特許第5983402号(P5983402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983402
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】短縮装置及び変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   H02M3/155 C
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-288750(P2012-288750)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-131442(P2014-131442A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 登
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−091888(JP,A)
【文献】 特開2005−192312(JP,A)
【文献】 特開2010−110193(JP,A)
【文献】 特開2011−239522(JP,A)
【文献】 特開2011−035948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号のパルス幅を短縮する短縮装置において、
前記パルス信号におけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成する生成部と、
入力電圧、及び、前記生成部が生成した閾値電圧を用いて、前記パルス幅から短縮すべき短縮幅を決定する決定部と
を備え、
前記パルス幅を前記決定部が決定した短縮幅だけ短縮するように構成してあること
を特徴とする短縮装置。
【請求項2】
前記生成部は、
ピーク値が前記デューティの大小に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成する生成回路と、
該生成回路が生成した電圧波形のピーク値を保持することによって前記閾値電圧を生成するピークホールド回路と
を有することを特徴とする請求項1に記載の短縮装置。
【請求項3】
前記生成回路は、
前記パルス信号の極性を反転する反転器と、
該反転器が極性を反転したパルス信号に基づいてオン/オフされるスイッチと、
一方の端子が該スイッチの一方の端子に接続される第1抵抗と、
一方の端子が該第1抵抗の一方の端子に接続される第2抵抗と、
該第2抵抗及びスイッチ夫々の他方の端子の間に接続されるコンデンサと
を有し、
前記スイッチ及び第1抵抗夫々の他方の端子間に所定電圧が印加され、
前記ピークホールド回路は、前記コンデンサの両端子間の電圧波形のピーク値を保持するように構成してあること
を特徴とする請求項2に記載の短縮装置。
【請求項4】
前記決定部は、
ピーク値が前記入力電圧の高低に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成する第2の生成回路を有し、
該第2の生成回路が生成した電圧波形が1周期中に前記閾値電圧以上である時間の幅を前記短縮幅に決定するように構成してあること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の短縮装置。
【請求項5】
前記第2の生成回路は、
前記パルス信号の極性を反転する第2の反転器と、
該第2の反転器が極性を反転したパルス信号に基づいてオン/オフされる第2のスイッチと、
一方の端子が該第2のスイッチの一方の端子に接続される第3抵抗と、
一方の端子が該第3抵抗の一方の端子に接続される第4抵抗と、
該第4抵抗及び第2のスイッチ夫々の他方の端子の間に接続される第2のコンデンサと
を有し、
前記第2のスイッチ及び第3抵抗夫々の他方の端子の間に入力電圧が印加され、
前記決定部は、前記第2のコンデンサの両端子間の電圧波形が1周期中に前記閾値電圧以上である時間の幅を前記短縮幅に決定するように構成してあること
を特徴とする請求項4に記載の短縮装置。
【請求項6】
コイルと、
一方の端子が前記コイルに接続される複数のスイッチと、
夫々の端子が前記複数のスイッチ中の一又は複数のスイッチ夫々における他方の端子に接続される端子対と、
前記端子対間に印加された印加電圧の大きさに応じたパルス信号を生成する生成手段と、
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の短縮装置と
を備え、
前記複数のスイッチを各別にオン/オフすることによって前記印加電圧を変換し、
前記生成部は、前記生成手段が生成したパルス信号におけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成し、
前記決定部は、変換された前記印加電圧と、前記生成部が生成した閾値電圧とを用いて、前記パルス信号のパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定し、
前記パルス幅を前記決定部が決定した短縮幅だけ短縮したパルス信号を用いて前記複数のスイッチ夫々をオン/オフするように構成してあること
を特徴とする変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス信号のパルス幅を短縮する短縮装置、及び、該短縮装置を備え、端子対間に印加された印加電圧を変換する変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリによって入力端子対間に印加された印加電圧の昇圧及び降圧を行うことによって印加電圧を変換し、変換した印加電圧を、出力電圧として出力端子対から負荷に印加する変換装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の変換装置は、コイルと、第1、第2、第3及び第4スイッチと、制御部とを備えている。第1及び第2スイッチ夫々の一方の端子はコイルの一方の端子に接続され、第3及び第4スイッチ夫々の一方の端子はコイルの他方の端子に接続されている。
【0004】
第1スイッチの他方の端子は入力端子対の一方の端子に接続され、第4スイッチの他方の端子は出力端子対の一方の端子に接続されている。入力端子対の他方の端子は、第2スイッチ、第3スイッチ及び出力端子対夫々の他方の端子に接続されている。
【0005】
制御部は、High及びLowの2値で構成される2つのPWM(Pulse Width Modulation)信号夫々を用いて第1及び第3スイッチをオン/オフする。制御部は、第1スイッチのオン/オフ制御に用いるPWM信号のHigh及びLowを反転したPWM信号を用いて第2スイッチをオン/オフし、第3スイッチをオン/オフ制御に用いるPWM信号のHigh及びLowを反転したPWM信号を用いて第4スイッチをオン/オフする。
【0006】
制御部は、以上のように第1、第2、第3及び第4スイッチをオン/オフすることによって内部に流れる電流の経路を制御し、電流の経路の制御によってコイルに流れる電流の量を調整して入力端子対間に印加された印加電圧を変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−192312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されているような変換装置では、何らかの要因、例えば負荷の抵抗値の変化によって出力電圧が所定電圧以上に上昇する可能性がある。出力電圧が所定電圧以上に上昇した場合、負荷の故障を防ぐため、即時に出力電圧を低下させることによって、所定電圧以上の出力電圧が長期間負荷に印加されること防止する必要がある。
【0009】
出力電圧を即時に低下させる方法として、出力端子間から負荷に印加される出力電圧が所定電圧以上である場合に、第1及び第3スイッチのオン/オフするために制御部が出力した2つのPWM信号夫々のパルス幅を短縮する方法が考えられる。
【0010】
この方法では、パルス幅が短縮された2つのPWM信号と、この2つのPWM信号夫々のHigh及びLowを反転した2つのPWM信号とを用いて第1、第2、第3及び第4スイッチ夫々がオン/オフされるので、昇圧による入力電圧の上昇幅の減少、及び/又は、降圧による入力電圧の下降幅の増加を行うことが可能となる。
【0011】
ここで、上昇幅の減少及び/又は下降幅の増加を適切に行うためには、第1及び第3スイッチをオン/オフするために制御部が出力した2つのPWM信号、即ち、2つのパルス信号夫々について、パルス幅をデューティに応じて適切に短縮する必要がある。
【0012】
また、複数のPWM信号を用いて複数のスイッチをオン/オフする装置においても同様に、複数のPWM信号、即ち、複数のパルス信号夫々について、パルス幅をデューティに応じて適切に短縮する必要がある。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パルス信号のパルス幅を該パルス信号のデューティに応じて適切に短縮することができる短縮装置、及び、該短縮装置を備える変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る短縮装置は、パルス信号のパルス幅を短縮する短縮装置において、前記パルス信号におけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成する生成部と、入力電圧、及び、前記生成部が生成した閾値電圧を用いて、前記パルス幅から短縮すべき短縮幅を決定する決定部とを備え、前記パルス幅を前記決定部が決定した短縮幅だけ短縮するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、パルス信号におけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧と入力電圧とを用いて、パルス信号のパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定する。そして、決定した短縮幅だけパルス信号のパルス幅を短縮する。
【0016】
従って、外部から与えられたパルス信号のデューティに応じた閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧と入力電圧とから短縮幅を決定するので、パルス信号のパルス幅は、該パルス信号のデューティに応じて適切に短縮される。
【0017】
本発明に係る短縮装置は、前記生成部は、ピーク値が前記デューティの大小に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成する生成回路と、該生成回路が生成した電圧波形のピーク値を保持することによって前記閾値電圧を生成するピークホールド回路とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、閾値電圧は、パルス信号のデューティの大小に応じてピーク値が高低となる鋸歯状の電圧波形を生成し、生成した電圧波形のピーク値を保持することによって生成される。
これにより、デューティの大小に応じた閾値電圧が容易に生成される。
【0019】
本発明に係る短縮装置は、前記生成回路は、前記パルス信号の極性を反転する反転器と、該反転器が極性を反転したパルス信号に基づいてオン/オフされるスイッチと、一方の端子が該スイッチの一方の端子に接続される第1抵抗と、一方の端子が該第1抵抗の一方の端子に接続される第2抵抗と、該第2抵抗及びスイッチ夫々の他方の端子の間に接続されるコンデンサとを有し、前記スイッチ及び第1抵抗夫々の他方の端子間に所定電圧が印加され、前記ピークホールド回路は、前記コンデンサの両端子間の電圧波形のピーク値を保持するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、生成回路では、第1抵抗の一方の端子は、第2抵抗及びスイッチ夫々の一方の端子に接続され、コンデンサは、第2抵抗及びスイッチ夫々の他方の端子の間に接続されている。スイッチ及び第1抵抗夫々の他方の端子間に所定電圧が印加される。スイッチは、反転器によって極性が反転されたパルス信号に基づいてオン/オフされる。
【0021】
スイッチがオフである場合、所定電圧の印加によってコンデンサに電荷が蓄積され、コンデンサの両端子間の電圧が時間の経過と共に上昇する。該電圧のピーク値は、スイッチがオフである期間の長短、即ち、反転器によって極性が反転される前のパルス信号のデューティの大小に応じて高低となる。
【0022】
スイッチがオンである場合、所定電圧の印加によって電流が第1抵抗及びスイッチの順に流れてコンデンサに電荷が蓄積されることはない。更に、スイッチがオンである場合、コンデンサから電流が第2抵抗及びスイッチの順に流れ、コンデンサは放電する。このため、所定電圧の印加によってコンデンサに電荷が蓄積されることがない状態で、コンデンサに蓄積されていた電荷は放出され、コンデンサの両端子間の電圧はゼロとなる。
【0023】
反転器が極性を反転したパルス信号に基づいてスイッチをオン/オフすることによって、コンデンサの両端子間の電圧波形は、鋸歯状の電圧波形となる。ピークホールド回路は、コンデンサの両端子間の電圧波形のピーク値を保持することによって閾値電圧を生成する。
【0024】
本発明に係る短縮装置は、前記決定部は、ピーク値が前記入力電圧の高低に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成する第2の生成回路を有し、該第2の生成回路が生成した電圧波形が1周期中に前記閾値電圧以上である時間の幅を前記短縮幅に決定するように構成してあることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、ピーク値が入力電圧の高低に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成し、生成した電圧波形が1周期中に閾値電圧以上である時間の幅を短縮幅に決定する。これにより、適切な短縮幅が容易に決定される。
【0026】
本発明に係る短縮装置は、前記第2の生成回路は、前記パルス信号の極性を反転する第2の反転器と、該第2の反転器が極性を反転したパルス信号に基づいてオン/オフされる第2のスイッチと、一方の端子が該第2のスイッチの一方の端子に接続される第3抵抗と、一方の端子が該第3抵抗の一方の端子に接続される第4抵抗と、該第4抵抗及び第2のスイッチ夫々の他方の端子の間に接続される第2のコンデンサとを有し、前記第2のスイッチ及び第3抵抗夫々の他方の端子の間に入力電圧が印加され、前記決定部は、前記第2のコンデンサの両端子間の電圧波形が1周期中に前記閾値電圧以上である時間の幅を前記短縮幅に決定するように構成してあることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、第2の生成回路では、第3抵抗の一方の端子は、第4抵抗及び第2のスイッチ夫々の一方の端子に接続され、第2のコンデンサは、第3抵抗及び第2のスイッチ夫々の他方の端子の間に接続されている。第2スイッチ及び第3抵抗夫々の他方の端子の間に入力電圧が印加される。第2のスイッチは、第2の反転器によって極性が反転されたパルス信号に基づいてオン/オフされる。
【0028】
第2のスイッチがオフである場合、入力電圧の印加によって第2のコンデンサに電荷が蓄積され、第2のコンデンサの両端子間の電圧が時間の経過と共に上昇する。該電圧のピーク値は、入力電圧が高い程、第2のコンデンサに電荷が素早く蓄積されて第2のコンデンサの両端子間の電圧が素早く上昇するため、入力電圧の高低に応じて高低となる。
【0029】
第2のスイッチがオンである場合、入力電圧の印加によって電流が第3抵抗及び第2のスイッチの順に流れてコンデンサに電荷が蓄積されることはない。更に、第2のスイッチがオンである場合、第2のコンデンサからも電流が第4抵抗及び第2のスイッチの順に流れ、第2のコンデンサは放電する。このため、入力電圧の印加によって第2のコンデンサに電荷が蓄積されることがない状態で、第2のコンデンサに蓄積されていた電荷は放出され、第2のコンデンサの両端子間の電圧はゼロとなる。
【0030】
第2の反転器が極性を反転したパルス信号に基づいて第2のスイッチを繰り返しオン/オフすることによって、第2のコンデンサの両端子間の電圧波形は、鋸歯状の電圧波形となる。
決定部は、第2のコンデンサの両端子間の電圧波形が1周期中に閾値電圧以上である時間の幅を短縮幅に決定する。
【0031】
本発明に係る変換装置は、コイルと、一方の端子が前記コイルに接続される複数のスイッチと、夫々の端子が前記複数のスイッチ中の一又は複数のスイッチ夫々における他方の端子に接続される端子対と、前記端子対間に印加された印加電圧の大きさに応じたパルス信号を生成する生成手段と、前述の短縮装置とを備え、前記複数のスイッチを各別にオン/オフすることによって前記印加電圧を変換し、前記生成部は、前記生成手段が生成したパルス信号におけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成し、前記決定部は、変換された前記印加電圧と、前記生成部が生成した閾値電圧とを用いて、前記パルス信号のパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定し、前記パルス幅を前記決定部が決定した短縮幅だけ短縮したパルス信号を用いて前記複数のスイッチ夫々をオン/オフするように構成してあることを特徴とする。
【0032】
本発明にあっては、複数のスイッチ夫々の一方の端子はコイルに接続され、端子対の端子夫々は複数のスイッチ中の一又は複数のスイッチ夫々における他方の端子に接続される。複数のスイッチを各別にオン/オフすることによって、端子対間に印加された印加電圧を変換する。端子対間に印加された印加電圧の大きさに応じたパルス信号を生成する。
【0033】
短縮装置では、生成したパルス信号におけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧と、変換された印加電圧とを用いて、前記パルス信号のパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定し、該パルス幅を、決定した短縮幅だけ短縮する。そして、パルス幅が短縮されたパルス信号を用いて複数のスイッチをオン/オフする。
【0034】
これにより、変換された印加電圧が所定電圧以上となった場合に、該印加電圧と、パルス信号のデューティに応じて生成される閾値電圧とを用いて該パルス信号のパルス幅は適切に短縮され、端子対間に印加された印加電圧を即時に低下させることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、パルス信号におけるデューティに応じた閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧と入力電圧とを用いてパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定するので、パルス信号のパルス幅を該パルス信号のデューティに応じて適切に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る変換装置の要部構成を示す回路図である。
図2】変換装置が行う動作の概要を説明するための説明図である。
図3】短縮装置の要部構成を示す回路図である。
図4】生成部による閾値電圧の生成を説明するための説明図である。
図5】生成回路による鋸歯状の電圧波形の生成を説明するための説明図である。
図6】短縮装置によるパルス幅の短縮を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る変換装置の要部構成を示す回路図である。この変換装置1は、車両に好適に搭載され、入力端子T1,T2及び出力端子T3,T4を備える。入力端子T1にはバッテリ2の正極端子が接続され、入力端子T2にはバッテリ2の負極端子が接続され、出力端子T3,T4間には負荷3が接続されている。
【0038】
変換装置1は、バッテリ2によって入力端子T1,T2間に印加された印加電圧の昇圧及び降圧を行い、印加電圧を変換する。入力端子T1,T2は端子対として機能する。
【0039】
変換装置1は、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧が第1電圧未満である場合、印加電圧の昇圧を反復し、昇圧した印加電圧を出力端子T3,T4から負荷3に印加する。
【0040】
変換装置1は、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧が、第1電圧よりも高い第2電圧以上である場合、印加電圧の降圧を反復し、降圧した印加電圧を出力端子T3,T4から負荷3に印加する。
【0041】
変換装置1は、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧が、第1電圧以上第2電圧未満である場合、印加電圧の昇圧及び降圧を交互に行い、昇圧の上昇幅と降圧の下降幅とを調整することによって、印加電圧を出力端子T3,T4から負荷3に印加すべき目標電圧に調整する。目標電圧は第1電圧以上第2電圧未満である。
【0042】
変換装置1は、入力端子T1,T2及び出力端子T3,T4の他に、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)11,12,13,14、反転器15,16、制御部17、短縮装置4,5、コンデンサC1及びコイルL1を備える。
【0043】
コイルL1の一方の端子には、FET11のソース、及び、FET12のドレインが接続され、コイルL1の他方の端子には、FET13のドレイン、及び、FET14のソースが接続されている。FET11のドレインは入力端子T1に接続し、FET14のドレインはコンデンサC1の一方の端子、及び、出力端子T3に接続している。入力端子T2は、FET12,13夫々のソース、コンデンサC1の他方の端子、及び、出力端子T4に接続されている。
以上のように、入力端子T1は、FET11,12,13,14中のFET11のドレインに接続され、入力端子T2は、FET11,12,13,14中のFET12,13夫々のソースに接続されている。
【0044】
FET11のゲートは、反転器15の入力端子、及び、短縮装置4に接続し、FET12のゲートは反転器15の出力端子に接続している。また、FET13のゲートは、反転器16の入力端子、及び、短縮装置5に接続し、FET14のゲートは反転器16の出力端子に接続している。短縮装置4,5夫々は出力端子T3にも接続している。
【0045】
制御部17及び短縮装置4の間には、制御部17が、High及びLowの2値で構成されたPWM信号であってパルス信号として機能する信号4aを短縮装置4に与える経路と、制御部17が基準電圧を短縮装置4に与える経路とが設けられている。
【0046】
制御部17及び短縮装置5の間には、制御部17が、信号4aと同様に、High及びLowの2値で構成されるPWM信号であってパルス信号として機能する信号5aを短縮装置5に与える経路と、制御部17が基準電圧を短縮装置5に与える経路とが設けられている。
制御部17は、更に入力端子T1に接続されている。また、出力端子T4、短縮装置4,5及び制御部17は接地されている。
【0047】
FET11,12,13,14夫々について、ゲートに一定の電圧以上の電圧が印加された場合、ドレインからソースに電流が流れ、スイッチとしてオンとなり、ゲートに印加されている電圧が一定の電圧未満である場合、ドレインからソースに電流が流れず、スイッチとしてオフとなる。FET11,12,13,14は複数のスイッチとして機能する。
【0048】
FET11,12,13,14夫々のゲートには、High及びLowの2値で構成されるPWM信号が印加される。FET11,12,13,14夫々は、ゲートに印加されたPWM信号がHighであった場合、一定の電圧以上の電圧がゲートに印加されるためにオンとなり、ゲートに印加されたPWM信号がLowであった場合、ゲートに印加される電圧が一定の電圧未満であるためにオフとなる。
【0049】
変換装置1では、FET11,12,13,14は各別にオン/オフされる。これにより、変換装置1では、FET11,13夫々がオンであり、かつ、FET12,14夫々がオフである第1状態、FET11,14夫々がオンであり、かつ、FET12,13夫々がオフである第2状態、FET12,14夫々がオンであり、かつ、FET11,13夫々がオフである第3状態が作り出される。
【0050】
変換装置1では第1状態から第2状態に遷移することによって入力端子T1,T2間に印加された印加電圧は昇圧される。
第1状態が作り出された場合、電流は、バッテリ2の正極端子から入力端子T1、FET11、コイルL1、FET13及び入力端子T2の順に流れ、バッテリ2の負極端子に戻る。このとき、コイルL1に、多量の電流が流れてエネルギーが蓄積される。
【0051】
第1状態から第2状態に遷移した場合、電流は、バッテリ2の正極端子から入力端子T1、FET11、コイルL1、FET14、出力端子T3、負荷3、出力端子T4、入力端子T2の順に流れ、バッテリ2の負極端子に戻る。
【0052】
このとき、バッテリ2は、直列に接続されているコイルL1及び負荷3に電圧を印加するため、コイルL1に流れる電流の量が低下する。コイルL1は自身に流れる電流の量を維持すべく、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧を昇圧する。昇圧された印加電圧はコンデンサC1によって平滑化され、平滑化された印加電圧は、出力端子T3,T4から負荷3に印加される。
以上のように、入力端子T1,T2間の印加電圧は昇圧され、第1状態が作り出されている期間の長短に応じて、コイルL1に流れる電流の量は大小となり、昇圧による印加電圧の上昇幅は大小となる。
【0053】
変換装置1では第3状態から第2状態に遷移することによって入力端子T1,T2間に印加された印加電圧を降圧する。
第3状態が作り出された場合、コイルL1は、蓄積してあるエネルギーを放出することによって電流を変換装置1内に流し、電流は、コイルL1からFET14、出力端子T3、負荷3、出力端子T4及びFET12の順に流れてコイルL1に戻る。この電流の量は、コイルL1に蓄積してあるエネルギーが減少するにつれて低下し、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧は降圧される。降圧された印加電圧はコンデンサC1によって平滑化され、平滑化された印加電圧は、出力端子T3,T4から負荷3に印加される。
【0054】
第3状態から第2状態に遷移した場合、電流は、バッテリ2の正極端子から入力端子T1、FET11、コイルL1、FET14、出力端子T3、負荷3、出力端子T4、入力端子T2の順に流れ、バッテリ2の負極端子に戻る。
【0055】
これにより、バッテリ2によって入力端子T1,T2間に印加された印加電圧がコイルL1を介して、コンデンサC1の両端子間に印加され、コンデンサC1によって平滑化される。コンデンサC1によって平滑化された印加電圧は出力端子T3,T4から負荷3に印加される。また、FET11,12,13,14が第2状態である間、コイルL1には電流が流れてエネルギーが蓄積される。
以上のように、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧は降圧され、第3状態が作り出されている期間の長短に応じて、コイルL1に流れる電流の量は小大となり、降圧による印加電圧の下降幅は大小となる。
【0056】
FET11,12,13,14夫々をオン/オフするためのPWM信号は制御部17によって出力される。
制御部17は、入力端子T1,T2間の印加電圧が第1電圧未満である場合、FET11,12,13,14を第1状態から第2状態へ繰り返し遷移させてFET11,12,13,14に昇圧を反復させるための信号4a,5aを生成し、生成した信号4a,5a夫々を短縮装置4,5に与える。
【0057】
制御部17は、入力端子T1,T2間の印加電圧が第2電圧以上である場合、FET11,12,13,14を第3状態から第2状態へ繰り返し遷移させてFET11,12,13,14に降圧を反復させるための信号4a,5aを生成し、生成した信号4a,5a夫々を短縮装置4,5に与える。
【0058】
制御部17は、入力端子T1,T2間の印加電圧が第1電圧以上第2電圧未満である場合、FET11,12,13,14を第1、第2、第3及び第2状態の順に繰り返し遷移させてFET11,12,13,14に昇圧及び降圧を反復させるための信号4a,5aを生成し、生成した信号4a,5a夫々を短縮装置4,5に与える。
以上のように、制御部17は、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧の大きさに応じた信号4a,5aを生成し、生成手段として機能する。
【0059】
制御部17は、更に、共通の基準電圧を短縮装置4,5夫々に与える。この基準電圧は、コイルL1に流れる電流の量の上限値、又は、出力端子T3,T4間から負荷3に印加される電圧の上限値等に基づいて設定された一定の電圧である。
【0060】
短縮装置4は、制御部17から与えられた信号4a及び基準電圧と、出力端子T3から入力された入力電圧とを用いて、信号4aのパルス幅を短縮し、信号4aのパルス幅を短縮した信号4bを生成する。
ただし、入力電圧が十分に低い場合、短縮装置4はパルス幅を短縮しないので、信号4bは信号4aと一致している。また、信号4bは、信号4aのパルス幅を短縮した信号であるため、信号4aと同様に、High及びLowの2値で構成されるPWM信号である。
【0061】
短縮装置4は、生成した信号4bをFET11のゲートに印加し、生成した信号4bを反転器15の入力端子に入力する。
反転器15は、入力端子に入力された信号4bの極性、即ち、High及びLowを反転したPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力端子からFET12のゲートに印加する。
【0062】
短縮装置5は、短縮装置4と同様に、制御部17から与えられた信号5a及び基準電圧と、出力端子T3から入力された入力電圧とを用いて、信号5aのパルス幅を短縮し、信号5aのパルス幅を短縮した信号5bを生成する。
ただし、入力電圧が十分に低い場合、短縮装置5はパルス幅を短縮することはなく、信号5bは信号5aと一致している。また、信号5bは、信号5aのパルス幅を短縮した信号であるため、信号5aと同様に、High及びLowの2値で構成されるPWM信号である。
【0063】
短縮装置5は、生成した信号5bをFET13のゲートに印加し、生成した信号5bを反転器16の入力端子に入力する。
反転器16は、入力端子に入力された信号5bの極性、即ち、High及びLowを反転したPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力端子からFET14のゲートに印加する。
【0064】
図2は、変換装置1が行う動作の概要を説明するための説明図である。図2には、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧の昇圧及び降圧を反復する場合に短縮装置4がFET11,13夫々のゲートに印加する信号4b,5bと、反転器15,16夫々がFET12,14のゲートに印加するPWM信号とが示され、High及びLow夫々を「H」及び「L」で示している。
【0065】
更に、図2では、短縮装置4,5夫々が信号4a,5aのパルス幅を短縮していない場合、即ち、信号4a,4bが一致し、かつ、信号5a,5bが一致している場合における信号4b、反転器15が出力したPWM信号、信号5b、及び、反転器16が出力したPWM信号夫々が実線で示されている。また、短縮装置4,5夫々が信号4a,5aのパルス幅を短縮した場合における信号4b,反転器15が出力したPWM信号、信号5b、及び、反転器16が出力したPWM信号夫々が破線で示されている。
【0066】
短縮装置4,5夫々がパルス幅を短縮しなかった場合と、短縮装置4,5夫々がパルス幅を短縮した場合とにおいて、信号4b、反転器15が出力したPWM信号、信号5b、及び、反転器16が出力したPWM信号夫々の波形が重なる部分は実線で示されている。
【0067】
制御部17は、実線で示されている信号4b,5bからわかるように、信号4aがHighである期間に、信号5aがHighである期間が重なるタイミングで信号4a,5a夫々を短縮装置4,5に与える。
【0068】
FET11,12,13,14夫々は、前述したように、ゲートに印加されたPWM信号がHighである場合にオンであり、ゲートに印加されたPWM信号がLowである場合にオフである。
【0069】
短縮装置4,5夫々がパルス幅を短縮していない場合、図2に示すように、FET11,12,13,14は、左側から第2、第1、第2及び第3状態の順に遷移して、第1、第2、第3及び第2状態の遷移を繰り返し、昇圧及び降圧を反復している。
【0070】
前述したように、FET11,12,13,14が第1状態である期間の長短に応じて昇圧による印加電圧の上昇幅は大小となり、FET11,12,13,14が第3状態である期間の長短に応じて降圧による印加電圧の下降幅は大小となる。
【0071】
従って、1周期中に信号5bがHighである期間の長短、即ち、信号5bのデューティの大小に応じて、コイルL1に流れる電流の量は大小となり、昇圧による印加電圧の上昇幅も大小となる。また、1周期中に信号4bがLowである期間の長短、即ち、信号4bのデューティの小大に応じて、コイルL1に流れる電流の量が小大となり、降圧による印加電圧の下降幅は大小となる。
ここで、デューティは1周期中のHighである期間の割合であり、ゼロ以上1以下の値である。
【0072】
制御部17は、入力端子T1,T2間の印加電圧が第1電圧以上第2電圧未満である場合において、印加電圧が目標電圧よりも低いとき、「信号5bのデューティ」が「1から信号4bのデューティを引いた値」よりも大きい信号4a,5aを生成し、生成した信号4a,5a夫々を短縮装置4,5に与える。
【0073】
制御部17は、入力端子T1,T2間の印加電圧が第1電圧以上第2電圧未満である場合において、印加電圧が目標電圧よりも高いとき、「信号5bのデューティ」が「1から信号4bのデューティを引いた値」よりも小さい信号4a,5aを生成し、生成した信号4a,5a夫々を短縮装置4,5に与える。
【0074】
短縮装置4は、入力電圧が一定の電圧を超えた場合、信号4aのパルス幅を短縮し、図2の破線で示す信号4bを出力する。これにより、第3状態が作り出されている期間が長くなるので、コイルL1に流れる電流の量が小さくなり、降圧による印加電圧の下降幅が大きくなる。
【0075】
また、短縮装置5は、短縮装置4と同様に、入力電圧が一定の電圧を超えた場合、信号5aのパルス幅を短縮し、図2の破線で示す信号5bを出力する。これにより、第1状態が作り出されている期間が短くなるので、コイルL1に流れる電流の量が小さくなり、昇圧による印加電圧の上昇幅が小さくなる。
【0076】
信号4a,5a夫々のパルス幅から短縮すべき短縮幅は、短縮装置4,5によって各別に決定され、信号4b,5b夫々のパルス幅は、短縮装置4,5によって各別に調整される。
【0077】
以上のように、入力電圧が一定の電圧以上である場合、昇圧による印加電圧の上昇幅と降圧による印加電圧の下降幅とが大きくなるため、出力端子T3,T4から負荷3に印加される電圧が即時に低下する。短縮装置4,5を用いることによって、コイルL1に流れる電流の量が制限され、出力端子T3,T4から負荷3に印加される電圧が制限される。
これにより、一定の電圧以上の電圧が出力端子T3,T4から負荷3に長期間印加されることがなく、負荷3の故障が防止される。
【0078】
なお、制御部17は、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧が第1電圧未満であって該印加電圧の昇圧を反復する場合、デューティが1である信号4a、言い換えると、常にHighである信号4aを生成し、生成した信号4aを短縮装置4に与える。制御部17は、印加電圧の昇圧を反復する場合、印加電圧の昇圧及び降圧を反復する場合と同様に、デューティがゼロを超えて1未満である信号5aを生成し、生成した信号5aを短縮装置5に与える。
【0079】
このとき、短縮装置4は、信号4aのパルス幅を短縮しないように構成してあり、信号4bは信号4aと一致する。このため、FET11に印加される信号4bは常にHighであり、反転器15がFET12に印加するPWM信号は常にLowである。
【0080】
従って、FET11,12,13,14は第1及び第2状態の遷移を繰り返し、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧の昇圧が反復される。制御部17は、印加電圧が第1電圧未満である場合、印加電圧及び第1電圧の差の大小に応じてデューティが大小となる信号5aを短縮装置5に与え、昇圧による印加電圧の上昇幅を大小に調整する。
昇圧を反復する場合、短縮装置5は、昇圧及び降圧を反復する場合と同様に信号5aのパルス幅を短縮し、信号5aのパルス幅を短縮した信号5bを出力する。
【0081】
また、制御部17は、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧が第2電圧以上であって該印加電圧の降圧を反復する場合、デューティがゼロである信号5a、言い換えると、常にLowである信号5aを生成し、生成した信号5aを短縮装置5に与える。制御部17は、印加電圧の降圧を反復する場合、印加電圧の昇圧及び降圧を反復する場合と同様に、デューティがゼロを超えて1未満である信号4aを生成し、生成した信号4aを短縮装置4に与える。
【0082】
このとき、短縮装置5は、信号5aのパルス幅を短縮しないように構成してあり、信号5bは信号5aと一致する。このため、FET13に印加される信号5bは常にLowであり、反転器16がFET14に印加するPWM信号は常にHighである。
【0083】
従って、FET11,12,13,14は第3及び第2状態の遷移を繰り返し、入力端子T1,T2間に印加された印加電圧の降圧が反復される。制御部17は、印加電圧が第2電圧以上である場合、印加電圧及び第2電圧の差の大小に応じてデューティが小大となる信号4aを短縮装置4に与え、降圧による印加電圧の下降幅を大小に調整する。
降圧を反復する場合、短縮装置4は、昇圧及び降圧を反復する場合と同様に信号4aのパルス幅を短縮し、信号4aのパルス幅を短縮した信号4bを出力する。
【0084】
図3は短縮装置5の要部構成を示す回路図である。以下では、短縮装置5の構成及び作用を説明する。短縮装置4の構成及び作用は短縮装置5と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0085】
短縮装置5は、生成部51、決定部52及びAND回路53を有する。生成部51は、制御部17及び短縮装置5間に設けられた2つの経路の中で、一方の経路を通じて制御部17から基準電圧を与えられ、他方の経路を通じて制御部17が生成した信号5aが与えられる。決定部52は、出力端子T3、制御部17及び生成部51に各別に接続されている。AND回路53は2つの入力端子と1つの出力端子とを有し、AND回路53の2つの入力端子夫々は制御部17及び決定部52に接続され、AND回路53の出力端子はFET13のゲートと反転器16の入力端子とに接続されている。
【0086】
生成部51は、制御部17によって与えられた基準電圧及び信号5aを用いて、信号5aにおけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧を決定部52に与える。
決定部52は、出力端子T3から入力された入力電圧、即ち、変換装置1で変換された印加電圧と、生成部51が生成した閾値電圧とを用いて、信号5aのパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定する。
【0087】
AND回路53は、制御部17から信号5aが入力され、入力された信号5aのパルス幅を、決定部52が決定した短縮幅だけ短縮し、信号5bを生成する。AND回路53は、生成した5bをFET13のゲートに印加し、生成した信号5bを反転器16の入力端子に入力する。
【0088】
これにより、FET13は信号5bのHigh及びLowに応じてオン/オフされ、反転器15によってHigh及びLowが反転された信号5bのHigh及びLowに応じてFET14はオン/オフされる。
このように、FET13,14夫々は、パルス幅を短縮幅だけ短縮した信号5bを用いてオン/オフされる。
【0089】
生成部51は、遅延回路61、生成回路62及びピークホールド回路63を有する。遅延回路61は制御部17及び生成回路62に各別に接続されている。生成回路62は、遅延回路61の他に、制御部17及びピークホールド回路63に各別に接続され、ピークホールド回路63は更に決定部52に接続している。
【0090】
遅延回路61は、制御部17から信号5aを与えられ、与えられた信号5aの時間遅延を行うことによって信号5aの位相シフトを行い、位相シフトを行った信号5aを生成回路62に与える。
生成回路62は、制御部17から基準電圧を与えられ、遅延回路61から位相シフトが行われた信号5aを与えられる。生成回路62は、制御部17及び遅延回路61夫々から与えられた基準電圧及び信号5aを用いて、ピーク値が信号5aのデューティの大小に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成し、生成した電圧波形をピークホールド回路63に与える。
【0091】
ピークホールド回路63は、生成回路62が生成した電圧波形のピーク値を保持することによって閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧を決定部52に与える。
【0092】
生成回路62は、反転器71、Nチャネル型のFET72、コンデンサC1及び抵抗R1,R2を有する。反転器71の入力端子は遅延回路61に接続され、反転器71の出力端子はFET72のゲートに接続されている。第1抵抗として機能する抵抗R1の一方の端子はFET72のドレインに接続され、抵抗R1の他方の端子は制御部17に接続されている。第2抵抗として機能する抵抗R2の一方の端子は、抵抗R1の一方の端子、及び、FET72のドレインに接続され、抵抗R2の他方の端子はコンデンサC1の一方の端子、及び、ピークホールド回路63に接続されている。FET72のソース、及び、コンデンサC1の他方の端子夫々は接地されている。
このように、コンデンサC1は、抵抗R2の他方の端子、及び、FET72のソース間に接続されている。
【0093】
反転器71の入力端子には、遅延回路61から位相シフトが行われた信号5aが入力され、反転器71は、入力端子に入力された信号5aの極性、即ち、High及びLowを反転し、High及びLowを反転したPWM信号を出力端子からFET72のゲートに印加する。
【0094】
FET72は、FET11,12,13,14夫々と同様にスイッチとして機能する。FET72のゲートに一定の電圧以上の電圧が印加された場合、ドレインからソースに電流が流れ、FET72はオンとなる。FET72のゲートに印加されている電圧が一定の電圧未満である場合、ドレインからソースに電流が流れず、FET72はオフとなる。
【0095】
反転器71が出力端子からFET72のゲートに印加したPWM信号がHighである場合、FET72のゲートには一定の電圧以上の電圧が印加されてFET72はオンとなる。反転器71が出力端子からFET72のゲートに印加したPWM信号がLowである場合、FET72のゲートに印加されている電圧は一定の電圧未満であり、FET72はオフとなる。
【0096】
FET72は、反転器71が出力端子からFET72のゲートに印加したPWM信号のHigh及びLowに従ってオン/オフされる。このように、FET72は、反転器71が極性を反転した信号5aに基づいてオン/オフされる。
【0097】
制御部17は抵抗R1の他方の端子に基準電圧を印加する。詳細に述べると、制御部17、及び、FET72のソース夫々は接地されているので、制御部17は、FET72のソース、及び、抵抗R1の他方の端子間に基準電圧を印加する。
【0098】
図4は、生成部51による閾値電圧の生成を説明するための説明図である。図4には、制御部17から遅延回路61に与えられる信号5aと、反転器71がFET72のゲートに印加するPWM信号と、生成回路62が生成する電圧波形と、ピークホールド回路63が決定部52に与える閾値電圧とが上から順に示されている。図4でも、図2と同様に、High及びLow夫々を「H」及び「L」で示している。
ここで、生成回路62が生成した電圧波形は、コンデンサC1の両端子間の電圧波形である。
【0099】
制御部17が遅延回路61に与えた信号5aは、図4に示すように、遅延回路61によって時間遅延が行われた後、反転器71によってHigh及びLowが反転される。
反転器71がFET72のゲートに印加したPWM信号がLowである場合、FET72はオフであって制御部17がFET72のソース、及び、抵抗R1の他方の端子間に基準電圧を印加しているので、コンデンサC1に電荷が蓄積され、コンデンサC1の両端子間の電圧が時間の経過と共に上昇する。従って、生成回路62が生成した図4の電圧波形が示すように、反転器71がFET72のゲートに印加したPWM信号がLowである間、コンデンサC1の両端子間の電圧が時間の経過と共に上昇する。
【0100】
反転器71がFET72のゲートに印加したPWM信号がLowからHighに切換わった場合、FET72はオンとなる。この場合、基準電圧の印加によって、電流は、制御部17から抵抗R1及びFET72の順に流れ、コンデンサC1に流れず、コンデンサC1に電荷が蓄積されることはない。このとき、更に、電流がコンデンサC1から抵抗R2及びFET72の順に流れてコンデンサC1は放電しており、コンデンサC1に蓄積してあった電荷がなくなるので、図4に示すように、コンデンサC1の両端子間の電圧はゼロに低下する。
【0101】
以上のように、コンデンサC1の両端子間の電圧は、反転器71がFET72のゲートに印加したPWM信号のHigh及びLowに応じて上昇及び低下を繰り返し、生成回路62が生成した電圧波形は鋸歯状の電圧波形となる。
【0102】
生成回路62が生成した電圧波形のピーク値は、反転器71がFET72のゲートに印加したPWM信号がLowである期間が長い程、コンデンサC1に多くの電荷が蓄積されてコンデンサC1の両端子間の電圧が高くなるため、高い。反転器71がFET72のゲートに印加したPWM信号がLowである期間は、制御部17が生成した信号5aがHighである期間に相当し、制御部17が生成した信号5aがHighである期間の長短、即ち、信号5aのデューティの大小に応じて、生成回路62が生成した電圧波形のピーク値は高低となる。
【0103】
ピークホールド回路63は、生成回路62が生成した電圧波形、即ち、コンデンサC1の両端子間の電圧波形のピーク値を保持することによって、図4に示すような閾値電圧を生成する。ピークホールド回路63は、図示しないコンデンサを有し、該コンデンサはコンデンサC1の両端子間の電圧が一定の電圧以上である場合に電荷を蓄積して、決定部52に与える閾値電圧を上昇させる。
【0104】
コンデンサC1の両端子間の電圧が一定の電圧未満である場合、ピークホールド回路63が有するコンデンサの放電によって、ピークホールド回路63は、生成回路62が生成した電圧波形のピーク値を保持する。このため、コンデンサC1の両端子間の電圧が一定の電圧未満である間、コンデンサC1に蓄積してある電荷の放出と共に、ピークホールド回路63が出力する閾値電圧は徐々に低下する。
【0105】
信号5aのデューティが1であって信号5aが常にHighである場合、反転器71がFET72のゲートに印加するPWM信号は常にLowであり、FET72はオフを維持する。この場合、コンデンサC1の両端子間の電圧は基準電圧と等しくなり、ピークホールド回路63が決定部52に与える閾値電圧は、基準電圧となり、非常に高い。
【0106】
また、信号5aのデューティがゼロであって信号5aが常にLowである場合、反転器71がFET72のゲートに印加するPWM信号は常にHighであり、FET72はオンを維持する。この場合、コンデンサC1に電荷が蓄積されることはなく、コンデンサC1の両端子間の電圧はゼロに維持され、ピークホールド回路63が比較器82に与える閾値電圧は常にゼロである。
【0107】
次に、決定部52について説明する。決定部52は生成回路81及び比較器82を有する。生成回路81は、出力端子T3、制御部17及び比較器82に各別に接続されている。比較器82は、生成部51のピークホールド回路63、及び、AND回路53の一方の入力端子にも接続されている。
【0108】
生成回路81は制御部17から信号5aを与えられる。生成回路81は、出力端子T3から入力される入力電圧と、制御部17から与えられた信号5aとを用いて、ピーク値が入力電圧の高低に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成し、第2の生成回路として機能する。生成回路81は、生成した電圧波形を比較器82に与える。
【0109】
比較器82は、ピークホールド回路63から閾値電圧を与えられ、生成回路81が生成した電圧波形が1周期中に閾値電圧以上である時間の幅を、信号5aのパルス幅を短縮すべき短縮幅に決定する。
【0110】
生成回路81は、反転器91、Nチャネル型のFET92、コンデンサC2及び抵抗R3,R4を有する。反転器91の入力端子は制御部17に接続され、反転器91の出力端子はFET92のゲートに接続されている。第3抵抗として機能する抵抗R3の一方の端子はFET92のドレインに接続され、抵抗R3の他方の端子は出力端子T3に接続されている。第4抵抗として機能する抵抗R4の一方の端子は、抵抗R3の一方の端子、及び、FET92のドレインに接続され、抵抗R4の他方の端子は、第2のコンデンサとして機能するコンデンサC2の一方の端子、及び、比較器82に接続されている。FET92のソース、及び、コンデンサC2の他方の端子夫々は接地されている。
このように、コンデンサC2は、抵抗R4の他方の端子、及び、FET92のソース間接続され、第2のコンデンサとして機能する。
【0111】
反転器91の入力端子には、制御部17から信号5aが入力され、反転器91は、入力端子に入力された信号5aの極性、即ち、High及びLowを反転し、High及びLowを反転したPWM信号を出力端子からFET92のゲートに印加する。反転器91は第2の反転器として機能する。
【0112】
FET92は、FET11,12,13,14,72夫々と同様にスイッチとして機能する。FET92のゲートに一定の電圧以上の電圧が印加された場合、ドレインからソースに電流が流れ、FET92はオンとなる。FET92のゲートに印加されている電圧が一定の電圧未満である場合、ドレインからソースに電流が流れず、FET92はオフとなる。FET92は第2のスイッチとして機能する。
【0113】
反転器91が出力端子からFET92のゲートに印加したPWM信号がHighである場合、FET92のゲートには一定の電圧以上の電圧が印加されてFET92はオンとなる。反転器91が出力端子からFET92のゲートに印加したPWM信号がLowである場合、FET92のゲートに印加されている電圧は一定の電圧未満であり、FET92はオフとなる。
【0114】
FET92は、反転器91が出力端子からFET92のゲートに印加したPWM信号のHigh及びLowに従ってオン/オフされる。このように、FET92は、反転器91が極性を反転した信号5aに基づいてオン/オフされる。
【0115】
抵抗R3の他方の端子には入力電圧が入力される。詳細に述べると、入力電圧は出力端子T3,T4間の電圧であり、出力端子T4、及び、FET92のソース夫々は接地されているので、入力電圧は、FET92のソース、及び、抵抗R3の他方の端子間に印加される。
【0116】
図5は、生成回路81による鋸歯状の電圧波形の生成を説明するための説明図である。図5には、制御部17から反転器91の入力端子に入力される信号5aと、反転器91がFET92のゲートに印加するPWM信号と、生成回路81が生成する電圧波形とが上から順に示されている。図5でも、図2及び図4と同様に、High及びLow夫々を「H」及び「L」で示している。
ここで、生成回路81が生成した電圧波形は、コンデンサC2の両端子間の電圧波形である。
【0117】
制御部17が反転器91の入力端子に入力した信号5aは、図5に示すように、反転器91によってHigh及びLowが反転される。
反転器91がFET92のゲートに印加したPWM信号がLowである場合、FET92のソース、及び、抵抗R3の他方の端子間に入力電圧が印加されているので、コンデンサC2に電荷が蓄積され、コンデンサC2の両端子間の電圧が時間の経過と共に上昇する。従って、生成回路81が生成した図5の電圧波形が示すように、反転器91がFET92のゲートに印加したPWM信号がLowである間、コンデンサC2の両端子間の電圧が時間の経過と共に上昇する。
【0118】
反転器91がFET92のゲートに印加したPWM信号がLowからHighに切換わった場合、FET92はオンとなる。この場合、入力電圧の印加によって、電流は、出力端子T3から抵抗R3及びFET92の順に流れ、コンデンサC2に流れず、コンデンサC2に電荷が蓄積されることはない。このとき、更に、電流がコンデンサC2から抵抗R4及びFET92の順に流れてコンデンサC2は放電しており、コンデンサC2に蓄積してあった電荷がなくなるので、図5に示すように、コンデンサC2の両端子間の電圧はゼロに低下する。
【0119】
以上のように、コンデンサC2の両端子間の電圧は、反転器91がFET92のゲートに印加したPWM信号のHigh及びLowに応じて上昇及び低下を繰り返し、生成回路81が生成した電圧波形は鋸歯状の電圧波形となる。
【0120】
生成回路81が生成した電圧波形のピーク値は、入力電圧が高い程、コンデンサC1に素早く電荷が蓄積されてコンデンサC1の両端子間の電圧が素早く上昇するため、高い。従って、入力電圧の高低に応じて、生成回路62が生成した電圧波形のピーク値は高低となる。
【0121】
図6は、短縮装置5によるパルス幅の短縮を説明するための説明図である。図6には、ピークホールド回路63が出力する閾値電圧、及び、生成回路81が生成した電圧波形を併記した電圧波形と、比較器82がAND回路53に与える信号と、信号5a,5bとが上から順に示されている。図6でも、図2図4及び図5と同様に、High及びLow夫々を「H」及び「L」で示している。
【0122】
比較器82は、前述したように、ピークホールド回路63及び生成回路81夫々から閾値電圧及び電圧波形を与えられる。比較器82は、図6に示すように、電圧波形が閾値電圧未満である期間がHighであり、電圧波形が閾値電圧以上である期間がLowである信号をAND回路53に出力する。後述するように、生成回路81が生成した電圧波形の1周期中に、比較器82が出力した信号がLowである時間の幅が短縮幅となる。
従って、比較器82は、生成回路81が生成した電圧波形、即ち、コンデンサC2の両端子間の電圧波形が1周期中に閾値電圧以上である時間の幅を、信号5aのパルス幅から短縮すべき短縮幅に決定する。
【0123】
遅延回路61による信号5aの時間遅延によって、生成回路81が生成した電圧波形のピーク値が、閾値電圧の徐々に低下して値が比較的に安定している期間に位置するように調整されている。これにより、比較器82は適正な短縮幅を決定することができる。
【0124】
出力端子T3から生成回路81に入力される入力電圧が十分に小さい場合、生成回路81が生成した電圧波形が閾値電圧を超えることはなく、比較器82は常にHighである信号をAND回路53に与える。
【0125】
AND回路53は、比較器82が出力した信号と信号5aとが共にHighで一致する場合にHighを出力し、他の場合にはLowを出力する。これにより、信号5aがHighである時間、即ち、信号5aのパルス幅は、比較器82が出力した信号がLowである時間の幅だけ短縮され、AND回路53は、信号5aのパルス幅を短縮した信号5bをFET13のゲートに印加し、信号5bを反転器16の入力端子に入力する。
【0126】
これにより、FET11,12,13,14が第1状態である期間が短くなり、昇圧による印加電圧の上昇幅が小さくなり、出力端子T3,T4から負荷3に印加している電圧が即時に低下する。
比較器82が常にHighである信号をAND回路53に与えている場合、信号5aのパルス幅は短縮されることなく、信号5a,5bは一致する。
【0127】
なお、信号5aのデューティが1であって信号5aが常にHighである場合、前述したように、ピークホールド回路63は、制御部17が生成回路62に与えた基準電圧と一致する非常に高い閾値電圧を比較器82に与える。このため、生成回路81が生成した電圧波形が閾値電圧以上となることなく、比較器82は常にHighである信号をAND回路53に与える。従って、信号5aのデューティが1である場合、AND回路53によって、信号5aのパルス幅が短縮されることはなく、デューティが1である信号5bがAND回路53から出力される。
【0128】
また、信号5aのデューティがゼロであって信号5aが常にLowである場合、AND回路53は、制御部17から常にLowである信号5aが入力されるため、比較器82によって与えられる信号のHigh及びLowに無関係に、常にLowであって信号5aと同じ信号5bを出力する。このため、AND回路53は、信号5aが常にLowである信号である場合、信号5aのパルス幅を短縮することはない。
【0129】
短縮装置4は、前述したように、短縮装置5と同様に構成され、短縮装置4では、信号5aの代わりに信号4aが用いられる。また、短縮装置4によって、信号4aのパルス幅が短縮された信号4bはFET11のゲートに印加され、信号4bは反転器15の入力端子に入力される。
このため、FET11,12夫々は、短縮装置4の図示しない決定部が決定した短縮幅だけ信号4aのパルス幅を短縮した信号4bを用いてオン/オフされる。
【0130】
信号4aのパルス幅が短縮された場合、前述したように、FET11,12,13,14が第3状態である期間が長くなるため、降圧による印加電圧の下降幅が大きく、出力端子T3,T4から負荷3に印加している電圧が低下する。
【0131】
以上のように構成された短縮装置5(又は短縮装置4)では、信号5a(又は信号4a)のデューティに応じた閾値電圧を生成し、生成した閾値電圧と入力電圧とから短縮幅を決定するので、信号5a(又は信号4a)のパルス幅を信号5a(又は信号4a)のデューティに応じて適切に短縮することができる。
【0132】
また、生成回路62は、信号5aのデューティの大小に応じてピーク値が高低となる鋸歯状の電圧波形を生成し、ピークホールド回路63は、生成回路62が生成した電圧波形のピーク値を保持することによって閾値電圧を生成する。このため、生成部51は、信号5aのデューティの大小に応じた閾値電圧を容易に生成することができる。
短縮装置4が有する図示しない生成部についても同様の効果が得られる。
【0133】
また、生成回路81は、ピーク値が入力電圧の高低に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成し、比較器82は、生成回路81が生成した電圧波形が1周期中に閾値電圧以上である期間の幅を短縮幅に決定する。このため、決定部52は、適切な短縮幅を容易に決定することができる。
短縮装置4が有する決定部についても同様の効果が得られる。
【0134】
なお、生成回路62の構成は、反転器71、FET72、抵抗R1,R2及びコンデンサC1を有する構成に限定されず、ピーク値が信号5aのデューティの大小に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成する構成であればよい。
短縮装置4が有する生成部の図示しない生成回路についても、生成回路62の構成と同様に構成してもよい。
【0135】
更に、生成部51の構成は、遅延回路61、生成回路62及びピークホールド回路63を有する構成に限定されず、信号5aにおけるデューティの大小に応じて高低となる閾値電圧を生成する構成であればよい。
短縮装置4が有する生成部についても、生成部51の構成と同様に構成してもよい。
【0136】
また、生成回路81の構成は、反転器91、FET92、抵抗R3,R4及びコンデンサC2を有する構成に限定されず、ピーク値が入力電圧の高低に応じて高低となる鋸歯状の電圧波形を生成する構成であればよい。
短縮装置4が有する決定部の図示しない生成回路についても、生成回路81の構成と同様に構成してもよい。
【0137】
更に、決定部52の構成は、生成回路81と比較器82とを有する構成に限定されず、入力電圧、及び、生成部51が生成した閾値電圧を用いて、信号5aのパルス幅から短縮すべき短縮幅を決定する構成であればよい。
短縮装置4が有する決定部についても、決定部52の構成と同様に構成してもよい。
【0138】
また、3つ以上のPWM信号を生成する変換装置では、生成されるPWM信号の数と同じ数だけ、短縮装置4又は短縮装置5を備えればよい。これにより、変換装置1と同様に各PWM信号のパルス幅を各別に調整することができる。
【0139】
短縮装置4,5夫々が搭載される装置は、入力端子T1,T2間に印加された昇圧及び降圧を行う変換装置に限定されない。短縮装置4,5夫々は、パルス信号を用いてスイッチをオン/オフする装置、特に、複数のパルス信号を用いて複数のスイッチをオン/オフする装置に搭載してもよい。この場合であっても、短縮装置4,5夫々が適切にパルス幅を短縮し、パルス幅が短縮されたパルス信号を用いてスイッチが適切にオン/オフされる。
【0140】
また、変換装置1は、コイルL1の一方の端子に、FET11のソース、及び、FET12のドレインが接続され、コイルL1の他方の端子にFET13のドレイン、及び、FET14のソースが接続される構成に限定されない。変換装置1では、FET12の代わりに、カソードがコイルL1の一方の端子に、アノードが入力端子T2及び出力端子T4に接続されるダイオードを用い、FET14の代わりに、カソードが出力端子T3に、アノードがコイルL1の他方の端子に接続されるダイオードを用いてもよい。この場合、変換装置1は反転器15,16を備えず、短縮装置4は、生成した信号4bをFET11のゲートに印加し、短縮装置5は、生成した信号5bをFET13のゲートに印加する。
【0141】
FET11,12,13,14,71,91は、Nチャネル型に限定されず、Pチャネル型でもよい。また、変換装置1では、FET11,12,13,14,71,91の代わりにバイポーラトランジスタでもよい。
【0142】
また、制御部17が検出する端子T1,T2間の電圧は、端子T1,T2間に印加される印加電圧に限定されず、端子T1を流れる電流に対応する電圧であってもよい。また、短縮装置4,5夫々が出力端子T3から入力される入力電圧は、端子T3,T4間の電圧に限定されず、端子T3に流れる電流に対応する電圧であってもよい。
【0143】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
1 変換装置
11,12,13,14,72,92 FET
17 制御部
4,5 短縮装置
4a,5a 信号
51 生成部
52 決定部
53 AND回路
62,81 生成回路
63 ピークホールド回路
71,91 反転器
82 比較器
C1,C2 コンデンサ
L1 コイル
R1,R2,R3,R4 抵抗
T1,T2 入力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6