【実施例】
【0015】
(実施例1)
ワーク搬送装置にかかる実施例について、
図1〜
図7を参照して説明する。
図1に示すごとく、ワーク搬送装置1は、ワーク4が搬入される搬入位置101と、搬入位置101よりも低い位置においてワーク4が搬出される搬出位置102との間に、5つのワーク支持部17(17a〜17e)を繰り返し循環させるための環状の循環部材11と、循環部材11を回転可能に支持する回転支持フレーム2とを備えている。ワーク搬送装置1は、搬入位置101にあるワーク支持部17にワーク4が支持されたとき、ワーク4の自重によって循環部材11が回転し、ワーク4を支持するワーク支持部17が搬出位置102まで移動すると同時に他の上記ワーク支持部17が搬入位置101まで移動するよう構成されている。
【0016】
以下、さらに詳細に説明する。
図1に示すごとく、本例のワーク搬送装置1は、自動車の生産ラインにおいて、生産ラインに配された供給経路(図示略)から、組付工程へとワーク4を搬送するものである。尚、ワーク搬送装置1によって搬送されるワーク4は、自動車のタイヤ4であり、組付工程において、車体へと組み付けられる。生産ラインの供給経路は、組付工程よりも上方に形成された架台上に配されており、搬送コンベアによって、タイヤ4を搬送可能に構成されている。また、供給経路の終点は、組付工程の上方に位置している。供給経路上を搬送されたタイヤ4は、供給経路の終点と隣接して配されたワーク搬送装置1へと受け渡され、ワーク搬送装置1によって、組付工程へと降ろされる。
【0017】
図1に示すごとく、ワーク搬送装置1における環状の循環部材11は、コンベアチェーンからなる。本例のワーク搬送装置1は、一対の循環部材11を有しており、一対の循環部材11は、タイヤ4の搬送方向及び上下方向と直交する横方向に、互いに平行となるように配されている。各循環部材11は、それぞれ複数のチェーンリンク12を連結して形成されている。
【0018】
図1及び
図3に示すごとく、チェーンリンク12は、ワーク支持部17を構成する複数のアタッチ付リンク13と、ワーク支持部17の間に配される複数の連結リンク14とからなり、交互に複数組ずつ連結してなる。尚、本例において、循環部材11は、10個のアタッチ付リンク13と、16個の連結リンク14とを交互に連結し、合計130個のチェーンリンク12によって構成されている。したがって、ワーク支持部17は、循環部材11上に等間隔で5か所に形成されている。
【0019】
図3に示すごとくアタッチ付リンク13は、略長円形状をなすリンク本体部131と、リンク本体部131の長手方向と直交する方向に突出したアタッチ部132とを有している。
リンク本体部131長手方向における両端部近傍には、連結軸15を挿入する貫通孔(図示略)が形成されている。
【0020】
図3及び
図4に示すごとく、各ワーク支持部17を構成するアタッチ付リンク13において、搬送方向における最も前側に配されたアタッチ付リンク13には、アタッチ部132として、タイヤ4を支持するための支持アーム133が設けられており、その他の9つのアタッチ付リンク13には、オムニホイール134が設けられている。尚、アタッチ部132は、循環部材11を形成した際に、その外周側に向かって突出するように配される。
【0021】
オムニホイール134は、進行方向と直交する主回転軸を中心として回転可能なメインホイールと、メインホイールの周方向に配された補助回転軸を中心として回転可能でかつ、メインホイールの外周に配置されたサイドホイールとを備えている。したがって、搬入位置101において、オムニホイール134上を進行方向に沿って、タイヤ4が移動する際には、メインホイールを回転させ、タイヤ4をワーク支持部17に容易に載置できる。また、搬出位置102において、オムニホイール134上を横方向に沿って、タイヤ4が移動する際には、サイドホイールを回転させ、タイヤ4をワーク支持部17から容易に搬出することができる。
【0022】
図3に示すごとく、ワーク支持部17の間をつなぐ連結リンク14は、アタッチ付リンク13におけるリンク本体部131と同様に略長円形状をなしており、長手方向における両端部近傍には、連結軸15を挿入する貫通孔(図示略)が形成されている。
【0023】
図3及び
図4に示すごとく、各チェーンリンク12は、隣り合うチェーンリンク12の貫通孔を同一軸線上に重ねて配し、連結軸15を挿入配置することで、互いに回転可能で、かつ無端環状に連結されている。
図5に示すごとく、各連結軸15の両端には、回転支持フレーム2が有する一対のガイドレール21内を移動する移動車輪16が回転可能に軸支されている。
図1に示すごとく、循環部材11は、移動車輪16を、回転支持フレーム2のガイドレール21内に配すると共に、搬入側回転体251及び搬出側回転体252に架け渡すことで回転可能に配されている。
【0024】
図1及び
図2に示すごとく、回転支持フレーム2は、循環部材11の移動車輪16が移動可能なガイドレール21と、搬入位置101側及び搬出位置102側にそれぞれ配された搬入側回転体251及び搬出側回転体252と、搬入側回転体251と連結された減速手段26とを備えている。
【0025】
図1及び
図2に示すごとく、ガイドレール21は、搬入位置101から搬出位置102へ向けてワーク支持部17を移動させる一対の往路側レール22と、搬出位置102から搬入位置101へ向けてワーク支持部17を移動させる一対の復路側レール23とを備えている。
【0026】
図1及び
図2に示すごとく、一対の往路側レール22は、横方向において、互いに平行に並んで配されている。各往路側レール22は、搬入位置101にあるワーク支持部17にタイヤ4を横向きに載置するための緩傾斜レール221と、搬出位置102に移動したワーク支持部17からタイヤ4を縦向きで降ろすための急傾斜レール222とを有している。また、緩傾斜レール221と急傾斜レール222とは、滑らかに湾曲したコーナーレール223によって繋がっている。
【0027】
図1に示すごとく、緩傾斜レール221及び急傾斜レール222は、搬入位置101から搬出位置102側に向かって下降するように傾斜している。尚、緩傾斜レール221の傾斜角度は、1°〜5°とし、急傾斜レール222の傾斜角度は、80°〜90°としてある。本例において、緩傾斜レール221の傾斜角度は水平面に対して3°とし、急傾斜レール222の傾斜角度は、水平面に対して85°とした。
【0028】
尚、本例において、搬入位置101は、往路側レール22において進行方向と反対側の端部近傍の位置であり、搬出位置102は、往路側レール22の進行方向における前方の端部近傍の位置である。また、搬入位置101から搬出位置102までの移動距離は、循環部材11の全長に対して5分の2に相当する。
【0029】
図1に示すごとく、一対の復路側レール23は、横方向において、互いに平行に並んで配されており、往路側レール22の内側、つまり緩傾斜レール221の下方側でかつ急傾斜レール222の搬入位置101側の位置に、往路側レール22と平行に配されている。本例においては、復路側レール23を、往路側レール22と平行に配したが、これに限るものではなく、循環部材11の全長、ワークの搬送距離等に応じて、適宜、配置を変更してもよい。
【0030】
図5に示すごとく、往路側レール22及び復路側レール23は、進行方向と直交する断面形状が略コの字型をなす開口レール24を、開口部同士が対向するように一対配して形成されている。各開口レール24の内側に、循環部材11の移動車輪16を配置することにより、ガイドレール21に沿って循環部材11を移動可能に構成されている。
【0031】
図1及び
図2に示すごとく、搬入位置101側及び搬出位置102側にそれぞれ配された搬入側回転体251及び搬出側回転体252は、往路側レール22及び復路側レール23の搬入位置101側端部及び搬出位置102側端部にそれぞれ1つずつ配されている。搬入側回転体251及び搬出側回転体252は、循環部材11であるコンベアチェーン12と噛合可能なスプロケットからなり、その外径は、往路側レール22と復路側レール23との間隔と略同一に設定してある。
【0032】
図2に示すごとく、搬入側回転体251と連結された減速手段26は、遠心ブレーキからなり、搬入側回転体251と一体に回転する回転軸を有している。減速手段26は、図示しないブレーキパッドとブレーキドラムとを有しており、回転軸が特定の回転数を超え、回転に伴う遠心力が一定の値以上になったときに、ブレーキパッドとブレーキドラムとが接触することで摩擦力を発生させ循環部材11の回転速度を減速するよう構成されている。
【0033】
図1及び
図2に示すごとく、ガイドレール21、搬入側回転体251及び搬出側回転体252は、フレーム部材30によって支持されている。
フレーム部材30には、供給経路と搬入位置101とをつなぐ導入経路31と、循環部材11の移動を開始するためのプッシャー32とが配されている。
尚、導入経路31は、タイヤ4の進行方向に沿って移動可能なローラーコンベアからなり、1°〜5°傾斜している。本例において、導入経路31の傾斜角度は、緩傾斜レール221と同様に、3°に設定した。
【0034】
図1に示すごとく、プッシャー32は、搬入位置101の上方に配されており、進行方向に伸縮可能に構成されたシリンダ321と、シリンダ321のスライドバー323と一体に配された係合部材322とを備えている。係合部材322は、導入経路31における搬入位置101側に配されたタイヤ4の進行方向に対して後方の位置に垂下するように配されている。
【0035】
係合部材322は、タイヤ4の進行方向における後方から前方に向かって押された際には、シリンダ321との接続部近傍において、進行方向前方に向かって折れ曲がるように構成されている。尚、係合部材322は、進行方向における前方から後方又は側方に向かって押された際には折れ曲がらない。プッシャー32は、通常、シリンダ321を伸長させており、タイヤ4が搬入位置101に配されると、シリンダ321を収縮させ係合部材322によってタイヤ4を進行方向に押し出すことができる。
【0036】
図1及び
図2に示すごとく、ワーク搬送装置1における搬出位置102には、タイヤ4を支持する搬出支持部53と、搬出位置102から組立工程までタイヤ4を移動する取り出し経路52が配されている。
搬出支持部53は、搬出位置102の下端近傍に配されており、ワーク搬送装置1によって搬送されたタイヤ4を支持可能に構成されており、搬出位置102において、タイヤ4は、ワーク支持部17から搬出支持部53へと受け渡される。
【0037】
図2に示すごとく、取り出し経路52は、タイヤを転動して移動させるための取り出し傾斜面521と、取り出し傾斜面521に沿って配されタイヤを側方から支えるガイドローラー522と、取り出し経路52を転動するタイヤを停止させるストッパー523とを備えている。また、取り出し経路52には、作業者がタイヤ4を取り出したことを際に押す作業完了ボタン(図示略)が配されている。
【0038】
次に、上述のごとく構成されたワーク搬送装置1において、タイヤ4を搬送する手順を説明する。
図1に示すごとく、供給経路上を搬送されたタイヤ4は、導入経路31を介して搬入位置101へと移動する。このとき、プッシャー32の係合部材322は、タイヤ4によって進行方向に向かって押されることで折れ曲がり、タイヤ4が搬入位置101に配されたワーク支持部17a上へと移動する。
【0039】
ワーク支持部17aによってタイヤ4が支持されると、プッシャー32のシリンダ321を収縮させ係合部材322が進行方向へと移動し、タイヤ4を支持したワーク支持部17aを押し出す。プッシャー32によって押し出されたワーク支持部17aは、ガイドレール21の緩傾斜レール221から急傾斜レール222へと移動する。
【0040】
図6に示すごとく、ワーク支持部17aが急傾斜レール222へと到達すると、循環部材11は、タイヤ4の自重によりガイドレール21に沿って移動し、ワーク支持部17aが搬出位置102へと下降する。これと同時に、ワーク支持部17cが搬入位置101へと移動し、ワーク支持部17cによってタイヤ4が支持される。
【0041】
図7に示すごとく、搬出位置102において、タイヤ4は、ワーク支持部17aから搬出支持部53へと受け渡される。搬出支持部53によって支持されたタイヤ4は、取り出し経路52上へと移動し、さらに取り出し傾斜面521を転がりながら取り出し位置へと移動する。タイヤ4は、取り出し位置に到達するとストッパー523と接触して停止する。そして、作業者が取り出し経路52からタイヤ4を取り出し、作業完了ボタンを押すと、タイヤ4が載置されたワーク支持部17cが上述したワーク支持部17aと同様に搬出位置102へと移動する。
【0042】
ワーク支持部17cが搬出位置102へと移動すると、これと同時にワーク支持部17eが搬入位置101へと移動し、タイヤ4が載置される。このように、搬入位置101と搬出位置102との間に5つのワーク支持部17a〜17eを1つとばしで繰り返し循環させることにより、すべてのワーク支持部17を用いて、タイヤ4を搬送可能に構成されている。
【0043】
ワーク搬送装置1は、上記のごとく、タイヤ4の荷重を利用し循環部材11を回転させ、ワーク支持部17によって支持されたタイヤ4を搬入位置101から搬出位置102へと移動するように構成されている。つまり、ワーク搬送装置1は、電動モータや、シリンダといった駆動源を設けることなく、タイヤ4を搬入位置101から搬出位置102へと移動することができる。したがって、駆動源を駆動させるための電力や工場エアなどの供給も不要となり、ワーク搬送装置1の構造をシンプルにすることができる。これにより、ワーク搬送装置1の設置や移設を容易に行うことができる。
【0044】
また、回転支持フレーム2は、搬入位置101にあるワーク支持部17にタイヤ4を横向きに載置するための緩傾斜レール221と、搬出位置102に移動したワーク支持部17からタイヤ4を縦向きで搬送するための急傾斜レール222とを有しており、循環部材11は、緩傾斜レール221と急傾斜レール222とに沿って配置されている。そのため、タイヤ4の姿勢を変化させるために、新たに駆動源や駆動機構を設けることなく、搬入位置101から搬出位置102へと搬送することで、タイヤ4の姿勢を横向きから縦向きへと変化させることができる。これにより、ワーク搬送装置1の構造をさらにシンプルにすることができる
【0045】
また、タイヤ4は、搬入位置101において横向きに倒された状態から搬出位置102において縦向きに立てられる車両のタイヤである。そのため、タイヤの姿勢を、搬入位置101においては、搬送に適した横向きとすることで安定して搬送し、搬出位置102においては、車両への組み付け姿勢である縦向きとして、組み付け作業性を向上することができる。
【0046】
また、回転支持フレーム2は、搬入位置101の側に配置された搬入側回転体251と、搬出位置102の側に配置された搬出側回転体252とを有しており、循環部材11は、搬入側回転体251と搬出側回転体252との間に掛け渡されており、搬入側回転体251には、循環部材11の回転速度を減速させるための減速手段26が設けられている。そのため、タイヤ4の搬送速度を減速することにより、タイヤ4をさらに安定して搬送することができる。
【0047】
また、減速手段26は、回転に伴う遠心力が一定の値以上になったときに、循環部材11の回転速度を減速させる遠心ブレーキである。そのため、遠心力を利用して搬送速度を減速することができることから、新たに駆動源を設定することなく、減速手段26により、循環部材11の回転速度を減速することができる。これにより、ワーク搬送装置1をさらにシンプルな構造とすることができる。
【0048】
以上のごとく、本例のワーク搬送装置1によれば、構造をシンプルにして、設置や移設を容易に行うことができる。
【0049】
本例においては、ワーク支持部を5か所に設定したがこれに限られるものではなく、少なくとも2つ以上のワーク支持部を、循環部材上に、搬入位置から搬出位置までの搬送距離毎に設けてあればよい。また、複数のワーク支持部は、循環部材上に等間隔で配されていることが好ましい。この場合には、ワークを効率よく搬送することができる。
【0050】
また、ワーク支持部は、配置された順に順次、ワークを搬送してもよいし、1つ又は複数のワーク支持部をとばしながらワークを搬送してもよい。これにより、全てのワーク支持部を用いてワークを搬送することができる。