【実施例】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施例に係る選択酸化型のVCSELの概略平面図とその断面図である。同図に示すように、本実施例のVCSEL10は、n型のGaAs基板100上に、高屈折率層と低屈折率層としてのAl組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたn型の下部分布ブラック型反射鏡(Distributed Bragg Reflector:以下、DBRという)102、下部DBR102上に形成された上部および下部スペーサ層に挟まれた量子井戸層を含む活性領域104、活性領域104上に形成されたAl組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたp型の上部DBR106を含んで構成される。
【0010】
n型の下部DBR102は、例えば、Al
0.9Ga
0.1As層とAl
0.3Ga
0.7As層との対の複数層積層体で、各層の厚さはλ/4n
r(但し、λは発振波長、n
rは媒質の屈折率)であり、これらを交互に40周期で積層してある。n型不純物であるシリコンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×10
18cm
-3である。活性領域104の下部スペーサ層は、例えば、アンドープのAl
0.6Ga
0.4As層であり、量子井戸活性層は、アンドープAl
0.11Ga
0.89As量子井戸層およびアンドープのAl
0.3Ga
0.7As障壁層であり、上部スペーサ層は、アンドープのAl
0.6Ga
0.4As層である。p型の上部DBR106は、例えば、Al
0.9Ga
0.1As層とAl
0.3Ga
0.7As層との対の複数層積層体で、各層の厚さはλ/4n
rであり、これらを交互に24周期積層してある。p型不純物であるカーボンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×10
18cm
-3である。
【0011】
下部DBR102の最上層もしくは活性領域104と近接した位置に、第1の酸化狭窄層110が形成される。第1の酸化狭窄層110は、選択的に酸化された酸化領域110Aと、酸化領域110Aによって囲まれた導電性の非酸化領域110Bとを有する。好ましい態様では、第1の酸化狭窄層110は、n型のAlAsから構成されるが、Al組成を、例えば99%程度に高くしたAlGaAsから構成されてもよい。第1の酸化狭窄層110は、主に、活性領域104で発生された光を、酸化領域110Aよりも屈折率が高い非酸化領域110B内に光を閉じ込め、基本横モードを発生させる役割を担う。勿論、第1の酸化狭窄層110は、活性領域104に注入される電子の密度を高める役割も同時に担うことも可能である。
【0012】
上部DBR106の最上層には、p型の不純物濃度が高いGaAsからなるコンタクト層106Aが形成される。また、上部DBR106の最下層もしくは活性領域104と近接する位置には、p型のAlAsからなる第2の酸化狭窄層120が形成される。第2の酸化狭窄層120は、選択的に酸化された酸化領域120Aと、酸化領域120Aによって囲まれた導電性の非酸化領域120Bとを有する。好ましい態様では、第2の酸化狭窄層110は、p型のAlAsから構成されるが、Al組成を、例えば99%程度に高くしたAlGaAsから構成されてもよい。第2の酸化狭窄層120は、主に、活性領域104へ注入されるキャリア(正孔)の注入密度が高くなるようにキャリアを狭窄する。勿論、第2の酸化狭窄層120の非酸化領域120Bの屈折率は酸化領域120Aの屈折率より高いので光閉じ込め機能を備えることも可能である。
【0013】
上部DBR106から下部DBR102に至るまで半導体層をエッチングすることにより、基板100上に円筒状のメサ(柱状構造)Mが形成される。メサMのエッチングは、少なくとも第1の酸化狭窄層110を側面に露出させる深さであればよい。第1および第2の酸化狭窄層110、120は、メサMの側面で露出され、当該側面から選択的に酸化された酸化領域110A、120Aが形成される。酸化工程において、AlAs層の酸化速度は、AlGaAs層よりも速く、メサMの側面から内部に向けてほぼ一定の速度で酸化が進行する。このため、非酸化領域110B、120Bの基板100の主面と平行な面内の平面形状は、メサMの外形を反映した円形状となり、その中心は、メサMの軸方向の中心、すなわち光軸と一致する。
【0014】
本実施例では、
図1に示すように、第1の酸化狭窄層110の非酸化領域110Bの直径Do1は、第2の酸化狭窄層120の非酸化領域120Bの直径Do2よりも小さくなるように構成される。第1の酸化狭窄層110は、基本横モード光が発生されるように光の閉じ込めを行うものであり、その直径Do1は、例えば780nmの波長帯で、約3μmである。一方、第2の酸化狭窄層120は、活性領域104に注入される電流の狭窄を行うものであり、その直径Do2は、例えば7μmである。第1および第2の酸化狭窄層110、120は、好ましくは同時に酸化されるが、その酸化速度は、その膜厚またはAl組成に依存する。例えば、AlAsの膜厚が厚いほど、その酸化速度は速くなる。このため、第1の酸化狭窄層110の膜厚は、第2の酸化狭窄層120の膜厚よりも大きく形成される。但し、下部DBR102および上部DBR106の反射率に大きな影響を与えないような膜厚であることが望ましい。例えば、第1の酸化狭窄層110は、約30μmの膜厚を有するAlAsであり、第2の酸化狭窄層120は、約20μmの膜厚を有するAlAsである。これとは別に、第1の酸化狭窄層110のAl組成を、第2の酸化狭窄層120のAl組成よりも大きくすることで、第1および第2の酸化狭窄層110、120の酸化速度に差を持たせるようにしてもよい。
【0015】
このように、光閉じ込めを第1の酸化狭窄層110で行い、電流の狭窄を第2の酸化狭窄層120で行うことで、第2の酸化狭窄層120の非酸化領域120Bを比較的大きな面積とすることができる。また、第1の酸化狭窄層110の直径Doの最適化を図ることができる。これにより、素子の低抵抗化および高出力化を図ることができる。
【0016】
また、メサMの底部、側部および頂部の周縁を覆うように層間絶縁膜130が形成される。層間絶縁膜130は、例えば窒化シリコン(SiN)等から構成される。層間絶縁膜130によって露出されたメサMの頂部には、金属製の環状のp側電極140が形成される。p側電極140は、例えば、AuまたはTi/Auなどを積層した金属から構成され、上部DBR106のコンタクト層106Aにオーミック接続される。p側電極140の中央には、光出射口を規定する円形状の開口部が形成される。好ましくは、光出射口の中心は、メサMの光軸に一致し、すなわち、非酸化領域110B、120Bの中心に略一致する。基板100の裏面には、下部DBR102と電気的に接続されるn側電極142が形成される。
【0017】
メサMの頂部にはさらに、p側電極140の光出射口を覆うように、発振波長に対して透過性の材料からなる反射率調整部材150が形成される。反射率調整部材150は、光出射口の光軸付近の中心部152よりもその周辺部の光学的損失を大きくさせるものである。好ましい態様では、反射率調整部材150は、中心部152よりも周辺部の反射率を低下させる機能を有する。中心部152は、後述するように、周辺部よりも膜厚が薄い領域であり、直径Dnで規定される領域である。反射率調整部材150は、上部DBR106の周辺部の反射率を低下させることで、高次の高次モード発振を抑制する。
【0018】
反射率調整部材150は、発振波長に対して透過する材料として、例えば、SiN、SiON、SiO
2などが用いられる。反射率調整部材150の屈折率、膜厚は、光軸近傍の中心部における上部DBR106の反射率が高くなるように、その周辺部の反射率が低くなるように選択される。好ましい態様では、中心部の膜厚は、λ×x/2n1であり、周辺部の膜厚は、λ×(y+1/2)/2n
1である。ここで、λは発振波長、x、yは自然数(0を含む)、n
1は反射率調整材料の屈折率である。例えば、上部DBR106の中心部の反射率は、99.5%、周辺部の反射率は、98.0%であり、反射率の差は、1.5%である。上部DBR106の反射率が99%以下になると、レーザ発振することは難しくなる。
【0019】
好ましい態様では、メサMが円筒状であるとき、p側電極140の光出射口も円形に形成される。これに応じて、反射率調整部材150の中心部もまた円形に形成される。反射率調整部材150の中心部152の直径Dnは、第1、第2の酸化狭窄層110、120の非酸化領域110B、120Bの直径Do1、Do2との間で、Do1<Dn、Dn<Do2である。あるいは、Do1<Do2、Dn<Do2の関係を有する。例えば、Do1を5μmとした場合、Dn=6〜8μm、Do2>9μmである。また、Do1を3μmとした場合、Dn=4〜6μm、Do2>7μmである。Do1の径の最適値は、酸化狭窄層の膜厚、構造、DBR内での位置、および発振波長によって変化するため、必ずしも一義的に決定されるものではない。また、上記の関係は、Do1≦Dn<Do2であってもよい。
【0020】
本実施例のVCSEL10によれば、反射率調整部材150の周辺部は、非酸化領域110Bの直径Do1よりも半径方向に大きい位置で発生し得る高次の高次モード発振を抑制することができ、他方、反射率調整部材150の中心部は、非酸化領域110B内に閉じ込められた基本横モード発振を促進する。
【0021】
図14は、反射率調整部材を持たない2層酸化構造のVCSELを例示している。このVCSELは、第1、第2の酸化狭窄層110、120を含み、第1の酸化狭窄層110の非酸化領域110Bの直径Do1は、単一横モード発振をさせる大きさであり、第2の酸化狭窄層120の非酸化領域120Bの直径Do2は、直径Do1よりも大きく設計されている(Do1<Do2)が、本実施例のような反射率調整部材150を備えていない。このようなVCSELにおいては、
図14(B)に示すように、非酸化領域110Bの直径Do1よりも大きい外縁付近では、垂直共振器の反射率が99%以上でありかつキャリアが存在すると発振条件が満足され、酸化径Do1の影響を受けない高次の高次モード発振Lfが優先的に発生することが判明している。すなわち、基本横モードの低次の高次モードは、酸化径Do1により効果的に抑制されるが、高次の高次モードが発振条件を満足して発振してしまう。
図14(A)は、上から見たニアフィールドパターンを模式的に表している。これに対し、
図1に示す本実施例のVCSEL10では、反射率調整部材150の周辺部の反射率は99%以下であるため、発振条件が満足されず、その結果、酸化径Do1の外縁付近の高次モード発振Lfが抑制され、他方、酸化径Do1により閉じ込められた基本横モード発振は、反射率調整部材150の中心部152の高い反射率により促進される。
【0022】
また、2層酸化構造を持たず、中心部の反射率を周辺部の反射率よりも高くして単一横モード発振を可能とする反射率変調構造を有するVCSELでは、反射率差を大きくできないため、高電流値において低次の高次モード(基本モードの次の高次モード)が発振してしまい、高出力化には適していない。さらに、基本モードが存在する領域に段差が存在するため、プロセスのバラツキ等によって損失が発生してしまい、高しきい値電流化、光出力のバラツキが生じてしまう。これに対し、本実施例のVCSELでは、2層酸化構造の一方の酸化狭窄層により基本横モードの低次の高次モード発振を抑制することができ、かつ、他方の酸化狭窄層の比較的大口径の酸化径により電流狭窄を行うため低しきい値電流化を図ることができる。さらに、反射率調整部材による段差は、基本横モードから離れた高次の高次モード発振を抑制するため、基本横モードに大きな損失を与えることが防止される。
【0023】
上記実施例では、メサMは、円筒状に形成され、非酸化領域110B、120B、p側電極140の光出射口、および反射率調整部材150の中心部150は円形状に形成される例を示したが、これは一例であって、他の形状にすることも可能である。この際、例えば、反射率調整部材150の中心部152を楕円形状にすることで、長軸方向の一部の幅が非酸化領域120Bの幅Do2よりも大きくなり得るが、楕円形状の中心部152の任意の方向の幅が非酸化領域の幅Do2よりも小さいものであれば、これは本発明の技術的範囲に属するものである。同様に、非酸化領域110Bを円形以外の形状、例えば、楕円形状としたような場合にも、非酸化領域110Bの長軸方向の一部の幅が反射率調整部材150の中心部150の幅よりも大きくなり得るが、非酸化領域110Bの任意の方向の幅が中心部150の幅よりも小さいのであれば、これは本発明の技術的範囲に属するものである。さらに、メサMは、X方向とY方向に異方性を持たせることで偏光制御を行うような場合には、楕円状などに形成されることが可能であり、第1、第2の酸化狭窄層110、120の非酸化領域110B、120Bを楕円形状とすることができる。また、p側電極140の光出射口もX方向とY方向において異方性が生じるように楕円形状やその他の異方性の形状にすることができる。
【0024】
従って、本発明は、反射率調整部材150の中心部の任意の方向の幅Dn、光閉じ込めを行う狭窄層の導電領域110Bの任意の方向の幅Do1、電流狭窄を行う狭窄層の導電領域120Bの任意の方向の幅Do2が、Do1<Do2、かつDn<Do2の関係、あるいはDo1≦Dn<Do2の関係を満足するものであればよい。
【0025】
図2は、本発明の第2の実施例に係るVCSEL10Aの概略平面図とその断面図を示す。図中、第1の実施例と同一構成については同一番号を付してある。第2の実施例に係る反射率調整部材150Aは、光出射口における中心部152Aの反射率を高くし、その周辺部の反射率が低くなるように構成される。但し、第1の実施例と異なり、反射率調整部材150Aは、中心部152Aの膜厚が周辺部の膜厚よりも厚くなるように構成される。
【0026】
好ましい態様では、反射率調整部材150Aは、発振波長に対して透過する材料として、SiN、SiON、SiO
2などの誘電体膜が用いられる。反射率調整部材150Aの膜厚は、λ×x/2n1であり、周辺部の膜厚は、λ×(y+1/2)/2n
1である。ここで、λは発振波長、x、yは自然数(0を含む)、n
1は反射率調整材料の屈折率である。反射率調整部材150Aの屈折率および膜厚を適宜調整したとき、例えば、上部DBR106の中心部の反射率は、99.6%、周辺部の反射率は、98.7%であり、反射率の差は、0.9%である。
【0027】
次に、本実施例における反射率調整部材の他の構成例を
図3を参照して説明する。第1、第2の実施例では、反射率調整部材150、150Aは、単一の材料の膜厚を異ならせることで構成されたが、反射率調整部材は、複数の材料から構成されてもよい。
図3(A)、
図3(B)の反射率調整部材150は、中心部の膜厚が周辺部の膜厚よりも薄くなる第1の実施例の変形例である。
【0028】
図3(A)では、反射率調整部材150は、第1の反射率調整材料160と、第2の反射率調整材料162から構成され、第1の反射率調整材料160は、p側電極140の円形状の光出射口の全面を覆い、その中心部を露出するように環状の第2の反射率調整部材162が積層される。第2の反射率調整材料162によって露出された領域が中心部152を規定する。第1の反射率調整材料160および第2の反射率調整材料162の材料および膜厚を適宜選択することで、中心部の反射率を高くし、周辺部の反射率を低くすることができる。この場合、周辺部の反射率は、99%以下であることが望ましい。好ましい態様では、第1の反射率調整材料160は、上部DBR106の半導体層の屈折率よりも小さい屈折率を有し、その膜厚は、発振波長の1/2の奇数倍であり、例えば、SiON、SiO
2、SiN、TiO
2などの材料が用いられる。第2の反射率調整材料162は、第1の反射率調整材料160の屈折率よりも大きな屈折率を有し、その膜厚は、発振波長の1/4の奇数倍であり、例えば、SiON、SiO
2、SiN、TiO
2などの材料が用いられる。第1の反射率調整材料160が、膜厚λ/2のSiON(屈折率=1.57)、第2の反射率調整材料162が、膜厚λ/4のSiN(屈折率=1.92)であるとき、上部DBRの中心部の反射率は、99.7%、周辺部の反射率は、98.8%、反射率差は、0.9%であった。
【0029】
図3(B)では、直径Dnを規定する第1の反射率調整材料160が光出射口上に形成され、その周辺に環状の第2の反射率調整材料162が形成される。この場合にも、第1の反射率調整材料160の屈折率、膜厚、および第2の反射率調整材料162の屈折率、膜厚を適宜選択することで、中心部の反射率を周辺部の反射率よりも高くすることができる。
【0030】
図3(C)、(D)は、中心部の膜厚が周辺部の膜厚よりも厚い第2の実施例の変形例である。
図3(C)では、反射率調整部材150は、第1の反射率調整材料160と第2の反射率調整材料162から構成され、p側電極140の円形状の光出射口を覆うように第1の反射率調整材料160が形成され、その上に、直径Dnで規定される円形状の第2の反射率調整材料162が形成される。好ましい態様では、第1の反射率調整材料160および第2の反射率調整材料162のそれぞれの膜厚は、発振波長のλ/4の奇数倍であり、第1の反射率調整材料の屈折率よりも第2の反射率調整材料の屈折率が高く、第2の反射率調整材料の屈折率よりも上部DBR106のコンタクト層の屈折率が高くされる。例えば、第1の反射率調整材料160が膜厚λ/4のSiONであり、第2の反射率調整材料162が膜厚λ/4のSiNであるとき、上部DBRの中心部の反射率は、99.7%、周辺部の反射率は、99.2%であり、反射率差は、0.5%であった。
【0031】
図3(D)では、直径Dnで規定される第1の反射率調整材料160が光出射口上に形成され、その周辺に環状の第2の反射率調整材料162が形成される。この場合にも、第1の反射率調整材料160の屈折率、膜厚、および第2の反射率調整材料162の屈折率、膜厚を適宜選択することで、中心部の反射率を周辺部の反射率よりも高くすることができる。
【0032】
図3(E)ないし(H)は、反射率調整部材150が3層構造によって構成される例を示している。
図3(E)は、
図3(A)の構成に、第3の反射率調整材料164を積層したものである。
図3(F)は、
図3(B)の構成に、第3の反射率調整材料164を積層したものである。
図3(G)は、
図3(C)の構成に、第3の反射率調整材料164を積層したものであり、
図3(H)は、
図3(D)の構成に、第3の反射率調整材料164を積層したものである。第3の反射率調整材料164は、発振波長に対し透過性のある材料から構成されるが、第1および第2の反射率調整材料160、162と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。第3の反は率調整材料164の屈折率および膜厚を適宜選択することで、中心部の反射率を周辺部の反射率よりも高くすることができる。
【0033】
次に、本発明の第3の実施例に係るVCSELを
図4(A)に示す。第3の実施例のVCSEL10Bでは、反射率調整部材150Bは、内径がDnを有する環状の誘電体膜から構成される。反射率調整部材150Bによって被覆された周辺部の反射率は、露出された中心部の反射率よりも低くなるように、反射率調整部材150Bの屈折率、膜厚が選択される。
【0034】
次に、本発明の第4の実施例に係るVCSELを
図4(B)に示す。第4の実施例のVCSEL10Cでは、反射率調整部材150Cは、直径がDnを有する円形状の誘電体膜から構成される。反射率調整部材150Cによって被覆された中心部の反射率は、反射率調整部材150Cによって露出された環状の周辺部の反射率よりも高くなるように、反射率調整部材150Cの屈折率、膜厚が選択される。
【0035】
次に、本発明の第5の実施例に係るVCSELを
図5(A)に示す。第5の実施例のVCSEL10Dでは、反射率調整部材150Dは、メサMの半導体層の中心部に溝を形成することにより構成される。好ましい態様では、コンタクト層106Aの中心部において直径Dnの円形状の溝がエッチングにより除去され、コンタクト層106Aが除去された中心部の反射率は、コンタクト層106Aが残存する周辺部の反射率よりも高くなるようにコンタクト層106Aの膜厚が選択される。
【0036】
次に、本発明の第6の実施例に係るVCSELを
図5(B)に示す。第6の実施例のVCSEL10Eでは、反射率調整部材150Eは、メサMの半導体層の周辺部に溝を形成することにより構成される。好ましい態様では、コンタクト層106Aの周辺部において環状の溝がエッチングより形成され、中心部に直径Dnの円形パターンが残存される。
中心部の反射率が周辺部の反射率よりも高くなるように、コンタクト層106Aの膜厚および溝の深さが選択される。
【0037】
次に、本発明の第7の実施例に係るVCSELを
図6に示す。第7の実施例のVCSEL10Fでは、反射率調整部材150Fは、金属材料を用いて形成される。好ましい態様では、p側電極140は、直径Dnの光出射口が形成されるようにパターニングされる。これにより、p側電極140により露出された直径Dnの中心部の反射率と比べて、p側電極140によって被覆された周辺部の反射率が小さくされる。上記例では、p側電極140により反射率調整部材150Fを構成したが、p側電極と異なる金属を用いて反射率調整部材150Fを構成するようにしてもよい。
【0038】
次に、本発明の第8の実施例に係るVCSELを
図7に示す。第8の実施例のVCSEL10Gでは、第1の実施例のときの第2の酸化狭窄層120に代えて、上部DBR106には、イオン注入により高抵抗化領域122が形成される。好ましい態様では、プロトンを一定のエネルギーで注入することで、上部DBR106内の所定の深さに環状の高抵抗化領域122が形成される。高抵抗化領域によって直径Do2の導電領域が形成される。
【0039】
次に、本発明の第9の実施例に係るVCSELを
図8に示す。第9の実施例のVCSEL10Hでは、第1の実施例のときの第2の酸化狭窄層120に代えて、上部DBR106には、トンネル接合領域124が形成される。好ましい態様では、トンネル接合領域124は、直径Do2で規定される、p型の高不純物濃度を有するp型半導体層とn型の高不純物濃度を有するn型半導体層とを含み、VCSEL10Hに順方向バイアスが印加されたとき、p型半導体層とn型半導体層には逆バイアスが印加され、活性領域104には、トンネル電流が注入される。
【0040】
次に、本発明の第10の実施例に係るVCSELを
図9に示す。第10の実施例のVCSEL10Iは、p型GaAs基板を用い、下部DBR102がp型であり、上部DBR106がn型から構成される。メサMの頂部には、n側電極142が形成され、基板裏面にはp側電極140が形成される。下部DBR102に形成される第1の酸化狭窄層110は、酸化領域110Aと、直径Do2の非酸化領域110Bとを有し、上部DBR106に形成される第2の酸化狭窄層120は、酸化領域110Aと、直径Do1の非酸化領域120Bとを有する。
【0041】
次に、本発明の第11の実施例に係るVCSELを
図10に示す。第11の実施例のVCSEL10Jは、第1の実施例のメサ型とは異なり、穴あけ(トレンチ)型により構成される。好ましい態様では、上部DBR106から下部DBR102に至るまで4つの複数の穴180がエッチングにより形成される。穴180の平面形状は、略90度の扇型であり、穴と穴との間には細長い連結部182が形成される。第1および第2の酸化狭窄層110、120は、穴180によって露出された側面から酸化され、第1の実施例のときと同様に、直径Do1の非酸化領域110A、直径Do2の非酸化領域120Bが形成される。この酸化工程において、連結部180におけるp型のAlAs、n型のAlAsも同時に酸化される。また、連結部182を介して電流がリークするのを抑制するため、プロトンイオン注入により連結部182の上部DBR106および下部DBR102の一部を高抵抗化するようにしてもよい。この場合、注入エネルギーおよびドーズ量を調整することで、連結部182の所望の範囲(例えば、図中の破線で示す範囲)を高抵抗化することが可能である。第11の実施例においても、第2の酸化狭窄層は、イオン注入による高抵抗化領域(第8の実施例)やトンネル接合領域(第9の実施例)に置き換えて構成することができる。
【0042】
次に、本発明の第12の実施例に係るVCSELを
図11に示す。第12の実施例のVCSEL10Kは、穴あけ(トレンチ)型により構成される。好ましい態様では、上部DBR106から下部DBR102に至るまで4つの複数の穴190がエッチングにより形成される。穴190の平面形状は、扇型であり、穴190は、おおよそ90度の間隔で形成され、穴と穴との間には幅広の連結部192が形成される。また、下部DBR102に形成される第1の酸化狭窄層110は、活性領域104から離れた位置に形成される。第1および第2の酸化狭窄層110、120は、穴190によって露出された側面から酸化され、第1の実施例のときと同様に、直径Do1の非酸化領域110A、直径Do2の非酸化領域120Bが形成される。この酸化工程において、連結部180は、第11の実施例と異なり、穴と穴との間に比較的大きな幅広の間隔を有しているため、連結部180のp型のAlAs、n型のAlAsの一部が酸化される。
【0043】
第12の実施例では、第1の酸化狭窄層110を活性領域104から離れた位置に形成することで、非酸化領域110Bを通る電流経路Pに加えて、酸化領域110Aの側部を通る電流経路P1が形成され、素子の低抵抗化を図ることができる。これは、連結部182が幅広であり、n型のAlAsの一部が酸化されるため、酸化されなかった領域が電流経路P1を提供する。また、連結部192を介して上部DBR106側の電流がリークするのを抑制するため、プロトンイオン注入により連結部192の上部DBR10の一部を高抵抗化するようにしてもよい。この場合、注入エネルギーおよびドーズ量を調整することで、連結部192の所望の範囲(例えば、図中の破線で示す範囲)を高抵抗化することが可能である。さらに、第1の酸化狭窄層110を活性領域104に接近させたときと比べて、非酸化領域Do1の径を、大きくすることができる。
【0044】
次に、本発明の第13の実施例に係るVCSELを
図12に示す。第13の実施例のVCSEL10Lは、メサ(ポスト)−穴あけ(トレンチ)型により構成される。好ましい態様では、少なくとも第2の酸化狭窄層120に到達する深さの円筒状のメサMが形成され、メサMの周囲に少なくとも第1の酸化狭窄層110に到達する深さの4つの穴200が形成される。穴200は、エッチングにより形成され、その平面形状は扇型を有する。穴と穴との間には、幅広の連結部202が形成される。酸化工程において、第1の酸化狭窄層110は、穴200によって露出された側面から選択的に酸化され、第2の酸化狭窄層120は、メサMによって露出された側面から選択的に酸化され、直径Do1と直径Do2の非酸化領域110B、120Bがそれぞれ形成される。
【0045】
第13の実施例においても、第1の酸化狭窄層110を活性領域104から離れた位置に形成することで、非酸化領域110Bを通る電流経路Pに加えて、酸化領域110Aの側部を通る電流経路P1が形成され、素子の低抵抗化を図ることができる。また、メサ構造とすることで、第12の実施例のように上部DBR106へのイオン注入を行う必要はない。
【0046】
次に、本発明の第14の実施例に係るVCSELを
図13に示す。第14の実施例のVCSEL10Mは、p側電極およびn側電極の双方が表面電極により構成される。
図13は、第13の実施例によるメサ(ポスト)−穴あけ(トレンチ)型のVCSELを表面電極で構成した例である。同図に示すように、GaAs基板100上に、n型のGaAsまたはAlGaAsからなるバッファ層101が形成される。この場合、GaAs基板は、半絶縁性であってもよい。バッファ層101上には、前述した実施例と同様に、下部DBR102、活性領域104および上部DBR106が積層され、下部DBR102内には第1の酸化狭窄層110が形成され、上部DBR106内には第2の酸化狭窄層120が形成される。
【0047】
また、メサMの底部の側方には、バッファ層101に至る深さの溝210が形成される。メサMを含む基板全面に層間絶縁膜130が形成され、層間絶縁膜130には、溝210を介してバッファ層101を露出させるようなコンタクトホールが形成され、n側電極142が当該コンタクトホールを介してバッファ層101に電気的に接続される。メサMの頂部において、層間絶縁膜130には、p側電極140を露出させるような環状のコンタクトホールが形成され、上部電極140Aは、当該コンタクトホールを介してp側電極140に接続される。
【0048】
次に、本発明の実施例に係るVCSELの製造方法について説明する。
図15ないし
図18は、本発明の第13の実施例に係るVCSELの製造工程を示す概略断面図である。ここで、左半分の断面図は、穴が形成されたB2−B2線方向、右半分の断面図は、穴が形成されていないC2−C2線方向を示している。
【0049】
図15(A)に示すように、n型のGaAs基板100上に、有機金属気相成長(MOCVD)法により下部DBR102、活性領域104、上部DBR106を形成する。次いで、リフトオフにより上部DBR106上に金を蒸着し、環状のp側電極140を形成する。
【0050】
次に、
図15(B)に示すように、第1の反射率調整材料160としてのSiON膜が蒸着され、公知のフォトリソ工程を用いて、環状のp側電極140の中央部を覆うようにSiON膜がパターンニングされる。このSiON膜は、光出射口を保護すると同時に、第1の反射率調整材料160として機能する。次に、
図15(C)に示すように、p側電極140およびSiON膜160を覆うように全面にSiN膜162が蒸着される。SiN膜162は、以後の工程におけるエッチングマスクとして機能すると同時に、その一部は、第2の反射率調整材料として機能する。
【0051】
次に、
図16(D)に示すように、上部DBR106を露出する開口H1、p側電極140を露出する環状の開口H2、およびSiON160を露出する開口H3が同時に形成されるように、SiN膜162がエッチングされる。SiON膜160とこの上に形成された環状のSiN膜162は、反射率調整部材150を構成する。
【0052】
次に、
図16(E)に示すように、開口H2、H3を覆うように円形状にパターンニングされたレジストRが形成される。開口H1は、露出された状態にある。次に、
図16(F)に示すように、レジストRとレジストRの外周に存在するSiN膜162をマスクに用い、開口H1を介して上部DBR106が異方性エッチングされ、活性領域104に至るトレンチ(溝)210が形成される。
【0053】
次に、
図17(G)に示すように、レジストRの外周に存在するSiN膜162の一部がエッチングにより除去され、レジストRの外周に環状の残存物162Aが形成される。次に、
図17(H)に示すように、レジストRおよび残存物162Aをエッチング用のマスクに用い、半導体層を異方性エッチングすることで、基板上に円筒状のメサMが形成される。エッチングは、少なくとも第2の酸化狭窄層に至る必要があるが、図示する例では、エッチングは活性領域104に到達するまで行われている。このエッチングと同時に、トレンチ210を介して下部DBR102に穴200(
図12を参照)が形成される。ここでは、穴200は基板100に至る深さで表されている。
【0054】
次に、
図17(I)に示すように、レジストRが除去され、次いで、酸化工程が行われる。酸化工程により、下部DBR102内に第1の酸化狭窄層110が形成され、上部DBR106内に第2の酸化狭窄層120が形成される。第1の酸化狭窄層110の非酸化領域110Bは直径Do1であり、第2の酸化狭窄層120の非酸化領域120Bは直径Do2であり、第2の反射率調整材料162の内径はDnであり、Do1<Do2、Dn<Do2、あるいはDo1≦Dn<Do2の関係が満足される。
【0055】
次に、
図18(J)に示すように、メサMの底部、側面および頂部を覆うように絶縁膜130が形成され、メサ頂部において絶縁膜130には、p側電極140を露出させるコンタクトホール132が形成される。なお、
図13に示すVCSEL10Mと異なり、ここでは、絶縁膜130は、第1の反射率調整材料160および第2の反射率調整材料162を被覆している。
【0056】
次に、p側電極140と接続される上部電極140Aがリフトオフ等によりパターン形成される。次に、
図18(L)に示すように、基板100の裏面にn側電極142が形成される。
【0057】
本実施例の製造プロセス(D)〜(I)において、反射率調整部材の中心部の直径Dnの位置と下部DBR102内の酸化狭窄層用のトレンチの穴200が一致するように同一プロセスにおいて加工を行っている。このため、直径Dnの中心と非酸化領域の直径Do1の中心が必ず合うように加工することが可能となり、直径Dnと直径Doとがセルフアライメントされる。直径Dnの中心と直径Do1の中心がずれると光損失の原因となり、単一モード発振が阻害されてしまうので、両方を一致させることはとても重要なことである。これに対して、第1の酸化狭窄層120の直径Do2は、直径Do1、直径Dnよりも大きいため、多少のずれは許容できる。
【0058】
本発明は、上記の第1ないし第14の実施例により構成することは勿論であるが、第1ないし第14の実施例を複数適宜組み合わせたり、または置換するものであってもよい。また、本発明の実施例に係るVCSELは、一例として780nmの波長帯を例示したが、発振波長は任意であり、本発明は、短波長から長波長までの発振波長において適用することが可能である。また、このようなVCSELは、レーザプリンター用の光源、光通信用の光源、光センシング用の光源などに幅広く利用することができる。また、上記実施例では、GaAs系のVCSELを例示したが、本発明は、他のIII−V族の化合物半導体を用いたVCSELにも適用することができる。さらに上記実施例では、シングルスポットのVCSELを例示したが、基板上に多数のメサ(発光部)が形成されたマルチスポットのVCSELあるいはVCSELアレイであってもよい。
【0059】
また、上記の第1ないし第14の実施例では、第1の酸化狭窄層110が活性領域104を挟んで下部DBR102側に設けられ、第2の酸化狭窄層120や第2の酸化狭窄層120に対応する構造(
図7の高抵抗領域122や
図8トンネル接合領域142等)が上部DBR106側に設けられているが、第1の酸化狭窄層110および第2の酸化狭窄層120等がともに上部DBR106側に設けられる構成であってもよい。この場合、非酸化領域の径が小さい第1の酸化狭窄層110の方が、第2の酸化狭窄層120等よりも光の出射面側に配置され、第2の酸化狭窄層120等が活性領域104に近い側に配置される構成が好ましい。
【0060】
次に、本実施例のVCSELを利用した面発光型半導体レーザ装置、光情報処理装置および光伝送装置について図面を参照して説明する。
図19(A)は、VCSELと光学部材を実装(パッケージ)した面発光型半導体レーザ装置の構成を示す断面図である。面発光型半導体レーザ装置300は、VCSELが形成されたチップ310を、導電性接着剤320を介して円盤状の金属ステム330上に固定する。導電性のリード340、342は、ステム330に形成された貫通孔(図示省略)内に挿入され、一方のリード340は、VCSELのn側電極に電気的に接続され、他方のリード342は、p側電極に電気的に接続される。チップ310を含むステム330上に矩形状の中空のキャップ350が固定され、キャップ350の中央の開口352内に光学部材のボールレンズ360が固定されている。ボールレンズ360の光軸は、チップ310のほぼ中心と一致するように位置決めされる。リード340、342間に順方向の駆動電流が印加されると、チップ310から垂直方向にレーザ光が出射される。チップ310とボールレンズ360との距離は、チップ310からのレーザ光の広がり角θ内にボールレンズ360が含まれるように調整される。また、キャップ内に、VCSELの発光状態をモニターするための受光素子や温度センサを含ませるようにしてもよい。
【0061】
図19(B)は、他の面発光型半導体レーザ装置の構成を示す図であり、同図に示す面発光型半導体レーザ装置302は、ボールレンズ360を用いる代わりに、キャップ350の中央の開口352内に平板ガラス362を固定している。平板ガラス362の中心は、チップ310のほぼ中心と一致するように位置決めされる。チップ310と平板ガラス362との距離は、平板ガラス362の開口径がチップ310からのレーザ光の広がり角度θ以上になるように調整される。
【0062】
図20は、VCSELを光情報処理装置の光源に適用した例を示す図である。光情報処理装置370は、
図19(A)または
図19(B)のようにVCSELを実装した面発光型半導体レーザ装置300または302からのレーザ光を入射するコリメータレンズ372、一定の速度で回転し、コリメータレンズ372からの光線束を一定の広がり角で反射するポリゴンミラー374、ポリゴンミラー374からのレーザ光を入射し反射ミラー378を照射するfθレンズ376、ライン状の反射ミラー378、反射ミラー378からの反射光に基づき潜像を形成する感光体ドラム(記録媒体)380を備えている。このように、VCSELからのレーザ光を感光体ドラム上に集光する光学系と、集光されたレーザ光を光体ドラム上で走査する機構とを備えた複写機やプリンターなど、光情報処理装置の光源として利用することができる。
【0063】
図21は、
図19(A)に示す面発光型半導体レーザ装置を光伝送装置に適用したときの構成を示す断面図である。光伝送装置400は、ステム330に固定された円筒状の筐体410、筐体410の端面に一体に形成されたスリーブ420、スリーブ420の開口422内に保持されるフェルール430、およびフェルール430によって保持される光ファイバ440を含んで構成される。ステム330の円周方向に形成されたフランジ332には、筐体410の端部が固定される。フェルール430は、スリーブ420の開口422に正確に位置決めされ、光ファイバ440の光軸がボールレンズ360の光軸に整合される。フェルール430の貫通孔432内に光ファイバ440の芯線が保持されている。チップ310の表面から出射されたレーザ光は、ボールレンズ360によって集光され、集光された光は、光ファイバ440の芯線に入射され、送信される。上記例ではボールレンズ360を用いているが、これ以外にも両凸レンズや平凸レンズ等の他のレンズを用いることができる。さらに、光伝送装置400は、リード340、342に電気信号を印加するための駆動回路を含むものであってもよい。さらに、光伝送装置400は、光ファイバ440を介して光信号を受信するための受信機能を含むものであってもよい。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。