(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記転送用回線数予測部は、前記組織において通話中の各回線の転送発生率を合計することにより前記転送用回線数を予測する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記転送用回線数予測部は、前記外線からの呼の架電時において通話時間が設定時間以内である回線数を前記転送用回線数として予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
前記転送用回線数予測部は、通話中のオペレータによって転送可能性なしと判断された回線に関しては前記転送用回線数の予測対象外とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて顧客用電話機30a、および顧客用電話機30bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、顧客用電話機30a、および顧客用電話機30bを特に区別する必要が無い場合には、単に顧客用電話機30と称する。
【0020】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.情報処理システムの基本構成
2.各実施形態の詳細な説明
2−1.第1の実施形態
2−2.第2の実施形態
3.変形例
【0021】
<1.情報処理システムの基本構成>
本発明は、一例として「2−1.第1の実施形態」〜「2−2.第2の実施形態」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。以下では、まず、このような各実施形態において共通する情報処理システムの基本構成について
図1を参照して説明する。なお、本明細書では以後、一例として、コールセンタ2(組織)において、顧客用電話機30からの呼(外線からの呼)をオペレータが一時受付を行い、例えば一時受付で対処できない場合には他の部署などへ呼を転送する場面に、当該情報処理システムが適用される例を中心として説明する。
【0022】
図1に示したように、本実施形態による情報処理システムは、コールセンタサーバ10(情報処理装置)、コールセンタ交換機20、音声応答装置22、オペレータ用電話機24、コールセンタ端末26、通信網28、および顧客用電話機30を含む。
【0023】
‐コールセンタサーバ10‐
コールセンタサーバ10は、コールセンタ交換機20に対して指示を与え、コールセンタ交換機20が一時受信した呼の着信または転送を制御する。また、コールセンタサーバ10は、例えばコールセンタ2外の他の部署へ転送した呼の件数など、着信や転送の履歴情報を記憶する。また、コールセンタサーバ10は、コールセンタ端末26の画面の表示制御を行い、着信した呼の件数など各種情報をコールセンタ2の管理者やオペレータに提供する。
【0024】
なお、コールセンタ2には着信用の回線の他に、呼を他の部署へ転送するための転送用の回線が必要である。本実施形態では原則として、コールセンタ2における回線は着信用と転送用のいずれにも使用できるように設定されることを前提とする。この効果として、着信用と転送用との間で回線の本数をあらかじめ固定しないので、回線の分割損が生じず、回線を有効活用できることが挙げられる。但し、コールセンタ2における回線を着信用と転送用とにあらかじめ分割する場合に対しても本実施形態は適用可能である。この場合では、例えば着信した全ての呼が同じ時間帯に転送される可能性は極めて低いことなどの理由により、転送用の回線数の方が着信用の回線数よりも少なくなるように配分されてもよい。
【0025】
また、コールセンタサーバ10は、例えば
図2に示すようなハードウェア構成を有する。
図2に示したように、コールセンタサーバ10は、CPU(Central Processing Unit)150、ROM(Read Only Memory)152、RAM(Random Access Memory)154、内部バス156、入出力インターフェース158、HDD(Hard Disk Drive)160、およびネットワークインターフェース162を備える。
【0026】
CPU150は、例えば、後述する制御部100、回線使用状況管理部102、転送用回線数予測部104、判断部106、転送発生率予測部116、および転送率関係性予測部118の一例として構成される。このCPU150は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってコールセンタサーバ10内の動作全般を制御する。このCPU150は、マイクロプロセッサであってもよい。
【0027】
ROM152は、CPU150が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。また、RAM154は、CPU150の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU150、ROM152、およびRAM154は、CPUバスなどから構成される内部バス156により相互に接続されている。
【0028】
入出力インターフェース158は、HDD160、およびネットワークインターフェース162を、内部バス156と接続する。例えばHDD160は、この入出力インターフェース158および内部バス156を介して、RAM154などとの間でデータをやり取りする。
【0029】
HDD160は、例えば、後述する記憶部110の一例として構成されたデータ格納用の装置である。HDD160は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このHDD160は、CPU150が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0030】
ネットワークインターフェース162は、例えば通信網28に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースであり、後述する通信部108の一例として構成される。また、ネットワークインターフェース162は、無線LAN対応通信装置、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置、または有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0031】
‐コールセンタ交換機20‐
コールセンタ交換機20は、例えば顧客用電話機30などによる外線からの呼を通信網28を介して受信する。また、コールセンタ交換機20は、コールセンタサーバ10の指示により、外線からの呼をオペレータ用電話機24に着信させたり、コールセンタ2外の他の部署などへ転送する。
【0032】
‐音声応答装置22‐
音声応答装置22は、例えばコールセンタ交換機20の指示により、予め録音された音声ガイダンスを顧客用電話機30へ送信するための装置である。また、音声応答装置22は、顧客用電話機30から受信される肉声やプッシュ音などを自動音声認識することが可能であってもよい。
【0033】
‐オペレータ用電話機24‐
オペレータ用電話機24は、コールセンタ2で勤務するオペレータによって使用される電話機である。なお、オペレータ用電話機24は、固定型電話機であってもよいし、携帯型電話機であってもよい。
【0034】
‐コールセンタ端末26‐
コールセンタ端末26は、コールセンタ2のオペレータや管理者などによって使用される通信端末である。コールセンタ端末26は、例えばコールセンタの管理者の操作により、
図3に示したような回線使用状況管理画面50を表示することができる。この回線使用状況管理画面50は、コールセンタ2における各通話回線に関して、例えば発信元電話番号、通話開始時刻、および通話時間などを概ねリアルタイムで表示する。コールセンタ2の管理者は、この回線使用状況管理画面50を参照することにより、コールセンタ2における各通話回線の使用状況を確認することができる。
【0035】
‐通信網28‐
通信網28は、通信網28に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網28は、電話回線網、インターネット、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、通信網28は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0036】
‐顧客用電話機30‐
顧客用電話機30は、顧客によって使用される電話機である。なお、顧客用電話機30は、固定型電話機であってもよいし、携帯型電話機であってもよい。
【0037】
上述した情報処理システムにおいて、本発明の各実施形態によるコールセンタサーバ10は、コールセンタ2において転送用の回線が不足することを防止することができる。以下、このような本発明の各実施形態について順次詳細に説明する。
【0038】
<2.各実施形態の詳細な説明>
[2−1.第1の実施形態]
(2−1−1.構成)
図4は、第1の実施形態によるコールセンタサーバ10の構成を示した機能ブロック図である。
図4に示したように、コールセンタサーバ10は、制御部100、通信部108、および記憶部110を有する。また、制御部100は、回線使用状況管理部102、転送用回線数予測部104、および判断部106を有する。
【0039】
制御部100は、コールセンタサーバ10に内蔵されるCPU150、RAM154などのハードウェアを用いて、コールセンタサーバ10の動作を全般的に制御する機能を有する。例えば、制御部100は、通信部108、および記憶部110の動作を制御する。
【0040】
回線使用状況管理部102は、コールセンタ2において通話に使用されている回線数を概ねリアルタイムで監視する。また、回線使用状況管理部102は、回線ごとの監視結果を後述する回線使用状況管理テーブル114に記録する。
【0041】
転送用回線数予測部104は、外線からの呼の架電時において、コールセンタ2における通話中の呼の転送のために必要となる回線数(以下、転送用回線数とも称する)を予測する。例えば、転送用回線数予測部104は、外線からの呼の架電時において通話時間が設定時間以内である回線数を転送用回線数として予測する。ここで、設定時間は、例えば転送実績テーブル112に記録された、過去の転送発生時における呼の転送までの通話時間の平均値であってもよい。
【0042】
なお、コールセンタ2の管理者は、例えば
図5に示したような転送用回線数管理画面52において上記の設定時間を登録することができる。一般的に、例えば通話時間が5分経過した時点では通話時間が1分経過した時点よりも転送が発生する可能性が低下するように、通話時間が長いほど転送が発生する可能性が低くなる傾向がある。このため、転送用回線数予測部104が転送用回線数を過不足なく予測するためには、設定時間の長さが適切に決められる必要がある。
【0043】
図5に示したように、転送用回線数管理画面52は、例えば、手動設定選択欄520、時間入力欄522、自動設定選択欄524、時間表示欄526、予測参考期間選択欄528、予測ボタン530、登録・更新ボタン532、および中止ボタン534を含む。例えば、コールセンタ2の管理者が設定時間を直接指定することを希望する場合には、この転送用回線数管理画面52において手動設定選択欄520を選択し、そして、時間入力欄522に対して希望の時間を入力すればよい。
【0044】
また、コールセンタ2の管理者が設定時間を自動設定することを希望する場合には、まず自動設定選択欄524を選択し、次に、例えば過去1年など設定時間を算出するための参考期間を予測参考期間選択欄528から選択する。そして、管理者が予測ボタン530を選択すると、転送用回線数予測部104は、例えば
図6に示した転送実績テーブル112から、選択された期間における、転送に至るまでの通話時間1128の平均値を算出する。そして、転送用回線数管理画面52は、算出された平均値を時間表示欄526に表示する。その後、管理者は登録・更新ボタン532を選択することにより、時間表示欄526に表示された時間を設定時間として登録または更新することができる。
【0045】
判断部106は、予測された転送用回線数とコールセンタ2における未使用中の回線数とを比較することにより、外線からの呼の着信を許可するか否かを判断する。なお、通話中の呼を転送する場合には、着信用の回線に加えて、転送用の回線が新たに必要になるので、例えば予測された数の転送が同時に発生した場合などには、回線数が逼迫する恐れがある。このため、判断部106は、例えば、予測された転送用回線数が未使用中の回線数を基準とした値以上であれば、外線からの呼の着信を許可しないことを判断してもよい。ここで、未使用中の回線数を基準とした値は、未使用中の回線数に対して、例えば10などの一定の数を加算した値であってもよいし、例えば総回線数の10%などの回線数に応じて変化する値を加算した値であってもよい
【0046】
通信部108は、例えば通信網28やコールセンタ2内のLANなどを介して、各種装置との間で情報を送受信する。例えば、通信部108は、外線から呼が架電されたことの通知をコールセンタ交換機20から受信する。また、通信部108は、判断部106により外線からの呼の着信を許可しないことが判断された場合には、例えば混雑メッセージを顧客用電話機30へ送信することの指示を音声応答装置22へ送信する。
【0047】
記憶部110は、転送実績テーブル112、および回線使用状況管理テーブル114などの各種情報を記憶する。転送実績テーブル112は、コールセンタ2における転送の実績が記録されるテーブルである。ここで、
図6を参照して、転送実績テーブル112の構成例を説明する。
図6に示したように、転送実績テーブル112では、例えば、発信元電話番号1120、架電日時1122、転送の有無1124、総通話時間1126、および転送に至るまでの通話時間1128が対応づけて記録される。例えば、
図6の1レコード目のデータは、発信元電話番号が「03−1111−xxxx」であり、架電日時が「2013年1月10日」であり、通話の途中で転送が行われ、総通話時間が「240秒」であり、転送に至るまでの通話時間が「60秒」であったことを示している。
【0048】
また、回線使用状況管理テーブル114は、コールセンタ2における回線の使用状況が記録されるテーブルである。ここで、
図7を参照して、回線使用状況管理テーブル114の構成例を説明する。
図7に示したように、回線使用状況管理テーブル114では、例えば、回線ID1140、回線空き時間1142、着信先電話番号1144、発信元電話番号1146、通話開始時刻1148、および通話時間1150が対応づけて記録される。例えば、
図7の1レコード目のデータは、コールセンタ2における回線IDが「0001」であり、着信先電話番号が「03−5555−xxxx」であり、発信元電話番号が「03−1111−xxxx」であり、通話開始時刻が「10時00分10秒」であり、記録時点での通話時間が「90秒」であることを示している。
【0049】
なお、第1の実施形態によれば、コールセンタサーバ10に内蔵されるCPU150、ROM152、およびRAM154などのハードウェアを、上述したコールセンタサーバ10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも提供可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【0050】
以上、第1の実施形態によるコールセンタサーバ10の構成について説明したが、上述した構成に限定されない。例えば、通信部108、記憶部110、転送実績テーブル112、または回線使用状況管理テーブル114のうちいずれか1以上はコールセンタサーバ10に含まれず、他の装置に備えられてもよい。
【0051】
(2−1−2.動作)
以上、第1の実施形態による構成について説明した。続いて、第1の実施形態による動作について説明する。
【0052】
図8は、第1の実施形態による全体的な動作を示したフローチャートである。
図8に示したように、まず、顧客は、顧客用電話機30によりコールセンタ2へ電話を発信する(S101)。続いて、コールセンタ交換機20は、顧客用電話機30から架電された呼を一時受信する(S102)。そして、コールセンタ交換機20は、顧客用電話機30からの呼の着信可否をコールセンタサーバ10へ問い合わせる(S103)。
【0053】
続いて、コールセンタサーバ10の回線使用状況管理部102は、コールセンタ2において未使用中の回線があるか否かを確認する(S104)。未使用中の回線が無い場合には(S104:No)、判断部106は、顧客用電話機30からの呼の着信を許可しないことを判断する。そして、通信部108は、判断部106による判断結果をコールセンタ交換機20に通知し、後述するS107の処理をコールセンタ交換機20に実行させる。
【0054】
一方、未使用中の回線がある場合には(S104:Yes)、コールセンタサーバ10は、転送用回線数の予測処理を実行する(S105)。ここで、
図9を参照して、S105における「転送用回線数の予測処理」の動作の詳細について説明する。
図9に示したように、まず、回線使用状況管理部102は、コールセンタ2において通話時間が設定時間以内である回線数を確認する(S201)。続いて、転送用回線数予測部104は、S201で確認された回線数を転送用回線数として予測する(S202)。上述したように、設定時間の長さが事前に適切に登録されることにより、転送用回線数予測部104は、転送用回線数を過不足なく予測することができる。
【0055】
続いて、判断部106は、S105で予測された転送用回線数が、上述した未使用中の回線数を基準とした値未満か否か、つまり顧客用電話機30からの呼を着信可能であるか否かを判断する(S106)。
【0056】
転送用回線数が未使用中の回線数を基準とした値未満でない場合には(S106:No)、判断部106は、顧客用電話機30からの呼の着信を許可しないことを判断する。そして、通信部108は、判断部106による判断結果をコールセンタ交換機20に通知する。
【0057】
続いて、コールセンタ交換機20は、例えば音声応答装置22に混雑メッセージを顧客用電話機30に流させるなど、顧客用電話機30からの呼を強制終了させるか、または未使用中の回線数が十分な数に達するまで呼を待機させるための処理を実行する(S107)。その後、顧客用電話機30は、例えば音声応答装置22による自動応答を受信する(S108)。
【0058】
一方、転送用回線数が未使用中の回線数を基準とした値以上である場合には(S106:Yes)、判断部106は、顧客用電話機30からの呼の着信を許可することを判断する。そして、通信部108は、判断部106による判断結果をコールセンタ交換機20に通知する。
【0059】
続いて、コールセンタ交換機20は、未使用中のいずれかの回線を選択し、顧客用電話機30からの呼をオペレータ用電話機24へ着信させる(S109)。そして、オペレータ用電話機24は、顧客用電話機30からの呼を着信する(S110)。
【0060】
(2−1−3.効果)
以上、例えば
図4、
図8、
図9等を参照して説明したように、第1の実施形態によるコールセンタサーバ10は、コールセンタ2において通話に使用されている回線数を監視し、そして、顧客用電話機30などの外線からの呼の架電時において、転送用回線数を予測する。そして、コールセンタサーバ10は、予測された転送用回線数とコールセンタ2における未使用中の回線数とを比較することにより、外線からの呼の着信を許可するか否かを判断する。このため、コールセンタサーバ10は、コールセンタ2において通話の状況に応じて外線からの呼の着信を適切に制御することができる。例えば、コールセンタサーバ10は、外線からの呼の架電時において転送用に必要な回線を確保しつつ、外線からの呼をできるだけ多く着信するように制御することができる。このため、顧客サービスの向上にもつながる。
【0061】
また、コールセンタ2における回線は着信用と転送用のいずれにも使用できるように設定される。このため、着信用と転送用との間で回線を区別しないので、回線の分割損が生じないという効果がある。また、既存の回線を無駄が少なく、できるだけ多く活用することが可能になる。
【0062】
[2−2.第2の実施形態]
以上、第1の実施形態について説明した。上述したように、第1の実施形態では、コールセンタサーバ10は、通話時間が設定時間以内の回線数を転送用回線数として予測する。次に説明するように、第2の実施形態によれば、コールセンタサーバ10は、通話時間の長さと通話中の呼が転送される確率との関係性に基づいて転送用回線数を予測することができる。
【0063】
(2−2−1.構成)
図10は、第2の実施形態によるコールセンタサーバ10の構成を示した機能ブロック図である。
図10に示したように、第2の実施形態によるコールセンタサーバ10は、第1の実施形態と比較して、転送発生率予測部116、転送率関係性予測部118、および転送率関係性テーブル120を新たに含む。
【0064】
転送発生率予測部116は、コールセンタ2における呼の転送実績に基づいて、通話中の呼が転送される確率を示す転送発生率を予測する。例えば、転送発生率予測部116は、後述する転送率関係性テーブル120に記録された、通話時間の長さと転送発生率との関係性に基づいて転送発生率を予測する。また、例えば
図11に示したような転送率関係性を示す所定の数式を予め記憶部110が記憶している場合には、転送用回線数予測部104は、記憶部110に記憶された数式を用いて転送発生率を予測してもよい。
【0065】
転送率関係性予測部118は、コールセンタ2における呼の転送実績から、例えば
図11に示すような通話時間の長さと転送発生率との関係性(以下、転送率関係性と称する)を予測する。例えば、転送率関係性予測部118は、転送実績テーブル112を参照し、
図12に示すような予測処理により例えば毎月一回など所定のタイミングで転送率関係性を予測し、そして予測結果を転送率関係性テーブル120に記録または更新する。
【0066】
ここで、
図12を参照して、転送率関係性予測部118による予測処理について説明する。まず、転送率関係性予測部118は、通話時間を表すtに「0(秒)」を設定する(S301)。続いて、転送率関係性予測部118は、転送実績テーブル112を参照し、例えば過去1年など所定の期間における架電件数の合計を算出する(S302)。続いて、転送率関係性予測部118は、tが通話時間の所定の上限であるN(秒)以下であるか判定する(S303)。
【0067】
tがNより大きい場合には(S303:No)、転送率関係性予測部118は、予測処理を終了する。一方、tがN以下である場合には(S303:Yes)、転送率関係性予測部118は、転送実績テーブル112を参照し、所定の期間における転送に至るまでの通話時間がt以上であった架電件数、つまり通話が開始されてからt以降に転送された架電の件数を算出する(S304)。例えば、
図6に示した転送実績テーブル112の例では、転送率関係性予測部118は、所定の期間において、転送に至るまでの通話時間1128の値がt以上である架電の件数を算出する。
【0068】
続いて、転送率関係性予測部118は、S302で算出された架電件数の合計に対するS304で算出された件数の割合を計算し、tにおける転送発生率として予測する。そして、転送率関係性予測部118は、予測された転送発生率をtに対応づけて転送率関係性テーブル120に記録する(S305)。続いて、転送率関係性予測部118は、tに1(秒)を加算した後(S306)、再びS303の動作を行う。
【0069】
なお、上記の説明では、転送率関係性予測部118は、通話時間が1秒ごとに転送率関係性を予測する例について説明したが、かかる例に限定されず、例えば5秒ごとや1分ごとなど、任意の時間間隔で転送率関係性を予測してもよい。
【0070】
また、第2の実施形態による転送用回線数予測部104は、転送発生率予測部116により予測される転送発生率に基づいて転送用回線数を予測する。より具体的には、転送用回線数予測部104は、コールセンタ2における通話中の呼の通話時間の長さから、例えば転送率関係性テーブル120に記録された転送率関係性を用いて特定される転送発生率の合計に基づいて、転送用回線数を予測する。
【0071】
なお、例えば回線使用状況管理部102などの他の構成要素の機能に関しては、第1の実施形態と同様である。
【0072】
(2−2−2.動作)
以上、第2の実施形態による構成について説明した。続いて、第2の実施形態による動作について説明する。なお、
図8に示したS101〜S104、およびS106以降の動作は第1の実施形態と同様である。従って、ここでは、S105の動作についてのみ説明する。
【0073】
図13は、第2の実施形態によるS105における「転送用回線数の予測処理」の詳細を示したフローチャートである。
図13に示したように、まず、転送発生率予測部116は、所定の転送率関係性に基づいて、各回線の通話時間から各回線の転送発生率を算出する(S401)。上述したように、所定の転送率関係性は、転送率関係性予測部118により予測され、転送率関係性テーブル120に記録された転送率関係性であってもよいし、記憶部110に予め記憶された所定の数式であってもよい。
【0074】
続いて、転送用回線数予測部104は、通話中の各回線に関してS401で予測された転送発生率を合計する。そして、転送用回線数予測部104は、合計した値を例えば小数点以下を四捨五入するなどにより整数に丸めた値を転送用回線数として予測する(S402)。
【0075】
(2−2−3.効果)
以上、例えば
図10、
図13等を参照して説明したように、第2の実施形態によるコールセンタサーバ10は、コールセンタ2における通話中の呼の通話時間の長さから、予め予測された転送率関係性を用いて転送発生率を予測する。そして、コールセンタサーバ10は、通話中の各回線の転送発生率を合計することにより転送用回線数を予測する。このため、コールセンタサーバ10は、コールセンタ2における通話時間の長さに基づいて転送用回線数を過不足なく精緻に予測することができる。そして、コールセンタ2は、通話の状況に応じて外線からの呼をできるだけ多く着信することができる。
【0076】
<3.変形例>
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0077】
例えば、通話中のオペレータは、通話内容に基づいて転送可能性の有無を判断し、そして、転送可能性が無いと判断した場合にはコールセンタ端末26に対して転送可能性なしと入力できてもよい。そして、転送可能性なしと入力された回線に関しては、転送用回線数予測部104は、転送用回線数の予測対象外としてもよい。
【0078】
この変形例が第1の実施形態に適用される場合では、例えば、転送用回線数予測部104は、転送可能性なしと入力されていない回線の中から通話時間が設定時間以内である回線数を算出し、そして、算出された回線数を転送用回線数として予測してもよい。また、この変形例が第2の実施形態に適用される場合では、例えば、転送用回線数予測部104は、転送可能性なしと入力された回線に関しては転送発生率を「0」とし、そして、通話中の各回線の転送発生率を合計することにより転送用回線数を予測してもよい。