(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記のようなプレ空調の操作に加えて、例えば家庭用コンセントで充電可能な電気自動車やプラグインハイブリッド車において、車両の充電系統をコンセントに接続し充電可能な状態にしておき、遠隔操作で充電の開始や終了を認識したり管理したりすることなども、車両を使用する際の利便性を高めることができるものと考えた。このように、様々な機器を遠隔で操作したり管理したりすることにより車両を使用する際の利便性を高めることができる。
【0006】
ところで、近年、携帯機による遠隔操作によって自車両のランプ(ライト)を点灯又は点滅させて駐車場での自車両位置を確認できるようにするカーファインダー機能とも呼ばれる技術も開発されている。特に広い駐車場では、自車両の駐車位置を探すのに苦労する場合があり、自車両のランプの点灯は自車両を探しだすために夜間のみならず有効である。この場合に、点灯又は点滅させる自車両のランプには、主としてヘッドランプやポジションランプ等がある。
【0007】
一方、車両の運転席で操作するランプスイッチは、通常、回転型のスイッチであり、スイッチを1目盛り回すとポジションランプが点灯し、スイッチを更に1目盛り(合計2目盛り)回すとヘッドランプとポジションランプが点灯し、2目盛り戻せば消灯する構成になっている。また、このスイッチは、各目盛り単位で節度感が与えられており、操作した指の感覚から各目盛に回転させたことを把握することができる。
【0008】
これらの車両のランプを携帯機により遠隔操作する場合、携帯機に回転型のスイッチを用意するわけにはいかないが、例えば、スマートフォン等のタッチパネル式のディスプレイなら表示したスイッチのタッチ操作やドラッグ操作等で行なうことが考えられる。このようなスイッチでは、回転型のスイッチのように節度感を与えられないことから、1つのスイッチの移動目盛りに対応させて操作することにより、ポジションランプの点灯、ヘッドランプとポジションランプの点灯、及び、これらの消灯といった操作を設定すると誤操作を招くおそれがある。
【0009】
そこで、例えばヘッドランプとポジションランプとを別々のスイッチで操作するように構成することが考えられる。
しかし、この場合も、スマートフォン等により車両のランプを点灯や消灯させるスイッチの操作は、車両に装備されたランプスイッチの回転操作とは異なる操作になり、誤操作を招くおそれがある。例えば、車両に装備されたランプスイッチの場合、ランプスイッチを消灯ポジションにすれば、ヘッドランプもポジションランプも共に消灯するが、ヘッドランプとポジションランプとを別々のスイッチで操作する場合、両ランプを点灯させた場合には、各スイッチを操作してそれぞれ消灯させなくてはならない。このため、一方のランプの消灯忘れが発生するおそれがある。
【0010】
カーファインダー機能として遠隔操作によりランプを点灯させる場合、通常は、そのランプを目当てに車両を探し出して車両に乗り込むため、ランプを消灯させる必要はないが、自車両を探そうとして遠隔操作によりランプを点灯させた後、自車両に戻ることを止め、ランプを消灯させることが必要となる場合も考えられる。この場合、一方のランプの消灯忘れを確認せずにその場から離れてしまう可能性があり、消灯されないランプにより車両の電源の電力が無駄に消費されることになる。
【0011】
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、車両電源の電力の節約を図りながら、遠隔操作によりランプを点灯させて自車両を探し出すことができるようにした、車両のランプの遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の車両のランプの遠隔操作システムは、車両に装備された複数のランプの点灯及び消灯を制御するランプ制御装置と、前記ランプ制御装置を通じて前記複数のランプの点灯及び消灯を遠隔操作するモバイル端末機と、前記車両に装備され、前記ランプ制御装置と前記モバイル端末機との間で無線通信を処理する車載無線通信機器と、を備え、前記モバイル端末機には、前記複数のランプを個別に点灯及び消灯を操作する各スイッチが画面表示により設けられ、前記複数のスイッチのうちの何れか1つのスイッチを点灯操作すると残りのスイッチの点灯操作を禁止するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
(2)前記1つのスイッチの操作により点灯させたランプを、消灯操作がなくても設定時間が経過すると自動消灯するように構成されていることが好ましい。
(3)前記複数のランプには、ヘッドランプ及びポジションランプが含まれ、前記複数のスイッチには、前記ヘッドランプの点灯及び消灯を操作するヘッドランプスイッチ及び前記ポジションランプの点灯及び消灯を操作するポジションランプスイッチが含まれ、前記ヘッドランプスイッチの点灯操作時には、前記ヘッドランプ及び前記ポジションランプが共に点灯することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明の車両のランプの遠隔操作システムによれば、例えば車両の位置を確認する際には、モバイル端末機の複数のスイッチの何れか1つのスイッチを操作することにより車両の複数のランプの何れかを点灯及び消灯させる。この際のランプの点灯により車両の位置を確認することができる。このランプの点灯操作時には、複数のスイッチの何れか1つのスイッチを点灯操作すると残りのスイッチの点灯操作が禁止される。したがって、点灯操作した1つのスイッチを消灯操作しない限り、他のスイッチは有効に点灯操作することができない。このため、消灯忘れが発生しにくくなり、車両電源の電力を節約できる効果がある。また、複数のランプを同時に点灯させないので、この点からも車両電源の電力を節約できる効果がある。
【0015】
(2)点灯したランプを、消灯操作がなくても設定時間が経過すると自動消灯させることにより、消灯操作を忘れた場合にも、車両電源の電力を節約できる効果がある。
(3)遠隔操作の対象の複数のランプに、ヘッドランプ及びポジションランプが含まれている場合、例えば、ライトの点灯を把握し易い夜間であればポジションランプを点灯させて電力消費の大きいヘッドランプを用いることなく車両の位置を確認し、ライトの点灯を把握し難い昼間であればヘッドランプ及びポジションランプを点灯させて車両の位置を確認するなど、使い分けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面により、本発明の実施形態を説明する。
なお、本実施形態にかかる車載機器の遠隔操作システムは、車両のランプを含む複数の車載機器を遠隔操作するシステムであり、車両のランプの遠隔操作システムとしての構成も含んでいる。また、本実施形態にかかる車両は外部電源を利用して走行用バッテリへの充電を行なうことができるプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)である。
【0018】
〔システム全体構成〕
図2は本実施形態にかかる車載機器の遠隔操作システムを示す概略構成図である。
図2に示すように、この遠隔操作システムは、車両1に装備され、車載機器を制御する各制御装置(車載機器制御装置)を含んだ車両ネットワーク2と、車載機器を遠隔操作するためのモバイル端末機としての多機能携帯端末(スマートフォン)3と、車両1に装備され、車両ネットワーク2の各制御装置とスマートフォン3との間に介在し無線通信を処理する無線ルータとして機能する通信ECU(無線通信機器,EVリモートECUとも言う)4と、を備えている。
【0019】
通信ECU4と車両ネットワーク2との通信には、有線のCAN(Controller Area Network)が用いられ、通信ECU4とスマートフォン3との通信には、例えば無線のWi−Fi(wireless fidelity、登録商標)或いは3G(3rd Generation)が用いられる。ここでは、通信ECU4とスマートフォン3との通信にWi−Fiが用いられるものとする。
【0020】
車両ネットワーク2には、ノイズに強く、通信線の1本が断線しても残る線で通信が可能である特性から、CANが広く使われており、車載の通信ECU4と車両ネットワーク2との間にもCANを用いている。
通信ECU4とスマートフォン3との通信にWi−Fiを用いるのは、市販されているスマートフォンやその他のモバイルモバイル端末機にWi−Fiを利用可能なものが多く、比較的通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備をすることなく通信ができ、ランニングコストも低く抑えることができるためである。
【0021】
なお、本実施形態ではWi−Fiを用いるモバイル端末機としてスマートフォンを例示するが、Wi−Fi通信を用いる場合、スマートフォンだけでなく、Wi−Fi通信が可能であり、本遠隔操作システムのアプリケーションソフトのダウンロードが可能であれば、種々のモバイル端末機(Wi−Fiデバイス)が使用できる。
図3はこの遠隔操作システムを更に詳細に示す構成図である。
図3に示すように、車両側には、車載機器として、走行用バッテリ11Aと、補機バッテリ11Bと、エアコン装置12と、オーディオ及びカーナビシステム13と、リアデフォッガ14とが搭載されるほか、更に、ランプ類15やドアミラー16やワイパー(図示略)などの電装品等が搭載されている。なお、エアコン装置12は電動コンプレッサ12aを使用する電動タイプの装置であり、電動コンプレッサ12aの電源には、高電圧電源である走行用バッテリ11Aが使用される。
【0022】
また、車両側には、車載機器を制御する車載機器制御装置として、車両全体を制御する車両ECU21と、走行用バッテリ11Aの充電状態を制御する車載充電ECU(充電器)22と、エアコン装置12を制御するエアコンECU23と、リアデフォッガ14や、ヘッドライト(ヘッドランプ)15a及びポジションランプ15bを含むランプ類15や、ドアミラー16や各ドアの開閉スイッチ18や各ドアのロックアンロック機構(ドア施錠解錠機構)19等の電装品の作動を制御する電装品トータル制御ECU24と、パワースイッチ17の信号が入力されるパワースイッチECU25等が搭載されている。
【0023】
なお、車載機器制御装置としての各ECU21〜25,スマートフォン3及び通信ECU4は、入出力装置,記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等のメモリ)、中央処理装置(CPU)及びタイマカウンタ等を含んで構成される。
車両ECU21,車載充電ECU22及びパワースイッチECU25は電気自動車CAN(EV−CAN)51によって接続され、エアコンECU23,電装品トータル制御ECU24及びオーディオ及びカーナビシステム13は電装品CAN(SUB−CAN)52によって接続されている。また、電気自動車CAN51と電装品CAN52とは、図示しないゲートウェイやブリッジ,リピータ等の接続手段を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0024】
電装品トータルECU24には各ドアの開閉スイッチ18のオンオフ状態(開閉状態)の情報が入力され、パワースイッチECU25には、パワースイッチ17のオンオフ状態の情報が入力される。車両ECU21には、電気自動車CAN51や電装品CAN52を介して、パワースイッチECU25からのパワースイッチ17のオンオフ情報や、電装品トータル制御ECU24からのロックアンロック機構19がロック状態かアンロック状態かの情報や、各ドアの開閉スイッチ18のオンオフ状態(開閉状態)の情報が入力されるようになっている。
【0025】
車載充電ECU22は走行用バッテリ11A及び補機バッテリ11Bを充電する車載充電ユニット(図示略)を制御する。特に、本車載充電ユニットは、充電ステーション等に設備された専用充電コンセントだけでなく、家庭用コンセント等の一般電源を利用してバッテリ11A,11Bに充電することができる。また、補機バッテリ11Bは走行用バッテリ11Aの電力を用いて充電することができる。
【0026】
走行用バッテリ11Aの充電モードとしては、専用の外部急速充電器を用いる「急速充電」と、専用の200Vの外部充電器を用いる「普通充電,200V」と、家庭用コンセント等の100Vの一般電源を用いる「普通充電,100V」との各モードが設けられている。さらに、予めタイマーで充電スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて充電を行なう「タイマー充電」を行えるようになっている。なお、「タイマー充電」については、「普通充電,100V又は200V」により行われる。
【0027】
エアコン装置12は室内の空調(冷房,暖房)のほかフロントガラスへの送風も行なう。また、予めタイマーでこれらの空調スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて室内空調及びフロントガラスへの送風を行なう「タイマー空調」の作動モードが設けられている。エアコンECU23は、リアルタイムの空調制御と、タイマー空調制御とを行なうようになっている。
【0028】
したがって、空調モードとしては、室内空調に関する「空調待機中(冷房)」,「空調作動中(冷房)」,「空調待機中(暖房)」,「空調作動中(暖房)」の各モードと、フロントガラス送風に関する「空調待機中(フロントガラスへ送風)」,「空調作動中(フロントガラスへ送風)」の各モードとが設けられる。各空調待機中モードは空調スケジュールが設定されているが空調が開始されていない状態に相当する。
【0029】
電装品トータル制御ECU24は、リアデフォッガ14,ヘッドライト15aやポジションランプ15b等のランプ類15,ドアミラー16及びワイパーなどの電装品の作動を制御すると共に、これらの電装品の作動状況を把握する。したがって、この電装品トータル制御ECU24は、ヘッドライト15a及びポジションランプ15bを含むランプ類15の点灯及び消灯を制御するランプ制御装置としての機能を有している。
【0030】
通信ECU4は、送受信アンテナ部41と、キースイッチがON又はSTARTの位置でイグニッション電源と接続するIG端子42と、バッテリ電源と常時接続する+B端子43と、アース接続される接地アース端子44と、高速CAN(CAN−C)と接続されるCAN接続端子45と、充電機能を一時的に待機させるための信号WUCIを出力する充電待機信号出力部46と、電気自動車のシステムを起動させるためのWakeUp信号WUCOを出力するシステム起動信号出力部47とを備えている。
【0031】
〔スマートフォン(モバイル端末機)の表示画面〕
スマートフォン3には、本遠隔操作システムのアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させると、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、
図4に示すような画像が表示される。
図4に示すものは、ホーム画面の画像(以下、ホーム画面と言う)100であり、起動時に表示される。このホーム画面100には、上縁部領域に、画面タイトル表示(ホーム)101と更新ボタン(スイッチ)102と更新日時103とが表示され、また、下縁部領域には、ホームボタン111、タイマーボタン112、車両情報ボタン113、車両操作ボタン114、設定ボタン115の各モードを選択するモード選択ボタン(スイッチ)が表示される。
図4に示すホーム画面100は、起動時或いはホームボタン111のタッチ操作によって表示される。
【0032】
ホーム画面100のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、その上部に、充電状態120と空調状態130とが表示され、その下部に、いますぐ充電ボタン123,タイマー充電操作ボタン121及びタイマー充電設定状態122と、いますぐ空調ボタン(急速空調設定ボタン)131,タイマー空調操作ボタン132及びタイマー空調設定状態133とが表示される。
【0033】
ホーム画面100において、車両操作ボタン114をタッチ操作すると、図示しない車両操作画面(パニックアラーム)が表示され、車両操作画面において、車両操作ボタン114をタッチ操作すると、
図5に示す車両操作画面(駐車位置確認)600を表示させることができる。
図5に示す車両操作画面600には、上縁部領域に、画面タイトル表示(駐車位置確認)601と更新ボタン(スイッチ)602とが表示され、また、下縁部領域には、ホーム画面100と同様に、ホームボタン111、タイマーボタン112、車両情報ボタン113、車両操作ボタン114、設定ボタン115の各ボタン(スイッチ)が表示される。
【0034】
車両操作画面600のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、スイッチ類(スライドスイッチ)及び状態表示アイコンが表示される。
図5に示す駐車位置確認に用いる車両操作画面600の場合、ヘッドライト点灯スイッチ611をタッチしながらスライド操作(即ち、ドラッグ操作)することにより、ヘッドライト15a及びポジションランプ15bの点灯及び消灯を同時に操作することができ、ポジションランプ点灯スイッチ612をタッチしながらスライド操作(即ち、ドラッグ操作)することにより、ポジションランプ15bのみの点灯及び消灯を操作することができる。また、ホーン作動スイッチ613をタッチしながらスライド操作(即ち、ドラッグ操作)することにより、ホーンの吹鳴作動操作をすることができる。
【0035】
したがって、ヘッドライト点灯スイッチ611を操作してヘッドライト15a及びポジションランプ15bを点灯するか、或いは、ポジションランプ点灯スイッチ612を操作してポジションランプ15bを点灯することにより、離れた場所からも自車両の駐車位置を確認することができる。
この駐車位置確認に用いるヘッドライト15a及びポジションランプ15bの操作及び制御には、本システム特有の構成があり、以下、これについて詳述する。
【0036】
〔駐車位置確認のためのランプ点灯制御〕
ここで、カーファインダー機能として駐車位置確認に用いるヘッドライト15a及びポジションランプ15bの操作及びこの操作の制御に関する、本システム特有の構成について説明する。
図1は本実施形態にかかる車載機器の遠隔操作システムにおけるランプ類15(ヘッドライト15a及びポジションランプ15b)の点灯,消灯制御に着目したブロック図である。
図1に模式的に示すように、スマートフォン3には、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612が表示される。また、スマートフォン3には、通信ECU4とのWi−Fi通信により、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612の操作情報に基づいて、ランプ類15の点灯又は消灯司令信号を車両ネットワーク2内の電装品トータル制御ECU(ランプ制御装置)24に送信する制御機能(操作制御手段)620が設けられている。電装品トータル制御ECU24では、送信された指令に応じてヘッドライト15a及びポジションランプ15bの点灯及び消灯を制御する。
【0037】
ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612は、具体的には、
図5に示すように、並んで個別に設けられており、それぞれ個別に点灯又は消灯の操作をできるようになっている。
もちろん、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612を共用し、表示されたスイッチをオフ状態から一段階だけスライドすればポジションランプ15bが点灯し、スイッチを更に一段階だけスライドすればヘッドライト15aも点灯するようにして、車両に装備された回転型のスイッチに似た構成も考えられる。しかし、タッチパネル式のディスプレイに表示されたスイッチをドラッグ操作する際に、回転型のスイッチのように節度感を与えることは難しいので、1つのスイッチの移動量により、ポジションランプの点灯、ヘッドランプとポジションランプの点灯、及び、これらの消灯といった操作を設定すると誤操作を招くおそれがある。
【0038】
そこで、こうした誤操作を招かないように、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612を個別に設け、個別に操作するようにしているのである。
本システムの場合、車両1の運転席近傍に設けられたランプスイッチと同様に、ヘッドライト点灯スイッチ611を点灯操作するとヘッドライト15a及びポジションランプ15bが同時に点灯し、ポジションランプ点灯スイッチ612を点灯操作するとポジションランプ15bのみが点灯するようになっており、各スイッチ611,612を消灯操作すると点灯したヘッドライト15aやポジションランプ15bが消灯するように構成される。
【0039】
ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612の何れかを点灯操作又は消灯操作すると、操作制御手段620がこれを受けてランプ類15の点灯司令信号又は消灯司令信号を電装品トータル制御ECU(ランプ制御装置)24に送信する。また、操作制御手段620では、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612の何れかのスイッチが点灯操作されたら残りのスイッチの点灯操作を禁止する、つまり、残りのスイッチを消灯状態にロックする制御を行なうように構成されている。
【0040】
つまり、
図1に太実線で示すように、ヘッドライト点灯スイッチ611を点灯操作した状態で、
図1に太実線で示す消灯状態のポジションランプ点灯スイッチ612を、二点鎖線で示すように点灯操作しようとしても、この操作は無効となり、ポジションランプ点灯スイッチ612の表示も消灯状態にロック(保持)される。もちろん、ヘッドライト点灯スイッチ611を消灯操作すれば、ポジションランプ点灯スイッチ612の点灯操作は有効になり、ポジションランプ15bのみを点灯させることができる。
【0041】
逆に、ポジションランプ点灯スイッチ612を点灯操作した状態で、消灯状態のヘッドライト点灯スイッチ611を点灯操作しようとしても、この操作は無効となり、ヘッドライト点灯スイッチ611の表示も消灯状態にロック(保持)される。もちろん、ポジションランプ点灯スイッチ612を消灯操作すれば、ヘッドライト点灯スイッチ611の点灯操作は有効になり、ヘッドライト15a及びポジションランプ15bを同時に点灯させることができる。
【0042】
つまり、
図6(a)に示すように、ポジションランプ点灯スイッチ612を点灯操作した状態では、ポジションランプ点灯スイッチ612を消灯操作しない限り、ヘッドライト点灯スイッチ611を有効に点灯操作させることはできず、
図6(b)に示すように、ヘッドライト点灯スイッチ611を点灯操作した状態では、ヘッドライト点灯スイッチ611を消灯操作しない限り、ポジションランプ点灯スイッチ612を有効に点灯操作させることはできない。
【0043】
なお、
図1では、各スイッチ611,612を模式的に表示するが、これらのスイッチ611,612は、具体的には
図5,
図6に示すものと同様の構成である。
したがって、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612が同時に点灯位置となることがないので、例えば、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612を共に点灯させた後、片方のスイッチだけ消灯操作を忘れて、そのランプが点灯し続けるような状況を招くことはない。
【0044】
また、操作制御手段620から、ヘッドライト点灯スイッチ611又はポジションランプ点灯スイッチ612の操作信号が送られると、電装品トータル制御ECU24は、ヘッドライト15a及びポジションランプ15b、又はポジションランプ15bのみを点灯させる。この場合、電装品トータル制御ECU24は、点灯後予め設定された時間(例えば、30秒)だけ経過したら、点灯していたランプは自動的に消灯するように構成されている。
【0045】
この具体的な手法としては、スマートフォン3に内蔵されたタイマーによりランプ点灯開始後の時間をカウントし、カウント時間が設定時間に達したらヘッドライト点灯スイッチ611又はポジションランプ点灯スイッチ612を自動的に消灯位置に戻すと同時に、点灯していたヘッドライト15a又はポジションランプ15bを消灯操作する手法がある。
【0046】
また、別の手法としては、電装品トータル制御ECU24に内蔵されたタイマーによりヘッドライト点灯スイッチ611又はポジションランプ点灯スイッチ612の操作によるランプ点灯開始後の時間をカウントし、カウント時間が設定時間に達したら、ヘッドライト15a又はポジションランプ15bを消灯させ、スマートフォン3にヘッドライト点灯スイッチ611又はポジションランプ点灯スイッチ612を自動的に消灯位置に戻す信号を出力する手法もある。
【0047】
〔作用及び効果〕
本発明の一実施形態にかかる車載機器の遠隔操作システムは、上述のように構成されているので、以下のような作用及び効果を得ることができる。
普及が広まっているスマートフォン3を利用して、車両1から離れたところで、遠隔操作により車両1の様々な車載機器を操作したり監視や管理をしたりすることができる。
【0048】
特に、車両1の位置を確認する際には、スマートフォン3の操作により車両1のヘッドライト15a又はポジションランプ15bを点灯操作する。このとき操作するヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612は並んで個別に設けられており、それぞれタッチしながらのスライド操作(ドラッグ操作)により個別に点灯又は消灯の操作をできる。このため、何れかのランプを確実に選択して点灯操作又は消灯操作することができ、誤操作を招き難く、確実に操作できる効果が得られる。
【0049】
この反面、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612を個別に点灯又は消灯の操作をする構成では、両スイッチ611,612を同時に点灯位置に操作することが可能であると、両スイッチ611,612が点灯操作されているときにはそれぞれのスイッチ611,612を個別に消灯操作しなくてはならず、消し忘れを生じるおそれがある。
【0050】
例えば、車両1の位置を確認するためにポジションランプ点灯スイッチ612を点灯操作しポジションランプ15bを点灯させたが、ポジションランプ15bでは照度が足らなくて車両1の位置を確認し難いため、その後、さらに、ヘッドライト点灯スイッチ611を点灯操作した後、車両1に戻ることを止め、ランプを消灯させることが必要となる場合、スイッチ611,612の一方のスイッチのみを消灯操作し他方のスイッチの消灯操作を忘れてランプの消灯忘れを確認せずにその場から離れてしまう可能性があり、消灯されないランプにより車両1の電源の電力が無駄に消費されることになる。
【0051】
この点、本システムでは、ヘッドライト点灯スイッチ611及びポジションランプ点灯スイッチ612の一方のスイッチを点灯操作したら他方のスイッチの点灯操作を禁止するので、一方のスイッチを一旦消灯操作させなければ他方のスイッチの点灯操作を有効に行なうことができない。したがって、上記のようなランプの消し忘れを防止することができ、車両電源であるバッテリ11A,11Bの電力を節約できる効果がある。
【0052】
また、ヘッドライト15a及びポジションランプ15bのうち点灯したランプは、消灯操作がなくても設定時間が経過すると自動消灯するので、ランプを消灯することを忘れて車両1に戻らずに車両1から離れてしまった場合でも、確実にランプが消灯され、消灯されないランプによりバッテリ11A,11Bの電力が無駄に消費されることを防止でき、この点からもバッテリ11A,11Bの電力を節約できる効果がある。
【0053】
なお、車両1の位置を確認する際に、ヘッドランプ15a及びポジションランプ15bの遠隔操作を行なう場合、例えば、ライトの点灯を把握し易い夜間であればポジションランプ15bを点灯させて電力消費の大きいヘッドランプ15aを用いることなく車両1の位置を確認し、ライトの点灯を把握し難い昼間であればヘッドランプ15a及びポジションランプ15bを点灯させて車両1の位置を確認するなど、使い分けることができる。
【0054】
また、スマートフォン3と車両側の通信ECU4との通信に、Wi−Fi通信が用いられているが、Wi−Fi通信は、比較的通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備をしないで通信ができ、ランニングコストも低く抑えることができる。このため、スマートフォン3等のWi−Fiデバイスを用いて、コスト増を抑えながら、ストレスのない速度でしかも比較的長い無線通信距離(例えば、200m程度)での車載機器の遠隔操作を快適に行うことができる。また、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0055】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、かかる実施形態を適宜変更して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、自車両の位置を確認するために、ヘッドランプ15aやポジションランプ15bを点灯させる構成としているが、自車両の位置を確認するためには、これらに加えて或いはこれらに替えて、ハザードランプやターンシグナルランプ等の他のランプを使用することも可能である。また、ランプの点灯は、単なる連続点灯のみならず、点滅による点灯も有効である。
【0056】
いずれにしても、複数のランプを個別に点灯及び消灯を操作する各スイッチをスマートフォン3等の画面表示により設け、これらのうちの何れか1つのスイッチを点灯操作したら残りのスイッチの点灯操作を禁止するように構成することにより、更には、点灯したランプは、消灯操作がなくても設定時間が経過すると自動消灯するように構成することにより、ランプの消し忘れを防止して、車両1の電源の電力を節約することができる。
【0057】
また、上記の実施形態では、モバイル端末機として、いわゆるスマートフォンと呼ばれる多機能携帯端末を例示したが、モバイル端末機はこれに限るものではない。
例えば、Wi−Fi通信を利用可能なモバイル端末機としては、いわゆるタブレット型の端末(タブレットPC)も普及しており、これらも適用できる。
また、上記の実施形態では、本発明にかかる車両のランプの遠隔操作システムが、車載機器の遠隔操作システムの機能も含むものとして設けられているが、車両のランプの遠隔操作システムの機能のみを単独で備えても良い。また、上記の実施形態では、電装品トータル制御ECU24がランプ制御装置としての機能を有するものとしているが、これについても、ランプ制御装置の機能のみを単独で備えても良い。
【0058】
さらに、上記の実施形態では、Wi−Fi通信を利用する例を説明したが、利用しうる通信規格はこれに限らない。もちろん、Wi−Fi通信のように、通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備が不要であり、ランニングコストも低く抑えることができるものが好ましい。