特許第5983272号(P5983272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983272
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   G03G15/20 505
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-223169(P2012-223169)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-74845(P2014-74845A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 崇史
(72)【発明者】
【氏名】古木 真
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−223769(JP,A)
【文献】 実開昭62−076370(JP,U)
【文献】 特開昭56−022460(JP,A)
【文献】 特開昭57−002072(JP,A)
【文献】 特開昭55−045069(JP,A)
【文献】 特開平06−186869(JP,A)
【文献】 特開2005−215496(JP,A)
【文献】 特開2007−171273(JP,A)
【文献】 特開2012−168270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を吸収して定着される画像形成材料による画像が形成された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、
樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記記録媒体以上である搬送部材と
を有する定着装置。
【請求項2】
光を吸収して定着される画像形成材料による画像が形成された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、
樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記基材のみを含む層に比べて高い搬送部材と
を有する定着装置。
【請求項3】
前記分散材の屈折率が、前記基材の屈折率とは異なる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記分散材の電気伝導率は、前記基材の電気伝導率に比べて高い
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記分散材は、酸化チタンである
ことを特徴とする請求項3または4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記搬送部材は、前記記録媒体を支持するベルトである
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第1の層は、白色である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記第2の層は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、金、および銀のいずれかの金属、またはこれらのうち2つ以上の金属の合金である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の定着装置
【請求項9】
光を吸収して定着される画像形成材料による画像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写部により前記画像が転写された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、
樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記記録媒体以上である搬送部材と
を有する画像形成装置。
【請求項10】
光を吸収して定着される画像形成材料による画像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写部により前記画像が転写された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、
樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記基材のみを含む層に比べて高い搬送部材と
を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、搬送部材および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー像が形成された記録媒体にレーザ光を照射してトナーを記録媒体に定着させる定着装置が知られている。特許文献1には、レーザ光を透過する性質を有する搬送ベルトを用いることにより、搬送ベルトがレーザ光を照射されて破損することを抑制する技術が記載されている。特許文献2には、レーザ光を熱に変換する光吸収層を画像記録媒体の表面に設けることにより、トナーを画像記録媒体に均一に定着させることが記載されている。特許文献2には、また、レーザ光が照射されて加熱された除去ローラを画像記録媒体に接触させることにより、画像記録媒体に定着したトナー像を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−107658号公報
【特許文献2】特開2010−243596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定着装置において、照射部により光を照射された搬送部材が加熱されるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る定着装置は、光を吸収して定着される画像形成材料による画像が形成された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記記録媒体以上である搬送部材とを有する。
【0006】
請求項2に係る定着装置は、光を吸収して定着される画像形成材料による画像が形成された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記基材のみを含む層に比べて高い搬送部材とを有する。
【0007】
請求項3に係る定着装置は、請求項1または2に記載の構成において、前記分散材の屈折率が、前記基材の屈折率とは異なることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る定着装置は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の構成において、前記分散材の電気伝導率は、前記基材の電気伝導率に比べて高いことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る定着装置は、請求項3または4に記載の構成において、前記分散材は、酸化チタンであることを特徴とする。
【0011】
請求項に係る定着装置は、請求項1ないしのいずれか一項に記載の構成において、前記搬送部材は、前記記録媒体を支持するベルトであることを特徴とする。
【0012】
請求項に係る定着装置は、請求項1ないしのいずれか一項に記載の構成において、前記第1の層は、白色であることを特徴とする。
【0013】
請求項に係る搬送部材は、前記第2の層は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、金、および銀のいずれかの金属、またはこれらのうち2つ以上の金属の合金であることを特徴とする
【0014】
請求項に係る画像形成装置は、光を吸収して定着される画像形成材料による画像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写部により前記画像が転写された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記記録媒体以上である搬送部材とを有する。
【0015】
請求項10に係る画像形成装置は、光を吸収して定着される画像形成材料による画像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写部により前記画像が転写された記録媒体にレーザ光を照射する照射部と、樹脂である基材と前記基材に分散され、前記基材と屈折率が異なる分散材とを含み前記光が照射される第1の層、および前記第1の層に対して前記照射部と反対側に形成され、前記レーザ光を反射する第2の層を有し、前記記録媒体を搬送する搬送部材であって、前記照射部により照射された光の反射率が前記基材のみを含む層に比べて高い搬送部材とを有する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1およびに係る発明によれば、搬送部材の光の反射率が記録媒体の光の反射率よりも低い場合に比べて、照射部により光を照射された搬送部材が加熱されるのを抑制することができ、さらに照射部により照射された光が搬送部材を透過することを防止することができる。
請求項2および10に係る発明によれば、搬送部材の光の反射率が基材のみを含む層の光の反射率よりも低い場合に比べて、照射部により光を照射された搬送部材が加熱されるのを抑制することができ、さらに照射部により照射された光が搬送部材を透過することを防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、分散材の屈折率が基材の屈折率と同じである場合に比べて、光を照射された搬送部材が加熱されるのを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、分散材の電気伝導率が基材の電気伝導率に比べて低い場合に比べて、搬送部材を帯電させやすくすることができる。
請求項5に係る発明によれば、分散材が酸化チタンでない場合に比べて、照射部により光を照射された搬送部材が加熱されるのを抑制することができる。
請求項に係る発明によれば、第1の層が分散材を含まない場合に比べて、照射部により光を照射されたベルトが加熱されるのを抑制することができる。
請求項に係る発明によれば、第1の層が白色でない場合に比べて、照射部により光を照射された搬送部材が加熱されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】画像形成装置の内部構成を示す概略図
図2】定着装置を搬送方向の上流側から見た断面模式図
図3】定着装置を幅方向の一方側から見た断面模式図
図4】搬送ベルトの断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構成の概略を示す図である。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、スキャナ、およびファクシミリなどとして機能する装置である。画像形成装置1は、筐体100内に、収容部10、供給ローラ20、搬送ローラ30、転写部40、定着装置50、および排出ローラ60を有する。収容部10は、用紙p(記録媒体の一例)を収容する。供給ローラ20は、収容部10に収容された用紙pの1枚と接触し、用紙pを搬送路r(鎖線)に沿って供給する。搬送ローラ30は、円筒状の部材であり、円筒の中心を軸として回転し、供給ローラ20により供給された用紙pを搬送する。用紙pは搬送ローラ30によって搬送されて転写部40を通過する。転写部40は、搬送ローラ30により搬送された用紙pにトナー像(画像の一例)を転写する。定着装置50は、転写部40により転写されたトナー像を光を照射することにより加熱して用紙pに定着させる。排出ローラ60は、トナー像が定着した用紙pを画像形成装置1から排出する。
【0019】
転写部40は、感光体ドラム401、帯電器402、露光装置403、現像装置404、トナーカートリッジ405、中間転写ベルト406、回転ローラ407、一次転写ローラ408、二次転写ローラ409、およびバックアップローラ410を有する。感光体ドラム401は、外周面に光導電膜を積層した円筒状の部材であり、円筒の中心を軸として回転するように支持される。感光体ドラム401は、中間転写ベルト406と接触するように配置され、中間転写ベルト406の移動に伴って、図中の矢印A1の方向に回転する。帯電器402は、例えばスコロトロン帯電器であり、感光体ドラム401の光導電膜を予め定められた電位に帯電させる。露光装置403は、帯電器402により帯電させられた感光体ドラム401を露光して、静電潜像を形成する。現像装置404は、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Black)のいずれかの色のトナーと、フェライト粉などの磁性体キャリアとを含む二成分現像剤を収容する。現像装置404は、感光体ドラム401上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像装置404は、トナー補給路を介してトナーカートリッジ405に接続され、図示せぬディスペンスモータの回転駆動によりトナーカートリッジ405からトナーの補給を受ける。中間転写ベルト406は、無端のベルト状の部材であり、図中の矢印A2の方向に回転する。回転ローラ407は、中間転写ベルト406の移動を支持する円筒状の部材であり、円筒の中心を軸として回転する。一次転写ローラ408は、中間転写ベルト406を挟んで感光体ドラム401と対向する円筒状の部材である。一次転写ローラ408は、図示せぬ電源から転写バイアスを印加され、感光体ドラム401との間に電位差を生じさせて、感光体ドラム401の表面のトナー像を中間転写ベルト406の表面に転写する。二次転写ローラ409は、中間転写ベルト406を挟んでバックアップローラ410と対向する円筒状の部材である。二次転写ローラ409は、図示せぬ電源から転写バイアスを印加され、バックアップローラ410との間に電位差を生じさせて、中間転写ベルト406の表面のトナー像を用紙pに転写する。
【0020】
画像形成装置1は、また、図示せぬ制御部、通信部、および記憶部を有する。制御部は、上述した画像形成装置1の各部の動作を制御する。制御部は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを有する。通信部は、パーソナルコンピュータまたはファクシミリなどの外部装置と接続し、画像データの送受信を行う。記憶部は、制御部により用いられるデータおよびプログラムを記憶する装置、例えばHDD(Hard Disk Drive)を有する。以上の構成により、画像形成装置1は、搬送路rに沿って用紙pを搬送する過程で用紙pへのトナー像の形成および定着を行う。以下では、用紙pが搬送される方向を単に「搬送方向」といい、搬送方向に直交する方向を「幅方向」という。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係る定着装置50を搬送方向の上流側から見た断面模式図である。図3は、定着装置50を幅方向の一方側から見た断面模式図である。x軸は幅方向、y軸は搬送方向、z軸は高さ方向を表す。定着装置50は、照射部101、光学部材102、反射部材103、仕切り部材104、および搬送ベルト105を有する。
【0022】
照射部101は、搬送ローラ30により搬送される用紙pにレーザ光LBを照射する。照射部101は、レーザ光LBを発生させる複数の光源1011を有する。光軸a1は、レーザ光LBの光軸である。光源1011は、図2に示すように、幅方向に沿って間隔gで並んでいる。間隔gは、用紙pのトナー像が形成され得る領域の全体にレーザ光LBが照射されるように決められる。図2において、照射部101は、4つの光源1011を有する。レーザ光LBの波長は、トナーを溶融させるに足りるエネルギーをトナーに与えられるのであればどのような波長であってもよい。レーザ光LBとしては、例えば、赤外線が用いられる。この場合、現像装置404では、赤外線を吸収する材料を混入させたトナーを用いる。
【0023】
光学部材102は、光源1011から照射されたレーザ光LBが伝播する方向を制御する部材、例えばレンズである。光学部材102は、一の光源1011に対して、それぞれ一枚ずつ設けられる。図2では、幅方向に並んだ4つの光源1011のそれぞれに対応させて、4枚の光学部材102が設けられている。光源1011から照射されたレーザ光LBは、光学部材102に向かって伝播する。光学部材102は、図3に示すように、幅方向から見た断面が凸型を成しており、レーザ光LBを搬送方向に収束させる。光学部材102は、搬送方向の照射幅が定められた範囲内(例えば、1.0±0.1mm)に収まるように、レーザ光LBを収束させる。また、光学部材102は、図2に示すように、搬送方向から見た断面が矩形であり、レーザ光LBを幅方向に屈折させることなく透過させる。レーザ光LBは、光学部材102を透過すると、反射部材103に向かって伝播する。
【0024】
反射部材103は、図2に示すように搬送方向から見た断面が矩形を成しており、図3に示すように幅方向から見た断面がアーチ状を成している。反射部材103は、孔1031、開口部1032、および反射面1033を有する。孔1031は、光源1011から照射されたレーザ光LBを反射部材103の内側に通過させる。開口部1032は、搬送路rと対向しており、反射部材103の内側を伝播したレーザ光LBを通過させる。開口部1032を通過したレーザ光LBは搬送路r上の幅方向に延びる照射領域D1に照射される。図3に示す例では、幅方向から見て、光軸a1が搬送路rとなす角度θは、90度である。用紙pにレーザ光LBが照射されると、用紙pの表面のトナー粒子が付着していない領域では、レーザ光LBが反射される。用紙pの表面では鏡面反射と拡散反射が生じるので、レーザ光LBはあらゆる方向に反射する。開口部1032は、また、用紙pの表面で反射された反射光を通過させる。反射面1033は、反射部材103の内側であって、搬送路rと対向する面である。反射面1033は、開口部1032を通過した反射光を用紙pに反射する。反射面1033は、レーザ光LBを反射させるための加工が施されている。例えば、反射部材103はアルミニウム等の金属で作製され、反射面1033が鏡面に研磨されてもよいし、反射面1033に銀等でめっきが施されてもよい。反射光は、反射面1033で反射されることによって、その一部がトナー粒子に吸収され、残りは再び用紙pの表面で反射される。このように、用紙pの表面と反射部材103の反射面1033とでレーザ光LBの反射が繰り返されると、反射面1033で反射されたレーザ光LBの一部がトナーに吸収されてトナーの加熱および溶融が促進される。
【0025】
レーザ光LBにより、加熱されたトナーの一部は昇華して気体となり、これが冷却されて粉塵が発生する場合がある。仕切り部材104は、反射部材103で囲まれた空間に粉塵が入り込まないように照射部101と搬送路rとの間を仕切る。仕切り部材104は、短辺と長辺とを有する矩形且つ板状の部材であり、光を透過する材料、例えば石英ガラスにより形成される。仕切り部材104は、開口部1032において、短辺が搬送方向に、長辺が幅方向に沿うように反射部材103により支持される。
【0026】
搬送ベルト105(搬送部材の一例)は、用紙pを搬送路rに沿って搬送する。搬送ベルト105は、矢印A3に示す方向に回転する一対の駆動ローラ106により駆動される。駆動ローラ106aは搬送路rの下流側のローラであり、駆動ローラ106bは搬送路rの上流側のローラである。駆動ローラ106aは図示せぬ電源により回転駆動され、駆動ローラ106bは駆動ローラ106aの回転に伴って回転する。駆動ローラ106が矢印A3に示す方向に回転すると、搬送ベルト105は矢印A4に示す方向に回転する。搬送ベルト105は、また、照射部101により照射されたレーザ光LBを反射する。搬送ベルト105によるレーザ光LBの反射率は、用紙pによるレーザ光LBの反射率以上である。ここでいう「反射率」とは、鏡面反射と拡散反射とを合わせた反射率を表す。
【0027】
図4は、搬送ベルト105のyz平面における断面図である。搬送ベルト105は、基材層1051と金属層1052とを有する。基材層1051(第1の層の一例)は、開口部1032と対向する層であり、照射部101により照射されたレーザ光LBが照射される。基材層1051は、基材1051aと分散材1051bとを含む。基材1051aは、基材層1051の主となる物質である。基材1051aには、耐熱性および可撓性を有する物質、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂などの樹脂が用いられる。分散材1051bは、基材1051aに分散される物質である。分散材1051bは、分散材1051bを用いない場合よりも搬送ベルト105における光の反射率を高くするために用いられる。さらに、この例では、搬送ベルト105は帯電吸着により記録媒体を搬送するので、分散材1051bは、分散材1051bを用いない場合よりも搬送ベルト105の電気伝導率を高くするために用いられる。すなわち、分散材1051bとしては、基材1051aと屈折率が異なり、かつ、高電気伝導率である材料が用いられる。具体的には、基材1051aとしては例えば酸化チタンが用いられる。分散材1051bに酸化チタンが用いられた基材層1051は、白色である。
【0028】
金属層1052(第2の層の一例)は、駆動ローラ106に接する層であり、基材層1051で反射されずに透過したレーザ光LBを反射する。金属層1052には、例えば、アルミニウムが用いられる。
【0029】
(変形例)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられてもよい。
【0030】
(1)変形例1
分散材1051bは、酸化チタンに限らない。分散材1051bには、例えば、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムなどの白色の顔料が用いられてもよい。別の例で、分散材1051bには、酸化インジウム、二酸化スズ、または酸化亜鉛などの酸化物半導体が用いられてもよい。なお上記いずれの例においても、分散材1051bとして、複数の物質が併せて用いられてもよい。さらに別の例で、分散材1051bは、基材1051aと屈折率が異なる物質であれば、必ずしも電気伝導率が基材1051aに比べて高い物質でなくてもよい。
【0031】
(2)変形例2
金属層1052に用いられる金属は、アルミニウムに限らない。金属層1052には、例えば、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、金、銀、またはこれらのうち二つ以上の金属の合金が用いられてもよい。
また、上述の実施形態では第2の層の一例として金属層1052を示したが、第2の層は金属層1052に限らない。第2の層は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂などの樹脂中にカーボンブラック、カーボンナノチューブ、またはグラファイトなどが分散された層であってもよい。この場合、第2の層は、基材層1051で反射されずに透過したレーザ光LBを吸収する。
【0032】
(3)変形例3
搬送ベルト105は、基材層1051と金属層1052との二層である場合に限らない。搬送ベルト105は、基材層1051のみの単層であってもよい。別の例で、搬送ベルト105は、三層以上であってもよい。例えば、金属層1052を支持する層として、シリコーンゴム等の弾性体で構成された弾性層が設けられてもよい。
【0033】
(4)変形例4
搬送部材は、搬送ベルト105に限らない。搬送部材は、例えば、基材層1051と金属層1052とを有し、用紙pを搬送するローラであってもよい。
【0034】
(5)変形例5
光学部材102は、レーザ光LBを搬送方向に収束させるものに限らない。光学部材102は、例えば、レーザ光LBを幅方向に拡散させてもよい。この場合、搬送方向から見た断面が凹型のレンズが光学部材102として用いられる。別の例で、一の光源1011に対して、レーザ光LBを幅方向に拡散させるレンズと、レーザ光LBを搬送方向に収束させるレンズとが設けられてもよい。さらに別の例で、幅方向に沿って並んだ複数の光源1011に対応させて、幅方向に沿って延びる一枚の光学部材が設けられても良い。
【0035】
(6)変形例6
幅方向から見て、光軸a1が搬送路rとなす角度θは、90度である場合に限らない。角度θは、90度よりも小さい値であってもよい。
【0036】
(7)変形例7
照射部101が照射する光はレーザ光LBに限らない。照射部101は、例えば、キセノンランプなどのフラッシュランプにより生成される光を用紙pに照射してもよい。
【0037】
(8)その他の変形例
光源1011は、搬送方向に1つである場合に限らない。光源1011は、搬送方向に複数並んでいてもよい。
実施形態では画像形成材料の例としてトナーを示したが、画像形成材料はインクであっても構わない。この場合、インクが光を照射されて乾燥することにより画像が用紙pに定着する。
実施形態では画像形成装置1はカラーの画像を形成するものであったが、モノクロの画像を形成してもよい。
実施形態では用紙pが定められた寸法で1ページ分ずつ裁断されたものである例を示したが、用紙pは1ページ分に裁断されていない連続紙(連続帳票、連帳紙ともいう)であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…画像形成装置、10…収容部、20…供給ローラ、30…搬送ローラ、40…転写部、401…感光体ドラム、402…帯電器、403…露光装置、404…現像装置、405…トナーカートリッジ、406…中間転写ベルト、407…回転ローラ、408…一次転写ローラ、409…二次転写ローラ、410…バックアップローラ、50…定着装置、60…排出ロール、100…筐体、101…照射部、1011…光源、102…光学部材、103…反射部材、1031…孔、1032…開口部、1033…反射面、104…仕切り部材、105…搬送ベルト、1051…基材層、1052…金属層
図1
図2
図3
図4