【実施例1】
【0013】
本発明に係るスキャン機能を備えた受信機の構成を示した
図1において、
1は前記受信機であり、受信部2、低周波処理部3、周波数生成部4、制御部5、および操作部6を備えている。
前記受信部2は、後述する周波数生成部4によって指定される周波数の信号を受信して、増幅および復調する機能を備えている。
前記低周波処理部3は、復調された受信信号を低周波増幅する増幅回路や、音声出力するスピーカ等を備えている。
前記周波数生成部4は、前記受信部2において受信すべき信号の周波数を、後述する制御部5からの制御信号によって生成し、前記受信部2に入力させるように構成されている。
前記制御部5は、CPUやメモリ51等の記憶手段等を備え、前記受信機1の各部を系統的に制御するように構成されている。
前記操作部6は、操作ダイヤル、入力スイッチ、およびタッチパネル機能を有した表示パネル等を備えており、前記制御部5を介して前記受信機1の各部の動作を指定する操作情報を入力するとともに、前記制御部5を介して前記受信機1の各部の動作状況(周波数や信号強度等のステータス情報等。)を表示するように構成されている。
【0014】
前記メモリ51には、基本スキップメモリ511、および一時的スキップメモリ512等の各種情報のメモリ領域が含まれている。前記メモリ51は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリが用いられている。
前記基本スキップメモリ511には、常時スキップする周波数、メモリチャンネルが書き込まれている。当該受信機1の電源をOFFにしても保持されているように、不揮発性メモリに記憶される。
前記一時的スキップメモリ512には、一時的にスキップする周波数、メモリチャンネルが随時書き込まれ、書き込まれた後、所定の保持時間が経過した後に削除される。当該受信機1の電源をOFFにした場合には保持されない。
【0015】
前記制御部5には、複数の経過時間を個別に計時可能な計時カウンタ52が備えられている。
前記計時カウンタ52は、一時的スキップメモリ512に書き込まれてからの経過時間を計時して、所定の保持時間が経過したときに前記一時的スキップメモリ512から削除する。
【0016】
以上の構成の受信機1におけるスキャン機能を、
図2に示したフローチャートを参照して説明する。
まずはじめに、前記操作部6において所定の操作を行ってスキャン機能を作動させると、
ステップS1において、初期化処理を行ってから、スキャン範囲のはじめの周波数もしくはチャンネルから受信を開始する。前記初期化処理においては、前記一時的スキップメモリ512および前記計時カウンタ52を全てクリア(記憶無しの状態)する。
ステップS2では、基本スキップメモリを参照して、基本スキップメモリに登録されているか否かをチェックし、登録されていれば、スキップしてステップS10へ進んでスキャンを進め、登録されていなければ、ステップS3へ進む。
ステップS3では、一時的スキップメモリを参照して、一時的スキップメモリに登録されているか否かをチェックし、登録されていれば、スキップしてステップS10へ進んでスキャンを進め、登録されていなければ、ステップS4へ進む。
【0017】
ステップS4では、前記受信部2の中間周波信号やステータス情報等を監視して、何らかの有為な信号が受信されている(入感有り)か否(入感無し)かをチェックする。
入感無しの場合には、ステップS10へ進んで、前記周波数生成部4を制御して、スキャン範囲の中で次に受信すべき周波数もしくはチャンネルを、前記受信部2に設定し、ステップS2に戻る。
入感有りの場合には、ステップS5へ進む。
【0018】
ステップS5では、スキャン動作を一時停止して、復調した低周波信号をスピーカから出力する。
ステップS6では、入感した周波数もしくはチャンネルを一時的スキップメモリに登録するための所定の操作が行われたか否かをチェックし、行われた場合にはステップS7へ進んで、一時的スキップ登録処理を行う。
前記所定の操作が行われなかった場合にはステップS8へ進む。
ステップS8では、一定の停止時間の経過までステップS6に戻って繰り返し、一定の停止時間が経過した後はステップS9へ進む。
【0019】
ステップS9では、スキャンの一時停止を終了し、前記ステップS10へ進んで、次の周波数もしくはチャンネルへ移行して、前記ステップS2からの動作を繰り返す。
ステップS10では、スキャン範囲の最後までスキャンした場合には、スキャン範囲のはじめの周波数もしくはチャンネルから再びスキャンを行う。
【0020】
図3の一時的スキップメモリへの登録処理
前記ステップS7を、
図3のフローチャートを参照してより詳細に説明する。
図3に示したように、ステップS71では、
一時的スキップメモリへの書き込み登録処理を行うとともに、ステップS72では、登録した周波数もしくはチャンネルに係る情報に対応させた計時カウンタによる計時を開始させ、
図2のフローチャートのステップS9へ進む。
【0021】
前記ステップS72で計時開始された後の計時処理を、
図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップS711では、登録した周波数もしくはチャンネルに係る情報に対応させた計時カウンタによる計時を開始し、
ステップS712では、前記対応させた計時カウンタにおいて所定の保持時間が経過するまで、計時処理を継続し、
ステップS713では、所定の保持時間が経過した後には、前記対応させた計時カウンタによる計時処理を終了させるとともに、前記一時的スキップメモリから前記登録した周波数もしくはチャンネルに係る情報を削除し、かかる登録が無かった状態にして、終了する。
図4のフローチャートは、
図2のフローチャートの進行と同時に並行して進行する。
【0022】
表1には、一時的スキップメモリと計時カウンタの例を示した。
【表1】
【0023】
前記一時的スキップメモリへの記憶処理は、例えば以下の通りである。
信号入感によるスキャン動作が一時停止している間に、所定の操作がされると、VFOによるプログラムスキャンであれば、一時停止中の前記入感した周波数を、前記一時的スキップメモリに記憶させると同時に、該当する計時カウンタをクリアして、スキャンを次の周波数に進める。
また、メモリモードにおけるスキャン中であれば、一時停止中の前記入感したチャンネル番号を、前記一時的スキップメモリに記憶させると同時に、該当する計時カウンタをクリアして、スキャンを次のメモリチャンネルに進める。
VFOモードでは、一時的スキップメモリへの書き込み登録処理は、表1のNo.1からNo.2、No.3、・・・・と順に書き込み登録する。表1の例では、90秒前に433.200を書き込み、10秒前に433.260を書き込み登録した例を示している。
上記書き込み登録の時点で、全ての一時的スキップメモリが既に書き込まれている場合には、最も古いNo.1の登録内容を削除し、No.2〜No.5の情報を計時カウンタのカウンタ値を、No.1〜No.4にシフトさせ、空いたNo.5に書き込み登録する。
【0024】
前記計時処理は例えば以下のように処理する。
一定時間ごと(例えば1秒ごと)に、前記一時的スキップメモリの計時カウンタのカウント値をインクリメントさせる。
したがって、表1の状態から例えば3秒経過した時点では、No.1が93秒、No.2が13秒となる。
予め設定した所定の保持時間(例えば、5分、10分、15分の何れかを選択可能。)が経過すると、時間が経過した最も古いメモリ(この場合はNo.1)の情報を削除し、No.2以降の情報をNo.1以降にシフトさせる。
【0025】
スキャンスキップ処理の説明
VFOモードでのスキャンスキップ処理では、
基本スキップメモリに登録された周波数情報に対応した周波数をスキップする従来の動作に加えて、前記一時的スキップメモリに登録された周波数情報に対応した周波数もスキップする。
メモリモードでのスキャンスキップ処理では、
基本スキップメモリに登録されたチャンネル情報に対応したチャンネルをスキップする従来の動作に加えて、前記一時的スキップメモリに登録されたチャンネル番号と一致するチャンネルもスキップする。
デジタルレピータモードでのスキャンスキップ処理では、
基本スキップメモリに登録されたレピータ情報に対応したレピータをスキップする従来の動作に加えて、前記一時的スキップメモリに登録されたチャンネ
ルと一致するレピータもスキップする。
【0026】
以上のようにして、前記受信機によれば、スキャン動作中に、一時的にスキップさせたい周波数やチャンネルを、簡単な操作で一定期間だけスキップさせることができる。一定期間が経過した後は自動的にスキップ登録を解除しスキャン対象に戻すことにより、スキップ登録の解除を意識する必要もなく、また、スキップ登録の解除をし忘れることを防止できるという効果が得られる。