特許第5983342号(P5983342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983342
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】転倒抑制具
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20160818BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20160818BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20160818BHJP
   F16M 7/00 20060101ALI20160818BHJP
   F16B 12/02 20060101ALN20160818BHJP
【FI】
   A47B97/00 E
   G03G15/00 550
   F16B9/02 C
   F16M7/00 B
   !F16B12/02 E
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-253907(P2012-253907)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-100267(P2014-100267A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】風間 裕篤
(72)【発明者】
【氏名】久野 力
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−053894(JP,A)
【文献】 米国特許第06024330(US,A)
【文献】 特開2011−179675(JP,A)
【文献】 実開昭58−070158(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 97/00
F16B 9/02
F16M 7/00
G03G 15/00
F16B 12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置具に支持された支持部と、
第1の螺子部を有し、前記支持部に支持される被支持部材と、
を備え、
前記第1の螺子部に噛み合う第2の螺子部を有する脚部材に対して、前記第2の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれた場合に、設置具が設置される設置面に接触して前記設置具の転倒を防止する前記脚部材が、前記被支持部材に装着され、
前記設置面に配置され且つ前記第1の螺子部に噛み合う第3の螺子部に対して、前記第3の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれた場合に、前記設置具が前記設置面に固定される、
ことを特徴とする転倒抑制具。
【請求項2】
前記支持部に設けられ且つ前記第1の螺子部と噛み合う第4の螺子部と、
前記支持部に設けられた接触部と、
前記被支持部材に設けられ、且つ、前記第1の螺子部に対して前記支持部側の位置に配置され、前記第4の螺子部に対向した場合に、前記第4の螺子部に対して隙間をあけて対向する対向部と、
前記被支持部材に設けられ、且つ、前記接触部に接触可能な被接触部と、
を備え、
前記脚部材が前記被支持部材に装着された場合に、前記第4の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれ、且つ、前記第4の螺子部に対して前記第1の螺子部をネジ込む量を調整することで前記設置面に対する前記支持部の高さを調整可能であり、
前記第3の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれた場合に、前記第4の螺子部から前記第1の螺子部が外れ且つ前記第4の螺子部に前記対向部が隙間をあけて対向し、且つ、前記第3の螺子部に対して前記第1の螺子部をネジ込む量を調整することで、前記被接触部を前記接触部に接触させることが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の転倒抑制具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒抑制具に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置や家具等の家屋内に設置される設置具に対して、地震等で床面や机の上面等の設置面が振動した場合に設置具が転倒することを防止するための技術に関して、以下の特許文献1,2記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2011−10691号公報には、台座(1)と垂直軸(2)とを有する支持脚(B)を固定する固定具(A)が記載されている。特許文献1に記載の固定具(A)は、粘着マット(30)を介して床面に支持され且つ台座部(1)を囲むU字形状に形成された底板(10)を有する。底板(10)の上面には、垂直軸(2)が貫通するU溝状の垂直軸挿入部(22)が支持されている。
【0004】
特許文献2としての実用新案登録第3142003号公報には、設置機器(2)の底部に支持された双輪キャスター(3)を制振装置(4)で固定する技術が記載されている。制振装置(4)は、双輪キャスター(3)の旋回軸(3c)を挟む狭持板(5,6)を有する。狭持板(5,6)は、延出板(7)にネジ(13,15)を介して支持され、延出板(7)は接着性クッション(14)を介して支持されている。また、特許文献2記載の構成では、双輪キャスター(3)は、設置機器(2)の底部に複数配置されており、制振装置(4)は、設置機器(2)の外側から互いに向かい合って、挟み込むように装着され、外側に延出板(7)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−10691号公報(「0021」〜「0027」、図1図5
【特許文献2】実用新案登録第3142003号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、地震対策と転倒防止に対応可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の転倒抑制具は、
設置具に支持された支持部と、
第1の螺子部を有し、前記支持部に支持される被支持部材と、
を備え、
前記第1の螺子部に噛み合う第2の螺子部を有する脚部材に対して、前記第2の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれた場合に、設置具が設置される設置面に接触して前記設置具の転倒を防止する前記脚部材が、前記被支持部材に装着され、
前記設置面に配置され且つ前記第1の螺子部に噛み合う第3の螺子部に対して、前記第3の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれた場合に、前記設置具が前記設置面に固定される、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の転倒抑制具において、
前記支持部に設けられ且つ前記第1の螺子部と噛み合う第4の螺子部と、
前記支持部に設けられた接触部と、
前記被支持部材に設けられ、且つ、前記第1の螺子部に対して前記支持部側の位置に配置され、前記第4の螺子部に対向した場合に、前記第4の螺子部に対して隙間をあけて対向する対向部と、
前記被支持部材に設けられ、且つ、前記接触部に接触可能な被接触部と、
を備え、
前記脚部材が前記被支持部材に装着された場合に、前記第4の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれ、且つ、前記第4の螺子部に対して前記第1の螺子部をネジ込む量を調整することで前記設置面に対する前記支持部の高さを調整可能であり、
前記第3の螺子部に前記第1の螺子部がネジ込まれた場合に、前記第4の螺子部から前記第1の螺子部が外れ且つ前記第4の螺子部に前記対向部が隙間をあけて対向し、且つ、前記第3の螺子部に対して前記第1の螺子部をネジ込む量を調整することで、前記被接触部を前記接触部に接触させることが可能である
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、地震対策と転倒防止に対応することができる。
請求項2に記載の発明によれば、第1の螺子部をネジ込む量を調節して、設置面に対する支持部の高さを調整できると共に、被接触部を接触部に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2図2図1のトナー像の形成装置部分の要部拡大図である。
図3図3は実施例1の画像形成装置に転倒抑制具が、転倒を抑制する状態で装着された状態の説明図である。
図4図4は実施例1の画像形成装置に転倒抑制具が、地震対策の状態で装着された状態の説明図である。
図5図5図3の転倒抑制具の要部拡大図であり、図5A図3に示す状態の要部拡大図、図5B図4に示す状態の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例であって、設置具の一例としてのプリンタUは、装置本体の一例としてのプリンタ本体U1を有する。プリンタ本体U1の上面には、第1の媒体の排出部の一例としての第1の排出トレイTRhが設けられている。プリンタ本体U1の右部の上面には、操作部UIが設けられている。操作部UIは、図示しない表示部等を有する。操作部UIは、利用者が入力操作が可能に構成されている。
実施例1のプリンタUには、画像情報の送信装置の一例としてパーソナルコンピュータPCが電気的に接続されている。
【0013】
プリンタUは、制御部の一例としてのコントローラCを有する。コントローラCは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報や制御信号等の電気信号を受信可能である。また、コントローラCは、操作部UIや電気回路Eに制御信号を出力可能に構成されている。さらに、コントローラCは、書込回路DLに電気的に接続されている。
書込回路DLは、入力された情報に応じて駆動信号を書込装置の一例としての露光機ROSに出力する。露光機ROSは、入力された信号に応じて、書込光の一例としてのレーザ光Lを出力可能に構成されている。
【0014】
図2図1のトナー像の形成装置部分の要部拡大図である。
図1図2において、前記露光機ROSの左方には、像保持体の一例としての感光体PRが配置されている。実施例1の感光体PRは、回転軸PRaを中心に矢印方向に回転可能に支持されている。感光体PRには、書込領域Q1において、レーザー光Lが照射される。
感光体PRの周囲には、感光体PRの回転方向に沿って、帯電部材の一例としての帯電ロールCRと、現像装置Gと、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLとが配置されている。
なお、実施例1のプリンタUでは、感光体PRや帯電ロールCR、現像装置G、感光体クリーナCLが一体的に着脱可能なユニット化されている。すなわち、感光体PRや帯電ロールCR、現像装置G、感光体クリーナCLは、プロセスユニットU2としてプリンタ本体U1に着脱可能に構成されている。
【0015】
前記帯電ロールCRには、電気回路Eから帯電電圧が印加される。
現像装置Gは、内部に現像剤の一例としてのトナーを収容する現像容器Vを有する。現像容器Vの内部には、現像剤の保持体の一例としての現像ロールGaが回転可能に支持されている。現像ロールGaは、現像領域Q2で感光体PRと対向して配置される。
また、現像ロールGaには、電源回路Eから現像電圧が印加される。また、現像容器Vの内部には、現像剤の搬送部材の一例としてのオーガGb,Gcが回転可能に支持されている。
【0016】
前記現像容器Vには、プリンタUに固定支持された現像剤の補給装置の一例としてのトナーの補給装置TH1の補給路の一端が接続されている。トナー補給装置TH1の補給路の他端は、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジTCの排出口TC3に接続されている。
図3において、トナーカートリッジTCは、内部にトナーを収容する容器本体の一例としてのカートリッジ本体TC1を有する。カートリッジ本体TC1の内部には、現像剤の搬送部材の一例としてのトナー搬送部材TC2が回転可能に支持されている。前記トナーカートリッジTCは、プリンタUに対して前後方向に挿抜することにより着脱可能に構成されている。
前記感光体PR、帯電ロールCR、露光機ROS、現像装置G等により、感光体PR上にトナー像を形成するトナー像の形成装置が構成されている。
【0017】
図1において、プリンタUの下部には、媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4が複数設けられている。複数の給紙トレイTR1〜TR4は、体の一例として記録用シートSを収容している。
図1において、各トレイTR1〜TR4の左右の両側には、容器の案内部材の一例としてのレールRL1が配置されている。レールRL1は、給紙トレイTR1〜TR4の左右両端部を移動可能に支持する。したがって、左右一対のレールRL1により各給紙トレイTR1〜TR4は前後方向に出入可能に支持されている。
【0018】
図1において、前記各給紙トレイTR1〜TR4の左上部には、給紙装置Kが配置されている。前記給紙装置Kは、媒体の取出部材の一例としてのピックアップロールRpを有する。ピックアップロールRpの左方には、捌き部材の一例としての捌きロールRsが配置されている。捌きロールRsは、媒体の搬送部材の一例としてのフィードロールと媒体の分離部材の一例としてのリタードロールからなる。
給紙装置Kの左方には、媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1が配置されている。搬送路SH1は、上方に向けて延びている。給紙路SH1には、媒体の搬送部材の一例としての搬送ロールRaが複数配置されている。給紙路SH1の下流端である上端には、媒体の搬送時期の調整部材の一例としてのレジロールRrが配置されている。
【0019】
また、プリンタUの左側部には、手差し部の一例としての手差しトレイTR0が装着されている。手差しトレイTR0の右部には、手差し用の搬送路の一例としての手差し路SH2の左端が接続されている。手差し路SH2の右端は、給紙路SH1に接続されている。
図1において、レジロールRrの上方には、転写装置の一例としての転写ロールRtが配置されている。転写ロールRtは、転写領域Q3において、感光体PRと対向、接触する。したがって、実施例1の転写ロールRtは、感光体PRの回転に従動して回転する。転写ロールRtには、電源回路Eから転写電圧が印加される。
【0020】
感光体PRの回転方向に対して、転写ロールRtの下流側には、前記感光体クリーナCLが配置されている。感光体クリーナCLは、清掃部材の一例としてのクリーニングブレードCL1を有する。クリーニングブレードCL1は、板状に形成されている。クリーニングブレードCL1は、一端部が感光体PRに接触している。
クリーニングブレードCL1の上方には、清掃容器の一例としてのクリーナ容器CL2が配置されている。クリーニングブレードCL1は、クリーナ容器CL2に支持されている。クリーナ容器CL2の内部には、現像剤が収容可能な空間が形成されている。クリーナ容器CL2の内部には、現像剤の搬送部材の一例としての回収オーガCL3が回転可能に支持されている。また、クリーナ容器CL2の前端部には、現像剤の搬送路の一例としての回収路CL4が支持されている。回収路CL4は、感光体クリーナCLから現像装置Gまで延びている。
【0021】
図1において、転写ロールRtの上方には、定着装置Fが支持されている。定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhと加圧ロールFpとは、定着領域Q4において接触する。加熱ロールFhには、図示しない駆動源から駆動が伝達されて回転する。また、加熱ロールFhには、電気回路Eから、図示しないヒータを加熱するための電力が供給される。
前記トナー像の形成装置U2と、転写ロールRt、定着装置Fにより、シートSに画像を記録する画像記録部U2+Rt+Fが構成されている。
【0022】
定着装置Fの上部には、媒体の案内部の一例としてのシートガイドF1が形成されている。シートガイドF1の右方には、媒体の排出部材の一例としての排紙ロールR1が配置されている。排紙ロールR1の右方には、媒体の排出口Haが形成されている。媒体の排出口の下方には、第1の排出トレイTRhが配置されている。
図1において、定着装置Fの上方且つ排紙ロールR1の左方には、媒体の搬送路の一例としての接続路SH3が配置されている。接続路SH3は、排出口Haから左方に延びている。
【0023】
プリンタUの本体U1の左側面には、手差しトレイTR0の上方に、媒体の反転装置の一例としての反転ユニットU3が支持されている。反転ユニットU3の内部には、媒体の搬送路の一例としての反転路SH4が形成されている。反転路SH4の上端は、接続路SH3の左端に接続されている。反転路SH4の下端は、レジロールRrの上流側において、給紙路SH1に合流している。
また、前記反転ユニットU3の上部には、媒体の搬送路の一例としての第2の排出路SH6が形成されている。第2の排出路SH6は、右端が接続路SH3に接続されており、反転路SH4から分岐している。第2の排出路SH6の左端は、反転ユニットU3の左側面まで延びている。反転ユニットU3の左側面には、第2の排出部の一例としてのフェイスアップトレイTRh1が支持されている。したがって、第2の排出路SH6を通過したシートSは、フェイスアップトレイTRh1に排出可能に構成されている。
【0024】
(画像形成装置の機能)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報は、コントローラCに入力される。コントローラCは、入力された画像情報を予め設定された時期に潜像形成用の情報に変換して、書込回路DLに出力する。露光機ROSは、書込回路DLが受信した信号に基づいたレーザ光Lを出力する。なお、コントローラCは、操作部UI、書込回路DL、電源回路E等の動作を制御する。
図1図2において、感光体PRの表面は、帯電電圧が印加される帯電ロールCRにより帯電される。帯電ロールCRで帯電された感光体PRの表面には、書込位置Q1において露光機ROSのレーザ光Lにより露光、走査されて静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体PR表面は、現像領域Q2、転写領域Q3を順次通過する。
【0025】
現像領域Q2において、感光体PRに現像ロールGaが対向している。現像ロールGaは、現像容器Vの内部の現像剤を表面に保持して回転する。したがって、現像ロールGaの表面に保持されたトナー像により、感光体PRの表面の静電潜像は、可視像の一例としてのトナー像に現像される。現像容器Vの内部の現像剤は、オーガGb,Gcにより撹拌されながら循環される。
現像ロールGaによる現像に伴って、現像容器Vの内部の現像剤が消費されると、トナーカートリッジTCから現像剤が補給される。すなわち、現像剤の消費量に応じて、トナー搬送部材TC2が回転駆動してカートリッジ本体TC1内のトナーを、排出口TC3に搬送する。排出口TC3から排出されたトナーは、カートリッジトナー補給装置TH1の補給経路内の図示しない補給用搬送部材により現像容器Vに搬送される。
【0026】
トレイTR1〜TR4には、画像が記録されるシートSが収容されている。トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、給紙装置KのピックアップロールRpにより取出される。ピックアップロールRpで取り出されたシートSは、さばきロールRsにより1枚ずつ分離される。さばきロールRsで分離されたシートSは、給紙路SH1に給紙される。給紙路SH1のシートSは、搬送ロールRaにより、レジロールRrに向けて搬送される。
なお、前記手差トレイTR0から給紙されたシートSは、手差搬送路SH2を通じて、レジロールRrに搬送される。レジロールRrに搬送されたシートSは、感光体PR表面のトナー像が転写領域Q3に移動する時期に合わせて、レジロールRrにより転写領域Q3に搬送される。
【0027】
転写領域Q3において、転写電圧が印加された転写ロールRtにより、転写領域Q3を通過するシートSに、感光体PRの表面のトナー像が転写される。
図2において、転写領域Q3を通過後の感光体PRは、クリーニングブレードCL1により、表面に付着したトナーが除去されて清掃される。クリーニングブレードCL1で除去されたトナーは、クリーナ容器CL2に回収される。クリーナ容器CL2に回収されたトナーは、回収オーガCL3で搬送される。回収オーガCL3で搬送されたトナーは、回収路CL4を通じて、現像容器Vの内部に戻される。すなわち、感光体クリーナCLで回収された現像剤は、現像装置Gで再使用される。
感光体クリーナCLにより表面が清掃された感光体PRは、帯電ロールCRにより再び帯電される。
【0028】
転写領域Q3においてトナー像が転写されたシートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fの定着領域Q4に搬送される。
定着領域Q4では、シートSは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとに挟まれて、トナー像が加熱定着される。
定着装置Fでトナー像が定着されたシートSは、シートガイドF1に案内されて、排紙ロールR1に搬送される。シートSが第1の排出トレイTRhに排出される場合には、
排紙ロールR1に送られたシートSは、排出口Haから第1の排出トレイTRhに排出される。
【0029】
両面印刷時には、一面目に画像が記録されたシートSは、搬送方向の後端がシートガイドF1を通過した状態で、排紙ロールR1が逆回転する。したがって、シートSは、接続路SH3を通じて、反転路SH4に搬送される。反転路SH4を搬送されたシートSは、表裏が反転した状態で、前記レジロールRrに搬送される。したがって、レジロールRrから転写領域Q3に再送されて、二面目の画像が記録される。
シートSが、フェイスアップトレイTRh1に排出される場合、排紙ロールR1の逆回転で接続路SH3を搬送されるシートSが、第2の排出路SH6に搬入される。そして、第2の排出路SH6を搬送されたシートSは、フェイスアップトレイTRh1に排出される。
【0030】
(転倒抑制具の説明)
図3は実施例1の画像形成装置に転倒抑制具が、転倒を抑制する状態で装着された状態の説明図である。
図4は実施例1の画像形成装置に転倒抑制具が、地震対策の状態で装着された状態の説明図である。
図5図3の転倒抑制具の要部拡大図であり、図5A図3に示す状態の要部拡大図、図5B図4に示す状態の要部拡大図である。
【0031】
図1図3図4において、実施例1のプリンタ本体U1の底部には、車輪部材の一例としてのキャスター1が支持されている。
図3図5において、実施例1のプリンタ本体U1の底部には、支持部の一例としてのブラケット2が2つ固定支持されている。実施例1のブラケット2は、プリンタの本体U1の底面から左右両側に張り出す板状に形成されている。ブラケット2には、円形の開口2aが形成されている。ブラケット2の上面には、接触部の一例としてのストッパ面2bが形成されている。
ブラケット2の底面には、第4の螺子部の一例としてのナット3が支持されている。ナット3の中央のネジ孔3aは、ブラケット2の開口2aよりも小径に形成されている。また、ナット3のネジ孔3aの内周面には、ネジ溝が形成されている。
【0032】
前記ブラケット2およびナット3には、被支持部材の一例としてのシャフト6が支持されている。実施例1のシャフト6は、円柱状に形成されている。シャフト6の上部から下端には、第1の螺子部の一例としてのボルト部7が形成されている。ボルト部7の外表面には、ネジ孔3aと噛み合うネジ山が形成されている。したがって、ボルト部7の外径は、ネジ孔3aの内径に対応し、且つ、開口2aの内径よりは細く形成されている。
ボルト部7の上端には、対向部の一例としての小径部8が形成されている。小径部8は、上方に延びる柱状に形成されている。実施例1の小径部8の外径は、ネジ孔3aよりも小径に形成されている。したがって、図5Bに示すように、小径部8がネジ孔3aに対応する状態では、小径部8とネジ孔3aとの間には隙間が形成される。
【0033】
小径部8の上端には、被接触部の一例としてのフランジ部9が形成されている。フランジ部9は、円板状に形成されている。実施例1のフランジ部9の外径は、開口2aよりも大径に設定されている。
前記シャフト6の下部には、脚部材の一例としてのフット11を着脱可能である。フット11は、上部の外表面が円錐状に形成され、下部の外表面が円柱状に形成されている。フット11には、第2の螺子部の一例としてのネジ孔11aが形成されている。フット11のネジ孔11aは、フット11を上下方向に貫通して形成されている。ネジ孔11aの内周面には、ボルト部7と噛み合うネジ溝が形成されている。
【0034】
図4図5Bにおいて、設置面の一例としての床面12には、第3の螺子部の一例としてのアンカー13が設置されている。実施例1のアンカー13は、床面12から床の内部に向けて延びるネジ孔13aを有する。アンカー13のネジ孔13aの内周面には、ボルト部7と噛み合うネジ溝が形成されている。
前記ブラケット2、ナット3、シャフト6等により、実施例1の転倒抑制具16が構成されている。
【0035】
(実施例1の転倒抑制具の作用)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、図1に示すように、シャフト6を回転させてフット11が床面12から浮いた状態では、キャスター1を回転させてプリンタUを移動可能である。
プリンタUの転倒を防止する場合には、図3図5Aに示すように、シャフト6のボルト部7をナット3のネジ孔3aに噛み合わせた状態で、フット11を床面12に接触させる。
この状態では、プリンタUが移動したり、傾斜、転倒しようとしても、フット11が床面12に接触して移動や傾斜の抵抗となる。したがって、キャスター1が回転してプリンタUが移動したり、人が押したり物がぶつかったりして外力がプリンタUに作用したりしても、プリンタUが転倒することが抑制されている。よって、床面12にアンカー13が設置されていないオフィス等でも、フット11を使用して転倒の抑制が可能になっている。
【0036】
なお、実施例1の転倒抑制具16では、シャフト6を回転させて、ボルト部7とナット3やフット11のネジ孔3a,11aに対するネジ込み量を調整することが可能である。したがって、ボルト部7をナット3やフット11に対して相対的に回転させると、ナット3とフット11との距離を任意の長さに調整可能である。よって、例えば、キャスター1が床面12から浮くように、ナット3とフット11との間隔を設定することも可能である。この場合、プリンタUが移動することが、さらに効果的に抑制される。
【0037】
図4図5Bにおいて、床面12にアンカー13が設置されている場合において、プリンタUが地震発生時のような大きな振動時に転倒することを抑制する場合、アンカー13にボルト7をネジ込んだ状態で、フランジ部9をブラケット2の上面に接触させる。この状態では、シャフト6がアンカー13を介して床面に打ち込まれた状態となっており、且つ、フランジ部9がブラケット2に接触してブラケット2が床面に対して上方に移動不能になっている。したがって、地震で、フット11では抑制しきれないような大きな外力が作用しても、プリンタUが転倒することが抑制される。
したがって、実施例1の転倒抑制具16は、フット11を使用した転倒の抑制にも、アンカー13を使用した地震対策にも両方対応可能に構成されている。
【0038】
特に、実施例1の転倒抑制具16では、ボルト部7の上端に形成された小径部8とナット3のネジ孔3aとの間に隙間が設定されている。仮に、小径部8が設けられていない場合、ボルト部7がネジ孔3aにネジ込まれた状態で、アンカー13にもボルト部7をネジ込む必要がある。この構成では、シャフト6がプリンタUに対して、床面12の面方向に対して移動不能で支持される。したがって、ボルト部7とアンカー13との位置がずれている場合や、製造誤差や組み立て誤差、設置誤差等が存在すると、ボルト部7をアンカー13にネジ込むことが困難となる。すなわち、ナット3やブラケット2を精度良く組み立てたり、アンカー13を高精度に設置したり、プリンタUを移動させて位置を微調整したりする必要がある。
これに対して、実施例1の転倒抑制具16では、小径部8がナット3に対して隙間が開いている。したがって、プリンタUの本体U1に対して、床面12の面方向に、隙間分だけシャフト6が移動可能である。よって、アンカー13にボルト部7をネジ込む際に、アンカー13やボルト部7、ナット3の間での微小なズレは、隙間で吸収することが可能になっている。よって、アンカー13に対して、ボルト部7等の設置作業が容易になる。したがって、プリンタUの地震対策用の設置作業を容易に行うことが可能となる。
【0039】
また、実施例1の転倒抑制具16では、アンカー13に対してボルト部7をネジ込む量を調整することが可能である。したがって、ボルト部7をネジ込む量を調整して、フランジ部9とブラケット2とを接触させることも可能であると共に、フランジ部9とブラケット2とを離間させることも可能である。例えば、プリンタUの底面と床面との間に物を落とした場合や、掃除等でプリンタUと壁との隙間を少しあけたい場合等では、フランジ部9とブラケット2とを離間させて、プリンタUを微動可能な状態とすることも可能である。
【0040】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、複写機、FAX等の画像形成装置にも適用可能である。また、設置具の一例としての画像形成装置を例示したが、これに限定されず、脚部材を有する任意の構成、例えば、キャビネットや机、本棚や収納ラック、家具等にも適用可能である。
【0041】
(H02)前記実施例において、転倒抑制具16は、プリンタUの左右両側に2つ設置する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、プリンタUの四隅に配置したり、3つにする等、数やプリンタUに対する位置は任意に変更可能である。
(H03)前記実施例において、キャスター1を設けることが望ましいが、これに限定されない。例えば、キャスター1を省略し、実施例の転倒抑制具16のみでプリンタUを支える構成とすることも可能である。
【0042】
(H04)前記実施例において、小径部8は設けることが望ましいが、省略することも可能である。
(H05)前記実施例において、設置面の一例として床面を例示したが、これに限定されない。例えば、机の上面等の任意の設置面に適用可能である。
(H06)前記実施例において、被支持部の一例として柱状、凸状のシャフト6を使用し、ナット3やフット11、アンカー13側に凹状のネジ孔3a,11a,13aを形成する構成を例示したが、これに限定されない。凸と凹の組み合わせを逆にすることも可能である。
【0043】
(H07)前記実施例において、アンカー13を利用する場合にも、フット11が装着された構成を図示したが、これに限定されない。フット11は取り外した状態でアンカー13に装着させることも可能である。
(H08)前記実施例において、ブラケット2にナット3を支持する構成としたが、これに限定されない。例えば、ブラケット2の開口2aをネジ孔3aとすることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
2…支持部、
2b…接触部、
3…第4の螺子部、
6…被支持部材、
7…第1の螺子部、
8…対向部、
9…被接触部、
11…脚部材、
11a…第2の螺子部、
12…設置面、
13…第3の螺子部、
16…転倒抑制具、
U…設置具。
図1
図2
図3
図4
図5