特許第5983276号(P5983276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983276
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20160818BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20160818BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20160818BHJP
   B62D 6/00 20060101ALN20160818BHJP
【FI】
   B60W30/06
   B60R21/00 621E
   B60T7/12 A
   B60T7/12 C
   B60R21/00 628D
   !B62D6/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-224361(P2012-224361)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76696(P2014-76696A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】大塚 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松浦 充保
(72)【発明者】
【氏名】秋山 啓子
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−500225(JP,A)
【文献】 特開2007−134961(JP,A)
【文献】 特開2003−335196(JP,A)
【文献】 特開2012−116360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
B60R 21/00
B60T 7/12
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
自車後輪の側方または自車後輪よりも後方の側方を送信範囲に含み、この送信範囲に探査波を逐次送信するとともに、その反射波を逐次受信する後部測距センサ(3)の検出結果を取得する後部センサ取得手段(1a)と、
自車両の後退中に、前記後部センサ取得手段が逐次取得する前記反射波の強度に基づいて、自車両に隣接する駐車車両の駐車空間前側の車輪および駐車空間奥側の車輪の位置を検出する車輪検出手段(1、S110、S130)と、
前記車輪検出手段が検出した前記駐車空間奥側の車輪の位置に基づいて、自車両の駐車位置を決定する駐車位置決定手段(1、S135)と、
その決定した駐車位置へ自車両を駐車させるための支援を行なう駐車支援手段(1、S100)と、を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記車両に搭載されているエンジンのトルクを制御するトルク制御手段()と相互通信可能に接続された駐車支援装置であって、
後退中において前記車両の走行が阻害物により阻害されている状態であるか否かを判定する阻害判定手段(1、S115、S140)と、
前記阻害判定手段により、車両の走行が阻害されていると判定されたときの自車後輪の位置が、前記車輪検出手段により検出される駐車空間奥側の車輪よりも通路側であれば、前記阻害物を輪止めではないと判定し、前記車輪検出手段が前記阻害物を駐車空間奥側の車輪よりも駐車空間の奥側の位置に検出した場合には、前記阻害物を輪止めであると判定する輪止め判定手段(1、S120、S150)を備え、
前記輪止め判定手段が前記阻害物を輪止めでないと判定した場合には、前記トルク制御手段にトルクを上げる制御を実施することを要求するトルクアップ要求信号を出力し、
前記輪止め判定手段が前記阻害物を輪止めであると判定した場合には、前記駐車支援手段は阻害物を検出した位置に前記車両を駐車させ、駐車支援を終了することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車支援装置は、
前記車両の走行速度を検出する速度検出手段(5)と、前記車両の運転者が前記車両の制動操作をしているかを検出する制動操作検出手段(6)と、を備え、
前記阻害判定手段は、前記速度検出手段および前記制動操作検出手段の検出結果から、運転者が制動操作をしておらず、かつ、前記車両の速度が0である場合には、阻害物によって後退が阻害されている判定し、一方、前記車両の速度が0より大きい、または、運転者が制動操作をしている場合には、阻害物によって後退を阻害されていないと判定することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の駐車支援装置は、
前進時に前記車両の側方に逐次送信した探査波の反射波に基づいて障害物までの距離を逐次測定し、その測定結果に基づいて駐車空間に隣接する障害物の通路側端面の長さを検出する第1の障害物情報取得手段(1、S50)と、
前記車両の後退中に前記後部センサ取得手段が逐次取得する検出結果に基づいて、前記障害物の通路側端面の位置から反射波の強度に所定の閾値以上の変動を検出する位置までの距離を取得する第2の障害物情報取得手段(1、S50)と、
前記後部センサ取得手段が取得する検出結果に基づいて、前記障害物の駐車空間側の側面からの反射波の強度に所定の閾値以上の変動を検出した位置から再び所定の閾値以上の変動を検出する位置までの距離を取得する第3の障害物情報取得手段(1、S50)、のうちの少なくとも1つを、障害物の判定のための情報を取得する判定情報取得手段(1、S50)として備え、この判定情報取得手段で取得した情報に基づいて前記障害物が駐車車両であるか否かを判定する隣接障害物判定手段(1、S50)を備え、
前記隣接障害物判定手段で前記障害物が駐車車両であると判定した場合に、前記車輪検出手段、前記駐車位置決定手段、前記駐車支援手段を実行し、
前記隣接障害物判定手段で前記障害物が駐車車両ではないと判定した場合には、前記車輪検出手段、前記駐車位置決定手段、前記駐車支援手段を実行しないことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の駐車支援装置において、
前記車輪検出手段は、前記後部センサ取得手段が取得した反射波の強度の変動幅が所定の閾値以上になり、かつ、閾値以上の変動を観測した地点から所定距離移動するまでに、反射波の強度の変動幅が所定の閾値以下の状態に収束した場合に、前記駐車車両の前記駐車空間側の車輪の位置を検出したと判定することを特徴とする駐車支援装置
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載の駐車支援装置において、
前記後部センサ取得手段は前記後部測距センサの検出結果に基づいて障害物との距離を検出するものであって、
前記車輪検出手段は、前記駐車車両までの検出距離の変動の幅が所定の閾値以上であり、かつ、閾値以上の変動を観測した地点から所定距離移動するまでに、検出距離の変動の幅が閾値以内に収束した場合に、前記駐車車両の前記駐車空間側の車輪の位置を検出することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか1項に記載の駐車支援装置において、
前記後部センサ取得手段は、複数の測量点に対して三角測量をするものであって、
前記車輪検出手段は、三角測量の測量点のばらつきに基づいて、前記駐車車両の前記駐車空間側の車輪の位置を検出することを特徴とする駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車を後退させて並列駐車するための駐車支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自車を後退させて駐車空間に並列駐車させる操作を支援する技術として、例えば下記の特許文献1には、次のような支援を実行する駐車支援装置が知られている。
【0003】
この駐車支援装置では、自車側方に備え付けられた超音波センサによって自車側方の駐車車両を逐次検出しながら前進し、自車両が駐車可能な駐車空間を検出する。そして、前進中に超音波センサがその駐車空間内に輪止めを検出した場合に、自車の後輪が輪止めに接触するように目標駐車位置を設定し、目標駐車位置に自車が到達するように車両軌道を計算して誘導を実施する。
【0004】
また、市販されている駐車支援装置では、駐車空間に隣接する駐車車両(以降、隣接車両)の通路側の端面を基準にして目標駐車位置を設定しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許02009/063710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、隣接車両の通路側の端面を基準にして目標駐車位置を設定してしまうと、隣接車両の車長が自車の車長よりも短く、かつ、通路に対して駐車空間の奥側寄りに駐車している場合には、自車を後退させて駐車空間に並列駐車させた際に駐車枠から自車の後端がはみ出てしまうおそれがあった。
【0007】
なお、このように、自車の後端が駐車枠からはみ出ることがあるので、駐車支援装置の中には、目標駐車位置の0.8mほど手前で駐車支援を終了してしまい、その後、最終的に駐車する位置をドライバが判断するようになっている装置もある。
【0008】
また、輪止めにより駐車終了位置を判断することも考えられるが、駐車空間に輪止めが備えられていない場合には駐車終了位置を判断することができない。さらに、駐車空間に輪止めがあった場合でも、有料駐車場に設けられている車輪ロック機構を輪止めと誤検出してしまう可能性が考えられる。
【0009】
本発明は、この事情を鑑みて成されたものであり、本願が解決しようとする課題は、自車を後退させて駐車車両に隣接する駐車空間に並列駐車させる際に、自車が駐車枠からはみ出しにくい駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的を達成するための本発明は、車両に搭載され、自車後輪の側方または自車後輪よりも後方の側方を送信範囲に含み、この送信範囲に探査波を逐次送信するとともに、その反射波を逐次受信する後部測距センサ(3)の検出結果を取得する後部センサ取得手段(1a)と、
自車両の後退中に、前記後部センサ取得手段が逐次取得する前記反射波の強度に基づいて、自車両に隣接する駐車車両の駐車空間前側の車輪および駐車空間奥側の車輪の位置を検出する車輪検出手段(1、S110、S130)と、
前記車輪検出手段が検出した前記駐車空間奥側の車輪の位置に基づいて、自車両の駐車位置を決定する駐車位置決定手段(1、S135)と、
その決定した駐車位置へ自車両を駐車させるための支援を行なう駐車支援手段(1、S100)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
これによれば、後退中の自車両に隣接して駐車している駐車車両の駐車空間奥側の車輪の位置を基準に自車の駐車位置を決定する。このため、輪止めを検出しなくても目標駐車位置を定めることができ、車輪ロック機構を輪止めと誤検出して駐車位置を決定してしまうことも回避できる。
【0012】
また、従来技術のように、隣接車両の通路側端面を基準にして自車両の駐車位置を決定する場合、その隣接車両の通路側端面から反対側の端面までの長さ(すなわち、隣接車両の車長)と自車の車長の差を考慮して自車両の駐車位置を決定することになる。これに対して、本発明のように、隣接する駐車車両の駐車空間奥側の車輪を基準にして自車両の駐車位置(すなわち、駐車位置の駐車空間奥側の位置)を決定する場合には、駐車車両の駐車空間奥側の車輪からその車輪に近い側の車両端までの長さと自車の後輪から後端まで長さの差を考慮して自車両の駐車位置を決定することになる。
【0013】
車輪からその車輪に近い側の車両端までの長さは、車長の一部分であるため、車輪からその車輪に近い側の車両端までの長さの車種による違いは、車種による車長の違いほどには大きくない。よって、本発明では、車種による車長差の影響が低減できるので、駐車枠からはみ出しにくい駐車位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】駐車支援装置の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図2】駐車支援装置での駐車支援の概略を説明するための模式図である。
図3】駐車支援ECUでの駐車支援関連処理の一例を示すフローチャートである。
図4】駐車支援ECUでの駐車支援処理のフローの一例を示すフローチャートである。
図5】駐車支援ECUでの駐車位置検出処理について説明を行うための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す駐車支援装置100は、駐車支援ECU1、前部測距センサ2、後部測距センサ3、舵角センサ4、車速センサ5、ブレーキSW6、表示装置7、音声出力装置8、トルク制御ECU9および制動制御ECU10を含んでいる。また、駐車支援ECU1と前部測距センサ2、後部測距センサ3、舵角センサ4、車速センサ5、ブレーキSW6、表示装置7、音声出力装置8、トルク制御ECU9および制動制御ECU10とは、例えばCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに準拠した車内LANで各々接続されている。また、駐車支援ECU1は、内部の機能として、後部センサ取得手段1aを備えている。この後部センサ取得手段1aは、後部測距センサ3の検出結果を取得し、この検出結果に基づいて障害物までの距離を逐次検出する。また、この後部センサ取得手段1aが行う処理以外にも、駐車支援ECU1は、後述する種々の処理を実行するための種々の処理を実行する。なお、駐車支援装置100を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
【0016】
前部測距センサ2および後部測距センサ3は、探査波を送信し、障害物で反射されるその探査波の反射波を受信することで障害物までの距離を検出するために用いられる測距センサである。本実施形態では、探査波として超音波を送信する測距センサ、すなわち、超音波センサを用いる。なお、他の測距センサの例としては、レーザレーダ、ミリ波レーダなどがある。
【0017】
前部測距センサ2は、例えば指向性の中心線が自車の車軸方向と平行になるように、自車のフロントバンパの左右側面に1つずつ配置される。なお、前部測距センサ2の指向性の中心線は、自車の車軸方向から例えば20°程度まで自車前方に傾いて配置されていてもよい。その場合、前部測距センサ2からは、少し自車前方寄りの側方に向けて探査波が送信される。以降では、自車左側の前部測距センサ2を前部測距センサ2L、自車右側の前部測距センサ2を前部測距センサ2Rとする。
【0018】
ここで、前部測距センサ2を用いた、駐車空間に隣接した駐車車両や壁等の障害物及び駐車空間の検出態様の一例についての説明を行う。ここでは、便宜上、自車の右側に障害物に挟まれた駐車空間が存在する場合を例に挙げて説明を行う。以降では、図2の例をもとに説明を続けるものとする。
【0019】
図2中のAが自車を示しており、黒塗りの矢印が自車Aの前進時進行方向を示しており、B1が自車Aの前進時の進行方向に対して手前の障害物、B2が奥の障害物を示している。自車Aは、自車Aの右側に配置された前部測距センサ2Rから自車Aの少し前方寄りの左側方に向けて探査波を逐次送信しながら障害物B1、障害物B2の側方を通過しつつ、障害物B1・障害物B2からの反射波を逐次受信することになる。そして、自車Aが走行しながら前部測距センサ2Rで逐次受信した反射波をもとにして、自車Aの通過した経路並びに自車Aのこれから通過する経路の右側方に存在する障害物B1・障害物B2に隣接する駐車空間を、駐車支援ECU1が検出する。
【0020】
後部測距センサ3は、たとえば指向性の中心線が自車の車軸方向と平行になるように、自車のリアバンパの左右側面に1つずつ配置される。このとき、後部測距センサ3は自車後輪よりも自車後方に取付けられているため、後部測距センサ3によって自車後輪の側方よりも後方寄りの側方に位置する障害物を検出することができる。なお、後部測距センサ3の検出結果は駐車支援ECU1に備えられた後部センサ取得手段1aに逐次出力される。
【0021】
また、後部測距センサ3の指向性の中心線は自車Aの車軸方向から20°程度、自車後方に傾くようにしてもよい。これにより、後部測距センサ3からは、自車Aの後輪の側方よりもさらに後方寄りの側方に向けて探査波が送信される。すなわち、後部測距センサ3は、取付け位置にかかわらず、自車後輪の側方、または、自車後輪よりも後方の側方に探査波が送信されていれば良い。たとえば、後部測距センサ3の取り付け位置が、自車後輪よりもやや前方に取付けられていた場合でも、探査波の送信範囲が自車後輪の側方または自車後輪のよりも後方の側方にかかるように形成されていればよい。以降では、自車左側の後部測距センサ3を後部測距センサ3L、自車右側の後部測距センサ3を後部測距センサ3Rとする。
【0022】
また、前部測距センサ2および後部測距センサ3の指向性は、想定されている車速範囲での使用において送受波を良好に行うことができる程度の広さがありさえすれば、より狭い方が好ましい。
【0023】
舵角センサ4は、自車Aのステアリングの操舵角を検出するセンサであり、自車Aが直進状態で走行するときの操舵角を中立位置(0度)とし、その中立位置からの回転角度を操舵角として出力する。なお、この操舵角は、中立位置から右回転する場合には正(+)の符号を付して出力され、中立位置から左回転する場合には負(−)の符号を付して出力される。また、車速センサ5は、たとえば、各車輪の回転速度から自車Aの速度を検出するセンサである車輪速センサとする。
【0024】
ブレーキSW6は、運転者によるブレーキペダル(図示せず)の操作を検出するものであって、ブレーキペダルが踏み込まれるとオン信号を出力し、その踏み込みが解放されるとオフ信号を出力する。
【0025】
表示装置7は、駐車支援ECU1の指示に従ってテキストや画像を表示する。例えば表示装置7は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、表示装置7としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられたディスプレイを利用する構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置のディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0026】
音声出力装置8は、スピーカ等から構成され、駐車支援ECU1の指示に従って音声を
出力する。なお、音声出力装置8としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられ
た音声出力装置8を利用する構成としてもよい。
【0027】
トルク制御ECU9では、図示しないインジェクタやイグナイタの動作を制御し、図示しないエンジンへの燃料噴射量やエンジンの点火間隔を操作して、エンジンの回転数を制御する。また、制動制御ECU10は、車両に制動力を発生させるための図示しないブレーキアクチュエータを駆動する。
【0028】
駐車支援ECU1は、自車Aを後退させて駐車空間へ並列駐車させるための駐車支援に関する処理(以下、駐車支援処理)等の各種の処理を実行する。駐車支援ECU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、いずれも周知のCPU、ROM・RAM・EEPROM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。メモリには、市販されている車両の平均的な車幅や車長、および、自車Aの車幅や車長などのデータを記憶している。
【0029】
駐車支援ECU1は、前部測距センサ2、後部測距センサ3、舵角センサ4、車速センサ5、ブレーキSW6、トルク制御ECU9、制動制御ECU10から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行する。そして、制御プログラムを実行した結果、トルクを上げる必要があると判定した場合には、トルク制御ECU9にトルクを上げる制御を実施するように要求するトルク制御指令を出力する。一方、車速を減速または車両を停止させる必要があると判定した場合には、減速または走行の停止を要求するブレーキ制御指令を制動制御ECU10に出力する。
【0030】
ここで、図3図4を用いて、駐車支援ECU1での駐車支援関連処理についての説明を行う。図3に示す駐車支援関連処理のフローチャートは、駐車支援ECU1が所定の開始トリガを検出したときに開始される。開始トリガとしては、例えば図示しない駐車支援開始スイッチをオンにする入力操作などが挙げられる。
【0031】
ステップS10では、駐車空間検出処理を実施してステップS20に進む。駐車空間検出処理において自車Aは、前部測距センサ2から自車Aの側方に向けて探査波を逐次(例えば100msecごと)送信しながら障害物(すなわち、駐車車両B1・B2)の側方を通過する。駐車支援ECU1は、前部測距センサ2が探査波を送信してから反射波を受信するまでにかかる時間から障害物までの距離を測定する。また、自車Aの移動に伴って前部測距センサ2も移動するため、この移動距離を利用した公知の三角測量技術によって、障害物の位置を検出することができる。
【0032】
そして、各駐車車両からの反射波を逐次受信することで障害物までの距離を時系列に記憶した距離データ系列(点列)から、障害物の輪郭形状を特定し、障害物が存在しない空間、すなわち、駐車空間を検出する。
【0033】
ステップS20では、自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かを判定する。自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かは、前進時進行方向における駐車空間の長さと自車Aの車幅とに基づいて判定する。ステップS20において駐車可能と判定した場合(ステップS20 YES)、ステップS30に移る。また、駐車可能でないと判定した場合(ステップS20 NO)には、ステップS10に戻り、自車Aの側方に存在する障害物を検出しながら前進し、ステップS10からS20のフローを繰り返す。
【0034】
ステップS30では仮駐車位置設定処理を行って、ステップS40に移る。仮駐車位置設定処理では、駐車空間検出処理で検出した駐車空間に自車Aを駐車するための、仮の目標とする駐車位置(以下、仮駐車位置C)を設定する。
【0035】
前進時進行方向における仮駐車位置Cの位置は、例えば、駐車空間の両側に障害物が隣接している場合には、これらの障害物の対向する側面の中央に設定する。また、駐車空間の片側にしか障害物が隣接していない場合には、この片側の障害物から予め設定した設定値(例えば1m)だけ離間した位置に設定する。そして、仮駐車位置Cの、通路から駐車空間に進入する方向における位置は、駐車したときに自車Aの前端が、隣接する障害物の通路側端面と一致するように設定すればよい。
【0036】
なお、このステップS30で設定された仮駐車位置Cは、駐車空間に自車Aが進入するまでの駐車経路を算出するために用いられ、最終的に自車Aが停止して駐車を完了する位置(駐車完了位置)は後述するステップS135で算出される。また、このステップS135で算出される駐車完了位置が請求項1に記載の駐車位置に相当する。
【0037】
ステップS40では、駐車経路算出処理を行って、ステップS50に移る。駐車経路算出処理では、自車Aの現在位置に基づいて後退開始位置P0を設定し、仮駐車位置Cに到達するための駐車経路を決定する。駐車経路の決定方法については、特開2003−34206号公報や特開2009−83806号公報に開示されているように公知であるので、詳細については省略する。
【0038】
ステップS50では、駐車空間に隣接する障害物が駐車車両であるか否かを判定する。駐車空間に隣接する障害物が駐車車両であるかの判定は、駐車空間に隣接する障害物の通路側端面の前進時進行方向の長さが、市販されている車両の車幅の平均値を基準に所定の範囲内に収まっているか否かに基づいて行えばよい。そして、駐車空間に隣接する障害物が駐車車両であると判定された場合(ステップS50 YES)には、ステップS100に進み、本発明における駐車支援(第1の駐車支援処理)を開始する。また、駐車空間に隣接する障害物が駐車車両ではないと判定した場合(ステップS50 NO)には、ステップS200に移り、従来技術による駐車支援(第2の駐車支援処理)を実施する。なお、駐車空間に隣接する駐車車両を以降では隣接車両と称する。また、このステップS50が請求項4に記載の隣接障害物判定手段に相当する。さらに、前部測距センサ2の検出結果に基づいて駐車空間に隣接する障害物(以降、隣接障害物)の通路側端面の前進時進行方向の長さを取得する処理が、請求項4に記載の判定情報取得手段としての第1の障害物情報取得手段に相当する。なお、上記手法により隣接障害物が車両であるかを判定することに代えて、後述する変形例1〜2のようにして隣接障害物が車両であるかを判定してもよい。
【0039】
ステップS100では、第1の駐車支援処理を実施する。ここで、第1の駐車支援処理は、別途図4に示すフローチャートを用いて説明する。図4のフローチャートは図3のステップ100に移ったときに開始される。なお、第1の駐車支援処理中では、駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように、操舵角を自動制御する。よって、このステップS100の処理が請求項1に記載の駐車支援手段に相当する。なお、ここでは、さらにトルク制御ECU9や制動制御ECU10と駐車支援ECU1が相互通信を実施して自動的に速度制御を行う構成とするが、運転者が速度制御を行う構成としてもよい。
【0040】
ステップS105では、自車Aが後退を開始したか否かを判定する。自車Aが後退を開始したことは、シフト位置が後退位置となったことを示す信号が、図示しないシフトポジションセンサから駐車支援ECU1に入力されたことに基づいて検出する構成とすればよい。自車Aが後退を開始したことを検出していない場合(ステップS105 NO)には、ステップS105のフローを繰り返す。そして、後退の開始を検出した場合(ステップS105 YES)には、ステップS110に移る。
【0041】
また、後退の開始に伴って、後部測距センサ3からの探査波の送信を開始する。後部測距センサ3は探査波を逐次(例えば100msecごと)送信し、かつ、探査波の反射波を逐次受信し、その検出結果を後部センサ取得手段1aに出力する。また、後部センサ取得手段1aは、後部測距センサ3からの検出結果に基づいて障害物との距離や位置を測定する。
【0042】
ステップS110では、隣接車両の通路側の車輪(第1車輪)を検出したか否かを判定する。隣接車両の第1車輪を検出したか否かの判定は、後部センサ取得手段1aが取得する検出信号の変動に基づいて行う。
【0043】
この判定を以下に詳しく説明する。一般に測距センサ(本実施形態では後部測距センサ3)の信号出力(すなわち、反射波の強度)は検出中において常時変動している。しかしながら、後部測距センサ3の探査波が車両ボディ側面の比較的平面状の部分で反射される場合に比べ、タイヤハウス部の凹凸部分で乱反射されて返ってくる場合のほうが、反射波の分散度合いは大きくなる。このため、反射波の信号出力は、タイヤハウス部からの反射波を受信している場合は、常時変動している際の一定時間内の変動幅よりも大きく変動する傾向がある。その概念図を図5に示す。なお、図5は簡略化されているが、実際には信号出力や検出距離は変動している。この信号出力の変動を利用し、隣接車両の通路側端面から所定の距離(たとえば車両の前端から前輪までの距離の平均値)近傍において、後部測距センサ3の信号出力に所定の閾値を超えた変動が観測され、かつ、その閾値以上の変動を観測した位置から所定の距離移動するまでに、閾値以上の変動を観測する以前の状態に収束した場合に、第1車輪を検出したと判定する。閾値以上の変動の発生から収束までに許容される所定の距離は、タイヤハウス部の平均的な直径とすればよい。タイヤハウスを検出したか否かに用いる閾値は、平面状の部分を検出しているときの変動幅よりも大きな値を設定すればよい。
【0044】
また、信号出力の変動だけではなく、自車Aと隣接車両との距離の検出結果(すなわち検出距離)の一時的な変動や、三角測量を行ったときの測量点のばらつきなどを組み合わせて、第1車輪を検出したと判定しても良い。検出距離の一時的な変動を利用する場合にも、検出距離の変化の幅に閾値を設定し、その閾値を超える変化が発生してから所定距離移動するまでに元の検出距離近傍に戻れば、車輪を検出したとする。また、隣接する車両の側面ボディなどの平坦な場所を三角測量している場合は、たとえば特開2008−21039に開示されているように、測量点の点列に放物線や楕円の一部によって近似できる連続性を観測できる。その連続性から所定の閾値以上離散した測量点が検出された場合、車輪を検出したとすればよい。なお、このステップ110および後述するステップ130が、請求項1に記載の車輪検出手段に相当する。
【0045】
隣接車両の第1車輪を検出した場合(ステップS110 YES)には、第1車輪検出済みであることを内部状態として保持しつつ後退を継続し、ステップS115に進む。また、隣接車両の第1車輪を検出していない場合は、ステップS110はNOとなり、後退しながらステップS110を繰り返す。
【0046】
ステップS115では、後退を阻害する要因(以降、阻害物)を検出したか否かを判定する。阻害物の有無は、車速センサ5から算出される自車速度とブレーキSW6の状態から判定される。すなわち、ブレーキSW6からの出力がオフであり、かつ、車速センサ5から速度が0である場合には、ブレーキペダルが踏まれていない状態において後退ができていないため、阻害物があると判定され(ステップS115 YES)、ステップS120に進む。一方、その他の場合には阻害物を検出したとは判定せず(ステップS115 NO)、ステップS130に進む。なお、このステップS115は、ステップS110で第1車輪を検出してから、後述するステップS130で第2車輪を検出するまで逐次実施される。
【0047】
また、阻害物を検出する方法としては上記に限らない。たとえば、後部測距センサ3とは別に、指向性の中心が自車後方の下向きとなるように配設された超音波センサなどの測距センサを備えることによって路面上の障害物を検出する構成としても良い。なお、このステップS115と後述するステップS140が、請求項2に記載の阻害判定手段に相当する。
【0048】
ステップS120では、ステップS115で検出した阻害物を有料駐車場に備えられている車輪ロック機構などの、輪止め以外のものであると判定し、ステップS125に進む。このステップS120と後述するステップS150が請求項2に記載の輪止め判定手段に相当する。
【0049】
ステップS125では、トルク制御ECU9にトルクを上げる制御を行うことを要求するトルクアップ要求信号を出力する。トルク制御ECU9は、トルクアップ要求信号を受信すると、図示しないインジェクタやイグナイタなどの動作を制御し、エンジンのトルクを上げる制御を行う。このとき、駐車支援ECU1とトルク制御ECU9は相互に通信を行い、車速センサ5からの出力を監視しながら段階的に上昇させる。そして、阻害物を検出した位置からの所定量(0.3mほど)自車Aが後退したことを検出すると、阻害物を乗り越えることができたと判断し、ステップS130に進む。このとき阻害物を乗り越えた勢いによって、駐車支援時での想定速度(たとえば4km/h)に対して、速度が超過していると判断した場合は、制動制御ECU10に想定速度まで減速する制御を行うことを要求する信号を出力する。
【0050】
ステップS130では、隣接車両の第2車輪を検出したか否かを判定する。第2車輪を検出したか否かを判定は、第1車輪を検出した位置から所定の距離(たとえば前輪から後輪までの平均的な距離)近傍において、後部測距センサ3からの検出信号に、ステップS110で前述したような変動が観測されたか否かに基づいて行えばよい。隣接車両の第2車輪を検出した場合(ステップS130 YES)は、ステップS135に進む。また、隣接車両の第2車輪を検出していないと判定した場合は、ステップS130はNOとなり、ステップS115〜S130のフローを繰り返す。
【0051】
ステップS135では、駐車完了位置算出を行ってステップS140に進む。駐車完了位置は、たとえば、後退方向において隣接車両の第2車輪の位置と自車Aの後輪の位置とが一致する位置を駐車完了位置とする。駐車完了位置を算出することで、隣接車両の第2車輪を検出した位置から駐車完了位置までの移動量が求まる。
【0052】
また、自車Aの後輪から車両後端までの長さが、一般的な車両の後輪から車両後端までの平均的な長さと異なる場合には、その差分を考慮した所定の距離だけ第2車輪から自車Aの後輪の位置がずれるように駐車完了位置を算出してもよい。たとえば、自車Aの後輪から車両後端までの長さをL1、一般的な車両の後輪から車両後端までの平均的な長さをL2とすれば、ΔL=L1−L2だけ駐車車両の第2車輪から自車Aの後輪の位置がずれるように予め設定させておけばよい。なお、自車Aにおける後輪、後端、後部測距センサ3などの位置は、駐車支援ECU1に備えられているEEPROM等の不揮発性メモリに記憶させておけばよい。なお、このステップS135が請求項1に記載の駐車位置決定手段に相当する。
【0053】
ステップS140では、後退を阻害する阻害物を検出したかを判定する。阻害物の有無は、ステップS115で前述したように判定すればよい。阻害物を検出した場合(ステップS140 YES)は、ステップS150に進む。一方、阻害物を検出していないと判定した場合(ステップS140 NO)は、ステップS145に進む。なお、このステップS140は、第2車輪を検出してから、駐車完了位置に到達するまで繰り返し実施される。
【0054】
ステップS145では、自車Aが駐車完了位置に到達したか否かを判定する。駐車完了位置に自車Aが到達したかは、隣接車両の第2車輪を検出した位置から、ステップS135で算出した移動量だけ移動したかに基づいて判定すればよい。自車Aの移動量は車速センサ5が検出する車速から算出する。そして、自車Aが駐車完了位置に到達したと判定した場合は、ステップS145がYESとなってステップS155に進む。一方、まだ自車Aが駐車完了位置に到達していないと判定した場合(ステップS145 NO)は、ステップS140に戻り、ステップS140〜S145のフローを繰り返しながら後退を継続する。なお、自車位置と駐車完了位置とを比較して、自車位置が駐車完了位置に近づくにつれて、制動制御ECU10に走行速度を落とす制御を行うように要求する信号を出力してもよい。
【0055】
ステップS150では、ステップS140に検出された阻害物を輪止めであると判断して、ステップS155に進む。
【0056】
ステップS155では、制動制御ECU10に自車Aを停止させる制御を行うように要求する停止要求信号を出力する。そして停止要求信号を受信した制動制御ECU10は、ブレーキアクチュエータを駆動させ、自車Aを停止させる。車速センサ5から停止が確認されると、駐車状態(シフト位置をパーキング位置、図示しないサイドブレーキをオンなど)に遷移させる。そして、第1の駐車支援処理を終了する。
【0057】
また、図3のステップS200では、従来の駐車支援処理である第2の駐車支援処理を実施する。すなわち、駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように自動操舵などを行う。そして、自車Aが仮駐車位置Cの0.8mほど手前まで到達すると、駐車支援を終了する旨を音声出力装置8から報知し、第2の駐車支援処理を終了する。
【0058】
以上の一連の処理を図2および図5を用いて説明する。自車Aは、前部測距センサ2Rから自車Aの右側方に向けて逐次送信した探査波の反射波に基づいて障害物までの距離を逐次検出することで、障害物B1の通路側端面の輪郭形状と障害物B2の一部分の輪郭形状を特定し、自車Aが駐車可能な駐車空間を検出する(S10およびS20 YES)。図2中の点線Sは、障害物の通路側端面において前部測距センサ2Rで検出できた部分を表している。
【0059】
検出した駐車空間に仮駐車位置Cを設定し(S30)、現在位置から仮駐車位置Cまでの駐車経路を算出する(S40)。そして、駐車空間に隣接する障害物(すなわち、駐車車両B1)の通路側端面の長さから、この障害物が駐車車両であると判定する(S50 YES)。
【0060】
その後、第1の駐車支援処理(S100)を開始して駐車経路に沿って自動走行を行い、後退開始位置P0に到達すると後退を開始する(S105 YES)。また、この後退に伴って後方測距センサ3は逐次探査波を送受信する。
【0061】
そして、隣接車両B1で反射された反射波を後部測距センサ3が受信し、この検出結果に基づいて後部センサ取得手段1aは、隣接車両B1の通路側前端の後退方向位置を検出する(図5のP1)。その後、後退を継続し、P1から所定の距離近傍において検出信号や検出距離の変動(P2)を検出すると、その位置を隣接車両B1の第1車輪位置とする(S110 YES)。さらに後退を継続し、P2より所定の距離近傍において再び検出信号や検出距離に変動(P3)が見られると、その位置を第2車輪位置とする(S130 YES)。そして、隣接車両B1の第2車輪と自車Aの後輪の奥行き位置が一致するように駐車完了位置を算出し(S135)、速度を落としながら後退を継続する。その後、駐車完了位置に到達すると(S145 YES)、駐車支援ECU1は制動制御ECU10に停止要求信号を出力して停止させ(S155)、自車Aを駐車させる。
【0062】
本実施形態では、駐車空間に隣接する駐車車両の、駐車空間奥側の車輪の位置と自車Aの後輪の位置に基づいて駐車完了位置を設定する。これにより、駐車車両と自車Aの車長の差が大きい場合においても、その車長差の影響を低減し、駐車枠から自車Aがはみ出すことを抑制できる。
【0063】
さらに、駐車車両の後輪の位置を基準に自車Aの駐車位置を決めるため、輪止めを検出しなくても駐車完了位置を定めることができ、また、車輪ロック機構を輪止めと誤検出して駐車完了位置を誤って定めることも回避できる。
【0064】
また、路面上の阻害物を検出し、その阻害物が輪止めであるかどうかを判定する構成を備えることによって、阻害物が輪止めであった場合には輪止めの位置に合わせて駐車することが可能となる。さらに、路面上の阻害物が車輪ロック機構などであった場合には、駐車位置の手前で停止してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0065】
(変形例1)
本実施形態において、隣接障害物が駐車車両であるかどうかの判断は、S50で述べたように、隣接障害物の通路側端面の長さに基づいて行うとしたが、これに限らない。駐車空間に隣接する障害物の通路側前端の位置から、一定時間内の反射波の信号出力に所定の閾値以上の変動を検出する位置までの距離を取得する第2の障害物情報取得手段を判定情報取得手段として備えてもよい。この場合には、隣接障害物判定手段は、第2の障害物情報取得手段が取得した距離が、市販されている車両の前端から前輪までの平均的な距離を基準として、その基準から所定の範囲内に収まっているかどうかで判定すればよい。
【0066】
また、後部センサ取得手段1aが取得する検出結果に基づいて、一定時間における隣接障害物の駐車空間側の側面からの反射波の信号出力に、所定の閾値以上の変動を最初に検出した位置から、信号出力の変動が上記閾値よりも小さくなり、再び所定の閾値以上の変動を検出する位置までの距離を取得する第3の障害物情報取得手段を判定情報取得手段として備えてもよい。この場合には、隣接障害物判定手段は、第3の障害物情報取得手段が取得した距離が、市販されている車両の前輪から後輪までの平均的な距離を基準として、その基準から所定の範囲内に収まっているかどうかで判定すればよい。
【0067】
(変形例2)
さらには、判定情報取得手段として、それら3つの障害物情報取得手段のうちの2つ以上を備え、隣接障害物が駐車車両であるか否かの判定には、それら2つ以上の障害物情報取得手段が取得した情報を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
第1の障害物情報取得手段と第2の障害物情報取得手段を組み合わせた場合の判定例としては、隣接障害物の通路側端面の長さが車幅程度であるときに、隣接障害物は駐車車両であると仮判定する。そしてその後、隣接障害物の通路側前端(図5のP1)から所定の位置近傍で、反射波の信号出力に所定の閾値以上の変動が観測された時点(図5のP2)で、この隣接障害物を駐車車両と本判定とする構成とすればよい。さらに、3つの障害物情報取得手段を全て組み合わせた場合は、それぞれの障害物情報取得手段を個別に用いた場合において隣接障害物を駐車車両と判定する条件を、各障害物情報取得手段が取得した情報が満たしていれば、隣接障害物を駐車車両と判定する。
【0069】
このように複数の障害物情報取得手段を用いて隣接障害物が駐車車両であるか否かを判定することで、駐車空間に隣接する障害物が車両でないにも関わらず、駐車車両であると誤判定する可能性を低減することができる。
【0070】
また、隣接障害物を誤判定する可能性が低減することによって、車輪を検出したと判定する条件を変更してもよい。前述の実施形態においては、後部測距センサ3の信号出力に所定の閾値を超えた変動が観測され、かつ、その閾値以上の変動を観測した位置から所定の距離移動するまでに、閾値以上の変動を観測する以前の状態に収束した場合に、車輪を検出したと判定した。これに代えて、車両でない隣接障害物を駐車車両であると誤判定してしまう可能性を低減できる場合には、後部測距センサ3の信号出力に所定の閾値を超えた変動が観測された時点で車輪を検出したと判定してもよい。
【符号の説明】
【0071】
A…自車、B1、B2…駐車車両、
C…仮駐車位置、
1…駐車支援ECU、1a…後部センサ取得手段、2、2R…前部測距センサ、
3…後部測距センサ
図1
図2
図3
図4
図5