(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0024】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、紙葉類処理装置としての現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
【0025】
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が一部切り落とされたような形状となっており、この部分に接客部3が設けられている。
【0026】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、通帳入出口5、紙幣入出金口6、硬貨入出金口7及び表示操作部8が設けられている。
【0027】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(後述する)が設けられている。
【0028】
通帳入出口5は、通帳が挿入または排出される部分である。通帳入出口5の奥側には、通帳に記録された磁気情報の読み取りや取引内容の印字処理等を行う通帳処理部(後述する)が設けられている。
【0029】
紙幣入出金口6は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また紙幣入出金口6は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
【0030】
硬貨入出金口7は、顧客が入金する硬貨が投入されると共に、顧客へ出金する硬貨が排出される部分である。また硬貨入出金口7は、紙幣入出金口6と同様にシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
【0031】
表示操作部8は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。
【0032】
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する正面側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0033】
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣BLに関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
【0034】
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うようになされている。
【0035】
また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させるようになされている。
【0036】
紙幣入出金機10は、
図2に側面図を示すように、紙幣BLに関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。また紙幣入出金機10の各部分は、紙幣制御部11により制御されるようになされている。
【0037】
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣BLの搬送先を決定する処理等、種々の処理を行うようになされている。
【0038】
紙幣制御部11は、例えば顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、表示操作部8(
図1)を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口6(
図1)のシャッタを開いて入出金部12内へ紙幣を投入させる。
【0039】
入出金部12は、収容器12Aに紙幣が投入されると、紙幣入出金口6のシャッタを閉じて当該収容器12Aから紙幣を1枚ずつ取り出し、搬送部13へ受け渡す。搬送部13は、長方形の紙葉状に構成された紙幣を短手方向に沿って進行させ、鑑別部14へ搬送する。
【0040】
鑑別部14は、その内部で紙幣を搬送しながら当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果に基づいて当該紙幣の搬送先を決定する。
【0041】
このとき搬送部13は、鑑別部14において正常と鑑別された紙幣(いわゆる正券)を一時保留部15へ搬送する等して一時的に保留させる一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆる損券や偽券等)を入出金部12へ搬送して顧客に返却する。
【0042】
その後紙幣制御部11は、表示操作部8を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部15に保留している紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送してその金種及び損傷の程度等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
【0043】
そして紙幣制御部11は、紙幣の損傷の程度が大きければ、これを再利用すべきでない紙幣として搬送部13によりリジェクトカセット16へ搬送して収納させ、損傷の程度が小さければ、これを再利用すべき紙幣として搬送部13により搬送させ、その金種に応じた紙幣カセット17に収納させるようになされている。
【0044】
また紙幣制御部11は、例えば顧客が紙幣BLを出金する出金取引を行う場合、表示操作部8(
図1)を介して所定の操作入力を受け付けた後、出金すべき金額に応じた紙幣BLを紙幣カセット17から繰り出させ、搬送部13により鑑別部14へ搬送させる。
【0045】
続いて紙幣制御部11は、この紙幣BLを鑑別部14により鑑別させた上で入出金部12へ搬送し、紙幣入出金口6(
図1)のシャッタを開いて顧客に取り出させる。
【0046】
このように紙幣カセット17は、搬送部13により搬送されてきた紙幣BLを内部に取り込んで収納し、また内部から紙幣BLを繰り出して当該搬送部13へ受け渡すようになされている。
【0047】
[1−2.紙幣カセットの構成]
紙幣カセット17は、
図3、
図4及び
図5に模式的に示すように、直方体状の筐体21内に紙幣BLを取り込んで集積するようになされている。
【0048】
因みに
図3は左側面図を表し、
図4(A)は
図3のA1−A2断面図、すなわち後内側面図を表し、
図4(B)は
図3のB1−B2断面図、すなわち前内側面図を表し、
図5は
図3のC1−C2断面図、すなわち平面図を表している。また説明の都合上、一部の部品については簡略化若しくは省略している。
【0049】
筐体21は前後、左右及び上下の各側面をほぼ閉塞しており、内部に集積された紙幣BLや各部品等を保護するようになされている。また筐体21の前側部分には、一様な平板状の前側板22が設けられている。
【0050】
筐体21の後側板における上寄りの箇所には、左右に長く上下に短い紙幣入出孔21Hが穿設されており、紙幣BLの紙面を上下に向け短手方向を進行方向として筐体21内又は筐体21外へ進行させるようになされている。
【0051】
紙幣入出孔21Hの前方、すなわち筐体21の内側には、紙幣BLを搬送路Wに沿って前後方向へ進行させるための搬送ガイド23が設けられている。搬送ガイド23は、搬送路Wの上下にそれぞれ配置された2枚の板状部材により構成されている。
【0052】
搬送ガイド23からやや離れた前方下側には、前後に薄い板状のリバースガイド24が設けられている。このリバースガイド24は、筐体21の底部まで到達している。
【0053】
一方、前側板22の後側、すなわち筐体21の前内側面には、位置調整部25を介してフロントガイド26が左右に1本ずつ取り付けられている。
【0054】
フロントガイド26は、上下方向に長く前後方向及び左右方向に短い直方体状に形成され、筐体21の上端付近から下端付近まで到達しており、また容易に変形しないよう強固な部材により構成されている。
【0055】
位置調整部25は、各フロントガイド26の上端及び下端にそれぞれ設けられており、前側板22に対するフロントガイド26の位置を固定するようになされている。
【0056】
また位置調整部25は、フロントガイド26とリバースガイド24との間隔を、紙幣BLにおける短手方向の長さL2よりも僅かに長いガイド間隔L1とするよう、当該フロントガイド26を前後方向に位置調整した上で保持している(詳しくは後述する)。
【0057】
フロントガイド26における後面上寄りの箇所には、ビルストッパ27が設けられている。ビルストッパ27は、フロントガイド26よりも小さい直方体状に形成されており、図示しない弾性体を介してフロントガイド26に取り付けられている。
【0058】
筐体21内におけるリバースガイド24及び前側板22の間には、ステージ28が設けられている。ステージ28は、上下に薄い板状に形成されており、その上面に紙幣BL()を載置し得るようになされている。
【0059】
またステージ28は、フロントガイド26を回避する矩形状の切欠部が形成されており、さらに図示しない駆動機構により上下方向へ移動し得るようになされている。
【0060】
このため筐体21内には、リバースガイド24及びフロントガイド26に前後方向から挟まれ、且つステージ28の上側となる空間に、紙幣BLを集積するための集積空間CSが形成されている。
【0061】
一方、搬送ガイド23の前方上側には、フィードシャフト31に挿通されたフィードローラ32が左右に1個ずつ配置されている。フィードローラ32は、摩擦力の低い材料により左右に薄い円柱状に形成されており、その外周における一部分に摩擦力が高い材料でなる掻出部32Aが設けられている。
【0062】
フィードローラ32は、図示しない動力伝達系によって
図3における時計回り又は反時計回りに回転駆動されることにより、紙幣BLを後方向又は前方向へ進行させるようになされている。
【0063】
また搬送ガイド23の前方下側には、左右のフィードローラ32と互いの周側面を一部のみ当接させる箇所に、すなわち左右方向に僅かにオフセットした箇所に、薄い円柱状のリバースローラ33がそれぞれ設けられている。以下、フィードローラ32及びリバースローラ33が当接する箇所をゲートGとも呼ぶ。
【0064】
リバースローラ33は、図示しない動力伝達系によって
図3における時計回りへのみ回転駆動されるようになされている。またリバースローラ33よりも左右の外方には、羽根車34が2個ずつ所定の間隔を空けるように配置されている。
【0065】
因みにリバースガイド24は、リバースローラ33及び羽根車34に対応する部分にそれぞれ所定形状の孔が穿設されており、リバースローラ33及び羽根車34の一部を集積空間CS内へ露出させるようになされている。
【0066】
羽根車34は、弾力性を有し摩擦力が高い材料で構成された突起部が中心部分から放射状に延長されており、図示しない駆動機構により回転されるようになされている。また羽根車34は、図示しない退避機構により、前下方へ移動して突起部を集積空間CS内から一時的に退避させ得るようにもなされている。
【0067】
フィードローラ32の左右外方には、フィードシャフト31が挿通されると共に前方へ延設されたピッカアーム35がそれぞれ設けられている。各ピッカアーム35の前端には、ピッカシャフト36がそれぞれ挿通されており、各ピッカシャフト36には複数のピッカローラ37が挿通されている。
【0068】
ピッカローラ37は、フィードローラ32と同様の薄い円柱状に構成されており、集積空間CSのほぼ真上に位置している。またピッカローラ37は、フィードシャフト31を中心として、ピッカアーム35及びピッカシャフト36と共に回動することにより、上下に移動し得るようになされている。
【0069】
フィードシャフト31とピッカシャフト36との間には、駆動ベルト38が架け渡されている。駆動ベルト38は、フィードシャフト31の回転に伴って走行することにより、駆動力をピッカシャフト36へ伝達する。
【0070】
このためピッカシャフト36に挿通されたピッカローラ37は、フィードシャフト31に挿通されたフィードローラ32と同期して回転し得るようになされている。
【0071】
さらに、搬送ガイド23の上下には、走行センサ39が設けられている。走行センサ39は、搬送ガイド23の下側に配置され所定の検出光を発行する発光部と、搬送ガイド23の上側に配置され当該検出光を受光し、その受光結果を表す受光信号を紙幣制御部11(
図2)へ供給する受光部とにより構成されている。因みに搬送ガイド23には、検出光を通過させるための通過孔が適宜穿設されている。
【0072】
走行センサ39は、搬送ガイド23の間に紙幣BLがある場合には、検出光が紙幣BLにより遮光されるため、受光部により検出光を受光しない。一方走行センサ39は、搬送ガイド23の間に紙幣BLが無い場合には、検出光を受光する。
【0073】
このため紙幣制御部11は、走行センサ39からの受光信号を基に、搬送ガイド23の間に紙幣BLがあるか否かを認識することができる。
【0074】
またピッカローラ37の上方とリバースローラ33の下方との間には、上面センサ40が設置されている。上面センサ40は、走行センサ39と同様に発光部及び受光部により構成されており、その検出光が集積空間CS内及びステージ28の上面を通過するように配置されている。因みにステージ28には、上面センサ40の検出光を通過させるための通過孔が適宜穿設されている。
【0075】
上面センサ40は、ステージ28上に紙幣BLがある場合には、検出光が紙幣BLにより遮光されるため、受光部により検出光を受光しない。一方上面センサ40は、ステージ28上に紙幣BLが無い場合には、検出光を受光する。
【0076】
このため紙幣制御部11は、上面センサ40からの受光信号を基に、ステージ28上に紙幣BLがあるか否かを認識することができる。
【0077】
かかる構成により紙幣カセット17は、紙幣BLを内部へ収納する際、まずステージ28をやや下方へ移動させることにより、既に当該ステージ28上に集積されている紙幣BLの最上面とピッカローラ37との間隔を広げて、十分な大きさの集積空間CSを形成する。
【0078】
また紙幣カセット17は、フィードローラ32を
図3における反時計回りに、リバースローラ33及び羽根車34を時計回りに、それぞれ回転させる。
【0079】
そして紙幣カセット17は、搬送部13(
図2)により紙幣BLが搬送されてくると、搬送路Wに沿って搬送ガイド23の間を前方へ進行させ、当該紙幣BLをフィードローラ32及びリバースローラ33の間に挟持する。
【0080】
フィードローラ32及びリバースローラ33は、それぞれ反時計回り及び時計回りに回転することにより、ゲートGから前方の集積空間CS内へ紙幣BLを放出する。このとき放出された紙幣BLは、集積空間CS内を前方へ滑空し、ビルストッパ27に衝突する。
【0081】
ビルストッパ27は、図示しない弾性体を変形させて前方へ僅かに移動することにより紙幣BLの運動エネルギーを吸収した後、当該弾性体の復元作用により当該紙幣BLを僅かに後方へ押し戻す。
【0082】
その後紙幣BLは、羽根車34により後側の端部から下方へ叩き落とされ、ステージ28上に集積済の紙幣BLの上に積み重ねられる。
【0083】
このとき紙幣カセット17では、フロントガイド26とリバースガイド24との間隔が、紙幣BLにおける短手長さL2よりも僅かに長い適切なガイド間隔L1に調整されているため、当該紙幣BLを整然と集積することができる。
【0084】
因みに紙幣カセット17は、紙幣BLの集積枚数が増加するに連れてステージ28を徐々に下方へ移動させることにより、集積空間CSの高さをほぼ一定に保つようになされている。
【0085】
一方、紙幣カセット17は、内部に収納している紙幣BLを外部へ繰り出す際、まずステージ28をやや上方へ移動させることにより、既に当該ステージ28上に集積されている紙幣BLの最上面をピッカローラ37に当接させる。
【0086】
また紙幣カセット17は、フィードローラ32及びこれと連動するピッカローラ37、並びにリバースローラ33を
図3における時計回りに回転させると共に、羽根車34を前下方へ移動させて突起部を集積空間CS内から一時的に退避させる。
【0087】
そして紙幣カセット17は、ステージ28上に集積されている紙幣BLのうち最上位の紙幣BLを、ピッカローラ37の回転により後方へ送り出す。この紙幣BLは、後側の端部をゲートGに到達させ、フィードローラ32及びリバースローラ33により挟持される。
【0088】
ここで紙幣カセット17は、フィードローラ32及びリバースローラ33の双方を時計回りに回転させており、且つフィードローラ32の周側面に摩擦力の大きい掻出部32Aを設けている。
【0089】
このため、仮にピッカローラ37により送り出された紙幣BLが2枚以上重なった状態であれば、最上面の紙幣BLを1枚のみ後方へ進行させると共にそれ以外の紙幣BLを集積空間CS内に残すことにより、当該紙幣BLを1枚単位に分離する。その後紙幣BLは、搬送ガイド23の間を後方へ進行し、さらに搬送部13(
図2)により紙幣入出金機10内へ搬送される。
【0090】
このように紙幣カセット17は、フロントガイド26とリバースガイド24との間隔を、紙幣BLにおける短手長さL2よりも僅かに長いガイド間隔L1に調整することにより、当該紙幣BLを集積空間CS内に整然と集積し得るようになされている。
【0091】
[1−3.位置調整部の構成]
次に、位置調整部25の構成について説明する。
図4(B)に示したように、紙幣カセット17には各フロントガイド26の上側及び下側に位置調整部25がそれぞれ設けられているが、以下では1のフロントガイド26の上側に設けられた1の位置調整部25を中心に説明する。
【0092】
なお、フロントガイド26の下側に設けられた位置調整部25は、当該フロントガイド26の上側に設けられた位置調整部25と上下対称に構成されている。
【0093】
位置調整部25は、
図6に模式的な分解斜視図を示すように、大きく分けて保持部50、調整板60及び差込部70により構成されている。
【0094】
[1−3−1.保持部の構成]
保持部50は、前側板22から前方へ向けて突出するように設けられた2本の保持アーム51及び52を中心に構成されている。
【0095】
保持アーム51は、前後方向に長く、上下方向及び左右方向に短い直方体状に構成されている。また保持アーム51の右側面には、上下の中央部分に、周囲よりも左方向へ窪んだ溝部51Dが前後方向に沿って形成されている。
【0096】
保持アーム52は、保持アーム51の右側に、フロントガイド26における左右方向の長さよりも長い所定間隔だけ当該保持アーム51から離れた箇所に設けられている。また保持アーム52は、保持アーム51と左右対称に構成されており、溝部51Dと対応する溝部52Dが形成されている。
【0097】
以下では、説明の都合上、前側板22の後面上にあり保持アーム51及び保持アーム52のほぼ中間となる点を、保持部50における位置の基準点となる保持基準点Qと呼ぶ。また、保持基準点Qの後方における溝部51D及び52Dに挟まれた前後に長い範囲を、差込可能範囲50Aと呼ぶ。
【0098】
さらに前側板22における保持アーム51の左側には、ねじ孔53が穿設されている。このねじ孔53には、ワッシャ54を挿通した固定ねじ55が螺合されるようになされている。
【0099】
[1−3−2.調整板の構成]
調整体としての調整板60は、所定の金属材料で構成されており、上下に薄い扁平な直方体状に、換言すれば板面を上下方向に向けた長方形の板状に、形成されている。
【0100】
調整板60には、嵌合部としての差込孔61が穿設されている。この差込孔61は、左右に長く前後に短い扁平な角孔でなり、調整板60を厚さ方向に貫通している。また差込孔61は、調整方向である前後方向に所定間隔ごとに複数穿設されることにより、嵌合部列としての差込孔列62を構成している。
【0101】
図7に示すように、調整板60は、
図6における左右方向に相当するX方向に関し、両端から長さX1ずつ離れた中央部分に、所定の長さX2の差込孔61を位置させている。
【0102】
また調整板60は、
図6における前後方向に相当するY方向に関し、所定の微小長さである長さYを単位とした罫線に合わせるようにして、5個の差込孔61(61A、61B、61C、61D及び61E)をそれぞれ位置させている。因みに長さYは、例えば約0.3[mm]〜約2[mm]程度である。
【0103】
差込孔61Aは、第1端辺60E1から2Yだけ離れた箇所に、X方向に長さX2でありY方向に長さ2Y(すなわち長さYの2倍)である角孔として形成されている。すなわち差込孔61Aは、XY平面上で長方形となっており、半回転させた場合にもX方向に長さX2でありY方向に長さ2Yである長方形となる。
【0104】
差込孔61Bは、差込孔61AからY方向に長さ2Yだけ離れた箇所に、すなわち第1端辺60E1からY方向に長さ6Yだけ離れた箇所に、差込孔61Aと同様にX方向に長さX2でありY方向に長さ2Yである角孔として形成されている。
【0105】
これと同様に、差込孔61C、61D及び61Eは、いずれもX方向に長さX2でありY方向に長さ2Yである角孔として形成され、且つ互いの間隔をY方向に長さ2Yずつとするよう、Y方向に沿った一直線上に順次配列されている。
【0106】
このため差込孔61A、61B、61C、61D及び61Eは、第1端辺60E1からの距離が、それぞれ長さ2Y、6Y、10Y、14Y及び18Yとなっており、これを数式を用いて表すと、2Y+n×4Y(ただしnは1から5までの整数)となる。
【0107】
また差込孔61Eと第2端辺60E2との間隔は長さ4Yとなっている。このため差込孔61E、61D、61C、61B及び61Aは、第2端辺60E2からの距離が、それぞれ長さ4Y、8Y、12Y、16Y及び20Yとなっており、これを数式を用いて表すと、n×4Y(ただしnは1から5までの整数)となる。
【0108】
すなわち調整板60は、Y方向に沿って長さ4Yを周期として差込孔61A〜61Eを等間隔に配列しており、且つ第1端辺60E1及び第2端辺60E2から各差込孔61までの距離を互いに長さ2Yずつ相違させている。
【0109】
因みに調整板60では、加工に要する時間や費用の観点から量産を実現し得る加工方法として、打ち抜き工法(いわゆるパンチ)により各差込孔61が形成されている。これに伴い調整板60では、穿設可能な孔の最小長さが2Yとなっており、また近接する孔同士の最小間隔も2Yとなっている。
【0110】
さらに調整板60には、第2端辺60E2の近傍に数字の「1」及びこれを囲む円でなる刻印60L1が刻まれると共に、第1端辺60E1の近傍に数字の「2」及びこれを囲む円でなる刻印60L2が刻まれている。
【0111】
因みに調整板60は、全体的に、X方向の中心を通りY方向に沿ったY軸線YCを中心として、線対称に形成されている。このため調整板60は、Y軸線YCを中心に半回転され板面が反転された場合にも、全体形状並びに差込孔61A〜61Eの形状及び位置を含めて、半回転される前と同等に保つことができる。
【0112】
そこで調整板60は、第2端辺60E2の近傍に刻まれた刻印60L1の裏側にも同様の刻印60L1が刻まれると共に、第1端辺60E1の近傍に刻まれた刻印60L2の裏側にも同様の刻印60L2が刻まれている。これにより調整板60は、表裏いずれの面も同様に取り扱うことが可能となっている。
【0113】
この調整板60は、
図6に示したように、左右の両端部分が保持部50における保持アーム51及び52の溝部51D及び52Dにそれぞれ差し込まれ、さらにワッシャ54を挿通した固定ねじ55がねじ孔53に螺合されることにより、差込孔61を保持方向である下方向へ向けて当該保持部50により保持される。
【0114】
ここで調整板60は、
図8(A)及び(B)に示すように、2通りの保持形態により保持部50に保持されるようになされている。
【0115】
このとき調整板60の差込孔列62は、いずれの保持形態においても嵌合可能範囲である差込可能範囲50A内に位置している。
【0116】
図8(A)は、調整板60の第1端辺60E1を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、第2端辺60E2を後方へ向けた保持形態となっている。以下、この保持形態を第1保持形態と呼ぶ。
【0117】
この第1保持形態において、保持基準点Qから各差込孔61A〜61Eまでの距離は、それぞれ長さ2Y、6Y、…、及び18Yとなる。
【0118】
図8(B)は、調整板60の第2端辺60E2を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、第1端辺60E1を後方へ向けた保持形態となっている。以下、この保持形態を第2保持形態と呼ぶ。
【0119】
この第2保持形態において、保持基準点Qから各差込孔61E〜61Aまでの距離は、それぞれ長さ4Y、8Y、…、及び20Yとなる。
【0120】
このように調整板60は、差込孔列62の差込孔61A〜61Eを、Y方向に沿って長さ4Yを周期とするよう位置させ、さらに第1端辺60E1から差込孔61Aまでの距離と第2端辺60E2から差込孔61Eまでの距離とを長さ2Yだけ相違させた。
【0121】
これにより調整板60は、第1保持形態又は第2保持形態で保持部50に保持された際の保持基準点Qから各差込孔61A〜61Eまでの各距離を、互いに同等の長さ4Yを周期とし、且つ半周期である長さ2Yずつ互いに相違させている。
【0122】
[1−3−3.差込部の構成]
被調整体としての差込部70(
図6)は、基部71及び差込突起72を中心に構成されている。基部71は、前後方向に薄い直方体状に形成されると共に、前後方向に貫通する2個のねじ孔73が穿設されている。
【0123】
被嵌合体としての差込突起72は、前後に薄い直方体状に形成されており、基部71の上面から上方へ突出するように立設されている。この差込突起72は、
図9に平面図を示すように、基部71と前面を一致させるように、基部71に対し前方にやや偏った位置に設けられている。
【0124】
また差込突起72は、前後方向の長さが2Yとなっており、左右方向の長さがX2となっている。このため差込突起72は、調整板60の差込孔61A〜61Eに差し込むことが可能となっている。
【0125】
一方、フロントガイド26は、
図6に示したように、上端近傍の前面側が一部切削されることにより取付部26Aが形成されている。取付部26Aには、後面の2箇所にねじ孔26AHが穿設されている。因みにフロントガイド26には、図示しないものの、下端近傍にも上下対称の取付部26Aが形成されている。
【0126】
差込部70は、2本の取付ねじ74を2箇所のねじ孔73にそれぞれ挿通させた上で、取付部26Aのねじ孔26AHにそれぞれ螺合させることにより、フロントガイド26に取り付けられる。
【0127】
ここで
図10(A)及び(B)に示すように、差込部70は、フロントガイド26に取り付けられると、基部71及び差込突起72の前面を当該フロントガイド26の前面とほぼ一致させるようになされている。
【0128】
説明の都合上、以下ではフロントガイド26、基部71及び差込突起72の前面を表す線を前面線Fと呼ぶ。
【0129】
このように差込部70は、フロントガイド26に取り付けられることにより、差込突起72を当該フロントガイド26と一体化するようになされている。
【0130】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣カセット17における位置調整部25は、フロントガイド26の上側及び下側の双方において、フロントガイド26に取り付けられた差込部70の差込突起72が、調整板60の差込孔列62におけるいずれかの差込孔61に差し込まれる。
【0131】
保持部50は、保持アーム51及び52における溝部51D及び52Dの間に調整板60が差し込まれ、さらにワッシャ54を挿通した固定ねじ55がねじ孔53に螺合されることにより、差込孔列62を差込可能範囲50Aに位置させるように当該調整板60を保持する。
【0132】
これにより位置調整部25は、差込部70が取り付けられたフロントガイド26の位置を固定することができる。
【0133】
ここで位置調整部25は、調整板60の第1端辺60E1を保持基準点Qに当接させた第1保持形態(
図8(A))である場合には、フロントガイド26及び差込部70の前面線Fを、当該保持基準点Qから長さ2Y、6Y、10Y、14Y又は18Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置させることができる。
【0134】
また位置調整部25は、調整板60の第2端辺60E2を保持基準点Qに当接させた第2保持形態(
図8(B))である場合には、フロントガイド26及び差込部70の前面線Fを、当該保持基準点Qから長さ4Y、8Y、12Y、16Y又は20Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置させることができる。
【0135】
ここで、保持基準点Qからフロントガイド26及び差込部70の前面線Fまでの距離、すなわち保持基準点Qを基準とした位置を第1保持形態及び第2保持形態の間で比較すると、例えば長さ2Y及び4Yのように、両者の間の最小距離が長さ2Yとなっており、Y方向に関する差込孔61の周期である長さ4Yよりも短くなっている。
【0136】
このため位置調整部25は、保持部50に対する調整板60の方向を互いに相違させた第1保持形態及び第2保持形態を組み合わせることにより、フロントガイド26及び差込部70の前面線Fを、2Y、4Y、6Y、…、18Y又は20Yといった長さ2Yごとの離散した箇所に位置させることができる。
【0137】
他の観点から見れば、調整板60は、上述したように加工方法等の制約により、Y方向に関する差込孔61の周期がどうしても長さ4Y以上となってしまう。
【0138】
このため位置調整部25では、単純に調整板60の差込孔列62に対する差込突起72の差込位置を調整するだけでは、フロントガイド26及び差込部70の前面線Fの位置を長さ4Yの間隔ごとにしか調整できない。
【0139】
そこで位置調整部25では、第1端辺60E1から差込孔61Aまでの距離と第2端辺60E2から差込孔61Eまでの距離とを長さ2Yだけ相違させ、保持部50による調整板60の保持形態を2通りに切り換え得るようにした。
【0140】
このため位置調整部25では、第1保持形態及び第2保持形態を適宜切り換えることにより、フロントガイド26及び差込部70の前面線Fの位置を、差込孔列62における各差込孔61の周期である長さ4Yよりも短い長さ2Yごとに調整することができる。
【0141】
このとき位置調整部25では、具体的な調整作業として、保持部50の固定ねじ55を取り外し溝部51D及び52Dから調整板60を抜き出させ、必要に応じて調整板60の前後方向を入れ替えさせて、差込孔列62に対する差込突起72の差込位置を変更させて再び固定ねじ55を取り付けさせるだけで、フロントガイド26を2Y単位で所望の位置に合わせることができる。
【0142】
この結果、紙幣カセット17では、
図34(A)及び(B)とそれぞれ対応する
図11(A)及び(B)に示すように、位置調整部25の部品を他の部品と何ら交換することなく、フロントガイド26の前後方向に関する位置を調整することができる。
【0143】
このため位置調整部25については、従来のような長さの異なる複数種類のカラ951及び取付ねじ952のように、交換用の他の部品を用意する必要が無い。
【0144】
これにより現金自動預払機1では、例えば運用開始後に紙幣カセット17に収納すべき紙幣BLの種類が変更となり短手長さL2が変更されたとしても、別途部品を手配する必要無く、直ちにフロントガイド26を所望の位置に移動させ、ガイド間隔L1を変更することができる。
【0145】
また調整板60は、差込孔列62における各差込孔61同士のY方向に関する間隔を2Yずつとすることにより、十分な強度を保持するようにした(
図7)。
【0146】
これにより調整板60は、フロントガイド26に取り付けられた差込部70の差込突起72が差込孔61に差し込まれた状態で、紙幣カセット17の運搬等に伴う外部からの衝撃が加わったとしても、差込孔61が破損されることなく、差込突起72及びフロントガイド26の位置を維持することができる。
【0147】
特に調整板60は、各差込孔61の形状を、XY平面上において長方形となるような、X方向及びY方向に対称な角孔とした(
図6、
図7)。また差込部70は、差込突起72の形状を、当該差込孔61に差し込み得る大きさの直方体状とした(
図6、
図9)。
【0148】
このため位置調整部25では、調整板60における第1端辺60E1又は第2端辺60E2のいずれを前方へ向けた場合であっても、すなわち第1保持形態及び第2保持形態のいずれであっても、差込孔61の形状を変化させることなく、差込部70の差込突起72を差し込むことができる。
【0149】
これと共に調整板60は、X方向の中央に、Y方向に沿って各差込孔61を配置することにより差込孔列62を形成した。
【0150】
このため位置調整部25では、保持部50により保持される調整板60における第1端辺60E1又は第2端辺60E2のいずれを前方へ向けた場合であっても、差込孔列62を保持アーム51及び52のほぼ中間にある差込可能範囲50Aに位置させることができる。
【0151】
すなわち位置調整部25では、第1保持形態及び第2保持形態の双方で差込孔列62の各差込孔61を共用することができるので、調整板60に差込孔列62を2列以上穿設する必要が無く、加工に要する手間や時間、すなわち製造コストを最小限に抑えることができる。
【0152】
さらに位置調整部25は、第1保持形態及び第2保持形態のいずれにおいても差込孔列62を差込可能範囲50Aに位置させることができるので、紙幣カセット17の他の部品に対するフロントガイド26の左右方向及び上下方向の位置を変化させることなく、前後方向の位置のみを2Yずつ調整することができる。
【0153】
これに伴い、フロントガイド26に取り付けられたビルストッパ27は、やはりその位置が前後方向へのみ変化するため、ゲートG(
図3)に対する左右方向及び上下方向の位置を維持することができるので、放出された紙幣BLが衝突された際に、最適な位置においてその衝撃を吸収することができる。
【0154】
さらに位置調整部25は、差込部70における差込突起72の上下方向の長さを調整板60の厚さよりも十分に長く構成し(
図6)、当該差込突起72が差込孔61に差し込まれた際に、調整板60を貫通できるようにした(
図3)。
【0155】
このため位置調整部25は、仮に前側板22に対する保持部50の位置精度が低く、当該保持部50に保持された調整板60の差込孔61に差込突起72が差し込まれた状態で、差込部70が取り付けられたフロントガイド26が紙幣カセット17に対し上下に多少のがたつきを有していたとしても、差込突起72が差込孔61から抜けてしまうことを防止でき、フロントガイド26の前後方向の位置を維持することができる。
【0156】
さらに調整板60は、第1端辺60E1及び第2端辺60E2の近傍にそれぞれ刻印60L2及び60L1が刻まれている(
図6、
図7、
図8)。
【0157】
このため位置調整部25は、保守作業員等に保持部50による調整板60の保持形態を切り換えさせる際に、刻印60L2及び60L1を目印として視認させながら、フロントガイド26を調整したい位置に応じた正しい方向となるように、調整板60を保持部50の溝部51D及び52Dに差し込ませることができる。
【0158】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による位置調整部25は、調整板60における差込孔列62の差込孔61A〜61Eを、Y方向に沿って長さ4Yを周期とするよう配置し、さらに第1端辺60E1から差込孔61Aまでの距離と第2端辺60E2から差込孔61Eまでの距離とを長さ2Yだけ相違させた。また保持部50は、調整板60の方向を互いに反対向きとして第1端辺60E1又は第2端辺60E2を保持基準点Qにそれぞれ当接させた第1保持形態及び第2保持形態により、当該調整板60を2通りの保持形態で保持するようにした。そして位置調整部25は、第1保持形態及び第2保持形態を適宜切り換えることにより、フロントガイド26に取り付けられた差込部70の差込突起72を差込孔列62におけるいずれかの差込孔61に差し込んだ際の前面線Fの位置を、長さ2Y単位で調整することができる。
【0159】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態における位置調整部25に代えて、位置調整部125によりフロントガイド26の位置が調整されるようになされている。
【0160】
[2−1.位置調整部の構成]
位置調整部125は、
図6と対応する
図12に示すように、保持部50、調整板60及び差込部70とそれぞれ対応する保持部150、調整板160及び差込部170により構成されている。
【0161】
[2−1−1.保持部の構成]
保持部150は、
図13(A)に平面図を示すように、第1の実施の形態による保持部50と比較して、保持アーム51及び52に代わる保持アーム151及び152を有しており、またねじ孔53、ワッシャ54及び固定ねじ55が省略されている。
【0162】
保持アーム151は、可撓性を有する材料により構成されており、保持アーム51と比較して、溝部51Dと同様の溝部151Dを有する他、後端に保持爪151Cが設けられている。
【0163】
保持爪151Cは、保持アーム151の後端部分が保持アーム51(
図6)よりも僅かに後方へ延長された上で右方向へ鉤状に折り曲げられたような形状となっており、溝部151Dの後端を塞いでいる。
【0164】
また保持爪151Cは、右方向へ突出した部分の前面が前側板22の後面とほぼ平行な平面状に形成される一方、その後側部分が右斜め後ろ方向を向く傾斜面となっている。
【0165】
保持アーム152は、保持アーム151と左右対称に構成されており、溝部52Dと同様の溝部152Dを有する他、後端部分に左方向へ鉤状に折り曲げられたような形状の保持爪152Cが設けられている。
【0166】
また第2の実施の形態では、説明の都合上、保持基準点Qの後方であって、溝部151D及び152Dにより挟まれた空間のうち、中央よりも左側及び右側の前後に長い範囲を、それぞれ第1差込可能範囲150A及び150Bと呼ぶ。
【0167】
また保持アーム151及び152は、それぞれ可撓性を有するため、それぞれの後端近傍に対し一時的に左右の外方へ、すなわち互いに離れる方向へ向かう外力が加えられると、保持爪151C及び152Cの間隔を広げるようにそれぞれ撓む。
【0168】
その後保持アーム151及び152は、加えられていた外力が解放されると、元の形状に戻ることにより、保持爪151C及び152Cの間隔を溝部151D及び152Dの間隔よりも狭めた状態となる。
【0169】
[2−1−2.調整板の構成]
調整板160(
図12)は、全体として調整板60(
図6)と同様に、所定の金属材料で構成されており、上下に薄い扁平な直方体状に形成されているものの、差込孔61に代わる差込孔161が複数穿設されている。
【0170】
この調整板160は、
図7と対応する
図14(A)に示すように、6個の差込孔161A、161B、161C、161D、161E及び161FがY方向に沿って並んだ第1差込孔列162Aと、5個の差込孔161G、161H、161J、161K及び161LがY方向に沿って並んだ第2差込孔列162Bとが設けられている。
【0171】
また説明の都合上、以下では、調整板160の板面のうち
図12において上方向を向き
図14(A)において手前側となる面を第1面160S1と呼び、その反対となる面を第2面160S2と呼ぶ。
【0172】
差込孔161Aは、
図14(B)に拡大して示すように、第1の実施の形態における差込孔61A(
図7)とは異なる形状となっており、角孔状の3個の孔部161A1、161A2及び161A3をX方向に沿って蛇行するように互いに連接させ、クランク状となっている。
【0173】
孔部161A1は、X方向の長さがX4、Y方向の長さが2Yの角孔となっている。孔部161A2は、X方向の長さがX5、Y方向の長さが2Yの角孔となっており、孔部161A1とX方向に連接し、且つ当該孔部161A1に対しY方向に距離Yだけずれた位置に穿設されている。
【0174】
孔部161A3は、X方向の長さがX6、Y方向の長さが2Yの角孔となっており、孔部161A2に対して、X方向に関し孔部161A1と反対側に連接し、且つY方向に関し孔部161A1へ近接する方向へ距離Yだけずれた位置に、穿設されている。因みに長さX6は、長さX4とほぼ同等となっている。
【0175】
換言すれば、差込孔161Aは、Y方向の孔幅が長さ2Yに揃えられているものの、X方向の中央である長さX5の部分のみ、両隣の長さX4の部分及びX6の部分よりもY方向へ長さYだけ位置をシフトさせたように形成されている。
【0176】
説明の都合上、以下では、孔部161A2における中心となる点を差込孔中心点Pと呼ぶ。また、
図14(C)に示すように、孔部161A1、161A2及び161A3をそれぞれY方向に長さYごとに分割したときの各領域を、それぞれ領域R1、R2、R3、R4、R5及びR6と呼ぶ。
【0177】
因みに差込孔161Aにおいては、領域R1から見た場合、領域R5及びR6がY方向に距離Yだけ離れていることになる。
【0178】
図14(A)に示したように、差込孔161Aは、調整板160におけるX方向の一端辺(図における左辺)から長さX3だけ離れ、且つY方向の一端辺である第1端辺160E1(図における下辺)から長さ2Yだけ離れた箇所に配置されている。
【0179】
差込孔161Bは、長さX4、X5及びX6の各部分において差込孔161Aとの間にY方向へそれぞれ長さ2Yずつ離れた箇所に、当該差込孔161Aと同様の形状に穿設されている。
【0180】
このため差込孔161Bは、差込孔161Aからちょうど長さ2Yだけ離れており、また第1端辺160E1からの距離が長さ6Yとなる。
【0181】
ここで差込孔161Aの領域R1(
図14(C))から見た場合、差込孔161Bの領域R5及びR6は、Y方向に関し差込孔161Aの領域R5及びR6と反対側に、距離Yだけ離れていることになる。
【0182】
差込孔161C、161D、161E及び161Fは、差込孔161Bと同様に、いずれも差込孔161Aと同様の形状に穿設されており、互いの間隔をY方向にちょうど長さ2Yずつとするよう、Y方向に沿った一直線上に順次配列されている。また差込孔161Fと第2端辺160E2との間隔は、長さYとなっている。
【0183】
ここで差込孔161A〜161Fそれぞれの領域R1(
図14(C))に着目すると、第1端辺160E1からの距離(間隔)は、それぞれ長さ4Y、8Y、12Y、16Y、20Y及び24Yとなっており、これを数式を用いて表すと、4Y+n×4Y(ただしnは0から5までの整数)となる。
【0184】
また、第2端辺160E2から差込孔161F〜161Aそれぞれの領域R1までの距離(間隔)は、それぞれ長さY、5Y、9Y、13Y、17Y及び21Yとなっており、これを数式を用いて表すと、Y+n×4Y(ただしnは0から5までの整数)となる。
【0185】
このように第1差込孔列162Aの差込孔161A〜161Fは、Y方向に沿って長さ4Yを周期として等間隔に配列されている。
【0186】
一方、第2差込孔列162Bの差込孔161Gは、調整板160におけるX方向の他端辺(図における右辺)から長さX3だけ離れ、且つ第1端辺160E1から長さ3Yだけ離れた箇所に配置されており、差込孔161AをXY平面上で半回転させた形状となっている。
【0187】
因みに差込孔161Gは、X方向に関し差込孔161Aから長さX7だけ離れるよう配置されている。
【0188】
ここで差込孔161A及び161Gに着目すると、いずれも第1端辺160E1から差込孔中心点Pまでの距離が長さ4Yとなっている。
【0189】
このため調整板160では、第1端辺160E1から見て、差込孔161Gの領域R1並びに差込孔161Aの領域R2、R3及びR4が、いずれも長さ3Yだけ離れている。また調整板160では、第1端辺160E1から見て、差込孔161Gの領域R2、R3及びR4並びに差込孔161Aの領域R1が、いずれも長さ4Yだけ離れている。
【0190】
差込孔161H〜161Lは、いずれも差込孔161Gと同様の形状に穿設され、且つ互いの間隔をY方向にちょうど長さ2Yずつとするよう、Y方向に沿った一直線上に順次配列されている。また差込孔161Lと第2端辺160E2との間隔は、長さ4Yとなっている。
【0191】
ここで差込孔161G〜161Lそれぞれの領域R1(
図14(C))に着目すると、第1端辺160E1からの距離(間隔)は、それぞれ3Y、7Y、11Y、15Y及び19Yとなっており、これを数式を用いて表すと、3Y+n×4Y(ただしnは0から4までの整数)となる。
【0192】
また、第2端辺160E2から差込孔161L〜161Gそれぞれの領域R1までの距離(間隔)は、それぞれ6Y、10Y、14Y、18Y及び22Yとなっており、これを数式を用いて表すと、6Y+n×4Y(ただしnは0から4までの整数)となる。
【0193】
このように第2差込孔列162Bの差込孔161G〜161Lは、Y方向に沿って4Y周期で等間隔に配列されている。
【0194】
ここで差込孔161A及び161Lに着目すると、第1端辺160E1から差込孔161Aまでの距離である長さ2Yと、第2端辺160E2から差込孔161Lまでの距離である長さ4Yとが、半周期である長さ2Yだけ相違している。
【0195】
また差込孔161G及び161Fに着目すると、第1端辺160E1から差込孔161Gまでの距離である長さ3Yと、第2端辺160E2から差込孔161Fまでの距離である長さYとが、半周期である長さ2Yだけ相違している。
【0196】
このように調整板160は、第1差込孔列162Aにおいて6個の差込孔161A〜161FがY方向に沿って長さ4Yを周期として配置されると共に、第2差込孔列162Bにおいて5個の差込孔161G〜161LがY方向に沿って長さ4Yを周期として配置されている。
【0197】
また調整板160は、第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bの間で、各差込孔161を互いにXY平面上で半回転された向きに形成すると共に、第1端辺160E1及び第2端辺160E2から各差込孔161までの間隔を長さ2Yずつ相違させている。
【0198】
さらに調整板160の第1面160S1には、第2端辺160E2の近傍に数字の「1」及びこれを囲む円でなる刻印160L1が刻まれると共に、第1端辺160E1の近傍に数字の「3」及びこれを囲む円でなる刻印160L3が刻まれている。
【0199】
因みに調整板160の第2面160S2には、後述するように、第2端辺160E2の近傍に数字の「2」及びこれを囲む円でなる刻印160L2が刻まれると共に、第1端辺160E1の近傍に数字の「4」及びこれを囲む円でなる刻印160L4が刻まれている。
【0200】
ところで保持部150(
図13(A))は、保持アーム151及び152に対し、上述したように保持爪151C及び152Cを互いに左右方向へ引き離すように外力が加えられると、一時的に撓むことにより、溝部151D及び152Dに対する調整板160の抜き差しが可能となる。
【0201】
保持部150は、保持爪151C及び152Cを互いに左右方向へ引き離す外力が加えられ保持アーム151及び152が撓んだ状態で調整板160が差し込まれ、外力が解放されると、保持アーム151及び152を元の形状に戻すことにより、
図13(B)に示すように当該調整板160を保持する。
【0202】
ここで調整板60は、
図15(A)、(B)、(C)及び(D)に示すように、4通りの保持形態により保持部150に保持されるようになされている。
【0203】
図15(A)は、調整板160の第1面160S1を上方(図の手前側)へ向けると共に第1端辺160E1を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、刻印160L1が近傍に刻まれた第2端辺160E2を後方へ向けた保持形態となっている。このとき、第1差込可能範囲150A内には第1差込孔列162Aが位置しており、また第2差込可能範囲150B内には第2差込孔列162Bが位置している。以下、この保持形態をこの実施の形態における第1保持形態と呼ぶ。
【0204】
この第1保持形態において、保持基準点Qから第2差込可能範囲150B内にある差込孔161G〜161Lそれぞれにおける領域R1(
図14(C))までの距離は、それぞれ長さ3Y、7Y、…、及び19Yとなる。
【0205】
図15(B)は、調整板160の第1面160S1を上方へ向けると共に第2端辺160E2を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、刻印160L3が近傍に刻まれた第1端辺160E1を後方へ向けた保持形態となっている。このとき、第1差込可能範囲150A内には第2差込孔列162Bが位置しており、また第2差込可能範囲150B内には第1差込孔列162Aが位置している。以下、この保持形態をこの実施の形態における第2保持形態と呼ぶ。
【0206】
因みにこの第2保持形態における調整板160は、第1保持形態(
図15(A))と比較して、水平方向に半回転された状態となっている。
【0207】
この第2保持形態において、保持基準点Qから第2差込可能範囲150B内にある差込孔161B〜161Fそれぞれにおける領域R1(
図14(C))までの距離は、それぞれ長さ5Y、9Y、…、及び21Yとなる。
【0208】
図15(C)は、調整板160の第2面160S2を上方へ向けると共に第1端辺160E1を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、刻印160L2が近傍に刻まれた第2端辺160E2を後方へ向けた保持形態となっている。このとき、第1差込可能範囲150A内には第2差込孔列162Bが位置しており、また第2差込可能範囲150B内には第1差込孔列162Aが位置している。以下、この保持形態をこの実施の形態における第3保持形態と呼ぶ。
【0209】
因みにこの第3保持形態における調整板160は、第1保持形態(
図15(A))と比較して、前後方向に沿った回転軸を中心に半回転された状態となっている。
【0210】
この第3保持形態において、保持基準点Qから第2差込可能範囲150B内にある差込孔161B〜161Fそれぞれにおける領域R1(
図14(C))までの距離は、それぞれ長さ4Y、8Y、…、及び20Yとなる。
【0211】
図15(D)は、調整板160の第2面160S2を上方へ向けると共に第2端辺160E2を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、刻印160L4が近傍に刻まれた第1端辺160E1を後方へ向けた保持形態となっている。このとき、第1差込可能範囲150A内には第1差込孔列162Aが位置しており、また第2差込可能範囲150B内には第2差込孔列162Bが位置している。以下、この保持形態をこの実施の形態における第4保持形態と呼ぶ。
【0212】
因みにこの第4保持形態における調整板160は、第1保持形態(
図15(A))と比較して、左右方向に沿った回転軸を中心に半回転された状態となっている。
【0213】
この第4保持形態において、保持基準点Qから第2差込可能範囲150B内にある差込孔161G〜161Kそれぞれにおける領域R1(
図14(C))までの距離は、それぞれ長さ6Y、10Y、14Y及び18Yとなる。
【0214】
このように調整板160は、第1差込孔列162Aにおいて6個の差込孔161A〜161FをY方向に沿って長さ4Yを周期とするよう配置すると共に、第2差込孔列162Bにおいて5個の差込孔161G〜161LをY方向に沿って長さ4Yを周期とするよう配置した。
【0215】
また調整板160は、第1差込孔列162A及び162Bの間で、各差込孔161を互いに反対方向に向けると共に、第1端辺160E1及び第2端辺160E2から各差込孔161までの距離を2Yずつ相違させた。
【0216】
これにより調整板160は、第1保持形態、第2保持形態、第3保持形態又は第4保持形態で保持部150に保持された際の、保持基準点Qから第2差込可能範囲150B内にある各差込孔161の領域R1までの各距離を、互いに同等の長さ4Yを周期とし、且つ保持形態ごとに長さYずつ相違させている。
【0217】
[2−1−3.差込部の構成]
差込部170(
図12)は、基部171及び差込突起172を中心に構成されている。基部171は、第1の実施の形態における基部71よりも前後方向に薄い直方体状に形成されると共に、前後方向に貫通する2個のねじ孔173が穿設されている。因みに基部171における前後方向の厚さは、長さYとなっている。
【0218】
差込突起172は、
図16に示すように、4本の差込突起172A、172B、172C及び172Dにより構成されている。
【0219】
差込突起172Aは、基部171の上面における左寄りの部分から上方へ突出するように立設されており、前後に薄く上下に長い直方体状に形成されている。
【0220】
この差込突起172Aは、
図17に平面図を示すように、左右方向の長さが長さX4、X5及びX6の和に相当し、前後方向の長さが長さYとなっている。
【0221】
差込突起172Bは、基部171の上面における左右の中央よりも右寄りの部分から上方へ突出するように立設されており、前後に薄く上下に細長い形状であるものの、基部171の上面から僅かに上方へ伸び、一度後方へ向かうよう曲げられ、さらに再び上方へ向かうよう曲げられている。
【0222】
この差込突起172Bは、
図17に示したように、左右方向の長さが長さX6であり、前後方向の長さが長さYとなっている。また差込突起172Bは、差込突起172Aから見て、右方向へ長さX7を隔てると共に後方向へ長さYを隔てるように位置している。
【0223】
差込突起172Cは、基部171の上面における差込突起172Bの右側に隣接して上方へ突出するように立設されており、前後に薄く上下に細長い直方体状に形成されている。
【0224】
この差込突起172Cは、
図17に示したように、左右方向の長さが長さX5であり、前後方向の長さが長さYとなっている。また差込突起172Cは、差込突起172Bから見て、前方向へ長さYを隔てるように位置しており、前後方向の位置が差込突起172Aと同等に揃えられている。
【0225】
差込突起172Dは、基部171の上面における差込突起172Bの右側に隣接して上方へ突出するように立設されており、前後に薄く上下に細長い形状であるものの、差込突起172Bと同様、基部171の上面から僅かに上方へ伸び、一度後方へ向かうよう曲げられ、さらに再び上方へ向かうよう曲げられている。
【0226】
この差込突起172Dは、
図17に示したように、左右方向の長さが長さX4であり、前後方向の長さが長さYとなっている。また差込突起172Dは、差込突起172Cから見て、後方向へ長さYを隔てるように位置しており、前後方向の位置が差込突起172Bと同等に揃えられている。
【0227】
差込部170は、
図16に示したように、第1の実施の形態における差込部70と同様、2本の取付ねじ74を2箇所のねじ孔173にそれぞれ挿通させた上で、取付部26Aのねじ孔26AHにそれぞれ螺合させることにより、フロントガイド26に取り付けられる。
【0228】
このとき差込部170は、フロントガイド26に取り付けられると、基部171及び差込突起172A及び172Cの前面を当該フロントガイド26の前面とほぼ一致させる。
【0229】
説明の都合上、以下ではフロントガイド26、基部171並びに差込突起172A及び172Cの前面を表す線をこの実施の形態における前面線Fと呼ぶ(
図17)。
【0230】
このように差込部170は、第1の実施の形態と同様、フロントガイド26に取り付けられることにより、4本の差込突起172A〜172Dを当該フロントガイド26と一体化するようになされている。
【0231】
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による位置調整部125は、フロントガイド26の上側及び下側の双方において、フロントガイド26に取り付けられた差込部170の差込突起172A〜172Dが、調整板160の第1差込孔列162A及び162Bにおけるいずれかの差込孔161に差し込まれる。
【0232】
保持部150は、保持アーム151及び152の保持爪151C及び152Cを左右方向へ広げる外力が一時的に加えられた状態で、溝部151D及び152Dの間に調整板160が差し込まれ、外力が解放される。
【0233】
これにより保持部150は、第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bをそれぞれ第1差込可能範囲150A及び第2差込可能範囲150Bのいずれかに位置させるように、当該調整板160を保持する。かくして位置調整部125は、差込部170が取り付けられたフロントガイド26の位置を固定することができる。
【0234】
このとき差込部170の差込突起172A(
図12)は、保持部150の第1差込可能範囲150A内に位置しており、また差込突起172B、172C及び172Dは、保持部150の第2差込可能範囲150B内に位置することになる。
【0235】
ここで、位置調整部125が第1保持形態(
図15(A))である場合、すなわち調整板160の第1面160S1を上方へ向けると共に第1端辺160E1を保持基準点Qに当接させた場合を想定する。
【0236】
図15(A)に示したように、例えば差込突起172Aが差込孔161Bの領域R2、R3及びR4(
図14(C))に位置するとき、差込突起172B、172C及び172Dは、差込孔161Hの領域R6、R1及びR5にそれぞれ位置する。このときフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が長さ7Yとなる。
【0237】
また第1保持形態において、差込突起172Aは、第1差込可能範囲150A内に位置する第1差込孔列162Aのいずれかの差込孔161A〜161Eに差し込まれる。これに応じて差込突起172B、172C及び172Dは、第2差込可能範囲150B内に位置する第2差込孔列162Bのいずれかの差込孔161G〜161Lに差し込まれる。
【0238】
これによりフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、長さ3Y、7Y、11Y、15Y又は19Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0239】
次に、位置調整部125が第2保持形態(
図15(B))である場合、すなわち調整板160の第1面160S1を上方へ向けると共に第2端辺160E2を保持基準点Qに当接させた場合を想定する。
【0240】
図15(B)に示したように、例えば差込突起172Aが差込孔161Lの領域R2、R3及びR4(
図14(C))に位置するとき、差込突起172B、172C及び172Dは、差込孔161Eの領域R6、R1及びR5にそれぞれ位置する。このときフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が長さ7Yとなる。
【0241】
また第2保持形態において、差込突起172Aは、第1差込可能範囲150A内に位置する第2差込孔列162Bのいずれかの差込孔161L〜161Gに差し込まれる。これに応じて差込突起172B、172C及び172Dは、第2差込可能範囲150B内に位置する第1差込孔列162Aのいずれかの差込孔161E〜161Aに差し込まれる。
【0242】
これによりフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、長さ5Y、9Y、13Y、17Y又は21Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0243】
さらに、位置調整部125が第3保持形態(
図15(C))である場合、すなわち調整板160の第2面160S2を上方へ向けると共に第1端辺160E1を保持基準点Qに当接させた場合を想定する。
【0244】
図15(C)に示したように、例えば差込突起172Aが差込孔161Hの領域R2、R3及びR4(
図14(C))に位置するとき、差込突起172Cは差込孔161Bの領域R1に位置し、差込突起172B及び172Dは差込孔161Cの領域R5及びR6にそれぞれ位置する。このときフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が長さ8Yとなる。
【0245】
また第3保持形態において、差込突起172Aは、第1差込可能範囲150A内に位置する第2差込孔列162Bのいずれかの差込孔161G〜161Lに差し込まれる。これに応じて差込突起172B、172C及び172Dは、第2差込可能範囲150B内に位置する第1差込孔列162Aのいずれかの差込孔161A〜161Fに差し込まれる。
【0246】
これによりフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、長さ4Y、8Y、12Y、16Y又は20Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0247】
さらに、位置調整部125が第4保持形態(
図15(D))である場合、すなわち調整板160の第2面160S2を上方へ向けると共に第2端辺160E2を保持基準点Qに当接させた場合を想定する。
【0248】
図15(D)に示したように、例えば差込突起172Aが差込孔161Eの領域R2、R3及びR4(
図14(C))に位置するとき、差込突起172Cは差込孔161Lの領域R1に位置し、差込突起172B及び172Dは差込孔161Kの領域R5及びR6にそれぞれ位置する。このときフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が長さ6Yとなる。
【0249】
また第4保持形態において、差込突起172Aは、第1差込可能範囲150A内に位置する第1差込孔列162Aのいずれかの差込孔161E〜161Aに差し込まれる。これに応じて差込突起172B、172C及び172Dは、第2差込可能範囲150B内に位置する第2差込孔列162Bのいずれかの差込孔161L〜161Gに差し込まれる。
【0250】
これによりフロントガイド26及び差込部170の前面線Fは、長さ6Y、10Y、14Y又は18Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0251】
ここで、保持基準点Qからフロントガイド26及び差込部170の前面線Fまでの距離、すなわち保持基準点Qを基準とした位置を第1保持形態〜第4保持形態の間で比較すると、例えば長さ3Y及び4Yのように、両者の間の最小距離が長さYとなっており、Y方向に関する差込孔161の周期である長さ4Yよりも短くなっている。
【0252】
従って位置調整部125は、保持部150に対する調整板160の方向及び面を互いに相違させた第1保持形態、第2保持形態、第3保持形態及び第4保持形態を組み合わせることにより、フロントガイド26及び差込部170の前面線Fを、3Y、4Y、5Y、6Y、…、19Y、20Y又は21Yといった長さYごとの離散した箇所に位置させることができる。
【0253】
他の観点から見れば、位置調整部125では、第1の実施の形態と同様、調整板160の第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bにそれぞれ穿設された各差込孔161が、加工方法等の制約によりY方向に長さ4Yの周期となっている。
【0254】
このため位置調整部125では、単純に調整板160の第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bに対する差込突起172A〜172Dの差込位置を調整するだけでは、フロントガイド26及び差込部170の前面線Fの位置を長さ4Yごとにしか調整できない。
【0255】
そこで調整板160(
図14(A))では、第1端辺160E1から差込孔161Aまでの距離と第2端辺160E2から差込孔161Lまでの距離とを長さ2Yだけ相違させ、また第1端辺160E1から差込孔161Fまでの距離と第2端辺160E2から差込孔161Gまでの距離とを長さ2Yだけ相違させた。
【0256】
また調整板160では、第1差込孔列162Aの各差込孔161A〜161Fと、第2差込孔列162Bの各差込孔161G〜161Lとを、互いにXY平面上で半回転させた形状とした。
【0257】
このため位置調整部125は、第1保持形態(
図15(A))及び第2保持形態(
図15(B))に示したように、調整板160がXY平面上で半回転されることにより、保持基準点Qからの各差込孔161まで距離を互いに長さ2Yずつ相違させることができる。このような関係は、第3保持形態(
図15(C))及び第4保持形態(
図15(D))の間にも成立する。
【0258】
また調整板160では、
図14(B)に示したように、差込孔161A等について、いずれもY方向の孔幅が長さ2Yである孔部161A1及び孔部161A3に対し、孔部161A2をY方向に長さYだけずらす(オフセットさせる)ように形成した。
【0259】
これと共に調整板160では、Y方向に隣接する差込孔161同士の間隔をちょうど2Yとすることにより、ある差込孔161の領域R1(
図14(C))から見て、同一の差込孔161における領域R5及びR6までのY方向の距離と、隣接する差込孔161における領域R5及びR6までのY方向の距離を、いずれも長さYとした(
図14(A))。
【0260】
一方差込部170では、差込突起172B及び172Dに対し、差込突起172CをY方向に長さYだけ間隔を空けるように位置させた(
図19)。
【0261】
このため位置調整部125では、差込突起172Cをある差込孔161の領域R1(
図14(C))に位置させよう差し込む際に、調整板160の方向に応じて、差込突起172B及び172Dを同じ差込孔161の領域R5及びR6に位置させることも、また隣接する差込孔161の領域R5及びR6に位置させることもできる。
【0262】
さらに調整板160では、第1差込孔列162Aの各差込孔161A〜161Eにおける領域R1(
図14(C))と、第2差込孔列162Bの各差込孔161G〜161Lにおける領域R1とを、Y方向に長さYだけ互いの位置をずらすように配置した(
図14(A))。
【0263】
このため位置調整部125は、第1保持形態(
図15(A))及び第3保持形態(
図15(C))に示したように、調整板160が前後方向に沿った回転軸を中心に半回転され、第1差込孔列162Aと第2差込孔列162Bが左右に入れ替わることにより、保持基準点Qからの各差込孔161まで距離を互いにYずつ相違させることができる。このような関係は、第2保持形態(
図15(B))及び第4保持形態(
図15(D))の間にも成立する。
【0264】
かくして位置調整部125では、4通りの保持形態である第1保持形態〜第4保持形態を適宜切り換えることにより、フロントガイド26及び差込部170の前面線Fの位置を、第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bにおける各差込孔161の周期である長さ4Yよりも大幅に短い長さYごとに調整することができる。
【0265】
また保持部150は、保持アーム151及び152の先端に保持爪151C及び152Cをそれぞれ形成すると共に可撓性を持たせた。このため位置調整部125は、第1の実施の形態のように固定ねじ55の取り付け作業や取り外し作業を行わせることなく、保持爪151C及び152Cを左右方向に広げるよう外力を加えさせ、又は外力を解放させるだけで、保持部150に調整板160を保持させることができる。
【0266】
さらに調整板160は、保持形態を切り換えて保持基準点Qから前面線Fまでの距離をそれぞれY+n×4Y、2Y+n×4Y、3Y+n×4Y及びn×4Y(nは自然数)とするときに、調整板160における前方を向く刻印160L1〜160L4の数字がそれぞれ「1」、「2」、「3」及び「4」となるように、すなわち距離を4Yで除算したときの剰余と一致するようにした。
【0267】
これにより位置調整部125では、保守作業員等により調整板160の保持形態を切り換えさせる際に、保持部準点Qから前面線Fまでの距離に応じた調整板160の面及び方向を直感的に把握させることができ、効率良く作業させることができる。
【0268】
その他の点においても、第2の実施の形態による位置調整部125は、第1の実施の形態による位置調整部25と同様の作用効果を奏し得る。
【0269】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による位置調整部125は、調整板160に穿設する差込孔161をクランク状に形成し、第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bで互いの方向を反対に向けそれぞれY方向に沿って長さ4Yを周期として配列させ、また第1端辺160E1及び第2端辺160E2から各差込孔161までの距離を差込孔列同士で相違させた。さらに保持部150は、調整板160の方向及び面を相違させた4通りの保持形態で保持するようにした。このため位置調整部125は、第1保持形態〜第4保持形態を適宜切り換えることにより、フロントガイド26に取り付けられた差込部170の差込突起172A〜172Dをいずれかの差込孔161にそれぞれ差し込んだ際の前面線Fの位置を、長さY単位で調整することができる。
【0270】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第1の実施の形態における位置調整部25に代えて、位置調整部225によりフロントガイド26の位置が調整されるようになされている。
【0271】
[3−1.位置調整部の構成]
位置調整部225は、
図6及び
図12と対応する
図18に示すように、保持部50、調整板60及び差込部70とそれぞれ対応する保持部250、調整板260及び差込部270により構成されている。
【0272】
[3−1−1.保持部の構成]
保持部250は、第2の実施の形態における保持部150とほぼ同様に構成されているものの、2個の第1差込可能範囲150A及び第2差込可能範囲150Bに代えて、1個の差込可能範囲250Aが設けられている点が相違する。
【0273】
差込可能範囲250Aは、第1の実施の形態における差込可能範囲50Aとほぼ同様であり、保持基準点Qの後方における溝部151D及び152Dに挟まれた前後に長い範囲となっている。
【0274】
[3−1−2.調整板の構成]
調整板260は、
図14(A)と対応する
図19に示すように、6個の差込孔261A〜261Fでなる差込孔列262が設けられている。
【0275】
この調整板260は、第2の実施の形態における調整板160(
図12及び
図14)から第2差込孔列162Bの差込孔161G〜161Lが省略され、第1差込孔列162Aの差込孔161A〜161FをX方向の中央に移動したような構成となっている。
【0276】
このため各差込孔261A〜261Fは、いずれも第2の実施の形態における差込孔161Aと同形状であり、またY方向に隣接する差込孔261同士の間隔も、第2の実施の形態と同様に長さ2Yとなっている。
【0277】
ただしこの第3の実施の形態では、第2の実施の形態における差込孔161Aの孔部161A3(
図14(B))に相当する部分のX方向の長さが、長さX6では無く、孔部161A1と同等の長さX4となっている(
図19)。
【0278】
また調整板260は、第1の実施の形態における調整板60と同様、第2端辺260E2の近傍に数字の「1」及びこれを囲む円でなる刻印260L1が刻まれると共に、第1端辺260E1の近傍に数字の「2」及びこれを囲む円でなる刻印260L2が刻まれている。
【0279】
ここで調整板260は、
図15(A)及び(B)とそれぞれ対応する
図20(A)及び(B)に示すように、2通りの保持形態により保持部250に保持されるようになされている。
【0280】
このとき調整板260の差込孔列262は、いずれの保持形態においても差込可能範囲250A内に位置している。
【0281】
図20(A)は、調整板260の第1端辺260E1を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、第2端辺260E2を後方へ向けた保持形態となっている。以下、この保持形態をこの実施の形態における第1保持形態と呼ぶ。
【0282】
この第1保持形態において、保持基準点Qから各差込孔261A〜261Fの領域R5及びR6(
図14(C))までの距離は、それぞれ2Y、6Y、…、及び22Yとなる。
【0283】
またこの第1保持形態において、保持基準点Qから各差込孔261A〜261Eの領域R1(
図14(C))までの距離は、
図20(A)と対応する
図20(C)に示すように、それぞれ4Y、8Y、…、及び20Yとなる。
【0284】
図20(B)は、調整板260の第2端辺260E2を前方に向けて前側板22の保持基準点Qに当接させ、第1端辺260E1を後方へ向けた保持形態となっている。以下、この保持形態をこの実施の形態における第2保持形態と呼ぶ。
【0285】
この第2保持形態において、保持基準点Qから各差込孔261F〜261Bの領域R5及びR6(
図14(C))までの距離は、それぞれ3Y、7Y、…、及び19Yとなる。
【0286】
またこの第2保持形態において、保持基準点Qから各差込孔261E〜261Aの領域R1(
図14(C))までの距離は、
図20(B)と対応する
図20(D)に示すように、それぞれ5Y、7Y、…、及び21Yとなる。
【0287】
このように調整板260は、差込孔列262の差込孔261A〜261Fを、Y方向に沿って長さ4Yを周期とするよう位置させ、さらに第1端辺260E1から差込孔261Aの領域R5及びR6までの距離と第2端辺60E2から差込孔261Fの領域R5及びR6までの距離とを長さYだけ相違させた。
【0288】
これにより調整板260は、第1保持形態及び第2保持形態で保持部250に保持された際の保持基準点Qから各差込孔261A〜261Fにおける領域R5及びR6までの各距離を、互いに同等の長さ4Yを周期とし、且つ互いに長さYずつ相違させている。
【0289】
また調整板260は、第2の実施の形態と同様、第1保持形態及び第2保持形態のそれぞれにおいて、保持部250に保持された際の保持基準点Qから各差込孔261A〜261Fにおける領域R5及びR6までの各距離と、領域R1までの距離とを、互いに長さ2Yずつ相違させている。
【0290】
[3−1−3.差込部の構成]
差込部270は、
図18に示したように、基部271及び差込突起272を中心に構成されている。
【0291】
以下では、説明の都合上、
図18において前方向を向いている面を差込部270の第1面270S1と呼び、その反対面を第2面270S2と呼ぶ。
【0292】
基部271は、第1及の実施の形態における基部71と同様、前後方向に薄い直方体状に形成されると共に、前後方向に貫通する2個のねじ孔273が穿設されている。
【0293】
差込突起272は、3本の差込突起272A、272B及び272Cにより構成されている。差込突起272Bは、前後に薄く上下に細長い直方体状に形成されており、基部271の上面であって左右のほぼ中央における第1面270S1側の箇所から上方へ突出するように立設されている。
【0294】
差込突起272A及び272Cは、いずれも差込突起272Bと同様に前後に薄く上下に細長い直方体状に形成されており、基部271の上面であって差込突起272Bの左右両側であって第2面270S2側の箇所から、それぞれ上方へ突出するように立設されている。
【0295】
かかる構成の差込部270は、第1及び第2の実施の形態と同様、2本の取付ねじ74(
図19)によりフロントガイド26の取付部26Aに取り付けられる。
【0296】
ここで差込部270は、第1及び第2の実施の形態と異なり、フロントガイド26に対し2通りの取付方向で取り付け得るようになされている。
【0297】
すなわち差込部270は、
図21(A)に示すように、第1面270S1を前方へ向けた状態でフロントガイド26に取り付けられた場合、差込突起272A及び272Cを前方に位置させ、差込突起272Bをそれよりも後方に位置させる。
【0298】
このとき差込突起272A及び272Cは、
図22(A)に示すように、平面図上でその前面をフロントガイド26の前面と共に前面線F上に位置させる。以下、このように第1面270S1を前方に向けて差込部270をフロントガイド26に取り付けた状態を第1差込形態と呼ぶ。
【0299】
また差込部270は、
図21(B)に示すように、第2面270S2を前方へ向けた状態でフロントガイド26に取り付けられた場合、差込突起272Bを前方に位置させ、差込突起272A及び272Cをそれよりも後方に位置させる。
【0300】
このとき差込突起272Bは、
図22(B)に示すように、平面図上でその前面をフロントガイド26の前面と共に前面線F上に位置させる。以下、このように第2面270S2を前方に向けて差込部270をフロントガイド26に取り付けた状態を第2差込形態と呼ぶ。
【0301】
このように差込部270は、フロントガイド26に対する取り付け方向が前後に半回転されることにより、差込突起272A及び272Cの前面を前面線F上に位置させた第1差込形態と、差込突起272Bの前面を前面線F上に位置させた第2差込形態とを切り換え得るようになされている。
【0302】
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による位置調整部225は、フロントガイド26の上側及び下側の双方において、フロントガイド26に取り付けられた差込部270の差込突起272A〜272Cが、調整板260の差込孔列262における差込孔261A〜261Fに差し込まれる。
【0303】
保持部250は、保持アーム151及び152の保持爪151C及び152Cを左右方向へ広げる外力が一時的に加えられた状態で、溝部151D及び152Dの間に調整板160が差し込まれ、外力が解放される。
【0304】
これにより保持部250は、差込孔列262を差込可能範囲250A内に位置させるように当該調整板260を保持する。かくして位置調整部225は、差込部270が取り付けられたフロントガイド26の位置を固定することができる。
【0305】
ここで、位置調整部225において、まず差込部270が第1差込形態(
図21(A))であることにより、差込突起272A及び272Cが差込突起272Bよりも前方にある場合を想定する。
【0306】
この第1差込形態において、さらに保持部250及び調整板260が第1保持形態である場合(
図20(A))には、調整板260の第1端辺260E1が前方を向いて保持基準点Qと当接しており、第2端辺260E2が後方を向いている。
【0307】
図20(A)に示したように、例えば差込突起272A、272C及び272Bが差込孔261Aの領域R5、R6及びR1(
図14(C))に位置するとき、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が2Yとなる。
【0308】
また、差込突起272A〜272Cが差込孔列262のいずれかの差込孔261A〜261Fに差し込まれることにより、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、長さ2Y、6Y、10Y、14Y、18Y又は22Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0309】
次に、差込部270が第1差込形態であり、且つ保持部250及び調整板260が第2保持形態である場合(
図20(B))には、調整板260の第2端辺260E2が前方を向いて保持基準点Qと当接しており、第1端辺260E1が後方を向いている。
【0310】
図20(B)に示したように、例えば差込突起272A及び272Cが差込孔261Fの領域R6及びR5(
図14(C))に位置し、且つ差込突起272Bが差込孔261Eの領域R1に位置するとき、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が3Yとなる。
【0311】
また、差込突起272A〜272Cが差込孔列262のいずれかの差込孔261A〜261Fに差し込まれることにより、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、長さ3Y、7Y、11Y、15Y又は19Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0312】
今度は、位置調整部225において、差込部270が第2差込形態(
図21(B))であることにより、差込突起272Bが差込突起272A及び272Cよりも前方にある場合を想定する。
【0313】
この第2差込形態において、さらに保持部250及び調整板260が第1保持形態である場合(
図20(C))には、
図20(A)の場合と同様、調整板260の第1端辺260E1が前方を向いて保持基準点Qと当接しており、第2端辺260E2が後方を向いている。
【0314】
図20(C)に示したように、例えば差込突起272Bが差込孔261Aの領域R1(
図14(C))に位置し、且つ差込突起272C及び272Aが差込孔261Bの領域R5及びR6に位置するとき、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が4Yとなる。
【0315】
また、差込突起272A〜272Cが差込孔列262のいずれかの差込孔261A〜261Fに差し込まれることにより、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、長さ4Y、8Y、12Y、16Y又は20Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0316】
次に、差込部270が第2差込形態であり、且つ保持部250及び調整板260が第2保持形態である場合(
図20(D))には、
図20(B)の場合と同様、調整板260の第2端辺260E2が前方を向いて保持基準点Qと当接しており、第1端辺260E1が後方を向いている。
【0317】
図20(D)に示したように、例えば差込突起272B、272C及び272Aが差込孔261Eの領域R1、R5及びR6(
図14(C))に位置するとき、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、保持基準点Qからの距離が5Yとなる。
【0318】
また、差込突起272A〜272Cが差込孔列262のいずれかの差込孔261A〜261Eに差し込まれることにより、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fは、長さ5Y、9Y、13Y、17Y又は21Yといった長さ4Yを周期とする離散した箇所に位置することができる。
【0319】
ここで、保持基準点Qからフロントガイド26及び差込部270の前面線Fまでの距離、すなわち保持基準点Qを基準とした位置を各保持形態及び各差込形態の組み合わせの間で比較すると、例えば長さ3Y及び4Yのように、両者の間の最小距離が長さYとなっており、Y方向に関する差込孔261の周期である長さ4Yよりも短くなっている。
【0320】
従って位置調整部225は、保持部150に対する調整板160の方向を互いに相違させた第1保持形態及び第2保持形態と、フロントガイド26に対する差込部270の取り付け方向を互いに相違させた第1差込形態及び第2差込形態とを組み合わせることにより、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fを、2Y、3Y、4Y、…、21Y及び22Yといった間隔Yごとの離散した箇所に位置させることができる。
【0321】
他の観点から見れば、位置調整部225では、第1の実施の形態と同様、調整板260の差込孔列262に穿設された各差込孔261が、加工方法等の制約によりY方向に長さ4Yを周期として配置されている。
【0322】
このため位置調整部225では、単純に調整板260の差込孔列262に対する差込突起272A〜172Cの差込位置を調整するだけでは、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fの位置を長さ4Yの間隔ごとにしか調整できない。
【0323】
そこで調整板260(
図19)では、差込孔261の形状及び隣接する差込孔261同士の間隔を第2の実施の形態と同様とし、さらに第1端辺260E1から差込孔261Aまでの距離と第2端辺260E2から差込孔161Fまでの距離とを互いに相違させた。
【0324】
このため位置調整部225は、第1保持形態・第1差込形態の場合(
図20(A))及び第2保持形態・第1差込形態の場合(
図20(B))として示したように、調整板260がXY平面上で半回転されることにより、保持基準点Qからの各差込孔161まで距離を互いに長さYずつ相違させることができる。このような関係は、第1保持形態・第2差込形態の場合(
図20(C))と第2保持形態・第2差込形態の場合(
図20(D))と間にも成立する。
【0325】
また調整板260では、第2の実施の形態における第1差込孔列162Aの差込孔161と同様の形状及び配置間隔となるよう、差込孔列262の各差込孔261を形成した。
【0326】
このため調整板260では、第2の実施の形態と同様、ある差込孔261の領域R1(
図14(C))から見て、同一の差込孔261における領域R5及びR6までのY方向の距離と、隣接する差込孔261における領域R5及びR6までのY方向の距離とが、いずれも長さYとなる(
図19)。
【0327】
一方、差込部270は、フロントガイド26に対する取り付け方向が反転されることにより、差込突起272A及び272Cを前面線Fに揃えた第1差込形態と、差込突起272Bを前面線Fに揃えた第2差込形態とを切り換え得るようにした(
図21、
図22)。
【0328】
これにより位置調整部225では、第1保持形態・第1差込形態の場合(
図20(A))及び第1保持形態・第2差込形態の場合(
図20(C))として示したように、第1差込形態と第2差込形態とを切り換えることにより、保持基準点Qからフロントガイド26及び差込部270の前面線Fの距離を互いに長さ2Yずつ相違させることができる。このような関係は、第2保持形態・第1差込形態の場合(
図20(B))と第2保持形態・第2差込形態の場合(
図20(D))と間にも成立する。
【0329】
かくして位置調整部225では、2通りの保持形態と2通りの差込形態とをそれぞれ適宜切り換えることにより、フロントガイド26及び差込部270の前面線Fの位置を、差込孔列262における差込孔261の周期である長さ4Yよりも大幅に短い長さYごとに調整することができる。
【0330】
その他の点においても、第3の実施の形態による位置調整部225は、第1の実施の形態による位置調整部25と同様の作用効果を奏し得る。
【0331】
以上の構成によれば、第3の実施の形態による位置調整部225は、調整板260における差込孔列262の各差込孔261をY方向に沿って長さ4Yを周期とするよう配置し、第1端辺260E1及び第2端辺260E2から各差込孔261までの距離を、互いに長さYずつ相違させた。また保持部250は、調整板260の方向を相違させた2通りの保持形態で保持するようにした。さらに差込部270は、フロントガイド26に対する取付方向を前後に反転させた2通りの差込形態に切り換え得るようにした。そして位置調整部225は、第1保持形態及び第2保持形態と第1差込形態及び第2差込形態とを適宜切り換えることにより、フロントガイド26に取り付けられた差込部270の差込突起272A〜272Cをいずれかの差込孔161にそれぞれ差し込んだ際の前面線Fの位置を、長さY単位で調整することができる。
【0332】
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、差込孔61のXY平面上における形状を長方形とする場合について述べた。
【0333】
しかしながら本発明はこれに限らず、差込孔61のXY平面上における形状を正方形や多角形、或いは円形等、或いは第2及び第3の実施の形態のようにクランク状等、種々の形状としても良い。
【0334】
また上述した第1の実施の形態においては、差込突起72の上面における形状を、差込孔61のXY平面上における形状とほぼ同等とするようにした場合について述べた。
【0335】
しかしながら本発明はこれに限らず、第3の実施の形態のように、差込突起272A〜272Cの上面における形状を、差込孔261のXY平面上における形状と相違させても良い。この場合、要は差込突起272A〜272Cを差込孔261に差し込んだ際に、調整板260に対し差込部270の位置を固定することができれば良い。
【0336】
さらに上述した第1の実施の形態においては、調整板60に差込孔列62を1列のみ設け、保持部50に対し当該調整板60の取付方向を半回転させて2通りの保持形態とする際に、当該差込孔列62を両保持形態で共用するようにした場合について述べた。
【0337】
しかしながら本発明はこれに限らず、保持部50に対し当該調整板60の取付方向を他の種々の角度単位で回転させ複数通りの保持形態とする際に一部の差込孔を共用するようにしても良く、或いは保持形態ごとに異なる差込孔列を利用するようにしても良くい。
【0338】
例えば
図23に示すように、調整板360を正方形板状に構成し、Y方向に沿った差込孔列362AとX方向に沿った差込孔列362Bの双方を設け、両者が交差する位置にある差込孔361を共用するようにしても良い。
【0339】
この調整板360は、各差込列の各端辺からの間隔を長さY、2Y、3Y及び4Yのように互いに相違させておくことにより、保持部50(
図6)等に対し差し込む方向を90度ずつ相違させることにより、4通りの保持形態に切り換えながら、保持基準点Qからの差込可能範囲50A内にある各差込孔までの距離を長さY単位で調整することができる。
【0340】
また例えば
図24(A)に示すように、保持部50と対応する保持部450において、保持アーム51及び52の中間よりも右寄りの箇所に差込可能範囲450Aを設定しておく。また
図7と対応する
図24(B)に示すように、調整板60と対応する調整板460において、2列の差込孔列462A及び462Bを穿設し、端辺460E1及び460E2からの各差込孔461までの間隔を長さY、2Y、3Y及び4Yの4通りに相違させておく。
【0341】
保持部450は、調整板460を保持する際の方向及び面を反転させることにより、差込可能範囲450A内に差込孔列462A又は462Bのいずれか一方のみを位置させ、保持基準点Qからの差込可能範囲450A内にある各差込孔461までの距離を長さY単位で調整することができる。
【0342】
さらにこの場合、調整板460に代わる調整板560のように、4つの端辺それぞれに沿うように4列の差込孔列562A、562B、562C及び562Dを設け、各端辺から各差込孔までの距離を8通りに相違させることにより、8通りの保持形態を切り換えながら、保持基準点Qからの差込可能範囲450A(
図24(A))内にある各差込孔までの距離を長さ0.5Y単位で調整することができる。
【0343】
すなわち本発明では、保持部に対する調整板の方向及び面を相違させてn通り(nは2以上の整数)の保持形態を取り得るようにし、各差込孔列が差込可能範囲内にあるときの各差込孔の位置を保持形態ごとに差込孔の周期の1/nずつ相違させることで、この周期の1/nの長さごとにで、差込部の位置を細かく調整することが可能となる。
【0344】
さらに上述した第1の実施の形態においては、調整板60を扁平な直方体状、すなわち長方形板状とし、当該調整板60を厚さ方向に貫通するように各差込孔61を穿設するようにした場合について述べた。
【0345】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば調整板60を立方体状等の各種多面体状に構成し、保持部50を当該多面体を保持し得るよう構成するようにしても良い。この場合、調整板60に穿設する差込孔61は、当該調整板60を貫通せずに差込部70の差込突起72を十分に差し込み得る程度の深さの孔としても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0346】
さらに上述した第1の実施の形態においては、調整板60における第1端辺60E1から差込孔61Aまでの間隔と第2端辺60E2から差込孔61Eまでの間隔とを相違させることにより、保持部50が当該調整板60を保持した際の保持基準点Qから各差込孔61までの間隔を保持形態ごとに相違させるようにした場合について述べた。
【0347】
しかしながら本発明はこれに限らず、保持形態ごとの保持基準点Qから各差込孔61までの間隔を、種々の手法により相違させるようにしても良い。
【0348】
例えば
図26(A)に示すように、保持部50(
図6)と対応する保持部650は、保持アーム51及び52と対応する保持アーム651及び652を有している。保持アーム651及び652に形成された溝部651D及び652Dは、前端近傍において、前側板22上の保持基準点Qから後方に長さ2Yの部分でなる位置決め部651E及び652Eにより埋められている。
【0349】
一方、調整板60と対応する調整板660は、
図7と対応する
図26(B)に示すように、第1端辺660E1から差込孔661Aまでの間隔と第2端辺660E2から差込孔661Eまでの間隔がいずれも長さ2Yで統一されているものの、第1端辺660E1の両端部分のみ、Y方向へ長さ2Yに渡り切り欠かれた切欠部665A及び665Bがそれぞれ形成されている。
【0350】
かかる構成により保持部650は、
図27(A)に第1保持形態として示すように、調整板660の第1端辺660E1側を前方へ向けるように保持する際、位置決め部651E及び652Eを切欠部665A及び665Bによりそれぞれ回避させる。このため調整板660は、第1端辺660E1を前側板22に当接させ、保持基準点Qから差込孔661Aまでの間隔を長さ2Yとする。
【0351】
一方保持部650は、
図27(B)に第2保持形態として示すように、調整板660の第2端辺660E2側を前方へ向けるように保持する際、位置決め部651E及び652Eを第2端辺660E2における両端部分とそれぞれ当接させる。このため調整板660は、第2端辺660E2を前側板22から長さ2Yだけ浮き上がった(離れた)状態となり、保持基準点Qから差込孔661Eまでの間隔を長さ4Yとする。
【0352】
このように保持部650及び調整板660は、保持形態ごとに保持基準点Qから調整板660までの距離を相違させることによっても、保持基準点Qから差込孔までの間隔を相違させることができる。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0353】
さらに上述した第2の実施の形態においては、差込部170に4本の差込突起172A〜172Dを設け、いずれも調整板160の各差込孔161に差し込むようにした場合について述べた。
【0354】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば差込突起172Aを省略することにより3本の差込突起172B〜172Dのみとし、これらを調整板160の各差込孔161に差し込むようにしても良い。この場合、各保持形態において、実質的に第1差込可能範囲150A内にある各差込孔は用いられず、第2差込可能範囲150B内にある各差込孔のみ用いられることになる。
【0355】
さらに上述した第2の実施の形態においては、調整板160に第1差込孔列162A及び第2差込孔列162Bといった2列の差込孔列を設けるようにした場合について述べた。
【0356】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば調整板160に3列以上の差込孔列を設けるようにしても良い。
【0357】
さらに上述した第3の実施の形態においては、差込部270に3本の差込突起272A〜272Cを設け、これらを調整板260の各差込孔261に差し込むようにした場合について述べた。
【0358】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図18の一部と対応する
図28(A)に示すように、差込部270に代わる差込部770において、基部771の上面に1本の差込突起772のみを設けるようにしても良い。
【0359】
この差込突起772は、第2の実施の形態における差込突起172Aとほぼ同様に構成されており、また
図28(A)における前側面である第1面770S1と前面を揃えるように、基部771の上面における偏った位置に立設されている。
【0360】
また差込部770は、差込部270(
図21(A)及び(B))と同様、フロントガイド26に対し2通りの取付方向で取り付けられるようになされている。すなわち差込部770は、
図22(A)と対応する
図28(B)に平面図を示すように、第1差込形態においては、差込突起772の前面を前面線Fと重ねている。また差込部770は、
図22(B)と対応する
図28(C)に平面図を示すように、第2差込形態においては、差込突起772の前面を前面線Fから長さ2Yだけ引き離している。
【0361】
かかる構成により差込部770は、
図20(A)〜(D)とそれぞれ対応する
図29(A)〜(D)に示すように、第3の実施の形態と同様に、第1保持形態及び第2保持形態と第1差込形態及び第2保持形態とをそれぞれ適宜切り換えることにより、第3の実施の形態と同様に、保持基準点Qからの前面線Fを、2Y、3Y、…、21Y及び22Yといった長さYごとの離散した箇所に位置させることができる。
【0362】
さらに上述した第3の実施の形態においては、フロントガイド26に差込部270を取り付ける際の取付方向を180度相違させる(すなわち前後方向に反転させる)ことにより、2通りの差込形態に切り換えるようにした場合について述べた。
【0363】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばフロントガイド26に差込部270を取り付ける際の取付方向を90度ずつ4方向に相違させることにより、4通りの差込形態に切り換える等、取付可能な方向の数に応じた種々の数の差込形態に切り換えるようにしても良い。この場合、差込形態ごとに、差込突起272A等を差込孔261に差し込んだときの前面線Fの位置を、差込孔列262における差込孔261の周期(例えば長さ4Y)よりも短い距離だけ相違させ得ることが好ましい。
【0364】
さらに上述した第1の実施の形態においては、差込部70に設けた差込突起72を上下に細長い直方体状とし、調整板60の差込孔61を上下方向に穿設された角孔として、差込突起72を差込孔列62のいずれかの差込孔61に差し込むようにした場合について述べた。
【0365】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば差込部70に代えて上面にねじ孔が穿設されたねじ孔部をフロントガイド26に取り付け、調整板60に各差込孔61に代わる所定径の丸孔でなる挿通孔を複数穿設し、差込突起72に代わる取付ねじを調整板60のいずれかの挿通孔を通してねじ孔部に螺合させることにより、調整板60に対するねじ孔部の前後方向の位置を調整して固定するようにしても良い。
【0366】
また、例えば
図30(A)及び(B)に示すように、調整板60に代わる調整板860において、各差込孔61に代えて下面860S1に小さな半球状の突起でなる嵌合突起861を複数突設させても良い。この場合、
図31(A)及び(B)に示すように、差込部70に代わる被調整体870において、基部871の上面に上下に短い直方体状の突出部872を設け、当該突出部872の上面に嵌合突起861と嵌り合う形状の嵌合窪み872Dを形成する。この構成では、フロントガイド26の上下それぞれの位置調整部においていずれかの嵌合突起861に嵌合窪み872Dを嵌合させることにより、調整板860を保持する保持部50に対し、被調整体870の前後方向の位置を調整して固定することができる。
【0367】
このように本発明では、調整板60に複数配置された種々の形状でなる嵌合部のいずれかと、フロントガイド26に取り付けられる差込部70や被調整体870に形成された種々の形状でなる被嵌合部とを互いに嵌合させることにより、調整板60を保持する保持部50に対し、フロントガイド26の位置を前後方向に調整した上で容易に移動しないよう固定することができれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0368】
さらに上述した第1の実施の形態においてはワッシャ54及び固定ねじ55を用い、第2の実施の形態においては保持爪151C及び152Cを用いることにより、保持部50等により調整板60等を取り外し可能に保持するようにした場合について述べた。
【0369】
しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々の手法により保持部50等により調整板60等を取り外し可能に保持するようにしても良い。
【0370】
さらに上述した第1の実施の形態においては、1本のフロントガイド26における上端及び下端に合わせて2個の位置調整部25を設けるようにした場合について述べた。
【0371】
しかしながら本発明はこれに限らず、1本のフロントガイド26に対し1個又は3個以上の位置調整部25を設けるようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0372】
さらに上述した第1の実施の形態においては、現金自動預払機1に搭載される紙幣カセット17内において、フロントガイド26の前後方向の位置を調整するようにした場合について述べた。
【0373】
しかしながら本発明はこれに限らず、種々の装置における種々の部品の位置を調整するようにしても良い。特に本発明は、調整板60のように差込孔61の最小間隔、すなわち最小周期が制限されている場合に、当該最小周期よりも短い間隔で位置を調整する箇所に好適である。
【0374】
さらに上述した第1の実施の形態においては、調整体としての調整板60と、保持部としての保持部50と、被調整体としての差込部70とによって位置調整装置としての位置調整部25を構成する場合について述べた。
【0375】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる調整体と、保持部と、被調整体とによって位置調整装置を構成するようにしても良い。
【0376】
さらに上述した第1の実施の形態においては、固定側部としてのリバースガイド24と、調整体としての調整板60と、保持部としての保持部50と、被調整体としての差込部70と、可動側部としてのフロントガイド26とによって紙葉類処理装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
【0377】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる固定側部と、調整体と、保持部と、被調整体と、可動側部とによって紙葉類処理装置を構成するようにしても良い。