(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の帯電モードは、前記帯電器が前記像保持体周面を、直流電圧に、前記第2の電圧値が前記第1の電圧値の60%以上80%以下の電圧値であって、前記第2の周波数が前記第1の周波数の60%以上80%以下の周波数である交流電圧が重畳された帯電電圧で帯電するモードであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の画像形成装置の実施形態を示す構成図である。
【0016】
図1に示す画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色毎に画像形成部10Y,10M,10C,10Kを並列的に配置してなるタンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置1では、単色の画像がプリントされるほか、4色のトナー像からなるフルカラーの画像がプリントされる。トナーカートリッジ18Y,18M,18C,18Kには、YMCK各色のトナーが収容されている。
【0017】
4つの画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、ほぼ同様の構成を有しているため、これらを代表してイエローに対応する画像形成部10Yを取り上げて説明する。また、以下の説明では、画像形成部10Yの構成要素について、符号に各色を表すYMCKの添え字を付すことを省略する。
【0018】
画像形成部10Yは、感光体ドラム11、帯電器12、露光器13、現像器14、一次転写器15、および感光体クリーナ16を備えている。
【0019】
感光体ドラム11は円筒状の基体表面に感光体層が設けられたものであり、周面に形成される像を保持して円筒の軸周りである矢印A方向に回転する。帯電器12、露光器13、現像器14、一次転写器15、および感光体クリーナ16は、感光体ドラム11の周囲に矢印Aの方向の順に配置されている。この感光体ドラム11が、本発明にいう像保持体の一例に相当する。
【0020】
帯電器12は、感光体ドラム11の周面を帯電させる装置である。帯電器12は、感光体ドラム11の周面に接触する帯電ロールである。帯電器12には、現像器14におけるトナーと同極性の直流電圧に交流電圧が重畳された帯電電圧が印加されており、接触する感光体ドラム11の周面を帯電させる。この帯電器12が、本発明にいう帯電器の一例に相当する。
【0021】
露光器13は、感光体ドラム11の周面に露光光を照射して露光する装置である。露光器13は、画像形成装置1外部から供給される画像信号に応じたレーザ光を発光し、レーザ光で感光体ドラム11を走査する。この露光器13の走査露光により、感光体ドラム11の周面に静電潜像が形成される。この露光器13が、本発明にいう露光器の一例に相当する。
【0022】
現像器14は、現像剤を用いて感光体ドラム11の周面を現像する。現像器14にはトナーカートリッジ18Yからトナーが供給される。現像器14は、キャリアとトナーが混合された現像剤を撹拌することでトナーおよびキャリアを帯電し、帯電したトナーで感光体ドラム11の周面の静電潜像を現像する。この現像器14が、本発明にいう現像器の一例に相当する。
【0023】
一次転写器15は、中間転写ベルト30を挟んで感光体ドラム11に対向したロールである。一次転写器15は、感光体ドラム11に対する電圧が印加されることで、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト30に転写する。
【0024】
感光体クリーナ16は、感光体ドラム11の周面のうち、一次転写器15で転写が行われた部分に残ったトナー等の残留物を除去することによって、感光体ドラム11の周面を清掃する。この感光体クリーナ16は、板形状を有し、縁が感光体ドラム11の周面に接し、感光体ドラム11の周面から残留物を掻き落とすクリーニングブレード161を備えている。
【0025】
クリーニングブレード161の、感光体ドラム11の周面に接する縁には、この周面から掻き取ったトナーの一部が微小な塊(以下、トナーダムと呼ぶ)となって付着する。このトナーダムのトナーは、クリーニングブレード161の縁と、感光体ドラム11の周面との間に生じる摩擦抵抗を緩和する潤滑剤の働きを担っている。クリーニングブレード161は、本発明にいう掻落し部材の一例に相当する。
【0026】
画像形成装置1には、中間転写ベルト30、定着器60、用紙搬送部80、および制御部1Aも備えられている。
【0027】
中間転写ベルト30は、ベルト支持ロール31〜35に架け渡された無端のベルトである。中間転写ベルト30は、画像形成部10Y,10M,10C,10K、および二次転写器50を経由する矢印Bの方向に循環移動する。中間転写ベルト30には、画像形成部10Y,10M,10C,10Kから各色のトナー像が転写される。中間転写ベルト30は、これら各色のトナー像を保持しながら移動する。
【0028】
二次転写器50は、ベルト支持ロール31〜35の一つであるバックアップロール34との間に中間転写ベルト30および用紙Pを挟んで回転するロールである。二次転写器50は、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加されることで、中間転写ベルト30上のトナー像を用紙Pに転写する。
【0029】
上記の一次転写器15、中間転写ベルト30、および二次転写器50を合わせたものが、本発明にいう転写器の一例に相当する。
【0030】
定着器60は、トナー像を用紙P上に定着させる装置である。定着器60は、加熱ロール61および加圧ロール62を備えており、加熱ロール61内には加熱器が配置されている。加熱ロール61および加圧ロール62は、定着前のトナー像が形成された用紙Pを挟んで通過させることによりトナーを加熱・加圧して、トナー像を用紙P上に定着させる。この定着器60が、本発明にいう定着器の一例に相当する。
【0031】
用紙搬送部80は、用紙収容器Tに収容された用紙Pを取り出す取出ロール81、用紙Pを搬送する用紙搬送ロール82、用紙Pを二次転写器50に搬送するレジストレーションロール84、および、用紙Pを外部に排出する用紙排出ロール86を備えている。用紙搬送部80は、用紙Pを、二次転写器50および定着器60を経由する用紙搬送路Rに沿って搬送する。
【0032】
制御部1Aは、画像形成装置1各部の動作を制御する。
【0033】
図1に示す画像形成装置1の基本動作を説明する。イエローの画像形成部10Yでは、感光体ドラム11が矢印A方向に回転駆動され、感光体ドラム11の周面が帯電器12によって帯電する。露光器13は、感光体ドラム11に、制御部1Aから渡される画像信号中の各色に対応するデータに応じた露光光をそれぞれ照射する。露光器13は、外部から供給される画像信号のうちのイエローに対応する画像信号に基づく露光光を感光体ドラム11の周面に照射することで、感光体ドラム11の周面に静電潜像を形成する。現像器14には、トナーカートリッジ18Yからイエローのトナーが供給される。現像器14は、感光体ドラム11の静電潜像をトナーで現像することで、トナー像を形成する。感光体ドラム11は、周面に形成されたイエローのトナー像を保持して回転する。感光体ドラム11の周面に形成されたトナー像は、一次転写器15によって中間転写ベルト30に転写される。転写後、感光体ドラム11に残留したトナー等の残留物は、感光体クリーナ16によって除去される。
【0034】
中間転写ベルト30は、矢印B方向に巡回移動している。
【0035】
イエロー以外の色に対応する画像形成部10M,10C,10Kは、画像形成部10Yと同様、それぞれの色に対応するトナー像を形成し、中間転写ベルト30に、画像形成部10Yで転写されたトナー像に重ねて、それぞれの色のトナー像を転写していく。
【0036】
用紙収容器Tからは、用紙Pが取出ロール81によって取り出される。用紙Pは、用紙搬送ロール82およびレジストレーションロール84によって、用紙搬送路Rを二次転写器50に向かう矢印C方向に搬送される。レジストレーションロール84は、用紙Pを、中間転写ベルト30上にトナー像が転写されるタイミングに基づいて二次転写器50に送り込む。二次転写器50は、中間転写ベルト30のトナー像を用紙Pに転写する。トナー像が転写された用紙Pは二次転写器50から定着器60に搬送され、用紙P上に転写されたトナー像が定着される。このようにして、用紙P上に画像が形成される。画像が形成された用紙Pは用紙排出ロール86によって排紙トレイ88上に排出される。二次転写器50による転写後、中間転写ベルト30に残留したトナーは、ベルトクリーナ70によって除去される。
【0037】
ここで、本実施形態の画像形成装置1では、この画像形成装置1に電源が投入されたときに、例えば露光器13による露光強度や、中間転写ベルト30に各画像形成部から転写される画像の転写位置等を調整するセットアップ動作が実行される。セットアップ動作は、制御部1Aの制御による制御の下で実行される。
【0038】
また、この画像形成装置1は、予め定められた時間を超えて画像データの入力が無い場合には、各画像形成部や各種ロールの駆動モータ等への電源を遮断して一時的に動作を止める節電モードへと移行する。この節電モードは、所定のユーザ操作等によって解除されるが、この節電モードが解除されたときにも、上記のセットアップ動作が実行される。
【0039】
この画像形成装置1では、このセットアップ動作中、帯電器12による感光体ドラム11の周面の帯電は行われ続ける。上述したように、帯電器12の帯電電圧は、直流電圧に交流電圧が重畳されたものとなっている。そして、セットアップ動作中の帯電電圧におけるこの交流電圧が、感光体クリーナ16のクリーニングブレード161に以下に説明する影響を与える。
【0040】
図2は、セットアップ動作中の帯電電圧におけるこの交流電圧が、感光体クリーナのクリーニングブレードに与える影響について説明する図である。
【0041】
帯電器12の帯電電圧における交流電圧により、帯電器12と感光体ドラム11との間には、互いを接離させようとする矢印D方向の力が働く。その結果、感光体ドラム11には、この交流電圧の電圧値と周波数に応じた振動が生じる。そして、この振動が、感光体ドラム11の周面に縁が接しているクリーニングブレード161に伝わる。計算上、クリーニングブレード161は、上記の交流電圧の周波数の約2倍の周波数域を主として振動する。
【0042】
ここで、上述したように、クリーニングブレード161の、感光体ドラム11の周面に接する縁には、この縁と感光体ドラム11の周面との間の潤滑剤として働くトナーが集まってできたトナーダムTDが形成されている。
【0043】
このとき、クリーニングブレード161に伝わった振動が大き過ぎた場合、このトナーダムTDがその振動で崩れて、クリーニングブレード161の縁における潤滑剤としてのトナーの付着量が減少する恐れがある。現像器14が動作し感光体ドラム11の周面にトナーが常に供給される画像形成時であれば、仮にトナーダムTDが崩れたとしても直ちにトナーがクリーニングブレード161の縁に補給されてトナーダムTDが再構築される。
【0044】
ここで、上記のセットアップ動作では、現像器14における現像剤の劣化防止の観点から、画像形成装置1が、露光器13による露光や現像器14による現像が行われずに感光体ドラム11が回転する画像非形成状態となることが度々ある。
【0045】
セットアップ動作におけるこのような画像非形成時には、トナーダムTDが崩れるとトナーダムTDの再構築が行われず潤滑剤としてのトナーの付着量が減少する恐れがある。
【0046】
そして、このようなトナーの付着量の減少は、クリーニングブレード161の縁と感光体ドラム11の周面との間の摩擦抵抗の上昇を招く。
【0047】
さらに、帯電器12の帯電によって、感光体ドラム11の周面には帯電生成物Mが付着する。この帯電生成物Mは、帯電電圧が大きい程多くなる。そして、感光体ドラム11の周面に付着した帯電生成物Mも、クリーニングブレード161の縁と感光体ドラム11の周面との間の摩擦抵抗の上昇を招く。
【0048】
そして、このような摩擦抵抗の上昇に対して未対策であった場合、セットアップ動作中の画像非形成時におけるクリーニングブレード161の縁に大きな負荷がかかり、やがてこの縁が捲れたり破損したりする恐れがある。このような事態に至ると、捲れたり破損したりした部分について残留物の除去不足が生じる。このような残留物の除去不足は、感光体ドラム11の周面のトナー像、延いては用紙上のトナー像の汚れを招いてしまう。
【0049】
以下、本実施形態の画像形成装置1を一旦離れ、セットアップ動作中の画像非形成時におけるクリーニングブレードの縁と感光体ドラムの周面との間の摩擦抵抗の上昇に対して未対策であった場合の、その摩擦抵抗について説明する。
【0050】
尚、以下の説明でも、画像形成装置の一般的な構成としては
図1に示す構成を参照し、この
図1中の各構成要素を使って説明を行う。
【0051】
図3は、セットアップ動作中の画像非形成時におけるクリーニングブレードの縁と感光体ドラムの周面との間の摩擦抵抗の上昇に対して未対策であった場合の、その摩擦抵抗の上昇の一例を表すグラフである。
【0052】
この
図3のグラフG1では、横軸に時間がとられ、縦軸には、クリーニングブレード161の振動を表す加速度、感光体ドラム11の回転トルク、および帯電電圧における交流電圧の振幅がとられている。
【0053】
そして、このグラフG1上には、交流電圧の振幅の時間変化を示す第1ラインL1と、上記の加速度の時間変化を示す第2ラインL2と、感光体ドラム11の回転トルクの時間変化を示す第3ラインL3が描かれている。第3ラインL3が表す回転トルクの時間変化が、クリーニングブレードの縁と感光体ドラム11の周面との間の摩擦抵抗の時間変化を表している。
【0054】
第1ラインL1が示すように、この
図3の例では、帯電電圧における交流電圧の振幅がほぼ一定の値に保たれている。また、クリーニングブレード161には、この交流電圧に応じて第2ラインL2が示す振動が生じている。第3ラインL3が示す感光体ドラム11の回転トルクは時間の経過に伴って徐々に増加している。この回転トルクの上昇は、上述のトナーダムを形成する潤滑剤としてのトナーの減少と、そのトナーの減少に伴う摩擦抵抗の上昇を表している。
【0055】
ここで、実際の画像形成装置では、セットアップ動作中であっても、例えば中間転写ベルト30(
図1参照)へのトナー像の転写位置合わせ等のために、トナーパッチ等の画像の形成が行われる。このような画像の形成は、上記のような画像非形成時に崩れたトナーダムの再構築に寄与する。
【0056】
図4は、セットアップ動作中に画像形成が行われた場合の、クリーニングブレードの縁と感光体ドラムの周面との間の摩擦抵抗の時間変化の一例を表すグラフである。
【0057】
この
図4のグラフG2でも、横軸に時間がとられ、縦軸には、クリーニングブレード161の振動を表す加速度、感光体ドラム11の回転トルク、および帯電電圧における交流電圧の振幅がとられている。
【0058】
そして、このグラフG2上には、画像形成を伴うセットアップ動作中の交流電圧の振幅の時間変化を示す第4ラインL4と、このときの加速度の時間変化を示す第5ラインL5と、感光体ドラム11の回転トルクの時間変化を示す第6ラインL6が描かれている。
【0059】
第4ラインL4が示すように、この
図4の例では、交流電圧は、ある期間での振幅が他の期間での振幅よりも大きくなっている。この交流電圧の振幅が大きくなっている期間が、セットアップ動作中の画像形成時に相当する。この画像形成時には、感光体ドラム11の周面と現像器14との間の電位差が、現像器14から感光体ドラム11の周面へのトナーの移行に最適な値となるように、交流電圧の振幅が他の期間よりも大きく設定される。
【0060】
そして、この画像形成時には、第5ラインL5が示すように加速度、即ちクリーニングブレード161の振動が他の期間よりも減少し、第6ラインL6が示すように回転トルクも他の期間よりも減少する。これは、この画像形成時には、クリーニングブレード161の縁に潤滑剤としてのトナーが供給されて感光体ドラム11との摩擦抵抗が緩和されることを意味している。
【0061】
しかしながら、この
図4の例でも、この画像形成時以外の画像非形成時については摩擦抵抗の上昇に対して依然として未対策のままである。そして、クリーニングブレード161の縁の潤滑剤としてのトナーは不足気味であり、感光体ドラム11との摩擦抵抗は大きいままとなっている。このように摩擦抵抗が大きい状態は、クリーニングブレード161の縁に大きな負荷がかかり捲れや破損を引き起こす恐れがある。
【0062】
以上で、セットアップ動作中の画像非形成時におけるクリーニングブレードの縁と感光体ドラムの周面との間の摩擦抵抗の上昇に対して未対策であった場合の、その摩擦抵抗についての説明を終了し、本実施形態の画像形成装置1についての説明に戻る。
【0063】
本実施形態では、
図1に示す制御部1Aが帯電器12を以下に説明するように制御する。この制御部1Aは、本発明にいう帯電制御部の一例に相当する。
【0064】
図5は、制御部による帯電器の制御を表すブロック図である。
【0065】
本実施形態では、
図1に示す各画像形成部10Y,10M,10C,10Kが、感光体クリーナ16のクリーニングブレード161の縁が周面に接している感光体ドラム11の回転トルクを検出するトルク検出部17を備えている。このトルク検出部17での検出結果は、制御部1Aに伝えられる。このトルク検出部17が、本発明にいう検出部の一例に相当する。
【0066】
画像形成装置1の各要素を動作させる制御部1Aは、この画像形成装置1がセットアップ動作中にあるか、画像データに基づく画像形成時にあるかを把握している。さらに、セットアップ動作中でも、トナーパッチの形成等といった画像形成時にあるか、あるいは画像非形成時にあるかを把握している。
【0067】
そして、制御部1Aは、上記の画像形成時には、帯電器12が感光体ドラム11の周面を、予め定められた第1の電圧値(振幅)と第1の周波数とを有する交流電圧が直流電圧に重畳された帯電電圧で帯電する第1の帯電モードで、この帯電器12を動作させる。
【0068】
一方、画像非形成時には、制御部1Aは、トルク検出部17で検出された回転トルクが、予め定められた閾値を超えているか否かを監視している。そして、この回転トルクが閾値を超えると、制御部1Aは、帯電器12を、次のような第2の帯電モードで動作させる。第2の帯電モードは、帯電器12が感光体ドラム11の周面を、第1の電圧値(振幅)よりも低い第2の電圧値(振幅)と第1の周波数よりも低い第2の周波数とを有する交流電圧が直流電圧に重畳された帯電電圧で帯電するモードである。
【0069】
図6は、第1の帯電モードおよび第2の帯電モードを模式的なグラフで表す図である。
【0070】
この
図6のグラフG3では、横軸に時間がとられ、縦軸には、帯電電圧における交流電圧の電圧値(振幅)および周波数がとられている。そして、このグラフG3上には、画像形成時から画像形成時への移行に伴う、第1の帯電モードから第2の帯電モードへのモードの切替を表す第7ラインL7が描かれている。尚、この第7ラインL7は、交流電圧の電圧値(振幅)の時間変化および周波数の時間変化の双方を概念的に表している。
【0071】
このグラフG3に示されているように、第2の帯電モードにおける交流電圧は、第2の電圧値V2が第1の電圧値V1の60%以上80%以下の電圧値であって、第2の周波数F2が第1の周波数F1の60%以上80%以下の周波数の交流電圧となっている。
【0072】
帯電電圧における交流電圧によってクリーニングブレード161に生じる振動は、この交流電圧の電圧値が高い程大きく、また、この交流電圧の周波数が高い程大きい。
【0073】
仮に、画像の形成、非形成に関わらず、交流電圧の電圧値と周波数を第1の電圧値V1と第1の周波数F1に維持したとする。この場合、画像非形成時には、クリーニングブレード161に生じる振動により、このクリーニングブレード161の縁における上記のトナーダムの崩壊と、それに伴う潤滑剤としてのトナーの不足を招く恐れがある。そして、このようなトナーの不足は、帯電によって感光体ドラム11の周面に付着する帯電生成物の付着と相俟って、
図3を参照して説明したような摩擦抵抗の上昇を招く。このような摩擦抵抗の上昇は、クリーニングブレード161の縁への負荷を増大させて、この縁の捲れや破損の危険性を高めてしまう。
【0074】
これに対し、本実施形態では、画像非形成時には、帯電器12が上述の第2の帯電モードで動作し、交流電圧の電圧値と周波数が抑えられる。これによりクリーニングブレード161に生じる振動が抑えられる。その結果、クリーニングブレード161の縁におけるトナーダムの崩壊が抑えられ、延いては潤滑剤としてのトナーの必要量が維持される。その結果、画像非形成時にも摩擦抵抗の上昇が抑えられ、クリーニングブレード161の縁にかかる負荷が低減される。これにより、クリーニングブレード161の縁の捲れや破損が防がれる。
【0075】
ここで、本実施形態では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数の60%以上80%以下に設定されている。第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が80%以下となることで、クリーニングブレード161の縁の振動が、捲れや破損が確実に防がれる程度まで抑えられる。
【0076】
図7は、画像非形成時に帯電モードが第2の帯電モードに切り替えられた場合の、クリーニングブレードの縁と感光体ドラムの周面との間の摩擦抵抗の時間変化の一例を表すグラフである。
【0077】
この
図7の例は、上述した
図4に示す画像形成を含むセットアップ動作における画像非形成時に帯電モードが第2の帯電モードに切り替えられた例である。
【0078】
この
図7のグラフG4でも、横軸に時間がとられ、縦軸には、クリーニングブレード161の振動を表す加速度、感光体ドラム11の回転トルク、および帯電電圧における交流電圧の振幅がとられている。
【0079】
そして、このグラフG4上には、セットアップ動作中の交流電圧の振幅の時間変化を示す第8ラインL8と、このときの加速度の時間変化を示す第9ラインL9と、感光体ドラム11の回転トルクの時間変化を示す第10ラインL10が描かれている。
【0080】
この
図7の例では、第8ラインL8が示すように、横軸方向について、左右両端の画像非形成時には、交流電圧の振幅が、中央の画像形成時の交流電圧の振幅の60%以上80以下となっている。この結果、第9ラインL9が示すように、この左右両端の画像非形成時についても、中央の画像形成時と同様にクリーニングブレード161の振動が抑えられる。そして、第10ラインL10が示すように、感光体ドラム11の回転トルクも、この画像非形成時について抑えられる。
【0081】
本実施形態では、この
図7のグラフG4から分かるように、セットアップ動作の全期間に亘ってクリーニングブレード161の振動が抑えられ、延いては感光体ドラム11の回転トルク、即ちクリーニングブレード161の縁にかかる負荷が抑えられる。
【0082】
ここで、近年では、一般的に、節電対策等の要請から、画像形成装置が、各画像形成部や各種ロールの駆動モータ等への電源を遮断して一時的に動作を止める節電モードへと移行する回数が増える傾向にある。そして、上述したように、節電モードが解除されたときには、セットアップ動作が実行される。即ち、近年では、このセットアップ動作が実行される回数が増える傾向にある。
【0083】
セットアップ動作の回数が増える程、クリーニングブレード161の縁におけるトナーダムの崩落の可能性は高まる。本実施形態では、セットアップ動作一回行われるときのクリーニングブレード161の振動が抑えられている。つまり、本実施形態では、セットアップ動作一回当たりの、トナーダムの崩落の可能性が低減され、延いては、セットアップ動作が複数回繰り返されたときのトナーダムの崩落の可能性が低減されている。
【0084】
図8は、本実施形態の画像形成装置において、セットアップ動作が複数回繰り返されたときのトナーダムの崩落の可能性が低減されている様子を示すグラフである。
【0085】
この
図8のグラフG5では、横軸にセットアップ動作の回数がとられ、縦軸には、感光体ドラム11の回転トルクがとられている。
【0086】
そして、このグラフG5上には、本実施形態における、セットアップ動作の回数に対する回転トルクの変化を示す、丸印のプロット点を繋いだ第11のラインL11が描かれている。
【0087】
さらに、このグラフG5上には、比較のための第12のラインL12と第13のラインL13も描かれている。第12のラインL12は、
図3に示した例における、セットアップ動作の回数に対する回転トルクの変化を表す、三角印のプロット点を繋いだラインである。また、第13のラインL13は、
図4に示した例における、セットアップ動作の回数に対する回転トルクの変化を表す、星印のプロット点を繋いだラインである。
【0088】
第11のラインL11と他の2つのラインの比較から分かるように、セットアップ動作の回数が増加したときの回転トルクの上昇の程度は、1回のセットアップ動作の全期間に亘ってクリーニングブレード161の振動が抑えられる本実施形態が最も小さい。即ち、本実施形態では、クリーニングブレード161について、セットアップ動作が何回行われるまで捲れや破損を起こさずに耐えられるかという意味での耐久性も高められている。
【0089】
さらに、本実施形態では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が60%以上となることで、次のような現象が回避される。
図1に示す現像器14では、現像剤をなすキャリアは、現像器14中のロール体に磁力によって引き付けられている。このとき、感光体ドラム11の周面と現像器14中のロール体との電位差が大き過ぎると、BCO(Beads Carry Over)と呼ばれる現象が起きる可能性が高まる。BCOは、感光体ドラム11の周面と現像器14中のロール体との過大な電位差によって、現像剤中のトナーだけでなく、キャリアまでもが感光体ドラム11の周面へと移行してしまう現象である。このように移行したキャリアは、感光体ドラム11の周面を痛めてしまう恐れがある。
【0090】
本実施形態では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値と周波数が60%以上となることで、このBCOの発生が回避されている。
【0091】
また、本実施形態では、
図6のグラフG3の第7ラインL7が表しているように、第2の帯電モードから第1の帯電モードへの移行に当たっては、交流電圧の電圧値と周波数それぞれが、階段状に変化している。この階段状の変化は、この
図6では図示されていない第1の帯電モードから第2の帯電モードへの移行についても同様である。
【0092】
画像非形成時から画像形成時への移行の際には、画像非形成時には止まっていた現像器14が起動され、画像形成時から画像非形成時への移行の際には、その現像器14が停止される。ここで、帯電モード切替に当たっての交流電圧の電圧値と周波数の変化と、現像器14の起動および停止にともなう現像器14中のロール体の電位の変化との間には、若干のタイムラグが生じることがある。そして、このタイムラグが生じた場合、感光体ドラム11の周面と現像器14中のロール体との電位差が大きくなって上記のBCOが起きる可能性が生じる。
【0093】
本実施形態では、交流電圧の電圧値と周波数の上記の階段状の変化により、感光体ドラム11の周面と現像器14中のロール体との電位差の上昇が抑えられ、帯電モード切替時についてもBCOの発生が回避されている。
【0094】
ここで、本実施形態では、上述したように、画像非形成時に帯電モードが必ず第2の帯電モードに切り替えられるわけではなく、トルク検出部17で検出された回転トルクが、予め定められた閾値を超えている場合に第2の帯電モードに切り替えられる。
図7のグラフG4における左右両端は、画像非形成時であって、かつ、トルク検出部17で検出された回転トルクが、予め定められた閾値を超えている場合に相当している。
【0095】
帯電モードが第2の帯電モードに切り替えられた場合、感光体ドラム11の周面と現像器14との電位差は、仮にこのような切替えが行われなかった場合と比較すると大きくなる。このため、第2の帯電モードに切り替えられた場合には若干ではあるが上記のBCO発生の可能性が生じる。本実施形態では、第2の帯電モードへの切替えは、トルク検出部17で検出された回転トルクが、予め定められた閾値を超えている場合に限られる。その結果、BCO発生の可能性を生じさせる第2の帯電モードへの切替えが必要最小限に抑えられている。
【0096】
尚、本実施形態では、本発明の画像形成装置として、セットアップ動作中にもトナーパッチの形成等といった画像形成が行われる画像形成装置1を例示している。しかしながら、本発明の画像形成装置は、これに限るものではなく、セットアップ動作中は画像形成が全く行われない形態であっても良い。
【0097】
また、本実施形態では、本発明の画像形成装置として、セットアップ動作中に感光体ドラム11の回転トルクが閾値以上となると帯電モードが第2の帯電モードに切り替えられる画像形成装置1を例示している。しかしながら、本発明の画像形成装置は、これに限るものではなく、セットアップ動作中は、感光体ドラム11の回転トルクに拘らず、あるいはその回転トルクを測定することなく、第2の帯電モードで帯電が行われる形態であっても良い。
【0098】
また、本実施形態では、本発明の画像形成装置として、タンデムタイプのカラープリンタを例示している。しかしながら、本発明の画像形成装置は、タンデムタイプ以外の例えばロータリタイプのカラープリンタであっても良く、あるいは、カラーではなくモノクロのプリンタ等であっても良い。また、本発明の画像形成装置は、プリンタ以外の、例えば複写機やファクシミリ等であっても良い。
【0099】
次に、上述の実施形態に対応した実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、以下では、この実施例に対する比較例も適宜に参照される。
【0100】
[第1実施例]
図1に示す画像形成装置1において、画像形成時の帯電モードである第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.6(kV)、周波数Fを1.5(kHz)とした。
【0101】
そして、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.12(kV)、周波数Fを1.05(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の70%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの70%に相当する。
【0102】
この画像形成装置1において、セットアップ動作を繰り返し行った。尚、ここでのセットアップ動作では、評価をわかりやすくするために、トナーパッチ等の画像形成は行わないこととした。即ち、ここでのセットアップ動作は、画像非形成時と同義となっている。このセットアップ動作が1回行われる度に、クリーニングブレード161の、感光体ドラム11の周面に接している縁に捲れや破損が生じているか否かを確認した。そして、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録した。また、セットアップ動作が1回行われる度に、感光体ドラム11の周面にキャリアが付着しているか否かについて確認することでBCO発生の有無を確認した。
【0103】
[第2実施例]
この第2実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1(kV)、周波数Fを1.18(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の63%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの79%に相当する。第2実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0104】
[第3実施例]
この第3実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1(kV)、周波数Fを0.92(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の63%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの61%に相当する。第3実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0105】
[第4実施例]
この第4実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.26(kV)、周波数Fを1.18(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の79%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの79%に相当する。第4実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0106】
[第5実施例]
この第5実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.26(kV)、周波数Fを0.92(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の79%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの61%に相当する。第5実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0107】
[第6実施例]
この第6実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を0.92(kV)、周波数Fを1.18(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の58%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの79%に相当する。第6実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0108】
[第7実施例]
この第7実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1(kV)、周波数Fを1.22(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の63%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの81%に相当する。第7実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0109】
[第8実施例]
この第8実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を0.92(kV)、周波数Fを0.92(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の58%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの61%に相当する。第8実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0110】
[第9実施例]
この第9実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1(kV)、周波数Fを0.87(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の63%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの55%に相当する。第9実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0111】
[第10実施例]
この第10実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.26(kV)、周波数Fを0.87(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の79%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの55%に相当する。第10実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0112】
[第11実施例]
この第11実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.31(kV)、周波数Fを0.92(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の82%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの61%に相当する。第11実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0113】
[第12実施例]
この第12実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.31(kV)、周波数Fを1.18(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の82%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの79%に相当する。第12実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0114】
[第13実施例]
この第13実施例では、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)を1.26(kV)、周波数Fを1.22(kHz)とした。この交流電圧の電圧値Vpp(振幅)は、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)の79%に相当し、周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の周波数Fの81%に相当する。第13実施例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0115】
[比較例]
比較例では、画像形成時、画像非形成時に関わらず、常に第1の帯電モードでの帯電を行った。比較例では、これ以外は、上記の第1実施例と同様の動作を行い、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じたときのセットアップ動作の回数を記録し、さらにBCO発生の有無を確認した。
【0116】
以下の表1に、上記の第1〜第13実施例、および比較例それぞれについての評価結果を示す。
【0118】
まず、比較例で形成された画像には、セットアップ動作が10回行われた時点で、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じた。
【0119】
これに対し、第1〜第13実施例のいずれについても、この比較例と比較すると、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じるまでのセットアップ動作の回数が増えている。
【0120】
ここで、実用上の観点からは、クリーニングブレード161の縁に捲れや破損が生じるまでのセットアップ動作の回数はおよそ50回以上であることが望ましい。この回数が50回以上であるのは、第1〜第6、第8〜10の各実施例である。
【0121】
これらの実施例は、いずれも、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)と周波数Fが、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)と周波数Fの80%以下となっている。
【0122】
さらに、これらの実施例のうち、第6、第8〜10の各実施例では、若干ではあるがBCOの発生が確認されている。これは、第2の帯電モードの際の感光体ドラム11の電位が現像器14の電位よりも若干低過ぎ、そのときの両者間の若干大き目の電位差によりBCOが生じたものと考えられる。
【0123】
これらの実施例は、いずれも、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)と周波数Fとのいずれかが、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)と周波数Fの60%未満となっている。
【0124】
以上のことから、第2の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)と周波数Fは、第1の帯電モードにおける交流電圧の電圧値Vpp(振幅)と周波数Fの60%以上80%以下であることが好ましいことが分かる。