(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給部、前記発光部、及び前記出力部のそれぞれは、前記移動方向と交差する方向に沿って前記記録媒体の幅に対応した範囲に設けられている請求項1に記載の画像形成装置。
前記光源は、それぞれが前記供給部、前記発光部、及び前記出力部を有する複数の発光素子アレイチップから構成され、当該発光素子アレイチップの各々は、それぞれの前記発光部の、前記移動方向と交差する方向の幅に対応した、前記供給部と前記出力部とを有する請求項2に記載の画像形成装置。
前記光源は、光の出射面の反対面側に前記供給部と前記出力部とを有し、前記供給部から前記出力部に電流が流れる経路中に半導体からなる内部電極を備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記供給部及び前記出力部の一方が、他方に対して前記移動方向上流側と前記移動方向下流側とに配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記発光素子アレイチップごとに、前記移動方向上流側に配置された前記供給部、及び前記移動方向下流側に配置された前記供給部のいずれか一方から交互に電流が供給される、請求項3に記載の画像形成装置。
前記画像形成手段は、感光体、前記感光体表面を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記感光体表面を画像データに基づいて露光して静電潜像を形成する露光手段、前記露光手段により形成された前記静電潜像を現像する現像手段、及び前記現像手段により現像された前記静電潜像を記録媒体に転写する転写手段を備え、
前記光源を備え、前記転写手段により転写された前記記録媒体上の前記静電潜像に前記光源から光を照射して前記静電潜像を前記記録媒体上に定着させる定着装置と、
を備えた請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本構成を有しない場合と比較して、移動方向と交差する方向の発光ムラが抑制された、画像形成装置、定着装置、及び乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像が形成された後、予め定められた移動方向に相対的に移動する前記記録媒体に対して光を照射する光源と、を備え、前記光源は、発光のための電流が供給される供給部と、二次元状に配置された
、隣接する複数の発光
点同士が
、当該発光点の出射口を除く領域を覆うように設けられた電極によって電気的に並列に接続された発光部と、前記発光部を通過した前記電流を出力する出力部と、を備え、前記供給部
及び前記発光部、
又は前記発光部及び前記出力部が、前記移動方向に並んで設けられている。
【0007】
また、本発明の画像形成装置の前記供給部、前記発光部、及び前記出力部のそれぞれは、前記移動方向と交差する方向に沿って前記記録媒体の幅に対応した範囲に設けられていてもよい。
【0008】
また、本発明の画像形成装置の前記光源は、それぞれが前記供給部、前記発光部、及び前記出力部を有する複数の発光素子アレイチップから構成され、当該発光素子アレイチップの各々は、それぞれの前記発光部の、前記移動方向と交差する方向の幅に対応した、前記供給部と前記出力部とを有することが好ましい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記光源は、光の出射面の反対面側に前記供給部と前記出力部とを有し、前記供給部から前記出力部に電流が流れる経路中に半導体からなる内部電極を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記供給部及び前記出力部の一方が、他方に対して前記移動方向上流側と前記移動方向下流側とに配置されていてもよい。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記発光素子アレイチップごとに、前記移動方向上流側に配置された前記供給部、及び前記移動方向下流側に配置された前記供給部のいずれか一方から交互に電流が供給されてもよい。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記発光素子アレイチップごとに、複数の前記供給部及び複数の前記出力部が、直列に接続されていてもよい。
【0013】
また、本発明の画像形成装置の前記光源は、面発光レーザであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成手段は、感光体、前記感光体表面を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記感光体表面を画像データに基づいて露光して静電潜像を形成する露光手段、前記露光手段により形成された前記静電潜像を現像する現像手段、及び前記現像手段により現像された前記静電潜像を記録媒体に転写する転写手段を備え、前記光源を備え、前記転写手段により転写された前記記録媒体上の前記静電潜像に前記光源から光を照射して前記静電潜像を前記記録媒体上に定着させる定着装置と、を備えるように構成してもよい。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成手段は、記録媒体上に画像データに基づいてインクを吐出して画像を形成する吐出手段を備え、前記光源を備え、前記記録媒体上に吐出されたインクに前記光源から光を照射してインクを乾燥させる乾燥装置と、を備えるように構成してもよい。
【0016】
本発明の定着装置は、本発明の画像形成装置に用いられる前記光源を備えた定着装置である。
【0017】
本発明の乾燥装置は、本発明の画像形成装置に用いられる前記光源を備えた乾燥装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、移動方向と交差する方向の発光ムラを抑制する。
【0019】
請求項2及び請求項3に記載の発明によれば、記録媒体の幅に全体に渡って、移動方向と交差する方向の発光ムラを抑制する。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、移動方向の発光ムラを抑制する。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、電流の供給部が移動方向上流側及び移動方向下流側の一方に配置されている場合と比較して、移動方向の発光ムラを抑制する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、移動方向の発光ムラを抑制する。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、並列に接続されている場合と比較して、複数の発光素子アレイチップ全体に流れる電流量を抑制する。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、信頼性が高くなる。
【0025】
請求項9及び請求項11に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、定着ムラを抑制する。
【0026】
請求項10及び請求項12に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、乾燥ムラを抑制する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
(画像形成装置)
図1に、本実施の形態の画像形成装置の一例の概略を示す概略構成図を示す本実施の形態では、トナーにより画像を形成する画像形成装置10に本発明を適用した場合について詳細に説明する。
【0029】
本実施形態に係る画像形成装置10は、
図1に示すように、矢印B方向に用紙(記録媒体)28を搬送させながら用紙28上に画像を形成する機能を有している。
【0030】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、矢印A方向に定速回転する感光体12を備えている。この感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、感光体12表面を帯電する帯電器(耐電手段)14、帯電器14により帯電された感光体12表面に静電潜像を形成するために露光するための光源ヘッド(露光手段)16、トナー像を形成するために静電潜像を現像剤により現像する現像器(現像手段)18、トナー像を用紙(記録媒体)28に転写する転写体(転写手段)20、転写後に感光体12の残存した残トナーを除去するためのクリーナ22、感光体12を除電し電位を均一化するイレーズランプ24が順に配設されている。
【0031】
すなわち、感光体12は、帯電器14によって表面が帯電された後、光源ヘッド16によって光が照射されて、感光体12上に潜像が形成される。なお、発光素子を備える光源ヘッド16は、駆動部(不図示)と接続されており、駆動部によって発光素子の点灯を制御して、画像データに基づいて光を出射するようになっている。
【0032】
形成された潜像には、現像器18によってトナーが供給されて、感光体12上にトナー像が形成される。感光体12上のトナー像は、転写体20によって、搬送されてきた用紙28に転写される。転写後に感光体12に残留しているトナーはクリーナ22によって除去される。また、感光体12は、表面に残留する電荷がイレーズランプ24から照射された照射光によって除電された後、再び帯電器14によって帯電されて、同様の処理を繰り返す。
【0033】
一方、トナー像が転写された用紙28は、複数の発光点(発光素子)を有する複数の発光素子アレイチップからなる定着器30(定着装置)に搬送されて、定着器30の発光素子から光が照射されて、定着処理が施される。複数の発光点を備える定着器30は、駆動回路(不図示)と接続されており、駆動回路によって発光点の点灯を制御して、用紙28に対して光を出射するようになっている。
【0034】
このようにしてトナー像が定着され、用紙28上に所望の画像が形成される。画像が形成された用紙28は装置外へ排出される。
(定着器)
次に、本実施の形態の定着器30について詳細に説明する。
【0035】
本実施の形態の定着器30の構成について説明する。
図2に、本実施の形態に係る定着器30の概略構成を示す概略構成図を示す。
【0036】
本実施の形態の定着器30は、用紙28の搬送方向と交差する方向(以下、搬送幅方向という)に設けられている。本実施の形態では、用紙28の横(搬送幅方向)の領域全体に対して同時(略同時も含む)に光を照射するように構成している。そのため、定着器30は、用紙28の横幅(搬送幅方向の幅)に応じた長さとしている。
【0037】
本実施の形態の定着器30は、プリント配線基板50上に、正の配線パターンを構成する正の配線52、負の配線パターンを構成する負の配線54、及び複数の発光素子アレイチップ60を備えている。正の配線52、負の配線54、及び複数の発光素子アレイチップ60は、搬送幅方向に沿って、用紙28の横幅に対応した範囲に並べて配置されている。そして、正の配線52は、各発光素子アレイチップ60の正電極74(アノード電極)に接続され、図示を省略した駆動回路から各発光素子アレイチップ60に電流を供給する。負の配線54は、各発光素子アレイチップ60の負電極75(カソード電極)に接続され、複数の発光素子アレイチップ60から出力される電流を駆動回路側に戻す機能を有する。なお、本実施の形態では、駆動回路から正の配線52及び負の配線54に供給される電流は、プリント配線基板50の長手方向の端部側または中心部側のいずれから供給されてもよく、また、駆動回路から供給される電流は、定電圧源または定電流源いずれから供給されてもよい。
【0038】
発光素子アレイチップ60は、複数の発光点62(発光素子)が2次元状に配列されている。なお、本実施の形態では、発光素子として、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザ)を用いている。本実施の形態では、複数の発光素子アレイチップ60がプリント配線基板50上に、記録媒体の幅に対応した範囲に搬送幅方向(搬送方向と交差する方向)に並んで配置されている。本実施の形態の発光素子アレイチップ60の正電極74と正の配線52とはボンディングワイヤ56により接続されている。図示を省略した駆動回路から流れてきた駆動電流が正の配線52からボンディングワイヤ56を介して発光素子アレイチップ60の正電極74に供給され、発光素子アレイチップ60の負電極75から負の配線54に流れていくことにより、発光点62が発光し、用紙28に向けて光を照射する。なお、本実施の形態では、複数の発光点62によって構成される発光部の搬送幅方向の幅は、発光素子アレイチップ60自体の幅と対応しており、略同等である。
【0039】
本実施の形態の定着器30について図面を参照してさらに詳細に説明する。
図3に、定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を示す。また、
図4に、
図3に示した定着器30のX−X線断面図を示す。なお、
図2、
図3、及び
図4に示した図は、いずれも本実施の形態の定着器30の概略図であり、ボンディングワイヤ56、発光素子アレイチップ60、及び発光点62の数等は、一例であり、図示したものに限定されるものではない。
【0040】
本実施の形態の定着器30に用いられる発光素子アレイチップ60は、複数の発光点62が2次元状に配列されたVCSELアレイチップである。この発光素子アレイチップ60は、表面発光型のVCSELアレイチップであり、n型のGaAs系の基板70上に、AlGaAs系やInGaAs系のp型またはn型の半導体層からなる活性層やDBR(Distribution Bragg Reflector:分布ブラッグ反射鏡)を含む半導体層72を構成し、発生した光を複数の発光点62から構成される発光部から光として照射する。
【0041】
発光素子アレイチップ60は、裏面全体がAu等の金属材料からなる負電極となっており、負の配線54上に配置され、銀ペースト等により負の配線54に接続されている。また、発光素子アレイチップ60は、光の出射口を除き表面全体がAu等の金属材料で覆われて正電極を構成し、負の配線54(発光素子アレイチップ60)の搬送方向上流側及び下流側の両方に配置された正の配線52とボンディングワイヤ56により接続されている。また、正電極74と負電極75との間に構成される複数の発光点62は、それぞれが二次元状に配列されるとともに電気的に並列に接続されている。このように、本実施の形態の発光素子アレイチップ60は、正電極74が複数の発光点62を跨ぐ連続した電極であり、この連続した電極を介して複数の発光点62のそれぞれに並列に電流が供給される構成となっている。なお、発光素子アレイチップ60内の全ての発光点が並列に接続されている必要はなく、複数の発光点62ごとに並列に接続されている構成であってもよい。
【0042】
本実施の形態では、発光素子アレイチップ60は、発光素子アレイチップ60の上流側の縁に搬送幅方向に沿ってボンディングワイヤ56が接続されて電流が供給される供給部を有する。供給部は正電極74の一部であり、複数の発光点62の幅に対応した幅(すなわち、発光素子アレイチップ60自体の幅に対応した幅)となっている。そして、ボンディングワイヤ56が搬送幅方向に複数並んだ状態で上流方向に配置された正の配線52と接続されている。また同様に、本実施の形態では、発光素子アレイチップ60は、発光素子アレイチップ60の下流側の縁に搬送幅方向に沿って設けられた他の供給部を有し、複数のボンディングワイヤ56により下流方向に配置された正の配線52と接続されている。正の配線52から供給された駆動電流がボンディングワイヤ56を介して、発光素子アレイチップ60の供給部に供給され、正電極74を搬送方向に沿って流れ、複数の発光点62を介して電流の出力部として機能する負電極75を介して負の配線54に流れ出すことにより、発光点62から光が照射される。なお、本実施の形態では、複数のボンディングワイヤ56により、発光素子アレイチップ60と正の配線52とを接続しているが、ボンディングワイヤ56は、各発光素子アレイチップ60において、発光部の搬送幅方向の幅に対応させて複数設けることが好ましい。発光部の幅に対応させて複数設けることにより、発光部の幅の一部のみに対応して設けられる構成よりも、電流が、より搬送方向に沿って流れるようになる。また、ボンディングワイヤ56は、搬送幅方向に沿って略等間隔に複数設けられていることが好ましい。
【0043】
本実施の形態の定着器30では、発光素子アレイチップ60に電流が供給される際、搬送方向の上流側に配置された供給部から搬送方向の下流側に向けて電流が供給され、下流側に配置された供給部からは、搬送方向の上流側に向けて電流が供給される。
【0044】
ここで、本実施の形態の発光素子アレイチップ60の正電極74は多数の出射口を有する構成であるため、電流が流れる経路が制限されており、また、複数の発光点62は2次元状に配列され、かつ電気的に並列に接続されている。よって、供給部から、電流が流れる経路が制限された正電極74を通って各発光点に至る供給経路が長いほど、配線抵抗の増加により、供給される電流量が減少する構成となっている。すなわち、本実施の形態においては、電流が流れる方向に対して上流側の発光点62の方が、並列に下流側に接続された発光点62よりも多くの電流が流れ、発光量が多くなる傾向がある。
【0045】
このような構成の発光素子アレイチップ60を定着器30に使用する場合、仮に搬送幅方向に沿って電流が流れるように定着器30を構成すると、搬送幅方向の出射光量の差が発生してしまう。その結果、用紙28上の搬送幅方向の各領域における受光光量にムラが発生し、定着特性に差がでることになる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、用紙28の幅に対応した範囲において、発光素子アレイチップ60に設けられた供給部、複数の発光点62、及び負電極75が搬送方向に並んで配置されている。当該構成により、電流が用紙28の搬送方向に沿って流れるため、用紙28に照射される搬送幅方向の発光量の差が抑制される。
【0047】
なお、搬送方向に対しては、供給部から発光点62までの搬送方向の距離(配線抵抗)に応じて、供給される電流量に差が生じ、搬送方向の発光量に差が生じる。しかしながら、搬送方向の発光量に差が生じたとしても、用紙28の搬送幅方向の各領域に照射される光量は搬送方向の発光量の積分値で決まるため、搬送方向に生じる発光ムラが定着に与える影響は、搬送幅方向に生じる発光ムラよりも小さい。
【0048】
また、本実施の形態では、搬送方向の上流側と下流側の両側から電流を供給する構成であるため、各発光点62に至る経路が片側のみから電流を供給する構成と比較して短くなるため、搬送方向に生じる発光ムラも抑制され、二次元状の発光部全体として発光ムラが少ない構成となっている。また、上流側と下流側の両側に接続領域を有するため、片側だけに接続領域を備える構成と比較し、より多くのボンディングワイヤ56を使用できる構成となっている。
[第2の実施の形態]
定着器30のその他の実施の形態について説明する。なお、上記実施の形態と略同様の構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施の形態の定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を
図5に示す。第1の実施の形態の定着器30では、発光素子アレイチップ60の供給部が搬送方向の上流側及び下流側の両方に配置され、上流側及び下流側の両方から電流が供給されていたのに対し、本実施の形態では、
図5に示すように発光素子アレイチップ60の供給部が一方の側に配置され、一方の側からのみ電流が供給されている。その他の構成については、第1の実施の形態と略同様に構成している。なお、
図5では、
図5では、一方の側に配置される例として、発光素子アレイチップ60の供給部が搬送方向下流側に配置されている場合について示したが、搬送方向上流側であってもよい。
【0050】
従って、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、搬送幅方向の発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増す。従って、トナー像の定着ムラも抑制される。
[第3の実施の形態]
さらに定着器30のその他の実施の形態について説明する。なお、上記実施の形態と略同様の構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施の形態の定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を
図6に示す。第1の実施の形態の定着器30では、発光素子アレイチップ60の供給部が、搬送方向の上流側及び下流側に配置されていたのに対し、本実施の形態では、
図6に示すように、発光素子アレイチップ60ごとに供給部がいずれか一方の側に配置されている。その他の構成については、第1の実施の形態と略同様に構成している。
【0052】
従って、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、搬送幅方向に並んだ発光点62では、搬送幅方向の発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増す。
【0053】
さらに、
図6に示した本実施の形態の定着器30の場合では、発光素子アレイチップ60A及び発光素子アレイチップ60Cは、搬送方向下流側の正の配線52に接続されて下流側に配置された供給部に電流が供給され、発光素子アレイチップ60Bは、搬送方向上流側の正の配線52に接続されて上流側に配置された供給部に電流が供給される。これにより、発光素子アレイチップ60A及び発光素子アレイチップ60Cでは、下流側の供給部に電流が供給されるため、下流側に配置された発光点62の光量が多く、搬送方向上流側の発光点62になるほど光量が減少する。一方、発光素子アレイチップ60Bでは、上流側の供給部に電流が供給されるため、上流側に配置された発光点62の光量が多く、搬送方向下流側の発光点62になるほど光量が減少する。従って、定着器30全体としてみると、搬送幅方向に生じる発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増す。
【0054】
このように本実施の形態においても、トナー像の定着ムラが抑制される。
【0055】
なお、
図6では、発光素子アレイチップ60を1チップずつ交互に、搬送方向上流側の正の配線52と下流側の正の配線52に接続させた場合を示しているがこれに限らず、例えば、2チップずつ交互としてもよい。なお、搬送方向に生じる発光ムラを抑制する観点からは、上流側の正の配線52に接続される発光素子アレイチップ60の数と、下流側の正の配線52に接続される発光素子アレイチップ60の数との差が少ない方が好ましい。また、
図6に示すように1チップずつ交互とすることが好ましい。
[第4の実施の形態]
さらに定着器30のその他の実施の形態について説明する。なお、上記実施の形態と略同様の構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施の形態の定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を
図7に示す。第1の実施の形態の定着器30では、複数の発光素子アレイチップ60が、並列に接続されていたのに対し、本実施の形態では、
図7に示すように、複数の発光素子アレイチップ60が正の配線52及び負の配線54を介して直列に接続されている。その他の構成については、第1の実施の形態と略同様に構成している。
【0057】
本実施の形態では、正の配線52及び負の配線54、発光素子アレイチップ60が直列に接続されているため、1つの配線が隣接する発光素子アレイチップ60の正電極74と負電極75とを接続する機能を有する。
図7に示した定着器30では、正の配線52Aからボンディングワイヤ56を介して発光素子アレイチップ60Aの供給部に供給された電流は、負の配線54Bに流れ、当該負の配線54Bが正の配線52Bとして発光素子アレイチップ60Bの供給部にボンディングワイヤ56を介して供給される。さらに、発光素子アレイチップ60Bから負の配線54Cに流れた電流は、当該負の配線54Cが正の配線52Cとして発光素子アレイチップ60Cの供給部にボンディングワイヤ56を介して供給され、負の配線54Dに向けて流れる。
【0058】
このように本実施の形態では、正の配線52及び負の配線54、発光素子アレイチップ60が直列に接続されているため、並列に接続されている場合(例えば、上記各実施の形態)に比べて、定着器30全体に流れる電流量が抑制される。
【0059】
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、搬送幅方向の発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増す。従って、トナー像の定着ムラも抑制される。
【0060】
また、第3の実施の形態と同様に、定着器30全体としてみると、搬送方向に生じる発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増す。
[第5の実施の形態]
さらに定着器30のその他の実施の形態について説明する。なお、上記実施の形態と略同様の構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
【0061】
本実施の形態の定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を
図8に示す。また、
図9に、
図8に示した定着器30のY−X線断面図を示す。第1の実施の形態の定着器30では、表面発光型の発光素子アレイチップ60を用いたのに対し、本実施の形態では、
図9に示すように、裏面発光型の発光素子アレイチップ60を用いている。また、本実施の形態の定着器30では、ボンディングワイヤ56を用いずに、発光素子アレイチップ60と正の配線52及び負の配線54とが銀ペースト等で正電極74と負電極75にそれぞれ接続されている。
【0062】
本実施の形態の発光素子アレイチップ60は、
図9に示すように、半絶縁性(真正)のGaAsの基板71上に、n型のGaAs層で構成される内部電極55、AlGaAs系やInGaAs系のp型またはn型の半導体からなる活性層やDBR(Distribution Bragg Reflector:分布ブラッグ反射鏡)を含む半導体層72、正電極74、及び負電極75が積層され、これらが裏返された状態でプリント配線基板50上に搭載されている。なお、本実施の形態の正電極74は、ボンディングワイヤ56が接続される供給部がない点を除いて第1の実施の形態の正電極74と同様の構成である。
【0063】
内部電極55は、第1の実施の形態における金属材料の電極とは異なり半導体の層であるが、複数の発光点62に跨った連続した電極である点は第1の実施の形態の正電極74と同様である。また、内部電極55は、発光素子アレイチップ60の内部で、発光素子アレイチップ60の裏面から内部に延びる負電極75と接続され、発光点62を通過した電流を負電極75に流す機能を有する。
【0064】
負電極75は、正電極74と同様にAu等の金属材料で構成されているが、第1の実施の形態とは異なり、プリント配線基板50に対して、正電極74と同じ面側に設けられている。また、発光素子アレイチップ60の搬送幅方向の幅に対応した連続した面を有している。
【0065】
なお、正電極74は、発光素子アレイチップ60の搬送方向上流側において銀ペースト等で正の配線52に接続され、負電極75は、発光素子アレイチップ60の搬送方向下流側において銀ペースト等で負の配線54に接続されている。すなわち、本実施の形態においては、銀ペーストによって正の配線52と接続される正電極74全体が供給部を構成し、負電極75が電流の出力部を構成する。正の配線52から発光素子アレイチップ60の正電極74に供給された電流は、発光点62を経由して内部電極55に流れ込み、搬送方向に沿って内部電極55を流れ、負電極を75を介して、負の配線54に流れる。その他の構成については、第1の実施の形態と略同様に構成している。
【0066】
図9に示したように、裏面発光型の発光素子アレイチップ60は、第1の実施の形態における表面発光型と異なり、内部電極として半導体層を使用した構成であるため、電流経路の抵抗値が表面発光型よりも大きくなりやすく、電流経路に応じた光量ムラが生じやすくなる。しかしながら、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、搬送幅方向に並んだ発光点62では、電流が搬送方向に沿って流れるため、搬送幅方向の発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増す。従って、トナー像の定着ムラも抑制される。
【0067】
このように、裏面発光型の発光素子アレイチップ60に適用した場合、より効果的に搬送幅方向の発光ムラが抑制される。
【0068】
また、
図9に示したように、裏面発光型の発光素子アレイチップ60では、発光点62で発光された光が、基板70を透過して、用紙28に対して照射される。裏面発光型の発光素子アレイチップ60では、表面発光型の発光素子アレイチップ60に比べて、発光点62がプリント配線基板50に近い位置に設けられている。そのため、プリント配線基板50側に冷却部を設けた場合、裏面発光型の方が表面発光型に比べて、発光点62の発熱を効率よく吸収する。従って、安定性が向上する。
[第6の実施の形態]
さらに定着器30のその他の実施の形態について説明する。なお、上記実施の形態と略同様の構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施の形態の定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を
図10に示す。本実施の形態では、正の配線52が発光素子アレイチップ60の搬送方向上流側に設けられ、負の配線54及び負電極75が発光素子アレイチップ60の搬送方向下流側に設けられており、正電極74に供給された電流が発光素子アレイチップ60の上流側から下流側に向けて流れる場合の一例を示している。なお、
図10では、第5の実施の形態と同様に、ボンディングワイヤ56を用いずに、発光素子アレイチップ60と、正の配線52及び負の配線54とが銀ペースト等で接続されている場合を示している。その他の構成については、第1の実施の形態または第5の実施の形態と略同様に構成している。
【0070】
本実施の形態のように、半導体層で構成される内部電極55を備える裏面発光型の発光素子アレイチップ60においては、負の配線54に近い側(つまり下流側)の発光点62の方が負の配線54に遠い側(つまり上流側)の発光点62よりも、抵抗値の高い内部電極55を通る経路が短くなるためより多くの電流が流れ、発光量が大きくなる。このように、発光量のピークが搬送方向下流側に片寄るため、用紙28の所定の領域に照射される光量は、最初が少なく、徐々に増加する。
【0071】
画像形成装置10においてトナー像を定着させる場合、トナー像のトナーを予備加熱しておき、予備加熱後、定着に要する加熱が行われることが好ましい。本実施の形態では、発光量のピークが搬送方向下流側にあるため、少ない光量を照射することにより予備加熱をした後、多い光量を照射して定着に要する加熱が行われる。
【0072】
このように、トナー像を定着させる定着器30として用いる場合、用紙28の所定の領域に照射される光量が、最初が少なく、徐々に増加するように、発光素子アレイチップ60の供給部、発光部、及び負電極75を配置することで、より高い効果が得られる。なお、本実施の形態は裏面発光型の光源に限られるものではなく、表面出射型の光源で構成してもよい。例えば、第2の実施の形態における表面発光型の光源では、電流が正電極74の中を流れる距離が短くなるのは、負電極75から遠い側(供給部に近い側)の発光点62であり、この発光点62の方が発光量が大きくなるため、負電極75を搬送方向上流側、正電極74を搬送方向下流側に配置すればよい。
[第7の実施の形態]
さらに定着器30のその他の実施の形態について説明する。なお、上記実施の形態と略同様の構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施の形態の定着器30の一部を上面(光を照射する側)から見た平面図を
図11に示す。本実施の形態では、正の配線52が発光素子アレイチップ60の搬送方向下流側に設けられており、正電極74に供給された電流が発光素子アレイチップ60の下流側から上流側に向けて流れる場合の一例を示している。なお、
図11では、第5の実施の形態と同様に、ボンディングワイヤ56を用いずに、発光素子アレイチップ60と、正の配線52及び負の配線54とが銀ペースト等で接続されている場合を示している。その他の構成については、第1の実施の形態または第5の実施の形態と略同様に構成している。
【0074】
本実施の形態の場合、第6の実施の形態とは逆に、発光量のピークが搬送方向上流側に片寄るため、用紙28の所定の領域に照射される光量は、最初が多く、徐々に減少する。
【0075】
従って、用紙28に照射される光量が徐々に減少することが好ましい場合には、本実施の形態を採用することが好ましい。なお、第6の実施の形態で説明したとおり、面発光型の光源に限られるものではなく、表面出射型の光源で構成してもよい。
【0076】
上記各実施の形態では、トナーにより画像を形成する画像形成装置10(定着器30)に本発明を適用する場合について説明したが、インクにより画像を形成する画像形成装置10(乾燥装置)に適用することが特に好ましい(詳細後述)。
【0077】
以上説明したように、上記各実施の形態では、発光素子アレイチップ60に電流が供給される供給部、複数の発光点62、及び負電極75が用紙28の搬送方向に並んで設けられており、供給部から複数の発光点62を通って負電極75に流れる電流が、記録媒体の幅に対応した範囲において、搬送方向に沿って流れる。従って、搬送幅方向の発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増し、トナー像の定着ムラも抑制される。
【0078】
なお、供給部、複数の発光点62、及び負電極75は、搬送方向に完全に沿って設けられている必要はなく、発光素子アレイチップ60内を流れる電流が全体として搬送幅方向よりも搬送方向に向かって流れる構成であればよい。なお、搬送方向と一致した方向に最も多くの電流が流れる構成が好ましく、例えば、供給部、複数の発光点62、及び負電極75が搬送方向に一致した直線状に並ぶ構成が好ましい。
【0079】
また、上記各実施の形態において、正の配線52と負の配線54とを入れ替えるとともに、発光素子アレイチップ60の極性を入れ替えてもよい。例えば、上記各実施の形態における正の配線52を負の配線とし、負の配線54を正の配線とし、さらに、発光素子アレイチップ60を構成するp型の半導体とn型の半導体の極性を入れ替えてもよい。なお、このように入れ替えることにより、供給部と出力部の位置も入れ替えらえる。
【0080】
なお、上記各実施の形態では、用紙28が移動する場合について説明したがこれに限らず、定着器30を移動させるようにしてもよいし、両者を移動させるようにしてもよい。相対的に移動する状態であれば特に限定されない。
【0081】
また、上記各実施の形態では、発光素子アレイチップ60として、VCSELを用いた場合について説明したがこれに限らず、その他の面発光レーザでもよいし、その他の発光素子であってもよい。なお、光源の高出力化に伴い、高温安定性及び信頼性の向上や低価格であるとの観点からは、本実施の形態のように面発光レーザ(VCSEL)を用いることが好ましい。
【0082】
また、画像形成装置10は、上記各実施の形態に限定されない。例えば、上記各実施の形態では、自己走査型の電子写真式の画像形成装置10に適用した場合について説明したがこれに限らない。また例えば、単色の画像を形成する画像形成装置10であってもよいし、複数色の画像を形成する画像形成装置10であってもよい。
【0083】
また例えば、上記各実施の形態では、トナーにより画像を形成する画像形成装置10(定着器30)に説明したが、インクにより画像を形成する画像形成装置10であってもよい。このようなインクにより画像を形成する画像形成装置10の一例について説明する。
【0084】
図12に、インクにより画像を形成する画像形成装置(インクジェット記録装置)の概略構成図を示す。
図12に示した画像形成装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの記録・乾燥複合ヘッド80(吐出手段・乾燥装置)が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像が記録される。4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク82が設けられており、各色の記録・乾燥複合ヘッド80からそれぞれインク滴が吐出される。なお、インク滴を吐出する方法は特に限定されず、いわゆるサーマル方式や圧電方式等、公知のものが適用される。また、インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクが使用される。
【0085】
給紙トレイ84内に積層された用紙28は取り出されて、搬送経路86により、搬送ベルトで保持されて各色の記録・乾燥複合ヘッド80のもとに搬送される。記録・乾燥複合ヘッド80は、画像データに応じたインク滴を用紙28上に吐出させると共に、光を照射して用紙28上のインク滴を乾燥させる。各色の記録・乾燥複合ヘッド80の駆動方式としては、インク滴を乾燥させる構成は、上記各実施の形態の定着器30と略同様に、プリント配線基板50上の搬送幅方向に複数配置された発光素子アレイチップ60の発光点62から光を照射するように構成している。用紙28の搬送に応じた順序で、各色の記録・乾燥複合ヘッド80により順次、各色の画像が形成される。所望の画像が形成された用紙2は、装置外へ排出される。
【0086】
このように、インクを用いて画像を形成する画像形成装置10では、光を照射して用紙28上のインク滴を乾燥させている。従って、上記各実施の形態において説明した定着器30の場合と同様に、搬送幅方向に生じた光量ムラが影響し、インク滴の乾燥ムラを生じる場合がある。そのため、インク滴を乾燥させるための構成を上記各実施の形態において説明した定着器30と同様に構成することにより、搬送幅方向の発光ムラが抑制され光量分布の均一性が増し、インク滴の乾燥ムラも抑制される。
【0087】
なお、光が照射されることにより、加熱されてインク滴が乾燥した後も、加熱され続けると用紙28が過熱状態になってしまうという懸念がある。そのため、インク滴の乾燥に応じて、乾燥が進むと加熱を抑えるように照射される光量が少なくなることが好ましい。
【0088】
そこで、インク滴の乾燥装置として用いる場合は、第7の実施の形態で説明した構成を採用することが好ましい。
【0089】
このように、上記各実施の形態は、本発明の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。