特許第5983403号(P5983403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5983403双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983403
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-288752(P2012-288752)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-131444(P2014-131444A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 登
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−205427(JP,A)
【文献】 特開2002−325438(JP,A)
【文献】 特開2010−273483(JP,A)
【文献】 特開2012−135211(JP,A)
【文献】 特開2007−252197(JP,A)
【文献】 特開2007−151311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設し、前記コイルに電流を通流させる前記各スイッチのオン/オフの第1組合せと、前記コイルに誘導電流を発生させる前記各スイッチのオン/オフの第2組合せとを繰返し、直列接続された2つの前記スイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する双方向昇降圧回路の制御方法において、
前記コイルに通流する電流値を検出する検出器を用意し、始動する際は、該検出器が検出した電流値が所定値に達する迄、前記各スイッチのオン/オフの第2組合せの内、オンにすべき同期整流スイッチのオンを禁止することを特徴とする双方向昇降圧回路の制御方法。
【請求項2】
コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設し、前記コイルに電流を通流させる前記各スイッチのオン/オフの第1組合せと、前記コイルに誘導電流を発生させる前記各スイッチのオン/オフの第2組合せとを繰返し、直列接続された2つの前記スイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する双方向昇降圧回路において、
前記コイルに通流する電流値を検出する検出器と、始動する際に、該検出器が検出した電流値が所定値に達したか否かを判定する手段と、該手段が所定値に達したと判定する迄、前記各スイッチのオン/オフの第2組合せの内、オンにすべき同期整流スイッチのオンを禁止する手段とを備えることを特徴とする双方向昇降圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設し、直列接続された2つのスイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動用モータを備えた電気自動車及びハイブリッド車等では、駆動用モータの電源用の高圧バッテリと、電装品用の低圧バッテリとを備えており、高圧バッテリ、低圧バッテリ及び発電機(ハイブリッド車)の間で、双方向に昇圧及び降圧が可能な双方向昇降圧回路が搭載されることがある。
このような双方向昇降圧回路では、その機能上、コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設して、コイルを中心に対称に構成されている。このような構成により、コイルに電流を通流させる各スイッチのオン/オフの組合せ動作と、コイルに誘導電流を発生させる各スイッチのオン/オフの組合せ動作とを繰返し、直列接続された2つのスイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する。
【0003】
特許文献1には、コイルと、第1の入力端及びコイル間に置かれる第1のスイッチ手段と、コイル及び第2の入力端間に置かれる第2のスイッチ手段と、コイル及び第1の出力端間に置かれる第3のスイッチ手段と、第3のスイッチ手段及び第2の出力端間に置かれる第4のスイッチ手段と、スイッチ手段を制御する制御手段とを備えたDC/DCアップダウンコンバータが開示されている。
【0004】
制御手段は、スイッチ手段を3段階変換サイクルで制御するよう構成され、第1段階では、第1のスイッチ手段及び第4のスイッチ手段は導通状態に、また、第2のスイッチ手段及び第3のスイッチ手段は非導通状態に置かれる。第2段階では、第1のスイッチ手段及び第3のスイッチ手段は導通状態に、また、第2のスイッチ手段及び第4のスイッチ手段は非導通状態に置かれ、第3段階では、第2のスイッチ手段及び第3のスイッチ手段は導通状態に、また、第1のスイッチ手段及び第4のスイッチ手段は非導通状態に置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−507997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような双方向昇降圧回路では、H型ブリッジの橋絡部のコイルを中心に入出力方向で対称に構成されているので、順方向の昇圧と逆方向の降圧とで、また、順方向の降圧と逆方向の昇圧とで、スイッチのオン/オフ制御の組合せ動作が同じであり、繰返される2つの組合せ動作の内、始動時の順序が逆になっている。その為、昇降圧の切替え時、又は電流方向の切替え時に、スイッチングのタイミング、又は外乱によっては、電流が逆流することがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、外乱に強く、安定的に確実に電流方向を切替えることができ、1つの簡単なロジック回路で双方向制御が可能な双方向昇降圧回路の制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、また、外乱に強く、安定的に確実に電流方向を切替えることができ、1つの簡単なロジック回路で双方向制御が可能な双方向昇降圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法は、コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設し、前記コイルに電流を通流させる前記各スイッチのオン/オフの第1組合せと、前記コイルに誘導電流を発生させる前記各スイッチのオン/オフの第2組合せとを繰返し、直列接続された2つの前記スイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する双方向昇降圧回路の制御方法において、前記コイルに通流する電流値を検出する検出器を用意し、始動する際は、該検出器が検出した電流値が所定値に達する迄、前記各スイッチのオン/オフの第2組合せの内、オンにすべき同期整流スイッチのオンを禁止することを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る双方向昇降圧回路は、コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設し、前記コイルに電流を通流させる前記各スイッチのオン/オフの第1組合せと、前記コイルに誘導電流を発生させる前記各スイッチのオン/オフの第2組合せとを繰返し、直列接続された2つの前記スイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する双方向昇降圧回路において、前記コイルに通流する電流値を検出する検出器と、始動する際に、該検出器が検出した電流値が所定値に達したか否かを判定する手段と、該手段が所定値に達したと判定する迄、前記各スイッチのオン/オフの第2組合せの内、オンにすべき同期整流スイッチのオンを禁止する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第1発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法、及び第2発明に係る双方向昇降圧回路では、コイルにより橋絡されたH型ブリッジの各枝にスイッチを配設してあり、コイルに電流を通流させる各スイッチのオン/オフの第1組合せと、コイルに誘導電流を発生させる各スイッチのオン/オフの第2組合せとを繰返し、直列接続された2つのスイッチの両端に印加された電圧を昇圧又は降圧する。検出器が、コイルに通流する電流値を検出し、始動する際に、判定する手段が、検出器が検出した電流値が所定値に達したか否かを判定する。判定する手段が所定値に達したと判定する迄、禁止する手段が、各スイッチのオン/オフの第2組合せの内、オンにすべき同期整流スイッチのオンを禁止する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法によれば、外乱に強く、安定的に確実に電流方向を切替えることができ、1つの簡単なロジック回路で双方向制御が可能な低部品コストの双方向昇降圧回路の制御方法を実現することができる。
【0013】
本発明に係る双方向昇降圧回路によれば、外乱に強く、安定的に確実に電流方向を切替えることができ、1つの簡単なロジック回路で双方向制御が可能な低部品コストの双方向昇降圧回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示す昇降圧制御部の内部構成例を示すブロック図である。
図3】本発明に係る双方向昇降圧回路の実施の形態の大略動作を示すフローチャートである。
図4】昇降圧制御部の動作を示すタイミングチャートである。
図5】昇降圧制御部の動作を示すタイミングチャートである。
図6】双方向昇降圧回路の動作例を示す説明図である。
図7】双方向昇降圧回路の動作例を示す説明図である。
図8】双方向昇降圧回路の動作例を示す説明図である。
図9】双方向昇降圧回路の動作例を示す説明図である。
図10】本発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路の実施の形態の昇降圧制御部の内部構成例を示すブロック図である。
図11】昇降圧制御部の動作を示すタイミングチャートである。
図12】昇降圧制御部の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
この双方向昇降圧回路は、H型ブリッジを橋絡するコイルLと、H型ブリッジの各枝に配設されたスイッチSA,SB,SC,SDと備えている。スイッチSA,SBは、ハイサイドにスイッチSA、ローサイドにスイッチSBとなるように直列に接続されている。スイッチSC,SDは、ハイサイドにスイッチSD、ローサイドにスイッチSCとなるように直列に接続されている。
スイッチSA,SB,SC,SDは、Nチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor電界効果トランジスタ)であり、それぞれ寄生ダイオードが形成されている。
【0016】
スイッチSA,SBの直列回路には、平滑コンデンサ3、バッテリ2及び負荷(群)1がそれぞれ並列に接続されている。バッテリ2のプラス電極はスイッチSA側に接続されている。
スイッチSD,SCの直列回路には、平滑コンデンサ5、バッテリ6及び負荷(群)7がそれぞれ並列に接続されている。バッテリ6のプラス電極はスイッチSD側に接続されている。
【0017】
この双方向昇降圧回路は、また、コイルLに通流する電流値をその通流方向と共に検出する電流センサ(検出器)4と、電流センサ4が検出した通流方向を含む電流値を与えられ、スイッチSA,SB,SC,SDをそれぞれ個別にPWM制御(オン/オフ制御)する昇降圧制御部8とを備えている。
【0018】
昇降圧制御部8は、順方向(スイッチSA,SBが入力側)で昇圧する場合、先ず、図6Aに示すように、スイッチSA,SCをオンに、スイッチSB,SDをオフにして、コイルLに順方向の電流を通流(エネルギー供給)させる為の第1の組合せ動作をさせる。次に、図6Bに示すように、スイッチSA,SDをオンに、スイッチSB,SCをオフにして、コイルLに順方向の誘導電流を発生(同期整流)させる為の第2の組合せ動作をさせ、以後、第1組合せ動作と第2組合せ動作とを繰り返す。スイッチSAのデューティ比は例えば100%、スイッチSC,SDの各デューティ比は、入力電圧及び出力電圧の比で定まる。
【0019】
昇降圧制御部8は、順方向で降圧する場合、先ず、図7Aに示すように、スイッチSA,SDをオンに、スイッチSB,SCをオフにして、コイルLに順方向の電流を通流させる為の第1の組合せ動作をさせる。次に、図7Bに示すように、スイッチSA,SCをオフに、スイッチSB,SDをオンにして、コイルLに順方向の誘導電流を発生させる為の第2の組合せ動作をさせ、以後、第1組合せ動作と第2組合せ動作とを繰り返す。スイッチSDのデューティ比は例えば100%、スイッチSA,SBの各デューティ比は、入力電圧及び出力電圧の比で定まる。
【0020】
昇降圧制御部8は、逆方向(スイッチSD,SCが入力側)で昇圧する場合、先ず、図8Aに示すように、スイッチSA,SCをオフに、スイッチSB,SDをオンにして、コイルLに逆方向の電流を通流させる為の第1の組合せ動作をさせる。次に、図8Bに示すように、スイッチSA,SDをオンに、スイッチSB,SCをオフにして、コイルLに逆方向の誘導電流を発生させる為の第2の組合せ動作をさせ、以後、第1組合せ動作と第2組合せ動作とを繰り返す。スイッチSDのデューティ比は例えば100%、スイッチSA,SBの各デューティ比は、入力電圧及び出力電圧の比で定まる。
【0021】
昇降圧制御部8は、逆方向で降圧する場合、先ず、図9Aに示すように、スイッチSA,SDをオンに、スイッチSB,SCをオフにして、コイルLに逆方向の電流を通流させる為の第1の組合せ動作をさせる。次に、図9Bに示すように、スイッチSA,SCをオンに、スイッチSB,SDをオフにして、コイルLに逆方向の誘導電流を発生させる為の第2の組合せ動作をさせ、以後、第1組合せ動作と第2組合せ動作とを繰り返す。スイッチSAのデューティ比は例えば100%、スイッチSC,SDの各デューティ比は、入力電圧及び出力電圧の比で定まる。
【0022】
図2は、図1に示す昇降圧制御部8の内部構成例を示すブロック図である。
この昇降圧制御部8は、昇降圧方向及び出力電圧値の指示、並びにバッテリ2,6の各電圧値に基づくPWM信号PWM1,PWM2及びその各反転信号を、図示しない制御部から与えられ、制御部から別途与えられる電流方向切替え信号P2に基づき出力先を切替える切替回路10を備えている。
昇降圧制御部8は、また、切替回路10が切替え出力したPWM信号PWM1,PWM2及びその各反転信号をそれぞれ与えられるORゲート11A,11B,11C,11Dを備えている。
【0023】
切替回路10は、PWM信号PWM1、PWM1の反転信号、PWM信号PWM2及びPWM2の反転信号を、ORゲート11A、ORゲート11B、ORゲート11C及びORゲート11Dに出力する状態と、ORゲート11D、ORゲート11C、ORゲート11B及びORゲート11Aに出力する状態とに切替える。
PWM信号PWM1は、ハイサイドのスイッチSA,SDをPWM制御し、PWM信号PWM2は、ローサイドのスイッチSB,SCをPWM制御し、それぞれ昇圧降圧に応じてデューティ比が増減される。
【0024】
昇降圧制御部8は、また、ORゲート11A,11B,11C,11Dの出力信号を与えられるANDゲート12A,12B,12C,12Dを備えている。
昇降圧制御部8は、また、与えられた電流方向切替え信号P2、出力有効信号、パワー回路電流値信号及び立上完了電流値信号に基づき、コイルLの通流電流が逆流しないように、ANDゲート12A,12B,12C,12Dをオン/オフ制御する為の信号Po,Pa,Pdを出力する逆流防止回路13を備えている。
【0025】
出力有効信号は、昇降圧の開始/停止を指示する信号、パワー回路電流値信号は、電流センサ4が検出したコイルLに通流する電流値を示す信号、立上完了電流値信号は、コイルLに通流する電流が、逆流する虞がない十分な量に達したか否かを判定する為の電流値を設定する為の信号である。
信号Poは、ANDゲート12A,12B,12C,12Dに与えられ、信号Paは、ANDゲート12A,12Cに与えられ、信号Pdは、ANDゲート12B,12Dに与えられる。
【0026】
以下に、このような構成の双方向昇降圧回路の大略動作を、それを示す図3のフローチャートを参照しながら説明する。
昇降圧制御部8は、先ず、スイッチSA,SB,SC,SDをオフにしてリセットし(S1)、次いで、昇圧/降圧及び電流方向の指示信号並びに出力有効信号を受信する迄待機する(S3)。
【0027】
昇降圧制御部8は、昇圧/降圧及び電流方向の指示信号並びに出力有効信号を受信すると(S3)、スイッチSA,SB,SC,SDに指示信号に従う上述した第1の組合せ動作を実行する(S5)。次いで、スイッチSA,SB,SC,SDに指示信号に従う上述した第2の組合せ動作を実行する(S7)。但し、この際、第2の組合せ動作でオンにすべき同期整流スイッチのオンは実行しない。
次に、昇降圧制御部8は、電流センサ4が検出した電流値(パワー回路電流値)Icを読込み(S9)、読込んだパワー回路電流値Icが、逆流する虞がない十分な量に達したか否かを判定する為の電流値(立上完了電流値)Is以上であるか否かを判定する(S11)。
【0028】
昇降圧制御部8は、読込んだパワー回路電流値Icが、立上完了電流値Is以上になる迄、第1の組合せ動作(S5)、第2の組合せ動作(S7)、パワー回路電流値Icの読込み(S9)及び判定(S11)を繰り返す。
昇降圧制御部8は、読込んだパワー回路電流値Icが、立上完了電流値Is以上であると判定すると(S11)、以下、PWM信号PWM1、PWM1の反転信号、PWM信号PWM2及びPWM2の反転信号に従って、第1の組合せ動作及び第2の組合せ動作(同期整流スイッチのオンも実行)を繰り返す(S13,15)。
【0029】
昇降圧制御部8は、第1の組合せ動作及び第2の組合せ動作を繰り返している際に(S13,15)、昇圧/降圧及び電流方向の指示信号並びに出力有効信号を受信したときは(S17)、スイッチSA,SB,SC,SDをオフにしてリセットした(S19)後、第1の組合せ動作(S5)から実行する。
また、昇降圧制御部8は、昇圧/降圧の指示信号を受信したときは(S21)、リセットせずに、第1の組合せ動作(S5)から実行する。
昇降圧制御部8は、出力有効信号の停止信号を受信したときは、直ちに停止する。
【0030】
以下に、このような昇降圧制御部8の動作を更に詳細に、それを示す図4,5のタイミングチャートを参照しながら説明する。図4は、順方向(スイッチSA,SBが入力側)で昇圧又は降圧する場合の逆流防止回路13の入出力信号を示すタイミングチャートである。
【0031】
(順方向昇圧)
双方向昇降圧回路が始動する以前、電流方向切替え信号P2がHレベル(順方向)である場合(図4D)、逆流防止回路13は、信号PoをLレベルに(図4C)、信号Pd,PaをHレベルに保持している(図4E,F)。この場合、ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。
【0032】
双方向昇降圧回路が順方向で昇圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図4A)、逆流防止回路13は、先ず、信号PdをLレベルにし(図4E)、次いで、信号PoをHレベルにする(図4C)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM1,PWM2が通過可能となり、スイッチSA,SCがPWM制御される。PWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が遮断され、この場合の同期整流スイッチSB,SDがPWM信号に関わらず常時オフにされる。
【0033】
尚、上述した第1の組合せ動作及び第2の組合せ動作の一対の動作は、PWM制御に同期して、PWM制御の各周期内で実行され、PWM信号PWM1及びPWM1の反転信号の何れか、PWM信号PWM2及びPWM2の反転信号の何れかは、各周期の頭からそれぞれのデューティ比でオンに制御される。
順方向昇圧の場合、PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになるが,PWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が遮断され、オフになる。ここでは、図6A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSAはオンであるので、PWM信号PWM1のデューティ比は100%とする。
【0034】
PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになると、図6Aに示すように、コイルLに順方向に電流が通流し始める(図4B)。この状態で、PWM信号PWM2がLレベルとなっても、スイッチSB,SC,SDがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
続いて、スイッチSA,SDオンの第2組合せに入り、コイルLに蓄えられたエネルギーの働きで図6Bに示すように、スイッチSA,コイルL,スイッチSDの寄生ダイオードを通じて順方向に電流が流れる。スイッチSA,SDが常時オフにされるので、負荷7側の電圧が高くても逆方向の電流は流れない。
以下、第1組合せ動作と第2組合せ動作とが繰返され、順方向の電流が増加し、順方向に入力電圧を昇圧して出力することができる。
【0035】
逆流防止回路13は、コイルLに通流する順方向の電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図4B)、信号PdをHレベルにする(図4E)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。スイッチSB,SDがオンになることにより同期整流モードに入る。
【0036】
尚、ここでは、周期の頭から第1組合せ動作になっているが、第2組合せ動作から開始しても、順方向電流が立ち上がるまで、スイッチSB,SDが常時オフになっている為、双方向昇降圧回路に逆方向の電流は流れない。
【0037】
(順方向降圧)
双方向昇降圧回路が始動する以前、順方向昇圧の場合と同様、電流方向切替え信号P2がHレベル(順方向)である場合(図4D)、逆流防止回路13は、信号PoをLレベルに(図4C)、信号Pd,PaをHレベルに保持している(図4E,F)。ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。
【0038】
双方向昇降圧回路が順方向で降圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図4A)、逆流防止回路13は、先ず、信号PdをLレベルにし(図4E)、次いで、信号PoをHレベルにする(図4C)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM1,PWM2が通過可能となり、スイッチSA,SCがPWM制御される。PWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が遮断され、この場合の同期整流スイッチSB,SDが常時オフにされる。
【0039】
順方向降圧の場合、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになるが、PWM信号PWM2の反転信号が遮断され、オフにされる。PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになると、図7Aに示すように、スイッチSA、コイルL、スイッチSDの順方向に電流が通流し始める(図4B)。この場合、スイッチSDはオフであるが、寄生ダイオードを通じて電流が流れる。PWM信号PWM1がオフになると、スイッチSB、SDはオフになるが、寄生ダイオードを通じて誘導電流が流れる(図4B)。PWM信号PWM2がオフであるので、スイッチSCはオフである。但し、ここでは、図7A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSDは電流を通流させるので、PWM信号PWM2の反転信号のデューティ比は100%とする。
【0040】
この状態で、PWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が遮断され、スイッチSB,SDがオフにされる為、逆方向の電流は流れない。
続いて、スイッチSA,SDオンの第2組合せ動作に移り、コイルLに蓄えられたエネルギーの働きで図7Bに示すように、スイッチSBの寄生ダイオード、コイルL、スイッチSDの寄生ダイオードを通じて順方向に電流が流れる。スイッチSB,SDが常時オフにされるので、逆方向の電流は流れない。
以下,第1組合せ動作と第2組合せ動作とが繰返され,順方向の電流が増加し,順方向に入力電圧を降圧して出力することができる。
【0041】
逆流防止回路13は、コイルLに通流する順方向の電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図4B)、信号PdをHレベルにする(図4E)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。スイッチSB,SDがオンになることにより同期整流モードに入る。
【0042】
尚、ここでは、周期の頭から第1組合せ動作になっているが,第2組合せ動作から開始しても,順方向電流が立ち上がるまで、スイッチSB,SDが常時オフになっている為、双方向昇降圧回路に逆方向の電流は流れない。
【0043】
(逆方向昇圧)
図5は、逆方向(スイッチSD,SCが入力側)で昇圧又は降圧する場合の逆流防止回路13の入出力信号を示すタイミングチャートである。
双方向昇降圧回路が始動する以前、電流方向切替え信号P2がLレベル(逆方向)である場合(図5D)、逆流防止回路13は、信号PoをLレベルに(図5C)、信号Pd,PaをHレベルに保持している(図5E,F)。ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。
【0044】
双方向昇降圧回路が逆方向で昇圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図5A)、逆流防止回路13は、先ず、信号PaをLレベルにし(図5F)、次いで、信号PoをHレベルにする(図5C)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM2,PWM1が通過可能となり、スイッチSB,SDがPWM制御される。PWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が遮断され、この場合の同期整流スイッチSA,SCが常時オフにされる。
【0045】
逆方向昇圧の場合、PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになる。PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになると、スイッチSD,SBがオンになり、図8Aに示すように、コイルLに逆方向に電流が通流し始める(図5B)。但し、ここでは、図8A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSDは電流を通流させるので、PWM信号PWM1のデューティ比は100%とする。
この状態で、PWM信号PWM1,PWM2がLレベルとなっても、スイッチSB,SC,SDがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
【0046】
続いて、スイッチSA,SDオンの第2組合せ動作に移り、コイルLに蓄えられたエネルギーの働きで図8Bに示すように、スイッチSD、コイルL、スイッチSAの寄生ダイオードを通じて逆方向に電流が流れる。スイッチSA,SCが常時オフにされるので、順方向の電流は流れない。
以下、第1組合せ動作と第2組合せ動作とが繰返され、逆方向の電流が増加し,逆方向に入力電圧を昇圧して出力することができる。
【0047】
逆流防止回路13は、コイルLに通流する逆方向の電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図5B)、信号PaをHレベルにする(図5F)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM2,PWM1の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。スイッチSA,SCがオンになることにより同期整流モードに入る。
【0048】
尚、ここでは、周期の頭から第1組合せ動作になっているが、第2組合せ動作から開始しても、逆方向電流が立ち上がるまでスイッチSB,SDが常時オフになっている為、双方向昇降圧回路に順方向の電流は流れない。
【0049】
(逆方向降圧)
双方向昇降圧回路が始動する以前、電流方向切替え信号P2がLレベル(逆方向)である場合(図5D)、逆流防止回路13は、信号PoをLレベルに(図5C)、信号Pd,PaをHレベルに保持している(図5E,F)。この場合、ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。
【0050】
双方向昇降圧回路が逆方向で降圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図5A)、逆流防止回路13は、先ず、信号PaをLレベルにし(図5F)、次いで、信号PoをHレベルにする(図5C)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM2,PWM1が通過可能となり、スイッチSB,SDがPWM制御される。PWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が遮断され、この場合の同期整流スイッチSA,SCが常時オフにされる。
逆方向降圧の場合、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになる。ここでは、図9A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSAはオンであるので、PWM信号PWM2の反転信号のデューティ比は100%とする。
【0051】
PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになると、図9Aに示すように、コイルLに逆方向に電流が通流し始める(図5B)。この状態で、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とがLレベルとなっても、スイッチSB,SC,SDがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
続いて、スイッチSA,SDオンの第2組合せ動作に移り、コイルLに蓄えられたエネルギーの働きで図8Bに示すように、スイッチSD、コイルL、スイッチSAの寄生ダイオードを通じて逆方向に電流が流れる。スイッチSA,SCが常時オフにされるので,順方向の電流は流れない。
以下,第1組合せ動作と第2組合せ動作とが繰返され、逆方向の電流が増加し、逆方向に入力電圧を降圧して出力することができる。
【0052】
逆流防止回路13は、コイルLに通流する逆方向の電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図5B)、信号PaをHレベルにする(図5F)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM2,PWM1の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。スイッチSA,SCがオンになることにより同期整流モードに入る。
【0053】
尚、ここでは、周期の頭から第1組合せ動作になっているが,第2組合せ動作から開始しても,逆方向電流が立ち上がるまでスイッチSB,SDが常時オフになっている為、双方向昇降圧回路に順方向の電流は流れない。
【0054】
(実施の形態2)
図10は、本発明に係る双方向昇降圧回路の制御方法及び双方向昇降圧回路の実施の形態の昇降圧制御部の内部構成例を示すブロック図である。
この昇降圧制御部8は、昇降圧方向及び出力電圧値の指示、並びにバッテリ2,6(図1)の各電圧値に基づくPWM信号PWM1,PWM2及びその各反転信号を、図示しない制御部から与えられ、制御部から別途与えられる電流方向切替え信号P2に基づき出力先を切替える切替回路10を備えている。
昇降圧制御部8は、また、切替回路10が切替え出力したPWM信号PWM1,PWM2及びその各反転信号をそれぞれ与えられるORゲート11A,11B,11C,11Dを備えている。
【0055】
昇降圧制御部8は、また、ORゲート11A,11B,11C,11Dの出力信号を与えられるANDゲート12A,12B,12C,12Dを備えている。
昇降圧制御部8は、また、与えられた電流方向切替え信号P2、出力有効信号、パワー回路電流値信号及び立上完了電流値信号に基づき、信号C1,C2,Poを出力するパルス生成回路14と、電流方向切替え信号P2及び信号C1が与えられるNANDゲート17とを備えている。
【0056】
昇降圧制御部8は、また、電流方向切替え信号P2が与えられ、その反転信号を出力するインバータ15と、インバータ15が出力した電流方向切替え信号P2の反転信号及び信号C2が与えられるNANDゲート16とを備えている。
NANDゲート16は信号Paを出力して、ANDゲート12A,12Cに与える。NANDゲート17は信号Pdを出力して、ANDゲート12B,12Dに与える。
【0057】
パルス生成回路14、インバータ15、NANDゲート16及びNANDゲート17は、図2に示す逆流防止回路13の一例を構成しており、信号Po,Pa,Pdの機能は、実施の形態1における信号Po,Pa,Pdの機能と同様である。本実施の形態2の双方向昇降圧回路のその他の構成は、実施の形態1で説明した双方向昇降圧回路の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
以下に、このような昇降圧制御部8の動作を、それを示す図11,12のタイミングチャートを参照しながら説明する。図11は、順方向(スイッチSA,SB(図1)が入力側)で昇圧又は降圧する場合のパルス生成回路14の入出力信号を示すタイミングチャートである。
【0059】
(順方向昇圧)
双方向昇降圧回路が始動する以前、電流方向切替え信号P2がHレベル(順方向)である場合(図11E)、パルス生成回路14は、信号PoをLレベルに(図11D)、信号C1をLレベルにしており(図11C)、その結果、信号Pd,PaはHレベルに保持されている(図11F,G)。この場合、ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。尚、信号C2は任意レベルで良い。
【0060】
双方向昇降圧回路が順方向で昇圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図11A)、パルス生成回路14は、先ず、信号C1をHレベルにして(図11C)、信号PdをLレベルにし(図11F)、次いで、信号PoをHレベルにする(図11D)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM1,PWM2が通過可能となり、スイッチSA,SCがPWM制御される。
順方向昇圧の場合、PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになる。ここでは、図6A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSAはオンであるので、PWM信号PWM1のデューティ比は100%とする。
【0061】
PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになると、図6Aに示すように、コイルLに順方向に電流が通流し始める(図11B)。この状態で、PWM信号PWM2がLレベルとなっても、スイッチSB,SC,SDがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
【0062】
パルス生成回路14は、コイルLに通流する電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図11B)、信号C1をLレベルにして(図11C)、信号PdをHレベルにする(図11F)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。その他の動作は、実施の形態1の順方向昇圧の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
(順方向降圧)
双方向昇降圧回路が始動する以前、順方向昇圧の場合と同様、電流方向切替え信号P2がHレベル(順方向)である場合(図11E)、パルス生成回路14は、信号PoをLレベルに(図11D)、信号C1をLレベルにしており(図11C)、その結果、信号Pd,PaはHレベルに保持されている(図11F,G)。ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。尚、信号C2は任意レベルで良い。
【0064】
双方向昇降圧回路が順方向で降圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図11A)、パルス生成回路14は、先ず、信号C1をHレベルにして(図11C)、信号PdをLレベルにし(図11F)、次いで、信号PoをHレベルにする(図11D)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM1,PWM2が通過可能となり、スイッチSA,SCがPWM制御される。
【0065】
順方向降圧の場合、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになる。PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになると、図7Aに示すように、コイルLに順方向に電流が通流し始める(図11B)。この場合、スイッチSDはオフであるが、寄生ダイオードを通じて電流が流れ、PWM信号PWM2がオフであるので、スイッチSCはオフである。但し、ここでは、図7A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSDは電流を通流させるので、PWM信号PWM2の反転信号のデューティ比は100%とする。
この状態で、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とがLレベルとなっても、スイッチSA,SB,SCがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
【0066】
パルス生成回路14は、コイルLに通流する電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図11B)、信号C1をLレベルにして(図11C)、信号PdをHレベルにする(図11F)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM1,PWM2の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。その他の動作は、実施の形態1の順方向降圧の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
(逆方向昇圧)
図12は、逆方向(スイッチSD,SCが入力側)で昇圧又は降圧する場合のパルス生成回路14の入出力信号を示すタイミングチャートである。
双方向昇降圧回路が始動する以前、電流方向切替え信号P2がLレベル(逆方向)である場合(図12E)、パルス生成回路14は、信号PoをLレベルに(図12D)、信号C2をLレベルにしており(図12C)、その結果、信号Pd,PaはHレベルに保持されている(図12F,G)。ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。尚、信号C1は任意レベルで良い。
【0068】
双方向昇降圧回路が逆方向で昇圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図12A)、パルス生成回路14は、先ず、信号C2をHレベルにして(図12C)、信号PaをLレベルにし(図12G)、次いで、信号PoをHレベルにする(図12D)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM2,PWM1が通過可能となり、スイッチSB,SDがPWM制御される。
【0069】
逆方向昇圧の場合、PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになる。PWM信号PWM1,PWM2が、周期の頭からオンになると、スイッチSD,SBがオンになり、図8Aに示すように、コイルLに逆方向に電流が通流し始める(図12B)。但し、ここでは、図8A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSDは電流を通流させるので、PWM信号PWM1のデューティ比は100%とする。
この状態で、PWM信号PWM1,PWM2がLレベルとなっても、スイッチSB,SC,SDがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
【0070】
パルス生成回路14は、コイルLに通流する電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図12B)、信号C2をLレベルにして(図12C)、信号PaをHレベルにする(図12G)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM2,PWM1の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。その他の動作は、実施の形態1の逆方向昇圧の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0071】
(逆方向降圧)
双方向昇降圧回路が始動する以前、電流方向切替え信号P2がLレベル(逆方向)である場合(図12E)、パルス生成回路14は、信号PoをLレベルに(図12D)、信号C2をLレベルにしており(図12C)、その結果、信号Pd,PaはHレベルに保持されている(図12F,G)。この場合、ANDゲート12A,12B,12C,12Dは、Lレベル信号を出力し、スイッチSA,SB,SC,SDは全てオフになっている。尚、信号C1は任意レベルで良い。
【0072】
双方向昇降圧回路が逆方向で降圧する場合、出力有効信号がHレベルになり、始動を指示されると(図12A)、パルス生成回路14は、先ず、信号C2をHレベルにして(図12C)、信号PaをLレベルにし(図12G)、次いで、信号PoをHレベルにする(図12D)。これにより、ANDゲート12B,12Dは、ORゲート11B,11Dから入力されたPWM信号PWM2,PWM1が通過可能となり、スイッチSB,SDがPWM制御される。
逆方向降圧の場合、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになる。ここでは、図9A,Bに示すように、第1組合せ及び第2組合せにおいて、スイッチSAはオンであるので、PWM信号PWM2の反転信号のデューティ比は100%とする。
【0073】
PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とが、周期の頭からオンになると、図9Aに示すように、コイルLに逆方向に電流が通流し始める(図12B)。この状態で、PWM信号PWM1とPWM信号PWM2の反転信号とがLレベルとなっても、スイッチSB,SC,SDがオフとなるので、誘導電流は発生しない。
【0074】
パルス生成回路14は、コイルLに通流する電流が増加し、設定されている立上完了電流値に達すると(図12B)、信号C2をLレベルにして(図12C)、信号PaをHレベルにする(図12G)。これにより、ANDゲート12A,12Cは、ORゲート11A,11Cから入力されたPWM信号PWM2,PWM1の各反転信号が通過可能となり、スイッチSA,SB,SC,SD全てがPWM制御される状態となる。その他の動作は、実施の形態1の逆方向降圧の動作と同様であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0075】
1,7 負荷(群)
2,6 バッテリ
3,5 平滑コンデンサ
4 電流センサ(検出器)
8 昇降圧制御部
10 切替回路
11A,11B,11C,11D ORゲート
12A,12B,12C,12D ANDゲート
13 逆流防止回路
14 パルス生成回路
15 インバータ
16,17 NANDゲート
L コイル
SA,SB,SC,SD スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12