(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の設備機器を有する製造ラインについて、当該製造ラインで発生が禁じられる事項である操業方案制約事項を規定する方案制約事項情報を設定する方案制約事項情報設定部と、
前記方案制約事項情報設定部により設定された前記方案制約事項情報と、予め設定された前記製造ラインの操業方案を規定する操業方案規定情報と、に基づいて、前記製造ラインの操業状態をシミュレートする操業シミュレート部と、
前記操業シミュレート部によるシミュレーション結果と、前記方案制約事項情報と、に基づいて、前記方案制約事項が発生したかを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果と、前記方案制約事項毎に予め設定された1又は複数の不具合要因に関する不具合要因情報と、に基づいて、発生した前記方案制約事項毎に、当該方案制約事項に該当しうる前記不具合要因を推定する不具合要因推定部と、
を備えることを特徴とする、操業方案判定装置。
前記判定部は、前記方案制約事項が発生したと判定した場合に、発生した前記方案制約事項及び当該方案制約事項の発生時間と、当該方案制約事項が発生した前記製造ラインの場所と、前記発生した方案制約事項に関与した前記設備機器の状態と、が互いに関連付けられた詳細情報を生成し、前記判定結果とする
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に操業方案判定装置。
前記不具合要因情報は、前記シミュレーション結果の示す操業状態に関する条件が満たされるか否かで枝分かれが生じる二分木構造により、前記複数の不具合要因が階層化されたものである
ことを特徴とする、請求項2に記載の操業方案判定装置。
複数の設備機器を有する製造ラインについて、当該製造ラインで発生が禁じられる事項である操業方案制約事項を規定する方案制約事項情報を設定する方案制約事項情報設定ステップと、
前記方案制約事項情報設定ステップにて設定された前記方案制約事項情報と、予め設定された前記製造ラインの操業方案を規定する操業方案規定情報と、に基づいて、前記製造ラインの操業状態をシミュレートする操業シミュレートステップと、
前記操業シミュレートステップでのシミュレーション結果と、前記方案制約事項情報と、に基づいて、前記方案制約事項が発生したかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップでの判定結果と、前記方案制約事項毎に予め設定された1又は複数の不具合要因に関する不具合要因情報と、に基づいて、発生した前記方案制約事項毎に、当該方案制約事項に該当しうる前記不具合要因を推定する不具合要因推定ステップと、
を含むことを特徴とする、操業方案判定方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(製造ラインについて)
以下では、本発明の実施形態に係る操業方案判定装置及び操業方案判定方法について説明するに先立ち、本発明の実施形態で着目する製造ラインについて、
図1及び
図2を参照しながら、簡単に説明する。
図1は、製造ラインの一例について説明するための説明図であり、
図2は、製造ライン制御システムの一例について説明するための説明図である。
【0022】
本発明の実施形態で着目する製造ラインは、鉄鋼製品をはじめとする各種の産業製品を製造したり、製造された産業製品を搬送したりする一連の製造経路であるものとする。このような製造ラインでは、例えば
図1に模式図を示したように、産業製品の原料や製品そのものが、製造工程の上流から下流へと向かうに伴い、搬送方向の方向転換がなされたり、搬送品の合流が起こったり、搬送ラインが分岐されたりする。
【0023】
このような製造ラインの各所には、原料や製品を搬送したり、搬送品に対して様々な処理を施したりするための各種の設備機器が配設されており、搬送品や各種の設備機器をモニタリングするための各種のセンサも併せて設置されていることが多い。
【0024】
また、このような製造ラインにおける操業状態をモニタリングするために、例えば
図1に模式的に示したように、製造ラインを複数のゾーンに区分して、ゾーン毎にモニタリングを行うことも多い。このようなゾーンをどこにどのような大きさで設けるかについては、モニタリングの内容や対象に応じて、適宜設定される。
【0025】
このような製造ラインの操業状態を制御するために、例えば
図2に示したような製造ライン制御システム800が用いられることが多い。このような製造ライン制御システム800は、例えば、製造ライン801を構成する一又は複数の設備機器803及び各種センサ805と、製造ラインを制御するための制御プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)807と、制御用コンピュータ809と、操作盤811と、から構成される。これらの機器は、プロセス入出力装置(PI/O)813や集線装置(HUB)815を介して、伝送路(制御ネットワーク)817に接続されている。上記のような各種機器が伝送路817を介して互いに接続されることで、これらの機器はそれぞれの機器における処理状態を互いに共有することが可能となる。
【0026】
例えば、製造ラインを制御する制御プログラムを作成する場合、プログラマは入力装置であるキーボードやマウスを備える制御用コンピュータ809上に製造ラインを制御する制御プログラムを作成し、単一又は複数の設備機器803や各種センサ805を直接制御するプロセスコントローラである制御PLC807へ制御プログラムを出力して、制御PLC807に該当する制御プログラムを実行させる。このような制御プログラムの実行に際して、設備機器803や各種センサ805への動作指令信号は、制御PLC807で作成され、伝送路817を介して、設備機器803、各種センサ805及び操作者が製造ラインでの操業を監視・制御するための操作盤811へと伝達される。
【0027】
また、製造ライン801における各設備機器803や各種センサ805からの動作状態を示す信号や測定データに対応する信号及び操作者により入力された操作盤811からの操作信号は、伝送路817を介して制御PLC807へ伝達され、制御PLC807から出力される制御のための動作指令の信号は、逆方向に伝達される。また、制御PLC807では、伝達された各信号に基づき設備機器803に対する次の動作指令信号が生成されて、伝送路817を介して設備機器803に対して送信される。
【0028】
ここで、伝送路817の数は、1つであっても複数であってもよい。また、伝送路817は、公知のネットワークを利用することが可能であり、各種の専用回線を用いてもよく、LAN等のネットワークを用いても良い。また、伝送路817は、有線ネットワークであってもよく、無線ネットワークであってもよい。
【0029】
このように、製造ライン制御システム800では、以上のように各種の信号のやりとりが繰り返されることによって、1又は複数の設備機器803及び各種センサ805から構成された製造ライン801は、制御PLC807で実行される制御プログラムに応じて構築された一連の処理手順(すなわち、操業方案)に従って動作して、所望の操業を遂行する。なお、製造ラインは、1つの制御PLC807のみを含むこともあるが、複数の制御PLC807で構成されることも多く、その場合には、各制御PLC807間で信号の送受信が行われることが多い。
【0030】
このような製造ライン制御システム800で実行される制御用プログラムを作成するにあたって、作成した制御用プログラムに問題が無いかを実際の製造ライン801を利用して試すことは、非現実的である。そのため、各種のプラントシミュレータや制御シミュレータ等を利用して、演算装置上で制御用プログラムのチェックを行うことが多い。しかしながら、制御プログラム(すなわち、製造ラインをどのように稼働させるかという操業方案)の是非については、シミュレーション結果を人が検証して、人が判断を下すしかなく、シミュレーション結果における不具合を見落とす可能性がある。また、シミュレーション結果を判断するのが人であるため、判断する人の経験等に応じて、シミュレーション結果に対する判断に違いが生じる可能性がある。
【0031】
このような点を鑑み、本発明者は、誤りの存在する操業方案を抽出するとともに、誤りの存在した操業方案を修正する際のユーザの負担を更に軽減することが可能な技術について詳細な検討を行った結果、以下で説明するような操業方案判定装置及び操業方案判定方法に想到した。
【0032】
(第1の実施形態)
<操業方案判定装置の全体構成について>
まず、
図3を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る操業方案判定装置10の全体構成の一例について説明する。
図3は、本実施形態に係る操業方案判定装置10の全体構成の一例を示したブロック図である。
【0033】
図3に示したように、本実施形態に係る操業方案判定装置10は、ユーザ操作情報取得部101と、シミュレーション制御部103と、シミュレーション実行部105と、シミュレーション結果処理部107と、表示制御部109と、通信制御部111と、記憶部113と、を主に備える。
【0034】
ユーザ操作情報取得部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力装置等により実現される。ユーザ操作情報取得部101は、操業方案判定装置10に設けられたキーボード、マウス、各種ボタンといった入力装置に対して行われた各種のユーザ操作に対応する操作信号であるユーザ操作情報を、これらの入力装置から取得する。ユーザ操作情報取得部101が取得したユーザ操作情報は、操業方案判定装置10が備える各種の処理部へと出力され、各処理部における様々な処理に利用される。
【0035】
シミュレーション制御部103は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。シミュレーション制御部103は、ユーザ操作情報取得部101から伝送されたユーザ操作情報や、後述する記憶部113等に格納された各種のパラメータやデータベース等に基づいて、シミュレーション実行部105で実行される製造ラインの操業状態に関するシミュレーションを制御するための各種情報を生成する。その後、シミュレーション制御部103は、生成した各種情報をシミュレーション実行部105に出力して、シミュレーション実行部105に生成した各種情報に対応するシミュレーションを実行させる。
【0036】
なお、このシミュレーション制御部103の構成については、以下で詳述する。
【0037】
シミュレーション実行部105は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。また、シミュレーション実行部105は、公知の制御シミュレータやプラントシミュレータであってもよく、公知のPLCであってもよい。シミュレーション実行部105は、シミュレーション制御部103により生成された各種情報や、記憶部113等に格納されている各種のパラメータやデータベースを利用して、公知のシミュレータ等を実行させるための制御プログラムを生成する。また、シミュレーション実行部105は、生成した制御プログラムに基づいて、シミュレーション制御部103から通知された各種情報を反映したシミュレーションを実施する。シミュレーション実行部105が実行したシミュレーション結果は、記憶部113等に設けられた記憶領域に格納され、各処理部での各種の処理に利用される。
【0038】
なお、このシミュレーション実行部105の構成については、以下で詳述する。
【0039】
シミュレーション結果処理部107は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。シミュレーション結果処理部107は、シミュレーション実行部105により実行されたシミュレーション結果に対して、操業方案に誤りが存在するか否かの判定を含む各種の後処理を実施する。シミュレーション結果処理部107による後処理の結果は、表示制御部109を介してディスプレイ等の表示装置に表示されたり、プリンタ等の出力装置により紙媒体として出力されたり、各種記録媒体にデータとして格納されたり、通信制御部111を介して、外部に設けられた各種の機器に送信されたりする。また、シミュレーション結果処理部107による後処理の結果は、記憶部113等に履歴情報として格納されてもよい。
【0040】
また、シミュレーション結果処理部107による後処理結果は、操業方案を更新する際に利用されて、その後実施される新たなシミュレーションに反映されることとなる。
【0041】
なお、このシミュレーション結果処理部107の構成については、以下で詳述する。
【0042】
表示制御部109は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。表示制御部109は、操業方案判定装置10が備える各処理部による処理結果を、操業方案判定装置10が備えるディスプレイ等の出力装置や操業方案判定装置10の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、操業方案判定装置10の利用者は、シミュレーション結果や操業方案の判定結果等といった各種の処理結果を、その場で把握することが可能となる。
【0043】
通信制御部111は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。通信制御部111は、操業方案判定装置10の外部に設けられたコンピュータ等の各種の機器と、操業方案判定装置10との間で行われるデータ通信を制御する。これにより、操業方案判定装置10は、外部に設けられた各種の機器に対して各種のデータを送信したり、外部に設けられた各種の機器から各種のデータを取得したりすることが可能となる。
【0044】
記憶部113は、例えば本実施形態に係る操業方案判定装置10が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部113には、本実施形態に係る操業方案判定装置10が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部113は、操業方案判定装置10が備えるユーザ操作情報取得部101、シミュレーション制御部103、シミュレーション実行部105、シミュレーション結果処理部107、表示制御部109、通信制御部111等が、自由にデータのリード/ライト処理を行うことが可能である。
【0045】
なお、記憶部113が保持するデータの一例については、以下で具体的に説明する。
【0046】
以上、
図3を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定装置10の全体構成の一例について説明した。
【0047】
<記憶部が保持するデータについて>
続いて、
図4を参照しながら、本実施形態に係る記憶部113が保持するデータの一例について、具体的に説明する。
図4は、本実施形態に係る記憶部について説明するための説明図である。
【0048】
本実施形態に係る記憶部113には、例えば
図4に示したように、設備仕様や操業方案等といった各種の設計ドキュメントや、方案制約事項データベース(DB)、操業方案違反データベース(DB)、不具合要因情報データベース(DB)等の各種データベースや、シミュレーション結果や、各種の履歴情報等が格納される。
【0049】
ここで、設備仕様は、製造ラインの形状や大きさ、製造ラインへの設備機器や各種センサの設置状況、設備機器や各種センサの有する機能等といった、製造ラインの構成に関する各種の情報が記載されているドキュメントである。また、操業方案は、設備仕様で規定された製造ラインで実施されうる操業方案を規定した操業方案規定情報が記載されているドキュメントである。これらの設計ドキュメントのデータ形式や格納形式は特に限定されるものではなく、任意のデータ形式や格納形式で格納されていればよい。
【0050】
方案制約事項DBは、製造ラインで発生が禁じられる事項である操業方案制約事項(以下、単に方案制約事項とも称する。)が記載されたデータベースである。このデータベースには、例えば、方案制約事項の名称と内容、方案制約事項をシミュレートする際に設定すべき設定項目等といった各種の情報が格納されている。
【0051】
操業方案違反DBは、シミュレーション実行部105で実施されたシミュレーションにおいて発生した操業方案制約事項が、シミュレーション結果毎に格納されているデータベースである。このデータベースには、例えば、操業方案制約事項が発生した時間(シミュレーション内における時間)と、発生した操業方案制約事項と、操業方案制約事項が発生した場所と、が互いに関連付けられて格納されている。
【0052】
不具合要因情報DBは、方案制約事項DBに記載されている方案制約事項ごとに、方案制約事項の要因と考えられる1又は複数の要因(以下、不具合要因とも称する。)が関連付けられて格納されているデータベースである。不具合要因は、例えば、シミュレーション結果の示す操業状態に関する条件に基づいて、複数の不具合要因が階層化されて関連付けられたものである。不具合要因を階層化する手法については、特に限定されるものではないが、例えば、シミュレーション結果の示す操業状態に関する条件が満たされるか否かで枝分かれが生じる二分木構造により、不具合要因が階層化されていてもよい。
【0053】
これら方案制約事項DB及び操業方案違反DBのデータ形式や格納形式は、特に限定されるものではなく、ルックアップテーブル等といった公知のデータ形式を利用して、公知の格納方法により格納されていればよい。また、不具合要因情報DBのデータ形式や格納形式についても、特に限定されるものではなく、公知のデータ形式を利用して、公知の格納方法により格納されていればよい。
【0054】
また、記憶部113には、シミュレーション実行部105によるシミュレーション結果以外にも、例えばシミュレーション結果処理部107によって生成された後述する推定不具合情報等といった各種情報や、これら各種情報に対するユーザの操作履歴等が、履歴情報として格納されていてもよい。
【0055】
記憶部113に格納されたこれらの情報やデータベースは、シミュレーション制御部103、シミュレーション実行部105、シミュレーション結果処理部107等における各種のデータ処理に際して随時参照される。
【0056】
また、記憶部113には、先だって説明したように、これらの各種情報やデータベース以外に、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等や各種のプログラム等が、適宜記録されていてもよい。
【0057】
以上、
図4を参照しながら、本実施形態に係る記憶部113が保持するデータの一例について説明した。
【0058】
<シミュレーション制御部について>
続いて、
図5を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定装置10が備えるシミュレーション制御部103の構成について、詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係るシミュレーション制御部103の構成の一例を示したブロック図である。
【0059】
図5に示したように、本実施形態に係るシミュレーション制御部103は、例えば、操業方案規定情報設定部121と、方案制約事項情報設定部123と、シミュレート条件設定部125と、を備える。
【0060】
操業方案規定情報設定部121は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。操業方案規定情報設定部121は、ユーザ操作情報取得部101が取得したユーザ操作情報に基づいて、製造ラインにおいて実施される様々な操業方案を規定するための操業方案規定情報を設定する。操業方案規定情報を設定する方法については、公知の方法を利用することが可能であり、着目する製造ラインで実施しうる操業方法を公知の方法に基づいて設定すればよい。設定された操業方案規定情報は、記憶部113の操業方案に関する格納領域に格納されることとなる。また、操業方案規定情報設定部121により設定された各種の操業方案規定情報は、後述するシミュレート条件設定部125に伝送されてもよい。
【0061】
方案制約事項情報設定部123は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。方案制約事項情報設定部123は、製造ラインで発生が禁じられる事項である操業方案制約事項を規定した方案制約事項情報を、ユーザ操作情報取得部101が取得したユーザ操作情報に基づいて設定する。
【0062】
より詳細には、方案制約事項情報設定部123は、記憶部113に格納されている方案制約事項DBを参照し、ユーザが設定可能な操業方案設定事項について表示制御部109を介して表示画面に表示させ、ユーザに、後述するシミュレーションで発生の有無を確認したい操業方案制約事項を選択させる。その上で、方案制約事項情報設定部123は、方案制約事項DBを参照し、ユーザにより選択された操業方案制約事項に関連付けられている各設定項目と、対象とする設備機器及び当該設備機器で実施させる操業方案を選択させる。方案制約事項情報設定部123は、これらの項目に関するユーザの選択結果を利用して、これらの情報が記載された方案制約事項情報を設定する。
【0063】
また、記憶部113に格納されている方案制約事項DBに、ユーザの希望する方案制約事項が存在しない場合には、方案制約事項DBに新たな項目(すなわち、新たな操業方案制約事項)を追加することで、ユーザの希望する操業方案制約事項を設定することができる。
【0064】
方案制約事項情報設定部123は、このようにして設定された方案制約事項情報を、シミュレート条件設定部125に出力する。
【0065】
シミュレート条件設定部125は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。シミュレート条件設定部125は、操業方案規定情報設定部121により設定された操業方案規定情報(又は、記憶部113に格納されている操業方案規定情報)と、方案制約事項情報設定部123により設定された方案制約事項情報と、に基づいて、シミュレーション実行部105で実行されるシミュレーションの条件(シミュレート条件)に関するシミュレート条件情報を設定する。シミュレート条件設定部125は、設定したシミュレート条件情報を、シミュレーション実行部105に出力する。また、シミュレート条件設定部125は、設定したシミュレート条件情報に、当該情報を設定した日時等に関する時刻情報を関連付けて、履歴情報として記憶部113等に格納してもよい。
【0066】
以上、
図5を参照しながら、本実施形態に係るシミュレーション制御部103の構成について、詳細に説明した。
【0067】
<シミュレーション実行部について>
続いて、
図6を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定装置10が備えるシミュレーション実行部105の構成について、詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係るシミュレーション実行部105の構成の一例を示したブロック図である。
【0068】
図6に示したように、本実施形態に係るシミュレーション実行部105は、例えば、シミュレートプログラム生成部131と、操業シミュレート部133と、結果出力部139と、を備える。
【0069】
シミュレートプログラム生成部131は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。シミュレーション制御部103により生成されたシミュレート条件情報に基づいて、後述する操業シミュレート部133が実行可能なシミュレートプログラムを生成する。シミュレートプログラムを生成する手法については、特に限定されるものではなく、操業シミュレート部133で用いられるシミュレータ等に応じて適宜選択すればよい。例えば、後述する操業シミュレート部133がプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)をシミュレートするものであれば、シミュレートプログラム生成部131は、PLCで利用可能なプログラム言語を用いて、シミュレート条件情報に対応するシミュレートプログラムを生成する。
【0070】
シミュレートプログラム生成部131は、生成したシミュレートプログラムを、操業シミュレート部133に出力する。
【0071】
操業シミュレート部133は、シミュレートプログラム生成部131により生成されたシミュレートプログラムを実行することで、操業方案規定情報設定部121により予め設定された操業方案規定情報と、方案制約事項情報設定部123により設定された方案制約事項情報とに基づいて、製造ラインの操業状態をシミュレートする処理ユニットである。操業シミュレート部133としては、公知のシミュレータやシミュレートプログラム等を利用することが可能であり、このようなシミュレータとして、例えば、PLCをシミュレートするものを挙げることができる。
【0072】
この操業シミュレート部133は、例えば
図6に示したように、プロセスシミュレート部135と、制御シミュレート部137と、を有している。
【0073】
プロセスシミュレート部135は、製造ラインに設けられた各設備機器のモデルや、製造ラインに供給される各種材料の動作モデル等といった各種のモデルに基づいて、製造ラインの操業状態をシミュレートするユニットである。
【0074】
制御シミュレート部137は、各設備機器を自動で制御する場合の自動制御フローや、各設備機器を手動で制御する場合の制御等といった、製造ラインに設けられた各設備機器の制御状態をシミュレートするユニットである。
【0075】
プロセスシミュレート部135及び制御シミュレート部137が、互いに独立して、又は、互いに協働しながらシミュレーションを行うことで、製造ラインにおける操業の全体をシミュレートすることができる。
【0076】
プロセスシミュレート部135及び制御シミュレート部137によるシミュレーションの結果得られたデータは、結果出力部139へと出力される。
【0077】
結果出力部139は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。結果出力部139は、操業シミュレート部133(例えば、プロセスシミュレート部135及び制御シミュレート部137)によるシミュレーションの結果得られたデータ(シミュレーション結果を表すデータ)を、記憶部113に設けられたシミュレーション結果の格納領域に格納する。また、結果出力部139は、得られたシミュレーション結果を表すデータを、シミュレーション結果処理部107に出力する。これにより、後述するシミュレーション結果処理部107において、シミュレーション結果に対する各種の処理が実施されることとなる。
【0078】
以上、
図6を参照しながら、本実施形態に係るシミュレーション実行部105の構成について、詳細に説明した。
【0079】
<シミュレーション結果処理部について>
続いて、
図7を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定装置10が備えるシミュレーション結果処理部107の構成について、詳細に説明する。
図7は、本実施形態に係るシミュレーション結果処理部107の構成の一例を示したブロック図である。
【0080】
シミュレーション結果処理部107は、シミュレーション実行部105によるシミュレーションの結果得られたデータを利用し、かかるシミュレーション結果に対して各種の後処理を実施する処理部である。このシミュレーション結果処理部107は、例えば
図7に示したように、判定部141と、不具合要因推定部143と、情報出力部145と、を主に備える。
【0081】
判定部141は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。判定部141は、操業シミュレート部133によるシミュレーション結果と方案制約事項情報とに基づいて、設定されている方案制約事項が実施されたシミュレーション中に発生したか否かを判定する。
【0082】
より詳細には、判定部141は、操業シミュレート部133によるシミュレーション結果を参照し、方案制約事項情報に規定されている方案制約事項がシミュレーション中に発生していない場合には、方案制約事項が発生していない旨を示す判定結果情報を、後述する情報出力部145に出力する。
【0083】
また、判定部141は、操業シミュレート部133によるシミュレーション結果を参照し、方案制約事項情報に規定されている方案制約事項がシミュレーション中に発生している場合、発生した方案制約事項及びその発生時間と、方案制約事項が発生した製造ラインの場所と、発生した方案制約事項に関与した設備機器等の状態と、を互いに関連付けた詳細情報を生成する。その後、判定部141は、生成した詳細情報を、判定結果情報として、後述する不具合要因推定部143に出力する。
【0084】
判定部141がこのような処理を行うことで、シミュレーション中に発生した方案制約事項を漏れなく抽出することができ、操業方案規定情報で設定された操業方案に何らかの問題があるか否かを、漏れなく判定することが可能となる。
【0085】
ここで、判定部141は、方案制約事項がシミュレーション中に発生したか否かを判断する際に更に以下のような点を考慮しながら、更に精度良く方案制約事項の発生有無を判定することも可能である。
【0086】
すなわち、判定部141は、シミュレーション結果と方案制約事項情報とに基づいて、方案制約事項が発生した可能性のある候補時刻を特定し、特定した候補時刻に対応するシミュレート結果に対して、そのシミュレート結果がシミュレーション誤差であるか否かを判断する。その上で、着目する候補時刻に対応するシミュレーション結果がシミュレート誤差ではないと判断される場合に、着目している候補時刻を発生時間とする方案制約事項が発生したと判定してもよい。このような処理を行うことで、操業方案ではなく何らかのシミュレーションエラーに起因するノイズを、判定結果から取り除くことが可能となり、判定精度を更に向上させることができる。
【0087】
例えば、判定部141は、候補時間の前後におけるシミュレーション結果を参照して、候補時間を含む所定の時間幅(例えば、前後数秒間等)でのシミュレーション結果の時間推移に基づいて、シミュレーション結果がシミュレーション誤差(シミュレーションエラー)であるか否かを判断することができる。すなわち、候補時間の前及び候補時間の後のシミュレーション結果に問題が無く、候補時間のみ突発的に特異的な値が得られた場合には、かかるシミュレーション結果をシミュレーションエラーであると判断してもよい。
【0088】
また、着目している製造ラインが例えば
図1に例示したように、操業シミュレート部133におけるシミュレーションでは複数のゾーンに区分されている場合を考える。この場合に、判定部141は、例えば、製造ラインにおける設備機器の配置状況を示した設備仕様情報を参照して、候補時刻において方案制約事項が発生した可能性のあるゾーンと設備機器の配置状況が類似した類似ゾーンを特定する。その後、判定部141は、類似ゾーンでのシミュレーション結果に基づいて、着目している候補時間でのシミュレーション結果がシミュレーションエラーであるか否かを判断することができる。すなわち、判定部141は、設備機器の配置状況が類似したゾーンにおいて、類似したシミュレーション結果が得られている場合には、着目している候補時間のシミュレーション結果は正常であると判断し、類似したシミュレーション結果が得られていない場合には、着目している候補時間のシミュレーション結果はシミュレーションエラーであると判断してもよい。
【0089】
なお、判定部141は、生成した判定結果情報に、当該情報を生成した日時等に関する時刻情報を関連付けて、履歴情報として記憶部113等に格納してもよい。
【0090】
不具合要因推定部143は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。不具合要因推定部143は、判定部141による判定結果と、例えば記憶部113に格納されている、方案制約事項毎に予め設定された1又は複数の不具合要因に関する不具合要因情報と、に基づいて、発生した方案制約事項毎に、かかる方案制約事項に該当しうる不具合要因を推定する。
【0091】
前述のように、記憶部113等に格納されている不具合要因情報(不具合要因情報DB)は、シミュレーション結果の示す操業状態に関する条件に基づいて、1又は複数の不具合要因が階層化されて関連付けられたものである。不具合要因推定部143は、方案制約事項毎に予め設定された全ての不具合要因について、シミュレーション結果が操業状態に関する条件を満たした個数に応じて適合度合いを算出する。その上で、不具合要因推定部143は、算出した適合度合いが所定の閾値以上となった不具合要因を、発生した方案制約事項の不具合要因として推定する。
【0092】
不具合要因推定部143は、このようにして推定した方案制約事項毎の不具合要因をとりまとめて、推定不具合情報を生成する。その後、不具合要因推定部143は、生成した推定不具合情報を、後述する情報出力部145に出力する。
【0093】
なお、本実施形態に係る操業方案判定装置10において、推定不具合情報に含まれる不具合要因のうちユーザにより方案制約事項が生じた要因として選択された不具合要因の選択回数を、履歴情報として記憶部113に格納しておくことができる。この場合に、不具合要因推定部143は、格納された履歴情報を参照し、選択された不具合要因の選択回数に応じて、適合度合いを修正してもよい。すなわち、不具合要因推定部143は、不具合要因の選択回数に応じて、算出した適合度合いに重み付けを行ったり、選択回数に応じた補正値を算出した適合度合いに加算したりしてもよい。
【0094】
情報出力部145は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。情報出力部145は、不具合要因推定部143により生成された推定不具合情報を、表示制御部109や通信制御部111に出力する。これにより、推定不具合情報をディスプレイ等の出力装置に出力したり、操業方案判定装置10の外部に設けられた各種のコンピュータ等に出力したりすることが可能となり、ユーザに理解しやすい形態で推定不具合情報を提供することができる。また、情報出力部145は、不具合要因推定部143により生成された推定不具合情報を、所定の帳票形式で出力してもよい。
【0095】
以上、
図7を参照しながら、本実施形態に係るシミュレーション結果処理部107の構成について詳細に説明した。
なお、シミュレーション結果処理部107における処理の具体例については、以下で詳述する。
【0096】
以上、
図3〜
図7を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定装置10の一構成例について、詳細に説明した。
【0097】
<変形例>
以下では、
図8を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定装置10の変形例について、簡単に説明する。
図8は、本実施形態に係る操業方案判定装置の変形例の一例について示した説明図である。
【0098】
図3に示した例では、本実施形態に係る操業方案判定装置10が有する各処理部が一つの装置内に実装されている場合について示しているが、
図3に示した操業方案判定装置10の各処理部は、
図8に例示したように複数の装置に分散して実現されていてもよい。
【0099】
図8に示した例では、
図3に示した操業方案判定装置10の機能が、設計用パーソナルコンピュータ(PC)、PLC、データ収集PCの3つの装置に分散して実現されており、互いの装置は、制御用ネットワークを介して互いに連携することができる。かかる場合において、PLCにシミュレーション実行部105のうち操業シミュレート部133が実装されており、データ収集PCにシミュレーション結果を記憶する記憶部が実装されており、設計用PCにそれ以外の処理部が実装されている。
【0100】
本実施形態に係る操業方案判定装置10の機能を複数の装置に分散させて実現することにより、各機能に特化した装置を利用することが可能となり、操業方案判定装置10の処理性能を更に向上させることができる。
【0101】
<操業方案判定処理の具体例>
以下では、製造ラインの一例として、製造されたスラブを搬送する搬送ラインに着目し、
図9〜
図16を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定処理の一例を具体的に説明する。
図9〜
図16は、本実施形態に係る操業方案判定装置で実施される操業方案判定処理の一例を説明するための説明図である。
【0102】
以下の具体例では、
図9上段に示したように、スラブを搬送するためのローラが複数配設され、当該ローラの駆動装置として複数のモータが配設された搬送ラインを利用して、スラブを搬送する際の操業方案を判定する場合に着目する。以下の処理では、
図9に示したように、搬送ラインが判定処理上複数のゾーンに区分されており、図の左側から右側に向かってスラブが搬送されるものとする。
【0103】
ここで、各モータを制御するための制御プログラムには、モータを駆動するための条件(例えば、ブレーキの開閉等といった各種の駆動条件)が規定されたモータ駆動条件情報が含まれる。また、制御プログラムには、モータの操業方案が複数規定されており、その何れかが選択されてモータの駆動に適用される。
図9下段に示した例では、モータを自動制御するための操業方案が「自動A」〜「自動C」の3種類設定されており、その他に、モータを手動制御するための操業方案が1種類(「手動」)設定されている。また、図中において、「I/L」はインターロックを意味している。制御プログラムは、最終速度指令を各モータに通知するとともに、モータが駆動力を付与している各ローラから、速度実績値等といった実績データを収集する。
【0104】
本具体例では、例えば
図10に示したような方案制約事項DBが記憶部113に設定されているものとする。かかる例における操業方案判定装置10では、方案制約事項DBとして、複数の方案制約事項が制約シミュレート部品(シミュレートプログラム上のモジュール)として設定されているものとする。各制約シミュレート部品には、シミュレート内容と、その部品をシミュレーションに利用する際の設定事項(設定項目1、設定項目2、設定項目3・・・)が関連付けられている。
【0105】
図10に示した例では、「材料同士の衝突検知」という方案制約事項が規定されており、その方案制約事項の内容は、「材料同士の衝突を検知」するものと設定されている。各方案制約事項には、かかる制約シミュレート部品を利用する場合に規定すべき内容が予め規定されている。例えば「材料同士の衝突検知」の場合には、設定項目1として「ゾーン範囲」が対応付けられており、設定項目2として「監視タイミング」が対応づけられており、設定項目3として「材料情報」が対応付けられている。
図10に示したようなグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を適用することで、ユーザは、各方案制約事項を設定する際に規定すべき内容を明確に把握することが可能となり、方案制約事項を設定する際のユーザの利便性を更に向上させることができる。
【0106】
同様に、
図10に示した例では、「材料と機械の衝突検知」という方案制約事項が規定され、その設定項目として、ゾーン範囲、監視タイミング、対象機械・・・が対応付けられている。また、「2つの材料を同時押出し」という方案制約事項では、その設定項目として、ゾーン範囲、監視タイミングが対応づけられている。
【0107】
ここで、それぞれの制約シミュレート部品は、例えば
図11に示したように、
図10に示した設定項目の内容が入力されると、規定された方案制約事項の発生有無やその詳細情報が出力されるようなプログラムモジュールとなっている。
図11に示した「材料同士の衝突検知」の制約シミュレート部品の場合には、設定項目1〜設定項目3に規定された、ゾーン範囲、監視タイミング、材料情報が入力されると、シミュレーション結果として、衝突検知の有無、衝突が生じたゾーン(衝突ゾーン)に関する情報及び衝突した材料(衝突材料)に関する情報が出力されるモジュールとなっている。
【0108】
ユーザにより操業方案判定装置10を利用して判定を行いたい操業方案が決定されると、シミュレーション制御部103の操業方案規定情報設定部121は、所定のGUI等を介して、操業方案をユーザに入力させる。これにより、操業方案規定情報設定部121は、ユーザから入力された操業方案をデータ化して、記憶部113等の所定の格納領域に格納する。これにより、例えば
図9下段に示したような「自動A〜自動C」、「手動」等といった操業方案が、それぞれデータ化されることとなる。
【0109】
その一方で、シミュレーション制御部103の方案制約事項情報設定部123は、操業方案の判定処理を実施する際に、例えば
図12に示したようなGUIを、表示制御部109を介して表示画面に表示させる。ユーザは、判定したい操業方案において、発生の有無を確認したい方案制約事項を、例えばプルダウンメニュー等の形式で選択することにより、設定していく。例えば
図12の場合、
図10に示したような方案制約事項DBに規定された方案制約事項の中から、「材料同士の衝突検知」及び「2つの材料を同時押出し」がユーザによって選択されている。これは、ユーザが、判定を行いたい操業方案において
図12に示した2つの操業方案制約事項を設定したことを表している。また、各方案制約事項には、
図10に示した方案制約事項DBにおいて、規定すべき設定項目が設定されている。そこで、方案制約事項情報設定部123は、例えばプルダウンメニュー等の公知の表示形式で選択可能な項目を表示して、項目ごとにユーザに選択させる。また、方案制約事項設定部123は、判定対象とすべき機器や操業方案をユーザに選択させる。方案制約事項情報設定部123は、対象機器については、記憶部113等に格納された設備仕様に関する情報を参照することでユーザが選択可能な項目を表示させ、操業方案については、記憶部113等に格納された操業方案に関する情報を参照することでユーザが選択可能な項目を表示させる。
【0110】
ユーザが
図12に示したような項目を選択すると、方案制約事項情報設定部123は、設定されたこれらの条件をシミュレート条件設定部125に出力する。これにより、シミュレート条件設定部125によりシミュレート条件情報が生成され、シミュレーション実行部107により操業シミュレーションが実施されることとなる。
【0111】
シミュレーション結果処理部107の判定部141は、シミュレーション結果を参照して、
図12で規定された方案制約事項が発生したか否かを判定する。その上で、設定された方案制約事項が発生していた場合には、
図13に示したような判定結果情報を生成する。判定結果情報には、
図13に例示したように、発生した方案制約事項とその発生時間や、方案制約事項の発生した場所(ゾーン)や、関与した材料や機器等に関する情報等が互いに関連付けられている。
【0112】
例えば
図13に示した例の場合、シミュレーション開始62秒後に、方案制約事項No.1に規定された「材料同士の衝突検知」が、ゾーン3において、材料No.1と材料No.2が関与することで発生したことがわかる。同様に、シミュレーション開始後90秒後に「材料同士の衝突検知」が発生するとともに、シミュレーション開始後212秒後に「2つの材料を同時押出し」が発生したことがわかる。
【0113】
また、
図13に示したデータ以外に、例えば該当するモータの設定値や実績値、適用された操業方案の種類等が関連付けられていても良いことは言うまでもない。
【0114】
判定部141は、このような判定結果情報を生成すると、不具合要因推定部143に出力する。
【0115】
不具合要因推定部143は、記憶部113等に格納されている不具合要因情報DBを参照して、発生した方案制約事項毎に不具合要因情報を取得し、不具合要因の推定を行う。
図14は、「材料同士の衝突検知」に対応する不具合要因情報の例を示している。不具合要因情報は、
図14に示したような木構造により階層化されており、木構造の最下層(
図14では右端)に、6個の不具合要因が関連付けられている。
【0116】
木構造のルート(
図14では左端)から着目する不具合要因に至る経路を考えた場合に、各分岐点(ノード)にはポイントが設定されている。例えば、「前後のテーブル速度実績が異なる」という条件を満たす場合には、aという値のポイントが設定されており、満たさない場合には、bという値のポイントが設定されている。これらのポイントは、設定された全ての条件を満たした場合であっても適合率が1.0となるように設定されており、条件を満たさない場合のポイント(例えば、ポイントb)が満たした場合のポイント(例えば、ポイントa)よりも低い値となるように設定されている。
【0117】
不具合要因推定部143は、これら6個の不具合要因それぞれについて、適合度合い(適合率)を算出する。適合率は、例えば、木構造のルート(
図14では左端)から着目する不具合要因に至る経路を考えた場合に、設定されたポイントの和として定義される。
図14中の「起動中の自動(X)の速度指令ロジックの見直し要」という不具合要因(すなわち、自動(X)の速度指令ロジックの不具合)に該当する適合率αは、α=a+c+e+iで表される値となる。また、それぞれの不具合要因の選択回数の履歴を利用する場合には、不具合要因推定部143は、上記適合率αに選択履歴に応じた補正定数zを更に加算しても良い。
【0118】
例えば
図15に示したように各ポイントが規定され、選択回数に応じた補正定数zが設定されている場合、各不具合要因の適合率は、図中の四角内に示した値となる。このように、選択回数に応じた補正定数zを適合率に加算することで、ユーザの最終的な選択結果を学習して、より適切な適合度を算出することが可能となる。
【0119】
不具合要因推定部143は、例えば適合率が0.60以上となったものを不具合要因として選択するように設定されていた場合、
図15では3つの不具合要因を選択することとなる。
【0120】
不具合要因推定部143は、以上のような方法で不具合要因を推定すると、
図16に示したような推定不具合情報を生成する。推定不具合情報では、
図16に示したように、発生した方案制約事項ごとに、不具合要因として推定される事項が適合度の順に列記されている。ユーザは、このような推定不具合情報を参照し適合率の高いものから順に見直しを行っていくことで、設定した操業方案が内包する問題点を解決していくことができる。
【0121】
以上、
図9〜
図16を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定処理の一例を具体的に説明した。
【0122】
以上、本実施形態に係る操業方案判定装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0123】
なお、上述のような本実施形態に係る操業方案判定装置10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0124】
<操業方案判定方法について>
次に、
図17を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定方法の流れの一例について、詳細に説明する。
図17は、本実施形態に係る操業方案判定方法の流れの一例を示した流れ図である。
【0125】
まず、シミュレーション制御部103の操業方案規定情報設定部121は、ユーザ操作情報取得部101が取得したユーザ操作に関する情報等に基づいて、操業方案及び設備仕様を含む設計ドキュメントを設定する(ステップS101)。
【0126】
次に、シミュレーション制御部103の方案制約事項情報設定部123は、ユーザ操作情報取得部101が取得したユーザ操作に関する情報等に基づいて、記憶部113等に格納された各種データベース等を参照しながら、方案制約事項情報を設定する(ステップS103)。
【0127】
続いて、シミュレーション制御部103のシミュレート条件設定部125は、設計ドキュメント及び方案制約事項情報基づいてシミュレート条件を設定し(ステップS105)、設定したシミュレート条件を表したシミュレート条件情報を生成する。シミュレート条件設定部125は、生成したシミュレート条件情報を、シミュレーション実行部105に出力する。
【0128】
シミュレーション実行部105のシミュレートプログラム生成部131は、シミュレート条件設定部125が生成したシミュレート条件情報に基づいて、シミュレートプログラムを生成する(ステップS107)。シミュレートプログラム生成部131は、生成したシミュレートプログラムを、操業シミュレート部133のプロセスシミュレート部135及び制御シミュレート部137に出力する。
【0129】
プロセスシミュレート部135及び制御シミュレート部137は、シミュレートプログラム生成部131により生成されたシミュレートプログラムを実行する(ステップS109)。プロセスシミュレート部135及び制御シミュレート部137は、シミュレートプログラムに基づくシミュレーション結果を、結果出力部139に出力する。結果出力部139は、各シミュレート部から出力されたシミュレーション結果を、記憶部113に設けられたシミュレーション結果の格納領域に格納するとともに、シミュレーション結果処理部107に出力する。
【0130】
シミュレーション結果処理部107の判定部141は、得られたシミュレーション結果と方案制約事項情報とに基づいて、設定されている方案制約事項が実施されたシミュレーション中に発生したか否かを判定する(ステップS111)。この際、判定部141は、シミュレーション結果を参照して、方案制約事項が発生したか否かを判定する(ステップS113)。
【0131】
判定部141により方案制約事項が発生していないと判定された場合、判定部141は方案制約事項が発生していない旨を示す判定結果情報を出力する。その後、操業方案判定装置10は、操業方案に対する判定処理を終了する。
【0132】
他方、判定部141により方案制約事項が発生していると判定された場合、判定部141は、発生した方案制約事項及びその発生時間と、方案制約事項が発生した製造ラインの場所と、発生した方案制約事項に関与した設備機器の状態と、を互いに関連付けた詳細情報を生成する。その後、判定部141は、生成した詳細情報を、判定結果情報として不具合要因推定部143に出力する。
【0133】
不具合要因推定部143は、定部141による判定結果と、方案制約事項毎に予め設定された1又は複数の不具合要因に関する不具合要因情報と、に基づいて、発生した方案制約事項毎に、かかる方案制約事項に該当しうる不具合要因を推定し、推定不具合情報を生成する(ステップS115)。その後、不具合要因推定部143は、生成した推定不具合情報を、情報出力部145に出力する。
【0134】
情報出力部145は、不具合要因推定部143により生成された推定不具合情報を出力して(ステップS117)、ユーザに通知する。ユーザは、推定不具合情報を参照することで、誤りの存在する操業方案を抽出することができるとともに、設定した操業方案の中の修正すべき事項を容易に特定することができる。その結果、ユーザの負担を更に軽減することが可能となる
【0135】
ユーザは、出力された推定不具合情報を参照することで、操業方案規定情報を修正する。その結果、操業方案判定装置10は、ステップS101に戻って処理を継続する。
【0136】
以上、
図17を参照しながら、本実施形態に係る操業方案判定方法の流れの一例を簡単に説明した。
【0137】
(ハードウェア構成について)
次に、
図18を参照しながら、本発明の実施形態に係る操業方案判定装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。
図18は、本発明の実施形態に係る操業方案判定装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0138】
操業方案判定装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、操業方案判定装置10は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
【0139】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、操業方案判定装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
【0140】
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
【0141】
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、操業方案判定装置10の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。操業方案判定装置10のユーザは、この入力装置909を操作することにより、操業方案判定装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0142】
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、操業方案判定装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、操業方案判定装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0143】
ストレージ装置913は、操業方案判定装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0144】
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、操業方案判定装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0145】
接続ポート917は、機器を操業方案判定装置10に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、操業方案判定装置10は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
【0146】
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0147】
以上、本発明の実施形態に係る操業方案判定装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0148】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。