特許第5983305号(P5983305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許5983305-三次元繊維構造体 図000002
  • 特許5983305-三次元繊維構造体 図000003
  • 特許5983305-三次元繊維構造体 図000004
  • 特許5983305-三次元繊維構造体 図000005
  • 特許5983305-三次元繊維構造体 図000006
  • 特許5983305-三次元繊維構造体 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983305
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】三次元繊維構造体
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/45 20060101AFI20160818BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20160818BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20160818BHJP
【FI】
   D04H1/45
   B29C67/14 X
   B29K105:08
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-234628(P2012-234628)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-84543(P2014-84543A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉川 元基
(72)【発明者】
【氏名】堀 藤夫
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−289243(JP,A)
【文献】 特開昭58−117160(JP,A)
【文献】 特開2010−110985(JP,A)
【文献】 特開2007−253347(JP,A)
【文献】 特開2006−163377(JP,A)
【文献】 特開昭63−120153(JP,A)
【文献】 特開平03−119138(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0315307(US,A1)
【文献】 米国特許第4966802(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0183227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00− 18/04
D03D 1/00
B29B 11/16
B29C 70/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部及び前記ベース部と直交する複数のリブを有し、前記ベース部及び前記複数のリブは繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が結合糸で結合されて構成された三次元繊維構造体であって、
前記リブはリブ本体及びフランジ部を有するリブ中間体を2個結合してI型状又は逆T字状に形成され、隣り合う前記リブの前記フランジ部の先端同士が付き合わされており、前記フランジ部が前記ベース部のリブ取り付け面を全て覆った状態で、かつ前記ベース部と前記フランジ部とが重なった部分の厚さが一定の状態で、前記結合糸により結合されていることを特徴とする三次元繊維構造体。
【請求項2】
前記リブの厚さは、前記フランジ部及び前記ベース部が重なった部分と同じ厚さに形成されている請求項1に記載の三次元繊維構造体。
【請求項3】
前記ベース部及び前記リブは、連続繊維からなる繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が結合糸としての厚さ方向糸で結合されて構成されており、前記リブは、隣り合う前記リブの前記フランジ部の先端同士が突き合わされる端面に段差部を有する請求項1又は請求項2に記載の三次元繊維構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元繊維構造体に係り、詳しくは補強用のリブを有する三次元繊維構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材は軽量の構造材料として広く使用されている。複合材用の強化基材として三次元織物(三次元繊維構造体)がある。この三次元織物を強化基材として、樹脂あるいは無機物をマトリックスとした複合材はロケット、航空機、自動車、船舶及び建築物の構造材として用いられている。そして、航空機や自動車等に使用される繊維強化複合材は燃費低減のため軽量化の要求が強い。
【0003】
従来、軽量化を図るため、図6に示すように、基板部(ベース部)51にT字状の補強リブ52が厚さ方向糸zにより結合された三次元繊維構造体Wが提案されている(特許文献1参照)。三次元繊維構造体Wは、基板部51及び補強リブ52とも、それぞれ複数の糸層を積層して形成された面内4軸の配向となる積層糸群と、その厚さ方向に配列された厚さ方向糸zで構成されている。補強リブ52と基板部51とはその平面部が対応する位置においては、厚さ方向糸zが基板部51の厚さ方向と平行に配列されている。また、屈曲部54と対応する位置においては、厚さ方向糸zが基板部51の厚さ方向に対して交差する状態で、屈曲部54及び基板部51を貫通するように配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−269755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の三次元繊維構造体Wは、基板部51上に複数のT字状の補強リブ52が、隣り合う補強リブ52同士が間隔を置いて厚さ方向糸zにより結合されている。そして、基板部51及び補強リブ52を形成する積層繊維層を結合する厚さ方向糸zの長さは、基板部51のみの箇所と、基板部51及び補強リブ52のフランジ部52aが重なる箇所とでは異なる長さになる。そのため、厚さ方向糸zを挿入する場合、基板部51のみの箇所と、基板部51及び補強リブ52のフランジ部52aが重なる箇所とで厚さ方向糸zの挿入条件の変更調整を行う必要があり、挿入の工数が大きくなる。
【0006】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ベース部及びリブを有する三次元繊維構造体の製造時に、リブのフランジ部とベース部とを結合する結合糸を容易に挿入することができる三次元繊維構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する三次元繊維構造体は、ベース部及び前記ベース部と直交する複数のリブを有し、前記ベース部及び前記複数のリブは繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が結合糸で結合されて構成されている。そして、前記リブはリブ本体及びフランジ部を有するリブ中間体を2個結合してI型状又は逆T字状に形成され、隣り合う前記リブの前記フランジ部の先端同士が付き合わされており、前記フランジ部が前記ベース部のリブ取り付け面を全て覆った状態で、かつ前記ベース部と前記フランジ部とが重なった部分の厚さが一定の状態で、前記結合糸により結合されている。
【0008】
この構成によれば、リブのフランジ部がベース部のリブ取り付け面を全て覆った状態で、かつベース部とフランジ部とが重なった部分の厚さが一定の状態で、結合糸により結合されるため、リブのフランジ部とベース部とを結合するために、ベース部の厚さ方向と平行に挿入される結合糸の挿入長さが一定になる。したがって、ベース部及びリブを有する三次元繊維構造体の製造時に、リブのフランジ部とベース部とを結合する結合糸を容易に挿入することができる。
【0009】
前記リブの厚さは、前記フランジ部及び前記ベース部が重なった部分と同じ厚さに形成されていることが好ましい。この構成によれば、リブの本体部、即ちフランジ部で支えられてベース部に固定される部分への結合糸の挿入を、フランジ部及びベース部の重なり部に結合糸を挿入する際と同じストロークで行うことができる。
【0010】
前記ベース部及び前記リブは、連続繊維からなる繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が結合糸としての厚さ方向糸で結合されて構成されており、前記リブは、隣り合う前記リブの前記フランジ部の先端同士が突き合わされる端面に段差部を有することが好ましい。この構成によれば、三次元繊維構造体を強化基材として繊維強化複合材を形成した際に、フランジ部の先端同士が突き合わされる端面が平坦な場合に比べて、フランジ部の突き合わせ位置と対応する箇所における曲げ強度が高くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベース部及びリブを有する三次元繊維構造体の製造時に、リブのフランジ部とベース部とを結合する結合糸を容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は一実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図、(b)はリブの模式斜視図、(c)は積層繊維層と結合糸との関係を示す拡大部分模式図、(d)はリブにおける結合糸の挿入状態を示す模式図、(e)は三次元繊維構造体における結合糸の挿入状態を示す模式図。
図2】別の実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図。
図3】別の実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図。
図4】別の実施形態の三次元繊維構造体の模式図。
図5】別の実施形態の三次元繊維構造体の模式図。
図6】従来技術の三次元繊維構造体の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、三次元繊維構造体の一実施形態を図1にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、三次元繊維構造体10は、ベース部11及びベース部11と直交するリブ12を有する。図1(a)に示すように、ベース部11は、長手方向と直交する断面形状がコ字状に形成されている。図1(b)に示すように、リブ12は、断面形状がコ字状のリブ中間体13を2個結合して略I型状に形成され、リブ本体12aの上下両端にフランジ部12bを有し、上下対称、かつ左右対称の形状に形成されている。
【0014】
リブ本体12aの厚さ及びフランジ部12bとベース部11とが重なった部分の厚さは、三次元繊維構造体10を強化基材として使用する繊維強化樹脂の要求強度に適した厚さに設定される。この実施形態では、リブ本体12aの厚さ及びフランジ部12bとベース部11とが重なった部分の厚さは同じに設定されている。即ち、ベース部11の厚さt及びフランジ部12bの厚さtは、リブ本体12aの厚さ2tの1/2に設定されている。
【0015】
ベース部11及びリブ12は、図1(c)に示すように、連続繊維からなる繊維層14が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層15が結合糸としての厚さ方向糸zで結合されて構成されている。この実施形態では、積層繊維層15は、配列角度が0度、90度、±45度の繊維層14が複数積層されて4軸配向に形成されている。積層繊維層15は、厚さが、例えば、5〜10mm程度に形成されている。連続繊維及び厚さ方向糸zとしては、例えば、炭素繊維が使用される。炭素繊維はフィラメント数が数百〜数万本程度であり、要求性能に適した本数の繊維束が選択される。なお、図1(a),(b)においては、厚さ方向糸zの図示を省略している。
【0016】
図1(a),(e)に示すように、リブ12は、フランジ部12bがベース部11のリブ取り付け面11aを全て覆った状態で、かつベース部11とフランジ部12bとが重なった部分の厚さが一定の状態で、図1(e)に示すように厚さ方向糸zで結合されている。
【0017】
図1(d)に示すように、リブ12は、リブ本体12aとフランジ部12bの部分とで厚さ方向糸zの挿入密度が異なり、フランジ部12bの部分の挿入密度が小さくなっている。これは、フランジ部12bに対しては、リブ12をベース部11と結合する際に、ベース部11及びフランジ部12bを貫通するように厚さ方向糸zが挿入されるため、その分、挿入密度が小さくなっている。
【0018】
次に前記のように構成された三次元繊維構造体10の製造方法の一例を説明する。三次元繊維構造体10を製造する場合、ベース部11の形状に対応した枠体を使用して、ベース部11を製作し、リブ12を左右半分にした形状に対応した枠体を使用して、リブ中間体13を製作する。そして、図1(d)に示すように、2つのリブ中間体13を厚さ方向糸zで結合してリブ12を形成する。積層繊維層15に厚さ方向糸zを挿入する厚さ方向糸挿入装置として、例えば、特許文献1に記載された装置と基本的に同様の装置を使用することができる。ただし、厚さ方向糸zは、リブ本体12aの部分を除き、ハンドリングを可能にする程度の粗い間隔で予備的に挿入される。
【0019】
次に図1(e)に示すように、複数のリブ12を、隣り合うリブ12のフランジ部12bの先端同士を突き合わせた状態で、複数のリブ12がベース部11のリブ取り付け面11aを全て覆った状態にセットする。そして、厚さ方向糸挿入装置により、厚さ方向糸zをベース部11とフランジ部12bとが重なった部分に挿入してリブ12をベース部11に結合する。
【0020】
ベース部11及びフランジ部12bは厚さが一定に形成されているため、厚さ方向糸zの挿入長さが一定の状態でベース部11とフランジ部12bとが結合される。そのため、従来技術のように隣り合うリブ12のフランジ部12bが離れた状態でベース部11上に配置されたリブ12を厚さ方向糸zで結合する場合と異なり、ベース部及びリブを有する三次元繊維構造体の製造時に、リブ12のフランジ部12bとベース部11とを結合する厚さ方向糸zの挿入が容易になる。なお、リブ12の屈曲部と対応する箇所には、必要に応じて厚さ方向糸zがベース部11の厚さ方向に対して傾斜する状態で挿入される。
【0021】
従来技術では、ベース部11の必要強度はベース部11のみで確保する必要があり、フランジ部12bの部分は製品の重量増加に繋がった。しかし、前記のように構成された三次元繊維構造体10は、ベース部11の厚さとフランジ部12bの厚さの合計が製品の必要強度に対応するように設計することで、製品の軽量化を図ることができる。
【0022】
前記のように構成された三次元繊維構造体10は、繊維強化複合材、例えば、繊維強化樹脂の強化基材として使用される。繊維強化樹脂のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂が使用される。三次元繊維構造体10は、リブ12のフランジ部12bがベース部11のリブ取り付け面11aを全て覆った状態で、かつベース部11とフランジ部12bとが重なった部分の厚さが一定の状態で、厚さ方向糸zにより結合されているため、従来技術と異なり、段差部がない。そのため、得られた繊維強化樹脂は、応力集中が起こり難い。
【0023】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)三次元繊維構造体10は、ベース部11及びベース部11と直交するリブ12を有し、ベース部11及びリブ12は繊維層14が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層15が結合糸(厚さ方向糸z)で結合されて構成されている。そして、リブ12はフランジ部12bを有し、フランジ部12bがベース部11のリブ取り付け面11aを全て覆った状態で、かつベース部11とフランジ部12bとが重なった部分の厚さが一定の状態で、厚さ方向糸zにより結合されている。そのため、リブ12のフランジ部12bとベース部11とを結合するために、ベース部11の厚さ方向と平行に挿入される厚さ方向糸zの挿入長さが一定になる。したがって、ベース部11及びリブ12を有する三次元繊維構造体10の製造時に、リブ12のフランジ部12bとベース部11とを結合する厚さ方向糸zを容易に挿入することができる。また、ベース部11の厚さとフランジ部12bの厚さの合計が製品の必要強度に対応するように設計することで、製品の軽量化を図ることができる。
【0024】
(2)リブ12の厚さは、フランジ部12b及びベース部11が重なった部分と同じ厚さに形成されているため、リブ12のリブ本体12a、即ちフランジ部12bで支えられてベース部11に固定される部分への結合糸(厚さ方向糸z)の挿入を、フランジ部12b及びベース部11の重なり部に結合糸を挿入する際と同じストロークで行うことができる。そのため、結合糸の挿入がより容易になる。
【0025】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ ベース部11の形状は長手方向と直交する断面形状がコ字状に限らず、例えば、図2に示すように、長手方向と直交する断面形状がL字状であってもよい。この場合、リブ12も略I字状の形状ではなく、断面逆T字状の形状に形成される。
【0026】
○ ベース部11の形状は立体的な形状に限らず、平面状であってもよい。例えば、図3に示すように、平板状のベース部11上に、断面逆T字状に形成されたリブ12がフランジ部12bにおいて結合された構成としてもよい。
【0027】
○ リブ12は、フランジ部12bの端面が平坦に限らず、例えば、図4に示すように、フランジ部12bが段差部16を有する状態に形成されていてもよい。フランジ部12bの端面が平坦な場合、隣り合うリブ12のフランジ部12bの突き合わせ面がベース部11に垂直な一平面上に位置する状態になり、リブ12を構成する繊維でその平面を跨ぐように配列されたものがない。一方、フランジ部12bが段差部16を有する状態に形成された場合は、隣り合うリブ12のフランジ部12bの突き合わせ面がずれた状態となり、任意の位置においてベース部11に垂直な一平面を跨ぐように配列された繊維が必ず存在する状態となる。そのため、三次元繊維構造体10を強化基材として繊維強化複合材を形成した際に、フランジ部12bの端面が平坦な場合に比べて、フランジ部12bの突き合わせ位置と対応する箇所における曲げ強度が高くなる。
【0028】
○ リブ12の形状は、リブ本体12aの端部両側にフランジ部12bを有する略I字状や逆T字状に限らない。例えば、図5に示すように、略U字状、即ち一対のリブ本体12aの端部が1つのフランジ部12bで連結された形状であってもよい。このリブ12を使用する場合は、ハンドリングが容易な数の隣り合うリブ12のリブ本体12a同士を予め厚さ方向糸z結合した物をベース部11上に配置して、ベース部11とフランジ部12bとを厚さ方向糸zで結合してもよい。しかし、リブ12をフランジ部12bにおいてベース部11に厚さ方向糸zで結合した後、リブ本体12a同士を厚さ方向糸zで結合してもよい。
【0029】
○ リブ12の形状はベース部11から垂直に突出する部分(リブ本体12a)が単純な平板に限らず、先端側が屈曲した形状であってもよい。
○ リブ12の厚さは、フランジ部12b及びベース部11が重なった部分と同じ厚さに限らない。リブ12及びベース部11に要求される強度によって、リブ12の厚さをフランジ部12b及びベース部11が重なった部分の厚さに比べて厚くしたり、薄くしたりしてもよい。
【0030】
○ 三次元繊維構造体10を構成するベース部11及びリブ12を構成する積層繊維層15は繊維の配列角度が0度、90度、±45度の4軸配向に限らず、少なくとも2軸配向であればよい。例えば、配列角度が0度、60度及び−60度に配列した連続繊維で面内3軸配向としたり、配列角度が0度と90度の2軸配向としたりしてもよい。しかし、4軸配向の方が擬似等方性となるため好ましい。
【0031】
○ 結合糸としての厚さ方向糸zは、抜け止め糸と共同で各繊維層14を締め付けるように配列されたものに限らない。例えば、特開平6−184906号公報に開示された繊維構造体のように、チェーンステッチ方式で厚さ方向糸z自身が抜け止め機能を果たすように各糸層を貫通して締め付ける構成としてもよい。また、針を用いて1本の結合糸(厚さ方向糸z)が積層繊維層15に一方の面から挿通され、他方の面で貫通位置を変えて折り返すように挿通されることを繰り返すステッチ糸であってもよい。
【0032】
○ 結合糸(厚さ方向糸z)の挿入間隔(密度)は、目的とする複合材に要求される強度に対応して設定される。
○ 積層繊維層15は、配列角度が同じ連続繊維がそれぞれ一平面上に位置するように配列されて構成された繊維層14が積層された構成に限らず、繊維層14として織物が積層された構成であってもよい。織物としては、例えば、平織りの織物に限らず、二重織り等の多層織りで形成された織物を積層してもよい。この場合、連続繊維を配列した繊維層を積層して積層繊維層15を構成するより、積層繊維層15の形成を短時間で行うことができる。
【0033】
○ 繊維強化樹脂のマトリックス樹脂は熱硬化性樹脂に限らず、熱可塑性樹脂、例えば、ナイロンを使用しても良い。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0034】
(1)請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明の三次元繊維構造体を強化基材とした繊維強化複合材。
【符号の説明】
【0035】
10…三次元繊維構造体、11…ベース部、11a…リブ取り付け面、12…リブ、12b…フランジ部、14…繊維層、15…積層繊維層、16…段差部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6