(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、図面を用いて本発明に係わる実施の形態につき詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における移動体への非接触給電システム100を模式的に示した図である。第1実施形態における非接触給電システム100では、移動体4と、移動体4が移動する(走行する、進行する)走行路1に設けられた給電ポイント2とマーカー60を構成する複数の電流誘起手段6とを含む。
【0021】
給電ポイント2は、移動体4に非接触で電力を伝送(供給)するための3つの給電コイル31を含む。
【0022】
それぞれ給電コイル31は、移動体4の進行方向に沿って等間隔に配置される。
【0023】
移動体4は、移動体4の外部から電力を受電するための第一の受電コイル555と第二の受電コイル5、及び第一の受電コイル555の受電量を検出する受電量検出手段45と、検出した受電量から相対位置関係を換算する相対位置情報取得手段465を含む。受電量検出手段45および相対位置情報取得手段465の詳細については後述する。
【0024】
マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6は、走行路1を移動する移動体4が移動する方向(進行方向、移動方向)に対して、給電ポイント2よりも手前側に配置される。
ここで、手前側とは、走行路1を走行中の移動体4は、マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6を通過した後に給電ポイント2を通過するということを指す。当然、長い走行路1には、複数の給電ポイントが配置されることが考えられる。その際も、移動体4は、マーカー60、給電ポイント2を順次通過する。
【0025】
第1実施形態においては、マーカー60を構成する二つの電流誘起手段6は、移動体4の進行方向に沿って斜めに配置される。
【0026】
走行路1に沿って、移動体4が給電ポイント2に進入し、給電コイル31と第二の受電コイルが相対した際に、給電ポイント2から移動体4へ非接触給電(ワイヤレス給電)される。
【0027】
非接触で電力を給電/受電する際には、既知の非接触給電技術を用いればよい。例えば、給電コイルから受電コイルとの磁場結合を利用した、(A)電磁誘導を利用するタイプ(電磁誘導タイプ)や、(B)磁場の共振現象を利用するタイプ(磁場共振タイプ)を用いることができるが、給電コイルと受電コイルとのコイル間距離を比較的大きくできる磁場共振タイプを用いるのが好ましい。
【0028】
図2は、給電ポイント2の詳細な構成を示している。給電ポイントは、少なくとも給電コイル31を備える。なお、移動体への非接触給電を長時間行う目的で、複数の給電コイル31を用いても構わない。
【0029】
また、給電ポイント2は、エキサイトコイル311、電力経路を切り替えるためのスイッチ32、および、商用周波数を変換するためのAC/AC変換部33、AC電源部34と電源制御部35で構成されている。なお電力経路を切り替えるためのスイッチ32を省くこともできるが、その際は、1つの給電コイル31ごとにAC/AC変換部や電源部が必要となる。
【0030】
また、給電ポイント2は、給電側情報送受信部36を備え、給電ポイント2における給電コイルの配置情報を、複数の電流誘起手段6の配置情報を、移動体へ送信することができる。
【0031】
移動体4の進入により、給電コイル31と第二の受電コイル5が相対したタイミングで、電源制御部35からの指令に基づき、AC電源部34から給電コイル31を介して、移動体4の第二の受電コイル5へ電力が伝送される。
【0032】
移動体のさらなる移動(進行)に伴い、スイッチ32を切り替えることによって、電力伝送に用いる給電コイル31を変更し、順次電力の伝送を実施することもできる。
【0033】
図3は、本発明の移動体4の構成を詳しく示す図である。移動体には、給電コイル31からの非接触給電のために、第二の受電コイル5が少なくとも設けられる。
【0034】
また、移動体4には、ロードコイル51が設けられ、整流器42により交流電力が直流電力に変換される。直流電力はフィルター機能を有する安定化回路部43にて、いわゆるリップル等が補正される。そして給電コイル31からの電力は、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の充放電可能な二次電池系で構成される蓄電池部44にて最終的に蓄電(充電)される。
【0035】
図4は、マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6の1つの形態を、詳しく示す図である。電流誘起手段6は、少なくともコイル、ここでは、マーカーコイル61を備える。また、電流誘起手段6は、マーカーコイル61へ電力を供給する手段としてのAC電源部64を備え、AC電源64からの電力は、商用周波数を変換できるAC/AC変換部63、エキサイトコイル62を経て、マーカーコイル61へ供給される。AC電源64は、マーカー側情報送受信部66と接続された電源制御部65により制御される。
【0036】
マーカー側情報送受信部66は、マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6の配置情報、および給電ポイント2を構成する給電コイル31の配置情報を移動体4へ無線で送信する。ただし、先に記載した給電ポイントにおける給電側情報送受信部36において、マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6の配置情報、および給電ポイント2を構成する給電コイル31の配置情報を移動体4へ無線で送信する場合は、マーカー側情報送受信部は必ずしも必要はない。給電側情報送受信部36、あるいは、マーカー側情報送受信部66、いずれでもかまわないが、移動体4へ、マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6の配置情報、および給電ポイント2を構成する給電コイル31の配置情報を送信することが本質である。
【0037】
マーカーコイル61は、電源制御部65の指示に従い、AC電源部64から電力が供給され、励起(励磁)された状態で、適宜、待機し、移動体4の通過に備える。
【0038】
マーカー60を構成する複数の電流誘起手段6は、それぞれ少なくとも一つのコイル、ここではマーカーコイル61を含む。すなわちマーカー60には、複数のコイル、ここではマーカーコイル61が少なくとも複数含まれる。
【0039】
ただし、それら複数のコイル、ここでは複数のマーカーコイル61へ、電力を供給する、AC電源部64、AC/AC変換部63、電源制御部65は、それぞれの電流誘起手段6に対し、各々1つずつ含む必要は必ずしもない。例えば、複数の電流誘起手段6のマーカーコイル61に対し、単一のAC電源部を用い、AC電源部からの電力の経路を切り替えながら、それぞれのマーカーコイル61に順次、電力を供給し、それぞれのマーカーコイル61を励起(励磁)させても構わないし、単一のAC電源部から同時に、それぞれのマーカーコイル61に電力を供給し、それぞれのマーカーコイル61を励起(励磁)させても構わない。
【0040】
移動体4の第一の受電コイル555は、走行路1上に配置された待機中の複数の電流誘起手段6を横切る毎に、電力伝送が行われる結果、電流が誘起される。誘起された電流は、整流器421で直流化され、受電量検出手段45で直流電流値、電圧値、さらには電力値が計測される。
【0041】
図5は受電量検出手段45の1つの形態を、詳しく示した説明図である。受電量検出手段45は、電流検出素子451もしくは電圧検出素子452の双方、またはいずれか一方を備える。
【0042】
電流検出素子451や電圧検出素子452として、例えばホール素子や磁気抵抗素子を用いることができる。電流検出素子と電圧検出素子の双方を備えることにより電力量の算出も可能となる。よって、本受電量検出手段により、第一の受電コイル555が複数の電流誘起手段6から受電した量を検出することが可能になる。
【0043】
複数の電流誘起手段6からのそれぞれの受電量は、A/D変換部/メモリ部453により、デジタル化され、時間情報とともに格納される。格納された受電量、および時間情報は、相対位置取得手段465に送信される。
【0044】
相対位置取得手段465は、第一の受電コイル555と、第二の受電コイル5、給電コイル31と電流誘起手段6の相対位置関係を換算する機能をする。相対位置取得手段465の一つの形態とし、直交方向位置計測換算部461、車速計測換算部462、メモリー部464、移動体側情報送受信部463から構成される。
【0045】
移動体側情報送受信部463は、給電ポイント2における給電コイル31の配置情報および、マーカー60における電流誘起手段6の配置情報を受信する。受信した配置情報は、メモリー部464に格納する。
【0046】
直交方向位置計測換算部461は、メモリー部464に格納された給電コイル31および電流誘起手段6の配置情報と、受電量検出手段45からの受電量の情報から、最終的に、移動体4の第二の受電コイル5と給電ポイント2における給電コイル31の、移動体進行方向に対し直交方向の相対位置、即ちコイル間のずれを換算し、出力するために設ける。コイル間のずれの換算方法に関しては後述する。
【0047】
車速計測換算部462は、メモリー部464に格納された給電コイル31および電流誘起手段6の配置情報と、受電量検出手段45からの受電量の情報から、最終的に、移動体進行方向の、第二の受電コイル5の進行速度、すなわち車速を換算し、出力するために設ける。車速の換算方法に関しては後述する。直交方向位置計測換算部461および車速計測換算部462は、後述する換算方法をプログラミングしたマイコン等の演算素子で構成することができる。
【0048】
次に、移動体進行方向に対し直交方向の相対位置、即ちコイル間のずれ及び車速の換算方法に関して記載する。
図6は、電流誘起手段6を横切る際の移動体4と給電コイル31との位置関係を示している。電流誘起手段601、602は、移動体4の進行方向に沿って斜めに配置される。電流誘起手段601,602の配置は、給電コイル位置や、走行路の幅、法廷速度を加味し、適切に決められるべきものであるが、ここでは、仮に、直交方向の間隔および進行方向の間隔が、それぞれ3mとし、給電ポイントにおける給電コイルの中央線12に対し、直交方向に等距離になるように配置する。
【0049】
Aは、移動体4の第一の受電コイル555と給電コイル31が中央線12上の位置関係、Bは、第一の受電コイル555が、中央線12より右側にずれた位置関係、Cは、第一の受電コイル555が中央線12より左側にずれた位置関係を示す。また、ここでは、簡略化のために、第一の受電コイル555と第二の受電コイル5の中心軸は直交方向にずれが無い配置としている。
【0050】
図7は、
図6A、
図6B、
図6Cの各位置関係において、電流誘起手段601および電流誘起手段602により誘起された第一の受電コイル555の電流値を受電量検出手段45で検出した際の応答を示している。ピークαは、電流誘起手段601に、ピークβは電流誘起手段602により誘起された電流値に対応する。
【0051】
図6Aでは、第一の受電コイル555の中心軸と、電流誘起手段601および電流誘起手段602の中心軸の直交方向のずれ量が、等しい状況で横切るため、第一の受電コイルと電流誘起手段601間の電力伝送効率と、第一の受電コイルと電流誘起手段602間の電力伝送効率が等しくなる。即ち、ピークαとピークβの大きさは等しくなる。
【0052】
図6Bでは、第一の受電コイル555と電流誘起手段601のコイル中心軸が概一致し、電力伝送効率が大きくなる。他方、第一の受電コイルと電流誘起手段602は直交方向で大きくずれているため、電力伝送効率が低下し、電流誘起は小さくなる。よってピークαは、
図6Aの位置関係のときよりも大きくなり、ピークβは
図6Aの位置関係のときよりも小さくなる。
【0053】
図6Cでは、第一の受電コイル555と電流誘起手段602のコイル中心軸が概一致し、電力伝送効率が大きくなる。他方、第一の受電コイルと電流誘起手段601は直交方向で大きくずれているため、電力伝送効率が低下し、電流誘起は小さくなる。よってピークβは、
図6Aの位置関係のときよりも大きくなり、ピークαは
図6Aの位置関係のときよりも小さくなる。
【0054】
即ち、ピークαとβの大きさは、コイル間のずれ量と電力伝送効率が比例するため、第一の受電コイル555が、直交方向で、電流誘起手段601もしくは602のいずれかに、より近接して横切ったのかを線形的に示す。よって、
図6A、
図6B、
図6Cのいずれにも該当しない場合、例えば、直交方向に、AとBとの中間の位置(
図6では図示せず)を移動体が横切るとすると、
図7におけるDのように、ピークαの値は、
図6Aの状態におけるピークαと
図6Bの状態におけるピークαとの中間の値に一致する。
【0055】
図8は、受電量検出手段45で得られた
図7の電流値検出結果を基に、電流ピーク値αおよびβから、給電コイル31と第二の受電コイル5の直交方向のずれを算出する手法について示している。先のAからDを含め、様々なずれ方で移動体が、電流誘起手段601、602を横切った際の電流ピーク値であるα、βを計測し、その差分値であるα―βを定義する。X軸をα−β、Y軸を給電コイル31と第二の受電コイル5の直交方向のずれ量とした際の関係を
図8に図示する。Aでは先に記載したようにα−β=0と同時に、給電コイル31と第一の受電コイル555および第二の受電コイル5の間のずれがないので
図8の原点に位置する。B、Cは先に記載したように電流誘起手段601あるいは602と第一の受電コイル555の中心が一致する状況なので、α−βの絶対値は、極大に近く、また、給電コイル31と、第一の受電コイル555もしくは第二の受電コイル5の直交方向のずれ量(Y軸の値)は1.5mとできる。
【0056】
ここで、
図8の網掛け部分に関して説明する。
図8の網掛け部分は、電流誘起手段601もしくは602のいずれか一方と第一の受電コイル555間が、電力伝送が不可能なほど、大きくずれて横切ったことを示す領域になる。すなわち、ピークαまたはピークβのいずれか一方が、全く検出できない領域となる。この領域では、直交方向のずれ量およびずれの方向も導出ができない。このため、ピークαまたはピークβのいずれか一方が検出できない場合、給電ポイントにおける非接触給電を中止するシステムの制御することが好ましい。他方、ピークαまたはピークβが検出できない事態をさけるため、例えば、車線で走行路幅を規制することが考えられるし、第二の実施形態として後述するように、マーカーにおける電流誘起手段の数を増やし、移動体がマーカーからそれること抑制することが好ましい。
【0057】
給電コイル31と第二の受電コイル5の直交方向のずれの方向は、前述したように給電ポイント2あるいはマーカー60から送信され、格納されている給電コイル31と複数の電流誘起手段6の配置情報と、第一の受電コイル555と第二の受電コイル5の位置関係から導出できる。ここでは、最初に横切る電流誘起手段6が給電コイル31の右方にあるので、α−βが正(+)なら直交方向で右にずれていることになる。また、第一の受電コイル555と第二の受電コイル5の間で直交方向にずれがあると、その分の補正量を加味する必要がある。このため、演算量を減らす目的で、第一の受電コイル555と第二の受電コイル5は、直交方向にずれが無いことが好ましく、後述するように第一の受電コイル555と第二の受電コイル5が同一であることが好ましい。
【0058】
給電コイル31と第二の受電コイル5の直交方向のずれ量は、
図8の関係が既知ならば、計測されるα−βと一致するY軸の値で換算される。他方、
図8の関係が未知ならば、α−βの絶対値を算出することで、ここでは、ずれの方向およびずれ量の誤差が1.5mの範囲で導出される。
【0059】
即ち、移動体側情報送受信部463により、電流誘起手段601と602、そして給電コイル31の走行路における配置情報を受信し、受電量検出手段45により検出されたαおよびβから、直交方向位置計測換算部461によりα―βを演算し、絶対値により直交方向のずれが判明し、
図8のような関係が既知ならば、直交方向位置計測換算部で、α―βに対応するY軸の値に換算することで、給電コイル31と第二の受電コイル555の相対位置関係、すなわち直交方向のずれを精度よく導出することができる。
【0060】
なお、電流値の代わりに、電圧値や電力値のピーク値をαまたはβと定義し、α―βを演算し、換算しても同様の効果が得られるし、αとβの値をピーク値ではなく、面積値とすることもできる。また、α―β値を規格化して、計測することもでき、例えば、(α−β)/(α+β)でもよい。
【0061】
次に車速の導出方法について説明する。移動体側情報送受信部463により、電流誘起手段601と602、そして給電コイル31の走行路における配置情報を受信すると共に、受電量検出手段45により検出された電流ピーク値であるαとβの時間的な間隔を計測する。ここでは、例えば、αとβの時間的な間隔を0.20秒とすると、電流誘起手段601と602の進行方向の配置間隔は3mとしたので、車速は、時速54kmと導出される。車速計測換算部462において、電流誘起手段6の進行方向の配置間隔を、αとβの時間間隔で除する換算を実施することにより、移動体の車速を精度よく導出することができる。
【0062】
すなわち、本実施形態である、走行路に設けられ少なくとも一つの給電コイルを含む給電ポイントから、前記走行路を移動する移動体への給電を行う非接触給電システムであって、前記移動体は第一の受電コイルと前記給電コイルから電力を受電する第二の受電コイルと、を含み、前記走行路は前記移動体の走行方向に対して前記給電ポイントより手前にマーカーを含み、前記移動体が前記マーカーに含まれる複数の電流誘起手段を通過する際に、前記第一の受電コイルに誘起された受電量を検出する受電量検出手段と、前記受電量検出手段によって検出された前記受電量により、前記給電コイルと前記第二の受電コイルとの相対位置関係に換算する相対位置情報取得手段と、を備えたことを特徴とする非接触給電システムは、走行路を移動する移動体が給電ポイントに進入する前に、高い精度で、移動体の第二の受電コイルと給電ポイントとの相対位置情報、直交方向の位置ずれと車速を、導出することが可能である。
【0063】
更には、給電コイルと第二の受電コイルの相対位置、すなわち、直交方向の位置ずれ、および車速を元に、給電コイルと第二の受電コイルの直交方向のずれを補正することにより、給電ポイントにおける給電コイルと、第二の受電コイルをずれなく相対させることができ、車速を補正することにより、給電コイルと第二の受電コイルの進行方向のずれが抑制され、高効率の電力が移動体に伝送できる、移動体への非接触給電システムの構築が可能となる。
【0064】
図9は、本実施の形態の移動体への非接触給電システムにより、移動体へ非接触給電を行う方法を示すフローチャートである。なお、以下の本実施の形態の説明では、
図1から
図8に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付して説明する。
図9の「ステップ」は以下、単にSとして説明する。
【0065】
移動体4が給電ポイント2に近づき、移動体側情報送受信部463と給電側情報送受信部36およびマーカー側情報送受信部66が、送受信可能な領域に進入すると、S1が開始される。この時に、蓄電部44の蓄電状態(充電状態、いわゆるSOC)等、給電コイル31と第二の受電コイル5が、電磁共鳴あるいは誘導条件を満たすために必要な周波数や回路定数、許容される電力等の非接触電力伝送を行う際の条件情報群、課金を行うための決済情報等が、移動体4と給電ポイント2の間でやりとりされる。次に移動体4の給電の必要性を判定するS2が設定される。
【0066】
S3は、移動体4に給電を実施するかどうかの分岐ステップをしめす。給電ポイント2における、非接触で電力を伝送するための伝送周波数や伝送電力量に対し、移動体4が対応可能か否か、更に、移動体4が給電を必要としているかにより、ステップが分岐する。S3の分岐により、移動体4に給電を行うことが決定されると、S4へ移行する。S4では、給電ポイント2における給電コイル31や、複数の電流誘起手段6の配置情報および、給電ポイント2を通過する際の好ましい車速指示値が、給電ポイント2および/またはマーカー60から移動体4の移動体側情報送受信部463へ送信され、メモリー部464に格納される。なお、予め前記配置情報および車速指示値の取り決めが実施されていた場合、S4は不要となる。
【0067】
S5は、移動体4がマーカー60を通過したかどうかの判定ステップとなる。S6は移動体がマーカー60を通過し始めたかどうかの分岐ステップである。移動体4が電流誘起手段6を横切り始め、前述の電流誘起手段により、電流誘起手段6が第一の受電コイル555に電流を誘起し、受電量検出手段45により受電量が検出されると、移動体4がマーカー60を通過し始めたと判定され、S7へ移行する。
【0068】
複数の電流誘起手段6により、誘起された受電コイル5の複数の電流、電圧、もしくは電力値等の受電量は、順次、受電量検出部45で検出され、適宜、相対位置取得手段465に送信され、その中のメモリー部464に格納される。
【0069】
S4で格納済の電流誘起手段6および給電コイル31の配置情報と、S6で格納される受電量から、直交方向位置換算部461により、移動体の直交方向のずれ量が、S7で換算され、メモリー部464に格納される。
【0070】
S4で格納済の電流誘起手段6および給電コイル31の配置情報と、S6で格納される受電のタイミングから、車速計測換算部462により、移動体の車速が、S8で換算され、メモリー部464に格納される。
【0071】
S9では、S4にて格納済の電流誘起手段および給電コイル配置図情報と、S7で得られた直交方向のずれ量、S8で得られた車速から、給電コイル3と第二の受電コイル5を、直交方向にずれなく相対させると共に、適切な車速にするための補正量を算出する。本実施形態では、直交方向位置計測換算部461および車速計測換算部462にて、補正量を算出しているが、別途、演算部を設けてもよい。
【0072】
S10では、S9における前記補正量を、移動体の運転者に指示するため、指示値表示用モニター47に表示する。また、移動体4に、操舵やモーター回転数をアクチュエーター等の既知の手法でもって、自動制御する補正操舵角および車速補正自動制御部48を設けると共に、S9における前記補正量を元に、自動で移動体の直交方向のずれおよび車速を補正するステップを設けてもよい。
【0073】
S11およびS12は、運転者が、S10で指示された補正量を元に、移動体の補正を実施した後においても、継続して横切る複数の電流誘起手段6にて誘起され、受電量検出手段45により検出される、第一の受電コイル555の電流、電圧、電力といった受電量を用いて、更なる位置および車速補正が行えることを示す。
【0074】
S13は、複数の電流誘起手段6を通過しきった後の、最終的な直交方向の給電コイル31と第二の受電コイル5の直交方向のずれ、および車速情報を元に、給電が実施できるか判定を行う。S14は、最終的に給電が可能か否かの分岐ステップとなる。大きく給電コイルと受電コイルがずれている、例えば、給電コイルの直前に、走行路レーンを変更したような場合、給電動作を中止する。
【0075】
直交方向のずれ量が補正され、指示された車速をもって給電ポイント2に進入しようとする移動体4へは、給電コイル31と第二の受電コイル5の相対が予想されるタイミングにおいて、電力伝送が実施される。
【0076】
電力伝送を実施するタイミングは、S15で移動体4から給電ポイント2へ送信される、車速および電流誘起手段を通過しきった時刻情報等から決定される。給電ポイント2が、複数の給電コイル31を有する場合、車速から予測される、それぞれの給電コイル31と第二の受電コイル5が相対するタイミングで、順次、スイッチ32を切り替えながら、S16において移動体4への非接触給電を行う。
【0077】
よって、本フローチャートに従えば、走行路に配置される、給電ポイントに進入する前に、給電ポイントにおける給電コイルと、移動体に設けられた受電コイルとの相対位置、即ち直交方向のずれ量と車速を、給電ポイント進入前に導出でき、給電コイルと受電コイルのずれを補正することにより、高効率で移動体への非接触給電が可能となる。
【0078】
[第2実施形態]
ここでは、マーカーに含まれる複数の電流誘起手段の配置に関して、別の実施形態を示す。ただし、特に明言が無い場合は、第1実施形態と同様とする。
【0079】
図10にマーカー60を構成する複数の電流誘起手段6の配置を示す。電流誘起手段を示す、611Rおよび616Sは、直交方向に等間隔で、それぞれ4つ連なり、走行路の幅一杯に、かつ、移動体4がマーカー6のどこを横切ろうとも、4つ内いずれかの電流誘起手段のごく近傍を通過するように配置されている。電流誘起手段611Rおよび611Sの役割は、主に、移動体4がマーカー60を横切り始めた時間および横切り終えた時間(時刻)を計測することにある。ここでは、直交方向の各電流誘起手段の間隔は、1mとする。
【0080】
次に、
図10中の4つの電流誘起手段612から615までを説明する。電流誘起手段612から615は、移動体進行方向に対して、斜めに配置される。そして、直交方向のずれの換算が簡便になるように、613と614の中央線と、給電コイルの中央線が一致するように、ここでは配置される。さらに、進行方向および直交方向の間隔は、電流誘起手段611Rおよび616Sを含め、等間隔になるように配置している。ここでは、直交方向および進行方向ともに各電流誘起手段の間隔を1mとする。
【0081】
図11に、
図10の給電コイル31および電流誘起手段の配置において、移動体4がマーカー60に対し、進入する様子を示す。Eは、給電コイル31の中央線を基準して、直交方向の左側にずれて進入する場合、Fは直交方向にずれないで進入する場合、Gは直交方向でわずかに右側にずれて進入する場合を示す。
【0082】
図12に、
図11で示しE、F、Gの各状況で移動体4がマーカー60を横切った際に、各電流誘起手段6により、誘起された第一の受電コイル555に流れる電流値の時間に対する応答を示す。電流誘起手段611Rおよび616Sによる電流値(611RPおよび616SP)は、E、F、Gのいずれの状態においても検出される。よって移動体4は、マーカー60を横切り始めた時間と横切り終えた瞬間を識別でき、その時間(時刻)を取得できる。
【0083】
図11で示したEの状態において、第一の受電コイル555は、電流誘起手段611Rによって電流誘起された後、電流誘起手段612からは、かなり離れているため電流値は検出されず(
図12中のEの状態の612Pの位置に電流応答なし)、少し離れた電流誘起手段613によってわずかに電流誘起され電流値が検出される(
図12中の613PのEの状態の位置の電流値ピーク)。その後、電流誘起手段614および615からは等価な距離にあるため、613の電流値ピークよりやや大きめで、かつ等しい電流値が検出される(
図12中のEの状態の614Pおよび615Pの位置の電流値ピーク)。FおよびGの状態での電流応答挙動も同様の理由から説明できる。
【0084】
次に、
図12で示される、検出された第二の受電コイルに流れる電流応答挙動から、直交方向の、給電コイル31に対する第二の受電コイル5のずれ方向および、ずれ量を導出する方法を記載する。ここでは、第1実施形態と同じく、第一の受電コイル555と第二の受電コイル5の直交方向のずれはないものとする。仮に第一の受電コイルと第二の受電コイルとの間に、直行方向のずれがあっても、そのずれ量を最後に補正すればよく、本発明の本質とは関連がない。電流誘起手段から誘起され、第一の受電コイル555に流れる電流量は、電流誘起手段と第一の受電コイルとの近接度合いと比例することは既に記載した。即ち、状態Gにおける電流誘起手段613からの誘起される電流値が最も大きい(
図12におけるGの状態の613Pの電流値ピーク)。ここで、電流値を0.3とすれば、各状態E、F、Gにおけるそれぞれの電流誘起手段612〜615から誘起される電流値も、
図12のようにあらわせる(
図12における各電流ピークの右上の数値)。
【0085】
他方、電流誘起手段612または615から誘起される電流値が大きいほど、第二の受電コイル5は、給電コイルから直交方向にずれていることを示す。そこで、重み係数を定義し、定量的に直交方向のずれ量を示せるようにする。重み係数は、給電コイルの中央線から直交方向に離れた電流誘起手段による寄与(誘起)ほど、絶対値を大きくする。また、重み係数の符号は、直交方向右側に配置される電流誘起手段からの寄与(誘起)には正(+)を、直交方向左側に配置される電流誘起手段からの寄与(誘起)には負(−)とする。
【0086】
図13に、定義した重み係数と、各状態E、F、Gにおける、電流誘起手段612〜615からの誘起された電流ピーク値を改めて示す。給電コイル31に対する第二の受電コイル5のずれ方向および、ずれ量を導出するために、以下の演算(換算)を実施する。
はじめに、各電流誘起手段612〜615から誘起され、検出された第一の受電コイルの電流値ピークと、各電流誘起手段612〜615に対し先に定義した重み係数との積を求める。
【0087】
次に、各電流誘起手段612〜615における重み係数と検出された電流値ピークの積の和を求める。重み係数に正負の符号を割り当てたので、言わば差分とも言える。この演算により求められる重み係数と検出された電流値ピークの積の和の符号により、直交方向ずれ方向が判別できる。ここでは、正(+)なら直交方向で右側に、負(−)なら直交方向左側にずれていることを示す。
また、この演算により求められる重み係数と検出された電流値の積の和の絶対値により、直交方向のずれ量が示される。絶対値が大きいほど、ここでは給電コイル31と第二の受電コイル5が直行方向にずれていることを示す。
【0088】
図14に移動体がマーカー60を横切る状態であるE、F、Gの各状態において、重み係数と検出された電流値ピークの積の和をX軸に、実際のずれ量をY軸に示す。直交方向にずれなく進入した状態Fは原点に位置する。そして状態F、状態Eおよび状態Gは、ほぼ線形関係で表現できる。即ち、
図14の関係が既知であれば、重み係数と検出された電流値ピークの積の和に対応する、Y軸値により、ずれ量が導出できる。他方、未知であっても、ここでは、50cmの誤差範囲で、やはり、給電コイル31と第二の受電コイル5の直交方向のずれ量を導出することができる。
【0089】
次に、第2実施形態における車速の導出方法について説明する。電流誘起手段611Rおよび616Sは、走行路の幅一杯に、かつ、移動体4がマーカー6のどこを横切ろうとも、電流誘起手段のごく近傍を通過するように配置されていることは記載した。よって、電流誘起手段611Rを横切る時刻と電流誘起手段616Sを横切る時刻および、移動体側情報送受信部463による電流誘起手段の配置情報、即ち、電流誘起手段611Rと616Sの距離から簡単に車速を導出できる。なお、車速の導出のために他の電流誘起手段612〜615からの電流値を車速の導出に利用することもできる。その場合、より多くのサンプリング量となるため精度が向上する。
【0090】
すなわち、本実施形態である、走行路に設けられ少なくとも一つの給電コイルを含む給電ポイントから、前記走行路を移動する移動体への給電を行う非接触給電システムであって、前記移動体は第一の受電コイルと前記給電コイルから電力を受電する第二の受電コイルと、を含み、前記走行路は前記移動体の走行方向に対して前記給電ポイントより手前にマーカーを含み、前記移動体が前記マーカーに含まれる複数の電流誘起手段を通過する際に、前記第一の受電コイルに誘起された受電量を検出する受電量検出手段と、前記受電量検出手段によって検出された前記受電量により、前記給電コイルと前記第二の受電コイルとの相対位置関係に換算する相対位置情報取得手段と、を備えたことを特徴とする非接触給電システムは、走行路を移動する移動体が給電ポイントに進入する前に、高い精度で、移動体の第二の受電コイルと給電ポイントとの相対位置情報、直交方向の位置ずれと車速を、導出することが可能である。
【0091】
[第3実施形態]
図15は、本発明における電流誘起手段の1つの形態を示す図である。第一の受電コイル555に電流を誘起する、電流誘起手段9として、
図4に示す電流誘起手段の構成例に代えて、強磁性体901を用いている。強磁性体901の構成としては、コストや耐久性の観点からハードフェライトを用いることが好ましく、また強磁性体901は、磁場に異方性を有することが好ましく、
図9の矢印の方向に大きな異方性を有することが更に好ましい。移動体4の第一の受電コイル555は、強磁性体901を横切る際に、強磁性体の磁場による電磁誘導により、電流が誘起される。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0092】
[第4実施形態]
第1実施形態において、移動体に設けられる、給電ポイントにおける給電コイルから伝送される電力を受電する第二の受電コイル、および、マーカーを構成する電流誘起手段により電流が誘起される、第一の受電コイルを例示したが、これらの第1の受電コイルと第二の受電コイルを、共用して、同一とすることもできる。
【0093】
図16に、受電コイルを共用して(同一にして)用いる形態を示す。
図16の構成以外は、第1実施形態と同様である。移動体4に設けられる受電コイル5Aは、電流誘起手段6上と給電コイル31上、いずれも電流誘起また電力伝送のために用いられる。
【0094】
第一の受電コイルと第二の受電コイルが同一であった方が、第一の受電コイルと第二の受電コイルの相対位置を補正するための演算が不要、システムの簡便さ、移動体重量の観点で好ましいことは言うまでもない。また、本実施形態によれば、非接触給電用の受電コイルをそのまま相対位置の導出に用いるため、別途位置検出用の光学的/GPS/ジャイロセンサ等によるセンシングシステムを備えたものより、安価かつ簡便であり、前記別途位置検出センシングシステムと受電コイルとの位置関係を補正する必要がないため、少ない演算量で、簡便かつ高精度で、移動体の受電コイルと給電ポイントとの相対位置情報を導出することが可能である。