特許第5983441号(P5983441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

特許5983441歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法
<>
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000002
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000003
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000004
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000005
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000006
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000007
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000008
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000009
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000010
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000011
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000012
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000013
  • 特許5983441-歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983441
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/36 20110101AFI20160818BHJP
【FI】
   B60R21/36
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-17467(P2013-17467)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-148230(P2014-148230A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】松崎 雄士
【審査官】 柳楽 隆昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−036986(JP,A)
【文献】 特開2008−213523(JP,A)
【文献】 特開2000−016222(JP,A)
【文献】 特開2008−001198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフードパネルの後端付近に配置された収納部位内に折り畳まれて収納されるエアバッグが、膨張用ガスを流入させて、車体側パネルと歩行者側パネルとを離すように膨張しつつ、前記収納部位から後斜め上方に向かって突出して、フロントピラーの前面側を覆うように展開膨張する歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法であって、
前記収納部位が、前記フードパネルの後端の下方に配置されるとともに、上面側に前記エアバッグの突出用の開口を有して構成され、
前記エアバッグが、前記車体側パネルと前記歩行者側パネルとを重ねて平らに展開した状態から、第1折り工程と第2折り工程とを経て、前記収納部位に収納される構成とし、
前記第1折り工程が、前記収納部位側の前縁から離れた後縁側を、前記歩行者側パネルの側に折って前後方向の寸法を狭める工程とし、
前記第2折り工程が、第1折り工程後の後縁側を前記車体側パネルの側で巻くロール折りとして、前後方向の寸法を前記収納部位に収納可能な寸法とする工程とするとともに
膨張用ガスが流入して前記エアバッグが前記収納部位の開口から突出し、前記第2折り工程の折りが解消された前記エアバッグの折りの未解消部位が、前記フードパネルの後端より後方で、前記フロントピラーに接近している位置とするように、前記第2折り工程によって折り畳まれる前記エアバッグの領域が、設定されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法
【請求項2】
前記第1折り工程が、前記収納部位側の前縁から離れた後縁側を、前記歩行者側パネルの側に巻くロール折りとしていることを特徴とする請求項1に記載の歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法
【請求項3】
前記第1折り工程と前記第2折り工程とが、前記エアバッグの折り畳まれる領域における前後方向で略半分ずつの領域を折り畳む構成としていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法
【請求項4】
前記エアバッグが、
展開膨張完了時に前記収納部位の後方のエリアより車幅方向外方に突出する膨張部位を備えるとともに、前記第2折り工程後の車幅方向に沿う左右方向の寸法を、前記収納部位の左右方向の寸法より大きく構成されて、
第2折り工程後の車幅方向外方側を、第2折り工程後の折り畳み部位の上に折り重ねる第3折り工程を経て、前記収納部位に収納されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフードパネルの後端付近に配置された収納部位内に折り畳まれて収納されるエアバッグが、膨張用ガスを流入させて、フロントピラーの前面側を覆うように展開膨張する歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行者用エアバッグ装置では、車両のフードパネルの後端付近に配置された収納部位内に、エアバッグが折り畳まれて収納されていた(例えば、特許文献1参照)。収納されたエアバッグは、膨張用ガスを流入させて、車体側パネルと歩行者側パネルとを離すように膨張しつつ、収納部位から後斜め上方に向かって突出して、フロントピラーの前面側を覆うように展開膨張していた。そして、エアバッグは、車体側パネルと歩行者側パネルとを重ねて平らに展開した状態から、収納部位側の前縁から離れた後縁側を、車体側パネルの側で折るロール折りにより折り畳んで、収納部位に収納されていた。
【0003】
このように折り畳まれたエアバッグは、展開膨張時、膨張用ガスの未流入側の巻かれた部位を、車体側に接近させるように順次繰り出しつつ、膨張用ガスを流入させた部位が順次膨んで、膨張を完了させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−213523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の歩行者用エアバッグ装置において、収納部位の配置と搭載車両のフードパネル後端付近の構造との関係において、展開膨張途中では、エアバッグが車体側部材に沿って展開膨張するものの、膨張完了直前の折りの解消時に、ロール折りの巻きの解ける際に回転した慣性力により、後縁の先端側がフロントピラーから離れる場合が生じ、そのような場合には、エアバッグの膨張完了直後において、フロントピラーの前面からエアバッグが隙間を開けて浮き上がる事態を招いてしまう。また、膨張完了直前に、車体側部材に接近して展開膨張しているエアバッグの先端が、車体側部材に当たって車体側部材から大きな反力を受ける場合もあり、そのような場合でも、エアバッグの後縁先端側が、膨張完了直後において、フロントピラーの前面から浮き上がる事態を招いてしまう。
【0006】
そして、膨張完了直後のエアバッグがフロントピラーの前面から浮き上がっている場合では、エアバッグは、歩行者を受け止めても、車体側パネルがフロントピラー等の車体側部材に支持されていないことから、クッション性よく歩行者を受け止めることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、フロントピラーからの浮き上がりを抑えて、エアバッグが膨張を完了させることができる歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<請求項1の説明>
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法は、車両のフードパネルの後端付近に配置された収納部位内に折り畳まれて収納されるエアバッグが、膨張用ガスを流入させて、車体側パネルと歩行者側パネルとを離すように膨張しつつ、前記収納部位から後斜め上方に向かって突出して、フロントピラーの前面側を覆うように展開膨張する歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法であって、
前記収納部位が、前記フードパネルの後端の下方に配置されるとともに、上面側に前記エアバッグの突出用の開口を有して構成され、
前記エアバッグが、前記車体側パネルと前記歩行者側パネルとを重ねて平らに展開した状態から、第1折り工程と第2折り工程とを経て、前記収納部位に収納される構成とし、
前記第1折り工程が、前記収納部位側の前縁から離れた後縁側を、前記歩行者側パネルの側に折って前後方向の寸法を狭める工程とし、
前記第2折り工程が、第1折り工程後の後縁側を前記車体側パネルの側で巻くロール折りとして、前後方向の寸法を前記収納部位に収納可能な寸法とする工程とするとともに
膨張用ガスが流入して前記エアバッグが前記収納部位の開口から突出し、前記第2折り工程の折りが解消された前記エアバッグの折りの未解消部位が、前記フードパネルの後端より後方で、前記フロントピラーに接近している位置とするように、前記第2折り工程によって折り畳まれる前記エアバッグの領域が、設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法では、エアバッグが、膨張用ガスの流入に伴ない、まず、第2折り工程の折りを解消し、ついで、第1折り工程の折りを解消することとなる。そして、第2折り工程が、第1折り工程後の後縁を車体側パネルの側に折る裏ロール折りの折り畳みであって、折りの未解消部位が、車体側部材に接近しつつ、膨張用ガスの流入部位が順次膨張していく。その後の折りの解消では、第1折り工程がエアバッグ全体を平らに展開させた後縁を歩行者側パネルの側に折る折り畳みであって、第2折り工程と表裏逆向きとした折り畳みの折りの解消となる。
【0010】
そのため、膨張完了直前の折りの解消では、後縁側の先端が、折りの解消時に回転した慣性力により、フロントピラー側に接近する挙動となって、車体側部材に当接してフロントピラーの前面から浮き上がる反力を受けていても、その反力に対抗して、エアバッグの全体をフロントピラーの前面に沿わせることが可能となる。
【0011】
その結果、膨張完了直後のエアバッグは、フロントピラーからの浮き上がりを抑制して、膨張を完了させることができる。
【0012】
したがって、本発明に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法では、フロントピラーからの浮き上がりを抑えて、エアバッグが膨張を完了させることができ、膨張完了直後に歩行者を受け止めても、フロントピラーの支持を受けて、乗員をクッション性よく受け止めることができる。
【0013】
<請求項2の説明>
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法は、前記第1折り工程が、前記収納部位側の前縁から離れた後縁側を、前記歩行者側パネルの側に巻くロール折りとしていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、第1折り工程で、後縁側を歩行者側パネル側に折り返して、裏ロール折りする場合に比べて、エアバッグをコンパクトに折り畳むことができる。
【0015】
また、このような構成では、第1折り工程の折りの解消時、折りの未解消部位が、膨張用ガスの流入部位に押されつつ徐々に折りを解消することから、展開膨張時におけるエアバッグの上下方向の展開スペースを小さくすることができて、上下に大きく動作させないことから、エアバッグ毎の展開膨張の挙動を安定させ易い。
【0016】
<請求項3の説明>
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法は、前記第1折り工程と前記第2折り工程とが、前記エアバッグの折り畳まれる領域における前後方向で略半分ずつの領域を折り畳む構成としていることが望ましい。
【0017】
このような構成では、第2折り工程の折りの解消では、折りの未解消部位が、車体側部材に接近して折りを解消し、第1折り工程の解消では、車体側部材から離れる状態で折りを解消することから、このような相互に反する折りの解消状態を、エアバッグ全体の折りの解消の略半分ずつとしており、折りに関する両者のデメリットを相殺でき、かつ、両者のメリットを得ることができて、種々の車両に対応し易い。
【0018】
すなわち、エアバッグの全体あるいは大部分を第1折り工程の折りで折り畳めば、膨張展開の当初あるいは初期の段階から、折り未解消部位を車体側部材から離すように展開することから、膨張完了時には、エアバッグは、車体側部材から大きく浮き上がってしまう事態を招き易い。また、エアバッグの後縁近傍付近だけを第1折り工程の折りで折り畳んでも、膨張部位が車体側部材から大きな反力を受けていれば、その反力に対抗する慣性力を確保し難くなり、安定した膨張完了直後の浮き上がり防止効果を得難くなる虞れが生ずることから、上記の構成が望ましい。
【0019】
<請求項4の説明>
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグの折畳方法は、前記エアバッグが、展開膨張完了時に前記収納部位の後方のエリアより車幅方向外方に突出する膨張部位を備えるとともに、前記第2折り工程後の車幅方向に沿う左右方向の寸法を、前記収納部位の左右方向の寸法より大きく構成されていれば、第2折り工程後の車幅方向外方側を、第2折り工程後の折り畳み部位の上に折り重ねる第3折り工程を経て、前記収納部位に収納されていることが望ましい。
【0020】
このような構成では、エアバッグが、車幅方向に沿う左右方向の寸法を収納部位より大きくしていても、第3折り工程を経て、容易に収納部位に収納することができる。そしてさらに、エアバッグ全体の前後方向の寸法を狭める折りを完了させた後に、折り返して、左右方向の寸法を狭めており、最初に平らに展開させた左右方向の寸法を狭め、ついで、エアバッグ全体の前後方向の寸法を狭めて折り畳む場合に比べて、コンパクトな折り畳み形状を確保し易い。そのため、このように折り畳んだエアバッグでは、収納部位をコンパクトにすることもできて、スペースに制限のある車両への搭載が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態である歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の平面図である。
図2】実施形態の歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
図3】実施形態の歩行者用エアバッグ装置の車両前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
図4】実施形態の歩行者用エアバッグ装置に使用するエアバッグとインフレーターとを示す分解斜視図である。
図5】実施形態の歩行者用エアバッグ装置に使用するエアバッグを平らに展開した状態の平面図である。
図6図5のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す概略断面図であり、図5のVI−VI部位に対応する。
図7】実施形態のエアバッグの折り畳み工程を説明する図である。
図8】実施形態のエアバッグの折り畳み工程を説明する図であり、図7の後の状態を示す。
図9】実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を示す概略縦断面図であり、作動開始からエアバッグの展開膨張途中の状態を示す。
図10】実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を示す概略縦断面図であり、エアバッグの展開膨張途中から展開膨張完了直後の状態を示す。
図11】比較例の歩行者用エアバッグ装置の作動時を示す概略縦断面図である。
図12】実施形態のエアバッグの変形例の折り畳み工程を説明する図である。
図13】変形例の折り畳み工程を説明する図であり、図12の後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Mは、図1,2に示すように、車両Vのフードパネル10の後端10a近傍における左右両縁側となる左縁10b,右縁10c側に、配置されている。これら左右の歩行者用エアバッグ装置Mの構成部品は、車幅方向に沿った左右方向で、左右対称とされる以外は、同一の構成である。実施形態では、右側に配置される歩行者用エアバッグ装置Mについて、詳細に説明し、左側に配置される歩行者用エアバッグ装置Mについては、説明を省略する。
【0023】
なお、本明細書では、特に断らない限り、前後、上下、及び、左右の方向は、それぞれ、車両Vの前後、上下、及び、左右の方向と一致させて、説明する。
【0024】
実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ5(図1参照)には、歩行者との衝突を検知可能な図示しないセンサが、配設されており、センサからの信号を入力する図示しない作動回路が、センサからの信号に基づいて車両Vの歩行者との衝突を検知した際に、歩行者用エアバッグ装置Mのインフレーター23を作動させるように構成される。また、実施形態の車両Vには、歩行者用エアバッグ装置Mの近傍となるフードパネル10の後端10a近傍の左縁10b側と右縁10c側とに、フードパネル10の後端10aを上昇させるアクチュエータ20が、配設されている。このアクチュエータ20は、作動回路が車両Vの歩行者との衝突を検知した際に、インフレーター23の作動と略同時に、作動されて、フードパネル10の後端10aを押し上げ、フードパネル10の後端10aとカウル7との間に、エアバッグ突出用の隙間OSを形成することとなる(図3,9参照)。
【0025】
フードパネル10は、図1に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配置されるもので、図1,2に示すように、後端10a近傍における左右両縁の左縁10b,右縁10c側に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製としている。フードパネル10の後方には、図3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウインドシールド3の下部3a側に連ならせるように、配設されている(図3参照)。また、フロントウインドシールド3の左右の外方には、図1,2に示すように、フロントピラー4,4が、配設されている。フードパネル10は、アクチュエータ20の作動時に、後端10aを押し上げられることとなるが、この後端10aの上昇時には、フードパネル10の前端10d側は、前端に配置されている通常閉塞用の図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1から外れることはない。
【0026】
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10aにおける左縁10b側と右縁10c側とに配設されるもので(図1,2参照)、実施形態の場合、それぞれ、図3に示すように、ボディ1側に固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定される取付ブラケット13と、ヒンジベース12と取付ブラケット13とに回動自在に軸支されるヒンジアーム15と、を備えて構成されている。
【0027】
ヒンジベース12は、板金製として、ボディ1側のフードリッジリインホース2に固定され、取付ブラケット13は、板金製として、フードパネル10の後端10a近傍に固定されている。ヒンジアーム15は、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略L字形状に湾曲させた形状として、構成されている。そして、ヒンジアーム15は、後端側を、支持軸17を利用して、ヒンジベース12に対して回動可能に連結され、前端側を、支持軸16を利用して、取付ブラケット13に対して回動可能に連結されている。
【0028】
そして、実施形態では、ヒンジアーム15は、アクチュエータ20の作動時におけるフードパネル10の後端10aの上昇移動時にのみ、支持軸16を利用して、取付ブラケット13に対して回動されることとなり、その際、前端付近を塑性変形させる(図9のB参照)。
【0029】
アクチュエータ20は、図3に示すように、軸方向を上下方向に沿わせた押上ロッド20aを備えて構成され、内部に、マイクロガスジェネレータを内蔵させて、作動時に、マイクロガスジェネレータによって発生する燃焼ガスによって、瞬時に、押上ロッド20aを上昇移動させるように構成されている。このアクチュエータ20は、ヒンジアーム15の前方であって、かつ、歩行者用エアバッグ装置M(ケース28)の前方となる位置において、フードパネル10の左縁10b,右縁10c付近の下面側に、配設されている(図1,2参照)。実施形態の場合、アクチュエータ20は、図3に示すように、下端側をボディ1側のフードリッジリインホース2に固定され、押上ロッド20aを、取付ブラケット13の前端近傍に配置される受け座14に、当接させている。そして、アクチュエータ20が作動されて、押上ロッド20aが上昇移動すれば、受け座14を介して、フードパネル10の後端10aが上方に押し上げられ、カウル7とフードパネル10の後端10aとの間に、エアバッグ35を突出させるための隙間OSが形成されることとなる(図3,9参照)。
【0030】
歩行者用エアバッグ装置Mは、図3に示すように、エアバッグ35と、エアバッグ35に膨張用ガスを供給するインフレーター23と、エアバッグ35及びインフレーター23を収納する収納部位としてのケース28と、ケース28の開口28aを覆うエアバッグカバー32と、を備えて構成されている。
【0031】
インフレーター23は、図3,4に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとされる本体24と、本体24を保持してケース28に取り付けるリテーナ25と、を備えて構成される。実施形態の場合、インフレーター23は、エアバッグ35の後述する取付部38内に、収納されている(図5,6の二点鎖線参照)。本体24は、軸方向を左右方向に略沿わせるようにして配置されるもので、実施形態の場合、車幅方向の外方、すなわち、左右方向の外方の端部側(図5における右端側)に、膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口24aを配設させて構成されている。リテーナ25は、本体24を挟持して保持可能な略円筒形として構成され、軸直交方向の下方側に向かって突出する取付ボルト25aを、備えている。取付ボルト25aは、実施形態の場合、リテーナ25の軸方向に沿って、3本形成されている。そして、実施形態では、インフレーター23は、本体24を保持させた状態のリテーナ25の取付ボルト25aを、取付孔39から突出させるようにして、エアバッグ35の取付部38内に収納されている。さらに、インフレーター23は、軸方向をケース28の長手方向に沿わせるようにして、ケース28内に収納させた状態で、取付ボルト25aを、ケース28の取付壁部30に挿通させて、ナット26止めすることにより、エアバッグ35とともに、ケース28に取り付けられている。
【0032】
なお、実施形態では、ケース28から突出させた取付ボルト25aを、カウルパネル7aから突出させて、ナット26止めすることにより、エアバッグ35とインフレーター23とをケース28に取り付けると同時に、ケース28を車両Vのボディ1側に取り付けている(図3参照)。
【0033】
また、インフレーター23の本体24は、左端側から延びるリード線(図符号省略)によって、作動回路と電気的に接続されている。
【0034】
収納部位としてのケース28は、図2,3に示すように、フードパネル10の後端10aの下方において、カウルパネル7aに載置されるように配置されるもので、実施形態の場合、長手方向を車幅方向の左右方向に略沿わせた長尺状の箱形状として、上面側にエアバッグ突出用の開口28aを有して構成されている。
【0035】
実施形態の場合、ケース28は、フードパネル10の後端10aの湾曲した後縁に沿って、左右方向の外側(車幅方向の外方側)の端部側(図2における右端側)を後方に位置させ、左右方向の内側(車幅方向の内方側)の端部側(図2における左端側)を前方に位置させるように、左右方向に対して僅かに傾斜して、配置されている。
【0036】
また、ケース28は、板金製として、軸方向を上下方向に略沿わせるように配置される略四角筒形状の周壁部29と、周壁部29の下端側を閉塞するように配置される取付壁部30と、を備えている。取付壁部30は、エアバッグ35とインフレーター23とを取り付けるもので、インフレーター23の各取付ボルト25aを挿通させてナット26止めし、エアバッグ35とともにインフレーター23を取り付けている。なお、実施形態の場合、各取付ボルト25aの挿通孔(図符号省略)は、取付壁部30の前後の中央より前方となる位置であって、かつ、取付壁部30に取り付けられるインフレーター23と、周壁部29における前壁29aと、の間に、隙間を形成可能な位置に、形成されている。周壁部29は、ケース28内にインフレーター23全体を収納可能に、全体の高さ寸法を、インフレーター23の外径寸法より大きく設定されている。また、実施形態では、周壁部29は、前壁29aが後壁29bより高さ寸法を高くし、高い前壁29aが、膨張完了時のエアバッグ35の前面側を円滑に支持できるように構成されている。
【0037】
エアバッグカバー32は、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、図3に示すように、ケース28の上部側において、ケース28の開口28aを覆うように、配置されている。エアバッグカバー32は、ケース28の周壁部29の外周側を覆うように取り付けられて、膨張するエアバッグ35に押されて前開きで開く扉部32aを備えている(図3,9参照)。
【0038】
エアバッグ35は、ケース28の開口28aから後斜め上方に突出するように展開膨張して、膨張完了時に、図1,2の二点鎖線に示すように、フロントピラー4の前面4aを覆うように、配設される。エアバッグ35は、膨張完了時の外形形状を、長手方向をケース28からの突出方向に略沿わせた長尺状の略板状として、膨張完了時に、ケース28から突出してフロントピラー4の前面4a、および、フロントウインドシールド3におけるフロントピラー4の近傍部位3bの前面3cを覆う本体部36と、ケース28内に配置される取付部38と、を備えて構成されている。
【0039】
また、エアバッグ35は、膨張完了時の下面側、換言すれば、フロントピラー4やフロントウインドシールド3の車体側部材18の側の車体側パネル41と、膨張完了時の上面側の歩行者側パネル42と、の両者の間に膨張用ガスを流入させて、膨張する構成としている。
【0040】
そして、取付部38は、左右方向の幅寸法を、ケース28内に収納可能な寸法に設定されている(図2,5参照)。また、取付部38には、膨張完了時に車体側に位置する車体側パネル41の部位に、インフレーター23の各取付ボルト25aを挿通させるための取付孔39が、形成されている。
【0041】
本体部36は、車体側パネル41の上に歩行者側パネル42を密着させるように非膨張で平らに展開した状態では、ケース28側(前側)の前縁35aから取付部38の幅寸法で後方に延びるエリアの後方部位36aと、後方部位36aから車幅方向の外方に張り出してフロントピラー4の前面4aを覆う張出部位36bと、を備えて構成されている。本体部36は、車両搭載状態で膨張を完了させた際、取付部38から張出部位36bにかけて湾曲して凹む凹部40を、ヒンジ部11との干渉を防止する部位としている(図2参照)。
【0042】
また、本体部36の前後方向の中央付近には、図5,6に示すように、本体部36を略板状に膨張させるように、膨張時の本体部36の厚さを規制する厚さ規制部37が形成され、この厚さ規制部37は、車体側パネル41と歩行者側パネル42とを連結するように、円形状に縫製して、形成されている。
【0043】
このエアバッグ35は、図6,7に示すように、外形形状を略同一とした車体側パネル用基布51と歩行者側パネル用基布52とを、折り返す前縁側を除いた周縁相互を結合させて、形成されている。車体側パネル用基布51と歩行者側パネル用基布52は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を織ってなる織布にガス漏れ防止用のコーティング剤を塗布させたコート布、から形成されている。
【0044】
これらの車体側パネル用基布51と歩行者側パネル用基布52とは、エアバッグ35を平らに展開した形状としたパネル用部位51a,52aと、パネル用部位51a,52aの前縁側から延設されて、折り返して取付部38の補強用とする補強用部位51b,52bと、を備えて構成されている。そして、実施形態のエアバッグ35は、車体側パネル用基布51と歩行者側パネル用基布52とを平らに展開した状態で重ねて、パネル用部位51a,52aの周縁相互を、縫合糸を用いて縫着させて袋状とし、補強用部位51b,52bを車体側パネル用基布51側に折り返して重ね、取付孔39の周囲の部位を三枚重ねとして、形成されている(図6参照)。なお、補強用部位51b,52bの端末相互は、縫合されておらず、この部位からインフレーター23をエアバッグ35内に入れ、各取付ボルト25aを、車体側パネル用基布51のパネル用部位51a(取付孔39の部位)と補強用部位51b,52bとを挿通させて、エアバッグ35外へ突出させることとなる。
【0045】
そして、このように製造したエアバッグ35は、図7,8に示すように、第1折り工程、第2折り工程、及び、第3折り工程により折り畳んで、ケース28に収納する。
【0046】
第1折り工程は、図7のA,Bに示すように、車体側パネル41の上に歩行者側パネル42を重ねて載せ、相互に平らに展開した状態から、ケース28側の前縁35aから離れた後縁35b側を、歩行者側パネル42の側に折って前後方向の寸法を狭める工程としている。実施形態の場合、第1折り工程では、後縁35b側を歩行者側パネル42の側で巻くロール折り(表ロール折り)として、エアバッグ35の全体の折り畳む領域43の略半分とした後縁35b側の領域44を、表ロール折りしている。
【0047】
ついで、第2折り工程は、図7のB,C、図8のA,Bに示すように、第1折り工程後の第1折畳完了体47の後縁47a側を車体側パネル41の側で巻くロール折り(裏ロール折り)として、前後方向の寸法を、ケース28に収納可能な寸法とする工程としている。なお、第2折り工程の第2折畳完了体49は、取付部38の上に折畳部位を載せて折り畳みを完了させる。
【0048】
その後、第3折り工程は、図8のB,Cに示すように、第2折り工程後の第2折畳完了体49の車幅方向外方側の外縁(実施形態では右縁)49b側を、第2折畳完了体49の中央部49aの上に折り重ねて、ケース28内に収納可能な左右方向の幅寸法とする折り畳みとしている。
【0049】
このように折り畳んだエアバッグ35は、各取付ボルト25aを取付壁部30から突出するようにケース28内に収納し、エアバッグカバー32を周壁部29に取り付けて、歩行者用エアバッグ装置Mを組み立て、さらに、各取付ボルト25aを利用して、カウルパネル7aにケース28を取り付ければ、歩行者用エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。なお、エアバッグ35のケース28への収納時には、インフレーター23から延びる作動用リード線を、エアバッグ35やケース28の所定部位から出しておき、車両搭載時、作動回路からの所定のリード線と結線させればよい。
【0050】
車両Vへの搭載後、図示しない作動回路が、フロントバンパ5に配置される図示しないセンサからの信号に基づいて、車両Vの歩行者との衝突を検知した際に、図9に示すように、アクチュエータ20が、押上ロッド20aによりフードパネル10の後端10aを押し上げるように、作動されて、フードパネル10の後端10aとカウル7との間に、エアバッグ突出用の隙間OSが形成される。
【0051】
と略同時に、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Mでは、インフレーター23が作動され、ガス吐出口24aから吐出される膨張用ガスがエアバッグ35内に流入して、エアバッグ35が膨張する。そのため、エアバッグ35が、図9のA,Bに示すように、エアバッグカバー32の扉部32aを押し開いて形成されたケース28の開口28aから後斜め上方に向かって突出し、ついで、図10のA,Bに示すように、フロントピラー4の前面4a側と、フロントウインドシールド3におけるフロントピラー4の近傍部位3bの前面3c側と、を覆うように、膨張を完了させることとなる(図1,2の二点鎖線及び図10参照)。
【0052】
その際、エアバッグ35は、膨張用ガスGの流入に伴ない、まず、図9のA,Bに示すように、第2折り工程の折りを解消し、ついで、図10のA,Bに示すように、第1折り工程の折りを解消することとなる。そして、第2折り工程が、第1折り工程後の後縁47aを車体側パネル41の側に折る裏ロール折りの折り畳みであって、図9のA,Bに示すように、折りの未解消部位61が、車体側部材(フロントウインドシールド3やフロントピラー4)18に接近しつつ、膨張用ガスGの流入部位62が順次膨張していき、第2折り工程の折りが解消される
【0053】
その後の折りの解消では、第1折り工程がエアバッグ35全体を平らに展開させた後縁35bを歩行者側パネル42の側に折る折り畳みであって、第2折り工程と表裏逆向きとした折り畳みの折りの解消となる。そのため、膨張完了直前の折りの解消では、図10のBの二点鎖線から実線に示すように、後縁35b側の先端35btが、折りの解消時に回転した慣性力IFにより、フロントピラー4側に接近する挙動となって、エアバッグ35の膨張部位63が車体側部材18に当接してフロントピラー4の前面4aから浮き上がる反力CFを受けていても、その反力CFに対抗して、エアバッグ35の全体をフロントピラー4の前面4aに沿わせることが可能となる。
【0054】
そのため、膨張完了直後のエアバッグ35は、フロントピラー4からの浮き上がりを抑制して、膨張を完了させることができる。
【0055】
なお、図11に示すエアバッグ35Zでは、エアバッグ35の全体の折り畳み領域43を、第2折り工程の折り畳み、すなわち、後縁35b側を車体側パネル41の側で巻く裏ロール折りにより折り畳んだものである。このエアバッグ35Zを使用した歩行者用エアバッグ装置MZでは、展開膨張途中では、エアバッグ35Zが車体側部材18に沿って展開膨張するものの、膨張完了直前の折りの解消時に、ロール折りの巻きの解ける際に回転した慣性力IFにより、後縁35bの先端35bt側がフロントピラー4から離れる場合が生じ、エアバッグ35Zの膨張完了直後において、フロントピラー4の前面4aからエアバッグ35が隙間を開けて浮き上がる事態を招いてしまう。あるいは、膨張完了直前に、車体側部材18に接近して展開膨張しているエアバッグ35Zの先端側の膨張部位63が、車体側部材18に当たって車体側部材18から大きな反力CFを受ける場合もあり、そのような場合でも、エアバッグ35Zの後縁35bの先端35bt側が、膨張完了直後において、フロントピラー4の前面4aから浮き上がる事態を招いてしまう。
【0056】
したがって、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Mのエアバッグ35の折畳方法では、フロントピラー4からの浮き上がりを抑えて、エアバッグ35が膨張を完了させることができ、膨張完了直後に歩行者を受け止めても、フロントピラー4の支持を受けて、乗員をクッション性よく受け止めることができる。
【0057】
そして、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Mのエアバッグ35の折畳方法では、第1折り工程が、ケース28側の前縁35aから離れた後縁35b側を、歩行者側パネル42の側に巻く表ロール折りとしている。
【0058】
そのため、実施形態では、第1折り工程で、後縁35b側を歩行者側パネル42側に折り返して、裏ロール折りする場合に比べて、エアバッグ35をコンパクトに折り畳むことができる。
【0059】
また、このような構成では、第1折り工程の折りの解消時、折りの未解消部位61が、膨張用ガスGの流入部位62に押されつつ徐々に折りを解消することから、展開膨張時におけるエアバッグ35の上下方向の展開スペースを小さくすることができて、上下に大きく動作させないことから、エアバッグ35毎の展開膨張の挙動を安定させ易い。
【0060】
勿論、この点を考慮しなければ、図12,13に示すエアバッグ35Aのように、第1折り工程で、折目46を付けて、後縁35b側の第1折畳工程領域44を歩行者側パネル42側に折り返して第1折畳完了体47Aを形成し、その後、実施形態と同様に、第2折り工程において、第1折り工程後の後縁47a側を車体側パネル41の側で巻く裏ロール折りとして折り畳んで第2折畳完了体49Aを形成し、その後、外縁49b側を折り返す第3折り工程により、折り畳んでもよい。
【0061】
さらに、実施形態では、第1折り工程と第2折り工程とが、エアバッグ35の折り畳まれる領域43における前後方向で略半分ずつの領域44,45を折り畳む構成としている。
【0062】
そのため、実施形態では、第2折り工程の折りの解消では、折りの未解消部位61が、車体側部材18に接近して折りを解消し、第1折り工程の解消では、車体側部材18から離れる状態で折りを解消することから、このような相互に反する折りの解消状態を、エアバッグ35全体の折りの解消の略半分ずつとしており、折りに関する両者のデメリットを相殺でき、かつ、両者のメリットを得ることができて、種々の車両に対応し易い。
【0063】
すなわち、エアバッグ35の全体あるいは大部分を第1折り工程の折りで折り畳めば、膨張展開の当初あるいは初期の段階から、折り未解消部位61を車体側部材18から離すように展開することから、膨張完了時には、エアバッグ35は、車体側部材18から大きく浮き上がってしまう事態を招き易い。また、エアバッグ35の後縁35b近傍付近だけを第1折り工程の折りで折り畳んでも、膨張部位62が車体側部材18から大きな反力CFを受けていれば、その反力CFに対抗する慣性力IFを確保し難くなり、安定した膨張完了直後の浮き上がり防止効果を得難くなる虞れが生ずることから、上記の構成が望ましい。
【0064】
なお、第1折畳工程領域44と第2折畳工程領域45とは、エアバッグ35の展開膨張完了直後のフロントピラー4からの浮き上がりを抑制できれば、エアバッグ35の全体の折り畳み領域43の正確に半分ずつとしなくとも良い。すなわち、図7のA,Bに示すように、第1折り工程後の第2折り工程で折る領域45における前後方向の長さ寸法L2は、エアバッグ35全体の折り畳み領域43の前後方向の長さ寸法L0の半分の長さ寸法LCでなくとも、その長さ寸法LCを基準にして、全体の長さ寸法L0の1〜2割程度、増減した長さ寸法L2Lや長さ寸法L2S、としてもよい。
【0065】
また、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Mのエアバッグ35の折畳方法は、エアバッグ35が、展開膨張完了時にケース28後方のエリア(後方部位)36aより車幅方向外方に突出する膨張部位(張出部位)36bを備えるとともに、第2折り工程後の第2折畳完了体49の車幅方向に沿う左右方向の寸法W1(図8のB参照)を、ケース28の左右方向の寸法W0(図1参照)より大きく構成されていても、第2折り工程後の車幅方向外方(外縁)49b側を、第2折り工程後の折り畳み部位(中央部)49aの上に折り重ねる第3折り工程を経て、ケース28に収納されている。
【0066】
そのため、実施形態では、エアバッグ35が、車幅方向に沿う左右方向の寸法W1をケース28の寸法W0より大きくしていても、第3折り工程を経て、容易にケース28に収納することができる。
【0067】
そしてさらに、エアバッグ35全体の前後方向の寸法を狭める折りを完了させた後に、第3折り工程のように折り返して、左右方向の寸法を狭めており、最初に平らに展開させた左右方向の寸法を狭め、ついで、エアバッグ35全体の前後方向の寸法を狭めて折り畳む場合に比べて、コンパクトな折り畳み形状を確保し易い。そのため、このように折り畳んだエアバッグ35では、ケース28をコンパクトにすることもできて、スペースに制限のある車両Vへの搭載が容易となる。
【0068】
なお、実施形態では、歩行者用エアバッグ装置Mの近傍に、作動時に、フードパネル10の後端10aを押し上げるアクチュエータ20を配置させて、アクチュエータ20を利用して、フードパネル10の後端10aを押し挙げる構成の車両Vに、搭載しているが、実施形態の歩行者用エアバッグ装置は、アクチュエータを備えない車両に搭載してもよい。このような車両に搭載する場合、膨張するエアバッグ自体によって、フードパネルの後端を上方に押し上げつつ、エアバッグを後方に突出させることとなる。
【符号の説明】
【0069】
4…フロントピラー、4a…前面、10…フードパネル、10a…後端、28…(収納部位)ケース、35,35A(35Z)…エアバッグ、35a…前縁、35b…後縁、36…本体部、36a…後方部位、36b…(車幅方向外方に突出する膨張部位)張出部位、38…取付部、41…車体側パネル、42…歩行者側パネル、43…(エアバッグ全体の)折り畳み領域、44…第1折畳工程領域、45…第2折畳工程領域、47,47A…第1折畳完了体、47a…後縁、49…第2折畳完了体、49a…中央部、49b…外縁、
G…膨張用ガス、M…歩行者用エアバッグ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13