特許第5983312号(P5983312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983312
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】車両の冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/02 20060101AFI20160818BHJP
   F01P 3/18 20060101ALI20160818BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20160818BHJP
   F01P 7/10 20060101ALI20160818BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F01P7/02 J
   F01P3/18 G
   F01P5/06 509
   F01P7/10 Z
   F01P11/10 B
   F01P11/10 G
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-238684(P2012-238684)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-88798(P2014-88798A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】福永 晋
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−319838(JP,A)
【文献】 特開平05−065823(JP,A)
【文献】 特開2004−300960(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0079858(US,A1)
【文献】 米国特許第05566745(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 3/18
5/06
7/02, 7/10, 11/10
B60K11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前面に形成されたグリルと、このグリルから取り込まれた外気に対して並列に配置された内燃機関の冷却用のラジエータ及び他の熱交換器と、これらのラジエータ及び熱交換器よりも外気に対して下流側に設けられた冷却ファンと、を備える車両の冷却システムにおいて、
前記グリルから前記ラジエータ及び前記熱交換器まで延在したダクトと格子部とを備え、この格子部により、前記グリル及び前記ダクトを前記ラジエータ及び前記熱交換器の境界線で分割し、前記グリルから取り込まれた外気を前記ラジエータ及び前記熱交換器に独立してそれぞれに導く構成にし、
前記格子部により前記グリルに形成された前記熱交換器の前側部分の熱交換器用開口部を遮断、又は開放する第一開閉機構と、前記ラジエータの前側部分のラジエータ用開口部を遮断、又は開放する第二開閉機構と、これらの第一開閉機構及び第二開閉機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置により、前記第一開閉機構及び前記第二開閉機構の両方が閉じると、前記グリルの全域を塞ぐ構成にしたことを特徴とする車両の冷却システム。
【請求項2】
前記熱交換器を内燃機関の吸気冷却用のインタークーラーで構成することを特徴とする請求項1に記載の車両の冷却システム。
【請求項3】
前記制御装置により
前記ラジエータのみを冷却するときは、前記第一開閉機構を閉じると共に前記第二開閉機構を開いて、前記グリルのうちの前記ラジエータ用開口部のみを開放し、
前記熱交換器のみを冷却するときは、前記第一開閉機構を開くと共に前記第二開閉機構を閉じて、前記グリルのうちの前記熱交換器用開口部のみを開放し、
前記ラジエータ及び前記熱交換器のどちらも冷却しないときは、前記第一開閉機構及び前記第二開閉機構の両方を閉じて、前記グリルの全域を塞ぐ構成にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータと他の熱交換器と冷却ファンとを組み合わせ、外気によりそのラジエータと熱交換器とを冷却する車両の冷却システム関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の冷却システムでは、エンジン(内燃機関)の前側にエンジン冷却用のラジエータと、ターボ吸気冷却用のインタークーラーなどの熱交換器を重ね合わせ、これらに冷却ファンを組み合わせることでクーリングモジュールを形成している。一方、車両の前側のボディフロント部にはこのクーリングモジュールに外気(走行風)を取り込むためグリル(開口部)を設けている。
【0003】
ここで、従来の車両の冷却システムについて、車両の前側の断面図を示す図6を参照しながら説明する。ここで車両1Xの走行方向Aを白抜きの矢印で示すことにする。冷却システム2Xは、エンジン3とトランスミッション(変速機)4の前側に設けられ、車両1Xの前側から順番にインタークーラー5とラジエータ6とを走行方向Aに直列となるように配置し、それらの下流側にエンジン3により駆動される冷却ファン7をファンシュラウド8で囲って配置して形成されたクーリングモジュール9Xを備える。
【0004】
また、冷却システム2Xは、そのクーリングモジュール9Xに外気を当てるため、車両1Xのボディフロント部にグリル10Xを設ける。グリル10Xは、格子部10aXと開口部10bXとからなり、開口部10bXから車両1Xが走行したときに、あるいは冷却ファン7が回転したときに、外気が取り込まれるように構成されている。
【0005】
車両1Xが走行すると、あるいは冷却ファン7が回転すると、グリル10Xから取り込まれた外気によって、インタークーラー5とラジエータ6は冷却される。
【0006】
エンジン3により駆動する冷却ファン7は、ファンクラッチ7aが接続又は切断することで、駆動を制御されており、エンジン3の保護を優先させるために主に水温センサS1が検知するエンジン水温に応じて回転数を増減させるようにECU(制御装置)11により制御されている。
【0007】
しかしながら、エンジン3の吸気に冷却が必要な領域、つまりインタークーラー5の冷却が必要な領域は必ずしもエンジン水温と連動しない。このため、エンジン水温が比較的低く、冷却ファン7の回転数が低下した場合には、同時にインタークーラー5の通過風量も低下してしまうため、インタークーラー5での冷却が不足してしまうことがあった。
【0008】
一方、インタークーラー5の冷却不足を解消するために、冷却ファン7をエンジン水温と吸気温度の両方を考慮して駆動すると、冷却ファン7の運転頻度(ON頻度)が増加し、冷却ファン7の駆動損失が増加して車両の燃費が悪くなってしまう。
【0009】
上記の構成に関わらず、従来の車両1Xの前側には他の熱交換器が配置されることがあり、その熱交換器での冷却が不足してしまうという問題があった。そこで、エアコン使用時のエアコンのコンデンサの冷却不足を解消する装置として、ラジエータの前方に、左右片側に仕切部を介してオイルクーラーが一体化されたコンデンサを配置し、ラジエータの後方に左右一対のファンを設置すると共に、オイルクーラー一体のコンデンサの前方に左右一対のダクトを設置し、ダクトを介してファンにより車両前方から導入した空気流で、コンデンサ及びオイルクーラーと、その後方に位置するラジエータとを冷却可能な車両用
熱交換器であって、前記コンデンサの仕切部側の端部を、オイルクーラー側のダクトから導入した空気流の中に位置させると共に、左右一対のダクトの少なくともオイルクーラー側に開閉自在なシャッターを設け、エアコン停止時には、少なくともオイルクーラー側のダクトに設けられたシャッターを開いた状態にし、エアコン使用時には、シャッターによりオイルクーラー側のダクトを閉じ且つコンデンサ側のダクトは開いた状態で、左右両方のファンを回転状態にできる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
この装置は、オイルクーラーによりコンデンサが熱くならず、更にコンデンサの冷却能力を早期に高めることができるが、ラジエータにオイルクーラーと一体化したコンデンサを重ねて配置しているため、前述したように左右一対のファンをエンジンの保護を優先させるために主にエンジン水温に応じて制御すると、前述したようにオイルクーラー及びコンデンサの冷却不足が発生する。
【0011】
一方、左右一対のファンをエンジン水温と、オイルクーラーあるいはコンデンサの温度に応じて制御するとファンの運転頻度が増加し、消費電力が増加してしまう(ファンの駆動がエンジンの場合は駆動損失が増加して車両の燃費が悪くなってしまう)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−300960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却ファンの運転頻度を増加させずに、ラジエータと他の熱交換器の通気を別々にコントロールして、効率良く冷却することができる車両の冷却システムとその冷却方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を解決するための本発明の車両の冷却システムは、車両の前面に形成されたグリルと、このグリルから取り込まれた外気に対して並列に配置された内燃機関の冷却用のラジエータ及び他の熱交換器と、これらのラジエータ及び熱交換器よりも外気に対して下流側に設けられた冷却ファンと、を備える車両の冷却システムにおいて、前記グリルから前記ラジエータ及び前記熱交換器まで延在したダクトと格子部とを備え、この格子部により、前記グリル及び前記ダクトを前記ラジエータ及び前記熱交換器の境界線で分割し、前記グリルから取り込まれた外気を前記ラジエータ及び前記熱交換器に独立してそれぞれに導く構成にし、前記格子部により前記グリルに形成された前記熱交換器の前側部分の熱交換器用開口部を遮断、又は開放する第一開閉機構と、前記ラジエータの前側部分のラジエータ用開口部を遮断、又は開放する第二開閉機構と、これらの第一開閉機構及び第二開閉機構を制御する制御装置と、を備えて構成される。
【0015】
この構成によれば、開閉機構の開閉動作を制御することによって、各熱交換器の通気をコントロールして、効率良く冷却することができる。これにより、従来の冷却システムにおいて、内燃機関の保護を優先させる為に主に内燃機関の冷却水温、つまりラジエータの温度によって冷却ファンの回転数を増減していたために発生していた、内燃機関の冷却水温が低い場合に、ラジエータ以外の熱交換器の冷却が不足してしまうことを、防止することができる。
【0016】
また、それぞれの熱交換器の要求に応じた外気の導入のコントロールが可能となることで、冷却ファンのオンデマンド化が進み、冷却ファンの運転頻度を低減することができる。これにより、冷却ファンによる内燃機関の駆動損失が減るので、結果的に車両の燃費を向上することができる。
【0017】
なお、ここでいう熱交換器とは、内燃機関の吸気冷却用のインタークーラー、車両内の冷房装置(エアコン)のコンデンサ、及び内燃機関の潤滑油冷却用のオイルクーラーなどのことをいう。また、ラジエータと熱交換器とを並列に配置するとは、車両の走行方向、つまり前後方向に直列に配置するのではなく、車両の上下方向、又は左右方向に並列に配置することを示す。加えて、ここでいう開閉機構とは、可動式の複数の羽板と呼ばれる細長い板を、枠組みに隙間を空けて平行に組んだ可動式ルーバー機構などのことをいう。
【0018】
また、上記の車両の冷却システムにおいて、前記熱交換器を内燃機関の吸気冷却用のインタークーラーで構成すると、ラジエータとインタークーラーの通気をコントロールして、効率良く冷却することができる。従来の構成では不足していたインタークーラーの冷却を強化することにより、チャージエア充填効率が上がり、エンジン燃焼効率が向上する。結果、車両の燃費を向上することができる。
【0019】
加えて、上記の車両の冷却システムにおいて、前記制御装置により、前記第一開閉機構及び前記第二開閉機構の両方が閉じると、前記グリルの全域を塞ぐ構成にすると、内燃機関の暖機中に全ての開閉機構を閉じることによって、暖機が促進され、車両の燃費を向上することができる。また、外気を導入する必要が無い場合にはグリルの全域を塞ぐことで、車両にかかる空気抵抗を低減することができ、車両の燃費を向上することができる。
【0020】
さらに、上記の車両の冷却システムにおいて、前記制御装置により、前記ラジエータのみを冷却するときは、前記第一開閉機構を閉じると共に前記第二開閉機構を開いて、前記グリルのうちの前記ラジエータ用開口部のみを開放し、前記熱交換器のみを冷却するときは、前記第一開閉機構を開くと共に前記第二開閉機構を閉じて、前記グリルのうちの前記熱交換器用開口部のみを開放し、前記ラジエータ及び前記熱交換器のどちらも冷却しないときは、前記第一開閉機構及び前記第二開閉機構の両方を閉じて、前記グリルの全域を塞
ぐ構成にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、冷却ファンの運転頻度を増加させずに、ラジエータと他の熱交換器の通気を別々にコントロールして、効率良く冷却することができる。特に、熱交換器をインタークーラーで構成する場合は、インタークーラーの冷却を強化することによりチャージエアの充填効率が上がり、内燃機関の燃焼効率を向上し、車両の燃費を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る第1の実施の形態の車両の冷却システムの構成を示す図である。
図2図1の冷却システムがインタークーラーのみを冷却するときの動作を示す図である。
図3図1の冷却システムがラジエータのみを冷却するときの動作を示す図である。
図4図1の冷却システムがエンジンを暖機するときの動作を示す図である。
図5】本発明に係る第2の実施の形態の車両の冷却システムの構成を示す図である。
図6】従来の車両の冷却システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態の車両の冷却システムついて、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態では、車両の前側にクーリングモジュールを配置し、車両の前側のボディフロント部にグリルを設けたものを例に説明する。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
【0025】
まず、本発明に係る第1の実施の形態の車両の冷却システムについて、図1を参照しながら説明する。ここで、図中の左右方向を車両1の前後方向x、図中の上下方向を車両1の上下方向y、及び図中の表裏方向を車両1の左右方向zとする。
【0026】
この車両1の冷却システム2は、クーリングモジュール9のインタークーラー5とラジエータ6を、前後方向xに直列ではなく、グリル10と冷却ファン7の間で上下方向yに並列となるように配置し、グリル10を遮断、又は開放する複数の羽板12を有する可動式ルーバー機構(開閉機構)13と、グリル10からの外気をクーリングモジュール9に導くダクト14とを備えて構成される。
【0027】
また、ECU(制御装置)11は、エンジン3の吸気温度を検知する吸気温度センサS2と接続されると共に、水温センサS1が検知するエンジン水温により冷却ファン7の回転数を制御するためにファンクラッチ(ファン回転制御装置)7aを接続又は切断する手段を備える。また、可動式ルーバー機構13を制御する手段を備える。
【0028】
インタークーラー5とラジエータ6とを、この実施の形態では、上下方向yに並列になるように配置したが、左右方向zに並列になるように配置してもよい。
【0029】
冷却ファン7はエンジン3により駆動されるファンであり、エンジン3により駆動されるファンであり、エンジン3との間に電子制御式のファンクラッチ7aを介在している。このファンクラッチ7aは、水温センサS1の検知するエンジン水温に応じてECU11により接続と切断を制御されている。
【0030】
この実施の形態では、ファンクラッチ7aを接続又は切断することにより、冷却ファン7の回転を制御しているが、冷却ファン7の回転を制御することができればよく、本発明はこの構成に限定しない。
【0031】
また、本発明は、インタークーラー5とラジエータ6を上下方向yに並列になるように配置し、インタークーラー5及びラジエータ6のそれぞれの要求に応じた外気の導入をコントロールするため、冷却ファン7は、エンジン水温に加えて、吸気温度センサS2の検知する吸気温度に応じて回転数を制御されるように構成するとよい。
【0032】
グリル10は、図6に示す従来のグリル10Xとは異なり、図1に示すように、格子部10aが設けられると共に、その格子部10aにより分割されたインタークーラー5の前側部分のインタークーラー用開口部10bと、ラジエータ6の前側部分のラジエータ用開口部10cとを備える。
【0033】
格子部10aは、グリル10を上下方向yに分割すると共に、グリル10から取り込んだ外気の流路を二股に分割し、インタークーラー用開口部10bから取り込んだ外気をインタークーラー5のみに導き、且つラジエータ用開口部10cから取り込んだ外気をラジエータ6のみに導くように構成される。好ましくは、格子部10aをクーリングモジュール9のインタークーラー5とラジエータ6の境界部分まで延在するように構成すると、冷却効率を高めることができる。
【0034】
なお、インタークーラー5とラジエータ6を左右方向zに並列となるように配置する場合は、格子部10aをグリル10を左右方向zに分割するように構成する。
【0035】
複数の羽板12からなる可動式ルーバー機構13は、インタークーラー5の前側部分のインタークーラー用開口部10bを開放又は遮断する第1ルーバー13aと、ラジエータ6の前側部分のラジエータ用開口部10cを開放又は遮断する第2ルーバー13bとから構成され、第1ルーバー13aと第2ルーバー13bは別々にECU11により制御されている。
【0036】
この可動式ルーバー機構13を備えることにより、インタークーラー5のみ冷却したい場合、あるいはインタークーラー5の冷却を優先したい場合は、第1ルーバー13aによりインタークーラー用開口部10bを開放し、第2ルーバー13bによりラジエータ用開口部10cを遮断することで、冷却ファン7の作用をインタークーラー5に集中し、インタークーラー5を通過する風量を増加させることができる。
【0037】
また、ラジエータ6のみ冷却したい場合、あるいはラジエータ6の冷却を優先したい場合は、第1ルーバー13aによりインタークーラー用開口部10bを遮断し、第2ルーバー13bによりラジエータ用開口部10cを開放することで、冷却ファン7の作用をラジエータ6に集中し、ラジエータ6を通過する風量を増加させることができる。
【0038】
ダクト14は、グリル10とクーリングモジュール9との間に設けられ、グリル10から取り込んだ全ての外気をクーリングモジュール9に通過させることができるので、クーリングモジュール9の冷却効率を向上することができる。
【0039】
なお、この実施の形態では、エンジン3により駆動される冷却ファン7を用いたが、別途に設けた電動機により駆動するファンを用いてもよい。この場合は、冷却ファン7の回転を電動機の駆動によって制御することができる。
【0040】
次に、この冷却システム2の動作について、図1図4を参照しながら説明する。水温センサS1が検知するエンジン水温が高く、吸気温度センサS2が検知するエンジン3の吸気温度が高い場合は、図1に示すように、第1ルーバー13a及び第2ルーバー13bの両方によりグリル10の全域を開放する。また、このとき、ファンクラッチ7aを接続し、冷却ファン7を駆動する。
【0041】
グリル10の全域を開放すると、インタークーラー用開口部10bから取り込んだ外気がインタークーラー5を通過し、且つラジエータ用開口部10cから取り込んだ外気がラジエータ6を通過するので、それぞれを効率よく冷却することができる。冷却ファン7については、車両1の車速が速く、グリル10から外気を十分に取り込める場合は、ファンクラッチ7aを切断し、駆動を停止してもよい。
【0042】
例えば、図6に示す従来の構成であれば、インタークーラー5とラジエータ6が前後方向xに直列に配置されているため、外気がインタークーラー5で暖められてしまい、ラジ
エータ6の冷却不足が発生していた。しかし、上記の構成によれば、インタークーラー5とラジエータ6が前後方向xに重なっていないため、一方の冷却不足を抑制することができる。
【0043】
エンジン水温が低く、吸気温度が高い場合は、図2に示すように、第1ルーバー13aによりインタークーラー用開口部10bを開放し、第2ルーバー13bによりラジエータ用開口部10cを遮断する。第1ルーバー13aのみを開放すると、インタークーラー用開口部10bから取り込まれた外気が、インタークーラー5のみを通過するので、ラジエータ6の冷却が必要ない領域で、インタークーラー5のみを冷却することができる。
【0044】
これにより、インタークーラー5の冷却が強化されることで、チャージエアの充填効率が上がり、エンジン3の燃焼効率を向上して、車両1の燃費を向上することができる。
【0045】
エンジン水温が高く、吸気温度が低い場合は、図3に示すように、第1ルーバー13aによりインタークーラー用開口部10bを遮断し、第2ルーバー13bによりラジエータ用開口部10cを開放する。第2ルーバー13bのみを開放すると、ラジエータ用開口部10cから取り込まれた外気が、ラジエータ6のみを通過するので、インタークーラー5の冷却が必要ない領域で、ラジエータ6のみを冷却することができる。
【0046】
図2又は図3に示すように、インタークーラー5及びラジエータ6のそれぞれの要求に応じた外気の導入のコントロールが可能となることで、冷却ファン7のオンデマンド化を進めることができる。図2又は図3のように可動式ルーバー機構13を動作させたときに、従来の構成と比較して冷却ファン7の回転数を低減しても、若しくは冷却ファン7の駆動を停止してもそれぞれを冷却することが可能となる。よって、冷却ファン7の運転頻度(ON頻度)が低減され、若しくは冷却ファン7の回転数が低減され、冷却ファン7による駆動損失が減るので、結果的に車両1の燃費を向上することができる。
【0047】
なお、この実施の形態では、エンジン3により駆動される冷却ファン7を用いた場合の効果を説明したが、例えば、冷却ファン7が電動機により駆動される場合は、駆動損失を低減する代わりに消費電力を低減することができる。
【0048】
エンジン水温が低く、吸気温度も低い場合は、特に、エンジン3の暖機が必要な場合は、図4に示すように、第1ルーバー13a及び第2ルーバー13bの両方によりグリル10の全域を遮断する。グリル10の全域を遮断すると、エンジン3の暖気中に、外気がラジエータ6を通過すること、及びその外気がエンジン3に当たることを抑制し、エンジン3の暖機を促進することができる。この暖機促進により車両1の燃費を向上することができる。このとき、ファンクラッチ7aを切断し、冷却ファン7の駆動を停止するように構成するとより暖機を促進すると共に、駆動損失を低減することができる。
【0049】
また、図2図3、及び図4に示すように、グリル10の全域を開放しない、つまり外気を導入する必要のない場合にはグリル10の全域を塞ぐ、若しくはグリル10の一部を塞ぐことで、車両1にかかる空気抵抗を低減することができ、車両1の燃費を向上することができる。
【0050】
上記の冷却システム2の動作によれば、インタークーラー5とラジエータ6の通気をコントロールして、それぞれの要求に応じて効率良く冷却することができる。これにより、インタークーラー5の冷却を強化する、冷却ファン7の運転頻度を低減する、及びグリル10の一部を塞いで空気抵抗を低減するという作用効果を得ることができる。
【0051】
なお、この実施の形態では、ラジエータ6と並列に配置する熱交換器としてインターク
ーラー5を用いて説明したが、本発明はこれに限定せず、ラジエータ6と並列に配置する熱交換器をオイルクーラーやエアコン(冷暖房装置)のコンデンサで構成してもよい。その場合は、吸気温度センサS2に換えて、熱交換器に対応するセンサを設けることとする。
【0052】
次に、本発明に係る第2の実施の形態の車両の冷却システムについて、図5を参照しながら説明する。この冷却システム20は、インタークーラー5とラジエータ6とオイルクーラー21を上下方向yに並列となるように配置したクーリングモジュール22を備える。また、グリル23を、格子部23a及び格子部23dにより分割された、インタークーラー用開口部23b、ラジエータ用開口部23c、及びオイルクーラー用開口部23eから構成する。加えて、インタークーラー用開口部23bを開放又は遮断する第1ルーバー24a、ラジエータ用開口部23cを開放又は遮断する第2ルーバー24b、及びオイルクーラー用開口部23eを開放又は遮断する第3ルーバー24cを備える。
【0053】
ここで、第1ルーバー24a及び第2ルーバー24bは、第1の実施の形態で説明した第1ルーバー13a及び第2ルーバー13bと同様に動作するものとする。
【0054】
よって、この冷却システム20は、図1に示す第1の実施の形態の冷却システム2のクーリングモジュール9に、図5に示すように、オイルクーラー21を加えて、そのオイルクーラー21を冷却するためにオイルクーラー用開口部23eとそれを開放又は遮断する第3ルーバー24cを備えて構成される。
【0055】
また、ECU11は、オイル温度を検知するオイル温度センサS3と接続され、第1の実施の形態で説明した第1ルーバー24a及び第2ルーバー24bを制御する手段に加えて、オイル温度に応じて第3ルーバー24cを制御する手段を備える。
【0056】
この構成によれば、第1の実施の形態で述べた作用効果に加えて、オイルクーラー21の冷却を強化することができるので、エンジン3やトランスミッション4を潤滑するオイルの性能が低減することを抑制することができる。
【0057】
なお、この実施の形態では、ラジエータ6と並列に配置する熱交換器としてインタークーラー5とオイルクーラー21を用いて説明したが、本発明はこれに限定せず、その他の熱交換器を設けてもよい。
【0058】
本発明は、第1及び第2の実施の形態のように、冷却したい熱交換器ごとに対応するルーバーを設けることによって、それぞれの熱交換器の要求に応じた外気の導入のコントロールが可能となる。また、ラジエータ6以外の熱交換器を前後方向xに直列に配置してもよい。その場合はできるだけ冷却が必要な領域が重なる熱交換器を直列に配置するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の車両の冷却システムは、冷却ファンの運転頻度を増加させずに、ラジエータと他の熱交換器の通気を別々にコントロールして、効率良く冷却することができるので、特にディーゼルエンジンを搭載するトラックなどの車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1、1X 車両
2、20、2X 冷却システム
3 エンジン(内燃機関)
4 トランスミッション
5 インタークーラー(他の熱交換器)
6 ラジエータ
7 冷却ファン
7a ファンクラッチ(ファン回転制御装置)
8 ファンシュラウド
9、22、9X クーリングモジュール
10、23、10X グリル(開口部)
11 ECU(制御装置)
12 羽板
13、24 可動式ルーバー機構(開閉機構)
14 ダクト
21 オイルクーラー(他の熱交換器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6