特許第5983274号(P5983274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5983274半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983274
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20160818BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20160818BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20160818BHJP
【FI】
   H02M1/08 A
   H02M1/00 H
   H02M7/48 M
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-223842(P2012-223842)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-79037(P2014-79037A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 聡毅
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−50518(JP,A)
【文献】 特開平9−284109(JP,A)
【文献】 特開平9−331669(JP,A)
【文献】 特開2001−197724(JP,A)
【文献】 特開2007−185024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H02M 1/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、ダイオードを逆並列接続した半導体スイッチ素子を2個以上直列に接続したアームを直列接続した上下アーム回路と、を備え、前記直流電源と前記上下アーム回路とは並列接続された、直流から交流、もしくは交流から直流に変換する電力変換回路における前記半導体スイッチ素子を駆動するゲート駆動回路において、前記ゲート駆動回路の正側電源の正電位側と前記半導体スイッチ素子の正電極側との間に、ダイオードと抵抗とを含む直列回路を設け、前記半導体スイッチへのオンオフ指令信号がオフ指令入力時において、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路に流れる電流によって、前記ゲート駆動回路に接続されている半導体スイッチ素子の短絡故障判定を行うことを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、前記上下アームの対向する他アームが短絡故障した場合に流れる前記直流電源の電源短絡電流を検知する回路を設けることを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、半導体スイッチ素子へのオンオフ指令信号がオン指令入力時においては、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路のダイオードには電流を流さないバイパス回路を設けることを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、前記抵抗とダイオードとを含む直列回路は、抵抗とダイオードとツェナーダイオードとを含んだ直列回路とすることを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路に流れる電流経路上にフォトカプラーの1次側端子を直列に接続し、前記ダイオードと抵抗と前記フォトカプラーとの直列回路に電流が流れることで前記フォトカプラーの2次側に前記半導体スイッチ素子が短絡故障状態であることを伝達する機能を設けることを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、前記上下アームの一方の半導体スイッチ素子の短絡故障検出用のフォトカプラーと、他方のアームの半導体スイッチ素子が短絡故障した際のアーム短絡電流を検知したことをフォトカプラーの2次側に伝達するフォトカプラーと、を兼用することを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、フォトカプラーの2次側において、半導体スイッチ素子へのオン又はオフのスイッチ指令によって、前記上下アームの一方の自アームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているか、他方のアームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているかを判別する回路を設けることを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項8】
請求項5、6、7のいずれか1項に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、フォトカプラーの2次側に信号を伝達する手段としてフォトカプラーの代わりに光ファイバー、トランスなどの絶縁器を使用することを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路において、フォトカプラーの2次側において、半導体スイッチ素子へのオフのスイッチ指令によって、自アームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているかを判定するにあたり、デッドタイム期間中は判定動作させないマスク回路を設けることを特徴とする半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧の電力変換回路などに適用される直列接続されたパワー半導体スイッチ素子のゲート駆動回路方式に関し、特に半導体スイッチ素子の短絡故障をゲート駆動回路部の電子回路で検出する回路技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に直流から交流に変換する電力変換回路である、2レベルインバータの回路例を示す。1が直流電源で、正側電位をP、負側電位をNとしている。一般に本直流電源を交流電源システムより構成する場合は、図示していない整流器と大容量のコンデンサなどによって構成することが可能である。
【0003】
回路構成は、直流電源1の正極Pと負極Nとの間にU相用上下アーム、V相用上下アーム及びW相用上下アームを並列接続した三相インバータ回路で、各相の交流出力U、V、Wには負荷として交流電動機11が接続される。各相の回路構成は同じであるので、U相について説明する。半導体スイッチ素子としてIGBTを使用した例である。2〜5が上アームを構成するダイオードが逆並列接続されたIGBTで、6〜9が下アームを構成するダイオードが逆並列接続されたIGBTであり、各々4個直列接続される。本回路構成でアーム毎に半導体スイッチ素子を多直列している理由は、半導体スイッチ素子の耐圧に対して直流電源1の電圧が高いため、耐圧を持たせるためである。本回路で各アームを4直列としているのは一例で、一般には直流電源1の電圧値と使用する半導体スイッチ素子の耐圧によって最適な直列数を決定する。
【0004】
一般に、本システム(2レベルインバータ)に適用する半導体スイッチ素子の耐圧(VCES)は、下式を目安に決定される。
Ed=VCES×n/2
ここで、nは1アームにおける素子の直列数、VCESは半導体スイッチ素子のコレクタ・エミッタ間の耐圧である。
【0005】
また12〜19が各IGBTを駆動するためのゲート駆動回路で、図示していない制御回路からの信号によって駆動される。20〜27が各IGBTのコレクタ・エミッタ間に接続される抵抗で、本抵抗はIGBTオフ時において、直列接続されているIGBT(例えばIGBT2〜5)に印加される電圧の均等化を目的に接続されている。
【0006】
図8がゲート駆動回路図で、制御回路28からのゲート駆動信号29を、上アーム側のゲート駆動回路30と、下アーム側のゲート駆動回路31に入力する。その際、上アーム側と下アーム側は反転信号とする必要があるため、インバータゲート32を接続し、さらに上アーム側IGBT(2〜5)と下アーム側IGBT(6〜9)が同時にオンすることを防止するためのデッドタイム回路(オン信号の立ち上がりを遅延する回路)33、34をそれぞれ接続する。ここで、弱電側と強電側を絶縁するため、各ゲート駆動回路にはフォトカプラーを用いている。
【0007】
図9にゲート駆動回路の詳細図を示す。35は信号絶縁を目的としたフォトカプラー、36、37は信号増幅用のトランジスタ、38は本トランジスタ用のベース抵抗、39はIGBTのスイッチングのスピードを調整するためのゲート抵抗、40、41は駆動回路用の正負電源である。
【0008】
一般に他アームのIGBTが短絡故障した場合、正常なIGBTがオンすると、図10に示すように電源短絡状態となる(説明上一般的な2レベルの回路で説明しているが、多レベル回路や、IGBTを直列接続していても原理的には同じである)。この時、正常なIGBTにも過大な電流が流れ、コレクタ・エミッタ間の電圧には電源電圧相当が印加される。このような現象の検知回路として、IGBTのコレクタにはダイオード42を接続し、本IGBTのオン指令に伴い抵抗43を介してダイオード42に電流を流す。すなわち通常時は、IGBTオン時のコレクタ・エミッタ間電圧は数V程度しか発生しないため、点Bの電位も数ボルト程度となる。一方短絡電流が流れると、IGBTS1のコレクタ・エミッタ間電圧は数100Vとなり、ダイオード42はオフし、点Bの電位はゲート駆動回路の正側電源40の電圧値に上昇しようとするが、ツェナーダイオード45の電圧にクランプされる。その結果、ツェナーダイオード45が導通し、トランジスタ46がオンとなり、IGBTのゲート電位はIGBTS1のエミッタ電位となり強制オフとすることができる。
【0009】
またフォトカプラー47の1次側ダイオード(フォトダイオード)には、トランジスタ46のオンに伴い抵抗48を介して電流が流れ、フォトカプラー47の2次側(フォトトランジスタ側)にアーム短絡故障した情報を伝達することができる。ここで、抵抗43とコンデンサ44の直列回路はオン信号の立上り時にIGBTS1がオンしてコレクタ・エミッタ間電圧が数ボルトに低下するまではトランジスタ46をオンさせないようにするためのタイマー回路である。
【0010】
上下各アーム毎にIGBTを直列接続したインバータの従来回路例は、特許文献1に、また他アームの短絡故障検知を行うゲート駆動回路の従来例は、特許文献2の図6などに示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−118728号公報
【特許文献2】特開2010−288416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に図7に示すようなアーム毎にIGBTを多直列接続したシステムでは、スイッチング時において、直列素子間のスイッチングのタイミングのずれによって、電圧の分担は完全には均等とならない。
【0013】
通常この不均等現象を考慮して耐圧設計や、IGBTの耐圧や直列数を決定するが、運転中に設計値を逸脱したような電圧や電流条件となった場合、IGBTは破壊するおそれがある。
【0014】
直列接続された複数個の中の1素子が短絡破壊すると、他の健全な素子で電圧分担を担う必要があるため、1素子あたりに印加される電圧が高くなり、雪崩現象的にその他の直列素子も耐圧破壊を起こし、最終的にはアーム全体で破壊することとなる。アーム全体が短絡破壊された状態で、図11に示すように上下の対向アーム(この例では下アーム)側にオン信号が入力されると直流電源短絡状態となり、破線で示す過大な短絡電流によって大規模な破壊が起こる可能性がある。
【0015】
また特許文献1に直列接続半導体スイッチ素子の故障検知回路例があるが、この方式の場合、IGBTと並列に電力用の抵抗を接続する必要があり、さらにIGBTオフ時において、抵抗に流れる電流もしくは両端電圧を検出する回路が必要となるため、装置の大型化やコストアップ要因となる課題がある。
【0016】
従って、本発明の課題は、電力変換回路の主回路部に部品を追加することなく、ゲート駆動回路に電子回路を追加するだけで、半導体スイッチ素子の短絡故障を検知することが可能な半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路を提供し、装置の小型、低価格を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、第1の発明においては、直流電源と、ダイオードを逆並列接続した半導体スイッチ素子を2個以上直列に接続したアームを直列接続した上下アーム回路と、を備え、前記直流電源と前記上下アーム回路とは並列接続された、直流から交流、もしくは交流から直流に変換する電力変換回路における前記半導体スイッチ素子を駆動するゲート駆動回路において、前記ゲート駆動回路の正側電源の正電位側と前記半導体スイッチ素子の正電極側(IGBTの場合はコレクタ、MOSFETの場合はドレイン)との間に、ダイオードと抵抗とを含む直列回路を設け、前記半導体スイッチへのオンオフ指令信号がオフ指令入力時において、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路に流れる電流によって、前記ゲート駆動回路に接続されている半導体スイッチ素子の短絡故障判定を行う。
【0018】
第2の発明においては、第1の発明に、さらに前記上下アームの対向する他アームの半導体スイッチ素子が短絡故障した場合に流れる前記直流電源の電源短絡電流を検知する回路を設ける。
【0019】
第3の発明においては、第1の発明に、さらに半導体スイッチ素子へのオンオフ指令信号がオン指令入力時においては、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路のダイオードには電流を流さないバイパス回路を設ける。
【0020】
第4の発明においては、第1の発明又は第2の発明における前記抵抗とダイオードとを含む直列回路は、前記抵抗とダイオードに加え、新たにツェナーダイオードを含んだ直列回路とする。
【0021】
第5の発明においては、第1又は第2の発明における前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路に流れる電流経路上にフォトカプラーの1次側端子を直列に接続し、前記ダイオードと抵抗と前記フォトカプラーとの直列回路に電流が流れることで前記フォトカプラーの2次側に前記半導体スイッチ素子が短絡故障状態であることを伝達する機能を設ける。
【0022】
第6の発明においては、第5の発明における前記上下アームの一方の半導体スイッチ素子の短絡故障検出用のフォトカプラーと、他方のアームの半導体スイッチ素子が短絡故障した際のアーム短絡電流を検知したことをフォトカプラーの2次側に伝達するフォトカプラーと、を兼用する。
【0023】
第7の発明においては、第6の発明におけるフォトカプラーの2次側において、半導体スイッチ素子へのオン又はオフのスイッチ指令によって、前記上下アームの一方の自アームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているか、他方のアームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているかを判別する回路を設ける。
【0024】
第8の発明においては、第5、第6、第7のいずれかの発明におけるフォトカプラーの2次側に信号を伝達する手段としてフォトカプラーの代わりに光ファイバー、トランスなどの絶縁器を使用する。
【0025】
第9の発明においては、第7の発明におけるフォトカプラーの2次側において、半導体スイッチ素子へのオフのスイッチ指令によって、自アームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているかを判定するにあたり、デッドタイム期間中は判定回路を動作させないマスク回路を設ける。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、半導体スイッチ素子を2個以上直列に接続したアームを直列接続した上下アーム回路を備えた電力変換回路のゲート駆動回路の正側電源の正電位側と半導体スイッチ素子のコレクタなどの正電極側との間に、ダイオードと抵抗とを含む直列回路を設け、半導体スイッチへのオンオフ指令信号がオフ指令入力時において、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路に流れる電流によって、前記ゲート駆動回路に接続されている半導体スイッチ素子の短絡故障判定を行うようにしている。
【0027】
この結果、電力変換回路の主回路部に部品を追加することなく、半導体スイッチ素子の短絡故障を検知し、システムを安全に停止することができ、装置の小型化と低価格化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施例を示すゲート駆動回路図例である。
図2】本発明の第1の実施例の第1の動作を示す回路図例である。
図3】本発明の第1の実施例の第2の動作を示す回路図例である。
図4】本発明の第1の実施例の第2の動作を示す回路図例である。
図5】本発明の第1の実施例の第4の動作を示す回路図例である。
図6】本発明の第2の実施例を示す駆動回路図例である。
図7】多直列接続素子で構成した2レベルインバータ回路図例である。
図8】従来のゲート駆動回路図例である。
図9】過電流保護回路を備えた従来のゲート駆動回路図例である。
図10】直流電源短絡を説明するための概念図である。
図11】多直列接続素子で構成した2レベルインバータ回路での電源短絡図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、IGBTの耐圧設計において、1素子のみ短絡破壊しても直列数がある程度多く、また静的なオフ状態であれば、耐圧に余裕がある分(素子の耐圧はスイッチング時の過渡現象や上記の電圧アンバランスを考慮して決定しているため)、破壊していないIGBTで耐圧を持たせることが可能である場合を想定しており、1素子が短絡破壊したことを検知して、破壊が広範囲に拡大することを防止するための保護回路技術である。
【0030】
本発明の要点は、半導体スイッチ素子を2個以上直列に接続したアームを直列接続した上下アーム回路を備えた電力変換回路のゲート駆動回路の正側電源の正電位側と半導体スイッチ素子の正電極側(IGBTの場合コレクタ、MOSFETの場合ドレイン)との間に、ダイオードと抵抗とを含む直列回路を設け、半導体スイッチへのオンオフ指令信号がオフ指令入力時において、前記ダイオードと抵抗とを含む直列回路に流れる電流によって、前記ゲート駆動回路に接続されている半導体スイッチ素子の短絡故障判定を行うようにしている点である。
【実施例1】
【0031】
図1に、本発明の第1の実施例を示す。図9の従来回路例に対し、オフ指令時におけるIGBTの短絡故障状態を検知するための抵抗50、ツェナーダイオード51、ダイオード52を接続した構成である。ここで、図8図9に記載の従来のゲート駆動回路例で記載されている信号増幅用のトランジスタ36と37は説明上省略して記載しているが、接続していても構わない。
【0032】
またオン指令時において、ツェナーダイオード51とダイオード52に電流を流さないようにするためのバイパス回路として、抵抗50とフォトカプラー47の1次側ダイオードとの接続点とIGBTS1のエミッタ電位との間に抵抗53とトランジスタ54との直列回路を接続している。抵抗67、69、70、72、ダイオード68、コンデンサ71は、オン信号の立上り時には急速にトランジスタ54をオンさせ、立下り時には時間遅れを持たせてトランジスタ54をオフさせるためのベース駆動回路である。すなわち、フォトカプラー35にオフ指令が入力されても、IGBTが実際にオフするまでにはある程度の時間を要するため、その期間はトランジスタ54がオフすることによって図5に示すような電流66が流れる状態とならないようにしている。
【0033】
図2図1の回路における通常状態でのオン指令時の動作例を示す。フォトカプラー35の出力がハイレベル(H)となることで、IGBTS1のゲートに電流55が供給されてIGBTS1はオンする。同時にトランジスタ54のベースには抵抗67とダイオード68を介して電流56が供給され、トランジスタ54はオンする。トランジスタ54がオンすると正側電源40から抵抗50と抵抗53を介した電流57が流れる。この時、抵抗50と抵抗53の接続点Aは、正側電源40の電圧を抵抗50と53で分圧した値となり、この電圧をツェナーダイオード51のツェナー電圧よりも低い値に設計すればフォトカプラー47の1次側のダイオードに電流が流れることはない。またIGBTのオンに伴って抵抗43とダイオード58と42を介した電流59が、従来例と同様に流れる。
【0034】
図3図1の回路において上下アームの対向する他アームのIGBTが短絡故障した場合の動作例を示す。この時、従来例と同様にIGBTには数100V以上の電圧が印加されるため、図2に示す電流59は流れず、ツェナーダイオード45とトランジスタ46のベースを通る経路に電流60が流れ、トランジスタ46がオンする。この結果、今までIGBTS1のゲートに流れていた電流はダイオード49とトランジスタ46を通る経路の電流61となり、IGBTのゲートはエミッタ電位となり、強制的にオフとなる。またトランジスタ46のオンに伴い、正側電源40から抵抗50、フォトカプラー47の1次側ダイオード、ダイオード62、抵抗63を介した電流64が流れ、フォトカプラー47の2次側に故障情報を伝達することが可能となる。
【0035】
図4図1に示す回路における通常状態でのオフ指令時の動作例を示す。フォトカプラー35の出力がローレベル(L)となることで、IGBTS1のゲート・エミッタ間は逆バイアス状態となり、電流65が流れIGBTS1がオフする。
【0036】
図5図1に示す回路において自アームのIGBTS1が短絡故障している場合の動作例を示す。この時、オフ指令が入力しているにも関わらず、IGBTS1には電圧が印加されていない状態(略0V)となる。この場合、正側電源40から抵抗50、フォトカプラー47の1次側ダイオード、ツェナーダイオード51、ダイオード52、ダイオード42を介した電流66が流れ、フォトカプラー47の2次側に故障情報を伝達することが可能となる。また、2次側に故障情報を伝達する手段としては、フォトカプラー47に代えて、光ファイバー、パルストランスなどを適用することができる。
【実施例2】
【0037】
図6に第2の実施例を示す。半導体スイッチ素子へのオン又はオフのスイッチ指令により、上下アームの一方の自アームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているか、他方のアームの半導体スイッチ素子が短絡故障しているかを判別する回路方式である。フォトカプラー35の1次側及びフォトカプラー47の2次側回路例を示す。フォトカプラー47の出力(本回路の場合、フォトトランジスタがオンするロー(L)出力で故障と判定)と、デッドタイム回路33出力のIGBTへの指令信号72(ハイ(H)でIGBTオンとする)に応じて、他アームの短絡状態か自アームの短絡状態かを、論理回路73、74によって判別する。制御回路28からの信号29にデッドタイム付加回路33でデッドタイムを付加した信号72とフォトカプラー47の二次側信号とを論理回路73に入力することにより他アームの短絡故障を判定する。
【0038】
即ち、他アームにオフ信号が入力されている時に自アームにオン信号を入力した時フォトカプラー47の1次側ダイオードに電流が流れ、2次側のフォトトランジスタがオンした時は他アームの短絡故障と判定する。また、制御回路28からの信号29にデッドタイム付加回路33でデッドタイムを付加した信号72とフォトカプラー47の二次側信号をデッドタイム期間中のマスク回路75を介した信号とを論理回路74に入力することにより自アームの短絡故障を判定する。即ち、他アームにオン信号が入力されている時に自アームにオフ信号を入力した時、フォトカプラー47の1次側ダイオードに電流が流れ、2次側のフォトトランジスタがオンした時は自アームの短絡故障と判定する。ここで上下アームの両方のIGBTにオフ信号が入力されているデッドタイム期間中にIGBTと逆並列接続されたダイオードに電流が流れている場合は、オフ指令が入力されているにも関わらずIGBTS1のコレクタ・エミッタ間電圧はゼロ電圧近辺となるため、図5に示す動作によってフォトカプラー47から短絡故障信号が出力される。論理回路74の前段にデッドタイム期間中のマスク回路75を挿入することで、デッドタイム期間中に自アームが短絡故障であると誤判定することを防止する。
【0039】
尚、本実施例は直列接続されているIGBTの中の1個のIGBTのゲート駆動回路例について示したが、直列接続されているその他のIGBTのゲート駆動回路にも同様の回路を接続した構成とする必要がある。
また、本実施例は2レベルのインバータ回路の例で示したが、半導体スイッチ素子や直流電源を多直列接続する3レベル以上のマルチレベル変換回路にも適用できる。
また、半導体スイッチ素子として、IGBT以外のMOSFETなどの電圧駆動素子でも同様に適用可能である。
また、本実施例では、ゲート駆動回路電源を正負の2電源方式(40と41)としているが、単電源方式でも同様に実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、1アームに半導体スイッチ素子を複数個直列接続した変換回路における素子の短絡故障を検出する制御回路技術であり、高圧電動機駆動装置、系統連系用電力変換装置、瞬停補償装置などへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・直流電源 11・・・交流電動機
2〜9、Qu、Qd、Q1〜Q4、S1、S2・・・IGBT
12〜19、30、31、GDU、GDUa、GDUb・・・ゲート駆動回路
28・・・制御回路 33、34・・・デッドタイム回路
20〜27・・・分圧抵抗 73、74・・・論理ゲート
75・・・マスク回路 37・・・トランジスタ
38、39、39a、39b、43、48、50、53、63・・・抵抗
67、69、70、72、77、78・・・抵抗
32、76・・・インバータゲート 36、46、54・・・トランジスタ
42、45、49、52、58、62、68・・・ダイオード
40、41・・・駆動回路用電源 44、71・・・コンデンサ
45、51・・・ツェナーダイオード
35、47・・・フォトカプラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11