(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の検出手段の各々は、前記筆記具に対して入力信号を出力し、前記入力信号に応じて前記筆記具が出力する前記出力信号を検出することを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電子筆記装置において、冊子状の記録媒体の見開き頁のうちの一方の頁に対応する第一検出手段が検出すべき磁界を、記録媒体の見開き頁の他方の頁に対応する第二検出手段が検出してしまい、筆記具の位置を正確に検出できない可能性がある。
【0005】
本発明は、ユーザが筆記具を用いて入力した情報を取得可能な電磁誘導方式の情報入力装置であって、筆記具の位置の検出精度を向上させた情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報入力装置は、ユーザが筆記具を用いて入力した情報を取得可能な電磁誘導方式の情報入力装置であって、前記筆記具から出力される出力信号に基づき、近接する前記筆記具の位置を検出し、検出結果を出力可能な複数の検出手段と、前記出力信号を検出する処理を、前記複数の検出手段の各々で実行させる第一検出制御手段と、前記第一検出制御手段の制御によって前記複数の検出手段の各々から出力された前記検出結果に基づき、前記複数の検出手段の中から検出された前記出力信号の強度が
一定値以上で、且つ最も強い検出手段を特定検出手段として特定する検出手段特定手段と、前記複数の検出手段のうち、前記検出手段特定手段によって特定された前記特定検出手段以外の検出手段である非特定検出手段への電力の供給を停止させる電力制御手段と、前記電力制御手段が、前記非特定検出手段への電力の供給を停止させた後に、前記特定検出手段において、前記筆記具から出力される信号を検出する処理を実行させる第二検出制御手段と、前記第二検出制御手段の制御によって前記特定検出手段から出力された前記検出結果に基づき、
前記筆記具の位置を特定する位置特定手段とを備え
、前記第一検出制御手段の制御によって前記複数の検出手段の各々から出力された前記検出結果は、前記筆記具の位置の特定には用いない。
【0007】
本態様の情報入力装置によれば、筆記具から出力される出力信号が検出された特定検出手段のみ電力を供給し、非特定検出手段に対する電力の供給を停止する。情報入力装置は、複数の検出手段の電源が常にオンになっている場合に比べ消費電力を低減することができる。また、非特定検出手段への電力の供給を停止後に、特定検出手段を制御して筆記具の位置の特定を行う。このため情報入力装置は、筆記具の位置の特定が、複数の検出手段の全てに電力が供給されている状態で実行される場合に比べ、特定検出手段の検出結果に含まれる、他の検出手段が発生させる磁界の影響が少ない。このため情報入力装置は、従来よりも筆記具の位置の検出精度を向上させることができる。
【0008】
本態様の情報入力装置において、前記複数の検出手段の各々は、前記筆記具に対して入力信号を出力し、前記入力信号に応じて前記筆記具が出力する前記出力信号を検出してもよい。検出手段が出力した入力信号に応じて、筆記具が出力信号を出力するタイプの入力装置では、特定検出手段以外の検出手段が出力する入力信号を、特定検出手段が受信してしまい、筆記具の位置が正確に特定できない可能性がある。これに対し、本態様の情報入力装置では、筆記具の位置を特定する場合には、非特定検出手段への電力の供給が停止されており、非特定検出手段から入力信号が出力されない。このため情報入力装置は、非特定検出手段が入力信号を出力することに起因して、筆記具の位置の検出精度が低下することを確実に回避することができる。
【0009】
本態様の情報入力装置において、前記第一検出制御手段は、前記出力信号を検出する処理を、前記複数の検出手段との各々で同時期に実行させてもよい。この場合の情報入力装置は、出力信号を検出する処理を、複数の検出手段との各々で別々の時期に実行させる場合に比べ、特定検出手段を特定する処理に要する時間を、短くすることができる。
【0010】
本態様の情報入力装置において、前記複数の検出手段の各々を個別に収容する複数の筐体をさらに備えてもよい。この場合の情報入力装置は、筐体に収容された検出手段毎に電力の供給を停止させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0013】
図1を参照して、本実施形態に係る情報入力装置2の概要を説明する。以下の説明では、
図1の左上側、右下側、上側、下側、右上側、及び左下側を、各々、情報入力装置2の左側、右側、上側、下側、後側、及び前側と定義して説明する。
【0014】
情報入力装置2は、ユーザが電子ペン3を用いて、情報入力装置2に装着された紙媒体100に情報を記入した際に、電子ペン3の位置を経時的に検出し電子化する、薄型軽量の手書き入力装置である。
図1に示すように、情報入力装置2は、筐体8L,8Rを備える。筐体8L,8Rは、各々、樹脂製の矩形薄板状であり、
図1に示すように左右方向に見開いた状態と、筐体8L,8Rを折り畳んだ状態(図示外)とに配置を変更可能である。筐体8Lは、
図2を参照して後述する第一センサ71,センサ制御基板28,及びメイン基板20を収容する。筐体8Lは、
図2を参照して後述する第二センサ72及びセンサ制御基板29を収容する。
【0015】
電子ペン3は、公知の電磁誘導式の電子ペンであり、筒体30,芯体31,コイル32,可変容量コンデンサ33,基板34,コンデンサ35,及びインク収納部36を備える。筒体30は、円柱状の形状を有し、芯体31の一部、コイル32,可変容量コンデンサ33,基板34,コンデンサ35,及びインク収
納部36を内部に収容する。芯体31は、電子ペン3の先端部に設けられている。芯体31は図示外の弾性部材によって、電子ペン3の先端側に付勢されている。芯体31の先端部は、筒体30の外に突出している。芯体31の後端側は、インクが収納されているインク収納部36に接続されている。インク収納部36は、芯体31にインクを供給する。ユーザが電子ペン3を用いて筆記すると、筆記されたキャラクタ(文字、数値、及び図形等)がインクで形成される。
【0016】
コイル32は、インク収納部36の周囲に巻回された状態で、芯体31と可変容量コンデンサ33との間に保持されている。可変容量コンデンサ33は、基板34によって電子ペン3の内部に固定されている。基板34には、コンデンサ35が搭載されている。コンデンサ35及び可変容量コンデンサ33は、コイル32に並列に接続され、周知の共振(同調)回路を構成する。
【0017】
紙媒体100は、表表紙110Lと裏表紙110Rとの間に複数の用紙120が綴じられた、左右方向に見開き可能な冊子状である。つまり、紙媒体100では、一対の表紙(表表紙110L及び裏表紙110R)と複数の用紙120とが、各々の縁部の一部で綴じられている。紙媒体100は、表表紙110Lが筐体8Lの上面に載置され、且つ、裏表紙110Rが筐体8Rの上面に載置されるように、情報入力装置2上に装着される。紙媒体100が情報入力装置2に装着された状態で、ユーザは電子ペン3を用いて用紙120に情報を記入できる。用紙120に対向する第一センサ71及び第二センサ72のいずれかによって、用紙120に情報を記入する電子ペン3の位置情報が検出される。
【0018】
図2を参照して、情報入力装置2の電気的構成を説明する。情報入力装置2は、メイン基板20,第一センサ71,第二センサ72,及びセンサ制御基板28,29を主に備える。
【0019】
メイン基板20は、CPU21,フラッシュROM22,RAM23,及び無線通信部24を備えている。フラッシュROM22及び無線通信部24は、CPU21に電気的に接続されている。CPU21は、情報入力装置2の制御を行う。フラッシュROM22には、CPU21が情報入力装置2を制御するために実行する各種プログラムが記憶されている。さらに、フラッシュROM22には、用紙120に情報を記入する電子ペン3の軌跡を示すストロークデータが記憶される。ストロークデータは、第一センサ71及び第二センサ72によって経時的に検出された電子ペン3の複数の位置情報(例えば、座標情報)によって、用紙120に情報を記入する電子ペン3の軌跡を特定する。RAM23は、演算データ等の各種データを一時的に記憶する。無線通信部24は、外部の電子機器と近距離無線通信を実行するためのコントローラである。
【0020】
第一センサ71及び第二センサ72は、X軸方向(左右方向)及びY軸方向(上下方向)の各々に、所定の間隔で列設された複数の細長いループコイルを備える。第一センサ71は、センサ制御基板28のASIC281に電気的に接続されている。ASIC281は、第一センサ71を制御して、後述するスキャンを実行させる。図示しないが、ASIC281は、電力切替回路、増幅回路、及び整流回路を含む。電力切替回路は、第一センサ71への電力の供給をオン又はオフにする。増幅回路は、第一センサ71から入力される信号を増幅する。整流回路は、増幅回路から入力された信号を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。同様に、第二センサ72は、センサ制御基板29のASIC291に電気的に接続されている。ASIC291は、第二センサ72を制御する。図示しないが、ASIC291は、電力切替回路、増幅回路、及び整流回路を含む。ASIC281,291のうち、マスター側のASIC281はCPU21に直接接続され、スレーブ側のASIC291はASIC281を介してCPU21に接続されている。
【0021】
次に、第一センサ71及び第二センサ72が電子ペン3の位置を検出する動作(以下、この動作を単に「スキャン」ともいう。)の原理を、概略的に説明する。CPU21はASIC281,291を制御して、第一センサ71及び第二センサ72の各々のループコイルに、一本ずつ特定の周波数の電流(励磁用送信電流)を流す。これにより、第一センサ71及び第二センサ72の各々のループコイルから磁界が発生する。この状態で、例えばユーザが電子ペン3を用いて情報入力装置2に装着された紙媒体100に情報を記入すると、電子ペン3が第一センサ71又は第二センサ72に近接する。そのため、電子ペン3の共振回路は電磁誘導によって共振し、誘導磁界を生じる。
【0022】
次に、ASIC281,291は、各々第一センサ71及び第二センサ72のループコイルからの磁界の発生を停止させる。さらに、電子ペン3の共振回路から発せられる誘導磁界を、第一センサ71及び第二センサ72の各々のループコイルで受信する。CPU21は、第一センサ71及び第二センサ72の各々のループコイルに流れる信号電流(受信電流)を検出する。この動作を全てのループコイルについて一本ずつ実行され、電磁誘導によって発生した信号は、ASIC281,291によって増幅、振幅検波された後、検出結果として随時CPU21に入力される。CPU21は、入力された信号を振幅、即ち電圧値に対応したデジタル信号に変換し、デジタル信号に基づいて電子ペン3を検出したセンサを特定後、電子ペン3の位置を検出する。
【0023】
ここで、電子ペン3が紙媒体100に情報を記入している状態では、電子ペン3の芯体31に筆圧が付与される。芯体31に付与される筆圧に応じて、コイル32のインダクタンスが変化する。これにより、電子ペン3の共振回路の共振周波数が変化する。CPU21はこの共振周波数の変化(位相変化)を検出して、電子ペン3に付与された筆圧を特定する。つまりCPU21は、電子ペン3から特定した筆圧によって、紙媒体100に情報が記入されているか否かを判断できる。CPU21は、紙媒体100に情報が記入されていると判断した場合、ストロークデータを取得して、フラッシュROM22に保存する。
【0024】
次に、
図3を参照して、情報入力装置2のメイン処理について説明する。
図3に示すメイン処理は、情報入力装置2において、電源がオンにされると開始され、フラッシュROM22に記憶されたプログラムに従って、CPU21によって実行される。また、
図3に示すメイン処理は、情報入力装置2において、電源がオフにされると終了される。処理の過程で得られたデータは適宜RAM23に記憶される。CPU21は、ASIC281を介して、ASCI291に対して指令を出力する。ASIC291は、ASIC281を介してCPU21に検出結果を出力する。
【0025】
図3に示すように、まずCPU21は、ASIC281,291の各々に指令を出力して、第一センサ71及び第二センサ72の各々に電力の供給を開始させる(S1)。S1の処理によって、第一センサ71及び第二センサ72の各々は、スキャンが可能な状態となる。スキャンは、電子ペン3から出力される出力信号を検出するための処理である。次にCPU21は、ASIC281,291の各々に指令を出力して、第一センサ71及び第二センサ72の各々にスキャンを同時期に実行させる(S3)。S3での同時期とは、第一センサ71においてスキャンが実行されている期間と、第二センサ72においてスキャンが実行されている期間との少なくとも一部が重なる範囲を指す。S3では、実質的に同時と見なせる期間に第一センサ71及び第二センサ72の各々がスキャンを実行することが好ましい。ASIC281,291の各々は、検出結果をCPU21に出力する。次にCPU21は、第一センサ71及び第二センサ72のうちのいずれかが電子ペン3を検出したか否かを判断する(S5)。CPU21は、ASIC281,291のいずれかから入力される信号が一定値以上である場合に、第一センサ71及び第二センサ72のいずれかが電子ペン3を検出したと判断する。第一センサ71及び第二センサ72はいずれも電子ペン3を検出していないと判断される場合には(S5:NO)、処理はS1に戻る。第一センサ71及び第二センサ72のいずれかが電子ペン3を検出したと判断される場合(S5:YES)、CPU21は、第一センサ71が電子ペン3を検出したか否かを判断する(S7)。CPU21は、特定センサが第一センサ71である場合に、第一センサ71が電子ペン3を検出したと判断する。特定センサは、検出結果に基づき、検出された電子ペン3の出力信号の強度が最も大きいセンサであり、ASIC281と、ASIC291とで、検出結果が示す電子ペン3の出力信号の強度を比較して決定される。第一センサ71が電子ペン3を検出した場合(S7:YES)、CPU21は、ASIC291に指令を出力して、第二センサ72への電力の供給を停止させる(S9)。S9の処理は、非特定センサへの電力の供給を停止させる処理である。非特定センサは、複数のセンサのうち、特定センサ以外のセンサである。ASIC291は、CPU21から出力された指令に基づき、電力切替回路を作動させて、第二センサ72への電力の供給を停止する。S9の処理によって、第二センサ72への電力の供給を停止されている期間、第二センサ72ではスキャンが実行されない。
【0026】
次に、CPU21は、ASIC281に指令を出力して、第一センサ71にスキャンを実行させる(S11)。第一センサ71によるS3でのスキャンと、S11でのスキャンとは、同じ処理が実行されてもよいし、異なる処理が実行されてもよい。ASIC281は、検出結果をCPU21に出力する。次に、CPU21は、ASIC281から出力された検出結果に基づき、電子ペン3の座標を算出する(S13)。前述のようにASIC28
1から出力される検出結果は、電圧値に対応するデジタル信号に変換される。CPU21は、変換されたデジタル信号に基づき、X方向及びY方向の各々について電圧値の最大値を示す位置を算出する。電子ペン3の座標を決定する処理は、例えば、特開2012−14411号公報等によって公知であるため、これ以上の詳しい説明は省略する。CPU21は、電子ペン3の筆圧と、座標とを対応づけて座標を取得した順序にフラッシュROM22に保存する。このように保存されるデータのうち、筆圧に基づき電子ペン3が使用されていると判断される座標情報の経時変化を表すデータが、ストロークデータとなる。次に、CPU21は、ASIC281に指令を出力して、第一センサ71にスキャンを実行させる(S15)。ASIC281は、検出結果をCPU21に出力する。CPU21は、ASIC281の検出結果に基づき、第一センサ71が電子ペン3を検出したか否かを判断する(S17)。CPU21は、ASIC281から入力される信号が一定値以上である場合に、第一センサ71が電子ペン3を検出したと判断する。第一センサ71が電子ペン3を検出した場合(S17:YES)、処理はS11に戻る。第一センサ71が電子ペン3を検出していない場合(S17:NO)、処理はS1に戻る。
【0027】
S7の処理において、第二センサ72が電子ペン3を検出した場合(S7:NO)、CPU21は、ASIC281に指令を出力して、非特定センサと判断される第一センサ71への電力の供給を停止させる(S21)。ASIC281は、CPU21から出力された指令に基づき、電力切替回路を作動させて、第一センサ71への電力の供給を停止する。S21の処理によって、第一センサ71への電力の供給を停止されている期間、第一センサ71では、スキャンが実行されない。
【0028】
次に、CPU21は、ASIC291に指令を出力して、第二センサ72にスキャンを実行させる(S23)。第二センサ72によるS3でのスキャンと、S23でのスキャンとは、同じ処理が実行されてもよいし、異なる処理が実行されてもよい。ASIC291は、検出結果をCPU21に出力する。次に、CPU21は、ASIC291から出力された検出結果に基づき、電子ペン3の座標を算出する(S25)。S25の処理は、S13と同様な方法で実行される。次に、CPU21は、ASIC291に指令を出力して、第二センサ72にスキャンを実行させる(S27)。ASIC291は、検出結果をCPU21に出力する。CPU21は、第二センサ72が電子ペン3の位置を検出したか否かを判断する(S29)。CPU21は、ASIC291から入力される信号が一定値以上である場合に、第二センサ72が電子ペン3を検出したと判断する。第二センサ72が電子ペン3の位置を検出した場合(S29:YES)、処理はS23に戻る。第二センサ72が電子ペン3の位置を検出していない場合(S29:NO)、処理はS1に戻る。
【0029】
上記情報入力装置2において、電子ペン3は、本発明の筆記具に相当する。第一センサ71及び第二センサ72は、複数の検出手段に相当する。筐体8L,8Rは、複数の筐体に相当する。
図3のS3の処理を実行するCPU21は、本発明の第一検出制御手段として機能する。S5及びS7の処理を実行するCPU21は、本発明の検出手段特定手段として機能する。S9又はS21の処理を実行するCPU21は、本発明の電力制御手段として機能する。S11又はS23の処理を実行するCPU21は、本発明の第二検出制御手段として機能する。S13又はS25の処理を実行するCPU21は、本発明の位置特定手段として機能する。
【0030】
情報入力装置2は、ASIC281,291の検出結果に基づき、電子ペン3の出力信号の強度が最も大きいセンサ(特定センサ)のみ電力を供給し、それ以外のセンサ(非特定センサ)に対する電力の供給を停止する(S9又はS21)。情報入力装置2は、複数のセンサである第一センサ71及び第二センサ72の電源が常にオンになっている場合に比べ消費電力を低減することができる。また情報入力装置2は、非特定センサへの電力の供給を停止後に、特定センサを制御して電子ペンの位置の特定を行う(S13又はS25)。このため情報入力装置2は、電子ペン3の位置の特定が、第一センサ71及び第二センサ72の全てに電力が供給されている状態で実行される場合に比べ、特定センサの検出結果に含まれる、非特定センサが発生させる磁界の影響が少ない。このため情報入力装置2は、従来よりも正確に電子ペン3を特定することができる。即ち、情報入力装置2は、従来よりも電子ペン3の位置の検出精度を向上させることができる。
【0031】
上記実施形態のように、センサが出力した入力信号に応じて、電子ペンが出力信号を出力するタイプの情報入力装置では、非特定センサが出力する入力信号を、特定センサが受信してしまい、電子ペン3の位置を正確に特定できない可能性がある。これに対し情報入力装置2では、電子ペン3の位置を特定する場合には、非特定センサへの電力の供給が停止されており、非特定センサから電子ペン3に対して入力信号が出力されない。このため情報入力装置2は、非特定センサが入力信号を出力することに起因して、特定センサにおける電子ペン3の位置の検出精度が低下することを確実に回避することができる。情報入力装置2は、電子ペン3の出力信号の強度が最も大きいセンサを特定するために、複数のセンサの各々でスキャンを実行する処理を同時に実行する。このため、情報入力装置2は、複数のセンサの各々で別々の時期に、電子ペン3の位置を示す出力信号の強度が最も大きいセンサを特定するために、複数のセンサの各々でスキャンを実行する処理が実行させる場合に比べ、特定センサを特定する処理に要する時間を短くすることができる。第一センサ71及び第二センサ72は各々、互いに異なる筐体8L,8Rに収容されている。このため情報入力装置2は、筐体毎に、スキャンを実行するセンサへの電力の供給を停止させることができる。
【0032】
本発明の読取装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の(A)から(C)までの変形が適宜加えられてもよい。
【0033】
(A)情報入力装置2は、2つのセンサとして、第一センサ71及び第二センサ72を備えていたが、センサの数は3以上であってもよい。第一センサ71及び第二センサ72の各々は個別の筐体8L,8Rに収容されていたが、複数のセンサの一部又は全部は、同一の筐体に収容されていてもよい。筐体8L,8Rの形状、及び大きさ等は適宜変更されてよい。情報入力装置2は、第一センサ71及び第二センサ72の各々のループコイルから磁界を発生させ、電子ペン3の共振回路を電磁誘導によって共振させていたが、電池を内蔵するタイプの電子ペン3に対しては、電子ペン3の共振回路を電磁誘導によって共振させなくてもよい。情報入力装置2は、電子ペン3の筆圧を検出可能であったが、筆圧は検出不能であってもよいし、筆圧を考慮せずに検出結果をフラッシュROM22等の記憶機器に記憶させてもよい。情報入力装置2の電気的構成は適宜変更されてよい。例えば、第一センサ71又は第二センサ72への電力の供給を切り替える回路は、メイン基板20上にあってもよい。
【0034】
(B)
図3のメイン処理を実行させるための指示を含むプログラムは、情報入力装置2がプログラムを実行するまでに、情報入力装置2が備える記憶装置に記憶されればよく、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は適宜変更されてよい。したがって、情報入力装置2が備えるプロセッサが実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC,及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0035】
(C)
図3のメイン処理の各ステップは、CPU21によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。また、上記処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。また上記実施形態の処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。さらに、情報入力装置2が備えるCPUからの指示に基づき、情報入力装置2上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も本発明の範囲に含まれる。
【0036】
メイン処理の各ステップについて、例えば以下のような変形が加えられてもよい。CPU21は、S3の処理において、同時期に第一センサ71及び第二センサ72の各々のスキャンを実行させていたが、第一センサ71及び第二センサ72を順にスキャンを実行させてもよい。この場合、最初にスキャンを実行した一方のセンサから得られる信号に基づき、電子ペン3が検出される場合には、他方のセンサのスキャンは省略し、他方のセンサへの電力の供給が停止されてもよい。他の例では、筆記具を検出するためのスキャンと、筆記具の位置を検出するためのスキャンとが同じである場合には、例えば、S15の処理のスキャンの検出結果に基づき(S17:YES),座標が算出されてもよい(S13)。またS27の処理のスキャンの検出結果に基づき(S29:YES),座標が算出されてもよい(S25)。