特許第5983359号(P5983359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983359
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20160818BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20160818BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/46
   A61K8/36
   A61K8/41
   A61K8/42
   A61K8/891
   A61K8/892
   A61K8/898
   A61Q5/02
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-259258(P2012-259258)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2013-136565(P2013-136565A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-260370(P2011-260370)
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】大石 泉
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−035099(JP,A)
【文献】 特開2008−037849(JP,A)
【文献】 特開平08−217643(JP,A)
【文献】 特開平03−153620(JP,A)
【文献】 特開2007−084482(JP,A)
【文献】 特開昭58−124712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)カチオン性界面活性剤、
(C)ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、
(D)ベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂、及び
(E)シリコーン油
を含み、(C)成分の含有量が組成物全体の0.05〜1.0質量%、(D)成分の含有量が組成物全体の0.01〜0.5質量%であって、(A)/(B)の質量比が13〜150であり、(C)/(D)の質量比が0.5〜10であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分の含有量が組成物全体の10〜30質量%であり、(B)成分の含有量が組成物全体の0.3〜0.7質量%である請求項1記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分の含有量が組成物全体の0.1〜0.5質量%であり、(D)成分の含有量が組成物全体の0.05〜0.3質量%である請求項1又は2記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項4】
(E)成分の含有量が、組成物全体の0.05〜1.0質量%である請求項1乃至3のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項5】
(A)成分が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、脂肪酸石ケン、アルキルスルホコハク酸塩及びヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩から選ばれる請求項1乃至4のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項6】
(B)成分が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム及びステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドから選ばれる請求項1乃至5のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項7】
(C)成分中のジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドの含有モル比が10:90〜40:60である請求項1乃至6のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項8】
(C)成分の重量平均分子量が15万〜300万である請求項1乃至7のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項9】
(D)成分が、下記式
【化1】
(式中、R1及びR3はそれぞれ水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜18のアルキル基、R4及びR6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキレン基、R5は水素原子、メチル基又はエチル基、p/qはモル比として1/9〜8/2である。)
で表される共重合体である請求項1乃至8のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項10】
(E)成分が、25℃における動粘度が500万mm2/s以上のものであり、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン及びアミノ誘導体シリコーンから選ばれる請求項1乃至9のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項11】
更に、(F)パール化剤を含有する請求項1乃至10のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項12】
(F)成分の含有量が、組成物全体の0.5〜5.0質量%である請求項11記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項13】
更に、(G)はちみつを含有する請求項1乃至12のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項14】
(G)成分の含有量が、組成物全体の0.001〜1質量%である請求項13記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項15】
損傷毛髪用である請求項1乃至14のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項16】
リンスインシャンプーである請求項1乃至15のいずれか1項記載の毛髪洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪に優れた柔軟性を与えると共に、寝癖がつきにくく、乾燥後のまとまりが向上する毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のダメージケア意識の高まりと共に、シャンプー後のコンディショナーの併用を考えた性能向上が重要となっている。例えば、毛髪に柔軟性やダメージ補修実感を付与するために使用されるコンディショナーの効果をシャンプーと同時に与える、コンディショニングシャンプーが開発されている。これは、時間的な制約があったり、小さい子供がいる場合など、洗髪に手間をかけたくないときに非常に有用である。
【0003】
しかし、コンディショナー処理後のような毛髪の柔軟性やまとまりは得られず、特にカラーリングにより髪が傷んだ消費者にとっては、不満足なものになっている。この理由として、コンディショニング成分であるシリコーンがシャンプー時に髪に吸着しにくいことが挙げられており、特にカラーリングなどで傷んだ髪ではその傾向が顕著であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−31615号公報
【特許文献2】特開2006−219449号公報
【特許文献3】特開2003−95888号公報
【特許文献4】特開2004−292387号公報
【特許文献5】特開2007−84482号公報
【特許文献6】国際公開第2009/016905号
【特許文献7】特開2006−282565号公報
【特許文献8】特開2008−37849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、コンディショナーの性能を最大限に出しつつ、シャンプー(リンスインシャンプー)のみで使用しても、損傷毛髪にも十分な柔軟性を与え、更には寝癖がつきにくく、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりを向上できる毛髪洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(C)ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、(D)ベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂、及び(E)シリコーン油を含み、(A)/(B)の質量比が13〜150、かつ(C)/(D)の質量比が0.5〜10であることにより、シャンプー(リンスインシャンプー)のみの使用でも、損傷毛髪にも十分な柔軟性を与え、しかも寝癖がつきにくく、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりを向上できる毛髪洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の毛髪洗浄剤組成物を提供する。
<1> (A)アニオン性界面活性剤、
(B)カチオン性界面活性剤、
(C)ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、
(D)ベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂、及び
(E)シリコーン油
を含み、(C)成分の含有量が組成物全体の0.05〜1.0質量%、(D)成分の含有量が組成物全体の0.01〜0.5質量%であって、(A)/(B)の質量比が13〜150であり、(C)/(D)の質量比が0.5〜10であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
<2> (A)成分の含有量が組成物全体の10〜30質量%であり、(B)成分の含有量が組成物全体の0.3〜0.7質量%である<1>記載の毛髪洗浄剤組成物。
<3> (C)成分の含有量が組成物全体の0.1〜0.5質量%であり、(D)成分の含有量が組成物全体の0.05〜0.3質量%である<1>又は<2>記載の毛髪洗浄剤組成物。
<4> (E)成分の含有量が、組成物全体の0.05〜1.0質量%である<1>乃至<3>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<5> (A)成分が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、脂肪酸石ケン、アルキルスルホコハク酸塩及びヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩から選ばれる<1>乃至<4>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<6> (B)成分が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム及びステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドから選ばれる<1>乃至<5>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<7> (C)成分中のジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドの含有モル比が10:90〜40:60である<1>乃至<6>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<8> (C)成分の重量平均分子量が15万〜300万である<1>乃至<7>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<9> (D)成分が、下記式
【化2】
(式中、R1及びR3はそれぞれ水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜18のアルキル基、R4及びR6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキレン基、R5は水素原子、メチル基又はエチル基、p/qはモル比として1/9〜8/2である。)
で表される共重合体である<1>乃至<8>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<10> (E)成分が、25℃における動粘度が500万mm2/s以上のものであり、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン及びアミノ誘導体シリコーンから選ばれる<1>乃至<9>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<11> 更に、(F)パール化剤を含有する<1>乃至<10>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<12> (F)成分の含有量が、組成物全体の0.5〜5.0質量%である<11>記載の毛髪洗浄剤組成物。
<13> 更に、(G)はちみつを含有する<1>乃至<12>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<14> (G)成分の含有量が、組成物全体の0.001〜1質量%である<13>記載の毛髪洗浄剤組成物。
<15> 損傷毛髪用である<1>乃至<14>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
<16> リンスインシャンプーである<1>乃至<15>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シャンプー(リンスインシャンプー)のみで使用しても、コンディショナーの性能を最大限に出しつつ、十分な柔軟性を損傷毛髪にも与えることができ、更に寝癖がつきにくく、乾燥後、特に翌朝にまとまりのよい毛髪を与える毛髪洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、(A)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(C)ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、(D)ベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂、(E)シリコーン油を含み、(A)/(B)の質量比が13〜150であり、(C)/(D)の質量比が0.5〜10である。
【0010】
(A)アニオン性界面活性剤
(A)成分のアニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシル化アミノ酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(アルキレン部分としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが好ましく、ポリオキシエチレンがより好ましい)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩;ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸石ケン、アルキルリン酸エステル塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルグルタミン酸塩、N−ラウロイル−N−エチルグリシン塩、N−ラウロイルザルコシン塩、N−ミリストイル−β−アラニン塩、又はこれらのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの塩の対イオンとしては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0011】
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(アルキル鎖長は10〜24、EO平均付加モル数は1〜10が好ましい)、α−オレフィンスルホン酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、脂肪酸石ケン、アルキルスルホコハク酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩が好ましく、乾燥後の髪の柔軟性、髪のまとまり、及び洗浄実感の点からアルキル鎖長が12〜14、EOの平均付加モル数が2〜4のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が特に好ましい。
【0012】
(A)成分の含有量は、組成物全体の5〜40質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。5質量%未満では洗浄剤としての機能が不十分となる場合があり、40質量%を超えると乾燥後の毛髪が硬くなる場合がある。
【0013】
(B)カチオン性界面活性剤
(B)成分のカチオン性界面活性剤としては、具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジオレイルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、酢酸ラウリン酸アミドブチルグアニジン、酢酸ミリスチン酸アミドブチルグアニジン、酢酸パルミチン酸アミドブチルグアニジン、ジステアリルジメチルアンモニウムサルフェート、ステアリルエチルジヒドロキシエチルアンモニウムエチルサルフェート、N−ヤシ油脂肪酸L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
これらの中でも、乾燥後の髪の柔軟性、寝癖のつきにくさ、及び乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましく、乾燥後の髪の柔軟性の点から、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0015】
(B)成分の含有量は、組成物全体の0.1〜1.0質量%が好ましく、乾燥後の髪の柔軟性、寝癖のつきにくさ、及び乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、より好ましくは0.3〜0.7質量%である。0.1質量%未満では寝癖がつきやすく、柔軟性、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなる場合があり、1.0質量%を超えると乾燥後の毛髪が硬くなる場合があり、寝癖がつきやすく、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなる場合がある。
【0016】
ここで、(A)成分と(B)成分の最適な配合割合は、(A)/(B)で示される、(B)成分に対する(A)成分の割合が、質量比で13〜150であり、乾燥後の髪の柔軟性、寝癖のつきにくさの点から、好ましくは14〜100、より好ましくは17〜75である。この比が13未満では、乾燥後の柔軟性に劣り、寝癖のつきにくさ、及び乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなり、また使用時の泡立ちが低下する。一方、150を超えると髪の柔軟性が悪くなり、寝癖がつきやすくなり、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなる。
【0017】
(C)ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体
ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体とは、ジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(CTFA:Polyquaternium−7)が好ましい。共重合体中のジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの割合は、寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、モル比で、ジメチルジアリルアンモニウム塩:アクリルアミド=10:90〜40:60が好ましく、より好ましくは15:85〜35:65の範囲である。
【0018】
(C)成分の重量平均分子量は、柔軟性、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、15万〜300万が好ましく、より好ましくは150万〜250万、更に好ましくは180万〜250万である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)を用いて測定され、条件は下記のとおりである。
移動相:0.3M NaClO4、NaN3水溶液カラム:TSKgelα−M 2本、プレカラム:TSKguardcolumn α、標準物質:ポリエチレングリコール
なお、本発明の(C)成分は、共重合体のみの粉末でも溶媒(水、アルコール、多価アルコール等)に溶解又は分散した溶液を用いてもよい。
【0019】
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体の市販品としては、
カヤクリルレジンM−50A(商品名,日本化薬(株))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム:アクリルアミド、以下DADMAC:AcAmと略す=19:81(モル比)、重量平均分子量180万、
マーコート550(商品名,ナルコジャパン(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量160万、
ULTIMER CG−600(商品名,ナルコジャパン(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量220万、
マーコートS(商品名,ナルコジャパン(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量260万、
サルケアSC11(商品名,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量150万、
サルケアSC10(商品名,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))、DADMAC:AcAm=45:55(モル比)、重量平均分子量100万、
サルケアSuper7(商品名,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))、DADMAC:AcAm=25:75(モル比)、重量平均分子量15万、マーコート2200(商品名,ナルコジャパン(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量90万
等が挙げられ、好ましくは、
カヤクリルレジンM−50A(商品名,日本化薬(株))、DADMAC:AcAm=19:81(モル比)、重量平均分子量180万、
マーコート550(商品名,ナルコジャパン(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量160万、
ULTIMER CG−600(商品名,ナルコジャパン(株))、DADMAC:AcAm=30:70(モル比)、重量平均分子量220万
である。
【0020】
(C)成分の含有量は、組成物全体の0.05〜1.0質量%が好ましく、乾燥後の髪の柔軟性、寝癖のつきにくさ、及び乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、より好ましくは0.1〜0.5質量%、更に好ましくは0.2〜0.4質量%である。0.05質量%未満では乾燥後に十分な柔軟性が与えられない場合があり、1.0質量%を超えると寝癖がつきやすく、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなり、柔軟性にも劣る場合がある。
【0021】
(D)ベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂
(D)成分のベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂としては、下記式
【化1】
(式中、R1及びR3はそれぞれ水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜18のアルキル基、R4及びR6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキレン基、R5は水素原子、メチル基又はエチル基、p/qはモル比として1/9〜8/2である。)
で表される共重合体であって、重量平均分子量が2万〜50万、より好ましくは2万〜10万の樹脂が好ましく用いられる。上記式中、R1及びR3はそれぞれ水素原子又はメチル基であり、R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等のアルキル基、R4及びR6はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、R5は水素原子、メチル基又はエチル基である。
【0022】
(D)成分は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル(以下、X成分と称す)と、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのベタイン型両性化合物(以下Y成分と称す)とからなる共重合物である。この場合、X成分とY成分のモル比は、先述したように1/9〜8/2、好ましくは2/8〜7/3の範囲である。X成分のモル比が多いとポリマーは水不溶性となり、(E)シリコーン油の分散安定化効果が著しく低下し、Y成分のモル比が高いとアニオン活性剤系に強電解質が共存している場合にポリマーの水和力が著しく減少し、(E)成分のシリコーン油を安定に分散させることができない場合がある。つまり、pとqが先述のモル比の範囲にあるときに、ポリマーは適度な水溶性となり、系内に強電解質が共存していても分子内のイオン的中和作用を保持し、活性剤溶液中でも縮退せず、シリコーン油の分散安定化に効果を発揮するだけでなく、寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりも著しく向上させることができる。
【0023】
(D)成分として具体的には、ユカフォーマーAM−75201,ユカフォーマーAM204、204WL、AM205、SM、AM301、510、ユカフォーマーAMW,ユカフォーマーAMWH(三菱化学(株)製)等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、ユカフォーマーAM204WLであり、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体(ユカフォーマー、三菱化学(株)製)が最も好ましい。
【0024】
(D)成分の含有量は、組成物全体の0.01〜0.5質量%であり、寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、好ましくは0.05〜0.3質量%である。0.01質量%未満では乾燥後に十分な柔軟性が与えられず、寝癖がつきやすく、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなり、(E)成分であるシリコーン油の分散安定性が悪くなる場合があり、0.5質量%を超えると寝癖がつきやすくなる場合がある。
【0025】
ここで、(C)成分と(D)成分の最適な配合割合は、(C)/(D)で表される、(D)成分に対する(C)成分の割合が、質量比で0.5〜10であり、乾燥後の毛髪の柔軟性及び寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの良さの点から、1〜8がより好ましく、2〜4が更に好ましい。0.5未満では、乾燥後の毛髪が硬くなり、寝癖がつきやすくなり、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなり、10を超えても、柔軟性に劣り、寝癖がつきやすくなり、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりも悪くなる。
【0026】
(E)シリコーン油
シリコーン油としては、25℃における動粘度が500万mm2/s以上のジメチルポリシロキサンで、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アミノ誘導体シリコーン等が挙げられ、寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、25℃における動粘度が500万mm2/s以上のジメチルポリシロキサンで、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンが好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ジメチルポリシロキサンは、オイルでもエマルジョンでもよく、エマルジョン化における、乳化剤や乳化方法に特に制限はない。なお、他のシリコーン化合物、例えば低粘度のジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、EO変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、適量を併用することができる。
【0027】
(E)成分としては、25℃における動粘度が800万mm2/s以上のものが好ましい。動粘度の上限は特に限定されないが、3,000万mm2/s以下である。なお、本発明において、動粘度の測定方法は、1g/100mL濃度のジメチルポリシロキサンのトルエン溶液を作製し、下記式(1)により比粘度ηsp(25℃)を求める。次に、下記式(2)に示すHugginsの関係式に代入し、固有粘度〔η〕を求める。Huggins定数は中牟田、日化、77 588(1956)に記載のものを用いる。次に、〔η〕を下記式(3)に示すA.Kolorlovの式に代入し、分子量Mを求める。最後に、Mを下記式(4)に示すA.J.Barryの式に代入し、ジメチルポリシロキサンの粘度ηを求める。
ηsp=(η/η0)−1 ただし、η0:トルエンの粘度、η:溶液の粘度 (1)
ηsp=〔η〕+K’〔η〕2 K’:Hugginsの定数 (2)
〔η〕=0.215×10-40.65 M:分子量 (3)
logη=1.00+0.0123M0.5 (4)
上記η0、ηは化粧品原料基準一般試験法粘度測定法第1法に準拠して測定したものである。
【0028】
(E)成分の含有量は、組成物全体の0.05〜1.0質量%が好ましく、乾燥後の髪の柔軟性、寝癖のつきにくさ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの良さの点から、0.05〜0.5質量%がより好ましく、0.1〜0.4質量%が更に好ましい。0.05質量%未満では、乾燥後の髪に十分な柔軟性を与えることができない場合があり、1.0質量%を超えるとべたつきが生じ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなる場合がある。
【0029】
(F)パール化剤
本発明では、更に、(F)パール化剤を配合することができ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりをより向上させることができる。パール化剤の具体例としては、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、翌朝の髪のまとまりの良さの点から、特に、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステルが好ましい。より具体的には、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、エチレングリコールモノステアリルエーテル、エチレングリコールジステアリルエーテル等が挙げられ、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの点から、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコールが好ましい。
【0030】
(F)成分を配合する場合、その含有量は組成物全体の0.5〜5.0質量%が好ましく、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの良さの点から好ましく、1.0〜2.0質量%がより好ましい。0.5質量%未満及び5.0質量%を超えると、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりが悪くなる場合がある。
【0031】
(G)はちみつ(蜂蜜)
本発明では、更に、(G)はちみつ(蜂蜜)を配合することで、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりをより向上させることができる。蜂蜜は約8割の糖分と約2割の水分によって構成され、微量の有効成分(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸、酵素、色素、香気物質)も含まれる。有効成分が蜂蜜の中で果たす働きについては未解明な点も多い。ビタミン、ミネラル、アミノ酸の多くは花粉に由来する。糖分のほとんどはグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)で、少量のオリゴ糖とスクロース(ショ糖)、更にデキストリンも含まれる。グルコースとフルクトースが主成分である。
【0032】
(G)成分を配合する場合、その含有量は組成物全体の0.001〜1質量%が好ましく、この範囲で配合することで、乾燥後、特に翌朝の髪のまとまりの良さが向上する。より好ましくは、翌朝の髪のまとまりの良さの点から、0.001〜0.1質量%である。
【0033】
任意成分
本発明の組成物には、前述の必須成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の毛髪化粧料に汎用されている各種下記の任意成分を所望に応じて配合することができる。例えば、(A)成分以外のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、(B)成分以外のカチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、液状油分、固体脂、アニオン性ポリマー、(C)成分以外の塩化(メタ)アクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド共重合体等のカチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、ポリオール類、食塩、芒硝等の無機塩類、有機塩類、プロピレングリコール等の保湿剤、トニック剤、可溶化剤、BHTやα−トコフェロール等の酸化防止剤、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、高分子、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等の粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、タンパク誘導体、動植物抽出液、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、安息香酸及びその塩、パラベン類、ケーソンCG等の防腐剤、クエン酸、トリエタノールアミン等のpH調整剤、乳濁剤、ハイドロトロープ、低級アルコール、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈性溶媒、色素、香料等を任意に添加することができる。これらの任意成分は1種単独でも2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0034】
本発明の毛髪洗浄剤組成物のpH(25℃)は、特に制限されないが、pH3〜7が好ましく、より好ましくは4〜6である。pH3未満では地肌への刺激が懸念され、7を超えると防腐力が低下し、微生物が繁殖する可能性がある。なお、pHは外原規(医薬部外品原料規格)一般試験法pH測定法に準拠して測定する。
【0035】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の粘度(25℃)は、特に制限されないが、1〜10Pa・s、特に2〜5Pa・sの範囲が好ましい。粘度が低すぎると使用時に手からこぼれるため使用しにくく、高すぎると容器からの排出性が悪くなるおそれがある。なお、粘度は25℃で、外原規一般試験法粘度測定法第2法に準拠して測定した値である。
【0036】
本発明の組成物は、その形状や剤型が特に制限されるものではなく、例えば液状、クリーム状、エアゾール状、ポンプスプレータイプ、スプレータイプ、フォーム状、ジェル状、ワックス状等の各種形状や剤型に調製して利用できる。
【0037】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、シャンプー(後工程にコンディショナーやトリートメントを用いる。)、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプー(コンディショナーやトリートメント等の後工程は行わない。本発明においては、これらをまとめてリンスインシャンプーという。)等のインバスヘアケア剤として幅広く利用でき、特に、毛髪に柔軟性やダメージ補修実感の付与、簡便な使用性の点から、リンスインシャンプーとして用いることが好ましく、これらを製品の常用量で常法に従って使用することができる。
【0038】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、各剤型の常法に基づいて調製することができ、例えば、必須成分、任意成分、及び水(残部)を混合して得ることができる。具体的には、(B)成分が固体の場合は溶解温度以上に昇温させてから、(A)成分や精製水を混合した基剤中に攪拌しながら(B)成分を添加することで、容易に時間を短縮することができる。(C)及び(D)成分はあらかじめ水等に溶解するか、プロピレングリコール等の溶媒に分散させて、添加する方法が好適である。(E)成分は、(E)成分以外を混合した後に添加するのが好ましい。
【0039】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の容器は特に限定されず、アルミニウムラミネートチューブ、EVALチューブ、アルミニウムチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブ等のチューブの他、機械的又は差圧によるポンプ容器及びスクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、ボトル容器等が挙げられる。アルミニウムラミネートチューブのラミネートフィルムは、通常2層以上の多層を有し、その材質はポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミニウム蒸着プラスチック等によって構成される。強度、柔軟性、耐候性等を考慮し、一般的には2〜5層のものを用いることが好ましい。ボトルの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド等及びガラス等を単層乃至2層以上組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、各例中の%はいずれも質量%である。
また、重量平均分子量及び動粘度は、上記と同様の方法で測定した値である。
【0041】
[実施例1〜39、比較例1〜9]
表1〜6に示す組成の毛髪洗浄剤組成物(リンスインシャンプー)を下記に示す方法にて調製し、以下の方法と基準で評価した。結果を表中に併記する。
【0042】
<調製方法>
下記表に示す各成分を混合攪拌することにより調製した。その際、(B)成分が固体の場合は溶解温度以上に昇温させてから、(A)成分及び精製水を混合した基剤中に攪拌しながら添加した。(C)及び(D)成分は、あらかじめ精製水に溶解させてから添加し、(E)成分以外の成分を加えた後、最後に(E)成分を添加した。クエン酸はpH調整剤として5.2に調整した。
【0043】
<pH測定条件>
pHメーター:東亜ディーケーケー(株)製 HM−30G、測定温度:25℃
【0044】
(1)毛束感触(柔軟性)評価
<評価方法>
長さ30cm、質量10gのアジア人毛束を10倍量(100mL)の下記組成1で示したモデルブリーチ溶液中に室温(20〜25℃)で30分間浸漬した。その後、水道水で十分に洗浄し、乾燥したものを損傷毛束とした。
(組成1)モデルブリーチ溶液
過酸化水素 6%
アンモニア 3
塩化ナトリウム 5
水酸化ナトリウム 適量(pH10.8に調整)
精製水 残部
計 100%
【0045】
この損傷毛束に表1〜6に示す組成の洗浄剤組成物1.0gをそれぞれ1mLツベルクリン用針なしシリンジ(商品名:テルモシリンジ、テルモ(株)製)を用いて塗布し、60回(1回/1秒)くし通しをして泡立てた後、25回(1回/2秒)くし通しをしながら流水ですすぎ、そのまま自然乾燥した。上記の処理を7回繰り返し、感触評価を行った。なお、泡立て、すすぎの条件を一定にするために、指ではなく、くしを使用した。また、1回の使用では髪への吸着性や蓄積性にばらつきがあるため、1週間の連続使用を想定して7回の繰り返し処理を行い、より正確な性能を判断した。
評価者10名が試料処理毛束と未処理毛束(損傷毛束)を触り、「柔軟性」を比較評価し、評価結果を以下の基準に従って4段階で判定した。
【0046】
<評価基準>
◎:処理毛束の方が良いとした評価者の人数が9名以上の場合
○:処理毛束の方が良いとした評価者の人数が6〜8名の場合
△:処理毛束の方が良いとした評価者の人数が3〜5名の場合
×:処理毛束の方が良いとした評価者の人数が2名以下の場合
【0047】
(2)寝癖のつきにくさ及び翌朝の髪のまとまり
カラーリングやパーマ処理のダメージによって、髪の傷みを気にしていて、寝癖がつきやすく、髪がまとまりにくいと感じている、20〜30代女性評価者20名が、表1〜6に示す組成の洗浄剤組成物を7日間使用後、寝癖のつきにくさ及び翌朝の髪のまとまりについて評価した。結果を「良好」と答えた評価者の人数により、下記基準に従って示す。
<評価基準>
◎:良好と答えた評価者の人数が18〜20名の場合
◎〜○:良好と答えた評価者の人数が14〜17名の場合
○:良好と答えた評価者の人数が10〜13名の場合
△:良好と答えた評価者の人数が5〜9名の場合
×:良好と答えた評価者の人数が4名以下の場合
【0048】
【表1】
※表中の( )内の数字は純分を示す(以下、同様。)。
(注1):カヤクリルレジンM−50A(日本化薬(株)製)
DADMAC/AcAm=19/81(モル比)
DADMAC/AcAm=30/70(モル比)
(注4):ユカフォーマーAM−204WL p/q=6/4、重量平均分子量:70,000
(注5):レオフローDMS−60(一方社製)
動粘度1,000万mm2/sのジメチルポリシロキサン9%含有
【0049】
【表2】
(注1):カヤクリルレジンM−50A(日本化薬(株)製)
DADMAC/AcAm=19/81(モル比)
(注2):マーコート550(ナルコジャパン(株)製)
DADMAC/AcAm=30/70(モル比)
(注3):ULTIMER CG−600(ナルコジャパン(株)製)
DADMAC/AcAm=30/70(モル比)
(注4):ユカフォーマーAM−204WL p/q=6/4、重量平均分子量:70,000
(注5):レオフローDMS−60(一方社製)
動粘度1,000万mm2/sのジメチルポリシロキサン9%含有
【0050】
【表3】
(注1):カヤクリルレジンM−50A(日本化薬(株)製)
DADMAC/AcAm=19/81(モル比)
(注4):ユカフォーマーAM−204WL p/q=6/4、重量平均分子量:70,000
(注5):レオフローDMS−60(一方社製)
動粘度1,000万mm2/sのジメチルポリシロキサン9%含有
【0051】
【表4】

(注1):カヤクリルレジンM−50A(日本化薬(株)製)
DADMAC/AcAm=19/81(モル比)
(注4):ユカフォーマーAM−204WL p/q=6/4、重量平均分子量:70,000
(注5):レオフローDMS−60(一方社製)
動粘度1,000万mm2/sのジメチルポリシロキサン9%含有
(注6):SM8904(東レ・ダウコーニング(株)製)
(アミノ変性シリコーン:40%含有)
【0052】
【表5】
(注1):カヤクリルレジンM−50A(日本化薬(株)製)
DADMAC/AcAm=19/81(モル比)
(注4):ユカフォーマーAM−204WL p/q=6/4、重量平均分子量:70,000
(注5):レオフローDMS−60(一方社製)
動粘度1,000万mm2/sのジメチルポリシロキサン9%含有
【0053】
【表6】
(注1):カヤクリルレジンM−50A(日本化薬(株)製)
DADMAC/AcAm=19/81(モル比)
(注4):ユカフォーマーAM−204WL p/q=6/4、重量平均分子量:70,000
(注5):レオフローDMS−60(一方社製)
動粘度1,000万mm2/sのジメチルポリシロキサン9%含有