特許第5983432号(P5983432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5983432録音機能を備えた無線通信機および録音機能の制御方法
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  • 特許5983432-録音機能を備えた無線通信機および録音機能の制御方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983432
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】録音機能を備えた無線通信機および録音機能の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/20 20060101AFI20160818BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H04B1/20
   H04B1/16 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-14107(P2013-14107)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-146957(P2014-146957A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】関山 良男
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−049238(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/20
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、
前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する制御部を備えていることを特徴とする、録音機能を備えた無線通信機。
【請求項2】
受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、
前記信号強度信号(RSSI)の高低に関わらず、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第1の設定と、
前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第2の設定の、少なくとも2つの選択可能な設定を有する制御部を備えていることを特徴とする、録音機能を備えた無線通信機。
【請求項3】
受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、
前記ノイズレベル信号(NOISE)のしきい値として、第1ノイズレベルしきい値と、前記第1ノイズレベルしきい値より高いノイズレベルの第2ノイズレベルしきい値の、少なくとも2段階のしきい値が設定され、
前記信号強度信号(RSSI)の高低に関わらず、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第1ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第1の設定と、
前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第2ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第2の設定の、少なくとも2つの選択可能な設定を有する制御部を備えていることを特徴とする、録音機能を備えた無線通信機。
【請求項4】
受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、
前記信号強度信号(RSSI)のしきい値として、第1信号強度しきい値と、前記第1信号強度しきい値より高い信号強度の第2信号強度しきい値の、少なくとも2段階のしきい値が設定され、
前記ノイズレベル信号(NOISE)のしきい値として、第1ノイズレベルしきい値と、前記第1ノイズレベルしきい値より高いノイズレベルの第2ノイズレベルしきい値と、前記第2ノイズレベルしきい値より高いノイズレベルの第3ノイズレベルしきい値の、少なくとも3段階のしきい値が設定され、
前記信号強度信号(RSSI)の高低に関わらず、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第1ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第1の設定と、
前記信号強度信号(RSSI)が前記第1信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第2ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第2の設定と、
前記信号強度信号(RSSI)が前記第2信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第3ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第3の設定の、少なくとも3つの選択可能な設定を有する制御部を備えていることを特徴とする、録音機能を備えた無線通信機。
【請求項5】
受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機における録音機能の制御方法において、
前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御することを特徴とする録音機能の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信信号を録音する録音機能の制御方法および無線通信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
録音機能を備えた受信機(無線機)は、所定の操作を行うことで録音を開始することができるが、そのような録音開始の操作を省くために、所定の設定条件で自動的に録音開始し、自動的に録音終了する自動録音機能を備えたものがある。(特許文献1参照。)
特許文献1においては、無線機のスケルチ機能を自動録音を開始するための判定条件に用いており、ノイズスケルチまたはトーンスケルチが開いた(ミュートが解除された)タイミングで録音を開始する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02−49238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動録音機能においては、スケルチが開いた場合に、充分な信号強度がないと、周囲のパソコンや計測器などで発生して混入したノイズだけが録音されてしまう可能性があった。
また、手動操作で録音を行った場合でも、信号の入感が無かったり、入感があっても信号強度が低すぎると、録音データが途切れたり、上記同様にほとんどノイズだけを録音する事態になるという問題があった。
【0005】
本発明では、自動的な録音開始の条件として、ノイズレベルに基づいたスケルチ制御信号のみによらず、最適な条件を設定して、適正な自動録音の制御を可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る録音機能を備えた無線通信機は、受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る録音機能を備えた無線通信機は、受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、前記信号強度信号(RSSI)の高低に関わらず、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第1の設定と、前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第2の設定の、少なくとも2つの選択可能な設定を有する制御部を備えていることを特徴とする。
【0008】
さらにまた、本発明に係る録音機能を備えた無線通信機は、受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、前記ノイズレベル信号(NOISE)のしきい値として、第1ノイズレベルしきい値と、前記第1ノイズレベルしきい値より高いノイズレベルの第2ノイズレベルしきい値の、少なくとも2段階のしきい値が設定され、前記信号強度信号(RSSI)の高低に関わらず、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第1ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第1の設定と、前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第2ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第2の設定の、少なくとも2つの選択可能な設定を有する制御部を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る録音機能を備えた無線通信機は、受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、前記信号強度信号(RSSI)のしきい値として、第1信号強度しきい値と、前記第1信号強度しきい値より高い信号強度の第2信号強度しきい値の、少なくとも2段階のしきい値が設定され、前記ノイズレベル信号(NOISE)のしきい値として、第1ノイズレベルしきい値と、前記第1ノイズレベルしきい値より高いノイズレベルの第2ノイズレベルしきい値と、前記第2ノイズレベルしきい値より高いノイズレベルの第3ノイズレベルしきい値の、少なくとも3段階のしきい値が設定され、前記信号強度信号(RSSI)の高低に関わらず、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第1ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第1の設定と、前記信号強度信号(RSSI)が前記第1信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第2ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第2の設定と、前記信号強度信号(RSSI)が前記第2信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第3ノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御する第3の設定の、少なくとも3つの選択可能な設定を有する制御部を備えていることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明に係る録音機能を備えた無線通信機は、受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能、および前記受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機における録音機能の制御方法において、前記信号強度信号(RSSI)が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、
受信信号のノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能と、受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を有する受信部と、前記受信信号もしくは復調信号を録音する録音部を備えた無線通信機において、
前記信号強度が所定の信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベルが所定のノイズレベルしきい値以上の場合に、前記録音部における録音を開始するように制御するので、前記しきい値を適切に設定することによって、録音データが途切れたり、ノイズのみを録音してしまうことを防止できる。
従って、録音されたデータに無駄が無く、録音部のメモリを無駄なく有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る無線通信機のブロック図である。
図2】実施例1における「AUTO」表示アイコンと「REC」表示アイコンの制御例を示した図である。
図3】実施例2における3つの設定と、各設定におけるノイズレベルしきい値と信号強度しきい値の組み合わせを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態としての録音機能を備えた無線通信機および制御方法を図面を参照して説明する。
図1に示した無線通信機1は、送信部2と、受信部3と、録音部4と、制御部5と、操作/表示部6とを備えている。
前記送信部2は、マイク21からの音声信号を増幅して、VCO22を用いて変調して増幅するように構成され、変調された信号はアンテナスイッチ12を介してアンテナ11から送信するように構成されている。
前記受信部3は、高周波回路31、前記VCO22の発振周波数を利用した周波数変換回路32、中間周波回路33、復調回路34、低周波回路35、およびスピーカ36を備えている。
前記復調回路34は、ノイズレベルを検出してノイズレベル信号(NOISE)として出力するノイズレベル検出機能と、受信信号の信号強度を検出して信号強度信号(RSSI)として出力する信号強度検出機能を備えている。
上記各部、各回路の構成と動作は、基本的には公知の構成であるので、その説明は省略する。
【0014】
前記録音部4は、
フラッシュメモリなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ41と、前記メモリ41に録音する機能および前記メモリ41に録音された音声信号を再生する機能とを備えた録音制御回路42と、復調された信号を前記録音制御回路42へ入力するかミュートするかを切り換える第1ミュートスイッチ43と、前記録音制御回路42から出力される音声信号を前記低周波回路35へ出力するかミュートするかを切り換える第2ミュートスイッチ44とを備えている。
前記制御部5は、
当該無線通信機における自動録音制御方法および装置の全体を制御する機能を備えているが、特に、前記録音部4を制御する以下の録音制御機能を備えていることを特徴としている。
【0015】
前記録音制御機能は、
前記復調回路34から出力されるノイズレベル信号(NOISE)と信号強度信号(RSSI)とを予め設定されたノイズレベルしきい値と、信号強度しきい値と比較して、
前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値以上であり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値以上であるときに、録音開始信号CTLを前記録音部4へ出力して、前記録音部4における録音を開始させる機能である。
所定の設定操作を行って自動録音モードをONに設定すると前記録音制御機能が作動し、所定の解除操作を行って自動録音モードをOFFに設定すると前記録音制御機能が作動しない状態となる。なお、自動録音モードのON/OFFに関わらず所定の強制録音操作を行うと、前記ノイズレベル信号(NOISE)と前記信号強度信号(RSSI)のレベルの高低に関わらず、前記録音部4を制御して録音することができる。
なお、前記録音制御機能におけるノイズレベルしきい値と、通常の受信待機中のノイズスケルチ機能におけるしきい値は、それぞれ独立して別の値に設定できるものである。
【0016】
次に、前記第1ミュートスイッチ43と前記第2ミュートスイッチ44の制御例を説明する。
前記第1ミュートスイッチ43は、前記制御部5からのMUTE信号によって開閉制御されるスイッチである。前記MUTE信号は、スケルチオープンになったときには前記第1ミュートスイッチ43において前記復調信号をミュートせずに前記録音制御回路42へ入力させるように制御する。
この状態で、前記録音開始信号CTLが前記制御部5から前記録音制御回路42へ出力されると、前記録音制御回路42は録音を開始する。
前記MUTE信号は、前記制御部5から前記録音制御回路42へ再生制御信号が出力されて、前記メモリ41に録音された音声信号を再生する機能が動作するときには、前記第1ミュートスイッチ43において前記復調信号をミュートするように制御する。
前記第1ミュートスイッチ43によって、録音時には、前記復調信号を前記録音制御回路42へ入力させ、再生時には、復調信号が再生信号に混入しないようにミュートする。
【0017】
前記第2ミュートスイッチ44は、前記制御部5からのPLAY信号によって開閉制御されるスイッチである。前記PLAY信号は、前記制御部5から前記録音制御回路42へ再生制御信号が出力されるタイミングに合わせて、前記制御部5から前記第2ミュートスイッチ44へ出力されて前記第2ミュートスイッチ44をONにして、再生された音声信号が前記低周波回路35へ入力するように制御され、
録音時に、前記録音開始信号CTLが前記制御部5から前記録音制御回路42へ出力されると、前記制御部5から前記第2ミュートスイッチ44をOFFにして、前記録音制御回路42から余分な信号が前記低周波回路35へ入力されないように制御される。
【0018】
前記操作/表示部6は、当該無線通信機における自動録音制御方法および装置を操作するための各種操作キーと、当該無線通信機における自動録音制御方法および装置の動作状態等の各種ステータス情報を表示する表示装置とを備えている。前記表示装置としては、前記録音部4の状態に応じて点灯、点滅、もしくは消灯の何れかの状態に制御される「AUTO」表示アイコン61、「REC」表示アイコン62、およびその他のアイコンや表示部を備えている。
【実施例1】
【0019】
以下に、実施例1において、自動録音モードがONに設定されている場合の前記録音部4における動作を説明する。
(1)前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値未満であって、前記ノイズレベル信号(NOISE)も前記ノイズレベルしきい値未満である場合は、前記録音開始信号CTLは出力されないので、前記録音部4における録音は開始されない。
したがって、自動録音モードがONの状態では、たとえユーザが任意でスケルチをオープン(通常の受信待機中のノイズスケルチ機能をOFF)させた場合でも、自動録音開始判定用のノイズスケルチ機能はONのままであるので、受信信号が無い状態(ノイズレベルも信号強度レベルも自動録音開始判定用のしきい値未満である状態)では録音が開始されない。
(2)前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値以上になっても、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値未満であるか、もしくは、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値以上になっても、前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値未満であれば、前記録音開始信号CTLは出力されないので、前記録音部4における録音は開始されない。
(3)前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値以上になり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値以上になると、前記録音開始信号CTLが出力されるので、前記録音部4における録音が開始される。
(4)前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値未満になるか、もしくは、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値未満になると、前記録音開始信号CTLは出力されなくなるので、前記録音部4における録音は停止する。
【0020】
以下に、前記「AUTO」表示アイコン61と「REC」表示アイコン62の制御例を説明する。
自動録音モードがOFFに設定されている場合、所定のファンクションモードにおける設定操作等のような所定の設定操作を行い自動録音モードをONに設定すると、図2の(A)に示したように、前記「AUTO」表示アイコン61が例えば点灯して、自動録音待機中であることを表示する。
自動録音モードがONに設定されている場合、所定のファンクションモードにおける設定解除操作等のような所定の解除操作を行い自動録音モードをOFFに設定変更すると、前記「AUTO」表示アイコン61が例えば点灯表示から消灯に変り、自動録音モードが解除されていることを表示する。
これらの自動録音モードのONもしくはOFFの状態は、当該無線通信機における自動録音制御方法および装置の電源を切っても保持される。
【0021】
自動録音モードがON設定のとき、前記信号強度信号(RSSI)が前記信号強度しきい値以上になり、且つ、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値以上になって、前記録音開始信号CTLが出力され、前記録音部4における録音が開始されると、図2の(B)に示したように、前記「AUTO」表示アイコン61と「REC」表示アイコン62の両方が点灯表示する。
また、自動録音モードがON設定のとき、前記録音開始信号CTLが出力されていない状態で、前述したような所定の強制録音操作を行うと、図2の(C)に示したように、前記「AUTO」表示アイコン61が消灯し、前記「REC」表示アイコン62のみが点灯表示して、前記録音部4における録音が開始される。
なお、以上の点灯/消灯の制御例に限定されるものではなく、点滅表示や、発光色を変える等の種々の形態で録音機能の状態を表示させることが可能である。
【実施例2】
【0022】
次に、実施例2において、自動録音モードがONに設定されている場合に、前記録音開始信号CTLが出力されて、前記録音部4における録音制御の動作を以下に説明する。
実施例2では、前記録音部4における録音が開始される条件設定が、以下の第1の設定、第2の設定、第3の設定の、3段階の設定のうち、何れかの設定を選択して設定することができる。
前記ノイズレベルしきい値は、最も低い第1ノイズレベルしきい値、少し高い第2ノイズレベルしきい値、さらに高い第3ノイズレベルしきい値と、3段階に設定されている。
また、前記信号強度しきい値は、最も低い第1信号強度しきい値、より高い第2信号強度しきい値と、2段階に設定されている。
図3に、前記3つの設定と、各設定におけるノイズレベルしきい値と信号強度しきい値の組み合わせを示した。
【0023】
なお、具体例としては、
前記第1ノイズレベルしきい値は50Ω終端でスケルチレベル1相当のノイズレベル信号、前記第2ノイズレベルしきい値は50Ω終端でスケルチレベル5相当のノイズレベル信号、前記第3ノイズレベルしきい値は50Ω終端でスケルチレベル10相当のノイズレベル信号であり、
前記第1信号強度しきい値は50Ω終端で信号強度(RSSIの電圧)が0dBμV相当、
前記第2信号強度しきい値50Ω終端で信号強度(RSSIの電圧)が+20dBμV相当である。
【0024】
(1)第1の設定
前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記ノイズレベルしきい値未満である場合は、前記録音開始信号CTLは出力されないので、前記録音部4における録音は開始されない。
しかし、前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第1ノイズレベルしきい値以上になると、前記信号強度信号(RSSI)のレベルの高低に関わらず、前記録音開始信号CTLが出力され、前記録音部4における録音が開始される。この第1の設定では、前記信号強度信号(RSSI)は監視しない。
【0025】
(2)第2の設定
前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第2ノイズレベルしきい値未満であるか、または、前記信号強度信号(RSSI)が前記第1信号強度しきい値未満である場合は、前記録音開始信号CTLは出力されないので、前記録音部4における録音は開始されない。
前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第2ノイズレベルしきい値以上になり、且つ、前記信号強度信号(RSSI)が前記第1信号強度しきい値以上になると、前記録音開始信号CTLが出力され、前記録音部4における録音が開始される。この第2の設定では、前記ノイズレベル信号(NOISE)と前記信号強度信号(RSSI)の両方を監視する。
【0026】
(3)第3の設定
前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第3ノイズレベルしきい値未満であるか、または、前記信号強度信号(RSSI)が前記第2信号強度しきい値未満である場合は、前記録音開始信号CTLは出力されないので、前記録音部4における録音は開始されない。
前記ノイズレベル信号(NOISE)が前記第3ノイズレベルしきい値以上になり、且つ、前記信号強度信号(RSSI)が前記第2信号強度しきい値以上になると、前記録音開始信号CTLが出力され、前記録音部4における録音が開始される。この第3の設定では、前記ノイズレベル信号(NOISE)と前記信号強度信号(RSSI)の両方を監視するが、前記第2の設定のときよりも強い入感が無ければ録音が開始されない。
【0027】
ユーザは、上記3段階の設定(第1の設定、第2の設定、第3の設定)の何れかを選択して設定することができるので、録音データが途切れても構わずに感度ぎりぎりまで録音するような第1の設定を選択することもでき、また、一定強度の信号以外は録音しないような第3の設定を選択することもできるので、ユーザの好みや状況に応じて最もふさわしい設定を選ぶことが可能となる。
【0028】
以上においては、復調信号を録音する場合の動作を説明したが、図1に示したように、前記録音制御回路42と前記送信部2とは音声入出力配線45によって接続されているので、前記マイク21から入力された音声信号を前記メモリ41に録音し、前記メモリ41に録音した前記音声信号を再生して前記送信部2から無線送信することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 無線通信機
3 受信部
4 録音部
5 制御部
6 操作/表示部
34 復調回路(ノイズレベル検出機能、信号強度検出機能)
図1
図2
図3