取り付けられたリング部材22に対して別体で取り付けられている点で、上記実施形態と異なる。
【0047】
第2実施形態においてノズルベーン10Aは、他のノズルベーン10よりも硬い材料で形成されている。例えば、他のノズルベーン10及びリング部材22を含むノズルリング21がステンレス鋼により形成されている場合、ノズルベーン10Aはそれよりも硬質のニッケル基超合金等によって形成されている。このように、タービンハウジング2aの舌部12の延長上に位置しエロージョンの進行が速いノズルベーン10Aを硬質材料で形成することで、耐久性を向上させて交換頻度を少なくでき、また、硬質材料で形成するノズルベーン10は一部であるため、ノズルリング21部品全体でのコストを低く抑えることができるようになる。
【0048】
第2実施形態のノズルベーン取付部20は、
図5に示すように、リング部材22に設けられ、排気ガスが流通するリング部材22の表面22a側にノズルベーン10Aを露出させる取付穴28と、ノズルベーン10Aに設けられ、リング部材22の表面22a側とは逆の裏面22b側に係止する係止部29と、を有する。取付穴28は、
図6に示すように、ノズルベーン10A(翼部)よりも大きく形成されている。本実施形態の取付穴28は、加工容易性の観点から直線的に形成されている。この取付穴28は、鋳造やドリル切削等によって形成することができる。
【0049】
ノズルベーン10Aは、他のノズルベーン10と独立してピース状に形成されている。ピース状とされたノズルベーン10Aは、その翼部の根元部分に取付穴28の形状に応じて形成された嵌合部30を有する。嵌合部30は、ノズルベーン10Aがリング部材22に対して取り付けられた際に取付穴28に嵌り込み、リング部材22の表面22aと連続した面を形成するようになっている。係止部29は、取付穴28よりも大きく形成されている。係止部29は、少なくなくともネジ部材31によるノズルベーン10Aの取り付けが可能となる大きさを有している。ネジ部材31による固定位置は、ノズルベーン10Aの安定固定のため、ノズルベーン10A(翼部)を挟んだ2箇所に設定されている。
【0050】
上記構成の第2実施形態によれば、交換対象となるノズルベーン10Aがリング部材22に対して別体で取り付けられているため、上記実施形態のようにタービンハウジング2a側を加工する場合と比べて加工が容易であり、当該別体となったノズルベーン10Aを他のノズルベーン10と独立して取り外すことができる。このため、他のノズルベーン10を含んだ部品全体を交換することなく、必要部分の部分的な交換が可能となるため、ノズルリング21部品全体では寿命を延ばすことができ、また、ピース単位での交換で足りるため、メンテナンス作業が容易になり、また、交換コストを低く抑えることができる。
また、第2実施形態では、リング部材22に設けられた取付穴28から排気ガスが流通する表面22a側に露出するノズルベーン10Aが、リング部材22の裏面22b側に係止して取り付けられるため、ノズルベーン10Aのタービンインペラ2b側への脱落を確実に防止することができる。
【0051】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、舌部12の延長上に位置するノズルベーン10Aのみを独立して交換可能とする形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばノズルベーン10Aを含み且つノズルベーン10Aの周辺の1または複数のノズルベーン10もややエロージョンの進行が速いので、それら一部のノズルベーン10を独立して交換可能とする形態としてもよい。この場合、それら一部のノズルベーン10を一体でピース状にしてもよく、それぞれ別体でピース状にしてもよい。
【0053】
また、例えば、上記第1実施形態においても第2実施形態と同様に、ノズルベーン10Aを他のノズルベーン10よりも硬い材料(例えばニッケル基超合金)で形成してもよい。
【0054】
また、例えば、複数のノズルベーン10のうち、舌部12の延長上に位置するノズルベーン10Aを含む一部のノズルベーン10のうち少なくとも一つを硬い材料で形成し、リング部材22に鋳込む形態であってもよい。例えば、ノズルベーン10Aの周辺の1または複数のノズルベーン10について、このように鋳込むことで交換不可ではあるが、耐久性を向上させてリング部材22の交換頻度を少なくできる。