(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図12によって説明する。
図1および
図2を参照してプリンタ1の構成を説明する。
図1は、画像形成装置としてのプリンタの要部側断面図である。以下の説明において
図1の右側をプリンタ1の前側、
図1の左側をプリンタ1の後ろ側、
図1の紙面手前側をプリンタ1の左側、
図1の紙面奥側をプリンタの右側として説明を行う。
図1に示すように、プリンタ1は、箱型の筐体11に全体が覆われている。筐体11の上面壁は、フロントカバー12となっており、装置後端のヒンジを中心に上下方向に開閉できる構成となっている。フロントカバー12を開けると、筐体11の上面が開放されるため、ユーザが筐体内部にアクセス可能となる。尚、フロントカバー12が本発明の「カバー」の一例である。
【0018】
筐体11の内部には、搬送機構、印刷部40、露光部50、定着器60、排紙センサ70が設けられている。搬送機構は、プリンタ1の下部に設けられたトレイ7から記録媒体である用紙(本発明の「シート」の一例)5を1枚ずつ取り出しつつ、取り出した用紙5を搬送路Lに沿って搬送する。搬送機構は給紙ローラ31、搬送ローラ33A、33B、排紙ローラ35などの各種ローラを含む構成となっている。給紙ローラ31は、トレイ7から用紙5を給紙する。また、搬送ローラ33Aは、給紙された用紙5を、転写位置Oに向けて搬送する。搬送ローラ33Bは、転写位置Oを通過した用紙5を定着器に向けて搬送する。排紙ローラ35は、印刷処理後の用紙5を、装置外に排出する。尚、搬送ローラ33A、33Bが本発明の「搬送部」の一例である。
【0019】
印刷部40は搬送路Lに沿って搬送される用紙5に対して画像(現像剤像)を印刷する機能を果たす。印刷部40は、感光ドラム41、転写ローラ43、露光部50、感光ドラム41の表面を帯電させる帯電器(図略)、現像ローラ(図略)等を含み、電子写真方式で用紙5に画像を印刷する。
【0020】
露光部50は外部より入力される画像データに応じて発光することにより、帯電器によって帯電された感光ドラム41を露光する機能を果たす。転写ローラ43は、露光部50による露光によって感光ドラム41上に静電潜像として形成された後、現像剤を用いて現像ローラによって現像された現像剤像を、用紙5に転写する機能を果たす。
【0021】
定着器60は感光ドラム41の下流側に配置されていて、ヒートローラ61、押圧ローラ63などを備えている。定着器60は、用紙5が両ローラ61、63の間を通過する間に、用紙5上に転写された現像剤像を熱定着させる機能を果たす。そして、現像剤像が熱定着された用紙5は排紙ローラ35を介して装置外へ排紙される。
【0022】
2.露光部50の構成とシャッタ57によるレーザ光の遮断
露光部50は、
図1、
図2、および
図7に示すように、レーザ光源51、ポリゴンミラー53、ポリゴンモータ55、シャッタ57などを備えている。レーザ光源51、ポリゴンミラー53、感光ドラム41は互いに、水平方向に配置されている。ポリゴンミラー53は、ポリゴンモータ55の駆動により回転し、レーザ光源51から水平方向に出射されたレーザ光(光ビーム)を偏向しつつ、帯電器により一様に正帯電された感光ドラム41の表面に高速走査させる。尚、レーザ光源51が本発明の「光源」の一例であり、ポリゴンミラー53が本発明の「偏向部」の一例である。
【0023】
シャッタ57は、レーザ光源51とポリゴンミラー53との間に配置されている。シャッタ57は、
図1に示すように、フロントカバー12が閉じた状態(
図1において実線で示すフロントカバー12の位置)では、レーザ光源51とポリゴンミラー53との間において、レーザ光源51の位置よりも下側に位置する。そのため、フロントカバー12が閉じた状態でレーザ光源51からレーザ光を出射すると、レーザ光はシャッタ57に遮られることなく、シャッタ57の上側を通過して進み、ポリゴンミラー53の表面に照射される。
【0024】
一方、シャッタ57は、フロントカバー12の開放に連動して上方に変位(
図1にて矢印で示す)し、フロントカバー12が開いた状態(
図1において一点鎖線で示すフロントカバー12の位置)では、レーザ光源51の前側に位置してレーザ光を遮断する。そのため、フロントカバー12が開いた状態では、ポリゴンミラー53の表面にレーザ光が照射されることを、シャッタ57により阻止できる構成となっている。
【0025】
尚、フロントカバー12の開放に連動してシャッタ57を変位させる機構の一例として、下記の機構を例示することが出来る。
図1に示すように、フロントカバー12に対して押圧部13を設ける構成とする。一方、シャッタ57を保持する保持部56を設ける。保持部56はシャッタ57の左右端面を保持する一対の保持板を備え、レーザ光源51から出射されるレーザ光と干渉しない構成となっている。保持部56はシャッタ57と一体的に上下方向に移動可能とされ、更に、ばね58により、装置上方に付勢された構造となっている。そして、フロントカバー12が閉じた状態では、押圧部13が保持部56を
図1に示す位置まで押し込み、シャッタ57をレーザ光源51の下方に位置させる。一方、フロントカバー12が開いた状態では、押圧部13による押し込みが解かれることで、保持部56と共にシャッタ57が、ばね58の付勢力を受けて、上方向に変位してレーザ光源51の前側に突出する。
【0026】
また、露光部50には、
図2に示すようにBD(Beam Detector)センサ59が設けられている。BDセンサ59は、受光素子を有する光学式のセンサであり、閾値を超えるレベルの光を受光してパルス信号としてのBD信号S1を出力する。尚、BDセンサ59が本発明の「第1センサ」の一例であり、BD信号S1が本発明の「受光信号」の一例である。
【0027】
具体的な検出動作について説明すると、BDセンサ59は、ポリゴンミラー53が所定角度となった場合に、レーザ光源51から出射されポリゴンミラー53の表面で反射する反射光を受光するように配置されている。そのため、レーザ光源51を駆動させると、BDセンサ59からポリゴンミラー53によるレーザ光の走査周期TでBD信号S1が出力される。
【0028】
3.排紙センサ70
プリンタ1の搬送路L上には、排紙センサ70が取り付けられている。排紙センサ70は
図1に示すように、光電センサ71と連動部材75とを含み、定着器60と排紙ローラ35との間の検出位置Pを通過する用紙5の有無を検出する。
【0029】
具体的に説明すると、光電センサ71は、対向配置される一対の投光素子と受光素子から構成されている。尚、本実施形態では、光電センサ71にこれら投光素子、受光素子がパッケージ化された透過型の光電センサ(フォトインタラプタ)を使用している。光電センサ71は
図3に示すように筐体11のうち後側の左端部に取り付けられている。
【0030】
図3ないし
図6に示すように、連動部材75はヒンジHを中心として回転可能であり、第1アーム76と、第2アーム77と、第3アーム78と、軸部79とを備える。軸部79は、プリンタ10の左右方向に長い形状をなし、筐体11に対して回転可能に支持されている。そして、軸部79には第1アーム76、第2アーム77、第3アーム78が取り付けられている。第1アーム76と第3アーム78は、軸部79の左端部に位置しており、搬送路Lを通る用紙5と干渉しない設定になっている。一方、第2アーム77は、軸部79の中央部に設けられていて、搬送路Lを通過する用紙5と検出位置Pにて接触する設定になっている。
【0031】
連動部材75は、
図4のR方向に不図示のばねにより付勢されている。そして、フロントカバー12が閉じ、かつ用紙5を検出していない状態では、
図4に示すように、フロントカバー12に設けられた突起12Aに第1アーム76が当接した第1姿勢となる。この第1姿勢では、第2アーム77が搬送路Lの検出位置Pに位置すると共に、第3アーム78が光電センサ71の投光素子と受光素子の間に位置して、受光素子に対する光の入光を阻止する。そのため、フロントカバー12が閉じ、かつ用紙5を検出していない状態では、排紙センサ70はオフとなる。
【0032】
一方、
図5に示すように、搬送路Lを送られる用紙5が検出位置Pを通過している間、第2アーム77が用紙5に押される。これにより、連動部材75は
図4に示す第1姿勢からS方向に回転して、
図5に示す第2姿勢となる。この第2姿勢では、第3アーム78が光電センサ71の外側に位置して、受光素子に対する光の入光を許可する。そのため、用紙5を検出している状態では、排紙センサ70はオンとなる。
【0033】
また、フロントカバー12が開いた状態では、フロントカバー12に設けられた突起12Aが第1アーム76から離れ、連動部材75は、
図4の第1姿勢からR方向に回転して、
図6の第3姿勢となる。この第3姿勢では、第2姿勢と同様、第3アーム78が光電センサ71の外側に位置して、受光素子に対する光の入光を許可する。そのため、フロントカバー12が開いている状態では、排紙センサ70はオンとなる。
【0034】
このように、排紙センサ70はフロントカバー12が閉状態かつ搬送路L上の検出位置Pにて用紙5が検出されない非検出状態の場合にオフとなる。また、フロントカバー12が開状態、および搬送路L上の検出位置Pにて用紙5が検出される検出状態のうち少なくともいずれか一方の状態である場合にオンとなる。尚、排紙センサ70が本発明の「第2センサ」の一例である。また、排紙センサ70のオフが本発明の「第1出力」に対応し、排紙センサ70のオンが本発明の「第2出力」に対応する。
【0035】
4.プリンタの電気的構成
プリンタ1は、
図7に示すように、メインモータ91、露光部50、定着器60、高圧発生回路93、操作部95、表示部97、BDセンサ59、排紙センサ70、コントローラ80、ネットワークインターフェース100を備える。メインモータ91は、搬送機構を構成する各種ローラや、感光ドラム41等の駆動源となるものである。高圧発生回路93は、帯電器、現像ローラ、転写ローラ43等に印加する高電圧を発生させるものである。
【0036】
操作部95は、ボタンやキーを備え、それらを介してユーザによる用紙5への印刷指示などの各種の入力操作を受け付ける。表示部97は、液晶ディスプレイやランプ等を備えており、それらを介して各種の設定画面や動作状態等を表示する。また、ネットワークインターフェース100は、通信回線NTを介してPCやFAX等の情報端末装置に接続されており、情報端末装置と相互のデータ通信を行う。
【0037】
コントローラ80は、プリンタ1を制御する機能を果たすものであり、CPU81と、ROM83、RAM85、時刻を計時する計時部87とを備える。ROM83には、後述するカバー開放検知シーケンス等の、プリンタ1を制御するための各種プログラムが記録されている。RAM85には、各種のデータが記憶される。情報端末装置から印刷ジョブの受信があると、コントローラ80のCPU81が印刷処理を実行し、画像データに基づく画像を用紙5に印刷する。また、計時部87は、次述するカバー開放検知シーケンスにおいて、排紙センサ70の出力検出時を確認するために用いられる(S60、S120)。
【0038】
5.カバー開放検知シーケンス
次にコントローラ80により実行されるカバー開放検知シーケンスを
図8〜
図12を参照して説明する。カバー開放検知シーケンスは電源投入時に実行される。尚、ここでは、電源投入前の状態においてフロントカバー12は閉止されているものとして説明を行う。
【0039】
電源が投入されると、まず、コントローラ80により印刷部40の準備動作が実行される(S10)。具体的には、感光ドラム41を回転させたり、現像剤を撹拌させたりする処理が実行される。
【0040】
そして、準備動作が完了すると、S20に移行する。S20では排紙センサ70の出力をチェックして、排紙センサ70の出力がオフか判定する処理がコントローラ80により行われる。準備動作の終了後、印刷を開始するまでの間は、トレイ7から用紙5の給紙がない非給紙状態になるため、排紙センサ70が用紙5を検出することはない。そのため、カバー12が閉じていれば、排紙センサ70の出力はオフとなり、S30に移行する。
【0041】
S30ではコントローラ80により、印刷開始か判定する処理が行われる。印刷ジョブの受信がない場合、S30ではNO判定され、処理はS20に戻る。そのため、情報端末装置から印刷ジョブの受信があるまで、出力をモニタしながら、排紙センサ70の出力がオフかどうか判定する処理(S20)が繰り返されることになる。
【0042】
そして、印刷ジョブの受信があると、S30ではYES判定され、処理はS40に移行する。S40では、コントローラ80の制御により、ポリゴンモータ55やメインモータ91を回転させる処理が行われ(
図9の時刻t0)、その後、レーザ光源51を点灯する処理が行われる(
図9の時刻t1)。尚、コントローラ80により実行されるS40の処理により、本発明の「点灯処理」が実現されている。
【0043】
その後、処理はS50に移行する。S50に移行すると、コントローラ80により用紙5を給紙する処理が実行される。具体的には、給紙ソレノイド(図略)を作動させ、給紙ローラ31を回転させる。これにより、トレイ7から用紙5が給紙され、搬送路Lに沿って送り出される(
図9の時刻t2)。
【0044】
S50の処理後はS60に移行して、コントローラ80により、排紙センサ70の出力を検出する処理が行われる。具体的には、排紙センサ70の出力がオンかオフか検出し、検出結果を、計時部87により検出した時刻の情報と共にRAM85に記憶する処理が行われる。尚、検出結果と共に時刻の情報を記憶するのは、どの時点の検出結果が区別できるようにするためである。その後、処理はS70に移行する。S70では、BDセンサ59の出力をチェックして、BDセンサ59からBD信号S1がポリゴンミラー53によるレーザ光の走査周期Tで出力されているか、検出する処理がコントローラ80により実行される。尚、走査周期Tは後述する(1)式より算出することが出来る。
【0045】
BD信号S1が走査周期Tよりも長い期間出力されていない場合は、BD信号S1の出力がないと判定される。BD信号S1の出力がない場合、コントローラ80はフロントカバー12が開いていると判断する。この場合、S70でNO判定され、処理はS110に移行する。一方、BDセンサ59からBD信号S1が走査周期Tで出力されている場合には、BD信号S1の出力が有ると判定される。BD信号S1の出力が有る場合、コントローラ80はフロントカバー12が閉じていると判断する。この場合、S70でYES判定される。
【0046】
すなわち、レーザ光源51の点灯中、フロントカバー12が閉じていれば、
図9に示すように、BD信号S1は走査周期Tで出力されるため、S70でYES判定され、処理はS80に移行する。S80では、印刷終了かどうかの判定がなされ、印刷終了でない場合には、S60に戻る。以上のことから、S70でNO判定される場合を除いて、S60、S70、S80の処理を順に繰り返しながら、印刷処理の終了を待つ状態となる。尚、コントローラ80により実行されるS70の処理により、本発明の「第1判定処理」が実現されている。
【0047】
時刻t2で用紙5の給紙が開始されると、用紙5の搬送と並行して、画像データに基づく画像を感光ドラム41に形成する露光処理が開始される(
図9の時刻t3)。このとき、プリンタ1の露光部50は、BDセンサ59から出力されるBD信号S1の出力タイミングを基準として、レーザ光による露光開始タイミング、すなわち感光ドラム41に対する画像データに応じた各走査ラインの書き出しのタイミングを決定する。
【0048】
具体的に説明すると、コントローラ80は、各走査ラインの形成前にBD強制点灯信号を出力してレーザ光源51を強制的に点灯する事前発光を行う。そして、事前発光の開始後、予め定められたBD検知期間内に、BDセンサ59からBD信号S1を検知したか否かを監視する。
【0049】
コントローラ80は、BD信号S1を検知した時点でBD強制点灯信号の出力を停止して事前発光を停止させる。その後、予め定められた準備時間TR経過時に、画像データに基づきレーザ光源51のオンオフ制御を行うことで、一走査ラインが感光ドラム41上に形成される(
図9中の期間TL)。そして、上記事前発光の停止時点から、予め定められた走査許可時間TS経過後に、次の走査ラインを形成するための事前発光を開始させる。
【0050】
コントローラ80が、以上のようなレーザ光源51の発光制御を繰り返し実行することにより、複数の走査ラインが感光ドラム41上に順次形成される。そして、コントローラ80が、BD信号S1を正常に検知していれば、BD信号S1の出力周期(間隔)は上記ポリゴンミラー53による走査周期Tに略一致し、BD信号S1の検出時を基準として、各走査ラインが順次感光ドラム41上に形成される。従って、感光ドラム41上における各走査ラインの書き出し位置を揃えることができる。
【0051】
尚、ポリゴンミラー53の走査周期Tは、下記の(1)式より算出できる。
T=1/(N×f)・・・・・(1)
「N」はポリゴンミラー53の面数(この実施形態では8面)である、また、「f」はポリゴンミラー53の単位時間あたりの回転数[Hz]である。
【0052】
そして、用紙5が転写位置Oを通過する時に、感光ドラム41に形成された現像剤像が用紙5上に転写される。その後、用紙5が定着器60の両ローラ61、63の間を通過する間に、転写された現像剤像を用紙5に熱定着させる処理が行われる。その後、用紙5は搬送路Lを排紙センサ70に向けて搬送されてゆく。
【0053】
そして、用紙5の先端が搬送路L上の検出位置Pに達する時刻t4にて、排紙センサ70の出力がオフからオンに切り換わる。その後、排紙センサ70はオンを維持し、用紙5の後端が検出位置Pを通過する時刻t6の時点でオフに切り換わる。
【0054】
コントローラ80は、排紙センサ70の出力が、用紙5の先端が検出位置Pを通過してから用紙5の後端が検出位置Pを通過するまでの時間を考慮して設定された時間、オンを維持した後、オフに切り換わると、印刷処理が終了したと判断する。その後、処理はS90に移行して、ポリゴンモータ55やメインモータ91、レーザ光源51を停止させる処理が実行される(時刻t7)。その後、処理はS20に戻るので、排紙センサ70の出力を監視しながら、印刷ジョブの受信を待つ状態になる。
【0055】
次に、レーザ光源51の非点灯期間(
図9中のA期間やC期間)にカバー12が開いた場合について説明する。例えば、電源投入後、初回の印刷ジョブの受信を待つ
図9中のA期間でカバー12が開いた場合、排紙センサ70の出力がオフからオンに切り換わる(
図9の時刻ta)。この場合、S20の判定処理を行った時にNO判定され、コントローラ80によりフロントカバー12が開いていると判断される。そして、S20でNO判定されると、処理はS100に移行してカバーオープン処理動作1が実行される。尚、コントローラ80により実行されるS20の判定処理により、本発明の「第2判定処理」が実現されている。
【0056】
5−1.カバーオープン処理動作1
S100のカバーオープン処理動作1は、
図10に示すように、S101とS103の処理から構成されていて、まず、S101では、排紙センサ70がオフかどうかを判定する処理が実行される。カバー12が開いている期間は、排紙センサ70の出力がオンとなる結果、S101ではNO判定される。S101でNO判定されると、再び、S101の判定処理が実行される。そのため、排紙センサ70の出力がオンの期間は、S101の処理が繰り返されることになり、処理としては、排紙センサ70の出力がオンからオフに切り換わるのを待つ状態になる。
【0057】
そして、ユーザによりカバー12が閉じられると、排紙センサ70の出力がオンからオフに切り換わるため、S101にてYES判定され、処理はS103に移行する。S103では、コントローラ80により、S10の処理と同様、印刷部40の準備動作が実行される。その後、処理は、
図8に示すカバー開放検知シーケンスのS20に戻り、排紙センサ70の出力を監視しながら、印刷ジョブの受信を待つ状態になる。このように、本実施形態では、レーザ光源51の非点灯期間は、排紙センサ70の出力に基づいて、カバー12が開いているかどうかを検出する。
【0058】
次に、レーザ光源51の点灯期間(
図9中のB期間)にカバー12が開いた場合について説明する。レーザ光源51の点灯中、カバー12が開けられると、シャッタ57が作動してレーザ光源51を遮る。そのため、カバー12が走査周期Tよりも長い時間開けられた状態になると、BDセンサ59によるレーザ光の受光が阻止さることから、BD信号S1が走査周期Tよりも長い時間、BDセンサ59から出力されない。従って、レーザ光源51の点灯期間(
図9中のB期間)にカバー12が開いた場合、S70でNO判定され、処理はS110に移行する。
【0059】
S110ではコントローラ80により、ポリゴンモータ55を停止させる処理と、レーザ光源51を消灯させる処理が実行される。その後、S120では、コントローラ80により、排紙センサ70の出力を検出する処理が行われる。具体的には、排紙センサ70の出力がオンかオフか検出し、検出結果を計時部87により検出した時刻の情報と共に、RAM85に記憶する処理が行われる。尚、検出結果と共に時刻の情報を記憶するのは、どの時点の検出結果が区別できるようにするためである。
【0060】
そして、S120の処理後はS130に移行する。S130では、S60で検出し、RAM85に記憶した排紙センサ70の出力、すなわち、カバー開放直前の排紙センサ70の出力と、S120で検出し、RAM85に記憶した排紙センサ70の出力、すなわち、カバー開放直後の排紙センサ70の出力に変化がないか判定する処理が行われる。具体的には、S60で検出した排紙センサ70の出力と、S90で検出した排紙センサ70の出力が、双方ともオンか判定する処理が実行される。この処理を行うことで、搬送路Lの検出位置Pに用紙5が有る状態で、カバー12を開放したか判断することが出来る。
【0061】
すなわち、搬送路Lの検出位置Pに用紙5が有る場合(
図5参照)、フロントカバー12を開放する直前、排紙センサ70の出力はオンになっている。そして、フロントカバー12の開放後、排紙センサ70の出力は、やはりオンになる。そのため、フロントカバー12の開放前後で、排紙センサ70の出力がオンのまま変化がない場合には、コントローラ80は、搬送路Lの検出位置Pに用紙5があり、かつフロントカバー12が開いていると判断する(S130:YES)。この場合、S140のカバーオープン処理動作2が実行される。
【0062】
一方、搬送路Lの検出位置Pに用紙5がない場合(
図4参照)、カバー12を開放する直前、排紙センサ70の出力はオフになっている。そして、カバー12の開放後、排紙センサ70の出力はオンになる(
図6参照)。そのため、カバー12の開放前後で、排紙センサ70の出力がオフからオンに変化した場合、コントローラ80は搬送路Lの検出位置Pに用紙5がなく、かつフロントカバー12が開いていると判断する(S130:NO)。この場合、S160のカバーオープン処理動作2が実行される。尚、コントローラ80により実行されるS130の処理により、本発明の「第3判定処理」が実現されている。
【0063】
5−2.カバーオープン処理動作2
S130でYES判定されると、その後、S140のカバーオープン処理動作2が実行される。カバーオープン処理動作2は、
図11に示すS141〜S153の処理から構成されている。
【0064】
まず、S141では、コントローラ80により、メインモータ91等の駆動部と、高圧発生回路93を停止させる処理が実行される。その後、S143に移行する。S143では、コントローラ80により、排紙センサ70がオフか検出する処理が実行される。フロントカバー12が開いている間またはフロントカバー12が閉じられても搬送路Lの検出位置Pから用紙5が取り除かれていない間は、排紙センサ70はオンになるので、S143ではNO判定される。S143でNO判定された場合には、S143に戻る。そのため、排紙センサ70の出力がオンの期間は、S143の処理が繰り返されることになり、処理としては、排紙センサ70の出力がオンからオフに切り換わるのを待つ状態になる。尚、コントローラ80により実行されるS143の処理により、本発明の「第4判定処理」が実現されている。
【0065】
そして、ユーザにより搬送路Lの検出位置Pから用紙5が取り除かれ、更にフロントカバー12が閉じられると、排紙センサ70はオフになる。そのため、S143の判定処理にてYES判定され、処理はS145に移行する。S145では、コントローラ80によりポリゴンモータ55を再回転させる処理と、レーザ光源51を再点灯させる処理が実行される。尚、コントローラ80により実行されるS145の処理により本発明の「再点灯定処理」が実現されている。
【0066】
その後、処理はS147に移行する。S147では、コントローラ80により、BDセンサ59からBD信号S1が走査周期Tで出力されているか検出する処理が実行される。
【0067】
BDセンサ59からBD信号S1が走査周期Tで出力されている場合には、コントローラ80は、検出位置Pから用紙5が取り除かれ、更にフロントカバー12が閉止されたと判断する。この場合、S147でYES判定され、処理はS149に移行する。S149では、コントローラ80により、ポリゴンモータ55を停止させる処理と、再点灯したレーザ光源51を消灯させる処理が実行される。その後、S151に移行して、S10の処理と同様、コントローラ80により印刷部40の準備動作が実行される。その後、処理は、
図8に示すカバー開放検知シーケンスのS20に戻り、排紙センサ70の出力を監視しながら、次の印刷ジョブの受信を待つ状態になる。
【0068】
尚、カバーオープン処理動作2でS145、S147、S149の処理を設けているのは、検出位置Pから用紙5を取り出す際に、排紙センサ70の連動部材75が搖動して、フロントカバー12が開いているにも拘わらず、排紙センサ70がオフになる可能性があるためである。すなわち、用紙5の取り出しによって、連動部材75が
図4に示す第1姿勢に変位した場合、フロントカバー12が開いている状態でも、排紙センサ70の出力がオフとなる可能性がある。
【0069】
そのため、本実施形態では、排紙センサ70がオフとなった後、レーザ光源51を再点灯してBD信号S1の出力を確認することにより、確実にフロントカバー12が閉止されているかを確認している(S145〜S149)。すなわち、フロントカバー12が閉じられていれば、再点灯したレーザ光に応答してBDセンサ59からBD信号S1が走査周期Tで出力される。そのため、S147でYES判定された場合には、フロントカバー12が確実に閉じられていると判断できる。
【0070】
一方、フロントカバー12が閉じられておらず、検出位置Pから用紙5を取り出す際に、排紙センサ70の連動部材75が搖動して排紙センサ70がオフ出力になった場合は、再点灯したレーザ光はシャッタ57により遮断されるため、BDセンサ59からBD信号S1が出力されることはない。BDセンサ59からBD信号S1が出力されない場合、コントローラ80はエラーと判断する。そして、S147にてNO判定され、S153で表示部97を介してエラーを報知する処理が実行される。なお、レーザ光源51、BDセンサ59、シャッタ57が故障している場合も、BDセンサ59からBD信号S1が出力されないことがあるので、S147でNO判定され、S153でエラーを報知する処理が実行されることになる。
【0071】
5−3.カバーオープン処理動作3
次にS130でN0判定された場合、その後、S160のカバーオープン処理動作3が実行される。カバーオープン処理動作3は、
図12に示すS161〜S165の処理から構成されている。
【0072】
まず、S161では、コントローラ80により、メインモータ91等の駆動部と、高圧発生回路93を停止させる処理が実行される。その後、S163に移行する。S163では、コントローラ80により、排紙センサ70がオフか検出する処理が実行される。カバー12が開いている間は、排紙センサ70はオンになるので、S163ではNO判定される。S163でNO判定された場合には、S163に戻る。そのため、排紙センサ70の出力がオンの期間は、S163の処理が繰り返されることになり、処理としては、排紙センサ70の出力がオンからオフに切り換わるのを待つ状態になる。
【0073】
そして、ユーザによりカバー12が閉じられると、排紙センサ70はオフになる。そのため、S163の判定処理にてYES判定され、処理はS165に移行する。S165では、給紙ローラ31から排紙センサ70までの間の搬送路L中に先端が位置する状態で残存している用紙5が取り除かれたことを検出すると、コントローラ80により印刷部40の準備動作が実行される。なお、前述の用紙5が取り除かれたことを検出する方法としては、搬送ローラ33と感光ドラム41との間の搬送路L中に設けられる図略の用紙センサの出力が用紙5を検出している状態から用紙5を検出していない状態に変化したことで検出する方法などが考えられる。その後、処理は、
図8に示すカバー開放検知シーケンスのS20に戻り、排紙センサ70の出力を監視しながら、次の印刷ジョブの受信を待つ状態になる。
【0074】
6.効果説明
以上説明したように、本実施形態では、フロントカバー12の開閉に連動して作動するシャッタ57が、フロントカバー12の開閉に伴って、BDセンサ59によるレーザ光の受光状態を変動させることを利用し、BDセンサ59の出力からフロントカバー12が開状態であるかをソフト的に判断する。そのため、フロントカバー12の開閉を機械的に検出する開閉センサスイッチを設けなくてもフロントカバー12が開放されたことを判断することができる。従って、フロントカバー12の開閉を機械的に検出する場合に比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0075】
また、BDセンサ59は、露光開始タイミングを決定する用途と、フロントカバー12の開放を検出する用途を兼用する。そのため、これら各用途ごとにセンサを専用に設ける場合に比べて、センサの個数を減らすことが出来るため、装置を小型化することが出来る。
【0076】
また、レーザ光の非点灯期間(
図9のA期間やC期間)はBD信号自体が出力されないから、BDセンサ59の出力に基づいて、カバー12の開放を判断することは出来ない。この点に関し、本プリンタ1では、レーザ光の非点灯中は、排紙センサ70の出力からカバー12の開放を検出する。そのため、レーザ光の点灯期間に加え、非点灯期間についても、フロントカバー12の開放を検出することが出来る。別の言い方をすれば、BDセンサ59と排紙センサ70とを補完的に使用することで、レーザ光の点灯時と非点灯時の双方で、カバー12の開放を検出することが出来る。
【0077】
尚、レーザ光の非点灯期間(
図9のA期間やC期間)に、排紙センサ70の出力からカバー12の開放を検出することが出来るのは、非点灯期間が非印刷期間と概ね一致していれば、非点灯期間中、用紙5は給紙されていないことになる。そのため、非点灯期間は、排紙センサ70が用紙5を検出してオンになることはないので、排紙センサ70の出力がオンであれば、それは、カバー12が開状態であると判断出来るからである。
【0078】
また、本実施形態では、レーザ光源51を印刷処理の開始時t1から印刷処理の終了時t7まで点灯させている。このようにすることで、排紙センサ70が印刷処理済みの用紙5を検出している期間も、BDセンサ59の出力するBD信号S1に基づいてカバー12が開状態か判断することが出来る。すなわち、画像データに基づく露光が終了する時刻t5でレーザ光を止めてしまうと、それ以降、排紙センサ70が用紙5を検出しているD期間は、BDセンサ59でカバー12の検出を行うことは出来ない。
【0079】
この点、本実施形態では、排紙センサ70が用紙5を検出している期間、すなわち
図9の時刻t4〜時刻t6の期間は、少なくともレーザ光源51を駆動させているので、露光終了後、排紙センサ70が用紙5を検出している期間についても、BDセンサ59の出力するBD信号S1に基づいてフロントカバー12が、開状態かどうかを判断することが出来る。
【0080】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0081】
(1)上記実施形態では、コントローラ80を1つのCPU81、ROM83、RAM85等により構成する例を示したが、CPU81は複数であってもよい。また、CPU81とASIC等のハード回路を組み合わせた構成や、ハード回路のみから構成するようにしてもよい。
【0082】
(2)上記実施形態では、BDセンサ59と排紙センサ70とを補完的に使用することで、レーザ光の点灯時と非点灯時の双方で、フロントカバー12の開放を検出するようにした。本明細書で開示する技術は、少なくとも、レーザ光の点灯時にBDセンサ59の出力に基づいてフロントカバー12の開閉を検出するものであればよく、排紙センサ70を利用したフロントカバー12の開閉検出は実行しないようにしてもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、BDセンサ59の出力するBD信号に基づいて、露光開始タイミングの決定と、フロントカバー12の開放検出を行った。BDセンサ59の出力するBD信号からフロントカバー12の開閉検知だけを行い、露光開始タイミングを決定する制御は別に設けたセンサの出力等に基づいて実行するようにしてもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、レーザ光を偏向する偏向部の一例に、ポリゴンミラーを例示したが、ガルバノミラー等でもよい。また、開閉するカバーであれば、特に制約はなく、フロントカバー以外のカバーを開閉検出の対象としてもよい。